特許第6746765号(P6746765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6746765
(24)【登録日】2020年8月7日
(45)【発行日】2020年8月26日
(54)【発明の名称】パウチ容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20200817BHJP
   B65D 33/38 20060101ALI20200817BHJP
   B65D 75/58 20060101ALI20200817BHJP
【FI】
   B65D33/00 Z
   B65D33/38
   B65D75/58
【請求項の数】1
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-153289(P2019-153289)
(22)【出願日】2019年8月23日
【審査請求日】2019年8月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519308260
【氏名又は名称】萩原 俊也
(74)【代理人】
【識別番号】100150142
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 礼路
(72)【発明者】
【氏名】萩原 俊也
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4313660(JP,B2)
【文献】 特開2005−239237(JP,A)
【文献】 特開2016−088552(JP,A)
【文献】 特開2005−088926(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0305627(US,A1)
【文献】 特開2011−006116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/00
B65D 33/38
B65D 75/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウチ容器であって、
前後一対の側面部と、
前記一対の側面部の両側縁部の間に設けられた一対のガゼット部であって、横部開放型のガゼット部と
前記一対の側面部の上端部に形成された流出口と
前記流出口の近傍から前記側面部の底部まで延びる一対の可撓性のガイドポールであって、該ガイドポールの上端は、前記側面部の上端近傍で流出口に向かって折り曲げられており、該ガイドポールは、前記一対の側面部の両側縁部の間に設けられた一対のガゼット部の内容物と接する面に備えられ、かつ該ガイドポールは、弾性を有する材質であり、前記容器に内容物を充填すると、内容物にはパウチ容器外に押し出されようとする圧力が加わる、ガイドポールと、
を備えた、パウチ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清涼飲料水やゼリー飲料等を収容するためのパウチ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、清涼飲料水等の液体飲料やゼリー飲料を収容する容器として、プラスチックフィルム等の柔軟性を有するフィルムの周囲をシールして袋状に形成したパウチ容器が知られている。このようなパウチ容器として、側面もしくは底面またはその両方にガゼット(ガセット)と呼ばれる折り込み部を有するガゼット袋が知られている。ガゼット袋には、内容物を取り出すための流出口として、たとえばスパウト等が取り付けられており、ガゼット袋を傾けたり、スパウトから吸飲したりすることにより、ガゼット袋内の内容物をスパウトから取り出すことができる。
【0003】
このようなパウチ容器の例として、特許文献1には、積層フィルムの周囲をシールしてなる自立可能なパウチ本体と、該パウチ本体の周囲の一側部に接合される、熱可塑性樹脂からなる充填口部材とを有する、パウチ容器が開示されている。特許文献1に記載のパウチ容器は、パウチ本体の両面部、或いは、一方の面部に、胴部保型部材が形成されていることを特徴とする。
【0004】
特許文献2には、表裏一対の外装シートの上縁同士及び両側縁同士がヒートシールされた上縁シール部及び側縁シール部を有するパウチと、パウチを形成している表裏一対の外装シートの上縁に挟み込まれた状態で、外装シートの上縁にヒートシールされるスパウトとを備えたスパウト付きパウチ容器が開示されている。特許文献2に記載のスパウト付きパウチ容器には、パウチ内におけるスパウトの流入口付近に、表裏一対の外装シートをヒートシールすることで、液体内容物をスパウトの流入口に案内する一対のガイドシール部が設けられている。一対のガイドシール部は、下方側に向かって両者の間隔が広がっており、それぞれのガイドシール部は、上縁シール部及び側縁シール部に繋がっていないことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−076793号公報
【特許文献2】特開2012−201385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような従来のパウチ容器は、スパウトから吸飲したりパウチ容器を傾けたりして内容物を取り出しても、内容物の一部がパウチ容器内に残留してしまうという問題がある。ほとんど全ての内容物取り出すためには、非常に強く吸飲したり、側面を指で強く圧迫したりしなければならない。特に、内容物が高粘度の液体やゲル状物質である場合には、内容物の多くが容器内に残留してしまうという問題がある。
【0007】
そこで、本発明のは、強い力を加えることなく内容物を容易に取り出すことができるパウチ容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために以下のように鋭意検討を行った。本発明者らは、側面または底面にガゼット部を有するパウチ容器内の両側縁部に、スパウトの近傍から底部まで延びる一対の可撓性のガイドポールを設けることを見出した。これらのガイドポールによって、容器内の内容物を容器外に押し出そうとする圧力が加わることを見出した。また、内容物を取り出す際には、内容物がガイドポールに沿って流出口に向かって流れやすくなることを見出した。
【0009】
本発明は、前後一対の側面部と、一対の側面部の両側縁部の間に設けられた一対のガゼット部または一対の側面部の底部の間に設けられたガゼット部とを備えたパウチ容器であって、一対の側面部の上端部に流出口が形成され、一対の側面部の両側縁部、または一対の側面部の両側縁部の間に設けられた一対のガゼット部の内側に、流出口の近傍から側面部の底部まで延びる一対の可撓性のガイドポールを備えた、パウチ容器を提供する。
【0010】
また本発明は、上記パウチ容器において、上記ガイドポールの上端が、側面部の上端近傍で流出口に向かって折り曲げられたパウチ容器を提供する。
【0011】
また本発明は、上記パウチ容器において、上記ガイドポールの下端が、側面部の底部近傍で内側に折り曲げられているパウチ容器を提供する。
【0012】
また本発明は、上記パウチ容器において、上記一対のガイドポールが、側面部の底部に沿ってつながった一本の棒状の部材からなるパウチ容器を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のパウチ容器であれば、パウチ容器の流出口から通常の吸飲力で吸飲したり、パウチ容器を傾けたりすることにより、流出口から容易に内容物を取り出すことができる。本発明のパウチ容器は、内容物が高粘度の液体やゲル状物質であっても、容易に取り出すことができる。したがって、本発明のパウチ容器は、たとえば運転中や運動中など、すばやく飲料を摂取したい場合に有用である。また、本発明のパウチ容器であれば、吸飲力が弱い病人や幼児にとっても、内容物を容易に吸飲することができるため有用である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態である横部開放型のパウチ容器を示す図。
図2】本発明の一実施形態である底部開放型のパウチ容器を示す図。
図3】横部開放型のパウチ容器の別の例を示す図。
図4】横部開放型のパウチ容器の別の例を示す図。
図5】横部開放型のパウチ容器の別の例を示す図。
図6】底部開放型のパウチ容器の別の例を示す図。
図7】底部開放型のパウチ容器の別の例を示す図。
図8】横部開放型のパウチ容器の内容物を含む例を示す図。
図9】横部開放型のパウチ容器の内容物を含む例を示す上面図。
図10】横部開放型のパウチ容器の内容物を吸引する装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のパウチ容器は、流動性を有する物質および容易に流動性を獲得し得る物質を収容するためのパウチ容器を提供する。
【0016】
本発明のパウチ容器は、前後一対の側面部と、一対の側面部の両側縁部の間に設けられた一対のガゼット部または一対の側面部の底部の間に設けられたガゼット部とを備える。側面部とガゼット部とは、周囲をヒートシール等でシールされることなどにより、袋状に形成される。
【0017】
パウチ本体の側面およびガゼット部の材質には、たとえばポリエチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルムおよびポリプロピレンフィルムなどのプラスチックフィルム、アルミニウムならびにナイロンなどを好適に用いることができる。
【0018】
一対の側面部の上端部には、内容物を容器外に流出させるための流出口が形成される。流出口は、側面部の上端のいずれの位置に形成されてもよく、たとえば側面部の上端の中央、中央からずれた位置または端などであってもよい。
【0019】
本発明のパウチ容器には、一対の側面部の両側縁部または一対の側面部の両側縁部の間に設けられた一対のガゼット部の内側に、流出口の近傍から側面部の底部まで延びる一対の可撓性のガイドポールを備える。ガイドポールを備えることによって、パウチ容器の内容物を取り出す際に、強い力を加えなくても容易に流出させることが可能となる。
【0020】
ガイドポールは、側面部の側縁部またはガゼット部の内側、すなわち内容物と接する面に接着されてもよい。また、ガイドポールは、側面部の側縁部またはガゼット部の外側、すなわち内容物と接しない面に接着されてもよい。ガイドポールの上端は、側面部の上端近傍で流出口に向かって折り曲げられていてもよく、ガイドポールの下端は、側面部の底部近傍で内側に折り曲げられていてもよい。すなわち、一方のガイドポールの上端もしくは下端またはその両方が、他方のガイドポールの方向に折り曲がっていてもよい。ガイドポールの上端または下端が折り曲がっている場合、その角度は特に限定されないが、鈍角であってもよいし、略90度であってもよい。ガイドポールの上端は、流出口の近傍に接着されてもよい。
【0021】
側面部の両側縁部のそれぞれに設けられたガイドポールは、側面部の底部に沿ってつながった一本の棒状の部材からなってもよい。すなわち、ガイドポールは、流出口の近傍から一方の側縁部に沿って底部に延び、そこで略90度折れ曲がって底面に沿って他方の側縁部の底部まで延び、さらに略90度折れ曲がって他方の側縁部に沿って流出口の反対側の近傍まで延びる、ひとつながりの部材であってもよい。
【0022】
ガイドポールは、当業者に公知の任意の方法で側面部またはガゼット部に取り付けることができる。たとえば、ガイドポールを熱で溶解して、側面部またはガゼット部に接着することができる。ガイドポールは、弾性を有する任意の材質であることができる。たとえば、ガイドポールは、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステルおよびポリプロピレンなどのプラスチック、アルミニウムならびにナイロンなどを好適に用いることができる。また、ガイドポールは、任意の形状であることができ、たとえば円、四角および三角などの任意の断面形状のポールであることができる。また、ガイドポールは、任意のサイズであることができる。たとえば、ガイドポールは、図1に示すように、パウチ本体の内部に収まるサイズであることができる。また、ガイドポールは、パウチ本体の内径よりも大きくすることができる。たとえば、ガイドポールは、図4に示すように、ガゼット部の折り畳み箇所を超えたサイズにすることができる。ガイドポールをこのようなサイズにすることにより、図9に示すようにガイドポールによってガゼット部を押し広げることができる。
【0023】
ここで、本発明のパウチ容器の一例として、横部開放型のパウチ容器1を図1に示す。
【0024】
図1に示すパウチ容器1は、前後一対の側面部11、12と、側面部11、12の両側縁部に設けられた一対のガゼット部13、14とにより構成されるパウチ本体10を備える。ガゼット部13、14は、側面部11、12の間に折り込まれるように構成される。図1では、ポリエチレンフィルムからなる側面部11、12の間にさらに1枚のポリエチレンフィルムを折り畳んで重ね合わせることによってガゼット部13、14を形成している。ポリエチレンフィルムを中心線に沿って折りたたんでおき、両側面部の間に挟み込んで各側縁部を接着することによって各ガゼット部を形成する。パウチ本体10は、当業者に公知の任意の手段によって側面部11、12およびガゼット部13、14の周囲を接着することによって形成される。たとえば、パウチ本体10は、側面部11、12およびガゼット部13、14の周囲をヒートシール等によりシールすることにより袋状に形成される。
【0025】
パウチ本体10の上端部には、流出口15が形成されている。流出口15は、たとえばスクリューキャップ等により開閉可能なスパウト等であってもよい。スパウトは、パウチ本体10の上端部において、一対の側面部11、12の間に挟み込まれるように構成することができる。また、流出口15には、スパウトに限らず、種々の形態の注出部材を用いることができる。また、流出口15は、側面部11、12をノズル形状に成形したものであってもよい。スパウトなどの流出口15を備えるパウチ本体10は、当業者に公知の任意の方法で製造することができる。
【0026】
パウチ本体10の内部には、ガゼット部13、14の内側に、流出口15の近傍から底部まで延びる一対のガイドポール16、17を備える。ガイドポール16、17は、それぞれガゼット部13、14の内側、すなわち内容物と接する面に接着される。ガイドポール16、17の上端および下端は、他方のガイドポールの方向に鈍角に折れ曲がっている。ガイドポール16、17の上端は、流出口15の近傍に接着される。ガイドポールは、当業者に公知の接着方法によって接着することができ、たとえば接着箇所を加熱溶解してガゼット部に接着される。
【0027】
横部開放型のパウチ容器の別の例を、図3〜5に示す。図3に示すパウチ容器3は、両側縁部にガゼット部33、34を備えるパウチ本体30の内部に、ガゼット部33、34の内側に接着されたガイドポール31、32を備えている。ガイドポール31、32の上端および下端は、他方のガイドポールの方向に鈍角に折れ曲がっている。
【0028】
図4に示すパウチ容器4は、両側縁部にガゼット部43、44を備えるパウチ本体40の内部にガイドポール41、42を備える。ガイドポール41、42は、流出口45の下端に接着される。ガイドポール41、42の上端および下端は、他方のガイドポールの方向に略90度折れ曲がっている。ガイドポール41、42の上端は、側縁部45、46の上端に沿って流出口45の近傍まで延び、流出口45の近傍に接着される。図4において、ガイドポール41、42の上端の黒色箇所は、流出口45の下端との接着箇所である。
【0029】
図5に示すパウチ容器5は、両側縁部にガゼット部53、54を備えるパウチ本体50の内部に一本の棒状の部材からなるガイドポール51を備える。ガイドポール51は、側面部56、57の両側縁部の内側に沿って伸張し、かつ側面部56、57の底部に沿ってパウチ容器5の内部を一周するように形成される。すなわち、ガイドポール51は、その一端が流出口55の近傍に接着され、その接着部位からパウチ本体10の上端に沿って一方の側縁部の上端へ、略90度折れ曲がって側縁部に沿って底部へ、略90度折れ曲がって底面に沿って他方の側縁部の底部へ、略90度折れ曲がって他方の側縁部に沿って側縁部の上端へ、さらに略90度折れ曲がってパウチ本体50の上端に沿って流出口55の反対側の近傍へ延びており、ガイドポール51の他端が流出口55の反対側の近傍に接着される。図5において、ガイドポール51の上端の黒色箇所は、流出口55の下端との接着箇所である。
【0030】
本発明のパウチ容器の他の例として、底部開放型のパウチ容器2を図2に示す。
【0031】
図2に示すパウチ容器2は、前後一対の側面部21、22と、側面部21、22の底部の間に設けられたガゼット部23とにより構成されるパウチ本体20を備える。ガゼット部23は、側面部21、22の間に折り込まれるように構成される。パウチ本体20は、側面部21、22およびガゼット部23の周囲をヒートシール等によりシールすることにより袋状に形成される。
【0032】
パウチ本体20の上端部には、流出口24が形成される。流出口24は、上述した流出口15と同様に構成することができる。
【0033】
パウチ本体20の内部には、側面部21、22の両側縁部の内側に、流出口24の近傍から底部まで延びる一対のガイドポール25、26が設けられる。ガイドポール25、26は、それぞれ側面部21、22の両側縁部の内側に沿ってパウチ容器5の下方まで伸張する。ガイドポール25、26の上端は、他方のガイドポールの方向に略90度折り曲がり、側縁部21、22の上端に沿って流出口24の近傍まで延び、流出口24の近傍に接着される。ガイドポール25、26の下端は、他方のガイドポールの方向に湾曲して折り曲げられる。図2において、ガイドポール25、26の上端の黒色箇所は、流出口24の下端との接着箇所である。
【0034】
底部開放型のパウチ容器の別の例を、図6および図7に示す。図6に示すパウチ容器6は、底部にガゼット部63を有するパウチ本体60の内部にガイドポール61、62を備える。ガイドポール61、62は、側面部65、66の両側縁部67、68の内側に沿ってパウチ本体60の下方に伸張する。ガイドポール61、62の上端および下端は、他方のガイドポールの方向に略90度折れ曲がっている。ガイドポール61、62の上端は、側縁部67、68の上端に沿って流出口64の近傍まで延び、流出口64の近傍に接着される。図6において、ガイドポール61、62の上端の黒色箇所は、流出口64の下端との接着箇所である。
【0035】
図7に示すパウチ容器7は、底部にガゼット部77を有するパウチ本体70の内部に一本の棒状の部材からなるガイドポール71を備える。ガイドポール71は、側面部72、73の両側縁部75、76の内側に沿って伸張し、かつ側面部72、73の底部に沿ってパウチ本体70の内部を一周するように形成される。すなわち、ガイドポール71は、その一端が流出口74の近傍に接着され、その接着部位からパウチ本体70の上端に沿って一方の側縁部の上端へ、略90度折れ曲がって側縁部に沿って底部へ、略90度折れ曲がって底面に沿って他方の側縁部の底部へ、略90度折れ曲がって他方の側縁部に沿って側縁部の上端へ、さらに略90度折れ曲がってパウチ本体20の上端に沿って流出口24の反対側の近傍へ延びており、ガイドポール71の他端が流出口74の反対側の近傍に接着される。図7において、ガイドポール71の上端の2箇所の黒色箇所は、流出口74の下端との接着箇所である。
【0036】
図8および9は、図1に示したパウチ容器1に内容物を充填したときの模式図である。パウチ容器1に内容物を充填すると、両端の各ガゼット部にも内容物が入り込む。また、ガゼット部は、空のときには折りたたまれているが、内容物が充填されると容器の外側に広がる。図1のパウチ容器1では、ガゼット部13,14の折りたたまれた箇所にガイドポール16、17が接着されているため、ガゼット部が広がると共にガイドポールも一緒に広がることとなる。
【0037】
図1のようにガイドポールが左右のガゼット部に設けられている場合、左右のガゼット部に設けられたガイドポールの間の距離(幅)は、特に限定されないが、内容物の粘度等に基づいて適した距離に設定することができる。パウチ容器に内容物を充填すると、ガイドポールが設けられていることによって、内容物にはパウチ容器外に押し出されようとする圧力が加わる。そのため、パウチ容器から内容物を取り出す際、たとえば流出口から吸飲する際には、非常に少ない吸飲力で容易に内容物を吸飲することができる。内容物を流出し始めると、まずパウチ容器の両側縁部にある内容物が流出する。次いで、ガイドポールの力によりパウチ容器が収縮するとともに、パック容器の内面のガイドポールに沿って内容物が流れる流路ができ、内容物が流出口に向かって効率よく流れる。内容物は、パウチ容器の中心部が完全に密着するまで流出される。その結果、パック容器内のほとんどすべての内容物を容易に流出させることができる。
【0038】
図2のようにガイドポールが側面部の両側縁部の内側に設けられている場合、左右のガイドポールの間の距離(幅)は、特に限定されないが、側面部の幅と同じ、あるいはそれより大きく設定することができる。側面部の幅より大きく設定すれば、左右外側に強い圧力が加えられ、パウチ容器全面に張りが生まれるため、内容物に対して、外部に押し出そうとするより強い圧力が加えられる。これにより、内容物が高粘度の液体またはゲル状物などであっても、容易に流出させることが可能になる。また、図1の態様と同様に、ガイドポールの力によりパウチ容器が収縮するとともに、パック容器の内面のガイドポールに沿って内容物が流れる流路ができ、内容物が流出口に向かって効率よく流れる。内容物は、パウチ容器の中心部が完全に密着するまで流出される。その結果、パック容器内のほとんどすべての内容物を容易に流出させることができる。
【0039】
本発明のパウチ容器は、内容物を容易に流出させることができるため、たとえば運転中および運動中などすばやく内容物を摂取したい場合に有用である。また、本発明のパウチ容器であれば、吸飲力が弱い病人や幼児にとっても、内容物を容易に吸飲することができるため有用である。また、本発明のパウチ容器は、流動性の低い内容物であっても、容易に流出させることができるため、容器内に残留する量を少なくすることができる。
【0040】
本発明のパウチ容器に収容される内容物は、流動性を有する物質、および外部からの圧力等によって流動性を獲得し得る物質であればよく、たとえば液状、クリーム状およびゲル状の飲食品、調味料、化粧品および洗剤等であることができる。具体的には、たとえば水、ジュースおよびスポーツドリンク等の各種飲料、アイスクリーム等のクリーム状食品、ゼリーおよび蒟蒻ゼリー等のゲル状食品、スープ等の液状食品、おかゆ等の流動食品、液体調味料、食用油、味噌、基礎化粧品、洗濯洗剤、食器用洗剤、シャンプー、ボディーソープ、ハンドソープならびにその他の各種洗剤等が挙げられる。
【実施例】
【0041】
(比較例1〜4)
従来の市販されているパウチ容器入り飲食品について、吸飲による流出量を試験した。比較例1は横開放型の容器に入ったゼリー飲料、比較例2は横開放型の容器に入ったゼリー飲料、比較例3は横開放型の容器に入ったアイスクリーム、比較例4は底部開放型の容器に入った蒟蒻ゼリーであった。
【0042】
比較例1〜4のパウチ容器入り飲食品を一定の吸飲力にて吸飲し、吸飲後の総重量を測定した。その結果、表1に示すように、容器内に内容物が40〜80%残留する結果となった。
【0043】
また、比較例1〜4について、吸飲に加えて指により加圧した場合の総重量を測定し、さらに容器の重量を引いた内容物の実残量を算出した。
【0044】
表1に示すように、比較例1〜4の容器では、できるだけ多くの内容物を流出させるためには、吸飲だけでなく、指による加圧が必要不可欠であることが分かった
【0045】





【表1】
【0046】
(実施例1〜5)
実施例1〜5として、図3に示すパウチ容器を作製した。パウチ本体にはポリエチレンフィルムを用いた。作製したパウチ容器のサイズ、重量およびガイドポール間の長さを表2に示す。
【0047】
実施例1の容器には粘度の低いゼリー飲料、実施例2の容器には粘度の高いゼリー飲料、実施例3の容器にはアイスクリーム、実施例4の容器には蒟蒻ゼリー、実施例5の容器にはプリンを充填した。これらを比較例1〜4と同様に一定の吸飲力により吸飲し、吸飲後の総重量を測定した。また、容器の重量を引いた内容物の実残量を算出した。
【0048】
その結果、表2に示すように、内容物の粘度に依存せず、吸飲力のみにより容器内の内容物の97〜98%を流出させることができた。特に、粘度の高い内容物を流出させる際には、比較例と比較して非常に弱い力で内容物を流出させることができた。
【0049】
【表2】
【0050】
実施例1の容器には粘度の低いゼリー飲料、実施例2の容器には粘度の高いゼリー飲料、実施例3の容器にはアイスクリーム、実施例4の容器には蒟蒻ゼリー、実施例5の容器にはプリンを充填した。これらを比較例1〜4と同様に一定の吸飲力により吸飲し、吸飲後の総重量を測定した。また、容器の重量を引いた内容物の実残量を算出した。実施例1の容器には粘度の低いゼリー飲料、実施例2の容器には粘度の高いゼリー飲料、実施例3の容器にはアイスクリーム、実施例4の容器には蒟蒻ゼリー、実施例5の容器にはプリンを充填した。
【0051】
その結果、表2に示すように、内容物の粘度に依存せず、吸飲力のみにより容器内の内容物の97〜98%を流出させることができた。特に、粘度の高い内容物を流出させる際には、比較例と比較して非常に弱い力で内容物を流出させることができた
【0052】
(実施例6〜9)
吸引装置を利用して、0.010mPaの吸引力における本発明のパウチ容器の吸飲のしやすさを測定した。図10に示したように、パウチ容器の取り付け口、ホース、溶液回収部、バルブ、吸引ポンプを順に組み立てた吸引装置を使用して、本発明のパウチ容器における各飲食物の吸引しやすさを測定した。パウチ容器の取り付け口にパウチ容器を接続し、ホースを介して溶液回収部につながる。溶液回収部は、バルブを介して接続された吸引ポンプに吸引することにより溶液回収部内が陰圧となるが、吸引ポンプが空気のみを吸引し、液体を吸引させずに底部に液体が貯める。吸引ポンプによる吸引は、0.010mPaの圧力となるようにバルブを調整した。また、各市販の製品のパウチ容器、パウチ容器(ガイドポール無し)および本発明のパウチ容器(ガイド有り)の容器について、同一の内容物を充填した。吸引装置のパウチ容器の取り付け口に、各容器を取り付けて吸引ポンプによって内容物を吸引した。内容物が溶液回収部に吸引されなくなるまで、吸引ポンプによって吸引した。吸引後の残量を測定することにより、吸引されやすさを比較することができる。
【0053】
実施例6〜9として、図3に示すパウチ容器を作製した。パウチ本体にはポリエチレンフィルムを用いた。作製したパウチ容器のサイズは、120×80×50(mm)であり、ガイドポール間(mm)は、36(mm)であり、ガイドポール無し、およびガイドポール有りの容器に各種内容物を記載の総重量となるように充填した。ガイドポールは、前後一対の側面部と一対の側面部の両側縁部の間に設けられた一対のガゼット部に沿ってパウチ容器の内部に上端から下端までの長さで取り付けた。
【0054】
実施例6の容器には粘度の低いゼリー飲料、実施例4の容器には粘度の高いゼリー飲料、実施例8の容器には蒟蒻ゼリー、実施例9の容器にはプリンを充填した。
【0055】
その結果、表3に示すように、いずれの内容物においても本発明のパウチ容器において最も内容物を流出させることができた。本発明のパウチ容器は、ガイドポールを有することにより、内容物の粘度に依存せず、吸飲力のみにより容器内の内容物の90%以上を流出させることができた。特に、粘度の高い内容物を流出させる際には、比較例と比較して0.010mPaという非常に弱い圧力による吸引でも内容物を流出させることができた。
【0056】
【表3】
【0057】
(実施例10)
実施例10として、図3に示すパウチ容器を作製した。パウチ容器の内径サイズは190×110(mm)であり、ガイドポールは、前後一対の側面部と一対の側面部の両側縁部の間に設けられた一対のガゼット部に沿ってパウチ容器の内部に上端から下端までの長さで取り付けた。また、対照として、ガイドポールを取り付けていない同型のパウチ容器を使用した。
【0058】
パウチ容器内に水を充填した。片手をパウチ本体の流出口に添え、もう一方の手でパウチ容器10の下端を支え、パウチ容器を約10度の角度で下に傾けた。ガイドポールを取り付けたパウチ容器は、ほぼすべての水を流出させることができた。一方、ガイドポールを取り付けていない同型のパウチ容器では、残量が40%程度になるとパックが様々に変形し、傾ける角度を変え、かつ指圧を加えないと内容物を放出することができなかった。また、放出される時間もガイドポールを取り付けたパウチ容器と比較して遅かった。
なお、比較例1〜4および実施例1〜9に使用した内容物は、以下のとおりである。
比較例1。実施例1および6 アミノバイタルゼリーパーフェクトエネルギー(味の素株式会社)
比較例2および実施例2および7 WIN エネルギー補給ゼリー(リブ・ラボラトリーズ株式会社)
比較例3および実施例3 クーリッシュ バニラ(株式会社ロッテ)
比較例4および実施例4および8 プルント蒟蒻ゼリースタンディング グレープ(オリヒロ株式会社)
実施例5 および9 森永プリン(森永乳業株式会社)
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、液状、クリーム状およびゲル状の物質を収容するためのパウチ容器に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1〜7・・・パウチ容器
10、20、30、40、50、60、70・・・パウチ本体
11、12、21、22・・・側面部
13、14、23・・・ガゼット部
15、24・・・流出口
16、17、25、26、31、32、41、42、51、61、62、71・・・ガイドポール
【要約】
【課題】 強い力を加えることなく内容物を容易に取り出すことができるパウチ容器を提供する。
【解決手段】 本発明は、前後一対の側面部11、12と、一対の側面部11、12の両側縁部の間に設けられた一対のガゼット部13、14と、を備えたパウチ容器1であって、一対の側面部11、12の上端部に流出口15が形成されており、一対の側面部11、12の両側縁部、または一対の側面部11、12の両側縁部の間に設けられた一対のガゼット部13、14の内側に、流出口15の近傍から側面部11、12の底部まで延びる一対の可撓性のガイドポール16、17が設けられた、パウチ容器1を提供する。
【選択図】 図1
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図10