(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キャリアプレートの前記押付部は、前記下降側収容部の収容空間に連通して形成された嵌合孔に嵌合して前記キャリアプレートと一体となるように設けられた押付部材の一部である、
請求項1に記載のウインドレギュレータ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態の要約)
本実施の形態に係るウインドレギュレータ1は、窓ガラス90の昇降方向に沿って設けられるガイドレール2と、ガイドレール2と摺動して窓ガラス90と共に移動するキャリアプレート3と、キャリアプレート3を上昇方向に牽引する上昇側ケーブル41、及びキャリアプレート3を下降方向に牽引する下降側ケーブル42と、を備え、キャリアプレート3には、下降側ケーブル42の一端及び下降側ケーブル42に張力を付与する下降側スプリング72を収容する下降側収容部320と、下降側収容部320から導出された下降側ケーブル42をガイドレール2側に押し付ける押付部と、が設けられている。
【0013】
このウインドレギュレータ1は、ガイドレール2の曲率が大きい場合であっても、下降側ケーブル42の振動に起因した異音を抑制することができる。
【0014】
[第1の実施の形態]
本発明における第1の実施の形態に係るウインドレギュレータは、例えば自動車のドアの窓ガラスを昇降するための装置であり、自動車のドアパネルに取り付けられて使用される。
【0015】
(ウインドレギュレータ1の概要)
図1は、本実施の形態に係るウインドレギュレータ1、及びウインドレギュレータ1が設けられる車両のドア9を示す全体概略図である。
図2は、ウインドレギュレータ1の構成を示す全体図である。なお、
図1は、窓ガラス90の全閉状態を示し、ドア1及び窓枠を二点鎖線で示す。またさらに
図1において、紙面の左側を車両前後方向の後方側、紙面の右側を車両前後方向の前方側とする。
図2は、ウインドレギュレータ1の構成を示す全体図である。
【0016】
図1及び
図2に示すように、ウインドレギュレータ1は、車両のドア9に設けられた図略のドアパネル内に格納され、窓ガラス90の昇降方向に沿って設けられたガイドレール2と、ガイドレール2と摺動して窓ガラス90と共に移動するキャリアプレート3と、キャリアプレート3を牽引する上昇側ケーブル41及び下降側ケーブル42と、上昇側ケーブル41及び下降側ケーブル42の巻き取り及び繰り出しを行うための駆動力を発生する駆動部5と、を備えて概略構成されている。
【0017】
(ガイドレール2の構成)
ガイドレール2は、長板状の金属板を所定の曲率で折り曲げて形成され、ドア9に対して車両前後方向の後方側に傾いて配置されている。また、ガイドレール2は、その長手方向に延びる平板部20と、平板部20における長手方向に直交する幅方向の両端部から立設された第1及び第2の側板部211,212と、第2の側板部212の先端から平板部20とは反対側に張り出した鍔部213と、を一体に有している。第1及び第2の側板部211,212のうち、第1の側板部211が車両前後方向の後方側に配置されている側板部である。
図2では、第1及び第2の側板部211,212が紙面の手前側に突出している。
【0018】
(キャリアプレート3の構成)
キャリアプレート3は、例えばポリアセタール等の樹脂によって形成された板状の部材である。キャリアプレート3には、ガイドレール2上を摺動する本体部30と、本体部30の両端にそれぞれ設けられて窓ガラス90を支持する第1及び第2支持部301,302と、を一体に有している。第1及び第2支持部301,302のそれぞれには、窓ガラス90を支持する図略の支持部材を取り付けるための取付孔301a,302aが形成されている。
【0019】
(上昇側ケーブル41及び下降側ケーブル42の構成)
上昇側ケーブル41は、一端部がキャリアプレート3に連結され、ガイドレール2の上端に設けられたケーブルガイド23を介して、他端部が後述する駆動部5のドラム52に連結されている。下降側ケーブル42は、一端部がキャリアプレート3に連結され、他端部がドラム52に連結されている。
【0020】
上昇側ケーブル41は、ドラム52の回転軸Q方向に沿ってみた場合に、ケーブルガイド23及びドラム52の間においてガイドレール2と重ならないように配策されている。下降側ケーブル42は、ドラム52の回転軸Q方向に沿ってみた場合に、キャリアプレート3及びドラム52の間においてガイドレール2と重なるように配策されている。
【0021】
上昇側ケーブル41は、ガイドレール2の長手方向の中央部付近に設けられてケーブル支持部材91によって支持されている。
【0022】
(駆動部5の構成)
駆動部5は、減速機付きのモータ51と、モータ51によって回転駆動され、回転することにより上昇側ケーブル41及び下降側ケーブル42の巻き取り及び繰り出しを行う円筒状のドラム52(
図2の破線部)と、ガイドレール2の下端に設けられ、モータ51を保持すると共にドラム52を収容するハウジング53と、を有している。ハウジング53は、ドラム52を収容するドラム収容部を有するドラムハウジング532と、ガイドレール2の下端に嵌合してモータ51を保持するモータハウジング531と、からなる。ドラムハウジング532とモータハウジング531とは、第1乃至第3固定部531〜533によって、相互に締結されている(後述する
図6参照)。
【0023】
(キャリアプレートの詳細)
次に、キャリアプレート3及びその周辺部について
図3乃至
図5を参照して説明する。
【0024】
図3(a)〜(e)は、キャリアプレート3の構成例を示す平面図であり、(a)は上面図であり、(b)は正面図であり、(c)は左側面図であり、(d)は右側面図であり、(e)は底面図である。
図4は、キャリアプレート3の構成を示す背面図であり、上昇側及び下降側スプリング71,72並びに上昇側及び下降側ケーブルエンド410,420をキャリアプレート3と共に示した平面図である。
図5は、
図3(b)におけるB−B線断面図である。なお、
図3(a)及び(e)では、ガイドレール2を二点鎖線で示している。なお、
図5において、後述する上昇側収容部310及び下降側収容部320を破線で示している。
【0025】
キャリアプレート3には、上昇側ケーブル41の一端に設けられた上昇側ケーブルエンド410及び上昇側ケーブル41に張力を付与する
上昇側スプリング7
1を収容する
上昇側収容部3
10と、下降側ケーブル42の一端に設けられた下降側ケーブルエンド420及び下降側ケーブル42に張力を付与する下降側スプリング72を収容する下降側収容部320と、が設けられている。
【0026】
図3(a)に示すように、下降側収容部320は、キャリアプレート3の上死点において、キャリアプレート3がケーブルガイド23と対面する上面30g側が開口した開口部320bを有する有底円筒状である。
【0027】
下降側収容部320の底面320aは、上記開口部320bを通じてキャリアプレート3の外部を臨んでいる。また、開口部320bは、下降側ケーブルエンド420、下降側スライドブッシュ62、及び下降側スプリング72を下降側収容部320に挿入するための挿入口として形成されている。ここで、キャリアプレート3の上死点とは、キャリアプレート3がガイドレール2上を移動する移動範囲のうち、ガイドレール2における最も上端側の位置をいう。
【0028】
図3(e)に示すように、上昇側収容部310は、キャリアプレート3の下死点において、キャリアプレート3がハウジング53と対面する底面30c側が開口した開口部310bを有する有底円筒状である。
【0029】
上昇側収容部310の底面310aは、上記開口部310bを通じてキャリアプレート3の外部を臨んでいる。また、開口部310bは、上昇側ケーブルエンド410、上昇側スライドブッシュ61、及び上昇側スプリング71を上昇側収容部310に挿入するための挿入口として形成されている。ここで、キャリアプレート3の下死点とは、キャリアプレート3がガイドレール2上を移動する移動範囲のうち、ガイドレール2の最も下端側の位置をいう。
【0030】
図3(b)に示すように、キャリアプレート3がガイドレール2と対面する面と反対側の正面30fには、複数のリブが設けられている。これにより、キャリアプレート3の剛性が向上されている。
【0031】
図3(a)及び(e)に示すように、キャリアプレート3の本体部30には、上昇側ケーブル41及び下降側ケーブル42を上昇側収容部310及び下降側収容部320内に収容するための収容口としての上昇側スリット3a及び下降側スリット3bと、ガイドレール2の鍔部213が嵌合する嵌合溝3cと、が形成されている。上昇側収容部310及び下降側収容部320は、その中心軸線に沿った方向に見た場合に、略正八角形状である。なお、上昇側収容部310及び下降側収容部320の形状はこれに限定されず、例えば円筒状でもよく、正六角形状でもよい。
【0032】
上昇側スリット3aは、キャリアプレート3の上面30gと底面30cとの間を横断するように延在している。また、上昇側スリット3aは、キャリアプレート3の正面30fとは反対側が開口し、上昇側収容部310の収容空間と連通している。
【0033】
同様に、下降側スリット3bは、キャリアプレート3の上面30gと底面30cとの間を横断するように延在している。また、下降側スリット3bは、キャリアプレート3の正面30fとは反対側に開口し、下降側収容部320の収容空間と連通している。
【0034】
図4に示すように、キャリアプレート3には、上昇側ケーブル41を上昇側収容部310からキャリアプレート3の外部へ導出する上昇側導出路311と、下降側ケーブル42を下降側収容部320からキャリアプレート3の外部へ導出する下降側導出路321と、が設けられている。
【0035】
上昇側導出路311は、上昇側収容部310の底面310aを上昇側収容部310の中心軸線に沿って貫通して形成され、上昇側スリット3aを介してガイドレール2の平板部20と対向する。また、上昇側導出路311は、上昇側収容部310の中心軸線に沿った方向において、上昇側収容部310の底面310aからキャリアプレート3の上面30gまで延在して設けられている。
【0036】
下降側導出路321は、下降側収容部320の底面320aを下降側収容部320の中心軸線C(
図5に示す)に沿って貫通して形成され、下降側スリット3bを介してキャリアプレート3の外部を臨んでいる。また、下降側導出路321は、下降側収容部320の中心軸線Cに沿った方向において、下降側収容部320の底面320aからキャリアプレート3の底面30cまで延在して設けられている。
【0037】
また、
図4に示すように、上昇側ケーブル41のキャリアプレート3に連結される一端には、亜鉛等の金属からなる略直方形状の上昇側ケーブルエンド410と、上昇側ケーブルエンド410が係止する筒状の上昇側スライドブッシュ61と、上昇側ケーブル41を挿通させると共に張力を付与する上昇側コイルスプリング71と、が設けられている。上昇側ケーブルエンド410は、例えば加締め等の固定手段によって上昇側ケーブルの先端41a側に固着されている。
【0038】
同様に、下降側ケーブル42のキャリアプレート3に連結される一端には、亜鉛等の金属からなる略直方形状の下降側ケーブルエンド420と、下降側ケーブルエンド420が係止する筒状の下降側スライドブッシュ62と、下降側ケーブル42を挿通させると共に張力を付与する下降側コイルスプリング72と、が設けられている。下降側ケーブルエンド420は、例えば加締め等の固定手段によって下降側ケーブルの先端42a側に固着されている。
【0039】
上昇側スライドブッシュ61は、鍔部610と、鍔部610よりも小径の筒部611とを有している。筒部611の内部には、上昇側ケーブルエンド410を係止する係止面を底面として有する有底円筒状の係止孔61aが設けられている。また、筒部611は、上昇側コイルスプリング71に挿通されて、鍔部610が上昇側コイルスプリング71の一端71aに接触する。上昇側ケーブルエンド410、上昇側スライドブッシュ61及び上昇側コイルスプリング71は、上昇側収容部310内に共に収容されている。
【0040】
上昇側コイルスプリング71は、その一端71aが前述のように上昇側スライドブッシュ61の鍔部610に接触し、その他端71bが上昇側収容部310の底面310aに接触して、圧縮された状態で収容されている。これにより、上昇側ケーブル41に張力が付与されて、上昇側ケーブル41の弛みが防止されている。
【0041】
同様に、下降側スライドブッシュ62は、鍔部620と、鍔部620よりも小径の筒部621とを有している。筒部621の内部には、下降側ケーブルエンド420を係止する係止面を底面として有する有底円筒状の係止孔62aが設けられている。筒部621は、下降側コイルスプリング72に挿通されて、鍔部620が下降側コイルスプリング72の一端72aに接触する。下降側ケーブルエンド420、下降側スライドブッシュ62及び下降側コイルスプリング72は、下降側収容部320内に共に収容されている。
【0042】
下降側コイルスプリング72は、その一端72aが前述のように下降側スライドブッシュ62の鍔部620に接触し、その他端72bが下降側収容部320の底面320aに接触して、圧縮された状態で収容されている。これにより、下降側ケーブル42に張力が付与されて、下降側ケーブル42の弛みが防止されている。
【0043】
図5に示すように、下降側導出路321は、下降側収容部320の底面320aからキャリアプレート3の外部に向かうほどガイドレール2の平板部20に近づくように傾斜している。これにより、下降側ケーブル42は、下降側導出路321に配置される範囲において、ガイドレール2の平板部20側に押し付けられる(後述する
図7参照)。つまり、キャリアプレート3の下降側導出路321は、下降側収容部320から導出された下降側ケーブル42をガイドレール2側に押し付ける押付部として形成されている。
【0044】
(作用及び効果)
次に、本発明によって得られる作用及び効果について
図6及び
図7を参照して説明する。
図6は、
図2に示すウインドレギュレータ1のA−A線断面図である。
図7は、
図6に示すウインドレギュレータのキャリアプレート3及びその周辺部の拡大図である。なお、
図6及び
図7では、キャリアプレート3が上死点に位置している状態を示している。
【0045】
図7に示すように、下降側収容部320の中心軸線Cと、キャリアプレート3の底面30cとが交差する交差点を基準点O
1とし、キャリアプレート3から下降側ケーブル42が導出される導出点をO
2とすると、導出点O
2は、基準点O
1に対して、キャリアプレート3の板厚方向(キャリアプレート3が摺動するガイドレール2の平板部20に対して直交する方向)において、所定の寸法hだけオフセットされている。ここで、所定の寸法hは、キャリアプレート3が上死点にあるときに、ガイドレール2の平板部20と下降側ケーブル42とがガイドレール2の長手方向に最も近づく部位で、ガイドレール2の平板部20と下降側ケーブル42とが接触し得る値である。例えば、ガイドレールの長手方向の長さLが556mmで、ガイドレールの曲率Rが5200mmの場合に、寸法hは2.8mm以上である。
【0046】
上記のように、下降側ケーブル42は、導出路321によってガイドレール2側に押し付けられることにより、下降側収容部320から導出される下降側ケーブル42の導出位置が下降側収容部320の中心軸線Cを基準線としてガイドレール2側にオフセットされている。
【0047】
さらに述べれば、下降側ケーブル42は、下降側導出路321に配置される範囲において、下降側収容部320内に配置される下降側ケーブル42の延伸方向に対して傾斜した傾斜部42cを有する。なお、下降側収容部320の中心軸線Cが上記した下降側ケーブル42の傾斜部42cに沿うように、下降側収容部320が傾いて形
成されていてもよい。
【0048】
上記に述べた構成により、
図6に示すように、キャリアプレート3の上死点において、キャリアプレート3とハウジング53との間において下降側ケーブル42がガイドレール2の平板部20に最も近づく部位において、下降側ケーブル42とガイドレール2の平板部20とが接触する。つまり、下降側ケーブル42がガイドレール2上に最も長く配策される状態において、下降側ケーブル42とガイドレール2の平板部20とが接触する。これにより、例えばドア閉時の強い衝撃が下降側ケーブル42に伝達された場合でも、下降側ケーブル42がガイドレール2の平板部20と接触しているので、下降側ケーブル42の振動に起因した異音が確実に抑制される。
【0049】
(比較例)
次に、比較例に係るウインドレギュレータについて
図9及び
図10を参照して説明する。
図8は、比較例に係るウインドレギュレータの構成を示す説明図である。
図9は、
図8に示す比較例に係るウインドレギュレータの一部を拡大した拡大図である。
【0050】
比較例に係るウインドレギュレータ1は、本実施の形態に係るウインドレギュレータ1のキャリアプレート3と構成が異なる他は、同様に構成されている。
図8及び
図9において、本実施の形態について説明したものと実質的に同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0051】
比較例に係るキャリアプレート3Aは、その下降側導出路321が傾斜していない。つまり、
図9に示すように、比較例に係るキャリアプレート3の下降側導出路321は、下降側収容部320の中心軸線Cに沿った方向と平行に延在して形成されている。従って、下降側収容部320から導出される下降側ケーブル42の導出位置が下降側収容部320の中心軸線Cを基準線としてガイドレール2側にオフセットされていない。
【0052】
この構成によれば、下降側ケーブル42がガイドレール2の平板部20側に押し付けられない。従って、
図8に示すように、キャリアプレート3の上死点において、下降側ケーブル42がガイドレール2の平板部20に最も近づく部位において、下降側ケーブル42とガイドレール2の平板部20との間に隙間が形成される。この場合、下降側ケーブル42が振動した場合に、ガイドレール2の平板部20と衝突して異音が発生してしまうおそれがある。
【0053】
これに対して、本実施の形態に係るキャリアプレート3は、下降側ケーブル42をガイドレール2側に押し付ける導出路321を備えているので、下降側ケーブル42のキャリアプレート3からの導出位置がガイドレール2側に向かってオフセットされる。この構成により、ガイドレール2が曲率の大きい直線状に形成されたものであっても、下降側ケーブル42をガイドレール2の平板部20に確実に接触させることができる。つまり、下降側ケーブル42の振動に起因した異音を確実に抑制している。
【0054】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態に係るウインドレギュレータ1について
図10(a)及び(b)を参照して説明する。
図10(a)及び(b)は、本発明における第2の実施の形態に係るウインドレギュレータのキャリアプレート及びガイドレールの一部を示す説明図であり、(a)は後述する押付部材80の取付前の状態を示し、(b)は押付部材80の取付後の状態を示している。
【0055】
第2の実施の形態に係るウインドレギュレータ1は、第1の実施の形態に係るウインドレギュレータ1のキャリアプレート3と構成が異なる他は、同様に構成されている。
図8及び
図9において、本実施の形態について説明したものと実質的に同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0056】
第2の実施の形態に係るキャリアプレート3Bは、下降側ケーブル42をガイドレール2側に押し付けるための押付手段が異なる。つまり、本実施の形態では、キャリアプレート3と一体となるように配置された押付部材80によって下降側ケーブル42をガイドレール2側に押し付けている。
【0057】
キャリアプレート3Bには、ガイドレール2の平板部20と対向する面とは反対側の正面30f側が開口して下降側ケーブル42を下降側収容部320に収容するための収容口としてのスリット30aが形成されている。スリット30aは、下降側収容部320の収容空間に連通して、キャリアプレート3を縦に2分割するようにキャリアプレート3の移動方向に沿って延在して形成されている。
【0058】
押付部材80は、略T字状に形成されており、例えばPOM等の樹脂製の部材である。押付部材80は、横長部80aと、横長部80aの中央部から下垂して形成された縦長状の押付部80bとを一体に有している。
【0059】
キャリアプレート3には、押付部材80が嵌合する嵌合孔300が形成されている。嵌合孔300は、キャリアプレート3の底面30c側が開口し、押付部材80の横長部80aが嵌合する横長穴300aと、押付部材80の押付部80bが嵌合する縦長穴300bと、からなる。嵌合孔300の縦長穴300bには、下降側収容部320の底面320aから導出された下降側ケーブル42が配置されている。
【0060】
押付部材80をキャリアプレート3の本体部30に組み付ける際には、押付部材80の押付部80bの先端部で下降側ケーブル42をガイドレール2側へ押し付けながら下降側ケーブル42の延伸方向に沿った方向(矢印X方向)でキャリアプレート3の底面30cに近づけて、キャリアプレート3の嵌合孔300に嵌合させる。これにより、下降側ケーブル42は、押付部材80の押付部80bによってガイドレール2の平板部20側に押し付けられた状態となる。
【0061】
つまり、キャリアプレート3Bの押付部としての押付部材80の押付部80bは、スリット30aに連通して形成された嵌合孔300に嵌合してキャリアプレート3Bと一体となるように設けられている。なお、押付部材80の押付部80bは、本発明の「押付部材の一部」の一例である。
【0062】
本実施の形態によれば、押付部材80によって下降側ケーブル42をガイドレール2側に押し付けることができるので、下降側ケーブル42のキャリアプレート3からの導出位置がガイドレール2側に向かってオフセットされる。つまり、ガイドレール2が曲率の大きい直線状に形成されたものであっても、下降側ケーブル42をガイドレール2の平板部20に確実に接触させることができる。つまり、下降側ケーブル42の振動に起因した異音を確実に抑制している。
【0063】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態に係るウインドレギュレータ1について
図11(a)及び(b)を参照して説明する。
図11(a)及び(b)は、本発明における第3の実施の形態に係るウインドレギュレータのキャリアプレート及びガイドレールの一部を示す説明図であり、(a)は後述する押付部材80の取付前の状態を示し、(b)は押付部材80の取付後の状態を示している。
【0064】
第3の実施の形態に係るウインドレギュレータ1は、第2の実施の形態に係るウインドレギュレータ1のキャリアプレート3B及び押付部材80と構成が異なる他は、同様に構成されている。
図8及び
図9において、本実施の形態について説明したものと実質的に同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0065】
第3の実施の形態に係るキャリアプレート3Cは、押付部材81を嵌合する嵌合孔の位置が第2の実施の形態に係るキャリアプレート3Bと異なる。つまり、キャリアプレート3Cの嵌合孔300Aは、キャリアプレート3がガイドレール2と対向する面とは反対側の端面としての正面30fに設けられている。嵌合孔300Aは、キャリアプレート3Cの正面30f側が開口した略矩形状に形成された穴である。嵌合孔300Aは、スリット30aに連通して、下降側ケーブル42がキャリアプレート3Cから導出される下端側に設けられている。
【0066】
押付部材81は、例えばPOM等の樹脂製からなる部材であり、嵌合孔300Aに係止する一対の係止爪81a,81bと、下降側ケーブル42を押し付ける押付部81cと、を一体に有している。これら一対の係止爪81a,81bによって、嵌合孔300Aからの抜け止めがされている。
【0067】
押付部材81をキャリアプレート3の本体部30に組み付ける際には、押付部材81をキャリアプレート3の正面30f側から嵌合孔300Aに近づけて、押付部材81の押付部81cで下降側ケーブル42をガイドレール2側に押し付けながら嵌合する。これにより、下降側ケーブル42がガイドレール2の平板部20側に押し付けられた状態となる。
【0068】
つまり、キャリアプレート3Cの押付部としての押付部材81の押付部81cは、スリット30aに連通して形成された嵌合孔300Aに嵌合してキャリアプレート3Cと一体となるように設けられている。なお、押付部材81の押付部81cは、本発明の「押付部材の一部」の一例である。
【0069】
本実施の形態によれば、押付部材81によって下降側ケーブル42をガイドレール2側に押し付けることができるので、下降側ケーブル42のキャリアプレート3からの導出位置がガイドレール2側に向かってオフセットされる。つまり、ガイドレール2が曲率の大きい直線状に形成されたものであっても、下降側ケーブル42をガイドレール2の平板部20に確実に接触させることができる。つまり、下降側ケーブル42の振動に起因した異音を確実に抑制している。
【0070】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。