特許第6746635号(P6746635)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6746635
(24)【登録日】2020年8月7日
(45)【発行日】2020年8月26日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/02 20060101AFI20200817BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20200817BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20200817BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20200817BHJP
【FI】
   H05B33/02
   H05B33/04
   H01L27/32
   H05B33/14 A
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-124940(P2018-124940)
(22)【出願日】2018年6月29日
(62)【分割の表示】特願2016-509633(P2016-509633)の分割
【原出願日】2014年3月24日
(65)【公開番号】特開2018-156958(P2018-156958A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2018年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】岡田 健見
(72)【発明者】
【氏名】吉田 綾子
【審査官】 倉本 勝利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−021605(JP,A)
【文献】 特開2006−253055(JP,A)
【文献】 特開2006−113322(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/038158(WO,A1)
【文献】 特開2015−179171(JP,A)
【文献】 特開2006−123306(JP,A)
【文献】 特開2013−166990(JP,A)
【文献】 特表2004−537448(JP,A)
【文献】 特開2004−087253(JP,A)
【文献】 特開2014−089804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L27/32;H05B33/00−33/28;
H01L51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1樹脂層、第1無機層、第2樹脂層、第2無機層、及び、第3樹脂層が、その順に積層される積層体と、
前記第3樹脂層の上に位置する発光部と、
前記発光部を封止する封止部と、
を備え、
前記発光部は、前記第3樹脂層に接する第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極の間に位置する有機層と、を含み、
前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層は、同一の樹脂材料によって形成されており、
前記第1無機層を構成する材料のヤング率は、前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層を構成する前記樹脂材料のヤング率より高く、
前記封止部は、前記発光部と、前記積層体のうち少なくとも前記発光部の周囲に位置する部分と、を被覆し、
前記封止部は、酸化シリコン及び酸窒化シリコンを含む積層体であることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
前記第3樹脂層は、前記第1樹脂層を構成する材料および前記第2樹脂層を構成する材料とは異なる材料を含むことを特徴とする発光装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発光装置において、
前記第2無機層は、前記第1無機層と同じ材料を有することを特徴とする発光装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記第1樹脂層は、ポリイミド樹脂であり、
前記第1無機層及び前記第2無機層は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、及び酸窒化シリコン膜のうち少なくともいずれかであることを特徴とする発光装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記第1樹脂層、前記第1無機層、及び、前記第2樹脂層を基板としたとき、前記基板の厚さに対する前記第1無機層の膜厚の割合は、0.01%以上10%以下であることを特徴とする発光装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記発光装置は表示装置である、発光装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記第1樹脂層は粒子を含むことを特徴とする発光装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記第1樹脂層の前記第1無機層とは反対側の面は凹凸を有することを特徴とする発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、有機EL素子の開発が進んでいる。有機EL素子を形成するための基板として樹脂フィルムを用いることが検討されている。例えば特許文献1には、樹脂フィルム基板の両面に、ポリマー膜である樹脂膜及び無機膜を交互に積層させ、その後、樹脂フィルム基板に発光素子を形成することが記載されている。特許文献1において、樹脂フィルム基板はポリエチレンテレフタラートなどによって形成されており、樹脂膜は紫外線硬化型モノマーなどによって形成されており、無機膜はSiO、Al、ZnO、及びITOなどによって形成されている。
【0003】
また特許文献2には、ガラス基板や樹脂フィルムなどの支持体の上にワニスを塗布し、このワニスを乾燥及び硬化させ、その後支持体を取り除くことにより、ポリイミド成形体を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−1296号公報
【特許文献2】特開2007−169304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、支持基板上に樹脂基板を形成し、さらにその樹脂基板に発光部を形成した後に、支持基板を取り除くことを検討した。このような構造において、樹脂基板は多層構造にするのが好ましいが、この多層構造に起因して、樹脂基板を支持基板から剥離した後に、樹脂基板に熱応力が発生することがある。樹脂基板に熱応力が発生した場合、発光装置に反りが生じてしまう。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、支持基板上に樹脂基板及び発光部を形成し、その後に支持基板を樹脂基板から取り除いた場合においても、発光装置に反りが生じないようにすることが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、第1樹脂層、第1無機層、第2樹脂層、第2無機層、及び、第3樹脂層が、その順に積層される積層体と、
前記第3樹脂層の上に位置する発光部と、を備え、
前記発光部は、前記第3樹脂層に接する第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極の間に位置する有機層と、を含むことを特徴とする発光装置である。
【0008】
また、本発明は、支持基板上に基板を形成する工程と、
前記基板に発光部を形成する工程と、
前記基板に前記発光部を封止する封止部を形成する工程と、
を備え、
前記基板を形成する工程は、
前記支持基板上に第1樹脂材料を用いて第1樹脂層を形成する工程と、
前記第1樹脂層上に第1無機層を形成する工程と、
前記第1無機層上に前記第1樹脂材料を用いて第2樹脂層を形成する工程と、
を有する発光装置の製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0010】
図1】実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
図2図1に示した発光装置の製造方法を示す断面図である。
図3図1に示した発光装置の製造方法を示す断面図である。
図4】実施例1に係る発光装置の構成を示す断面図である。
図5】実施例2に係る発光装置の構成を示す断面図である。
図6】実施例3に係る発光装置の構成を示す断面図である。
図7】実施例4に係る発光装置の製造方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
図1は、実施形態に係る発光装置10の構成を示す断面図である。実施形態に係る発光装置10は、可撓性の基板100、発光部200、及び封止部材300(封止部)を有している。発光部200は基板100の第1面(図1に示す例では上側の面)に形成されている。封止部材300は発光部200を封止している。そして基板100は、第1樹脂層110、第1無機層120、及び第2樹脂層130を有している。第1樹脂層110は第1樹脂材料から形成されている。第2樹脂層130は、第1樹脂材料によって形成されており、第1樹脂層110よりも基板100の第1面側に位置している。第1無機層120は、第1樹脂層110と第2樹脂層130の間に位置している。基板100の厚さは、例えば20μm以上300μm以下である。以下、詳細に説明する。
【0013】
第1樹脂層110及び第2樹脂層130は、例えば、第1樹脂材料を支持基板400(図2,3を用いて後述)に塗布することにより、形成されている。第1樹脂材料は、イミド結合を有している樹脂、例えばポリイミド樹脂であるのが好ましい。第1樹脂層110は、第2樹脂層130よりも薄いのが好ましい。第1樹脂層110の膜厚は、例えば5μm以上100μm以下であり、第2樹脂層130の膜厚は、例えば10μm以上200μm以下である。なお、第2樹脂層130は第1樹脂層110とは異なる樹脂材料によって形成されていても良い。
【0014】
なお、基板100のうち第1面とは逆側の面(第2面:図1においては下側の面)は、第1樹脂層110によって形成されている。この第2面の表面粗さRaは、第1樹脂層110のうち第2面とは逆側の面(本図に示す例では第1無機層120に接している面)の表面粗さRaよりも小さい。これは、詳細を後述するように、支持基板400を用いて第1樹脂層110を形成しているためである。
【0015】
第1無機層120は、例えば酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、又は酸窒化シリコン膜であり、基板100の厚さ方向に水分や酸素が透過することを抑制する膜(防湿膜及び/又はバリア膜)としても機能する。第1無機層120の膜厚は、例えば20nm以上2μm以下である。また、基板100の厚さに対する第1無機層120の膜厚の割合は、例えば0.01%以上10%以下である。第1無機層120は、例えばスパッタリング法、CVD法、又はALD法などの気相成長法を用いて形成されている。第1無機層120は、第1樹脂材料よりもヤング率が高い材料によって形成されている。このため、第1無機層120のヤング率は、第1樹脂層110のヤング率及び第2樹脂層130のヤング率よりも大きい。
【0016】
また、本図に示す例では、基板100は第3樹脂層140を有している。第3樹脂層140は、第2樹脂層130よりも基板100の第1面側に形成されており、基板100の第1面を平坦化するために設けられている。第3樹脂層140は、例えば光硬化性のアクリル系樹脂によって形成されている。第3樹脂層140を構成する材料(第2樹脂材料)の線膨張係数は、第1樹脂材料の線膨張係数とは異なる。第3樹脂層140を構成する材料(第2樹脂材料)の線膨張係数は、第1樹脂材料の線膨張係数よりも大きい場合もあるし、小さい場合もある。
【0017】
また、本図に示す例では、基板100は、第2樹脂層130と第3樹脂層140の間に第2無機層122を有している。第2無機層122は、第1無機層120と同様の構成を有している。この場合、第2樹脂層130の第1面側及び第2面側に無機層が存在するため、基板100に反りが発生することを抑止できる。なお、第2無機層122は省略されても良い。
【0018】
なお、発光装置10がボトムエミッション型の発光装置である場合、基板100を構成する各層は、発光部200が発光する光に対して透光性を有している。
【0019】
そして、基板100の第1面には、発光部200が形成されている。発光部200は有機EL素子などの発光素子を有している。発光素子が有機EL素子である場合、この発光素子は、第1電極と第2電極の間に有機層を挟んだ構成を有している。
【0020】
第1電極及び第2電極のうち少なくとも一方は透光性の電極になっている。また、残りの電極は、例えばAlやAgなどの金属によって形成されている。透光性の電極の材料は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等の無機材料、またはポリチオフェン誘導体などの導電性高分子、又は銀もしくは炭素からなるナノワイヤを利用した網目状電極である。発光素子がボトムエミッション型である場合、基板100側の電極は透光性の電極になっており、基板100とは逆側の電極は、Al及びAgなど光を反射する電極になっている。また、発光素子がトップエミッション型である場合、基板100とは逆側の電極は透光性の電極になっており、基板100側の電極は、Al及びAgなど光を反射する電極になっている。なお、発光素子は、両方の電極(第1電極、第2電極)を透光性の電極として、透光型の発光装置としても良い(デュアルエミッション型)。
【0021】
有機層は、正孔輸送層、発光層、及び電子輸送層をこの順に積層した構成を有している。第1電極が陽極の場合は、正孔輸送層が第1電極の上に形成される。また、第1電極が陰極の場合は、電子輸送層が第1電極の上に形成される。なお、正孔輸送層と発光層の間に正孔注入層が設けられていても良いし、電子輸送層と発光層の間に電子注入層が設けられていても良い。有機層の各層は、塗布法によって形成されても蒸着法によって形成されてもよく、一部を塗布法、残りを蒸着法で形成しても良い。なお、有機層は蒸着材料を用いて蒸着法で形成してもよく、また、塗布材料を用いて、インクジェット法、印刷法、スプレー法で形成してもよい。
【0022】
なお、発光装置10が照明装置である場合、発光部200は、発光素子を一つのみ有していても良いし、複数の発光素子を有していても良い。後者の場合、発光部200は、互いに異なる色(例えば赤色、緑色、及び青色)を発光する複数種類の発光素子を有していても良い。この場合、複数種類の発光素子の端子は、互いに独立して設けられている。また、発光部200が表示装置の場合、発光部200には複数の発光素子がマトリクス状に配置されている。
【0023】
発光部200は、封止部材300によって封止されている。本図に示す例において、発光部200は金属箔又は金属板(例えばAl箔又はAl板)であり、接着層310を用いて基板100の第1面に固定されている。
【0024】
図2及び図3は、図1に示した発光装置10の製造方法を示す断面図である。まず、図2の各図に示すように、支持基板400を用いて基板100を形成する。支持基板400は、例えばガラス基板であり、表面粗さRaは小さい。この場合、ガラス基板である支持基板400の表面粗さRaは、第1樹脂層110の第2表面側における表面粗さRaより小さくても構わない。
【0025】
具体的には、図2(a)に示すように、支持基板400上に第1樹脂材料を塗布することにより、第1樹脂層110を形成する。第1樹脂層110は、例えばダイコーダを用いて形成されるが、スピンコーティング法やスクリーン印刷法を用いて形成されても良い。上記したように、支持基板400の表面粗さRaは小さいため、第1樹脂層110の第2面(支持基板400側の面)の表面粗さRaも小さくなる。
【0026】
次いで、図2(b)に示すように、第1樹脂層110上に、気相成長法を用いて第1無機層120を形成する。次いで、第1無機層120上に第2樹脂層130を形成する。第2樹脂層130の形成方法は、第1樹脂層110の形成方法と同様である。さらに、第2樹脂層130の上に、第2無機層122を形成する。第2無機層122の形成方法は第1無機層120の形成方法と同様である。さらに、この第2無機層122上に第3樹脂層140を形成する。第3樹脂層140の形成方法も、第1樹脂層110の形成方法と同様である。このようにして、基板100が形成される。なお、第2無機層122が省略される場合、第2樹脂層130の上に第3樹脂層140が形成される。
【0027】
このように、第1無機層120、第2樹脂層130、第2無機層122、及び第3樹脂層140を重ねることで、第1無機層120が有する欠陥(ボイドともいう)を第2樹脂層130が埋める。ただし、この欠陥を埋めた第2樹脂層130の一部を介して水分、酸素等が浸入する場合がある。これに対して本図に示す例では、第2樹脂層130の上に第2無機層122を形成しているので、このような水分や酸素等の浸入を防ぐことができる。また、第2無機層122の上に第3樹脂層140を形成することで、後述する下部電極をより平坦に形成できる。この場合、リーク等の発生を抑止することができる。
【0028】
次いで、図3に示すように、基板100を支持基板400の上に位置させた状態で、基板100の上に発光部200の第1電極、有機層、及び第2電極を、この順に形成する。次いで、接着層310を用いて、基板100に封止部材300を固定する。その後、基板100、発光部200、及び封止部材300を支持基板400から取り外す。
【0029】
上記した発光装置10の形成工程において、基板100は加熱される。このため、基板100には熱応力が発生する。この熱応力は前述した第1樹脂層110、第2樹脂層130、第3樹脂層140の他に、第1無機層120、第2無機層122に起因する。たとえば、第1樹脂層110、第2樹脂層130に生じる熱変形の大きさは、第1無機層120、第2無機層122に生じる熱変形の大きさより大きい。
【0030】
なお、複数の発光装置10を一つの支持基板400を用いて形成し、その後、複数の発光装置10を互いに分離しても良い。この分離工程は、基板100、発光部200、及び封止部材300を支持基板400から取り外す前に行われても良いし、取り外した後に行われても良い。後者の場合、支持基板400を再利用しても良い。
【0031】
以上、本実施形態によれば、基板100は、第1樹脂層110と第2樹脂層130の間に第1無機層120を有している。第1無機層120を構成する材料のヤング率は第1樹脂層110及び第2樹脂層130を構成する材料のヤング率よりも高い。このため、基板100を支持基板400から取り外しても、基板100が熱応力によって反ることを抑制できる。また、第1樹脂層110と第2樹脂層130は同一の樹脂材料(第1樹脂材料)によって形成されているため、これらが互いに異なる樹脂材料で形成されている場合と比較して、基板100が反ることを抑制できる。さらに、第2無機層122が形成されると、基板100の両面にヤング率の高い無機層が配置されることとなり、さらに基板のそりを抑制することができる。
【0032】
特に本実施形態では、基板100は第3樹脂層140を有している。第3樹脂層140は第1樹脂層110及び第2樹脂層130と異なる材料によって形成されているため、基板100には特に熱応力が発生しやすい。これに対して、上記したように基板100は第1無機層120を有しているため、基板100が熱応力によって反ることを抑制できる。
【0033】
また、支持基板400と第1無機層120の間には第1樹脂層110が設けられている。このため、支持基板400と第1無機層120とが接している場合と比較して、支持基板400から基板100を剥がしやすい。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
図4は、実施例1に係る発光装置10の構成を示す断面図である。本実施例に係る発光装置10は、基板100の構成を除いて実施形態に係る発光装置10と同様の構成である。
【0035】
本実施例において基板100は、第3樹脂層140の上に第3無機層124を有している。このため本実施例では、基板100の第1面は第3無機層124によって構成されている。第3無機層124は、第1無機層120と同様の材料によって形成されており、第1無機層120と同様の方法を用いて形成されている。
【0036】
本実施例によっても、基板100は第1無機層120を有しているため、基板100が熱応力によって反ることを抑制できる。また、第3無機層124を有しているため、基板100が熱応力によって反ることをさらに抑制でき、かつ、基板100の厚さ方向に水分などが透過することをさらに抑制できる。
【0037】
(実施例2)
図5は、実施例2に係る発光装置10の構成を示す断面図である。本実施例に係る発光装置10は、封止部材300の代わりに封止膜302(封止部)を有している点を除いて、実施形態又は実施例1に係る発光装置10と同様の構成である。図5は、実施例1と同様の場合を示している。
【0038】
封止膜302は、例えば酸化アルミニウム膜であり、例えばALD(Atomic Layer Deposition)法を用いて形成されている。なお、封止膜302の材料には、例えば酸化チタン、酸化シリコン、酸窒化シリコン、あるいはそれらの積層体を用いることもできる。封止膜302の膜厚は、例えば10nm以上2μm以下である。封止膜302は、発光部200、及び基板100のうち少なくとも発光部200の周囲に位置する部分を被覆している。なお、封止膜302は、ALD法以外の成膜法、例えばCVD法を用いて形成されても良い。封止膜302は、発光部200が形成された後、基板100から支持基板400が取り外される前に形成される。封止膜302が形成された基板100は、封止膜302が形成されていない基板100に対して、ヤング率が大きい。
【0039】
本実施例によっても、基板100は第1無機層120、封止膜302を有しているため、基板100が熱応力によって反ることを抑制できる。
【0040】
(実施例3)
図6は、実施例3に係る発光装置10の構成を示す断面図である。本実施例に係る発光装置10は、第1樹脂層110に複数の粒子112が導入されている点を除いて、実施形態又は実施例1,2のいずれかと同様の構成である。本図は、実施例1と同様の場合を示している。
【0041】
粒子112は、光を散乱して基板100からの光取り出し効率を高めるために、第1樹脂層110に導入されている。粒子112は、例えば酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、又は酸化ケイ素などの無機酸化物によって形成されており、その平均粒径は例えば20nm以上2μm以下である。粒子112を構成する材料の屈折率は高いほうが望ましい。第1樹脂層110における粒子112の含有量を調節することで、第1樹脂層110におけるHaze値を90%程度にすることができる。粒子112は、第1樹脂層110及び第2樹脂層130となる塗布材料に、予め混ぜられている。
【0042】
なお、第1樹脂層110と第1無機層120の間に、平坦化用の樹脂層を設けても良い。この樹脂層は、例えば第3樹脂層140と同様の材料を用いて形成される。
【0043】
本実施例によっても、基板100は第1無機層120を有しているため、基板100が熱応力によって反ることを抑制できる。また、第1樹脂層110には複数の粒子112が導入されているため、第1樹脂層110に光取出フィルムを貼り付けなくても、発光装置10の光取出効率を高めることができる。また、第1樹脂層110が複数の粒子112を備えるため、ヤング率が比較的大きくなる。このため、基板100のヤング率は、複数の粒子112を備えない場合と比較して大きい。
【0044】
また、一部の粒子112は支持基板400と接するため、第1樹脂層110と支持基板400の密着力が弱まる。従って、基板100を支持基板400から取り外しやすくなる。また、粒子112を導入することによって第1樹脂層110の熱膨張係数は小さくなる。従って、基板100に反りは発生しにくくなる。
【0045】
(実施例4)
図7は、実施例4に係る発光装置10の製造方法を説明するための断面図であり、実施形態における図3に対応している。本実施例に係る発光装置10の製造方法は、支持基板400のうち基板100を形成する面に微細な凹凸が形成されている点を除いて、実施形態又は実施例1〜3のいずれかに係る発光装置10の製造方法と同様の構成である。そして、基板100の第1樹脂層110の第2面(光取り出し面)には微細な凹凸が形成される。この凹凸の高低差は、例えば50nm以上5μm以下であり、また隣り合う凸部の間隔は、例えば100nm以上200μm以下である。
【0046】
本実施例によっても、基板100は第1無機層120を有しているため、基板100が熱応力によって反ることを抑制できる。また、基板100の第1樹脂層110の第2面(光取り出し面)には微細な凹凸が形成されているため、第1樹脂層110に光取出フィルムを貼り付けなくても、発光装置10の光取出効率を高めることができる。
【0047】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7