(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基材の少なくとも一方の面に、プライマー層、トップコート層が順次形成された積層体を形成するためのコート剤セットであって、コート剤セットは、プライマー層を形成するためのコート剤(A)およびトップコート層を形成するためのコート剤(B)からなり、下記(1)および(2)を満足することを特徴とするコート剤セット。
(1)コート剤(A)は、アクリル樹脂構造を有する主鎖およびポリエステル系ウレタン樹脂構造を有する側鎖からなる樹脂(a1)と、(ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート(a2)とを含有し、(a1)/(a2)=60/40〜95/5(質量比)である。
(2)コート剤(B)は、(ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート(b1)と、ポリエーテル系ウレタンアクリレートおよびポリエステル系ウレタンアクリレートからなる群より選ばれるウレタンアクリレート(b2)と、パーフルオロアルキル基およびアルキレンオキシド構造を有する化合物(b3)とを含有し、(b1)/(b2)=60/40〜90/10(質量比)である。
基材の少なくとも一方の面に、プライマー層、トップコート層が順次形成された積層体であって、請求項1〜4いずれかに記載のコート剤セットにより形成されたことを特徴とする積層体。
基材の少なくとも一方の面に、コート剤(A)を印刷してプライマー層を形成し、更にコート剤(B)を印刷してトップコート層を形成した後、エネルギー線を照射する積層体の製造方法であって、下記(1)および(2)を満足することを特徴とする積層体の製造方法。
(1)コート剤(A)は、アクリル樹脂構造を有する主鎖およびポリエステル系ウレタン樹脂構造を有する側鎖からなる樹脂(a1)と、(ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート(a2)とを含有し、(a1)/(a2)=60/40〜95/5(質量比)である。
(2)コート剤(B)は、(ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート(b1)と、ポリエーテル系ウレタンアクリレートおよびポリエステル系ウレタンアクリレートからなる群より選ばれるウレタンアクリレート(b2)と、パーフルオロアルキル基およびアルキレンオキシド構造を有する化合物(b3)とを含有し、(b1)/(b2)=60/40〜90/10(質量比)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの内容に限定されない。
【0017】
本発明の一態様は、基材の少なくとも一方の面に、プライマー層、トップコート層が順次形成され、硬化された積層体を形成するためのコート剤セットであって、コート剤セットは、プライマー層を形成するためのコート剤(A)およびトップコート層を形成するためのコート剤(B)からなり、下記(1)および(2)を満足することを特徴とするコート剤セットである。
(1)コート剤(A)は、アクリル樹脂構造を有する主鎖およびポリエステル系ウレタン樹脂構造を有する側鎖からなる樹脂(a1)と、(ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート(a2)とを含有し、(a1)/(a2)=60/40〜95/5(質量比)である。
(2)コート剤(B)は、(ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート(b1)と、ポリエーテル系ウレタンアクリレートおよびポリエステル系ウレタンアクリレートからなる群より選ばれるウレタンアクリレート(b2)と、パーフルオロアルキル基およびアルキレンオキシド構造を有する化合物(b3)とを含有し、(b1)/(b2)=60/40〜90/10(質量比)である。
【0018】
前記コート剤(A)は、基材の表面にプライマー層を形成させ、基材との接着性を向上させる役割、コート剤(B)は、プライマー層の上にトップコート層を形成させ、積層での凹凸表面加工による装飾効果の役割を担う。この複合層を有する積層体は、前記基材への接着性、層間接着性に優れ、積層での凹凸表面加工による装飾効果に優れる。
【0019】
<コート剤(A)>
コート剤(A)は、アクリル樹脂構造を有する主鎖およびポリエステル系ウレタン樹脂構造を有する側鎖からなる樹脂(a1)と、(ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート(a2)とを含有する。樹脂(a1)は主鎖にアクリル系樹脂構造、側鎖にポリエステル系ウレタン樹脂構造を有する。コート剤(A)中にポリエステル系ウレタン樹脂を側鎖の有するアクリル樹脂を使用することで、基材、およびトップコート層との接着性が大幅に向上する。また、(ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート(a2)は結合数が多く、紫外線等による硬化後のガラス転移温度が極めて高い(200℃〜250℃)ため、強固な塗膜となる。
【0020】
樹脂(a1)と(ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート(a2)との比率は、(a1)/(a2)=60/40〜95/5(質量比)である。(a1)/(a2)比がこのような範囲であると、コート剤(A)を塗布した後、ベタツキやタックが少なく、プライマー層を溶かすことなく、コート剤(B)を容易に重ねて塗布でき、硬化後の積層体の耐摩擦性が向上する。
【0021】
(樹脂(a1))
樹脂(a1)は、主鎖にアクリル樹脂構造、側鎖にポリエステル系ウレタン樹脂構造を有する。樹脂(a1)100重量%中のアクリル樹脂構造とポリエステル系ウレタン樹脂構造の比は、アクリル樹脂構造/ポリエステル系ウレタン樹脂構造=80/20〜50/50(質量比)が好ましい。
アクリル樹脂構造を形成するモノマーとしては、アクリル酸エステル、スチレン系モノマー等が挙げられ、アクリル酸エステルが好ましい。アクリル系樹脂構造のガラス転移温度が、50〜90℃の範囲内であると、コート剤(B)塗布時にプライマー層が溶かされることなく、より良好な凹凸感が得られて好ましい。更に好ましいガラス転移温度の範囲は、65℃〜85℃である。また、前記樹脂(a1)の重量平均分子量としては、印刷適性がより向上するため、1000〜100000の範囲内であることが好ましい。
アクリル樹脂は、ポリエステル系ウレタン樹脂構造を側鎖にグラフトさせるための反応基点として水酸基を有することが好ましく、側鎖に水酸基を有するアクリル樹脂であることが好ましい。側鎖に水酸基を導入する方法としては、水酸基を有するモノマーを他のモノマーと共重合する方法が挙げられる。水酸基を有するモノマーとしては、炭素数2〜10のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0022】
なお、本明細書においてガラス転移温度(以下「Tg」と記載することがある)は、示差走査熱量計(DSC)により測定し、ガラス転移が起こる温度範囲の中点の温度とした。また、重量平均分子量はGPC測定にてポリスチレン換算にて求めた値を示す。
【0023】
本明細書において、(メタ)アクリルとは、メタクリルおよびアクリルを意味する。また、(メタ)アクリレートとは、メタクリレートおよびアクリレートを意味する。
【0024】
アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルなどが挙げられる。更にアルキル基は更にベンゼン環構造を有しても良い。これらの中でも(メタ)アクリル酸ブチルが、ポリエステル基材に対して良好な接着性を得やすいという点から好ましい。これらは、単独または2種以上を併用できる。
【0025】
アクリル酸エステルは、水酸基を有しても良く、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルや、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリル酸エステルなどのグリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシエチルアクリルアミドなどが挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが、水に対する親和性を向上させるため好ましい。これらは、単独または2種以上を併用できる。
【0026】
アクリル酸エステルは、水酸基以外の官能基を有しても良く、官能基のとしては、カルボキシル基、アミド結合基、アミノ基、アルキレンオキサイド基等が挙げられる。
【0027】
カルボキシル基含有アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、p−カルボキシベンジルアクリレート、エチレンオキサイド変性(付加モル数:2〜18)フタル酸アクリレート、フタル酸モノヒドロキシプロピルアクリレート、コハク酸モノヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸β−カルボキシエチル、アクリル酸2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチル、マレイン酸、モノエチルマレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、及びフマル酸などが挙げられる。
【0028】
アクリル酸エステルでアミド結合を含有するものとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、などの(メタ)アクリルアミド系の化合物などが挙げられる。
【0029】
アクリル酸エステルでアミノ基を含有するものは、例えば、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノプロピルなどの(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノエステルなどが挙げられる。
【0030】
アクリル酸エステルは、アルキレンオキサイド単位を有しても良い、例えば、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−フェノキシエチル、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0031】
樹脂(a1)におけるアクリル樹脂の合成方法としては、有機溶剤の存在下でのアニオン重合、リビングアニオン重合、カチオン重合、リビングカチオン重合、ラジカル重合、及びリビングラジカル重合等、公知の方法が使用できる。
【0032】
ラジカル重合法の場合は、重合開始剤を使用するのが好ましい。重合開始剤としては、例えば、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、または2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、またはジアセチルパーオキシド等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で、若しくは2種類以上組み合わせて用いることができる。反応温度は好ましくは40〜150℃、より好ましくは50〜120℃、反応時間は好ましくは3〜30時間、より好ましくは5〜20時間である。
【0033】
樹脂(a1)における側鎖のポリエステル系ウレタン樹脂構造は、例えば、側鎖に水酸基を有するアクリル樹脂に、ポリイソシアネート(a1−1)、ポリエステルポリオール(a1−2)を反応させて得ることができ、必要に応じて有機ジアミン(c)により鎖延長反応させたものも使用することができる。
【0034】
ポリイソシアネート(a1−1)としては、芳香族、脂肪族または脂環族の各種公知のジイソシアネート類を使用することができる。例えば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4‘−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4、4‘−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4‘−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネートやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が代表例として挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。反応性、UV照射での黄変の抑制の面から、二重結合、ベンゼン環構造を有さないジイソシアネートが好ましく、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネートが好ましい。
【0035】
ポリエステルポリオール(a1−2)としては、例えば、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、グルタル酸、1、4−シクロヘキシルジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等の二塩基酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルー1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3,5−トリメチルペンタンジオール、2、4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,12−オクタデカンジオール、1,2−アルカンジオール、1,3−アルカンジオール、1−モノグリセライド、2−モノグリセライド、1−モノグリセリンエーテル、2−モノグリセリンエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオール等のジオールとのエステル化反応により得られる縮合物等が挙げられる。これらのポリエステルポリオールは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。さらにヒドロキシル基を3個以上有するポリオール、カルボキシル基を3個以上有する多価カルボン酸を併用することもできる。
【0036】
本発明で用いる樹脂(a1)の側鎖となるポリエステルポリオール(a1−2)は、耐溶剤性とコート剤(B)の接着性を向上させるため、数平均分子量が300〜10000の範囲内であるものが好ましい。ここで、ポリエステルポリオール(a1−2)の数平均分子量は、水酸基価から算出されるものであり、水酸基価は、樹脂中の水酸基をエステル化またはアセチル化し、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウムのmg数に換算した値で、JISK0070に従って行った値である。本発明において使用するポリエステルジオールの数平均分子量は、末端を水酸基として水酸基価から計算するものであり、(式1)により求められる。
(式1)ポリオールの数平均分子量=1000×56.1×水酸基の価数/水酸基価
【0037】
有機ジアミン(c)は、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン、さらにダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミン等など各種公知ものが挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0038】
((ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート(a2))
本明細書において、「(ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート」とは、「ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加されていてもよいアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル」の総称を意味する。
(ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ペンタエリスルトールトリ/テトラ(メタ)アクリレート(n=3)、エチレンオキサイド付加ペンタエリスルトールトリ/テトラ(メタ)アクリレート(n=6)、エチレンオキサイド付加ペンタエリスルトールトリ/テトラ(メタ)アクリレート(n=9)、エチレンオキサイド付加ペンタエリスルトールトリ/テトラ(メタ)アクリレート(n=15)、エチレンオキサイド付加ペンタエリスルトールトリ/テトラ(メタ)アクリレート(n=20)、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスルトールペンタ/ヘキサ(メタ)アクリレート(n=3)、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスルトールペンタ/ヘキサ(メタ)アクリレート(n=6)、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスルトールペンタ/ヘキサ(メタ)アクリレート(n=9)、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスルトールペンタ/ヘキサ(メタ)アクリレート(n=15)、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスルトールペンタ/ヘキサ(メタ)アクリレート(n=20)等が挙げられ、中でも好ましくはペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0039】
また、(ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート(a2)は、ジイソシアネート由来の構造単位を含んでいても良く、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートの有する水酸基と、前記ポリイソシアネート(a1−1)との反応物となっていても良い。
【0040】
<コート剤(B)>
コート剤(B)は、(ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート(b1)と、ポリエーテル系ウレタンアクリレートおよびポリエステル系ウレタンアクリレートからなる群より選ばれるウレタンアクリレート(b2)と、パーフルオロアルキル基およびアルキレンオキシド構造を有する化合物(b3)とを含有する。
コート剤(B)において、(ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート(b2)は、ハードコート性(硬さ、耐摩擦性、滑り性等)を付与する。ポリエーテルもしくはポリエステル系ウレタンアクリレート(b2)はプライマー層中の前記樹脂(a1)の相互作用が強いため、各層関の接着性を顕著に向上させる。パーフルオロアルキル基およびアルキレンオキシド構造を有する化合物(b3)はパーフルオロアルキル基がコート剤(A)からなるプライマー層に対するハジキ効果と、アルキレンオキシド構造がコート剤(B)に対する相溶効果を持っており、両方の機能の結果としてプライマー層の上に凹凸感および立体感のある積層が可能となる。
【0041】
コート剤(B)中での(ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート(b2)とポリエーテルもしくはポリエステル系ウレタンアクリレート(b2)の比率は、(b1)/(b2)=60/40〜90/10(質量比)である。(b1)/(b2)がこの範囲であると、耐摩擦性、凹凸感および接着性に優れた積層体を得ることができる。
【0042】
((ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート(b2))
(ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート(b2)は、(ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート(a2)と同義であり、同一でも異なっていても良い。
【0043】
(ウレタンアクリレート(b2))
ウレタンアクリレート(b2)は、ポリエーテル系ウレタンアクリレートおよびポリエステル系ウレタンアクリレートからなる群より選ばれる。ウレタンアクリレート(b2)は、例えば、ポリイソシアネート(a1−1)と、ポリエステルポリオール(a1−2)あるいはポリエーテルポリオール(b2−1)を反応させて末端イソシアネート基のウレタンプレポリマーとし、余剰のイソシアネート基を水酸基含有アクリレートと反応させて得られたものが挙げられる。なお、ポリイソシアネート(a1−1)とポリエステルポリオール(a1−2)における例示化合物および好ましい範囲については前述の通りである。
【0044】
ポリエーテルポリオール(b2−1)としては、酸化メチレン、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。好ましい具体例として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられ、中でも、プライマー層とトップコート層の接着が向上するため、数平均分子量が300〜10000であるポリプロピレングリコールが好ましい。
【0045】
ウレタンアクリレート(b2)を製造する方法としては、特に制限されず、例えば、窒素雰囲気下で前記ポリイソシアネート(a1−1)と、ポリエステルポリオール(a1−2)あるいはポリエーテルポリオール(b2−1)とを官能基比率NCO/OHが1.5〜2.5程度で50℃〜120℃で2〜6時間反応させて末端イソシアネートのウレタンプレポリマーを合成し、空気雰囲気下において余剰のイソシアネート基と同当量の水酸基含有アクリレートとを50℃〜120℃で2〜6時間反応させて製造する方法が挙げられる。合成時には必要に応じて有機溶剤を使用しても良い。
【0046】
水酸基含有アクリレートは、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチルなどが挙げられ、εカプロラクトンやエチレンオキサイドが付加されていても良い。中でも炭素数2〜10のアルキル基を有するものが好ましい。
【0047】
水酸基含有アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を複数有するものを使用することができ、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセリルジ(メタ)アクリレートが挙げられ、これらのエチレンオキサイド付加物、あるいはプロピレンオキサイド付加物、εカプロラクトン付加物等が挙げられる。
【0048】
水酸基含有アクリレートの内、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0049】
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートは通常、それぞれペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートとの混合物として市販されており、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートがウレタンアクリレート(b2)に含まれていても良い。
【0050】
ウレタンアクリレート(b2)の製造において、ウレタンプレポリマーを合成する際、必要に応じ、ウレタン化触媒を使用しても良い。ウレタン化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等の含窒素化合物、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫等の金属塩、ジブチルチンラウレート等の有機金属化合物などを使用することができる。その使用量は全仕込量の100重量部に対して0.02〜0.05重量部が好ましい。通常、反応は加熱下に行なわれるが70〜80℃程度の温和な加温条件をとるのが好ましい。反応時間は2〜6時間程度が普通である。反応の終了は、イソシアネート残基の量を赤外線吸収スペクトルで定量することにより容易に確認しうる。
【0051】
また、上記ウレタン反応時には重合禁止剤を配合しても良い。上記ウレタン反応のように加熱して撹拌された状態では、アクリル基が開始反応を起こさないように空気雰囲気化で行われるが、局所的に高温になる場合や粘度が高い場合は重合しやすいので、重合禁止剤の使用が必要である。重合禁止剤としては代表的なものはヒドロキノン誘導体、フェノール誘導体であり、樹脂中、100〜1000ppm程度の配合量で使用される。
【0052】
なお、ウレタンアクリレート(b2)の重量平均分子量は、好ましくは1000〜100000、特に好ましくは2000〜30000、更に好ましくは3000〜8000である。
【0053】
ウレタンアクリレート(b2)は、更にその他のポリオール由来の構成単位を含むことができる。ポリオールの例としては、ポリカーボネートジオールやポリカプロラクトンジオール等の高分子ジオールの他、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、水添ビスフェノールA、ダイマージオール、水添ダイマージオール等の繰り返し単位を持たないジオール等が挙げられる。中でもトリメチロールプロパン、炭素数10以下のジアルキレングリコール等が好ましく用いられる。
【0054】
(パーフルオロアルキル基およびアルキレンオキシド構造を有する化合物(b3))
パーフルオロアルキル基およびアルキレンオキシド構造を有する化合物(b3)は、前述したように、コート剤(A)からなるプライマー層にコート剤(B)を塗布した場合、パーフルオロアルキル基が該プライマー層に対するハジキ効果の機能を示し、アルキレンオキシド構造がコート剤(B)に対する相溶効果機能を示すため、結果としてプライマー層上にトップコート層が厚みのある状態となり、硬化により凹凸感および立体感のある積層体の作成が可能となる。化合物(b3)の替わりに一般的なシリコーン系化合物を使用した場合には、このような効果は認められない。コート剤(B)100重量%中、化合物(b3)は、0.1重量%〜2.0重量%の範囲で含有することが好ましい。
【0055】
化合物(b3)は、パーフルオロアルキル基およびアルキレンオキシド構造を有する化合物であれば特に問題なく、ポリマーであっても良いし、オリゴマーであっても良いし、低分子化合物であっても良い。コート剤(B)の粘度に影響を与えない範囲という観点から、オリゴマーあるいは低分子化合物であることが好ましい。化合物(b3)は、例えば、SURFLON(登録商標)EOタイプ(パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、S−242、S−243、S−420 油化産業株式会社製)、フッ素系界面活性剤メガファック(パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、F−444、F−569 DIC社製)等が挙げられる。
【0056】
また本発明において使用するコート剤(A)あるいはコート剤(B)は、更に他の1官能アクリルモノマー、多官能アクリルモノマーを使用しても良い。1官能アクリルモノマーとしては(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド塩化メチル4級塩、(メタ)アクリロイルモルホリン、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、中でも好ましくは(メタ)アクリロイルモルホリン、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミドである。その他にも、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基含有モノマー、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。さらに、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有モノマーあるいはその無水物や、スチレン、酢酸ビニル等のアクリル系以外のビニルモノマーも使用することができる。
【0057】
他の1官能アクリルモノマーとしてガラス転移温度の低めのアクリルモノマーを含有しても良い。例えばエチルアクリレート(−22℃)、イソプロピルアクリレート(−5℃)、n−ブチルアクリレート(−54℃)、n−ヘキシルメタクリレート(−5℃)、2−エチルヘキシルアクリレート(−85℃)、ステアリルアクリレート(30℃)、シクロヘキシルアクリレート(15℃)、2−エチルヘキシルメタクリレート(−10℃)、n−ラウリルアクリレート(−3℃)、n−ラウリルメタクリレート(−65℃)、n−ブチルメタクリレート(20℃)、イソオクチルアクリレート(−45℃)、フェノキシエチルアクリレート(−25℃)、トリデシルメタクリレート(−46℃)等が挙げられる。中でも好ましくはn−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートである。括弧内の数値は該モノマーから得られたホモポリマーのガラス転移温度を示す。
【0058】
多官能アクリルモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートジエステル等のジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリルトリアクリレートなどの多官能アクリレートが挙げられ、これらのエチレンオキサイド付加物、あるいはプロピレンオキサイド付加物、εカプロラクトン付加物であっても良い。
【0059】
また本発明において使用するコート剤(A)およびコート剤(B)は光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤は、光照射や加熱等によってラジカルを発生し、コート剤(A)中のペンタエリスリトール系アクリレートオリゴマー(a1)、コート剤(B)中の(ジ)ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート(b2)、ウレタンアクリレート(b2)のアクリレート基の架橋反応および重合反応を開始させる。なお、光重合開始剤は、コート剤(A)またはコート剤(B)100重量%中、0.1重量%〜10重量%含有することが好ましい。更に好ましくは1.0重量%〜5.0重量%である。
【0060】
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン系光重合開始剤が挙げられる。
【0061】
アルキルフェノン系光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等が挙げられる。
【0062】
ベンゾイン系光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
【0063】
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。中でも4-メチルベンゾフェノンが好ましい。
【0064】
チオキサントン系光重合開始剤としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
【0065】
アンスラキノン系光重合開始剤としては、α−アシロキシムエステル、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート(「バイアキュア55」)、2−エチルアンスラキノン等が挙げられる。
【0066】
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(「ルシリンTPO」)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(「IRGACURE819」)等が挙げられる。
【0067】
本発明において使用するコート剤(A)およびコート剤(B)に光重合開始剤を使用する場合、アルキルフェノン系光重合開始剤が特に好ましい。
【0068】
コート剤(A)およびコート剤(B)は、耐候性やコート剤の経時安定性を向上させるために、紫外線吸収剤、光安定剤を含有することが好ましい。紫外線吸収剤とは、一般的に波長約200〜400nmの紫外線を吸収して熱や赤外線などのエネルギーに変化させて放出させる効能を有する化合物である。紫外線吸収剤としては、例えば、無機系紫外線吸収剤として、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化タリウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物微粒子を用いることができる。また有機系紫外線吸収剤として、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤,トリアジン系紫外線吸収剤,ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤,ジフェニルメタノン系紫外線吸収剤,2−シアノプロペン酸エステル系紫外線吸収剤、アントラニレート系紫外線吸収剤、ケイヒ酸誘導体系紫外線吸収剤、カンファー誘導体系紫外線吸収剤、ベンザルマロネート誘導体系紫外線吸収剤、レゾルシノール系紫外線吸収剤、オキザリニド系紫外線吸収剤、クマリン誘導体系紫外線吸収剤等が使用できる。中でもベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
【0069】
本発明にて使用するコート剤(A)およびコート剤(B)は、印刷に適した粘度とするために、媒体として有機溶剤を含有することが好ましい。有機溶剤としてはメタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピルなどのエステル系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、また、これらの混合物が挙げられる。
【0070】
本発明にて使用するコート剤(A)およびコート剤(B)は添加剤として公知のものを適宜含むことができ、紫外線硬化型樹脂組成物の製造において必要に応じて公知の添加剤、例えば、可塑剤、湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、ワックス成分、シリカ粒子、マット剤、樹脂粒子、重合禁止剤、防腐剤、抗菌剤などを使用することができる。また更に、油、難燃剤、充填剤、安定剤、補強剤、艶消し剤、研削剤、有機微粒子、無機微粒子、高分子化合物(アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン(ウレア)樹脂、等)等を配合することも可能である。
【0071】
前記ワックス成分としてはポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、PTFEワックス、脂肪酸アマイド、油脂誘導体、などが挙げられる。
【0072】
レベリング剤としては、塗液の基材への濡れ性付与作用、表面張力の低下作用を有するものであれば、公知一般のレベリング剤を用いることができ、例えば、シリコーン変性樹脂、フッ素変性樹脂、アルキル変性の樹脂等を用いることができる。
【0073】
重合禁止剤としては、例えば、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、ハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、モノ−t−ブチルハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール等を挙げることができる。
【0074】
また、本発明にて使用するコート剤(A)およびコート剤(B)は、前記記載のもの以外に、その他添加剤を含有してもよい。
【0075】
前記その他の添加剤としては、例えば、チキソ付与剤、重合金資材、硬化剤、硬化促進剤、熱安定剤、蛍光増白剤、発泡剤、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、導電性付与剤、透湿性向上剤、撥水剤、中空発泡体、結晶水含有化合物、吸水剤、吸湿剤、消臭剤、整泡剤、消泡剤、防黴剤、防腐剤、防藻剤、加水分解防止剤、有機及び無機水溶性化合物等を使用することができる。
【0076】
コート剤(A)またはコート剤(B)の製造方法としては、必要なそれぞれの原料をディスパーなどで撹30分〜3時間程度撹拌することにより製造することができる。なお、混合しにくく、粘度等が不均一になりやすい場合はローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いても良い。
【0077】
コート剤(A)またはコート剤(B)に、気泡や予期せぬ粗大粒子などが含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過などにより取り除くことが好ましい。濾過器は従来公知のものを使用することができる。
【0078】
<基材>
本発明で用いる基材としては、紙、プラスチックフィルム、金属箔等、様々な基材を挙げることができるが、特に、基材として紙を用いた場合において、本発明の顕著な効果を見出すことができる。紙基材は、一般的な紙や段ボールなどが挙げられ、厚さは特に制限は無いが、0.2mm〜1.0mmの厚さものが好適に使用でき、印刷表面がコロナ処理されていても良い。また紙基材は、意匠性を付与させる目的で、基材表面がアルミなどの金属によって蒸着処理されていても良く、更にアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂やその他の樹脂などで表面コート処理を施されていても良く、さらにコロナ処理などの表面処理が施されていても良い。例えばコートボール紙やマリーコート紙などが挙げられる。
【0079】
<積層体および積層方法>
本発明のコート剤セットは、基材への接着性、硬さ、凹凸のある盛り上げ感を付与する積層体として有効に用いられるものである。本発明の積層体の製造方法としては特徴的なことに、例えば、印刷インキ層を有する紙基材上にコート剤(A)と印刷・乾燥させ、更にコート剤(A)の層を溶解することなくコート剤(B)を印刷できる。従って、乾燥後、コート剤(A)からなるプライマー層を硬化することなくコート剤(B)重ね塗りすることができ、紫外線照射でプライマー層およびトップコート層を同時に硬化させることができ、本発明の積層体を得ることができる。コート剤(B)はプライマー層を溶かさないこと、およびパーフルオロ基およびアルキレンオキシド構造を有する化合物(b3)が立体的な着肉を促すため、凹凸のある盛り上げ感を付与できる。塗工方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、スプレー、シャワー、ディッピング、フローコート、グラビア印刷、フレキソ印刷、ロール、スピン、ディスペンサー、インクジェット印刷、スクリーン印刷等のようなウェットコーティング法が挙げられるが、フレキソ印刷、グラビア印刷による塗工方法がより好ましい。
【0080】
コート剤(A)の好ましい粘度は、ザーンカップ#3で粘度が16秒〜30秒/25℃、更に好ましくは17〜20秒/25℃である。また、コート剤(B)の好ましい粘度は、ザーンカップ#4で粘度が27秒〜35秒/25℃、更に好ましくは29〜33秒/25℃であり、酢酸エチル、酢酸プロピルなどのエステル系有機溶剤、メチルエチルケトンなどのケトン系有機溶剤、あるいはそれらの混合溶剤にて前記粘度に希釈し使用するのが好ましく、更に、コート剤(A)の印刷使用時にはザーンカップ#3で13秒〜16秒/25℃に有機溶剤で希釈して印刷するのが良い。また、コート剤(B)の印刷使用時にはザーンカップ#4で10秒〜18秒/25℃に有機溶剤で希釈して印刷するのが良い。
【0081】
コート剤(A)およびコート剤(B)を硬化させるためには、紫外線や電子線等のエネルギー線照射する方法が挙げられ、紫外線照射による硬化が好ましい。紫外線としては、遠紫外線、紫外線、近紫外線、が挙げられる。一方、電子線やプロトン線を使用することも可能であり、この場合は光重合開始剤を含有しなくても硬化し得る。
【0082】
紫外線照射により硬化させる方法としては、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LED等を用いて、30〜5000mJ/cm
2、好ましくは100〜1000mJ/cm
2照射すればよい。紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。
【0083】
コート剤(A)あるいはコート剤(B)を塗工する場合、塗工膜厚(硬化後の膜厚)としては、コート剤(A)は通常1〜15μmであることが好ましく、3〜10μmであることがより好ましい。コート剤(B)は通常5〜25μmであることが好ましく、8〜20μmであることがより好ましい。コート剤(A)とコート剤(B)の積層(プライマー層とトップコート層との複合層)としては、通常8〜40μmであることが好ましく、10〜35μmであることがより好ましい。この範囲であると、基材への接着性、硬さ、凹凸のある盛り上げ感を容易に両立できる。
【0084】
前記積層体は接着性、硬さ、凹凸による盛り上げ感の装飾性に優れるため、本発明のコート剤セットを提供することにより課題を解決できた。
【実施例】
【0085】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部および%は、特に注釈の無い場合、重量部および重量%を表わす。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定および決定した。測定装置として昭和電工社製GPC「ShodexGPCSystem−21」、展開溶媒としてテトロヒドロフラン(THF)、測定温度40℃にて測定を行い、重量平均分子量が既知のポリスチレンの換算値により決定した。
また、実施例において使用するポリオールの数平均分子量は、末端を水酸基として水酸基価から計算されるものであり、(式1)により求めた。
(式1)ポリオールの数平均分子量=1000×56.1×水酸基の価数/水酸基価
ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)により測定し、ガラス転移が起こる温度範囲の中点の温度をガラス転移温度とした。
【0086】
<アクリル樹脂の合成>
[合成例1]
反応容器に、メチルメタクリレート84部、n−ブチルアクリレート15部、4−ヒドロキシブチルアクリレート1部、酢酸エチル150部、イソプロピルアルコール100部、及び1.0部のアゾビスイソブチロニトリルを加えて混合し、窒素ガス雰囲気下、70℃で8時間重合し、水酸基を有するアクリル樹脂Aを得た。得られた樹脂溶液の固形分は40重量%、重量平均分子量は23,000、ガラス転移温度は82.6℃であった。
【0087】
<ウレタンアクリレートの合成>
[合成例2]
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート44.4部(0.2モル)、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール(旭硝子社製 エクセノール2020 水酸基価56mgKOH/g)200部(0.1モル)、反応触媒として2−エチルヘキサン酸スズ0.02部を仕込み、窒素雰囲気下、80℃で反応させた。残存イソシアネート基が3.1%となった時点で、2−ヒドロキシエチルアクリレート20.7g(0.18モル)、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.04gをさらに仕込み、80℃で3時間反応させ、ポリエーテル系ウレタンアクリレートUA−1(重量平均分子量5100)を得た。
【0088】
[合成例3]
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート44.4部(0.2モル)、数平均分子量2000のネオペンチルグリコールのアジペートジオール(日立化成ポリマー社製、テスラック2471 水酸基価56mgKOH/g)200部(0.1モル)、反応触媒として2−エチルヘキサン酸スズ0.02部を仕込み、窒素雰囲気下、80℃で反応させた。残存イソシアネート基が3.1%となった時点で、2−ヒドロキシエチルアクリレート20.7g(0.18モル)、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.04gをさらに仕込み、80℃で3時間反応させ、ポリエステル系ウレタンアクリレートUA−2(重量平均分子量5200)を得た。
【0089】
[合成例4]
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート44.4部(0.2モル)、数平均分子量2000のポリカーボネートジオール(株式会社クラレ、クラレポリオールC−2090、水酸基価56mgKOH/g)200部(0.1モル)、反応触媒として2−エチルヘキサン酸スズ0.02部を仕込み、80℃で反応させた。残存イソシアネート基が3.1%となった時点で、2−ヒドロキシエチルアクリレート20.7g(0.18モル)、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.04gをさらに仕込み、80℃で3時間反応させ、ポリカーボネート系ウレタンアクリレートUA−3(重量平均分子量5000)を得た。
【0090】
[実施例1]
8UA−318(側鎖ポリエステル系ウレタン・主鎖アクリル系の櫛形樹脂 固形分(NV)40%、大成ファインケミカル社製)を55部、酢酸エチル36.5部、イルガキュア184(アルキルフェノン系光重合開始剤 BASF社製)3.5部、ペンタエリスリトールトリアクリレート/ペンタエリスリトールテトラアクリレート=4/6(質量比)の混合物5部を均一に混合し、コート剤(A)である組成物S1を得た。
また、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート/ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート=4/6(質量比)の混合物65部、上記実施例で得られたウレタンアクリレートUA−1を15部、酢酸エチル16.5部、メガファックF−444(パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物オリゴマー DIC社製)0.5部、イルガキュア184(アルキルフェノン系光重合開始剤 BASF社製)3部、を均一に混合し、コート剤(B)である組成物T1を得た。そして、これら組成物S1および組成物T1からなるコート剤セットを得た。
【0091】
[実施例2〜15]
表1−1に記載の原料および組成比率に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、コート剤(A)である組成物S2〜S15、コート剤(B)である組成物T2〜T15およびコート剤セットをそれぞれ得た。
【0092】
[比較例1〜15]
表1−2に記載の原料および組成比率に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、組成物SS1〜SS15、組成物TT1〜TT15およびコート剤セットをそれぞれ得た。
【0093】
なお、表1−1および表1−2に記載の化合物の概略を以下に示す。
・8UA−318(側鎖ポリエステル系ウレタン・主鎖アクリル系の櫛形樹脂 固形分(NV)40%、大成ファインケミカル社製)
・8UA−140(側鎖ポリエステル系ウレタン・主鎖アクリル系の櫛形樹脂、重量平均分子量40000、固形分(NV)40%、大成ファインケミカル社製)
・8UA−017(側鎖ポリエーテル系ウレタン・主鎖アクリル系の櫛形樹脂、重量平均分子量40000、固形分(NV)40%、大成ファインケミカル社製)
・8UA−366(側鎖ポリカーボネート系ウレタン・主鎖アクリル系の櫛形樹脂、重量平均分子量30000、固形分(NV)40%、大成ファインケミカル社製)
・ユリアーノKL−564(線状ポリエステル系ウレタン樹脂、重量平均分子量35000、固形分(NV)40%、荒川化学工業社製)
・ポリフローNo,75(シリコーン化合物 共栄社化学社製)
【0094】
<印刷インキ層を有する紙基材の作成>
紙基材(大王製紙社製 製品名 リュウオウコート紙 65g/m
2)とヘリオ175L(版式コンプレスト)ベタ版を備えた小型グラビア印刷機に、グラビアインキ(エコカラーF39藍:東洋インキ社製)を、ザーンカップ#3で15秒となるように混合溶剤(MEK/Nプロピルアセテート/IPA=50/30/20(質量比))で希釈し、印刷速度80m/分、乾燥温度60℃にて100m印刷を行った。
【0095】
(実施例16)
<コート剤S1の塗工>
実施例1で得られた組成物S1を、溶剤(酢酸エチル)にてザーンカップ#3で粘度15秒になるように希釈し、グラビア印刷方式でベタ柄を膜厚3μmになるように、前記紙基材の印刷面に印刷速度80m/分、乾燥温度60℃にて印刷塗工した。
<コート剤T1の塗工>
前記組成物S1が印刷された印刷面に、実施例1で得られた組成物T1を溶剤(酢酸エチル)にてザーンカップ#4で粘度13秒になるように希釈し、グラビア印刷方式で4cm×4cmの凹凸柄(凹部膜厚5μm、凸部膜厚15μm)になるように、印刷塗工し、60℃で乾燥した。その後、120W/cm
2の高圧水銀ランプ1灯、照射距離15cm、積算光量300mJ/cm
2で塗工面に照射して積層体U1を得た。
【0096】
(実施例17〜30)
実施例1と同様の方法により、表1−1に記載のコート剤セットを用いて積層体U2〜U15(実施例)を得た。
【0097】
(比較例16〜30)
実施例1と同様の方法により、表1−2に記載のコート剤セットを用いて積層体UU1〜UU15(比較例)を得た。
【0098】
積層体U1〜U15(実施例)、および積層体UU1〜UU15(比較例)について、耐摩擦性試験、滑り性試験、接着性試験、凹凸盛り上げ感触試験を行った。結果を表2−1および表2−2に示した。
【0099】
<耐摩擦性>
積層体U1〜U15(実施例)、および積層体UU1〜UU15(比較例)について学振型耐摩擦試験機(荷重2kg、回数200回、対上質紙)にて試験し、皮膜の取られを判定した。
評価基準は以下の通りである。
○・・・・・取られなし。(極めて良好)
○△・・・・10%未満の取られあり。(良好)
△・・・・・10%以上〜60%未満の取られあり。(実用に満たない)
△×・・・・60以上〜80%未満の取られあり。(不良)
×・・・・・80%以上取られる。(極めて不良)
表中○、○△が実用上問題ない範囲である。
【0100】
<接着性試験>
積層体U1〜U15(実施例)、および積層体UU1〜UU15(比較例)についてJISK5400に基づいて10×10マスで評価を行なった。
○・・・・・・・100マス/100マス。(極めて良好)
○△・・・・・・90マス以上/100マス。(良好)
△・・・・・・・50〜89マス/100マス。(実用に満たない)
△×・・・・・・30〜49マス/100マス。(不良)
×・・・・・・・0〜29マス/100マス。(極めて不良)
○、○△は実用上問題がない範囲である。
【0101】
<滑り性試験>
積層体U1〜U15(実施例)、および積層体UU1〜UU15(比較例)について、AN型摩擦測定機(株式会社東洋精機社製)にJIS P8147(紙および板紙−静および動摩擦係数の測定方法)の傾斜法を用いて測定して得られた角度を滑り角とした。
○・・・・・すべり角が20°未満である。(極めて良好)
○△・・・・すべり角が20°以上〜25°未満である。(良好)
△・・・・・すべり角が25°以上〜30°未満である。(実用に満たない)
△×・・・・すべり角が30°以上〜35°未満である。(不良)
×・・・・・すべり角が35°以上である。(極めて不良)
○、○△は実用上問題がない範囲である。
【0102】
<凹凸盛り上げ性試験>
積層体U1〜U15(実施例)、および積層体UU1〜UU15(比較例)について、凹部と凸部の高さの差をレーザー顕微鏡(キーエンス社製 VK9710)で評価した。
○・・・・・凹部と凸部の高さの差が9μm以上10μm以下。(極めて良好)
○△・・・・凹部と凸部の高さの差が8.5μm以上9μm未満。(良好)
△・・・・・凹部と凸部の高さの差が7μm以上8.5μm未満。(実用に満たない)
△×・・・・凹部と凸部の高さの差が6μm以上7μm未満。(不良)
×・・・・・凹部と凸部の高さの差が6μm未満。(極めて不良)
○、○△は実用上問題がない範囲である。
【0103】
評価結果から明らかなとおり、本発明のコート剤セットを使用することにより、耐摩擦性、滑り性、接着性および凹凸盛り上げ感に優れた積層体を提供することができた。
【0104】
【表1】
【0105】
【表2】
【0106】
【表3】