(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
病院や診療所において、電子カルテ用の情報処理端末(ラップトップ型パーソナルコンピュータやタブレット型コンピュータ等)、レントゲンフィルムその他の資料、薬剤、器具類の収納及び運搬の用途に供されているナースカートが公知である(例えば、下記非特許文献1を参照)。
【0003】
この種のナースカートは、キャスタを取り付けて床面上を移動可能とした脚ベースに支柱を立設し、その支柱の中間部に棚やトレーを支持させるとともに、支柱の上端部に天板を配設した構造を備えていることが通例である。ナースカートの使用者である看護師や介護士等は、棚やトレーを利用して必要な物品を収納するとともに、天板上に情報処理端末を載置して、病院や診療所内の各所に移動しながら業務を遂行する。
【0004】
病院や診療所における日々の重要な業務の一つとして、患者の体温、血圧、心拍数、呼吸数、血糖値、経皮的動脈血酸素飽和度、体重、体脂肪率、患者の歩数等といった、患者の身体に関するデータの測定及び記録が挙げられる。従来は、看護師や介護士等が、測定した患者のデータを自らの手で電子カルテ用の情報処理端末に入力していた。だが、このような手入力は、手間であり時間を要するだけでなく、ヒューマンエラー即ちデータの誤入力や未入力を招くことにもつながる。
【0005】
そこで、近時、患者の身体に関するデータを測定する機器に非接触ICカード(または、RFID(Radio Frequency IDentification))チップを実装しておき、ICカードリーダにより当該機器からデータを読み出してそのデータを直接情報処理端末に入力することが試みられている(例えば、下記非特許文献2を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、物品を運搬しつつ他の機器やICカード等から情報を取得する作業を簡便に行い得る搬送用什器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、キャスタが取り付けられて移動が可能であり天板が設けられた什器本体と、前記什器本体に支持されるとともに非接触ICカードリーダを保持しこれを外方に向けた姿勢で前記天板の外縁の近傍に位置づけるリーダ支持体とを具備
し、前記リーダ支持体が支持する非接触ICカードリーダが前記天板の上面よりも下方にあり、当該非接触ICカードリーダがその外面を直立または略直立させた姿勢をとる搬送用什器を構成した。
【0009】
前記什器本体には、物品を引っ掛けておくことのできるフックが設けられることがある。この場合、そのフックに非接触ICカードリーダに接続するコードを掛けることが可能である。
【0010】
また、本発明では、キャスタが取り付けられて移動が可能であり天板が設けられた什器本体と、前記什器本体に支持されるとともに非接触ICカードリーダを保持しこれを外方に向けた姿勢で前記天板の外縁の近傍に位置づけるリーダ支持体とを具備し、前記リーダ支持体が、非接触ICカードリーダを保持するための保持部と、前記什器本体における天板と天板の外縁に沿って伸びるステーとの間隙に挿入されてステーに掛け止められる掛止部とを備えてい
る搬送用什器を構成した。これにより、什器本体に対してリーダ支持体及びICカードリーダが脱着可能となる。
【0011】
並びに、本発明では、キャスタが取り付けられて移動が可能であり天板が設けられた什器本体と、前記什器本体に支持されるとともに非接触ICカードリーダを保持しこれを外方に向けた姿勢で前記天板の外縁の近傍に位置づけるリーダ支持体とを具備し、前記リーダ支持体が、非接触ICカードリーダを保持するための保持部と、非接触ICカードリーダの背面と保持部との間に介在して両者の間に所定寸法の距離を形成するスペーサとを備えてい
る搬送用什器を構成した。これにより、ICカードリーダから放射される電磁波の乱反射に起因したデータ読み取りエラーを低減または防止できる。
【0012】
本発明に係る搬送用什器は、特に、病院または診療所でナースカートとして好適に使用することができる。天板の外縁の近傍に配置された非接触ICカードリーダは、病院または診療所において、患者の身体に関するデータを取得する機器と交信して当該機器からデータを読み出すために機能する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、物品を運搬しつつ他の機器やICカード等から情報を取得する作業を簡便に行い得る搬送用什器を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1ないし
図3に示すように、本実施形態における搬送用什器たるナースカートは、キャスタ11が取り付けられて移動が可能であり天板4が設けられた什器本体0と、什器本体0に支持されるとともに非接触ICカードリーダ(または、リーダ/ライタ)8を保持しこれを外方に向けた姿勢で天板4の外縁の近傍に位置づけるリーダ支持体6とを具備する。
【0016】
什器本体0は、脚ベース1と、脚ベース1上に設立された支柱2と、支柱2の上端部に設けられた支持構造体3と、支持構造体3の上に配された天板4と、天板4の一端側に沿って天板4から離間した状態に設けられたハンドル5とを主たる構成要素とする。キャスタ11は、脚ベース1の下面側に複数個取り付けられている。
【0017】
支柱2は、上下方向に伸縮可能なテレスコピック構造をなしており、その伸縮を通じて支持構造体3、天板4及びハンドル5の高さ位置を調節することが可能である。支柱2には、各種物品を収納または載置することのできるトレー21や棚板等を複数段取り付けることができる。そのトレー21または棚板等の高さ位置は、使用者が任意に変更できる。
【0018】
支持構造体3は、天板4及び収納棚71、72、73を支持する構造体である。支持構造体3は、支柱2の上端に溶接等により剛結される横架材(図示せず)と、この横架材の両側端に溶接等により剛結されるステー32と、ステー32に固定される天板受け33とを備える。
【0019】
横架材は、金属例えばスチール製の板金素材を折曲加工して作製される、左右方向に拡張するチャネル状の部材である。横架材は、収納棚71、72、73の一部を支持して固定するためにも利用される。
【0020】
ステー32は、天板4の使用端側即ち使用者からみて手前側にある前縁及び左右両側縁に沿うように平面視略コ字型に延びる。このステー32は金属製、例えばスチールの円柱(または、円筒)パイプ材を平面視略コ字型に曲げたものである。ステー32の前部は、左右方向に沿って伸長する。ステー32の左右両側部は、前後方向に沿って互いに平行に伸長し、その各々が横架材の左右の側端部にそれぞれ溶接等される。
【0021】
天板受け33は、上下方向に所定寸法伸長した例えば樹脂一体成形品である。天板受け33の下端部には、内側方に向けて開口し、ステー32をくわえ込むことのできるような嵌合部331を形成している。嵌合部331の上下方向に沿った内寸は、ステー32の外形に略等しい。また、天板受け33の下端部における外側方を向いた側面に、物品を引っ掛けておくことのできるフック34を設けている。フック34は、天板受け33の外側面から外側方に突出している。このフック34はバンパーを兼ねており、その外側面は天板4の外縁即ち左右の側縁よりも外側方に位置して什器本体0の外方端となる。
【0022】
本実施形態にあって、天板受け33は、ステー32の左右の両側部にそれぞれ二個ずつ、前後方向に沿って所定距離離間させて配置されている。つまり、天板受け33は、計四個存在し、それぞれが天板の四隅を下方から支持する。
【0023】
図1に示しているように、天板4は、ラップトップ型パーソナルコンピュータやタブレット型コンピュータ等の情報処理端末91を載置または設置でき、かつその情報処理端末91を使用した作業を支障なく遂行できる程度の面積を有した、平面視略長方形状の平板な部材である。天板4は、例えば、木製の芯材の上面にメラミン樹脂板等の化粧板を貼付し、かつこれら芯材及び化粧板の周縁を端縁材で囲繞してなる。この天板4は、ナースカートの最上部に所在する。
【0024】
天板受け33と天板4とは、例えばボルトを用いて締結する。なお、そのボルトが、ステー32を貫通して当該ステー32を天板受け33に固定する手段を兼ねていることがある。
【0025】
本実施形態では、支柱2の上端に固定した横架材にステー32を固定し、そのステー32に複数の天板受け33を固定し、かつそれら複数の天板受け33に天板4を下方から支持させる。つまり、支柱2が、横架材、ステー32及び天板受け33を介して間接的に天板4を支持することになる。
【0026】
前後方向に延伸するステー32の左右両側部は、天板4の左右の側縁よりも内側方に位置する。だが、天板受け33の存在により、ステー32の左右両側部と天板4の下面との間には、使用者の手を挿入し得る程度の隙間が生じる。故に、ステー32の側部を使用者が側方から把持することが可能であり、ナースカートを移動させる際にこれをハンドル5代わりに利用できる。
【0027】
また、天板受け33がステー32と天板4との間に介在することにより、天板4の直下に所定寸法の空間が形成される。本実施形態のナースカートは、この天板4の直下の空間領域に、複数の収納棚71、72、73を備えている。
【0028】
機器収容棚71は、天板4上に載置した情報処理端末91に電力を供給する電源装置(バッテリ、AC/DCアダプタ等)その他必要な機器を設置するための棚である。この機器収容棚71は、天板4の反使用端寄りに配され、反使用端側即ち什器本体0の後方に開放している。
【0029】
ファイル棚72は、使用者が業務において使用するファイル、ノート、書類等の薄型の物品を収納するための棚である。このファイル棚72は、天板4の使用端寄りに配されることで、使用端側即ち什器本体0の前方に開放している。
【0030】
投げ込み棚73は、使用者が業務において使用する筆記具その他の小形の物品、小物類を投げ込むようにして収納するための棚である。投げ込み棚73は、天板4の使用端寄り、かつファイル棚72の下方に配されることで、前方に開放している。
【0031】
ハンドル5は、ステー32の左右両側部を相互に連結するように左右方向に伸長する前部を利用して構成され、支持構造体3に支持されている。ハンドル5は、天板4の使用端側即ち什器本体0の前方において、天板4の外縁(使用端縁及び使用端に近い側縁の一部分)に沿って設けられ、かつ天板4の上面及び下面よりも下方に偏倚した高さ位置に配されている。このハンドル5は、天板4の使用端縁よりも前方に張り出しており、ハンドル5と天板4の使用端縁との間には隙間が介在していて、使用者がこれを使用端側から容易に把持することができるようになっている。
【0032】
本実施形態のナースカートは、その什器本体0に、情報処理端末91と通信可能に接続する非接触ICカードリーダ8を取り付けることができる。非接触ICカードリーダ8は、RFIDタグまたはチップが実装されたICカードや機器92類と交信し、当該ICカードまたは機器92類が記憶保持しているデータを読み出すことができる。とりわけ、ナースカートが供用される病院または診療所において、患者の身体に関するデータを取得する機器92、例えば電子体温計、電子血圧計、血糖値測定器、パルスオキシメータ(非侵襲で脈拍数と経皮的動脈血酸素飽和度を測定する)、体組成計(体重、体脂肪率、基礎代謝量、筋肉量、水分量等を測定する)、歩数計等から、対象の患者の体温、血圧、血糖値、脈拍数、動脈血酸素飽和度、体重、体脂肪率、あるいは患者の歩数等といったデータを読み出して、情報処理端末91に入力する機能を提供する。非接触ICカードリーダ8は、USB(Universal Serial Bus)に代表される有線インタフェースを介して情報処理端末91に接続することもあれば、Bluetooth(登録商標)に代表される無線通信デバイスを介して情報処理端末91に接続することもある。
【0033】
図4及び
図5に示すように、什器本体0に非接触ICカードリーダ8を取り付けるためのリーダ支持体6は、金属製のホルダ61と、非金属製のスペーサ62とを構成要素とする。ホルダ61は、非接触ICカードリーダ8をスペーサ62とともに保持する保持部611と、什器本体0における天板4とステー32との間隙に挿入されてステー32に掛け止められる掛止部612とを備えている。
【0034】
ホルダ61は、例えばスチールの板金材を折曲成形して作製される。詳述すると、保持部611は、底壁611aと、底壁611aの前後両端から起立する端壁611bと、底壁611aの内方端から起立する背壁611cとが、上方及び外側方に開放する収容空間を囲うものであり、その収容空間内に非接触ICカードリーダ8及びスペーサ62を収容して保持する。底壁611aの外方端は、上方に屈曲している。また、前後の端壁611bの外方端は、互いに相寄るように前方または後方に屈曲している。それら屈曲片611dは、収容空間の外側方の境界に所在し、収容空間内に収容した非接触ICカードリーダ8及びホルダ61が什器本体0の外側方に脱落することを抑止する。
【0035】
端壁611bには、これを貫通するスロット孔611eを形成している。スロット孔611eは、情報処理端末91と非接触ICカードリーダ8とを有線で接続する場合に、その接続に用いる通信ケーブルや当該ケーブルのコネクタを通過させるために存在する。
【0036】
背壁611cは、収容空間内に収容された非接触ICカードリーダ8の背面82、即ちデータを読み取らせる際にICカードまたは機器92を近接ないし当接させる外面(タッチ面、カード読み取り面、かざし面)81とは反対側の面と対向する。背壁611cには、大径の孔611fをくり抜いて開設している。この大孔611fは、非接触ICカードリーダ8が放射する電磁波の反射によりデータの読み取りに支障を来すことを予防するためのものである。
【0037】
掛止部612は、背壁611cの前後両側から屈曲し内側方に突き出して延びている。掛止部612は、前後方向に沿って離間して対をなす。掛止部612の下縁612aは、什器本体0のステー32に上方から係合するべく、ステー32の外周面の形状に沿うように切り欠いてある。掛止部612の上縁612bと下縁612aとの上下方向に沿った距離は、什器本体0の天板4の下面とステー32との間の距離に略等しい。
【0038】
スペーサ62は、例えば合成樹脂製の一体成形品である。本実施形態では、上下一対のスペーサ62により、非接触ICカードリーダ8を挟持するようにしている。各スペーサ62はそれぞれ、チャネル状の断面形状をなし前後方向に沿って延伸する受枠621と、その受枠621の内側方の壁面から内方に突出した複数本のリブ622とを有している。
【0039】
什器本体0に非接触ICカードリーダ8を取り付けるにあたっては、まず、非接触ICカードリーダ8の上端部及び下端部を、上下のスペーサ62の受枠621にそれぞれはめ込む。その状態で、非接触カードリーダ8及びスペーサ62をホルダ61の収容空間内に収容することで、これら非接触カードリーダ8及びスペーサ62をホルダ61に保持させる。その際、非接触ICカードリーダ8の外面81をホルダ61の背壁611cから離反する外側方に向け、非接触ICカードリーダ8の背面82をホルダ61の背壁611cに臨む内側方に向ける。
【0040】
図5に示しているように、非接触カードリーダ8及びスペーサ62をホルダ61の収容空間内に収容すると、非接触ICカードリーダ8を挟持するスペーサ62の受枠621の外側方の壁面が、ホルダ61の保持部611の屈曲片611dに当接する。同時に、スペーサ62の受枠621の内側方の壁面から突出するリブ622が、ホルダ61の保持部611の背壁611cに当接する。これにより、非接触ICカードリーダ8がホルダ61に対して保定され、非接触ICカードリーダ8の背面82とホルダ61の保持部611の背壁611cとの間に、約10mmないしそれ以上の大きさの空隙が形成される。
【0041】
しかして、ホルダ61の掛止部612を什器本体0における天板4とステー32との間隙に挿入し、その掛止部612の下縁612aをステー32に上方から係合せしめることで、ホルダ61並びにこれに保持させた非接触ICカードリーダ8及びスペーサ62を什器本体0に支持させることができる。なお、このとき、必要であれば、一旦天板4を天板受け33から取り外し、ホルダ61の掛止部612をステー32に掛けた後、再び天板4を天板受け33に載置して当該天板4を天板受け33に締結するようにしても構わない。
【0042】
リーダ支持体6を介して什器本体0に支持された非接触ICカードリーダ8は、天板4の側縁の近傍かつ天板4よりも少しく下方に偏倚した高さに位置し、その外面81を直立または略直立させて什器本体0の外側方に向けた姿勢をとる。
【0043】
本実施形態のナースカートの使用者、例えば看護師や介護士等は、ハンドル5を把持してナースカートを運搬しつつ、病院または診療所内の各所に移動しながら業務を遂行する。そして、病院または診療所内に滞在する患者の身体に関するデータを機器92を使用して取得するとともに、
図1に示しているように、その使用機器92を非接触ICカードリーダ8の外面81にかざすように近接ないし当接させる。このような操作を通じて、機器92を使用して取得した患者の身体に関する情報を簡便に情報処理端末91に入力することができる。
【0044】
本実施形態では、キャスタ11が取り付けられて移動が可能であり天板4が設けられた什器本体0と、前記什器本体0に支持されるとともに非接触ICカードリーダ8を保持しこれを外方に向けた姿勢で前記天板4の外縁の近傍に位置づけるリーダ支持体6とを具備する搬送用什器を構成した。
【0045】
本実施形態によれば、物品を運搬しつつ、他の機器92やICカード等から情報を取得する作業を簡便に行うことができる。特に、本搬送用什器を病院または診療所内でナースカートとして使用する場合において、患者の身体に関するデータを取得する測定機器92を、天板4の外縁の近傍に配置された非接触ICカードリーダ8にかざす操作だけで、当該患者の身体に関するデータを情報処理端末91に入力することが可能となる。データの情報処理端末91への手入力の作業が不要となることから、業務遂行に要する時間が短縮するだけでなく、データの誤入力や未入力のおそれを著しく低減することにもなる。
【0046】
図3及び
図5に示すように、前記リーダ支持体6により保持された非接触ICカードリーダ8の外面81は、前記什器本体0の外方端即ちサイドフック34の外側端と略面一となり、またはサイドフック34の外方端よりも内方に位置する。非接触ICカードリーダ8が什器本体0から大きく外方に飛び出さないため、これが他の物品や什器、機器等と衝突することが回避される。
【0047】
非接触ICカードリーダ8は天板4の下方にあり、その外面81を起立させた姿勢をとるので、非接触ICカードリーダ8に大きな荷重が加わる機会に乏しい。従って、リーダ支持体6を頑強な構造物とする必要から解放され、リーダ支持体6を什器本体0に剛結せずともよくなる。
【0048】
前記リーダ支持体6は、非接触ICカードリーダ8を保持するための保持部611と、前記什器本体0における天板4と天板4の外縁に沿って伸びるステー32との間隙に挿入されてステー32に掛け止められる掛止部612とを備えており、什器本体0に対してリーダ支持体6及び非接触カードリーダ8を容易に脱着することが可能である。
【0049】
加えて、前記リーダ支持体6が、非接触ICカードリーダ8の背面82と保持部611との間に介在して両者の間に所定寸法の距離を形成するスペーサ62を備えている。これにより、非接触ICカードリーダ8の背面82が、金属製の部材であるホルダ61の保持部611の背壁611cや什器本体0のステー32から引き離され、非接触ICカードリーダ8から放射される電磁波の乱反射に起因したデータ読み取りエラーが低減または防止される。
【0050】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。上記実施形態では、非接触ICカードリーダ8を、使用者から見て天板4の右方の側縁の近傍に、その外面81を右側方に向けた姿勢で配置していた。だが、非接触ICカードリーダ8を、使用者から見て天板4の左方の側縁の近傍に、その外面81を左側方に向けた姿勢で配置してもよいことは言うまでもない。
【0051】
さらには、非接触ICカードリーダ8を、天板4の前縁の近傍に、その外面81を手前方に向けた姿勢で配置してもよく、あるいは、天板4の後縁の近傍に、その外面81を後方に向けた姿勢で配置してもよい。
【0052】
上記実施形態では、リーダ支持体6のホルダ61が金属製であったが、これを非金属製、例えば合成樹脂製の部材として作製することも考えられる。また、ホルダ61とスペーサ62とを一体に成形することを妨げない。
【0053】
本発明の適用対象は、ナースカートには限定されない。物品を運搬しつつ他の機器92やICカードからデータを読み取る作業に供与される搬送用什器一般に、本発明を適用することが許される。
【0054】
その他、各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。