特許第6747378号(P6747378)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6747378表示入力装置およびそれを備えた画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6747378
(24)【登録日】2020年8月11日
(45)【発行日】2020年8月26日
(54)【発明の名称】表示入力装置およびそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0487 20130101AFI20200817BHJP
   G06F 3/0488 20130101ALI20200817BHJP
   G06F 3/0481 20130101ALI20200817BHJP
【FI】
   G06F3/0487
   G06F3/0488
   G06F3/0481 170
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-97839(P2017-97839)
(22)【出願日】2017年5月17日
(65)【公開番号】特開2018-195041(P2018-195041A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2019年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 崇
【審査官】 滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−113644(JP,A)
【文献】 特表2009−537051(JP,A)
【文献】 特開2006−221568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0487
G06F 3/0481
G06F 3/0488
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作画面を表示するタッチパネルディスプレイと、
前記タッチパネルディスプレイに対して行われた操作を認識する制御部と、を備え、
前記操作画面は、複数の設定項目からユーザー指定の前記設定項目を受け付けるための画面であり、複数の前記設定項目にそれぞれ対応する複数のソフトウェアボタンを含み、
前記タッチパネルディスプレイは、前記操作画面上にガジェットを重畳表示し、
前記ガジェットは、数値入力操作をユーザーから受け付けるためのテンキーボードであり、
前記制御部は、前記タッチパネルディスプレイが前記操作画面上に前記ガジェットを重畳表示している状態で、前記タッチパネルディスプレイに対して行われたタッチの位置が前記ガジェットの表示領域内の位置であることを検知したとき、前記タッチの押圧力が予め定められた閾値以上であるか否かの判断を行い、
前記制御部は、前記タッチの押圧力が前記閾値未満であるとき、前記タッチが前記ガジェットを対象にした操作であると認識する一方、前記タッチの押圧力が前記閾値以上であるとき、前記タッチの位置を含む領域が表示領域に設定されている前記ソフトウェアボタンが前記操作画面の構成要素として存在すれば、前記タッチが前記ソフトウェアボタンを対象にした操作であると認識し、
前記制御部は、前記タッチの押圧力が前記閾値以上であるとき、前記ガジェットのうち前記タッチの位置に対応する部分の表示を停止する表示停止処理を前記タッチパネルディスプレイに行わせ、前記ガジェットのうち前記タッチの位置に対応する部分以外の部分を表示させつつ、前記タッチの位置を含む領域が表示領域に設定されている前記ソフトウェアボタンであって前記ガジェットが表示されたことによって非表示となっていた前記ソフトウェアボタンを表示させ、
前記制御部は、前記タッチが前記ソフトウェアボタンを対象にした操作であると認識して以降、前記タッチの押圧力が前記閾値未満になってから前記タッチが解除されることなく所定時間が経過したとき、前記タッチの位置を含む領域が表示領域に設定されている前記ソフトウェアボタンに対する操作がキャンセルされたと判断し、前記タッチが前記ガジェットを対象にした操作であると認識し、前記ガジェットの全部分を表示する処理を前記タッチパネルディスプレイに行わせることを特徴とする表示入力装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記タッチが前記ソフトウェアボタンを対象にした操作であると認識して以降、前記タッチの押圧力が前記閾値未満になってから前記所定時間が経過する前に前記タッチが解除されたとき、前記タッチの位置を含む領域が表示領域に設定されている前記ソフトウェアボタンに割り当てられた処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の表示入力装置。
【請求項3】
前記タッチパネルディスプレイを振動させるための振動発生部を備え、
前記制御部は、前記タッチの押圧力が前記閾値以上であるとき、前記振動発生部を制御し、前記タッチパネルディスプレイを振動させることを特徴とする請求項1または2に記載の表示入力装置。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載の表示入力装置を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示入力装置およびそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機のような画像形成装置には、表示入力装置(操作パネルなどと称される)が設置される。画像形成装置に設置された表示入力装置は、たとえば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の表示入力装置は、タッチパネルディスプレイを備える。タッチパネルディスプレイは、画像形成装置にて実行されるジョブの実行条件を設定する操作を受け付けるための操作画面を表示する。そして、ジョブの実行条件を設定するとき、ユーザーは操作画面に対してタッチ操作(タップ操作)やジェスチャー操作(たとえば、フリック操作)などを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−95576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示入力装置には、操作画面上にガジェットを重畳表示することが可能なものがある。たとえば、メモ帳(付箋)やカレンダー、電卓などをガジェットとして操作画面上に重畳表示することができる。
【0006】
表示入力装置が表示する操作画面には、通常、構成要素としてソフトウェアボタンが含まれる。操作画面上に重畳表示されるガジェットの表示領域がソフトウェアボタン(操作画面の構成要素)の表示領域と重なる場合には、ソフトウェアボタンが非表示とされる。この場合、ガジェットと重なるソフトウェアボタン(非表示となっているソフトウェアボタン)に対する操作を行うには、ガジェットの表示を停止する操作やガジェットを移動させる操作などを別途行わなければならず、ユーザーにとっては煩わしく利便性が悪い。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、操作画面上にガジェットが重畳表示された状態において、ガジェットと重なるソフトウェアボタンに対する操作を簡単に行えるようにすることでユーザーの利便性を向上させることが可能な表示入力装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の表示入力装置は、操作画面を表示するタッチパネルディスプレイと、タッチパネルディスプレイに対して行われた操作を認識する制御部と、を備える。制御部は、タッチパネルディスプレイが操作画面上にガジェットを重畳表示している状態で、タッチパネルディスプレイに対して行われたタッチの位置がガジェットの表示領域内の位置であることを検知したとき、タッチの押圧力が予め定められた閾値以上であるか否かの判断を行う。制御部は、タッチの押圧力が閾値未満であるとき、タッチがガジェットを対象にした操作であると認識する一方、タッチの押圧力が閾値以上であるとき、タッチの位置を含む領域が表示領域に設定されているソフトウェアボタンが操作画面の構成要素として存在すれば、タッチがソフトウェアボタンを対象にした操作であると認識する。
【0009】
本発明の構成では、操作画面の構成要素であるソフトウェアボタンがガジェットと重なっているとき(ソフトウェアボタンが非表示となっているとき)、ガジェットの表示領域内の位置に対して閾値未満の弱い押圧力でタッチを行えば、当該タッチがガジェットに対する操作であると認識される。一方で、ガジェットの表示領域内の位置(ガジェットが表示されていることによって非表示となっているソフトウェアボタンが本来表示されるべき位置)に対して閾値以上の強い押圧力でタッチを行えば、当該タッチがガジェットと重なるソフトウェアボタンに対する操作であると認識される。これにより、ガジェットの表示を停止する操作やガジェットを移動させる操作などを別途行わなくても(簡単に)、ガジェットと重なるソフトウェアボタンに対する操作を行うことができる。その結果、ユーザーの利便性が向上する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の構成では、操作画面上にガジェットが重畳表示されているとき、ガジェットと重なるソフトウェアボタンに対する操作を簡単に行えるので、ユーザーの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による操作パネルを備える画像形成装置の構成を示す図
図2】本発明の一実施形態による操作パネルの外観を示す図
図3】本発明の一実施形態による操作パネルの表示画面を示す図
図4】本発明の一実施形態による操作パネルの表示画面を示す図
図5】本発明の一実施形態による操作パネルの表示画面上に重畳表示されたガジェットを示す図
図6】本発明の一実施形態による操作パネルの表示画面上に重畳表示されたガジェットがソフトウェアボタンと重なっている状態を示す図
図7】本発明の一実施形態による操作パネルが行う表示停止処理(第1処理)について説明するための図
図8】本発明の一実施形態による操作パネルが行う表示停止処理(第2処理)について説明するための図
図9】本発明の一実施形態による操作パネルが行う操作認識処理の流れを示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<画像形成装置の本体構成>
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置100は、画像読取部1と印刷部2とを備える。画像読取部1は、原稿を読み取って原稿の画像データを生成する。印刷部2は、画像データ(たとえば、画像読取部1による原稿の読み取りによって得られた原稿の画像データ)に基づく画像を用紙に印刷する。
【0013】
また、画像形成装置100は、本体制御部110を備える。本体制御部110は、本体CPU111、画像処理部112および本体記憶部113を含む。画像処理部112は、画像データに対して種々の画像処理を行う。本体記憶部113は、画像形成装置100の各部の動作を制御するためのプログラムや画像処理を制御するためのプログラム、各種制御に必要なデータなどを記憶する。本体制御部110は、本体記憶部113に記憶されたプログラムおよびデータに基づき、画像読取部1や印刷部2の動作を制御したり、画像データに対する画像処理を行ったりする。
【0014】
<操作パネルの構成>
画像形成装置100は、図2に示すような操作パネル3を備える。操作パネル3は「表示入力装置」に相当する。なお、図2に示す操作パネル3は一例であり、操作パネル3の形状などは特に限定されない。
【0015】
操作パネル3は、図1および図2に示すように、タッチパネルディスプレイ31を備える。タッチパネルディスプレイ31は、表示パネル32およびタッチパネル33を含む。表示パネル32は、液晶表示パネルである。タッチパネル33は、表示パネル32の表面上に設置される。タッチパネルディスプレイ31は、各種設定を受け付けるためのソフトウェアボタンやメッセージなどを含む画面を表示パネル32に表示する。また、タッチパネルディスプレイ31は、タッチパネル33を介してユーザーから操作を受け付ける。
【0016】
たとえば、タッチパネルディスプレイ31は、画像形成装置100によるジョブの実行に際して、ジョブに関する設定用の画面を表示する。そして、タッチパネルディスプレイ31は、ジョブに関する設定を受け付ける。また、タッチパネルディスプレイ31は、画像形成装置100の状態(たとえば、用紙残量やトナー残量など)を報知するためのメッセージを表示する。
【0017】
なお、操作パネル3には、ジョブの実行指示をユーザーから受け付けるためのスタートボタンやジョブのストップ指示をユーザーから受け付けるためのストップボタンなど、種々のハードウェアボタン34も設けられる。
【0018】
操作パネル3は、パネル制御部130を備える。パネル制御部130は「制御部」に相当する。パネル制御部130は、パネルCPU131およびパネルメモリー132(ROMやRAMなど)を含む。パネルメモリー132には、タッチパネルディスプレイ31に画面を表示させるための表示プログラムや、タッチパネルディスプレイ31に表示する画面の画面データなどが記憶される。
【0019】
パネル制御部130は、本体制御部110に接続され、本体制御部110から指示を受け、操作パネル3を制御する。たとえば、パネル制御部130は、操作パネル3に対して行われた操作(タッチパネルディスプレイ31に対する操作やハードウェアボタン34に対する操作)を検知する。そして、パネル制御部130は、操作パネル3に対する操作に応じた処理をタッチパネルディスプレイ31に行わせる。また、パネル制御部130は、操作パネル3に対する操作の内容を示す操作情報を本体制御部110に通知する。
【0020】
パネル制御部130は、タッチパネルディスプレイ31に対する操作の内容(操作されたソフトウェアボタン)を認識するため、タッチパネル33の出力に基づき、タッチパネルディスプレイ31に対するタッチの位置(座標)を検知する。たとえば、タッチパネル33の出力とタッチの位置との対応関係を示す情報はパネルメモリー132に予め記憶される。パネル制御部130は、タッチの位置を検知すると、当該検知したタッチの位置と表示画面の画面データとを比較し、タッチの位置に表示されているソフトウェアボタンを認識する(当該ソフトウェアボタンが操作されたと認識する)。
【0021】
また、パネル制御部130は、タッチパネルディスプレイ31に対するタッチの押圧力を検知する。たとえば、タッチパネルディスプレイ31は、圧力検知部35を備える。圧力検知部35は、複数(たとえば、4つ)の歪ゲージ式圧力センサーを含む。各圧力センサーは、タッチパネル33に設置される。パネル制御部130は、タッチパネルディスプレイ31に対するタッチを検知すると、圧力検知部35の各圧力センサーの出力値を平均した値をタッチの押圧力として求める。パネル制御部130は、タッチパネルディスプレイ31に対するタッチが解除されるまで、タッチの押圧力を検知する(タッチの押圧力の経時的な変化を検知する)。
【0022】
なお、タッチパネルディスプレイ31には、振動発生部36が備えられる。振動発生部36は、複数の圧電素子および各圧電素子に駆動電圧を印加する駆動回路を含む。パネル制御部130は、振動発生部36に接続され、駆動回路による各圧電素子への駆動電圧を制御し、各圧電素子を適切なタイミングで駆動させる。各圧電素子が駆動すると、タッチパネルディスプレイ31が振動する。
【0023】
<操作パネルの表示画面>
操作パネル3は、図3および図4に示すような操作画面300を表示し、設定操作や選択操作などをユーザーから受け付ける。操作パネル3が表示する操作画面300は、ソフトウェアボタンBを構成要素(画面要素)として含む。操作画面300に配されるソフトウェアボタンBの個数は様々であり、複数の場合もあるし、1つの場合もある。
【0024】
図3に示す操作画面300(310)は、用紙サイズや濃度などコピージョブの実行条件として設定可能な複数の設定項目からユーザー指定の設定項目(設定値をデフォルト値から変更したい設定項目)を受け付けるための画面であり、複数の設定項目にそれぞれ対応する複数の項目選択ボタンB1をソフトウェアボタンBとして含む。操作画面310では、設定項目を選択する選択操作の受け付けが行われる。
【0025】
図4に示す操作画面300(320)は、コピージョブで使用する用紙サイズの設定をユーザーから受け付けるための画面であり、複数の用紙サイズにそれぞれ対応する複数のサイズ設定ボタンB2をソフトウェアボタンBとして含む。操作画面320では、用紙サイズを設定する設定操作の受け付けが行われる。
【0026】
パネル制御部130は、複数のソフトウェアボタンBのいずれかの表示領域においてタッチを検知すると、当該検知したタッチの位置に表示されているソフトウェアボタンBを操作対象と認識する(当該検知したタッチがソフトウェアボタンBを対象にした操作であると認識する)。その後、操作対象のソフトウェアボタンBの表示領域に対するタッチが解除されたことを検知すると、パネル制御部130は、操作対象のソフトウェアボタンBに割り当てられた処理を実行する。
【0027】
たとえば、図3に示す操作画面310において、用紙サイズと表記されたソフトウェアボタンB(以下、用紙サイズボタンBと称する場合がある)の表示領域がタッチされ、タッチが解除されたとする。この場合、パネル制御部130は、図4に示す操作画面320をタッチパネルディスプレイ31に表示させる処理を実行する。これにより、タッチパネルディスプレイ31に操作画面320が表示されるので、ユーザーは用紙サイズの設定を行うことができるようになる。
【0028】
<ガジェットの表示>
操作パネル3には、ハードウェアボタン34として、操作画面300上で動作するガジェットプログラムを起動する操作をユーザーから受け付けるためのガジェットボタンGB(図2参照)が設けられる。パネル制御部130は、ガジェットボタンGBに対する操作を検知すると、ガジェットプログラムの機能を利用するためのガジェット(グラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)画像)をタッチパネルディスプレイ31に表示させる。このとき、タッチパネルディスプレイ31は、操作画面300上にガジェットを重ねて表示する。なお、ガジェットはウィジェットと称される場合もある。
【0029】
たとえば、図5に示すように、数値入力操作をユーザーから受け付けるためのテンキーボードのガジェット400が操作画面300に重畳表示される。数値入力欄301(図5では、コピー部数を入力する欄)を構成要素として含む操作画面300上にガジェット400を表示した場合には、ガジェット400に対する操作により、数値入力欄301に数値を入力することができる。
【0030】
なお、操作画面300上に重畳表示されるガジェットの種類は特に限定されない。図示しないが、テンキーボードのガジェット400の他に、電卓、メモ帳(付箋)およびタイマーなどのガジェットが操作画面300上に重畳表示されてもよい。
【0031】
ここで、図5に示す例では、操作画面300上に重畳表示されたガジェット400は操作画面300のソフトウェアボタンBに重なっていない。言い換えると、ガジェット400の表示領域には操作画面400のソフトウェアボタンBが存在しない。
【0032】
この場合、パネル制御部130は、タッチパネルディスプレイ31に対して行われたタッチの位置がガジェット400の表示領域内の位置であることを検知すると、タッチパネルディスプレイ31に対するタッチがガジェット400を対象にした操作であると認識する。その後、タッチパネルディスプレイ31に対するタッチが解除されたことを検知すると、パネル制御部130は、タッチパネルディスプレイ31に対して行われたタッチがガジェット400に対する有効な操作であると判断し、ガジェット400に対する操作の内容に応じた処理を実行する。当該処理がパネル制御部130により実行されることによって、数値入力欄301に数値が入力される(あるいは、数値入力欄301に入力された数値が変更される)。
【0033】
ところで、操作画面300上におけるガジェット400の表示位置は変更可能である。ガジェット400の位置変更はドラッグアンドドロップ操作によって行うことができる。このように操作画面300上におけるガジェット400の表示位置が変更可能であれば、図6に示すように、操作画面300上のソフトウェアボタンBと重なる位置にガジェット400が移動される場合がある。この場合には、ガジェット400と重なるソフトウェアボタンBの全部分または一部分(ガジェット400と重なる部分)が非表示となる。
【0034】
たとえば、ガジェット400が用紙サイズボタンBと重なり、それによって用紙サイズボタンBが非表示になったとする。この場合、ガジェット400の表示位置を移動する(たとえば、図6下図の状態から図6上図の状態に戻す)ことにより、用紙サイズボタンBが再表示される。これにより、用紙サイズボタンBに対する操作を行うことができるようになる。なお、ガジェット400の表示を停止した場合にも、用紙サイズボタンBが再表示される。たとえば、ガジェット400の停止ボタン401に対して操作を行うことにより、ガジェット400の表示を停止することができる。あるいは、ガジェット400が表示されている状態で、ガジェットボタンGBに対して再度操作を行った場合にも、ガジェット400の表示を停止することができる。
【0035】
しかし、ユーザーからすると、ガジェット400を移動させる操作を行ったり、ガジェット400の表示を停止する操作を行ったりするのは煩わしい。
【0036】
そこで、パネル制御部130は、タッチパネルディスプレイ31が操作画面300上にガジェット400を重畳表示している状態で、タッチパネルディスプレイ31に対して行われたタッチの位置がガジェット400の表示領域内の位置であることを検知したとき、タッチパネルディスプレイ31に対するタッチの押圧力が予め定められた閾値以上であるか否かの判断を行う。そして、タッチパネルディスプレイ31に対するタッチの押圧力が閾値以上ではない(閾値未満である)と判断したとき、パネル制御部130は、タッチパネルディスプレイ31に対するタッチがガジェット400を対象にした操作であると認識する。
【0037】
その一方、タッチパネルディスプレイ31に対するタッチの押圧力が閾値以上であると判断したとき、パネル制御部130は、タッチパネルディスプレイ31に対するタッチがガジェット400を対象にした操作ではないと認識する。この場合、パネル制御部130は、タッチパネルディスプレイ31に対するタッチの位置を含む領域が表示領域に設定されているソフトウェアボタンBが操作画面300の構成要素として存在すれば、タッチパネルディスプレイ31に対するタッチが当該ソフトウェアボタンBを対象にした操作であると認識する。
【0038】
また、パネル制御部130は、タッチパネルディスプレイ31に対して行われたタッチの位置がガジェット400の表示領域内の位置であり、かつ、タッチの押圧力が閾値以上であるとき、ガジェット400の全部分の表示を停止する表示停止処理(第1処理)をタッチパネルディスプレイ31に行わせる。あるいは、パネル制御部130は、ガジェット400のうちタッチの位置に対応する部分(タッチの位置の周辺部分も含む)の表示を停止する表示停止処理(第2処理)をタッチパネルディスプレイ31に行わせる。
【0039】
たとえば、図6下図の状態から、ガジェット400の表示領域(用紙サイズボタンBに対応する領域)に対するタッチが行われたとする。また、タッチの押圧力が閾値以上であったとする。この例において、表示停止処理として第1処理が行われた場合には、図7に示すように、ガジェット400の全部分の表示が停止される。表示停止処理として第2処理が行われた場合には、図8に示すように、ガジェット400のうちタッチの位置に対応する部分だけの表示が停止される。図7および図8では、タッチの位置を手画像で示す(人差し指の先端がタッチの位置である)。
【0040】
また、パネル制御部130は、タッチパネルディスプレイ31に対して行われたタッチの位置がガジェット400の表示領域内の位置であり、かつ、タッチの押圧力が閾値以上であるとき、振動発生部36に振動を発生させる。これにより、タッチパネルディスプレイ31が振動する。そして、このとき、タッチパネルディスプレイ31の振動がユーザーに伝わる。
【0041】
なお、音データを再生して音を出力する音出力部を操作パネル3に設けてもよい。そして、タッチパネルディスプレイ31に対して行われたタッチの位置がガジェット400の表示領域内の位置であり、かつ、タッチの押圧力が閾値以上であるとき、予め定められた報知音を音出力部から出力してもよい。特に限定されないが、物体が割れたような音が音出力部から出力されてもよい。
【0042】
以下に、図9に示すフローチャートを参照し、パネル制御部130により行われる操作認識処理(タッチの押圧力に基づき操作を認識する処理)の流れを説明する。図9に示すフローチャートのスタート時点では、タッチパネルディスプレイ31が操作画面300上にガジェット400を重畳表示しているとする。そして、この状態で、タッチパネルディスプレイ31に対してタッチが行われ、タッチパネルディスプレイ31に対するタッチの位置がガジェット400の表示領域内の位置であることをパネル制御部130が検知したとき、図9に示すフローチャートがスタートする。
【0043】
ステップS1において、パネル制御部130は、タッチの押圧力が閾値以上であるか否か(あるいは、タッチの押圧力が閾値未満から閾値以上に変化したか否か)を判断する。その結果、タッチの押圧力が閾値以上ではない(閾値未満である)とパネル制御部130が判断した場合には、ステップS2に移行する。この場合、パネル制御部130は、タッチパネルディスプレイ31に対するタッチがガジェット400を対象にした操作であると認識する。
【0044】
ステップS2に移行すると、パネル制御部130は、タッチの押圧力が閾値以上になることなく、タッチが解除されたか否かを判断する。その結果、タッチが解除されたとパネル制御部130が判断した場合には、ステップS3に移行し、タッチが解除されていないとパネル制御部130が判断した場合には、ステップS1に移行する。
【0045】
ステップS3に移行すると、パネル制御部130は、タッチパネルディスプレイ31に対して行われたタッチがガジェット400に対する有効な操作であると判断し、ガジェット400に対する操作の内容に応じた処理を実行する。このとき、タッチの押圧力は閾値未満であるので、ガジェット400の表示を停止する表示停止処理は行われない。
【0046】
ステップS1において、タッチの押圧力が閾値以上である(あるいは、タッチの押圧力が閾値未満から閾値以上に変化した)とパネル制御部130が判断した場合には、ステップS4に移行する。この場合、パネル制御部130は、タッチパネルディスプレイ31に対するタッチがガジェット400を対象にした操作ではないと認識する。
【0047】
ステップS4に移行すると、パネル制御部130は、振動発生部36を制御し、タッチパネルディスプレイ31を一時的に振動させる。また、ステップS5において、パネル制御部130は、表示停止処理(第1処理または第2処理)をタッチパネルディスプレイ31に行わせる。操作パネル3に音出力部を設ける場合には、このときに、音出力部から報知音を出力すればよい。
【0048】
ステップS6において、パネル制御部130は、タッチの位置を含む領域が表示領域に設定されているソフトウェアボタンB(操作画面300上にガジェット400が重畳表示されたことによって全部分または一部分が非表示となっていたソフトウェアボタンB)が操作画面300の構成要素として存在するか否かを判断する。その結果、当該ソフトウェアボタンBが存在するとパネル制御部130が判断した場合には、ステップS7に移行する。この場合、パネル制御部130は、タッチパネルディスプレイ31に対するタッチが当該ソフトウェアボタンBを対象にした操作であると認識する。以下の説明では、当該ソフトウェアボタンBを対象ボタンBと称し、他のソフトウェアボタンBと区別する。
【0049】
ステップS7に移行すると、パネル制御部130は、タッチの押圧力が閾値以上から閾値未満に変化したか否かを判断する。その結果、タッチの押圧力が閾値未満になったとパネル制御部130が判断した場合には、ステップS8に移行し、タッチの押圧力が閾値未満になっていないとパネル制御部130が判断した場合には、ステップS7の処理(パネル制御部130による判断)が繰り返される。
【0050】
ステップS8に移行すると、パネル制御部130は、所定条件が満たされたか否かを判断する。その結果、所定条件が満たされたとパネル制御部130が判断した場合には、ステップS9に移行する。ここで、パネル制御部130は、タッチの押圧力が閾値未満になってから所定時間が経過する前にタッチが解除されると、所定条件が満たされたと判断する。ステップS9に移行すると、パネル制御部130は、タッチパネルディスプレイ31に対して行われたタッチが対象ボタンBに対する有効な操作であると判断し、対象ボタンBに割り当てられた処理を実行する。
【0051】
ステップS8において、所定条件が満たされていないとパネル制御部130が判断した場合には、ステップS10に移行する。なお、パネル制御部130は、タッチの押圧力が閾値未満になってからタッチが解除されることなく所定時間が経過すると、所定条件が満たされていないと判断する。この場合、パネル制御部130は、対象ボタンBに対する操作がキャンセルされたと判断し、タッチパネルディスプレイ31に対するタッチがガジェット400を対象にした操作であると認識する。
【0052】
ステップS10に移行すると、パネル制御部130は、ガジェット400の表示状態を元の表示状態に戻す表示復帰処理(ガジェット400の全部分を表示する処理)をタッチパネルディスプレイ31に行わせる。なお、ステップS6において、対象ボタンBが存在しないとパネル制御部130が判断した場合にも、ステップS10に移行する。その後、ステップS2に移行する。
【0053】
本実施形態の操作パネル3(表示入力装置)は、上記のように、操作画面300を表示するタッチパネルディスプレイ31と、タッチパネルディスプレイ31に対して行われた操作を認識するパネル制御部130(制御部)と、を備える。パネル制御部130は、タッチパネルディスプレイ31が操作画面300上にガジェット400を重畳表示している状態で、タッチパネルディスプレイ31に対して行われたタッチの位置がガジェット400の表示領域内の位置であることを検知したとき、タッチの押圧力が予め定められた閾値以上であるか否かの判断を行う。パネル制御部130は、タッチの押圧力が閾値未満であるとき、タッチがガジェット400を対象にした操作であると認識する一方、タッチの押圧力が閾値以上であるとき、タッチの位置を含む領域が表示領域に設定されているソフトウェアボタンBが操作画面300の構成要素として存在すれば、タッチが当該ソフトウェアボタンBを対象にした操作であると認識する。
【0054】
本実施形態の構成では、操作画面300の構成要素であるソフトウェアボタンBがガジェット400と重なっているとき(当該ソフトウェアボタンBが非表示となっているとき)、ガジェット400の表示領域内の位置に対して閾値未満の弱い押圧力でタッチを行えば、当該タッチがガジェット400に対する操作であると認識される。一方で、ガジェット400の表示領域内の位置に対して閾値以上の強い押圧力でタッチを行えば、当該タッチがガジェット400と重なるソフトウェアボタンBに対する操作であると認識される。これにより、ガジェット400の表示を停止する操作やガジェット400を移動させる操作などを別途行わなくても(簡単に)、ガジェット400と重なるソフトウェアボタンBに対する操作を行うことができる。その結果、ユーザーの利便性が向上する。
【0055】
また、本実施形態では、上記のように、パネル制御部130は、タッチパネルディスプレイ31に対して行われたタッチの位置がガジェット400の表示領域内の位置であり、かつ、タッチの押圧力が閾値以上であるとき、ガジェット400の全部分またはガジェット400のうちタッチの位置に対応する部分の表示を停止する表示停止処理をタッチパネルディスプレイ31に行わせる。これにより、ガジェット400と重なるソフトウェアボタンB(ガジェット400が表示されたことにより非表示となっていたソフトウェアボタンB)が表示されるので、ユーザーが操作対象としているソフトウェアボタンBをユーザーに認識させることができる。その結果、ユーザーの操作ミスを抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、パネル制御部130は、ガジェット400の表示領域内の位置に対して行われたタッチがガジェット400と重なるソフトウェアボタンBを対象にした操作であると認識して以降、タッチの押圧力が閾値未満になってから所定時間が経過する前にタッチが解除されたとき、ガジェット400と重なるソフトウェアボタンBに割り当てられた処理を実行する。一方で、パネル制御部130は、ガジェット400の表示領域内の位置に対して行われたタッチがガジェット400と重なるソフトウェアボタンBを対象にした操作であると認識して以降、タッチの押圧力が閾値未満になってからタッチが解除されることなく所定時間が経過したとき、ガジェット400と重なるソフトウェアボタンBに対する操作がキャンセルされたと判断し、ガジェット400の表示領域内の位置に対するタッチがガジェット400を対象にした操作であると認識する。これにより、ガジェット400の表示領域内の位置に対して閾値以上の強い押圧力でタッチを行ったことにより、当該タッチがガジェット400と重なるソフトウェアボタンBに対する操作であると認識されても、ガジェット400と重なるソフトウェアボタンBに対する操作を容易にキャンセルすることができる。その結果、ユーザーの利便性が向上する。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、パネル制御部130は、ガジェット400の表示領域内の位置に対して行われたタッチの押圧力が閾値以上であるとき、振動発生部36を制御し、タッチパネルディスプレイ31を振動させる。これにより、ユーザーからすると、タッチパネルディスプレイ31を閾値以上の押圧力でタッチしたか否かを認識することができるので、利便性が良い。
【0058】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0059】
3 操作パネル(表示入力装置)
31 タッチパネルディスプレイ
36 振動発生部
100 画像形成装置
130 パネル制御部(制御部)
300 操作画面
400 ガジェット
図1
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