(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
  以下に添付図面を参照して、本発明に係る撮影制御装置、車両用撮影装置、撮影制御方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
 
【0013】
[第一実施形態]
  
図1は、第一実施形態に係る撮影制御装置の構成例を示すブロック図である。撮影制御装置30は、車両用撮影装置10で撮影する車両の周辺の映像の撮影条件を制御する。より詳しくは、撮影制御装置30は、例えばトンネルのような照明設置場所を車両が走行する際に、照明設置場所における照度の変化に応じて、車両用撮影装置10で撮影する車両の周辺の映像の撮影条件が変化するよう制御する。
 
【0014】
  照度情報データベース200は、走行する車両の周囲の照度を保つために照明装置が設置されている照明設置場所における位置ごとの照度を示す照度情報を記憶する。照度情報データベース200は、各位置において人間が目で感じる明るさを照度情報として記憶する。人間が目で感じる明るさは、位置によっては、照度センサで測定した照度と異なる場合がある。例えば、明るさが急激に変化するトンネルの出口付近では、人間の目はトンネルの外側の明るさを知覚して、トンネルの中間部より明るいと感じる。これに対して、トンネルの出口付近において照度センサで測定した照度は、トンネルの中間部において測定した照度と差異が小さい。言い換えると、トンネルの出口付近において照度センサで測定した照度は、人間が目で感じる明るさと差異があるおそれがある。
 
【0015】
  照明設置場所とは、照明装置が常時点灯している場所、例えば、トンネル、地下駐車場、屋内駐車場、または、常時点灯する照明装置が設置され、車両が走行する通路を有する屋内施設を含む。照明設置場所とは、夜間または周囲が暗いときに限って照明装置が点灯する場所、例えば、インターチェンジまたはジャンクションを含む照明装置が設置された道路、陸橋を含む橋梁、または、照明装置が設置され、車両が走行する通路を有する屋外施設を含んでもよい。
 
【0016】
  位置ごとの照度を示す照度情報とは、照明設置場所における照度パターンの情報である。照度パターンは、照明設置場所における位置ごとの照度である。例えば、照度パターンは、照明設置場所の進入側の端部からの距離に対する照度の変化を示す。照度パターンは、照明装置の設置間隔に対応して、照度が高いところと照度が低いところが交互に表れる。
 
【0017】
  本実施形態では、照度情報データベース200は、トンネルごとに、トンネル名称と、トンネルの位置情報と、トンネルの全長と、トンネルの入口からの距離に対する照度の変化を示す照度パターンとを記憶する。
 
【0018】
  図2を参照して、トンネルT内の照度について説明する。
図2は、トンネルの照度パターンに応じた感度の制御の一例を示す図である。トンネルTには、間隔を空けて照明装置Lが配置されている。トンネルTの出入口の照度はトンネルTの中間部の照度より高い。言い換えると、トンネルTの出入口は、トンネルTの中間部より明るい。これは、トンネルTの外部の明るさと内部の明るさの変化に順応しやすくするためである。トンネルTの中間部では照明装置Lの下側の照度が高く、照明装置Lの下側から外れるにつれて照度が低くなる。トンネルTの中間部では、照度が高いところと低いところが照明装置Lの設置間隔に対応して交互に存在する。照度情報データベース200は、
図2に示すようなトンネルTの照度パターンを記憶する。
 
【0019】
  車両用撮影装置10は、車両の周辺の映像を撮影する。車両用撮影装置10は、照明設置場所を車両が走行する際に、照明設置場所における照度の変化に応じて、撮影条件が変化するよう制御する。車両用撮影装置10は、カメラ(撮影部)20と、撮影制御装置30とを有する。
 
【0020】
  カメラ20は、前方映像用カメラである。カメラ20は、車両の前方に配置され、車両の前方を中心とした周辺を撮影する。カメラ20は、撮影した前方映像データを撮影制御装置30の識別情報取得部31へ出力する。カメラ20は、撮影制御装置30の撮影制御部33からの制御信号に基づいて撮影条件が制御される。前方映像データは、例えば毎秒30フレームの画像から構成される動画像である。
 
【0021】
  撮影条件は、絞り値、シャッタスピード、及び、感度の少なくともいずれかを含む。
 
【0022】
  撮影制御装置30は、照明設置場所を車両が走行する際に、照明設置場所における照度の変化に応じて、カメラ20の撮影条件を制御する。撮影制御装置30は、例えば、CPU(Central  Processing  Unit)などで構成された演算処理装置である。撮影制御装置30は、図示しない記憶部に記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。撮影制御装置30は、識別情報取得部31と、照度情報参照部32と、撮影制御部33とを有する。撮影制御装置30には図示しない内部メモリが含まれ、内部メモリは撮影制御装置30におけるデータの一時記憶などに用いられる。
 
【0023】
  識別情報取得部31は、車両が走行する、言い換えると、車両の前方に位置する照明設置場所を識別する識別情報を取得する。照明設置場所の識別情報とは、例えば、照明設置場所を識別する名称、照明設置場所を識別する識別コード、または、位置情報を含む。
 
【0024】
  本実施形態では、識別情報取得部31は、文字認識部であり、カメラ20が撮影した前方映像データに被撮影物として含まれる文字を認識する。識別情報取得部31は、認識した文字が構成する文字列の中からトンネル名称、例えば、「○×トンネル」、「○×とんねる」、「○×Tunnel」、「○×隧道」のような文字列を識別情報として取得する。
 
【0025】
  図3を参照して、トンネル名称の取得について説明する。
図3は、トンネルの入口の一例を示す図である。トンネルTの入口を撮影した前方映像データには、トンネル名称を示す標示板Pが表示されている。識別情報取得部31は、前方映像データから「○×トンネル」という文字列Mを識別情報として取得する。識別情報取得部31は、認識した識別情報を撮影制御部33に出力する。
 
【0026】
  照度情報参照部32は、照度情報データベース200を参照する。
 
【0027】
  撮影制御部33は、カメラ20の撮影条件を制御する。
 
【0028】
  撮影制御部33は、車両が照明設置場所を走行するとき、照明設置場所の照度パターンに応じて、カメラ20の撮影条件が変化するように制御する。より詳しくは、撮影制御部33は、車両が照明設置場所を走行するとき、識別情報取得部31で取得した識別情報と照度情報参照部32で参照した照度情報とに基づいて、車両が走行する照明設置場所の照度パターンを取得する。同一名称のトンネルが複数存在する場合、撮影制御部33は、ナビゲーションシステムから取得した車両の現在位置情報と照度情報データベース200が記憶している当該トンネルの位置情報に基づいて、車両が走行する照明設置場所の照度パターンを取得する。そして、撮影制御部33は、取得した車両の現在位置情報と照明設置場所の照度パターンとに基づいて、車両の現在位置の照度に応じて、カメラ20の撮影条件が変化するように制御する。
 
【0029】
  例えば、撮影制御部33は、撮影条件として絞り値のみを変えることで、撮影される映像の明るさが適切な明るさになるように制御する。より詳しくは、撮影制御部33は、車両が照明設置場所を走行するとき、照明設置場所の照度パターンに応じて、カメラ20の絞り値を制御する制御信号を生成してもよい。撮影制御部33は、照度が高い位置(以下、「高照度位置」という。)では、絞り値を照度が低い位置(以下、「低照度位置」という。)より大きくする制御信号を出力する。撮影制御部33は、低照度位置では、絞り値を高照度位置より小さくする制御信号を出力する。
 
【0030】
  または、例えば、撮影制御部33は、撮影条件として感度のみを変えることで、撮影される映像の明るさが適切な明るさになるように制御してもよい。より詳しくは、撮影制御部33は、車両が照明設置場所を走行するとき、照明設置場所の照度パターンに応じて、カメラ20の感度を制御する制御信号を生成してもよい。撮影制御部33は、高照度位置では、感度を低照度位置より低くする制御信号を出力する。撮影制御部33は、低照度位置では、感度を高照度位置より高くする制御信号を出力する。
 
【0031】
  または、例えば、撮影制御部33は、撮影条件として絞り値、シャッタスピード、及び、感度をそれぞれ変えることで、撮影される映像の明るさが適切な明るさになるように制御してもよい。より詳しくは、撮影制御部33は、車両が照明設置場所を走行するとき、照明設置場所の照度パターンに応じて、カメラ20のシャッタースピードを制御する制御信号を生成してもよい。撮影制御部33は、高照度位置では、絞り値を低照度位置より小さくし、シャッタースピードを低照度位置より速くし、感度を低照度位置より低くする制御信号を出力する。撮影制御部33は、低照度位置では、絞り値を高照度位置より大きくし、シャッタースピードを高照度位置より遅くし、感度を高照度位置より大きくする制御信号を出力する。
 
【0032】
  このようにして、撮影制御部33は、車両が照明設置場所を走行するとき、照明設置場所の照度パターンに応じて、カメラ20の撮影条件が変化するように制御する。
 
【0033】
  本実施形態では、撮影制御部33は、車両がトンネルを走行するとき、トンネルの照度に応じて感度を変化させてカメラ20で撮影するよう制御する。より詳しくは、撮影制御部33は、車両がトンネルを走行するとき、トンネルの照度パターンに応じて、カメラ20の感度が変化するように制御する制御信号を生成する。例えば、撮影制御部33は、トンネルの出入口では、感度をトンネル内で最も低くする制御信号を生成する。例えば、撮影制御部33は、トンネルの中間部の照明装置の下側では、感度をトンネルの出入口より高くする制御信号を生成する。撮影制御部33は、例えば、トンネルの中間部の照明装置の下側から外れた位置では、感度を照明装置の下側より高くする制御信号を生成する。
 
【0034】
  次に、
図4を用いて、撮影制御装置30における処理の流れについて説明する。
図4は、第一実施形態に係る撮影制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態では、車両がトンネルを走行するとき、トンネルの照度パターンに応じて、撮影条件として感度が変化するように制御する場合について説明する。
 
【0035】
  車両用撮影装置10の起動中、カメラ20は、車両の前方を撮影する。車両用撮影装置10の起動中、識別情報取得部31は、カメラ20で撮影された前方映像データを取得する。
 
【0036】
  撮影制御装置30は、トンネル入口であるか否かを判定する(ステップS11)。撮影制御装置30は、識別情報取得部31で、カメラ20が撮影した前方映像データに文字認識処理を行い、被撮影物としてトンネル名称の文字列を取得した場合、トンネル入口であると判定する(ステップS11でYes)。そして、撮影制御装置30は、ステップS12に進む。撮影制御装置30は、識別情報取得部31で、被撮影物としてトンネル名称の文字列を取得しない場合、トンネル入口ではないと判定する(ステップS11でNo)。そして、撮影制御装置30は、ステップS11の処理を再度実行する。
 
【0037】
  トンネル入口ではないと判定された場合(ステップS11でNo)、撮影制御装置30は、撮影条件を変更せずそのままカメラ20で撮影する。
 
【0038】
  トンネル入口であると判定された場合(ステップS11でYes)、撮影制御装置30は、トンネルの照度に応じて撮影条件を制御する(ステップS12)。より詳しくは、撮影制御装置30は、撮影制御部33で、識別情報取得部31で取得した識別情報と照度情報参照部32で参照した照度情報とに基づいて、車両が走行するトンネルの照度パターンを取得する。そして、撮影制御装置30は、撮影制御部33で、ナビゲーションシステムから取得した車両の現在位置情報と取得した照度パターンとに基づいて、車両の現在位置の照度に応じて、カメラ20の撮影条件が変化するように感度を制御する制御信号を生成する。撮影制御装置30は、撮影制御部33で、撮影条件を制御する制御信号をカメラ20に出力する。撮影制御装置30は、ステップS13に進む。
 
【0039】
  撮影制御装置30は、トンネル出口であるか否かを判定する(ステップS13)。例えば、撮影制御装置30は、車両の現在位置がトンネルの位置情報の範囲外である場合、トンネル出口であると判定する。または、例えば、撮影制御装置30は、CAN(Controller  Area  Network)を介して取得した車両情報に基づいて、車両がトンネル入口から走行した距離がトンネルの全長以上であると判定した場合、トンネル出口であると判定する。撮影制御装置30は、車両の現在位置がトンネル出口である場合(ステップS13でYes)、処理を終了して、トンネルの照度パターンに応じて、撮影条件を変化させる制御を終了する。撮影制御装置30は、車両の現在位置がトンネル出口ではない場合(ステップS13でNo)、ステップS12の処理を再度実行する。
 
【0040】
  このようにして、車両がトンネルを走行するとき、トンネルの照度に応じて、カメラ20の撮影条件が変化する。例えば、トンネルの入口では、カメラ20の感度をトンネル内で最も低くする。例えば、トンネルの中間部の照明装置の下側では、カメラ20の感度をトンネルの入口より高くする。例えば、トンネルの中間部の照明装置の下側から外れた位置では、カメラ20の感度を照明装置の下側より高くする。
 
【0041】
  上述したように、本実施形態は、車両が照明設置場所を走行するとき、照明設置場所の照度パターンに応じて、カメラ20の撮影条件を変化させる。より詳しくは、本実施形態は、車両が照明設置場所を走行するとき、照度が変化しても、適切な映像が撮影できるような撮影条件を設定する。このように、本実施形態は、車両が照明設置場所を走行するとき、車両の周囲の照度の変化に応じて撮影条件を変化させることで、車両用撮影装置10によって撮影された映像の視認性が低下することを抑制することができる。言い換えると、本実施形態によれば、車両が照明設置場所を走行するとき、車両の周囲の照度の変化によらず、車両用撮影装置10によって撮影された映像の視認性を高度に維持することができる。
 
【0042】
  車両が照明設置場所を走行するとき、カメラ20の撮影条件を変化させないと、例えば、高照度位置では、白飛びして被撮影物が不鮮明な映像が撮影されるおそれがある。例えば、低照度位置では、映像が暗く、被撮影物が不鮮明な映像が撮影されるおそれがある。
 
【0043】
  これに対して、本実施形態によれば、車両が照明設置場所を走行するとき、照度に応じて撮影条件が適切に制御されるので、車両の周囲の照度が変化しても、被撮影物が鮮明に表示された映像を撮影することができる。
 
【0044】
  本実施形態は、照明設置場所の各位置において人間が目で感じる明るさを照度情報として照度情報データベース200に記憶する。照度情報データベース200に記憶した照度パターンは、照度センサで測定した照度と異なり、トンネルの出口付近でも、人間が目で感じる明るさに近い照度を記憶する。これにより、本実施形態によれば、トンネルの出口付近でも、人間が目で感じる明るさの照度パターンに応じて、撮影条件を適切に制御することができる。このように、本実施形態によれば、トンネルの出口付近のように照度が急激に変化する場所でも、人間が目で感じる明るさに応じて撮影条件を制御することができる。本実施形態は、トンネルの出口付近のように照度が急激に変化する場所でも、車両用撮影装置10によって撮影された映像の視認性が低下することを抑制することができる。
 
【0045】
[第二実施形態]
  
図5を参照しながら、本実施形態に係る車両用撮影装置10について説明する。
図5は、第二実施形態に係る撮影制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。車両用撮影装置10は、基本的な構成は第一実施形態の車両用撮影装置10と同様である。以下の説明においては、車両用撮影装置10と同様の構成要素には、同一の符号または対応する符号を付し、その詳細な説明は省略する。
 
【0046】
  照度情報データベース200は、照度情報として照明装置の光源種類を含んで記憶する。光源種類は、例えば、ナトリウムランプ、白色LED(Light  Emitting  Diode)などである。ナトリウムランプは、オレンジ色に発光する。白色LEDは、ナトリウムランプに比べて明るさが均一になる。
 
【0047】
  撮影制御装置30は、照明設置場所における位置ごとの照度と照明装置の光源種類とに応じて、カメラ20の撮影条件を変更するように制御する。
 
【0048】
  撮影条件は、絞り値、シャッタスピード、感度、及び、ホワイトバランスの少なくともいずれかを含む。
 
【0049】
  撮影制御部33は、車両が照明設置場所を走行するとき、照度情報参照部32で参照した照度情報と識別情報取得部31が取得した識別情報とに基づいて、照明設置場所における位置ごとの照度と照明装置の光源種類とに応じて、カメラ20の撮影条件が変化するように制御する。より詳しくは、撮影制御部33は、車両が照明設置場所を走行するとき、照明設置場所の照度パターンと光源種類とに応じて、カメラ20の撮影条件を制御する。
 
【0050】
  撮影制御部33は、車両が照明設置場所を走行するとき、照明設置場所の光源種類に応じて、撮影条件としてホワイトバランスを制御する制御信号を生成してもよい。例えば、撮影制御部33は、ナトリウムランプ使用のトンネルでは、出入口においては太陽光からナトリウム光へと色温度が変わるため、色温度の変化に応じてホワイトバランスを徐々に変更する制御信号を出力する。
 
【0051】
  撮影制御部33は、例えば、光源種類がナトリウムランプである場合、オレンジ色の照明光の下でも撮影した映像の視認性が低減しないように、カメラ20の撮影条件を制御する。撮影制御部33は、例えば、光源種類が白色LEDである場合、白色LEDの照明光の下でも撮影した映像の視認性が低減しないように、カメラ20の撮影条件を制御する。
 
【0052】
  次に、
図5を用いて、撮影制御装置30における処理の流れについて説明する。ステップS21、ステップS23の処理は、
図4に示すフローチャートのステップS11、ステップS13と同様の処理を行う。本実施形態では、車両がトンネルを走行するとき、トンネルの照度パターンと照明装置の光源種類とに応じて、撮影条件として感度が変化するように制御する場合について説明する。
 
【0053】
  トンネル入口であると判定された場合(ステップS21でYes)、撮影制御装置30は、トンネルの照度と光源種類とに応じて撮影条件を制御する(ステップS22)。より詳しくは、撮影制御装置30は、撮影制御部33で、車両の現在位置情報と取得した照度パターンと光源種類とに基づいて、車両の現在位置の照度と光源種類とに応じて、カメラ20の撮影条件が変化するように感度を制御する制御信号を生成する。撮影制御装置30は、撮影制御部33で、撮影条件を制御する制御信号をカメラ20に出力する。撮影制御装置30は、ステップS23に進む。
 
【0054】
  上述したように、本実施形態は、車両が照明設置場所を走行するとき、車両の周囲の照度の変化と光源種類とに応じて撮影条件を変化させることで、車両用撮影装置10によって撮影された映像の視認性が低下することを抑制することができる。
 
【0055】
[第三実施形態]
  
図6ないし
図8を参照しながら、本実施形態に係る車両用撮影装置10Aについて説明する。
図6は、第三実施形態に係る撮影制御装置の構成例を示すブロック図である。
図7は、第三実施形態に係る撮影制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
図8は、センサで検出したトンネルの照度に応じた感度の制御の一例を示す図である。車両用撮影装置10Aは、基本的な構成は第一実施形態の車両用撮影装置10と同様である。以下の説明においては、車両用撮影装置10と同様の構成要素には、同一の符号または対応する符号を付し、その詳細な説明は省略する。
 
【0056】
  照度センサ110Aは、車両の前方に配置され、車両の前上方の照度を測定する。照度センサ110Aは、測定結果を撮影制御装置30Aの照度情報取得部34aに出力する。
 
【0057】
  車両用撮影装置10Aは、撮影制御装置30Aが、照度情報取得部34aを有する点と、撮影制御部33Aにおける処理が第一実施形態と異なる。
 
【0058】
  照度情報取得部34aは、照度センサ110Aの測定結果から、車両の前上方の照度を取得する。照度情報取得部34aは、取得した照度を撮影制御部33Aに出力する。
 
【0059】
  撮影制御部33Aは、照度情報参照部32で参照した照度情報と識別情報取得部31で取得した識別情報と照度情報取得部34Aが取得した測定結果とに基づいて、照度情報データベース200から取得した照度情報の照度と、照度センサ110Aの測定結果の照度とが異なる位置については、測定結果の照度に応じて、カメラ20の撮影条件が変化するように制御する。
 
【0060】
  次に、
図7を用いて、撮影制御装置30Aにおける処理の流れについて説明する。ステップS31、ステップS34、ステップS35の処理は、
図4に示すフローチャートのステップS11、ステップS12、ステップS13と同様の処理を行う。本実施形態では、車両がトンネルを走行するとき、参照した照度情報データベース200から取得した照度情報の照度と、照度センサ110Aの測定結果の照度とが異なる位置については、測定結果の照度に応じて、撮影条件として感度が変化するように制御する場合について説明する。
 
【0061】
  撮影制御装置30Aは、照度情報データベース200から取得した照度と照度センサ110Aで測定した照度に差異があるか否かを判定する(ステップS32)。より詳しくは、撮影制御装置30Aは、車両の現在位置について、照度情報データベース200から取得した照度情報の照度と、照度情報取得部34Aが取得した測定結果の照度とに差異がある場合(ステップS32でYes)、ステップS33に進む。撮影制御装置30Aは、照度情報データベース200から取得した照度情報の照度と、照度情報取得部34Aが取得した測定結果の照度とに差異がない場合(ステップS32でNo)、ステップS34に進む。
 
【0062】
  撮影制御装置30Aは、ステップS32でYesと判定した位置については、照度センサ110Aで測定した照度に応じて撮影条件を制御する(ステップS33)。より詳しくは、撮影制御装置30Aは、撮影制御部33Aで、照度情報取得部34aで取得した測定結果の照度に応じて、カメラ20の感度を制御する制御信号を生成する。撮影制御装置30Aは、撮影制御部33Aで、感度を制御する制御信号をカメラ20に出力する。撮影制御装置30Aは、ステップS35に進む。
 
【0063】
  撮影制御装置30Aは、ステップS32でNoと判定した位置については、照度情報データベース200から取得した照度情報の照度に応じて撮影条件を制御する(ステップS34)。
 
【0064】
  図8を参照して、照度情報データベース200から取得した照度と、照度センサ110Aで測定した照度に差異がある場合について説明する。照度情報データベース200には、すべての照明装置Lが点灯している状態での照度パターンが記憶されている。トンネルTには、一時的な故障で点灯していない照明装置Aがある。そのため、点灯していない照明装置Aの下側では、照度センサ110Aで測定した照度は、点灯している照明装置Lの下側の照度より低い。点灯していない照明装置Aの下側の位置では、照度情報データベース200に記憶された照度と、照度センサ110Aで測定した照度とが異なっている。点灯していない照明装置Aの下側の位置では、照度センサ110Aで測定した照度に応じて感度を制御する。その他の位置では、照度情報データベース200から取得した照度パターンに応じて感度を制御する。
 
【0065】
  このようにして、車両がトンネルを走行するとき、照度情報データベース200から取得した照度と照度センサ110Aで測定した照度に差異がある位置については、照度センサ110Aで測定した照度に応じて撮影条件を変化させる。例えば、
図8に示す点灯していない照明装置Aの下側では、照度センサ110Aで測定した照度に応じて撮影条件を制御する。このように、実際の照度が照度情報データベース200から取得した照度と異なる位置があっても、照度センサ110Aで測定した照度に応じて、カメラ20の撮影条件が適切に変化される。
 
【0066】
  上述したように、本実施形態は、照度情報データベース200から取得した照度と照度センサ110Aで測定した照度とに差異がある位置については、照度センサ110Aで測定した照度に応じてカメラ20の撮影条件を変化させる。本実施形態では、例えば、
図8に示す点灯していない照明装置Aの下側では、照度センサ110Aで測定した照度に応じて撮影条件を制御する。これにより、本実施形態では、照明装置が点灯していない位置があっても、照明設置場所の正しい照度に応じて、カメラ20の撮影条件を変化させることができる。このようにして、本実施形態は、車両の周囲の照度の変化によって、車両用撮影装置10によって撮影された映像の視認性が低下することをより適切に抑制することができる。
 
【0067】
  これに対して、
図8に示す点灯していない照明装置Aの下側で照度情報データベース200から取得した照度に応じて撮影条件を変化させると、照明装置Aが点灯していないので車両の周囲が暗いにもかかわらず、映像が暗く、被撮影物が不鮮明に撮影されるおそれがある。
 
【0068】
[第四実施形態]
  
図9を参照しながら、本実施形態に係る車両用撮影装置10について説明する。
図9は、第四実施形態に係る撮影制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。車両用撮影装置10は、主として撮影制御部33における処理が第一実施形態と異なる。
 
【0069】
  照度情報データベース200は、照明設置場所が、夜間または周囲が暗いときに限って照明装置が点灯する場所である場合、照明装置の点灯条件を記憶する。照明装置の点灯条件は、例えば、点灯する時間帯または点灯する照度の閾値である。
 
【0070】
  撮影制御部33は、車両が照明設置場所を走行するとき、照明装置が点灯している場合、照明設置場所の照度パターンに応じて、カメラ20の撮影条件が変化するように制御する。
 
【0071】
  次に、
図9を用いて、撮影制御装置30における処理の流れについて説明する。ステップS41、ステップS43、ステップS44の処理は、
図4に示すフローチャートのステップS11、ステップS12、ステップS13に対応する処理を行う。本実施形態では、車両が照明設置場所を走行するとき、照明装置が点灯している場合、照明設置場所の照度パターンに応じて、撮影条件を制御する場合について説明する。
 
【0072】
  撮影制御装置30は、照明装置が点灯中であるか否かを判定する(ステップS42)。撮影制御装置30は、例えば、照明装置の点灯条件を満たしているか否かによって、照明装置が点灯中であるか否かを判定する。撮影制御装置30は、照明装置の点灯条件を満たす場合(ステップS42でYes)、ステップS43に進む。撮影制御装置30は、照明装置の点灯条件を満たしていない場合(ステップS42でNo)、処理を終了する。
 
【0073】
  上述したように、本実施形態は、照明設置場所が、夜間または周囲が暗いときに限って照明装置が点灯する場所であっても、車両用撮影装置10によって撮影された映像の視認性が低下することを適切に抑制することができる。
 
【0074】
  さて、これまで本発明に係る車両用撮影装置10について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
 
【0075】
  図示した車両用撮影装置10の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
 
【0076】
  車両用撮影装置10の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
 
【0077】
  上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
 
【0078】
  識別情報取得部31が文字認識部であるものとして説明したが、識別情報取得部31は、例えば、二次元コード、図柄、トンネル入り口付近で道路側から提供される情報などで照明設置場所を識別する情報を取得するものであればよい。
 
【0079】
  照度情報データベース200は、位置ごとの照度を示す照度情報として、照明装置1個の照度と照明装置の設置間隔とを記憶し、照明設置場所における位置ごとの照度を算出してもよい。例えば、位置ごとの照度を示す照度情報として、照明装置の1個当たりの照度と照明設置場所内の照明装置の設置間隔と照明設置場所の全長とを記憶し、照明設置場所の進入側の端部からの距離に対する照度を算出してもよい。
 
【0080】
  撮影制御装置30は、車両の現在位置情報をナビゲーションシステムから取得するものとして説明したが、これに限定されない。撮影制御装置30は、車両に搭載されたGPS(Global  Positioning  System)受信機によって取得した車両の現在位置情報を取得する現在位置情報取得部を備えていてもよい。
 
【0081】
  車両用撮影装置10は、カメラ20で撮影した映像を記憶する記憶部を備えた車両用撮影記憶装置であってもよい。