(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受信時間情報と、前記フレームレート情報と、前記データレート情報とを一組の情報として管理する、受信情報管理部と、をさらに備える請求項3に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
<1.システム構成>
図1は、本実施形態のシステムの構成の例を示す図である。本実施形態のシステムは、複数の撮影端末100と、サーバ200から構成される。撮影端末100とサーバ200は通信事業者によって提供されるモバイル回線を通じて接続されており、撮影端末100は撮影した映像データをモバイル回線を介してサーバ200に送信する。本実施形態のサーバ200は、所定の期間における撮影端末100のデータ通信量の目標値を算出し、撮影端末100からの映像データの所定期間における受信時間を予測し、算出されたデータ通信量の目標値と、予測された映像データの受信時間に基づいて好適な撮影条件を決定する。
【0014】
上述したように通信事業者によって提供されるモバイル回線は、通信事業者との契約において、例えば1か月のような契約期間におけるデータ通信量の上限(契約データ通信量)が決められていることがある。契約データ通信量は、例えば各撮影端末100に対して設定されていてもよく、各システムに対して設定されてもよく、各契約主体に対して設定されてもよい。なお、以下では契約データ通信量は、全撮影端末100で共有する契約期間ごとに使用できるデータ量である例について説明される。
【0015】
また上述したように、データ通信量の実績値が契約データ通信量を超過した場合、モバイル回線の帯域が制限されることにより通信速度が遅くなることがある。また、データ通信量の実績値が契約データ通信量を超過した場合、超過したデータ通信量に対して割高な料金が設定されることがある。
【0016】
本実施形態における撮影端末100は、上述したようなモバイル回線を使用するスマートフォンなどの通信端末であってもよく、巡回車両(パトロール車両)に搭載されるドライブレコーダのような通信端末であってもよい。巡回車両(パトロール車両)は、ある程度決められた時間に決められたルートで巡回(パトロール)活動を行う。しかしながら巡回(パトロール)活動は、常に計画された時間およびルートで行われるものではなく、実際に行われる巡回(パトロール)活動は、計画された時間およびルートとは異なることがある。これによってサーバ200が、巡回車両(パトロール車両)に搭載されたドライブレコーダのような撮影端末100から映像データを受信する受信時間およびデータ量はある程度変動する。
【0017】
このような理由により、本実施形態のシステムは、特に巡回車両(パトロール車両)に搭載されるドライブレコーダのような、送信するデータ量およびデータを送信する送信時間が変動する通信端末に好適に適用される。なお、
図1では撮影端末100は3台記載されている。しかし撮影端末100の数はこれに限られない。例えば撮影端末100は1台であってもよく、3台よりも多くてもよい。以下では、撮影端末100およびサーバ200の各構成について説明される。
【0018】
(撮影端末100)
図1に示されるように、撮影端末100は撮影部102と、通信部104を備える。撮影部102は、CCD(Charge−Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を備えている。また、撮影部102は、設定によりフレームレート、解像度、カラー/白黒などの撮影条件を変更して動画を撮影することができ、撮影された映像を符号化する。
【0019】
このとき撮影部102は、使用目的によって求められる映像品質を維持するために、予め決められた解像度、量子化ステップサイズで符号化を行うことが好ましい。例えば上述したドライブレコーダのような撮影端末100は、車両などのナンバープレートにおけるナンバーを確認するために映像データを撮影することがある。このようにドライブレコーダでは、ナンバーを確認できるような解像度で撮影されることが好ましい。
【0020】
通信部104は、通信事業者によって提供されるモバイル回線を介して他の装置と通信して、信号/データ/情報などを送信、信号/データ/情報などを受信するために用いられる。例えば通信部104は通信事業者が設置した移動体ネットワークの基地局と通信して、接続に関わる信号を送信、受信することによって、撮影端末100は携帯電話網またはインターネットなどに接続される。なお、通信部104は、LTE(Long term evolution)などの3GPPで策定された無線通信用インタフェースを用いてもよい。
【0021】
(サーバ200)
以上では、本実施形態の撮影端末100の構成について説明された。以下では、本実施形態のサーバ200の構成について説明される。
図1に示されるように、本実施形態のサーバ200は、通信部202と、受信情報生成部204と、受信情報管理部206と、受信時間予測部208と、目標データ量算出部210と、撮影条件決定部212と、を備える。
【0022】
通信部202は、撮影端末100から送信される映像データを受信するために用いられる。例えば、通信部202は、携帯電話網またはインターネットなどを経由して、撮影端末100からモバイル回線を介して送信された映像データを受信する。
【0023】
受信情報生成部204は、通信部202が受信する映像データおよび映像データの受信時間に基づいて、撮影端末100から受信した映像データおよび撮影端末100から映像データを受信した受信時間に関する受信情報を生成する。受信情報生成部204は、生成した受信情報を受信情報管理部206に送る。なお、受信情報については後述される。
【0024】
受信情報管理部206は、受信情報生成部204が生成した受信情報を受け取り、テーブルを用いて受信情報を一組の情報として管理する。受信情報管理部206は、受信情報を所定の期間ごとに管理してもよい。例えば、上述した契約期間が1か月である場合、受信情報管理部206は、受信情報を契約期間に対応して月ごとに管理してもよい。また、受信情報管理部206は、複数年の受信情報を管理してもよい。例えば受信情報管理部206は、10年間の受信情報を管理してもよい。
【0025】
受信時間予測部208は、受信情報管理部206が管理する受信情報に基づいて現時点から所定の期間の映像データの受信時間を予測する。ここで受信時間予測部208は、契約期間に相当する期間における受信時間を予測してもよい。つまり受信時間予測部208は、契約期間が1か月である場合、1か月間における映像データが受信される受信時間の合計を予測する。
【0026】
受信時間予測部208が所定の期間における受信時間を予測する方法は、以下の方法がある。例えば契約期間が1か月である場合、受信時間予測部208は、現在から1か月間の受信時間の合計は過去のある1か月間の受信時間と等しいと仮定することによって受信時間を予測してもよい。このとき直近の1か月間の受信時間情報を用いることにより、直近の撮影端末100の動作傾向に沿った受信時間が予測される。
【0027】
また、受信時間予測部208は、上述したように受信情報管理部206によって所定の期間ごとに管理された受信時間情報を用いて、前年の同月または前年の同じ期間の受信時間情報を用いて、受信時間を予測してもよい。例えば受信時間予測部208が2016年2月の月初から月末までの1か月間の受信時間を予測するとき、1年前の2015年2月の月初から月末までの1か月間で実際に映像データが受信された受信時間を用いて、受信時間予測部208は受信時間を予測してもよい。このように使用時間の傾向が似ている前年の同月または前年の同じ期間の受信時間情報を用いて受信時間が予測されることによって、使用時期に応じた撮影端末100の受信時間が予測される。また、受信時間予測部208は、受信情報管理部206が管理する全期間における1か月間の平均受信時間を用いて、受信時間を予測してもよい。
【0028】
目標データ量算出部210は、現時点から所定の期間の映像データの通信量の目標値を算出する。例えば目標データ量算出部210は、契約期間が1か月であり、契約データ通信量のうち契約期間に使用しなかった残存データ量が次の契約期間に繰り越される契約である場合、月末に契約データ通信量の半分を使用し、残りの半分を翌月に繰り越すことを目標として、1か月後の映像データの通信量の目標値を算出してもよい。このように目標データ量算出部210がマージンを設定してデータの通信量の目標値を算出することによって、翌月のデータ通信量が一時的に増加しても、データ通信量が契約データ通信量を超過することを防ぐことができる。また、契約データ通信量の半分のマージンが設定されることによって次の契約期間において契約データ通信量の1.5倍までデータを使用することができる。
【0029】
次に撮影条件決定部212は、目標データ量算出部210が算出した映像データの通信量の目標値と、受信時間予測部208が予測した映像データの受信時間の合計とに基づいて映像データの撮影条件を決定する。撮影条件決定部212は、例えば撮影端末100が撮影するフレームレートを決定してもよい。フレームレートを決定することによって、上述したようなドライブレコーダにおいてナンバーを確認できるような一定の映像品質を維持することができる。
【0030】
<2.受信情報について>
以上では、本実施形態のシステムの構成について説明された。以下では、受信情報生成部204によって生成され、受信情報管理部206によって管理される受信情報について説明される。
図2は、サーバ200の通信部202が撮影端末100から映像データを受信した受信記録を示す図である。
【0031】
図2では、例えば撮影端末100Aから1月1日の10時から1月1日の12時まで映像データが受信されたことが示されている。このとき撮影端末100Aから受信された映像データは、フレームレートが3fps(フレーム/秒)であり、データレートは260kbpsであり、データサイズは120MBであることが示されている。同様に
図2では、撮影端末100Bから1月1日の11時から1月1日の13時までに受信された映像データは、フレームレートが10fpsであり、データレートは1600kbpsであり、データサイズは300MBであることが示されている。
【0032】
受信情報生成部204は、
図2で示されたような撮影端末100からの受信実績に基づいて受信情報を生成する。ここで受信情報は、各撮影端末100から映像データを受信した時間の長さを示す受信時間情報と、映像データのフレームレート情報と、データレート情報と、を含む。撮影端末100Aに関して
図2の例で生成される受信情報は、例えば受信時間情報が2時間であり、フレームレート情報が3fpsであり、データレート情報が260kbpsである。
【0033】
次に、受信情報管理部206が管理する受信情報に関するテーブルについて説明される。
図3は、受信情報生成部204が生成する受信情報に基づいて受信情報管理部206が各撮影端末100からの受信情報を一組の情報として管理するテーブルを示す図である。
図3に示されるように受信情報管理部206は、各撮影端末100において使用されたフレームレートごとに平均データレートと、受信時間情報を一組の情報として管理する。このように各撮影端末100におけるフレームレートと、平均データレートとの関係が受信情報管理部によって管理される。これによって、
図5において後述されるフレームレートと平均データレートとの関係を表すデータが作成される。
【0034】
ここで受信時間情報は、所定の期間で受信された受信時間の合計を意味する。例えば所定の期間が1か月である場合、
図3の例では、撮影端末100Aから1か月間で0.5fpsの映像データが合計2時間受信されたことが示されている。なお受信情報管理部206は、上述したように過去の一定期間(例えば10年)の受信情報をテーブルで管理してもよい。例えば契約期間が1か月である場合、受信情報管理部206は、受信情報を月ごとにテーブルで管理してもよい。
【0035】
<3.撮影条件決定部によるフレームレートの決定方法>
以上では、受信情報生成部204によって生成され、受信情報管理部206によって管理される受信情報について説明された。以下では、撮影条件決定部212が決定する撮影条件の決定方法について説明される。以下ではフレームレートが決定される例について説明される。
【0036】
図4は、データ通信量の実績値とデータ通信量の目標値との関係を示す図である。
図4では、黒星でデータ通信量の実績値が示され、白星でデータ通信量の目標値が示される。また、実線でデータ通信量の実績値の推移が示され、また点線でデータ通信量の目標値に基づく理想的なデータ通信量の推移が示される。
【0037】
図4において英字で示されている各パラメータについて説明される。
図4のTは契約期間であり、Lは契約期間Tにおいて全ての撮影端末100で使用できる契約データ通信量の合計である。Mは契約データ通信量を超過しないように設定されるマージンであり、
図4でマージンMは契約期間Tで使用できるデータ量Lの半分に設定されている。このようにマージンMが設定されることにより、1月末時点において2月末時点まで(2月の月初から月末まで)のデータ通信量の目標値が算出される。
【0038】
次に
図4のS1は、2月末でのデータ通信量の目標値と、1月末でのデータ通信量の実績値との差異を示す。つまりS1は、設定されたデータ通信量の目標値に基づいて、2月の月初から月末までの1か月間で使用できるデータ通信量を表す。
【0039】
ここで1月末時点において撮影条件決定部212が撮影条件を決定する決定方法について説明される。上述したように1月末時点で2月の月初から月末までの間で使用できるデータ通信量S1が算出され、また過去の受信時間情報に基づいて2月の月初から月末までの間(つまり契約期間T)に全ての撮影端末100からの映像データの受信時間の合計Yが予測される。例えば撮影端末100が2台であり、撮影端末100Aから2月の月初から月末までの間に30時間映像データが受信され、撮影端末100Bから2月の月初から月末までの間に20時間映像データが受信されると予測される場合、Yは50時間である。
【0040】
上述したように算出されたS1およびYを用いると、2月の月初から月末までの間における目標データレートZは、Z=S1/Yで表される。ここで目標データレートZが算出されると、撮影条件決定部212は、
図5に示されるように撮影端末100のフレームレートと平均データレートの関係を表すデータから目標データレートZに最も近いフレームレートを選択する。
図5ではデータレートは、5fpsのときに目標データレートに最も近い平均データレートとなるので、フレームレートは5fpsが選択される。
【0041】
ここで、前述したように
図5で示される撮影端末100の撮影端末100のフレームレートと平均データレートの関係を表すデータは、
図3で示された受信情報管理部206が管理する平均データレートとフレームレートの関係から作成される。なお、
図5に示される撮影端末100の撮影端末100のフレームレートと平均データレートの関係を表すデータは、各撮影端末100によって異なる。これは、各撮影端末100が使用される状況が異なることによって、符号化しやすい映像を撮影する撮影端末100と符号化しにくい映像を撮影する撮影端末100とがあることなどに起因する。
【0042】
上述したようにフレームレートが設定されると、各撮影端末100は設定されたフレームレートで撮影を行う。このようにデータ通信量の目標値に基づいて設定されたフレームレートで撮影が行われることによって、データ通信量の実績値が契約データ通信量を超過することを防ぐことができる。また、データ通信量の実績値が契約データ通信量を超過しない範囲で、契約データ通信量を効率的に使用することができる。
【0043】
次に2月末時点において撮影条件決定部212が撮影条件を決定する決定方法について説明される。1月末時点で2月の月初から月末までの間におけるデータ通信量の目標値が設定された方法と同様に、2月末時点においても3月の月初から月末までの間のデータ通信量の上限から所定のマージンMを残して3月末時点までのデータ通信量の目標値が設定される。
【0044】
ここで1月末時点と2月末時点において異なることは、前月からの繰り越しデータ量Cがあることである。多くのモバイル回線の契約では、前月に使い残したデータ量については、翌月に繰り越されるようになっており、さらに翌月に繰り越し可能なデータ量の上限は、例えば、契約期間Tで使用できるデータ量Lと同じデータ量であるとする。よって3月末でのデータ通信量の目標値と、2月末でのデータ通信量の実績値との差異S2は、2月末でのデータ通信量の目標値と、1月末でのデータ通信量の実績値との差異S1よりも大きくなる。以降は上述した方法と同様に、2月末から3月末の間に全ての撮影端末100からの映像データの受信時間の合計が予測され、2月末から3月末の間のフレームレートが決定される。
【0045】
なお、上述した例では、フレームレートの決定は1月末時点と2月末時点で行われた。しかし、
図4に白星と黒星で示されるように、フレームレートの決定は、1月末と2月末の間および2月末と3月末の間にも行われてもよい。またさらに言えば、フレームレートの決定は毎日行われてもよい。このようにフレームレートが決定される頻度が多くなることによって、よりデータ通信量の実績値とデータ通信量の目標値とが近づくことができる。
【0046】
また上述したフレームレートが決定される頻度は動的に変更されてもよい。例えばフレームレートが決定される頻度は、予測される映像データの受信時間の合計と映像データの受信時間の実績値との誤差に基づいて変更されてもよい。より詳細に説明すれば、フレームレートが決定される頻度は、予測される映像データの受信時間の合計の誤差の偏差に基づいて変更されてもよい。このように予測される映像データの受信時間の合計の誤差に基づいてフレームレートが決定される頻度が変更されることによって、予測される映像データの受信時間の誤差が大きいときは、より高い頻度でフレームレートが決定される。これにより、よりデータ通信量の実績値とデータ通信量の目標値とが近づくことができる。
【0047】
また、上述した例では、目標データレートZは、全ての撮影端末100に共通の値が算出された。しかし、目標データレートZは、それぞれの撮影端末100ごとに異なる値が設定されてもよい。例えば、撮影端末100の端末数をNとした場合、撮影条件決定部212は、ある撮影端末100Gに対する期間Tにおける映像データの受信時間の合計Y1を用いて、撮影端末100Gに対する目標データレートZ1を算出してもよい。このとき撮影端末100Gに対する目標データレートZ1は、Z1=S/N・Y1で算出される。
【0048】
このように撮影端末100ごとに予測される映像データの受信時間の合計を用いて目標データレートを設定することにより、各撮影端末100の動作条件に応じたフレームレートが設定される。上述の例では期間Tにおける映像データの受信時間の合計が長い撮影端末100には、低いデータレートが設定され、期間Tにおける映像データの受信時間の合計が短い撮影端末100には、高いデータレートが設定される。
【0049】
<4.サーバで行われる処理>
以上では本実施形態のシステムにおけるフレームレートの決定方法が説明された。以下では、サーバ200の各構成において行われる処理が説明される。
図6は、サーバ200が上述したような処理を行うときのフロー図である。最初にS100において受信情報管理部206は、撮影端末100からの映像データの受信実績に基づいて現在のデータ通信量の実績値を取得する。次にS102において目標データ量算出部210は、現在から所定期間後(例えば契約期間後)におけるデータ通信量の目標値を算出する。
【0050】
次にS104において撮影条件決定部212は、受信情報管理部206から現在のデータ通信量の実績値を取得し、また目標データ量算出部210から所定期間後におけるデータ通信量の目標値を取得する。そして撮影条件決定部212は、取得した現在のデータ通信量の実績値と、データ通信量の目標値との差異を算出する。
【0051】
次にS106において受信時間予測部208は、受信情報管理部206が管理する過去の受信時間の実績値に基づいて、現在から所定期間(例えば契約期間)に全ての撮影端末100から映像データを受信する受信時間の合計を予測する。そしてS108において撮影条件決定部212は、受信時間予測部208で予測された受信時間の合計と、当該撮影条件決定部212で算出された現在のデータ通信量とデータ通信量の目標値との差異から全ての撮影端末100に共通する目標データレートを算出する。
【0052】
そしてS110において撮影条件決定部212は、算出された目標データレートと、各撮影端末100における平均データレートとフレームレートとの関係を表すデータ(一例は、
図5を参照)から、好適なフレームレートを決定する。最後にS112において撮影条件決定部212は、決定されたフレームレートを示す指示を通信部202を介して各撮影端末100に送信する。
【0053】
なお上述した例では、S108において全ての撮影端末100に共通する目標データレートが算出された。しかし、
図7に示すように、それぞれの撮影端末100に異なる目標データレートが算出されてもよい。
【0054】
図7は、それぞれの撮影端末100に異なる目標データレートが算出される場合の処理を示すフロー図である。ここでS200〜S204およびS212は、
図6のS100〜S104およびS112に対応するため、説明は省略される。
【0055】
この例においてS206で受信時間予測部208は、受信情報管理部206が管理する過去の受信時間の実績値に基づいて、現在から所定期間(例えば契約期間)に撮影端末100から映像データを受信する受信時間をそれぞれの撮影端末100に対して予測する。
【0056】
次にS208において撮影条件決定部212は、受信時間予測部208で予測された各撮影端末100に対する受信時間と、当該撮影条件決定部212で算出された現在のデータ通信量とデータ通信量の目標値との差異を撮影端末100の総数で割ったデータ量とに基づいて、それぞれの撮影端末100に対する目標データレートを算出する。そしてS210において撮影条件決定部212は、算出された各撮影端末100に対する目標データレートと、各撮影端末100における平均データレートとフレームレートとの関係を表すデータから、好適なフレームレートを決定する。
【0057】
以上、サーバ200における処理について説明された。しかし、サーバ200における処理の順序は当然ながら上述した順序に限られない。例えば、所定期間の受信時間の合計が予測された後に現在のデータ通信量とデータ通信量の目標値との差異が算出されてもよい。
【0058】
<5.マージンが動的に変更される例>
以上では、データ通信量の実績値が契約データ通信量を超過することを防ぐために所定のマージンを残してデータ通信量の目標値が設定される実施形態について説明された。以下では、上述したマージンが動的に変更される実施形態について説明される。
【0059】
図8は、本実施形態におけるシステムの構成例を示すブロック図である。本実施形態のサーバ200は、設定されたデータ通信量の目標値とデータ通信量の実績値との誤差を算出する誤差算出部214を有する。
【0060】
図9は、誤差算出部214が算出する誤差を示すために
図4の一部が拡大された図である。
図9において白星で示される点は、目標データ量算出部210によって算出されるデータ通信量の目標値である。また、黒星で表される点は、サーバ200が実際に映像データを受信したデータ通信量の実績値を表す。そして誤差算出部214は、これらの白星と黒星との間の誤差Eを算出する。
【0061】
次に
図10は、誤差算出部214が算出する誤差に基づいてマージンが動的に変更されることを示す図である。
図10では、上述した例と同様に契約期間Tにおける契約データ通信量Lの半分が、2月末におけるマージンM1として設定される。一方、3月末に設定されるマージンM2は、誤差算出部214が算出する誤差に基づいて動的に変更される。
【0062】
例えば、2月末時点において3月末時点までのデータ通信量の目標値が設定され、同時にマージンM2が設定される場合、誤差算出部214は、2月末までの設定されたデータ通信量の目標値とデータ通信量の実績値との誤差を算出する。そして誤差算出部214が算出する誤差が大きい場合、目標データ量算出部210は3月末時点におけるマージンM2を大きく設定し、誤差算出部214が算出する誤差が小さい場合、目標データ量算出部210は3月末時点におけるマージンM2を小さく設定する。
【0063】
より詳細に説明すると、例えば誤差算出部214が算出した誤差が10%以内である場合、マージンを契約データ通信量の25%に設定し、誤差算出部214が算出した誤差が10%よりも大きく15%より小さい場合、目標データ量算出部210はマージンを契約データ通信量の50%に設定してもよい。また、誤差算出部214が算出した誤差が15%よりも大きい場合、目標データ量算出部210はマージンを契約データ通信量の65%に設定してもよい。
【0064】
上述したように、データ通信量の目標値とデータ通信量の実績値との誤差が大きい場合はマージンが大きく設定されることにより、より確実にデータ通信量の実績値が契約データ通信量を超過することを防ぐことができる。また、データ通信量の目標値とデータ通信量の実績値との誤差が小さい場合はマージンが小さく設定されることにより、より効率的に契約データ通信量を使用することができる。
【0065】
<6.補足>
なお、上述した実施形態では、データ通信量の目標値に基づいてフレームレートが変更された。しかし変更されるパラメータはフレームレートに限られない。例えば一定の範囲で映像品質の変化を許容できる場合、解像度または量子化ステップサイズが変更されてもよい。つまり、高いフレームレートが採用される代わりに、映像品質が落とされてもよい。また撮影条件は、カラー撮影から白黒撮影に切り替えられてもよい。
【0066】
また、上述した例では受信時間予測部208は、過去の受信時間の実績値に基づいて受信時間を予測した。しかし、予め業務計画などから今後の受信時間がより正確に予測できる場合、その業務計画に基づいた受信時間が用いられてもよい。
【0067】
また、上述した実施形態では撮影端末100は、撮影部102と通信部104を備えていた。しかし撮影端末100は通信部104を備えなくてもよい。例えば撮影部102を備える撮影端末100が撮影した映像データを通信部104を有する通信端末に送信し、通信部104を有する通信端末が撮影端末100から受信した映像データを転送する構成であってもよい。
【0068】
なお、本明細書において説明した一連の処理は、CPUなどのプロセッサを有するコンピュータを、受信情報生成部204、受信情報管理部206、受信時間予測部208、目標データ量算出部210、撮影条件決定部212および誤差算出部214として機能させ、上述した処理を行わせるように構成されたプログラムによって実現されてもよい。プログラムは、例えば、装置の内部又は外部に設けられる記憶媒体(非一時的な媒体:non-transitory media)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。
【0069】
<7.むすび>
以上説明したように、本実施形態に係るサーバ200は、映像データの通信量の目標値と映像データの受信時間の合計とに基づいて、好適な映像データの撮影条件を決定する。このような構成によって、契約期間において、データ通信量の実績値が契約データ通信量を超過することを防ぐことができる。また、データ通信量の実績値が契約データ通信量を超過しない範囲で、契約データ通信量を効率的に使用することができる。
【0070】
また、本実施形態に係るサーバ200は、契約データ通信量の一部をマージンとして残すように映像データの通信量の目標値を設定する。このような構成によって、たとえ次の契約期間においてデータ通信量の実績値が増加した場合であっても、データ通信量の実績値が契約データ通信量を超過することを防ぐことができる。
【0071】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。