特許第6747101号(P6747101)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6747101
(24)【登録日】2020年8月11日
(45)【発行日】2020年8月26日
(54)【発明の名称】気密パッケージ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/02 20060101AFI20200817BHJP
   H01L 23/08 20060101ALI20200817BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20200817BHJP
【FI】
   H01L23/02 C
   H01L23/08 C
   H01L23/02 F
   H01L33/48
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-128838(P2016-128838)
(22)【出願日】2016年6月29日
(65)【公開番号】特開2018-6456(P2018-6456A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡 卓司
(72)【発明者】
【氏名】藪内 浩一
(72)【発明者】
【氏名】白神 徹
【審査官】 井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−165367(JP,A)
【文献】 特開2003−158208(JP,A)
【文献】 特開2013−203047(JP,A)
【文献】 特開2016−027610(JP,A)
【文献】 特開2016−086049(JP,A)
【文献】 特開2013−182977(JP,A)
【文献】 特開2002−359535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/02
H01L 23/08
H01L 33/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠部を有する容器と、
前記枠部の上に配置され、前記容器を封止するガラス蓋と、
前記枠部と前記ガラス蓋の間に配置され、前記ガラス蓋と前記容器を接合する封着材料層とを備えた気密パッケージにおいて、
前記封着材料層において、前記封着材料層と前記容器との接合面が、前記封着材料層と前記ガラス蓋との接合面よりも大きく、前記封着材料層の断面形状は、前記封着材料層と前記ガラス蓋との接合面から前記封着材料層と前記容器との接合面に向かって拡がるテーパー形状を有しており、前記封着材料層と前記ガラス蓋との接合面より外側に前記ガラス蓋の外周が位置している、気密パッケージ。
【請求項2】
前記封着材料層の厚みが、1〜100μmの範囲内である、請求項1に記載の気密パッケージ。
【請求項3】
前記封着材料層は、Fe、Mn、及びCuから選ばれる少なくとも1種の金属または該金属の酸化物の含有量が5質量%以下である、請求項1または2に記載の気密パッケージ。
【請求項4】
前記容器が、窒化アルミニウムから構成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の気密パッケージ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の気密パッケージと、前記気密パッケージ内に収容されている素子とを備える、電子デバイス。
【請求項6】
枠部を有する容器と、前記容器を封止するガラス蓋と、前記ガラス蓋と前記容器を接合する封着材料層とを用意する工程と、
前記枠部と前記ガラス蓋の間に前記封着材料層を配置して、前記容器の上に前記ガラス蓋を重ね合わせる工程と、
前記枠部と前記封着材料層の界面近傍に焦点を合わせるように、前記ガラス蓋側からレーザー光を照射して前記封着材料層により前記ガラス蓋と前記容器とを接合する工程とを備える、気密パッケージの製造方法。
【請求項7】
前記封着材料層が、前記レーザー光の波長に対し10%以上の透過率を有する、請求項6に記載の気密パッケージの製造方法。
【請求項8】
前記封着材料層が形成された前記ガラス蓋を前記容器の上に重ね合わせることにより、前記枠部と前記ガラス蓋の間に前記封着材料層を配置する、請求項6または7に記載の気密パッケージの製造方法。
【請求項9】
前記容器の上に前記ガラス蓋を重ね合わせた状態において、前記封着材料層が前記枠部の内側に収まるように配置されている、請求項6〜8のいずれか一項記載の気密パッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素子を搭載して封止するための気密パッケージ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDなどの素子を搭載して封止するために、気密パッケージが用いられている。このような気密パッケージは、素子を搭載することができる容器と、容器内を封止するためのカバー部材を封着材料を介して接合されることにより構成される。
【0003】
下記の特許文献1には、ガラスセラミックスからなる容器と、ガラス蓋が、封着材料を介して接合されてなる気密パッケージが開示されている。特許文献1では、上記封着材料として、低融点ガラスからなるガラスフリットが用いられている。また、特許文献1では、上記封着材料を焼成して、溶融させることにより、ガラスセラミックス基板とガラス蓋が接合されている。
【0004】
しかしながら、深紫外線LED素子のような耐熱性の低い素子が搭載される場合、特許文献1のようにガラスフリットを焼成して溶融させると、焼成の際の加熱により素子特性が熱劣化するおそれがある。
【0005】
これを解消する方法として、レーザー吸収材を含む封着材料にレーザー光を照射し、局所的に加熱することでガラスフリットを溶融する方法が考えられる(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−236202号公報
【特許文献2】特開2016−86049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、封着材料層がレーザー吸収材を含むため、レーザー光が封着材料層で吸収され、容器と封着材料層との界面を十分に加熱することができず、ガラス蓋と封着材料層の接合強度は高いが、封着材料層と容器の接合強度が低いという課題があることを本発明者らは見出した。
【0008】
本発明の目的は、封着材料層と容器の接合強度を高めることができる気密パッケージ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の気密パッケージは、枠部を有する容器と、枠部の上に配置され、容器を封止するガラス蓋と、枠部とガラス蓋の間に配置され、ガラス蓋と容器を接合する封着材料層とを備えた気密パッケージにおいて、封着材料層において、封着材料層と容器との接合面が、封着材料層とガラス蓋との接合面よりも大きいことを特徴としている。
【0010】
封着材料層の厚みは、1〜100μmの範囲内であることが好ましい。
【0011】
封着材料層は、Fe、Mn、及びCuから選ばれる少なくとも1種の金属または該金属の酸化物の含有量が5質量%以下であることが好ましい。
【0012】
容器は、窒化アルミニウムから構成されていることが好ましい。
【0013】
本発明の電子デバイスは、上記本発明の気密パッケージと、気密パッケージ内に収容されている素子とを備えることを特徴としている。
【0014】
本発明の気密パッケージの製造方法は、枠部を有する容器と、容器を封止するガラス蓋と、ガラス蓋と容器を接合する封着材料層とを用意する工程と、枠部とガラス蓋の間に封着材料層を配置して、容器の上にガラス蓋を重ね合わせる工程と、枠部と封着材料層の界面近傍に焦点を合わせるように、ガラス蓋側からレーザー光を照射して封着材料層によりガラス蓋と容器とを接合する工程とを備えることを特徴としている。
【0015】
本発明の製造方法において、封着材料層は、レーザー光の波長に対し10%以上の透過率を有することが好ましい。
【0016】
本発明の製造方法において、封着材料層が形成されたガラス蓋を容器の上に重ね合わせることにより、枠部とガラス蓋の間に封着材料層を配置することが好ましい。
【0017】
本発明の製造方法では、容器の上にガラス蓋を重ね合わせた状態において、封着材料層が枠部の内側に収まるように配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、封着材料層と容器の接合強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態の気密パッケージを示す模式的断面図である。
図2図1に示す実施形態の気密パッケージを製造する工程を示す模式的断面図である。
図3】比較例の気密パッケージを示す模式的断面図である。
図4図3に示す比較例の気密パッケージを製造する工程を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する場合がある。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態の気密パッケージを示す模式的断面図である。図1に示すように、本実施形態の気密パッケージ1は、枠部3を有する容器2と、枠部3の上に配置され、容器2を封止するガラス蓋4と、枠部3とガラス蓋4の間に配置され、ガラス蓋4と容器2を接合する封着材料層5とを備えている。容器2内には、素子6が収容されている。
【0022】
本実施形態において、封着材料層5は、容器2との接合面5bが、ガラス蓋4との接合面5aよりも大きくなるようにガラス蓋4と容器2を接合している。封着材料層5は、一般にガラスを含んでいるため、ガラス蓋4との接着性は良好である。そのため、ガラス蓋4との接合面5aが相対的に小さくとも必要な接合強度を得ることができる。本実施形態では、容器2との接合面5bを相対的に大きくすることにより、容器2と封着材料層5の接合強度を高めている。
【0023】
封着材料層5が枠部3に沿って延びる方向に垂直な方向における封着材料層5の断面形状は、図1に示すように、接合面5aから接合面5bに向かって拡がるテーパー形状を有している。封着材料層5の上記断面形状は、具体的には、台形の形状を有している。従って、接合面5bにおける封着材料層5の幅W2は、接合面5aにおける封着材料層5の幅W1よりも大きくなっている。封着材料層5の幅W2は、封着材料層5の幅W1の1.05倍以上であることが好ましい。これにより、封着材料層5と容器2の接合強度をより確実に高めることができる。封着材料層5の幅W2は、封着材料層5の幅W1の1.05〜1.5倍の範囲内であることがさらに好ましい。封着材料層5の幅W1に対する封着材料層5の幅W2の比率が大きくなりすぎると、ガラス蓋4と封着材料層5の接合強度が低くなりすぎる場合がある。
【0024】
封着材料層5の厚みは、1〜100μmの範囲内であることが好ましい。封着材料層5の厚みが薄すぎると、十分な接合強度が得られない場合がある。封着材料層5の厚みが厚すぎると、封着材料層5の許容剪断応力が低下し、十分な接合強度が得られない場合がある。封着材料層5厚みは、3〜20μmの範囲内であることがさらに好ましい。
【0025】
封着材料層5を形成するための封着材料としては、低融点ガラス粉末を含むガラスフリットを用いることが好ましい。低融点ガラス粉末を含んでいる場合、より低温で封着材料を軟化させることができ、素子の熱劣化をより一層抑制することができる。低融点ガラス粉末としては、例えば、Bi系ガラス粉末や、SnO−P系ガラス粉末、V−TeO系ガラス粉末などを用いることができる。
【0026】
封着材料層5は、後述する製造工程において、封着材料層5を加熱して軟化させるためのレーザー光に対し透過性を有するものが好ましく用いられる。封着材料層5のレーザー光の波長に対する透過率は、10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。レーザー光の波長に対する透過率を高めることにより、枠部3と封着材料層5の界面近傍を効率的に加熱することができ、封着材料層5と容器2の接合強度を高めることができる。封着材料層5のレーザー光の波長に対する透過率の上限値は、特に限定されるものではないが、80%程度までである。
【0027】
レーザー光に対する透過性を高める観点から、封着材料層5には、レーザー光吸収材が実質的に含まれていないことが好ましい。レーザー光吸収材としては、一般に、Fe、Mn、及びCuから選ばれる少なくとも1種の金属または該金属の酸化物が知られている。従って、封着材料層5は、Fe、Mn、及びCuから選ばれる少なくとも1種の金属または該金属の酸化物の含有量が、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましい。
【0028】
封着材料層5には、レーザー光の波長に対する所望の透過率が得られる範囲であれば、低膨張耐火性フィラーが含有されていてもよい。低膨張耐火性フィラーとしては、例えば、コーディエライト、ウイレマイト、アルミナ、リン酸ジルコニウム系化合物、ジルコン、ジルコニア、酸化スズ、石英ガラス、β−石英固溶体、β−ユークリプタイト、スポジュメンが挙げられる。
【0029】
ガラス蓋4を構成するガラスとしては、レーザー光に対し透過性を有することが望ましく、レーザー光の波長に対する透過率は80%以上であることが好ましい。このようなガラスとしては、例えば、SiO−B−RO(RはMg、Ca、SrまたはBa)系ガラス、SiO−B−R’O(R’はLi、NaまたはKa)系ガラス、SiO−B−RO−R’O系ガラス、SnO−P系ガラス、TeO系ガラス又はBi系ガラスなどがあり、ガラス蓋4としてこれらのガラスを用いることができる。
【0030】
容器2は、例えば、セラミック、ガラスセラミック、またはガラスなどから構成される。セラミックとしては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ジルコニア、ムライトなどが挙げられる。ガラスセラミックとしては、LTCC(Low Temperature Co−fired Ceramics)などが挙げられる。LTCCの具体例としては、酸化チタンや酸化ニオブ等の無機粉末とガラス粉末との焼結体などが挙げられる。ガラス粉末としては、例えば、ガラス蓋4と同様のガラスを用いることができる。
【0031】
窒化アルミニウムは、ガラス材との濡れ性が悪い材料として知られており、ガラスを含む封着材料層を用いる場合、容器と封着材料層の接合強度が十分に得られないという問題がある。本発明によれば、容器2との接合面5bが相対的に大きくなるように封着材料層5を形成するので、容器2と封着材料層5の接合強度を改善することができる。
【0032】
従来、ガラス材との濡れ性を改善するため、窒化アルミニウムからなる容器の表面に、加熱処理等により酸化物層を形成することなどが検討されている。しかしながら、素子が搭載される窒化アルミニウムの表面に酸化物層を形成すると、放熱性が低下するなどの問題が生じ、放熱性に優れた窒化アルミニウムの特性が損なわれる。本発明によれば、表面に酸化物層を形成せずとも、容器と封着材料層の接合強度を高めることができる。但し、本発明においても、窒化アルミニウムからなる枠部3の表面に酸化物層を形成し、封着材料層5で封着してもよい。
【0033】
素子6は、本発明において特に限定されるものではない。しかしながら、上述のように、本発明によれば、放熱性に優れた窒化アルミニウム等を用いることができるので、耐熱性の低い素子、すなわち使用上限温度の低い素子を素子6として用いることができる。例えば、使用上限温度が350℃以下である素子を、本発明の気密パッケージに収容することができる。このような素子として、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、深紫外線LED(Light Emitting Diode)などが挙げられる。
【0034】
しかしながら、素子6は、上記のものに限定されるものではなく、上記以外のLED、LD(Laser Diode)などの発光素子、CCD(Charge Coupled Device)などの受光素子や、その他の素子も用いることができる。
【0035】
図2は、図1に示す実施形態の気密パッケージを製造する工程を示す模式的断面図である。
【0036】
図2(a)に示すように、ガラス蓋4の裏面に、ガラスフリットなどの封着材料を塗布して封着材料層5を形成する。次に、図2(b)に示すように、素子6を収容した容器2の枠部3の上に封着材料層5が位置するように、ガラス蓋4を容器2の上に載置する。
【0037】
次に、図2(c)に示すように、レーザー光10をガラス蓋4側から照射し、封着材料層5を加熱して軟化させ、封着材料層5によりガラス蓋4と容器2とを接合する。このとき、枠部3と封着材料層5の界面近傍に焦点を合わせるようにレーザー光10を照射する。封着材料層5は、レーザー光10に対し高い透過性を有しているので、レーザー光10は、枠部3と封着材料層5の界面近傍にまで到達し、枠部3と封着材料層5の界面近傍に焦点を合わせることができる。これにより、枠部3と封着材料層5の界面近傍を中心にして封着材料層5及び枠部3が加熱されるため、枠部3と封着材料層5の接合強度を高めることができる。また、封着材料層5は、枠部3に近い部分の方が軟化して流動しやすくなるため、その断面形状は、図1に示すように、枠部3に向かって拡がるテーパー形状になる。
【0038】
なお、レーザー光の波長は、600〜1600nmの範囲内であることが望ましく、このようなレーザー光を出射する光源として、例えば、半導体レーザーを用いることができる。
【0039】
図2(c)に示すように、容器2の上にガラス蓋4を重ね合わせた状態において、封着材料層5は枠部3の内側に収まるように配置されている。これにより、加熱軟化した封着材料層5が周囲へはみ出すのを抑制することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、窒化アルミニウムからなる容器2を用いている。窒化アルミニウムは、上述のように、ガラス材との濡れ性が良くないので、枠部3の上に封着材料を塗布して封着材料層5を形成するのではなく、ガラス蓋4に封着材料層5を形成している。
【0041】
以上のようにして、図1に示す、容器2との接合面5bがガラス蓋4との接合面5aよりも大きい封着材料層5を有する気密パッケージ1を製造することができる。
【0042】
図3は、比較例の気密パッケージを示す模式的断面図である。この比較例の気密パッケージ11は、特許文献2のように、レーザー吸収材を含む封着材料を用いて、容器2にガラス蓋4を接合している。そのため、封着材料層5の断面形状は、図3に示すように、接合面5bから接合面5aに向かって拡がる、本発明とは逆のテーパー形状を有している。従って、接合面5bにおける封着材料層5の幅W2は、接合面5aにおける封着材料層5の幅W1よりも小さくなっている。そのため、容器2と封着材料層5の間で十分な接合強度を得ることができない。
【0043】
図4は、図3に示す比較例の気密パッケージを製造する工程を示す模式的断面図である。
【0044】
図4(a)に示すように、素子6を収容した容器2の枠部3の上に、レーザー吸収材を含む封着材料を塗布して封着材料層5を形成する。次に、図4(b)に示すように、素子6を収容した容器2の枠部3の上に封着材料層5が位置するように、ガラス蓋4を容器2の上に載置する。
【0045】
次に、図4(c)に示すように、レーザー光10をガラス蓋4側から照射し、封着材料層5を加熱して軟化させ、封着材料層5によりガラス蓋4と容器2とを接合する。なお、封着材料層5は、レーザー吸収材を含んでいるので、レーザー光10は、枠部3と封着材料層5の界面近傍にまで到達することができないため、ガラス蓋4と封着材料層5の界面近傍に焦点を合わせるようにレーザー光10が照射される。そのため、封着材料層5は、ガラス蓋4に近い部分の方が軟化して流動しやすくなる。この結果、封着材料層5の断面形状は、図3に示すように、ガラス蓋4に向かって拡がる逆のテーパー形状になる。
【0046】
従って、比較例の気密パッケージ11では、容器2と封着材料層5の間で十分な接合強度を得ることができず、信頼性に劣る。また、容器2の材質として、窒化アルミニウムを用いた場合、容器2と封着材料層5の間の接合強度はさらに低いものとなる。
【0047】
本発明に従い、容器2との接合面5bがガラス蓋4との接合面5aよりも大きくなるように封着材料層5を形成することにより、ガラス蓋4と容器2の接合強度を高めることができ、信頼性の高い気密パッケージにすることができる。
【符号の説明】
【0048】
1…気密パッケージ
2…容器
3…枠部
4…ガラス蓋
5…封着材料層
5a…ガラス蓋との接合面
5b…容器との接合面
6…素子
10…レーザー光
W1…ガラス蓋との接合面における封着材料層の幅
W2…容器との接合面における封着材料層の幅
図1
図2
図3
図4