(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
  以下に、本発明にかかるヘッドライト装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
 
【0012】
  (ヘッドライト装置)
  
図1は、本実施例によるヘッドライト装置の機能構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施例によるヘッドライト装置1は、映像取得部11と、ヘッドライト12と、照射制御部13と、記憶部14と、制御部15とを備える。
 
【0013】
  映像取得部11は、車両の走行中に、その車両の進行方向の景色を撮影し、映像を取得する。映像取得部11は、例えば、フロントガラスの上部付近に設置される車載カメラである。映像取得部11に赤外線カメラを用いてもよい。
 
【0014】
  ヘッドライト12は、右ヘッドライト12Rと、左ヘッドライト12Lとを含む。右ヘッドライト12Rは、車両の前部の右側に設けられる。右ヘッドライト12Rは、車両の右側前方に光を照射する。左ヘッドライト12Lは、車両の前部の左側に設けられる。左ヘッドライト12Lは、車両の左側前方に光を照射する。
 
【0015】
  照射制御部13は、消失点の位置に応じてヘッドライト12による光の照射を制御する。消失点とは、画像によって表現される3次元空間中の平行線群の収束点である。照射制御部13は、消失点の位置に応じてヘッドライト12による光の中心軸すなわち光軸の向きを制御する。照射制御部13は、消失点の位置にヘッドライト12の光が照射されるように、ヘッドライト12の光軸を上下左右の少なくとも1つの方向に制御する。
 
【0016】
  照射制御部13は、光軸の向きをリアルタイムに制御するのではなく、数百ミリ秒程度の周期で制御すればよい。このようにすれば、車両が走行する路面にわずかな起伏がある場合であっても、ヘッドライト12による光の向きを頻繁に変化させることはなく、運転者に安定した視界を提供することができる。
 
【0017】
  記憶部14は、ヘッドライト装置1の動作に必要な情報を記憶する。記憶部14は、プログラム14Aと、テーブル14Bとを記憶する。プログラム14Aは、ヘッドライト装置1の各部を制御するためのプログラムである。プログラム14Aは、制御部15によって実行される。テーブル14Bは、消失点の位置とヘッドライト12の制御内容とを対応付ける。ヘッドライト12の制御内容とは、例えば、アクチュエータを動作させるためのデータ、ヘッドライト12が複数のランプを含む場合に点灯させるランプの位置を示すデータ、消失点の位置とレーザ光源をONにする範囲を示すデータなどである。制御部15および照射制御部13は、テーブル14Bの内容を参照することができる。
 
【0018】
  また、記憶部14は、映像取得部11によって取得した映像を記憶するフレームメモリとして機能する。
 
【0019】
  制御部15は、例えば、CPU(Central  Processing  Unit)によって構成される。制御部15は、プログラム14Aを実行し、消失点を算出する。また、制御部15は、ヘッドライト装置1の各部を制御する。
 
【0020】
  次に、ヘッドライト装置1の動作について説明する。映像取得部11は、車両の進行方向の景色を撮影し、映像を取得する。制御部15は、映像取得部11が取得した映像に基づいて、消失点を算出する。制御部15は、消失点の位置に関するデータを照射制御部13に送る。例えば、消失点の座標値を照射制御部13に送る。
 
【0021】
  照射制御部13は、消失点の位置に関するデータを制御部15から受け取る。照射制御部13は、消失点の位置に関するデータに基づき、テーブル14Bを参照して例えばアクチュエータを動作させるためのデータを得て、ヘッドライト12の光の照射を制御する。照射制御部13は、消失点の位置に光が照射されるように、ヘッドライト12の光の照射を制御する、照射制御部13は、消失点の位置にヘッドライトの光が照射されるように、右ヘッドライト12Rの光軸と、左ヘッドライト12Lの光軸とを制御する。
 
【0022】
  (ヘッドライト制御方法)
  
図2は、本実施例によるヘッドライト装置の動作によるヘッドライト制御方法の例を示すフローチャートである。
図2の処理は、ヘッドライトが点灯していることが前提となる。
 
【0023】
  制御部15は、ヘッドライトの点灯中、映像を取得する(ステップS101)。制御部15は、取得した映像に基づいて消失点を算出する(ステップS102)。照射制御部13は、算出した消失点の位置に基づいて、ヘッドライトによる光の照射を制御する(ステップ103)。
 
【0024】
  上記の方法は、制御部15および照射制御部13の動作によって行われてもよい。また、制御部15が照射制御部13の機能を含んでいる場合に、制御部15がプログラム14Aを実行することによって、上記の方法が行われてもよい。
 
【0025】
  (ヘッドライトの例)
  
図3は、上記のヘッドライト12の構成例を示す図である。右ヘッドライト12Rは、光源部120Rと、反射板122Rと、アクチュエータ121Rとを含む。左ヘッドライト12Lは、光源部120Lと、反射板122Lと、アクチュエータ121Lとを含む。光源部120Rおよび光源部120Lは、例えば、キセノンランプ、LED(Light  Emitting  Diode)ランプである。反射板122Rは、光源部120Rから出力される光を車両の進行方向に向けて反射する。反射板122Lは、光源部120Lから出力される光を車両の進行方向に向けて反射する。
 
【0026】
  アクチュエータ121Rおよびアクチュエータ121Lは、光軸の向きを変更する変更駆動部となる。アクチュエータ121Rおよびアクチュエータ121Lは、例えば、2軸アクチュエータである。アクチュエータ121Rは、x軸方向(道路面に水平な方向)およびy軸方向(道路面に垂直な方向)の2方向に、光源部120Rの位置を移動させる。アクチュエータ121Rにより、反射板122Rに対する光源部120Rの相対位置を変化させ、光の照射位置を制御することができる。アクチュエータ121Lは、x軸方向(道路面に水平な方向)およびy軸方向(道路面に垂直な方向)の2方向に、光源部120Lの位置を移動させる。アクチュエータ121Lにより、反射板122Lに対する光源部120Lの相対位置を変化させ、光の照射位置を制御することができる。
 
【0027】
  次に、動作について説明する。照射制御部13は、消失点の位置に関するデータに基づいて、アクチュエータ121Rおよびアクチュエータ121Lを制御する。照射制御部13は、テーブル14Bを参照して、消失点の位置に対するヘッドライト12の制御内容を取得する。例えば、照射制御部13は、アクチュエータ121R、アクチュエータ121Lをそれぞれ動作させるためのデータを取得する。
 
【0028】
  照射制御部13は、テーブル14Bから取得した制御内容に基づいて、アクチュエータ121Rおよびアクチュエータ121Lを動作させる。アクチュエータ121Rが動作すると、反射板122Rに対する光源部120Rの相対位置が変化し、光源部120Rによる光の照射位置が変化する。アクチュエータ121Lが動作すると、反射板122Lに対する光源部120Lの相対位置が変化し、光源部120Lによる光の照射位置が変化する。以上により、消失点の位置に基づいてヘッドライト12の光の照射が制御され、消失点の位置に光が照射される。
 
【0029】
  図4から
図8は、車両が前進中に車載カメラで前方を撮影したときに映像40の消失点20の位置およびヘッドライト12の光の照射範囲を説明する図である。
 
【0030】
  図4に示すように、上り坂および下り坂ではなく、かつ、左右に曲がっていない、まっすぐな道路を車両が走行している場合、消失点20は映像40の中心点付近で、地平線50の付近に位置する。照射制御部13は、右ヘッドライト12Rおよび左ヘッドライト12Lを制御し、右ヘッドライト12Rによる光の照射範囲51Rと左ヘッドライト12Lによる光の照射範囲51Lとが消失点20付近で重なるようにする。
 
【0031】
  図5は、上り坂の道路を車両が走行する場合を説明する図である。
図5に示すように、走行している車両が左右に曲がっていない上り坂の道路に差し掛かった場合、地平線50Uの位置は上方向に変位する。この場合、消失点20Aは映像40Aの中心点の少し上に位置する。照射制御部13は、右ヘッドライト12Rおよび左ヘッドライト12Lの光軸を
図4の場合よりも上方向に制御し、右ヘッドライト12Rによる光の照射範囲51Rと左ヘッドライト12Lによる光の照射範囲51Lとが消失点20A付近で重なるようにする。これにより、右ヘッドライト12Rおよび左ヘッドライト12Lの光軸が上方向に向き、車両の進行方向を正しく照射する。したがって、対向車にまぶしくなく、ヘッドライトの照射範囲を動的に調整することができ、最適な視界を運転者に与えることができる。
 
【0032】
  図6は、下り坂の道路を車両が走行する場合を説明する図である。
図6に示すように、走行している車両が左右に曲がっていない下り坂の道路に差し掛かった場合、地平線50Dの位置は下方向に変位する。この場合、消失点20Bは映像40Bの中心点の少し下に位置する。照射制御部13は、右ヘッドライト12Rおよび左ヘッドライト12Lの光軸を
図4の場合よりも下方向に制御し、右ヘッドライト12Rによる光の照射範囲51Rと左ヘッドライト12Lによる光の照射範囲51Lとが消失点20B付近で重なるようにする。これにより、右ヘッドライト12Rおよび左ヘッドライト12Lの光軸が下方向に向き、無駄な光が不必要なところに照射されることがなく、車両の進行方向を正しく照射する。したがって、対向車にまぶしくなく、ヘッドライトの照射範囲を動的に調整することができ、最適な視界を運転者に与えることができる。
 
【0033】
  図7は、左カーブの道路を車両が走行している場合を説明する図である。
図7に示すように、上り坂および下り坂ではない、左カーブの道路を車両が走行している場合、地平線50の位置は変位しない。この場合、消失点20Cは映像40Cの中心より少し左に位置する。照射制御部13は、右ヘッドライト12Rおよび左ヘッドライト12Lの光軸を
図4の場合よりも左方向に制御し、右ヘッドライト12Rによる光の照射範囲51Rと左ヘッドライト12Lによる光の照射範囲51Lとが消失点20C付近で重なるようにする。
 
【0034】
  図8は、右カーブの道路を車両が走行している場合を説明する図である。
図8に示すように、上り坂および下り坂ではない、右カーブの道路を車両が走行している場合、地平線50の位置は変位しない。この場合、消失点20Dは映像40Dの中心より少し右に位置する。照射制御部13は、右ヘッドライト12Rおよび左ヘッドライト12Lの光軸を
図4の場合よりも右方向に制御し、右ヘッドライト12Rによる光の照射範囲51Rと左ヘッドライト12Lによる光の照射範囲51Lとが消失点20付近で重なるようにする。
 
【0035】
  図9および
図10は、消失点20の位置と反対側の方のヘッドライトによる光の照射範囲の高さを低くする制御について説明する図である。
 
【0036】
  図9に示すように、左カーブの道路を車両が走行している場合に、照射制御部13は、右ヘッドライト12Rおよび左ヘッドライト12Lを制御し、右ヘッドライト12Rによる光の照射範囲51Rと左ヘッドライト12Lによる光の照射範囲51Lとが消失点20付近で重なるようにする。さらに、映像40Eの左右方向の中央を示す線31よりも左方の位置に消失点20Eがあるため、照射制御部13は、左ヘッドライト12Lによる光の照射範囲51Lの高さを
図7の場合と同等とし、右ヘッドライト12Rによる光の照射範囲51Rの高さを
図7の場合よりも低くする。つまり、照射制御部13は、映像における左右方向の中央に対し、消失点20Eの位置と反対側の方のヘッドライトによる光の照射範囲の高さを低くする制御を行う。このように照射範囲を決定することにより、車両が進行する方向(ここでは消失点20Eが位置する左方向)を明るく照らして見やすくし、反対側の方向(ここでは右方向)については道路の外側(ここでは右側)にあり車両の正面側に位置する歩行者などに対する必要以上の光の照射を抑えることができる。
 
【0037】
  図10に示すように、右カーブの道路を車両が走行している場合に、照射制御部13は、右ヘッドライト12Rおよび左ヘッドライト12Lを制御し、右ヘッドライト12Rによる光の照射範囲51Rと左ヘッドライト12Lによる光の照射範囲51Lとが消失点20付近で重なるようにする。さらに、映像40Fの左右方向の中央を示す線31よりも右方の位置に消失点20Fがあるため、照射制御部13は、右ヘッドライト12Rによる光の照射範囲51Rの高さを
図8の場合と同等とし、左ヘッドライト12Lによる光の照射範囲51Lの高さを
図8の場合よりも低くする。つまり、照射制御部13は、映像における左右方向の中央に対し、消失点20Fの位置と反対側の方のヘッドライトによる光の照射範囲の高さを低くする制御を行う。このように照射範囲を決定することにより、車両が進行する方向(ここでは消失点20Fが位置する右方向)を明るく照らして見やすくし、それ以外の方向(ここでは左方向)については道路の外側(ここでは左側)にあり車両の正面側に位置する歩行者などに対する必要以上の光の照射を抑えることができる。
 
【0038】
  ヘッドライトによる光の照射範囲に制限を設けてもよい。例えば、車両が上り坂の道路を走行したり、車両が下り坂の道路を走行したりする場合に光の照射範囲に上限を設けてもよい。また、例えば、車両が左カーブの道路を走行する場合に光の照射範囲に右限を設けたり、車両が右カーブの道路を走行する場合に光の照射範囲に左限を設けたりしてもよい。
 
【0039】
  図11から
図14は、ヘッドライトによる光の照射範囲に制限を設ける制御について説明する図である。
 
【0040】
  図11に示すように、車両が左右に曲がっていない上り坂の道路を走行している場合、地平線50Uの位置は上方向に変位する。この場合、消失点20Gは映像40Gの中心よりも上方に位置する。照射制御部13は、車両が上り坂の道路を走行している場合に光の照射範囲に上限52Uを設けて、光を必要以上に遠方に照射しないようにしてもよい。また、
図12に示すように、車両が左右に曲がっていない下り坂の道路を走行している場合、地平線50Dの位置は下方向に変位する。この場合、消失点20Hは映像40Hの中心よりも下方に位置する。照射制御部13は、車両が下り坂の道路を走行している場合に光の照射範囲に下限52Dを設けて、光が車両近傍のみの照射とならないようにしてもよい。
 
【0041】
  また、
図13に示すように、車両が左カーブの道路を走行する場合、消失点20Iの位置が映像40Iの左端に近づくことがある。この場合、光の照射範囲に右限52Rおよび53Rを設けておく。つまり、左ヘッドライト12Lによる光の照射範囲51Lに右限52Rを設け、かつ、右ヘッドライト12Rによる光の照射範囲51Rに右限53Rを設け、光を必要以上に右側に照射しないようにしてもよい。さらに、
図14に示すように、車両が右カーブの道路を走行する場合、消失点20Jの位置が映像40Jの右端に近づくことがある。この場合、光の照射範囲に左限52Lおよび53Lを設けておく。つまり、左ヘッドライト12Lによる光の照射範囲51Lに左限52Lを設け、かつ、右ヘッドライト12Rによる光の照射範囲51Rに左限53Lを設け、光を必要以上に左側に照射しないようにしてもよい。
 
【0042】
  上記のようにヘッドライトによる光の照射範囲を所定範囲内に制限することにより、消失点20の移動距離が大きい場合であっても、ヘッドライトの光軸の方向が極端に変化することを抑えることができる。
 
【0043】
  (路面標示などに基づく消失点の位置の算出)
  ここで、路面標示または道路の設置物に基づいて、消失点の位置を算出する方法について説明する。
 
【0044】
  映像取得部11によって取得した映像に含まれる、路面標示または道路の設置物に基づいて、消失点の位置を算出する。路面標示には、車道中央線、車線境界線、車道外側線、路側帯、の各表示が含まれる。道路の設置物とは、例えば、ガードレールである。
 
【0045】
  図15は、撮影した映像に含まれる路面標示に基づいて消失点を算出する方法を説明するフローチャートである。
図15において、まず、映像中の路面標示を抽出する(ステップS301)。次に、ステップ301において抽出した路面標示を直線または曲線でトレースする(ステップS302)。そして、ステップ302においてトレースした線同士の交点を消失点とする(ステップS303)。
 
【0046】
  (消失点を算出する処理の例)
  
図16から
図19は、路面標示に基づいて、消失点の位置を算出する処理を説明する図である。
図16は、車両が下り坂を走行しているときに、車載カメラによって取得される映像の例を示す図である。
図16に示すように、映像40Kは、車両が走行する路面に設けられた路面標示21、22を含む。
 
【0047】
  さらに、
図16においては、映像40Kから路面標示21、22を抽出し、路面標示21、22を直線21T、22Tでトレースする。そして、トレースした直線21Tと直線22Tとの交点を消失点20Kとする。
 
【0048】
  図17は、車両が上り坂を走行しているときに、車載カメラによって取得される映像の例を示す図である。
図17に示すように、映像40Lは、車両が走行する路面に設けられた路面標示21、22を含む。
 
【0049】
  さらに
図17においては、映像40Lから路面標示21、22を抽出し、路面標示21、22を直線21T、22Tでトレースする。そして、トレースした直線21Tと直線22Tとの交点を消失点20Lとする。
 
【0050】
  ここで、
図16に示すように、車両が下り坂を走行しているとき、消失点20Kの位置は、映像の上下方向の中央を示す線30の位置よりも下方であることが多い。また、
図17に示すように、車両が上り坂を走行しているとき、消失点20Lの位置は、映像の上下方向の中央を示す線30の位置よりも上方であることが多い。このように、車両が走行する道路が上り坂である場合と下り坂である場合とでは、消失点20K、20Lの上下位置が異なる。このため、走行中の車両において、消失点20K、20Lを算出し、算出した消失点20K、20Lに基づいてヘッドライト12による光の照射を制御する。
 
【0051】
  図18は、車両が左カーブを走行しているときに、車載カメラによって取得される映像の例を示す図である。
図18に示すように、映像40Mは、車両が走行する路面に設けられた路面標示23、24を含む。
 
【0052】
  さらに
図18においては、映像40Mから路面標示23、24を抽出し、路面標示23、24を曲線23T、24Tでトレースする。そして、トレースした曲線23T、24Tの交点を消失点20Mとする。
 
【0053】
  図19は、車両が右カーブを走行しているときに、車載カメラによって取得される映像の例を示す図である。
図19に示すように、映像40Nは、車両が走行する路面に設けられた路面標示23、24を含む。
 
【0054】
  さらに
図19においては、映像40Nから路面標示23、24を抽出し、路面標示23、24を曲線23T、24Tでトレースする。そして、トレースした曲線23T、24Tの交点を消失点20Nとする。
 
【0055】
  図18に示すように、車両が左カーブを走行しているとき、消失点20Mの位置は、映像40Mの左右方向の中央を示す線31の位置よりも左方の位置であることが多い。また、
図19に示すように、車両が右カーブを走行しているとき、消失点20Nの位置は、映像40Nの左右方向の中央を示す線31の位置よりも右方であることが多い。このように、車両が走行する道路が左カーブである場合と右カーブである場合とでは消失点20M、20Nの左右位置が異なる。このため、走行中の車両において、消失点20M、20Nを算出し、算出した消失点20M、20Nに基づいてヘッドライト12による光の照射を制御する。
 
【0056】
  以上のように車両が走行する方向の映像を取得し、その映像に基づいて消失点の位置を算出する。そして、車両の走行する道路の形状などによって消失点の位置が移動すると、その移動に合わせて、ヘッドライトの光軸を調整し、ヘッドライトによる光の照射位置を変化させる。
 
【0057】
  (動きベクトルによる消失点の算出)
  照射制御部13は、映像取得部11によって取得した映像の動きベクトルに基づいて消失点を算出してもよい。
図20から
図22は、映像取得部11によって取得した映像の動きベクトルに基づいて消失点を算出する処理の例を説明する図である。
 
【0058】
  図20は、撮影した映像を複数のエリアに分割した状態を示す図である。
図20に示すように、映像取得部11によって取得した映像40を複数のエリア400に分割する。本例では、縦5個、横5個の合計25個のエリア400に分割する。そして、25個のエリア400それぞれにおける代表点41を決定する。本例において、代表点41は各エリアの中心の画素とする。ここで、代表点41は動きベクトルを検出する際の基準となる点である。代表点41はエリア400の中心の画素に限定されず、エリア内の任意の位置の点であってもよい。
 
【0059】
  次に、決定した代表点41それぞれについて、動きベクトル42を求める。そして、放射状の動きベクトル42の中心点を消失点とする。車両の走行による代表点41の画素の輝度をもつ画素の動きを検出することで、車両の走行による動きベクトル42が求まる。動きベクトル42の方向と大きさは、代表点41の画素の輝度に最も近い輝度をもつ画素をエリア内で探索することによって、x座標およびy座標で検出することができる。
 
【0060】
  図21は、映像40の各エリア400で検出される動きベクトルを説明する図である。
図20では、映像40を25個のエリアに分割し、各エリア400の動きベクトル42を検出するとしたが、実装上は、
図21の右側に示すように、各エリア400をさらに例えば20個のエリア401に分割し、各エリア401の中心画素を代表点とし、エリア401毎に動きベクトルを求め、20個のエリア401で平均化したものをそのエリア400の動きベクトルとしてもよい。ただし、以下では、説明を簡単にするため、各エリア400に1つの代表点があるものとして説明する。
 
【0061】
  周囲のオブジェクトの動きを示すオプティカルフローは走行方向を中心に放射状になる。したがって、上り坂および下り坂ではなく、かつ、左右に曲がっていない、まっすぐな道路を車両が走行している場合、車載カメラで車両の前方を撮影すると、
図22に示すように、映像40の中心付近から放射状に広がる方向に動きベクトル42が検出される。動きベクトルの大きさは車両の走行速度によって変化する。
 
【0062】
  なお、オプティカルフローとは、映像40中の物体の動きをベクトルで表したものである。本例では、放射状のオプティカルフローの中心を消失点20Pとする。
 
【0063】
  (複数のランプを含むヘッドライトの場合)
  右ヘッドライト、左ヘッドライトが、光軸の向きが互いに異なる複数のランプをそれぞれ含む場合、複数のランプのうちの点灯させるランプを選択することにより、光を照射する範囲を制御することができる。
 
【0064】
  図23は、複数のLEDランプを含むヘッドライトの点灯および消灯を、照射制御部13によって制御するための構成例を示す図である。
図23に示すように、右ヘッドライト17R、左ヘッドライト17Lは、それぞれ複数のLEDランプ18を含む。
 
【0065】
  本例では、右ヘッドライト17Rおよび左ヘッドライト17Lは、縦4個で横6個の合計24個のLEDランプ18を含む。24個のLEDランプ18は、光軸の向きが互いに異なる。照射制御部13は、右ヘッドライト17R、左ヘッドライト17Lについて、消失点の位置に基づいて、点灯させるLEDランプを選択する。照射制御部13は、テーブル14Bを参照して、点灯させるLEDランプを決定する。本例の場合、記憶部14に記憶されるテーブル14Bは、映像40における消失点の位置と点灯させるLEDランプとを対応付ける。照射制御部13は、テーブル14Bを参照することにより、複数のLEDランプ18のうち、消失点の位置に対応する、点灯させるLEDランプを決定する。
 
【0066】
  図24から
図30は、右ヘッドライト17R、左ヘッドライト17Lについて、点灯させるLEDランプを示す図である。
図24から
図30は、右ヘッドライト17Rおよび左ヘッドライト17Lを車両の正面から見た状態を示す図である。
図24から
図30では、車両の正面から見た状態を示すため、各図の記載位置と見た目とが左右逆になっている。つまり、各図中の左側に右ヘッドライト17Rが記載され、各図中の右側に左ヘッドライト17Lが記載されている。なお、
図24から
図30において、点灯させるLEDランプは黒塗りで示し、点灯させない(消灯させたままにする)LEDランプは白抜きで示す。
 
【0067】
  例えば、
図4を参照して説明した照射範囲を形成するには、
図24に示すように、右ヘッドライト17Rおよび左ヘッドライト17Lの複数のLEDランプのうち、それぞれの両端部および上端部は消灯させ、中央部分の範囲71R、71Lにそれぞれ位置する各12個のLEDランプを点灯させる。範囲71R、71Lにそれぞれ位置する各12個のLEDランプを点灯させることにより、
図4を参照して説明した照射範囲51Rおよび51Lと同等の範囲に光を照射することができる。
 
【0068】
  図5を参照して説明した照射範囲を形成するには、
図25に示すように、右ヘッドライト17Rおよび左ヘッドライト17Lの複数のLEDランプのうち、それぞれの両端部は消灯させたままで中央部分の範囲72R、72Lにそれぞれ位置する16個のLEDランプを点灯させる。
図24の場合とは異なり、中央部分の上端部に位置するLEDランプも点灯させる。これにより、
図24の場合よりも遠くまで光を照射することができる。範囲72R、72Lにそれぞれ位置する各16個のLEDランプを点灯させることにより、
図5を参照して説明した照射範囲51Rおよび51Lと同等の範囲に光を照射することができる。
 
【0069】
  図6を参照して説明した照射範囲を形成するには、
図26に示すように、右ヘッドライト17Rおよび左ヘッドライト17Lの複数のLEDランプのうち、それぞれの両端部は消灯させたままで中央部分の下側半分の範囲73R、73Lにそれぞれ位置する8個のLEDランプを点灯させる。これにより、
図24の場合よりも近くに光を照射することができる。範囲73R、73Lにそれぞれ位置する各8個のLEDランプを点灯させることにより、
図6を参照して説明した照射範囲51Rおよび51Lと同等の範囲に光を照射することができる。
 
【0070】
  図7を参照して説明した照射範囲を形成するには、
図27に示すように、右ヘッドライト17Rおよび左ヘッドライト17Lの複数のLEDランプのうち、左下部分の近くの範囲74R、74Lにそれぞれ位置する12個のLEDランプを点灯させる。これにより、
図24の場合よりも左寄りに光を照射することができる。範囲74R、74Lにそれぞれ位置する各12個のLEDランプを点灯させることにより、
図7を参照して説明した照射範囲51Rおよび51Lと同等の範囲に光を照射することができる。
 
【0071】
  図8を参照して説明した照射範囲を形成するには、
図28に示すように、右ヘッドライト17Rおよび左ヘッドライト17Lの複数のLEDランプのうち、右下部分の近くの範囲75R、75Lにそれぞれ位置する12個のLEDランプを点灯させる。これにより、
図24の場合よりも右寄りに光を照射することができる。範囲75R、75Lにそれぞれ位置する各12個のLEDランプを点灯させることにより、
図8を参照して説明した照射範囲51Rおよび51Lと同等の範囲に光を照射することができる。
 
【0072】
  図9を参照して説明した照射範囲を形成するには、
図29に示すように、右ヘッドライト17Rの複数のLEDランプのうち左下部分の近くの範囲76Rに位置する8個のLEDランプを点灯させ、かつ、左ヘッドライト17Lの複数のLEDランプのうち左下部分の近くの範囲76Lに位置する12個のLEDランプを点灯させる。これにより、右側の光の照射範囲を、
図24の場合よりも低い位置にすることができる。範囲76R、76Lにそれぞれ位置するLEDランプを点灯させることにより、
図9を参照して説明した照射範囲51Rおよび51Lと同等の範囲に光を照射することができる。
 
【0073】
  図10を参照して説明した照射範囲を形成するには、
図30に示すように、右ヘッドライト17Rの複数のLEDランプのうち右下部分の近くの範囲77Rに位置する12個のLEDランプを点灯させ、かつ、左ヘッドライト17Lの複数のLEDランプのうち右下部分の近くの範囲77Lに位置する8個のLEDランプを点灯させる。これにより、左側の光の照射範囲を、
図24の場合よりも低い位置にすることができる。範囲77R、77Lにそれぞれ位置するLEDランプを点灯させることにより、
図10を参照して説明した照射範囲51Rおよび51Lと同等の範囲に光を照射することができる。
 
【0074】
  (レーザ光を用いたヘッドライトの場合)
  ヘッドライト12がレーザ光源を有する場合、レーザ光を走査させることによって光を照射する範囲を制御することができる。レーザ光は上記のLEDランプの光よりも径が小さいため、本例では、レーザ光を走査させることによって光の照射範囲を広げる。これにより、ランプおよび反射板によるヘッドライトと同等な照射範囲を形成することができる。
 
【0075】
  図31は、レーザ光源を有するヘッドライト12および照射制御部13の例を示す図である。
図31に示すように、ヘッドライト12は、右ヘッドライト19Rと、左ヘッドライト19Lとを備える。本例の右ヘッドライト19Rは、レーザ光源191Rと、偏向素子部192Rとを備える。また、本例の左ヘッドライト19Lは、レーザ光源191Lと、偏向素子部192Lとを備える。レーザ光源191Rおよび191Lは、レーザ光を出力する。偏向素子部192Rは、レーザ光源191Rから出力されるレーザ光を反射して、その照射位置を変化させるミラーを有する。偏向素子部192Lは、レーザ光源191Lから出力されるレーザ光を反射して、その照射位置を変化させるミラーを有する。
 
【0076】
  照射制御部13は、光源駆動部131と、偏向駆動部132とを備える。光源駆動部131は、レーザ光源191Rおよび191Lを駆動する。偏向駆動部132は、右ヘッドライト19Rの偏向素子部192Rおよび左ヘッドライト19Lの偏向素子部192Lを制御する。
 
【0077】
  偏向駆動部132は、偏向素子部192Rのミラーが回転または揺動するように駆動してレーザ光源191Rからの光の照射位置を走査させる。また、偏向駆動部132は、偏向素子部192Lのミラーを駆動してレーザ光源191Lからの光の照射位置を走査させる。
 
【0078】
  なお、テーブル14Bは、消失点の位置とレーザ光源をONにする範囲を示すデータとを対応付ける。
 
【0079】
  次に、動作について説明する。偏向駆動部132は、偏向素子部192Rおよび偏向素子部192Lを動作させ、レーザ光源191Rおよび191Lの照射位置を走査させる。偏向駆動部132によって照射位置を走査させている途中において、光源駆動部131は、レーザ光源191Rおよび191LをONまたはOFFにする。
 
【0080】
  照射制御部13は、消失点の位置に関するデータに基づき、テーブル14Bを参照してレーザ光源をONにする範囲を示すデータを得て、レーザ光源191Rおよび191LをONまたはOFFにする。
 
【0081】
  (レーザ光の走査例)
  
図32から
図35は、レーザ光を走査させることによって形成する光の照射範囲について説明する図である。ここでは、右ヘッドライト19Rの光の照射範囲について説明する。
 
【0082】
  図32は、レーザ光の走査範囲と走査軌跡62およびレーザ光の照射範囲との関係を示す図である。
図32に示すように、レーザ光の走査軌跡62は、偏向素子部192Rによって形成される。
図4を参照して説明した照射範囲を形成するには、
図32に示す走査範囲60のうち、照射範囲61内でレーザ光源191RをONにし(図中の太線部分)、光を出力する。また、
図32に示す走査範囲60のうち、照射範囲61外でレーザ光源191RをOFFにする。
 
【0083】
  図33は、
図5から
図8を参照して説明した各照射範囲を形成するためのレーザの照射範囲を対比して説明する図である。
図5を参照して説明した照射範囲を形成するには、
図33に示すように走査範囲60のうち、照射範囲61A内においてレーザ光源191RをONにし、照射範囲61A外でレーザ光源191RをOFFにする。これにより、走査範囲60を含み、上下方向に広い照射範囲61Aを形成することができる。
 
【0084】
  図6を参照して説明した照射範囲を形成するには、
図33に示すように走査範囲60のうち、レーザ光の照射位置を走査させている途中において、照射範囲61B内でレーザ光源191RをONにし、照射範囲61B外でレーザ光源191RをOFFにする。これにより、走査範囲60よりも下方に、上下方向に狭い照射範囲61Bを形成することができる。
 
【0085】
  図7を参照して説明した照射範囲を形成するには、
図33に示すように走査範囲60のうち、レーザ光の照射位置を走査させている途中において、照射範囲61C内でレーザ光源191RをONにし、照射範囲61C外でレーザ光源191RをOFFにする。これにより、走査範囲60と同等な大きさで、左方向に寄った照射範囲61Cを形成することができる。
 
【0086】
  図8を参照して説明した照射範囲を形成するには、
図33に示すように走査範囲60のうち、レーザ光の照射位置を走査させている途中において、照射範囲61D内でレーザ光源191RをONにし、照射範囲61D外でレーザ光源191RをOFFにする。これにより、走査範囲60と同等な大きさで、右方向に寄った照射範囲61Dを形成することができる。
 
【0087】
  レーザ光源を用いる場合、
図9および
図10を参照して説明した照射範囲についても、形成することができる。この場合、レーザ光の照射位置を走査させている途中において、照射範囲内でレーザ光源191RをONにし、照射範囲外でレーザ光源191RをOFFにする。
 
【0088】
  また、レーザ光源を用いる場合、特定の対象を照射範囲から除外し、光を照射しないようにすることができる。例えば、歩行者や対向車などの対象を照射範囲から除外し、光を照射しない対象とする。制御部15は、車載カメラによって取得した映像について画像処理を行うことによって、光を照射しない対象を検出する。例えば、パターン認識によって歩行者や対向車を検出できる。光源駆動部131は、検出した対象を含む所定の範囲においてレーザ光源191RをOFFにする。
 
【0089】
  図34は、特定の対象を照射範囲から除外し、光を照射しないようにする場合のヘッドライト制御方法の例を示すフローチャートである。
図34の処理は、ヘッドライトが点灯していることが前提となる。
 
【0090】
  図34において、ステップS101およびS102の処理は、
図2を参照して説明したとおりである。
 
【0091】
  ステップS102において消失点を算出した後、光を照射すべきでない対象があるか否かを判断する(ステップS201)。ステップS201において光を照射すべきでない対象があると判断した場合(ステップS201においてYes)、算出した消失点の位置に基づき、かつ、その対象に光を照射しないようにヘッドライトによる光の照射を制御する(ステップS202)。
 
【0092】
  ステップS201において光を照射すべきでない対象がないと判断した場合(ステップS201においてNo)、算出した消失点の位置に基づいて、
図2の場合と同様にヘッドライトによる光の照射を制御する(ステップS103)。
 
【0093】
  図35は、特定の対象を照射範囲から除外しつつ、レーザ光を走査させることによって形成する光の照射範囲の例を示す図である。
図35において、照射範囲61Eは、光を照射しない対象を検出したことによって欠けた部分63を有する。
図35に示す走査軌跡62のようにレーザ光の照射位置を走査させている途中において、照射範囲61E内でレーザ光源191RをONにし(図中の太線部分)、照射範囲61E外でレーザ光源191RをOFFにすることによって、照射範囲61Eを形成できる。照射範囲61Eにおいてレーザ光源191RをOFFにする範囲は、照射範囲61Eの内部に設定されていてもよい。
 
【0094】
  上記は右ヘッドライト19Rの光の照射範囲について説明したが、左ヘッドライト19Lの光の照射範囲についても上記と同様である。
 
【0095】
  (走行速度に応じた制御)
  照射制御部13は、車両の速度に応じて、制御を行う周期を変化させてもよい。このように制御周期を変化させることにより、車両の速度に対して適切に制御を行うことができる。
図36は、車両の速度に応じて照射制御部13の制御周期を設定するヘッドライト装置の例を説明する図である。
図36に示すように、本例のヘッドライト装置1Aは、速度取得部16を有する。速度取得部16は、車両の走行速度を取得する。照射制御部13は、取得した走行速度に応じて、ヘッドライト12を制御する周期を決定する。
 
【0096】
  図37は、
図36に示すヘッドライト装置1Aの動作例を示すフローチャートである。
図37の処理は、ヘッドライトが点灯していることが前提となる。
図37に示すように、本例のヘッドライト装置1Aでは、制御部15は、ヘッドライトの点灯中、映像を取得する(ステップS101)。照射制御部13は、速度取得部16によって取得した走行速度に応じて待ち時間を設定する(ステップS401)。照射制御部13は、ステップS401において設定した待ち時間の経過後、上記と同様に消失点を算出し(ステップS102)、算出した消失点の位置に基づいて照射制御を行う(ステップS103)。
 
【0097】
  照射制御部13は、以上の処理を、ヘッドライトがONしている場合に継続して行う。したがって、走行速度が変化すると、ステップS401において照射制御部13が設定する待ち時間が変化する。このため、走行速度に応じた適切な頻度で、ヘッドライト12による光の照射を制御することができる。例えば、走行速度が大きい場合(高速道路を走行中など)は、ステップS401において照射制御部13が設定する待ち時間を小さくして制御の頻度を高くし、走行速度が小さい場合(高速道路以外の一般道路を低速で走行中または停止中)は、ステップS401において照射制御部13が設定する待ち時間を大きくして制御の頻度を低くする。このように、照射制御部13による制御の頻度を、車両の走行速度に応じて変化させることにより、運転者に違和感を与えずに光の照射を制御することができる。
 
【0098】
  (変形例)
  映像取得部11によって取得した映像には輝度が高い部分と輝度が低い部分とがある。照射制御部13は、輝度が高い部分の位置が消失点の位置に一致するように光の照射の向きを制御してもよい。その場合、照射制御部13は、消失点の位置の変化に追従させて、輝度が高い部分の位置が移動するように、光の照射方向を変化させる。
 
【0099】
  車両が走行する道路の状態によっては、消失点が算出できない場合もある。消失点が算出できない場合、照射制御部13は、予め定められた位置(デフォルトの位置)を照射するようにヘッドライト12による光の照射を制御する。デフォルトの位置は、例えば、ヘッドライト装置1の出荷時に設定される。
 
【0100】
  (まとめ)
  以上のように車両の走行中に、消失点の位置に基づいて、ヘッドライトによる光の照射を制御することにより、運転者が車両の運転中に実際に見ている視界に対して光を適切な位置に照射することができる。