特許第6746905号(P6746905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6746905ワーク搬送システム、レーザ加工システム、及びワーク搬送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6746905
(24)【登録日】2020年8月11日
(45)【発行日】2020年8月26日
(54)【発明の名称】ワーク搬送システム、レーザ加工システム、及びワーク搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/00 20060101AFI20200817BHJP
   B23Q 41/00 20060101ALI20200817BHJP
   B23K 26/70 20140101ALI20200817BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20200817BHJP
【FI】
   B23Q7/00 H
   B23Q7/00 E
   B23Q41/00 C
   B23K26/70
   B23K26/38
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-247093(P2015-247093)
(22)【出願日】2015年12月18日
(65)【公開番号】特開2017-109284(P2017-109284A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年10月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】堀田 佳男
(72)【発明者】
【氏名】深田 辰五郎
【審査官】 村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−080676(JP,A)
【文献】 特開平05−092291(JP,A)
【文献】 特開2013−184805(JP,A)
【文献】 特開2001−191232(JP,A)
【文献】 実開平01−138543(JP,U)
【文献】 特開2009−101416(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0202531(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/077059(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 7/00
B23Q 41/00
B23K 26/00
B65G 1/00
B65G 60/00
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工パレットと、
前記加工パレットにワークがロードされるロードエリアと、
前記加工パレット上の前記ワークにレーザ加工を施すレーザ加工機から前記加工パレットが搬送され、前記レーザ加工後の前記ワークがアンロードされるアンロードエリアと、
前記ロードエリアと前記レーザ加工機との間で前記加工パレットを入れ替える第1加工パレットチェンジャと、
前記アンロードエリアと前記ロードエリアとの間で前記加工パレットを入れ替える第2加工パレットチェンジャと、を備え、
前記レーザ加工機に第1の前記加工パレットが配置されている間に、前記ロードエリアに第2の前記加工パレットが配置され、かつ前記アンロードエリアに第3の前記加工パレットが配置され、
前記ワークがアンロードされた第3の前記加工パレットは、前記ロードエリアに搬送され、
前記加工パレットは、前記レーザ加工機と前記ロードエリアと前記アンロードエリアとで循環しており、
前記加工パレットの搬送経路の一部が上下にあり、この搬送経路の一部において前記加工パレットが上下方向に搬送され、
前記第1加工パレットチェンジャが前記加工パレットを前記レーザ加工機から受ける際及び前記加工パレットを前記レーザ加工機に渡す際の位置は、前記第2加工パレットチェンジャが前記加工パレットを前記アンロードエリアから受ける際及び前記加工パレットを前記アンロードエリアに渡す際の位置と同じ高さに設定される、ワーク搬送システム。
【請求項2】
前記ロードエリアは、前記レーザ加工機と前記アンロードエリアとの間に配置される、請求項1に記載のワーク搬送システム。
【請求項3】
前記第2加工パレットチェンジャは、前記ロードエリアにおいて前記加工パレットを上昇させ、
前記第2加工パレットチェンジャにより上昇した前記加工パレットに対して前記ワークが供給される、請求項1又は請求項2に記載のワーク搬送システム。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のワーク搬送システムと、
前記ワークにレーザ加工を施すレーザ加工機と、を備えるレーザ加工システム。
【請求項5】
ロードエリアにおいて加工パレットにワークをロードすることと、
前記ワークがロードされた前記加工パレットを、前記ワークにレーザ加工を施すレーザ加工機へ搬送することと、
前記レーザ加工後の前記ワークを保持する前記加工パレットを、前記レーザ加工機からアンロードエリアへ搬送することと、
前記アンロードエリアにおいて前記レーザ加工後の前記ワークを前記加工パレットからアンロードすることと、
前記ワークがアンロードされた前記加工パレットを前記ロードエリアに搬送することと、
第1加工パレットチェンジャにより前記ロードエリアと前記レーザ加工機との間で前記加工パレットを入れ替えることと、
第2加工パレットチェンジャにより前記アンロードエリアと前記ロードエリアとの間で前記加工パレットを入れ替えることと、を含み、
前記レーザ加工機に第1の前記加工パレットが配置されている間に、前記ロードエリアに第2の前記加工パレットを配置し、かつ前記アンロードエリアに第3の加工パレットを配置
前記ワークがアンロードされた第3の前記加工パレットは、前記ロードエリアに搬送され、
前記加工パレットは、前記レーザ加工機と前記ロードエリアと前記アンロードエリアとで循環しており、
前記加工パレットの搬送経路の一部が上下にあり、この搬送経路の一部において前記加工パレットが上下方向に搬送され、
前記第1加工パレットチェンジャにより前記加工パレットを前記レーザ加工機から受ける際及び前記加工パレットを前記レーザ加工機に渡す際の位置は、前記第2加工パレットチェンジャにより前記加工パレットを前記アンロードエリアから受ける際及び前記加工パレットを前記アンロードエリアに渡す際の位置と同じ高さに設定される、ワーク搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク搬送システム、レーザ加工システム、及びワーク搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
板状のワークから部品を製造するシステムとして、レーザ加工機などを用いた熱切断加工システムが提案されている(例えば、下記の特許文献1参照)。特許文献1の熱切断システムは、ワーク支持テーブル上のワークから部品を切断加工する熱切断加工機と、切断加工されたワークをワーク支持テーブルから持ち上げるワーク持ち上げ装置と、ワーク持ち上げ装置によって持ち上げられたワークから部品をピックアップして機外に搬出する部品搬出装置とを備える。
【0003】
特許文献1の熱切断加工システムにおいて、加工位置で切断加工されたワークが載置された第1のワーク支持テーブルは、退避位置において、未加工のワークが載置された第2のワーク支持テーブルと交換され、この第2のワーク支持テーブルは、加工位置へ搬送される。第1のワーク支持テーブルは、部品および残材が搬出された後に未加工のワークが載置され、退避位置において、加工後のワークが載置された第2のワーク支持テーブルと交換されて加工位置へ搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2014/077059号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、2つのワーク支持テーブルを交互に用いてワークをレーザ加工機へ搬送する場合、部品および残材の搬出が完了してからワーク支持テーブルへ次のワークを供給するので、次のワークを供給するための待機時間が発生する。例えばファイバーレーザ等を用いたレーザ加工機は処理速度が速いが、ワークを供給するための待機時間によって切断加工が中断し、生産性が低下する。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたものであり、生産性を向上させることが可能なワーク搬送システム、レーザ加工システム、及びワーク搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係るワーク搬送システムは、加工パレットと、加工パレットにワークがロードされるロードエリアと、加工パレット上のワークにレーザ加工を施すレーザ加工機から加工パレットが搬送され、レーザ加工後のワークがアンロードされるアンロードエリアと、ロードエリアとレーザ加工機との間で加工パレットを入れ替える第1加工パレットチェンジャと、アンロードエリアとロードエリアとの間で加工パレットを入れ替える第2加工パレットチェンジャと、を備え、レーザ加工機に第1の加工パレットが配置されている間に、ロードエリアに第2の加工パレットが配置され、かつアンロードエリアに第3の加工パレットが配置され、ワークがアンロードされた第3の加工パレットは、ロードエリアに搬送され、加工パレットは、レーザ加工機とロードエリアとアンロードエリアとで循環しており、加工パレットの搬送経路の一部が上下にあり、この搬送経路の一部において加工パレットが上下方向に搬送され、第1加工パレットチェンジャが加工パレットをレーザ加工機から受ける際及び加工パレットをレーザ加工機に渡す際の位置は、第2加工パレットチェンジャが加工パレットをアンロードエリアから受ける際及び加工パレットをアンロードエリアに渡す際の位置と同じ高さに設定される
【0008】
また、ロードエリアは、レーザ加工機とアンロードエリアとの間に配置されるものでもよい。また、第2加工パレットチェンジャは、ロードエリアにおいて加工パレットを上昇させ、第2加工パレットチェンジャにより上昇した加工パレットに対してワークが供給されるものでもよい
【0009】
本発明の態様に係るレーザ加工システムは、上記のワーク搬送システムと、ワークにレーザ加工を施すレーザ加工機と、を備える。
【0010】
本発明の態様に係るワーク搬送方法は、ロードエリアにおいて加工パレットにワークをロードすることと、ワークがロードされた加工パレットを、ワークにレーザ加工を施すレーザ加工機へ搬送することと、レーザ加工後のワークを保持する加工パレットを、レーザ加工機からアンロードエリアへ搬送することと、アンロードエリアにおいてレーザ加工後のワークを加工パレットからアンロードすることと、ワークがアンロードされた加工パレットをロードエリアに搬送することと、第1加工パレットチェンジャによりロードエリアとレーザ加工機との間で加工パレットを入れ替えることと、第2加工パレットチェンジャによりアンロードエリアとロードエリアとの間で加工パレットを入れ替えることと、を含み、レーザ加工機に第1の前記加工パレットが配置されている間に、ロードエリアに第2の加工パレットを配置し、かつアンロードエリアに第3の加工パレットを配置ワークがアンロードされた第3の加工パレットは、ロードエリアに搬送され、加工パレットは、レーザ加工機とロードエリアとアンロードエリアとで循環しており、加工パレットの搬送経路の一部が上下にあり、この搬送経路の一部において加工パレットが上下方向に搬送され、第1加工パレットチェンジャにより加工パレットをレーザ加工機から受ける際及び加工パレットをレーザ加工機に渡す際の位置は、第2加工パレットチェンジャにより加工パレットをアンロードエリアから受ける際及び加工パレットをアンロードエリアに渡す際の位置と同じ高さに設定される
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、例えばアンロードエリアにおいて第3の加工パレットからワークがアンロードされるのを待たずに、ロードエリアにおいて第2の加工パレットに対して次のワークをロードすることができるので、待機時間を減らすことができ、生産性を向上させることができる。
【0012】
また、ロードエリアは、レーザ加工機とアンロードエリアとの間に配置されるものでは、レーザ加工機に対して、ロードエリアの方がアンロードエリアよりも近いので、次のワークを迅速に供給することができ、生産性を向上させることができる。また、ロードエリアとレーザ加工機との間で加工パレットを入れ替える第1加工パレットチェンジャと、アンロードエリアとロードエリアとの間で加工パレットを入れ替える第2加工パレットチェンジャと、を備えるものでは、ロードエリアと他のエリアとで加工パレットを入れ替えいるので、省スペースにすることができる。また、第2加工パレットチェンジャは、ロードエリアにおいて加工パレットを上昇させ、第2加工パレットチェンジャにより上昇した加工パレットに対してワークが供給されるものでは、加工パレットを入れ替える動作を利用して、加工パレットをワークの供給位置へ移動させることができるので、ワークの供給に要する時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。また、第1加工パレットチェンジャが加工パレットをレーザ加工機から受ける際及び加工パレットをレーザ加工機に渡す際の位置は、第2加工パレットチェンジャが加工パレットをアンロードエリアから受ける際及び加工パレットをアンロードエリアに渡す際の位置と同じ高さに設定されるものでは、加工パレットの入れ替えを円滑に行うことができ、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係るレーザ加工システム、ワーク搬送システムを示す図である。
図2】アンロードエリアを側方から見た図である。
図3】製品ローダの動作を示す図である。
図4】レーザ加工機、ロードエリア、アンロードエリアの動作を示す図である。
図5】第1加工パレットチェンジャの動作を示す図である。
図6】第2加工パレットチェンジャの動作を示す図である。
図7】実施形態に係るワーク搬送方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、鉛直方向をZ方向とし、水平方向をX方向、Y方向とする。また、XYZの各方向において、適宜、矢印と同じ側を+側(例、+X側)と称し、その反対側を−側(例、−X側)と称す。
【0015】
図1は、実施形態に係るレーザ加工システム1およびワーク搬送システム2を示す図である。レーザ加工システム1は、ワーク搬送システム2、レーザ加工機3、及びワーク供給装置4を備える。
【0016】
レーザ加工機3は、ワークWに対してレーザ光を照射して、ワークWに切断加工を施す。レーザ加工機3は、レーザヘッド(図示せず)と、ヘッド駆動部(図示せず)とを有している。レーザヘッドは、下方にレーザ光を射出する。レーザヘッドは、光ファイバ(図示せず)などの光伝送体を介してレーザ光源(図示せず)に接続されている。レーザ光源は、例えばファイバーレーザなどの固体レーザの光源であり、炭酸ガスレーザなどに比べて熱密度の高いレーザ光が得られる。そのため、ファイバーレーザを用いたレーザ加工機3は、高速で切断等を行うことが可能である。
【0017】
ワーク搬送システム2は、複数の加工パレット11と、ロードエリアAR1と、アンロードエリアAR2とを備える。複数の加工パレット11は、それぞれ、ワークWを支持して移動可能である。加工パレット11は、例えば、その上面に鋸歯状の支持プレートが複数配列された構造であり、多数の鋸歯の先でワークWを支持する。以下、複数の加工パレット11のそれぞれを、適宜、第1の加工パレット11A、第2の加工パレット11B、第3の加工パレット11Cと称する。図1において、第1の加工パレット11Aがレーザ加工機3に配置され、第2の加工パレット11BはロードエリアAR1に配置され、第3の加工パレット11CはアンロードエリアAR2に配置されている。
【0018】
ワーク搬送システム2は、レーザ加工機3とロードエリアAR1とアンロードエリアAR2とで、複数の加工パレット11を循環させる。例えば、ワーク搬送システム2は、レーザ加工後のワークWが載置された第1の加工パレット11Aをレーザ加工機3からアンロードエリアAR2へ搬送し、未加工のワークWが載置された第2の加工パレット11Bをレーザ加工機3へ搬送する。また、ワーク搬送システム2は、レーザ加工後のワークWがアンロードされた第3の加工パレット11CをロードエリアAR1に搬送し、次の未加工のワークWがロードされた第3の加工パレット11Cは、レーザ加工機3へ搬送される。以下、ワーク搬送システム2の各部について説明する。
【0019】
ロードエリアAR1は、レーザ加工機3におけるワーク搬入出口(図示せず)に隣接して、配置される。ここでは、レーザ加工機3の+X側にワーク搬入出口が設けられ、ロードエリアAR1、レーザ加工機3に対して+X側に配置される。ロードエリアAR1には、ワーク供給装置4(ワーク貯蔵装置)が設けらえる。ワーク供給装置4は、例えば、貯蔵庫に積み重ねられた複数の未加工のワークから1枚のワークWをパッドで吸着し、このワークWを加工パレット11(図1では第2の加工パレット11B)の上方から下降させて、加工パレット11上にワークWを載置する。
【0020】
なお、ワーク供給装置4の構成は、上記の構成に限定されず、適宜変更可能である。ワーク供給装置4は、ワーク搬送システム2に組み込まれていてもよいし、またレーザ加工システム1の外部の装置(例、工場の設備)でもよい。
【0021】
アンロードエリアAR2は、ロードエリアAR1に隣接して配置される。アンロードエリアAR2には、レーザ加工機3から、加工後のワークWが載置された加工パレット11が搬送される。ロードエリアAR1は、レーザ加工機3とアンロードエリアAR2との間に配置されており、加工パレット11は、レーザ加工機3からロードエリアAR1を中継してアンロードエリアAR2へ搬送される。ここでは、レーザ加工機3、ロードエリアAR1、及びアンロードエリアAR2がX方向に並んで配置されており、ワークWはX方向に平行な搬送経路(後に図5などに示すレール41)に沿って搬送される。
【0022】
アンロードエリアAR2において、レーザ加工後のワークWは、加工パレット11からアンロードされる。レーザ加工後のワークWは、部品、及び部品の周囲の残材(スケルトン)を含み、ワークWから部品および残材がそれぞれ回収されることで、加工パレット11からワークWがアンロードされる。アンロードエリアAR2には、部品を回収(ピックアップ)する製品ローダ15と、残材を回収する回収部(グリッパ16)とが設けられる。
【0023】
製品ローダ15は、レール21と、レール21上を走行可能な走行台車22と、走行台車22に設けられる移載装置23とを備える。レール21は、ワークWの搬送方向(X方向)すなわち加工パレット11の移動方向に対して、交差する方向(例、Y方向)に延びている。走行台車22には、X方向に延びるXガイド24が設けられ、移載装置23はXガイド24に取り付けられる。移載装置23は、例えば、Xガイド24に沿って移動可能なX移動体25と、X移動体25に設けられたZ移動体26と、Z移動体26の下端に設けられる吸着部27とを備える。Z移動体26は、吸着部27を保持しながら、Z移動体26に対して上下方向(Z方向)に移動可能である。吸着部27は、走行台車22によりY方向に移動し、X移動体25によりX方向に移動し、Z移動体26によりZ方向に移動する。
【0024】
吸着部27の下面側(−Z側)には、複数の吸着パッドが設けられる。吸着部27は、例えば真空、減圧により部品を吸着するが、磁気などで吸着するものでもよい。レーザ加工後のワークWが載置された加工パレット11は、例えば、ロードエリアAR1から直線的に搬送され、アンロードエリアAR2において、レーザ加工機3とロードエリアAR1とを結ぶ直線の延長上のアンロード位置Pに配置され、アンロード位置PでワークWが回収される。吸着部27は、X方向およびY方向の移動によりワークW上の部品と位置合わせされ、下方(−Z側)へ移動することによりワークWに接近して、部品を吸着する。吸着部27は、部品を吸着した状態で、上方(+Z側)へ移動して部品を持ち上げ、X方向およびY方向の移動により部品を所定の位置へ回収する。
【0025】
製品ローダ15には、回収された部品を一時保管する保管棚31および保管棚32が併設される。保管棚31、32は、それぞれ、アンロードエリアAR2において加工パレット11が配置される位置に対して、−Y側、+Y側に配置される。レーザ加工後のワークWに複数種類の部品が含まれる場合、例えば、部品は、種類ごとに保管棚31と保管棚32とに分別される。吸着部27は、部品を保持して−Y側に移動し、この部品を保管棚31上の製品パレット33に載置する。また、吸着部27は、他の種類の部品を保持して+Y側に移動し、この部品を保管棚32上の製品パレット34に載置する。製品パレット33、34は、ユーザが部品の搬出に利用する木枠などであり、部品が載置された状態でフォークリフトなどで運び出される。保管棚31、32は、それぞれ、Y方向に移動可能であり、部品を+Y側と−Y側のいずれからでも運び出すことができる。保管棚31、32は、その上面の高さが互いに異なり、例えば双方を−Y側に寄せることで、重ねて配置することもできる。
【0026】
グリッパ16は、例えば、保管棚31に設けられる。グリッパ16は、保管棚31の下面側において、−Y側およびY側(図示せず)のにそれぞれに、X方向に並んで設けられる。グリッパ16は、保管棚31のY方向の移動により、加工パレット11の上方に配置される。グリッパ16は、下方に移動した後にワークWに向かって水平方向に移動し、加工パレット11における鋸歯状の支持プレートの間に入り込み、ワークWのうち残材を把持する。グリッパ16は、残材を把持した状態で上方に移動することにより、残材を回収する。レーザ加工システム1は、例えば、ワークWからグリッパ16により残材を回収した後、加工パレット11上に残っている部品を製品ローダ15により回収する。アンロードエリアAR2の−Y側には、残材を収容する回収ケース35が設けられ、グリッパ16は、保管棚のY方向の移動により回収ケース35の上方に配置され、残材の把持を解除することで、残材を回収ケース35に収納する。
【0027】
図2は、アンロードエリアAR2を側方(−Y側)から見た図である。加工パレット11の搬送に用いられるレール41はX方向に延びており、製品ローダ15のレール21は、Y方向に延びていることから、レール21とレール41とは交差する。本実施形態では、製品ローダ15の−X側のレール21(以下、符号21aで表す)の高さが加工パレット11のレール41の高さよりも上方に設定され、レール21aの土台42にレール41が通る開口部42aが設けられる。加工パレット11は、開口部42aの内側を通って、アンロードエリアAR2に運ばれる。製品ローダ15のレール21のうち、アンロードエリアAR2に対する加工パレット11の搬入側(−X)と反対側のレール21(以下、符号21bで表す)は、レール21aよりも低い位置に配置されている。レール21bの高さは、製品ローダ15の吸着部27が可動範囲の−Z側の端および+X側の端に移動した状態でレール21bと衝突しないように、設定される。可動範囲の−Z側の端は、例えば、加工パレット11上のワークに吸着部27がアクセス可能な位置である。また、可動範囲の+X側の端は、例えば、加工パレット11上のワークの+X側の端に対して、複数の吸着パッド43のうち最も−X側の吸着パッド43aがアクセス可能な位置である。
【0028】
図3は、製品ローダ15の動作を示す図である。製品ローダ15は、吸着部27のうち最も−X側の吸着パッド43aの位置を基準に、位置制御が行われる。−X側のレール21aは、加工パレット11よりも−X側に配置されていることから、図3(A)のように、加工パレット11上のワークWに対して吸着パッド43aがアクセスする場合、吸着部27がレール21aと衝突することはない。このように、吸着パッド43aの位置を基準にすると、吸着部27とレール21aとの衝突が防止される。また、図3(B)のように、ワークWのうち+X側の部品Waに対して吸着パッド43aがアクセスする場合、レール21bはレール21aよりも下方に設けられるので、吸着部27とレール21bとの衝突が防止される。
【0029】
なお、製品ローダ15、グリッパ16の構成は、上述の構成に限定されず、適宜変更可能である。例えば、保管棚31、32の少なくとも一方は、移動しなくてもよいし、設けられなくてもよい。また、例えば、例えば、グリッパ16は、保管棚31以外の場所に設けられてもよい。また、レーザ加工システム1は、ワークWから製品を回収した後に、残材を回収してもよい。
【0030】
図1の説明に戻り、本実施形態では、アンロードエリアAR2からレーザ加工機3へ向かう加工パレット11のレール(搬送経路の往路)と、レーザ加工機3からアンロードエリアAR2へ向かう加工パレット11のレール(搬送経路の復路)とで少なくとも一部を共用とすることで、構成をシンプルにしている。ロードエリアAR1には、搬送経路から加工パレット11を退避させる退避装置(後に図5図6で説明する昇降機53)が設けられ、例えば、レーザ加工機3からアンロードエリアAR2へ向かう第1の加工パレット11Aを搬送経路から退避させて、第2の加工パレット11Bをレーザ加工機3へ搬送した後、第1の加工パレット11AをアンロードエリアAR2に搬送する。以下、図4を参照しつつレーザ加工機3、ロードエリアAR1、アンロードエリアAR2における各装置の動作を説明した後、図5および図6を参照しつつ、上記の昇降機53を含む加工パレットチェンジャについて説明する。
【0031】
図4は、レーザ加工機3、ロードエリアAR1、アンロードエリアAR2における各装置の動作を示す図である。図4(A)に示すように、第1の加工パレット11Aがレーザ加工機3に配置されている間に、第2の加工パレット11BはロードエリアAR1に配置され、かつ第3の加工パレット11CはアンロードエリアAR2に配置される。図4(B)に示すように、レーザ加工機3は、第1の加工パレット11A上のワークWにレーザ加工を施す。また、ロードエリアAR1において、ワーク供給装置4は、第2の加工パレット11B上に未加工のワークWを載置(供給)する。また、アンロードエリアAR2において、グリッパ16(図1参照)および製品ローダ(図1参照)は、第3の加工パレット11C上からワークWをアンロードする。例えば、図4(B)に示すようにワークWのうち残材Wbがグリッパ16により回収され、次いで、図4(C)に示すようにワークWのうち部品Waが製品ローダ15により回収される。
【0032】
図5は、第1加工パレットチェンジャ51、及びその動作を示す図である。第1加工パレットチェンジャ51は、搬送装置52および昇降機53を備える。搬送装置52は、レーザ加工機3とロードエリアAR1との間で、加工パレット11を搬送可能である。例えば、搬送装置52は、加工パレット11をガイドするレール41、加工パレット11を牽引するフックおよびワイヤを備える。加工パレット11の搬送経路は、レール41により規定される。加工パレット11は、レール41上を滑り移動可能に設けられ、搬送装置52は、ワイヤと接続されたフックを加工パレット11に掛け、ワイヤにより加工パレット11を牽引することによって、加工パレット11を移動させる。なお、搬送装置52の構成は適宜変更可能であり、例えば、加工パレット11が自走式でもよく、この場合、搬送装置52は、加工パレット11の移動経路を定めるレール41などを含む。
【0033】
昇降機53は、ロードエリアAR1において、加工パレット11を昇降させる。昇降機53は、加工パレット11を支持する支持棚54および支持棚55を備える。支持棚54は、支持棚55の上方に配置されている。支持棚54および支持棚55は、例えば、上下方向に互いに連動して移動可能である。昇降機53は、駆動部(図示せず)により、支持棚54および支持棚55を上下方向に駆動する。なお、昇降機53は、支持棚54および支持棚55を互いに独立して昇降させるものでもよい。
【0034】
第1加工パレットチェンジャ51の動作前における加工パレット11は、図4(C)のように配置されている。図5(A)において、搬送装置52は、第1の加工パレット11Aをレーザ加工機3からロードエリアAR1へ搬送する。支持棚55は、加工パレット11をレーザ加工機3から搬送される際と同じ高さに保持するように、配置されている。図5(B)において、昇降機53は、支持棚54が支持棚55の高さまで下降させる。すなわち、昇降機53が支持棚54および支持棚55を下降させる高さは、支持棚55の上面から支持棚54の上面までの高さとほぼ同じである。図5(C)において、搬送装置52は、支持棚54上の第2の加工パレット11BをロードエリアAR1からレーザ加工機3へ搬送する。このように、第1加工パレットチェンジャ51は、レーザ加工機3から第1の加工パレット11Aを受ける際の第1の加工パレット11Aの高さと、レーザ加工機3へ第2の加工パレット11Bを渡す際の第2の加工パレット11Bの高さとをほぼ同じにする。
【0035】
図6は、第2加工パレットチェンジャ56、及びその動作を示す図である。第2加工パレットチェンジャ56は、搬送装置57および昇降機53を備える。搬送装置57は、ロードエリアAR1とアンロードエリアAR2との間で、加工パレット11を搬送可能である。搬送装置57は、例えば、搬送装置52と同様の構成である。昇降機53は、ロードエリアAR1において、加工パレット11を昇降させる。昇降機53は、第1加工パレットチェンジャ51で共用であるが、第1加工パレットチェンジャ51と別に設けられてもよい。
【0036】
第2加工パレットチェンジャ56の動作前における加工パレット11は、図5(C)のように配置されている。図6(A)において、搬送装置57は、第3の加工パレット11CをアンロードエリアAR2からロードエリアAR1へ搬送する。搬送装置57は、例えば、図5(C)において搬送装置52が第2の加工パレット11Bをレーザ加工機3へ搬送するのと並行して、第3の加工パレット11CをロードエリアAR1へ搬送する。
【0037】
図6(A)において、支持棚54は、加工パレット11をアンロードエリアAR2から搬送される際と同じ高さに保持するように、配置されている。図6(B)において、昇降機53は、支持棚55が支持棚54の高さまで上昇させる。すなわち、昇降機53が支持棚54および支持棚55を上昇させる高さは、支持棚55の上面から支持棚54の上面までの高さとほぼ同じである。図6(C)において、搬送装置52は、支持棚54上の第1の加工パレット11AをロードエリアAR1からアンロードエリアAR2へ搬送する。このように、第2加工パレットチェンジャ56は、アンロードエリアAR2から第3の加工パレット11Cを受ける際の第3の加工パレット11Cの高さと、アンロードエリアAR2へ第1の加工パレット11Aを渡す際の第1の加工パレット11Aの高さとをほぼ同じにする。
【0038】
図5および図6に示したように、加工パレット11は、位置が入れ替えられ、図4(A)と同様に、レーザ加工機3とロードエリアAR1とアンロードエリアとにそれぞれ配置される。これにより、レーザ加工機3によるレーザ加工、ワーク供給装置4によるワークWの供給、及び製品ローダ15およびグリッパ16によるワークWのアンロードを並行して行うことができ、生産性が高くなる。
【0039】
次に、上述のレーザ加工システムの動作に基づき、実施形態に係るワーク搬送方法について説明する。図7は、実施形態に係るワーク搬送方法を示すフローチャートである。ここでは、実施形態に書か〜るワーク搬送方法を適用したレーザ加工方法を例に説明する。ワーク搬送システム2は、ステップS1において第1の加工パレット11Aをレーザ加工機3に配置(図4(A)参照)し、ステップS2において第2の加工パレット11BをロードエリアAR1に配置し、ステップS3において第3の加工パレット11CをアンロードエリアAR2に配置する。
【0040】
ステップS4において、レーザ加工機3は、第1の加工パレット11A上のワークWにレーザ加工を施す(図4(B)参照)。また、ステップS5において、ワーク供給装置4は、ロードエリアAR1の第2の加工パレット11BにワークWをロードする(図4(B)参照)。また、ステップS6において、製品ローダ15およびグリッパ16は、アンロードエリアAR2の第3の加工パレット11C上のレーザ加工後のワークWをアンロードする(図4(B)、(C)参照)。
【0041】
以下のステップS7からステップS12までの処理が実施形態に係るワーク搬送方法に相当する。ステップS7において、第1加工パレットチェンジャ51の搬送装置52は、レーザ加工後のワークWが載置された第1の加工パレット11Aを、レーザ加工機3からロードエリアAR1へ搬送する(図5(A)参照)。レーザ加工機3によるレーザ加工が終了する際に、ロードエリアAR1の支持棚55(図4(C)参照)は空きになっており、ワーク搬送システム2は、支持棚55に第1の加工パレット11Aを配置する。ステップS8において、昇降機53は、支持棚54および支持棚55を下降させる(図5(B)参照)。これにより、支持棚54上の第2の加工パレット11Bは、搬送経路(レール41)上に配置され、支持棚55上の第1の加工パレット11Aは、搬送経路から退避する。
【0042】
ステップS9において、第1加工パレットチェンジャ51の搬送装置52は、第2の加工パレット11Bをレーザ加工機3へ搬送する(図5(C)参照)。第1加工パレットチェンジャ51は、ステップS7からステップS9まで処理により、レーザ加工機3とロードエリアAR1とで加工パレット11を入れ替える。なお、ステップS9の処理によって、未加工のワークWが載置された加工パレット11がレーザ加工機3に配置された状態となり、レーザ加工機3がステップS1と同等の状態になる。
【0043】
ステップS10において、第2加工パレットチェンジャ56の搬送装置57は、第3の加工パレット11CをロードエリアAR1へ搬送する(図6(A)参照)。ステップS9の処理により、支持棚54は空になっており、搬送装置57は、第3の加工パレット11Cを支持棚55に配置する。ステップS10の処理の少なくとも一部は、ステップS9の処理と並行して行われてもよいし、ステップS9の処理の終了後に行われてもよい。
【0044】
ステップS11において、昇降機53は、支持棚54および支持棚55を上昇させる(図6(B)参照)。これにより、支持棚54上の第3の加工パレット11Cは、搬送経路(レール41)から退避し、かつワーク供給装置4によるワークWの供給位置に配置される。また、支持棚55上の第1の加工パレット11Aは、搬送経路(レール41)に配置される。なお、ステップS11の処理によって、ワークWが載置されていない加工パレット11がワークWの供給位置に配置された状態となり、ワーク供給装置4がステップS2と同等の状態になる。
【0045】
ステップS12において、搬送装置57は、レーザ加工後のワークWが載置された第1の加工パレット11Aを、ロードエリアAR1からアンロードエリアAR2へ搬送する(図6(C)参照)。これにより、レーザ加工後のワークWが載置された加工パレット11がアンロードエリアAR2に配置された状態となり、アンロードエリアAR2がステップS3と同様の状態になる。
【0046】
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0047】
なお、ワーク搬送システム2が備える加工パレット11の数は、上述の実施形態において3つであるが、4つ以上でもよい。例えば、レーザ加工機3およびアンロードエリアAR2のそれぞれに1つの加工パレットを配置し、ロードエリアAR1に2以上の加工パレット11を配置してもよい。ロードエリアAR1に2以上の加工パレット11を配置する場合、1つの加工パレット11がワークWの供給位置に配置され、他の加工パレット11がワークWの供給位置から退避していてもよい。また、ロードエリアAR1に2以上の加工パレット11を配置する場合、ワークWの供給位置がロードエリアAR1に2か所以上設けられてもよい。また、レーザ加工機3およびロードエリアAR1のそれぞれに1つの加工パレットを配置し、アンロードエリアAR2に2以上の加工パレット11を配置してもよい。この場合、1つの加工パレット11がワークWのアンロード位置に配置され、他の加工パレット11がワークWのアンロード位置から退避していてもよい。また、アンロードエリアAR2に2以上の加工パレット11を配置する場合、ワークWのアンロード位置がアンロードエリアAR2に2か所以上設けられてもよい。
【0048】
なお、上述の実施形態において、昇降機53(退避装置)は、加工パレット11を移動経路の上下方向に退避させるが、退避装置は、加工パレット11を移動経路から水平方向に退避させるものでもよい。また、上述の実施形態において、レーザ加工機3からアンロードエリアAR2へ向かう加工パレット11の移動経路と、アンロードエリアAR2からレーザ加工機3へ向かう加工パレット11の移動経路とで少なくとも一部が共通しているが、これら移動経路は互いに重複なく設定されてもよい。
【0049】
なお、上述の実施形態において、レーザ加工機3、ロードエリアAR1、及びアンロードエリアAR2は、直線的に配列されているが、折れ線状に配置されてもよい。例えば、アンロードエリアAR2は、ロードエリアAR1に対して、−Y側に配置されてもよいし、+Y側に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1・・・レーザ加工システム
2・・・ワーク搬送システム
3・・・レーザ加工機
11・・・加工パレット
11A・・・第1の加工パレット
11B・・・第2の加工パレット
11C・・・第3の加工パレット
51・・・第1加工パレットチェンジャ
56・・・第2加工パレットチェンジャ
AR1・・・ロードエリア
AR2・・・アンロードエリア
W・・・ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7