特許第6747605号(P6747605)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6747605
(24)【登録日】2020年8月11日
(45)【発行日】2020年8月26日
(54)【発明の名称】電動パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/10 20060101AFI20200817BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20200817BHJP
   H02K 11/30 20160101ALI20200817BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20200817BHJP
【FI】
   H02K5/10 B
   H02K5/22
   H02K11/30
   B62D5/04
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-546054(P2019-546054)
(86)(22)【出願日】2018年12月26日
(86)【国際出願番号】JP2018047743
(87)【国際公開番号】WO2019135377
(87)【国際公開日】20190711
【審査請求日】2019年8月22日
(31)【優先権主張番号】特願2018-220(P2018-220)
(32)【優先日】2018年1月4日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 昇
(72)【発明者】
【氏名】清水 康博
(72)【発明者】
【氏名】塗 志鵬
【審査官】 清水 康
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/026894(WO,A1)
【文献】 特開2009−040353(JP,A)
【文献】 特開2008−189146(JP,A)
【文献】 特開2015−204671(JP,A)
【文献】 特開2014−181463(JP,A)
【文献】 特開2006−103567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/00 − 99/00
B62D 5/00 − 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータユニットを備える電動パワーステアリング装置であって、
前記モータユニットは、
モータケース、及び前記モータケースの一端に配置されるモータフランジを備える電動モータと、
前記モータケースに面する制御装置ケースを備え且つ前記電動モータに支持される制御装置と、
前記モータフランジから前記制御装置に向かって突出し且つ前記電動モータと前記制御装置とを接続するバスバーと、
前記電動モータに取り付けられ且つ前記バスバーの上側表面の少なくとも一部を覆う第1カバーと、
前記制御装置ケースに取り付けられる第2カバーと、
を備え、
前記第1カバーは、上側に開口する溝を備え、
前記第2カバーは、前記溝の上側に重なり、
前記第1カバーは絶縁体であり、
前記バスバーと前記第1カバーとが一体となっており、
複数の前記バスバーが並ぶ方向である配列方向における前記第1カバーの長さは、一端の前記バスバーから他端の前記バスバーまでの配列方向の最大距離よりも大きく、
前記第2カバーは、前記電動モータの回転軸に平行な軸方向で前記溝に面し、且つ前記軸方向に対して直交する径方向で前記第1カバーに面しており、
前記第2カバーと前記第1カバーとの間の前記径方向の隙間は、前記第2カバーと前記第1カバーとの間の前記軸方向の隙間よりも小さい
電動パワーステアリング装置
【請求項2】
前記第1カバーは、前記溝の端部に下側に向かって突出する突起を備える
請求項1に記載の電動パワーステアリング装置
【請求項3】
前記溝の少なくとも一部において、前記溝の短手方向の幅が上側に向かって小さくなっている
請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置
【請求項4】
前記溝の底は、前記溝の長手方向の端部が中央よりも下側に位置するように傾斜している
請求項1からのいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置
【請求項5】
前記制御装置ケースは、金属であり、
前記第2カバーは、絶縁体である
請求項1からのいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置
【請求項6】
水平面に対して所定角度をなす回転軸を中心に回転するステアリングシャフトと、
前記ステアリングシャフトを支持するステアリングコラムと、
を備え、
前記ステアリングコラムは、前記所定角度を変えられるように車体に取り付けられ、
前記モータユニットは、前記ステアリングコラムに取り付けられ、
前記溝の長手方向は、前記回転軸と平行な方向に沿い、
前記溝の長手方向に沿う鉛直断面において、前記溝の底は、前記所定角度が最大角度となる状態及び前記所定角度が最小角度となる状態において水平面に対して角度をなす
請求項1から5のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項7】
前記第1カバーは、前記溝の前記モータフランジ側に配置される第1壁と、前記溝の前記制御装置側に配置され且つ前記第1壁よりも高い第2壁と、を備える
請求項1から6のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータユニット及び電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動パワーステアリング装置は、モータと、モータを制御する制御装置と、を備えている。小型化のために、制御装置をモータの近くに配置した電動パワーステアリング装置が知られている。例えば、特許文献1には、制御装置をモータの近くに配置した電動パワーステアリング装置の一例が記載されている。このような電動パワーステアリング装置においては、モータの一端に設けられたモータフランジに制御装置が固定されることが多い。モータと制御装置とは、モータフランジに配置されたバスバーによって電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−150506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、モータ及び制御装置の周辺に異物が落ちることがある。異物がバスバーに接すると短絡が生じる可能性があるため、異物とバスバーとの接触を抑制できる技術が望まれている。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、異物とバスバーとの接触を抑制できるモータユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様のモータユニットは、モータケース、及び前記モータケースの一端に配置されるモータフランジを備える電動モータと、前記モータケースに面する制御装置ケースを備え且つ前記電動モータに支持される制御装置と、前記モータフランジから前記制御装置に向かって突出し且つ前記電動モータと前記制御装置とを接続するバスバーと、前記電動モータに取り付けられ且つ前記バスバーの上側表面の少なくとも一部を覆う第1カバーと、前記制御装置ケースに取り付けられる第2カバーと、を備え、前記第1カバーは、上側に開口する溝を備え、前記第2カバーは、前記溝の上側に重なり、前記溝の底は、前記溝の長手方向の端部が中央よりも下側に位置するように傾斜しており、前記第1カバーは絶縁体であり、前記バスバーと前記第1カバーとが一体となっている。
【0007】
これにより、モータユニットよりも上側にある部材からモータケースと制御装置ケースとの間に落ちた異物は、第1カバー又は第2カバーで受け止められる。モータケースの表面に付いた異物は、第1カバーで受け止められる。制御装置ケースの表面に付いた異物は、第2カバーで受け止められる。第1カバーが受けた異物は、溝によってバスバーにかからない位置に導かれ、下側に落ちる。第2カバーが受けた異物は、第2カバーの下側にある第1カバーに移動した後、溝によって異物がバスバーにかからない位置に導かれ、下側に落ちる。このため、モータユニットは、異物とバスバーとの接触を抑制できる。
【0008】
モータユニットの望ましい態様として、前記第1カバーは、前記溝の端部に下側に向かって突出する突起を備える。これにより、液体が第1カバーの下側表面に伝わりにくくなる。このため、液体の電動モータの内部への侵入が抑制される。
【0009】
モータユニットの望ましい態様として、前記溝の少なくとも一部において、前記溝の短手方向の幅が上側に向かって小さくなっている。これにより、溝に入ってきた異物が、溝からこぼれにくくなる。このため、異物とバスバーとの接触がより抑制される。
【0010】
モータユニットの望ましい態様として、複数の前記バスバーが並ぶ方向である配列方向における前記第1カバーの長さは、一端の前記バスバーから他端の前記バスバーまでの配列方向の最大距離よりも大きい。これにより、異物がバスバーによりかかりにくくなる。モータユニットは、異物とバスバーとの接触をより抑制できる。
【0011】
本開示の一態様の電動パワーステアリング装置は、上述したモータユニットを備える。これにより、電動パワーステアリング装置は、異物による不具合の生じる可能性を低減できる。
【0012】
電動パワーステアリング装置の望ましい態様として、水平面に対して所定角度をなす回転軸を中心に回転するステアリングシャフトと、前記ステアリングシャフトを支持するステアリングコラムと、を備え、前記ステアリングコラムは、前記所定角度を変えられるように車体に取り付けられ、前記モータユニットは、前記ステアリングコラムに取り付けられ、前記溝の長手方向は、前記回転軸と平行な方向に沿い、前記溝の長手方向に沿う鉛直断面において、前記溝の底は、前記所定角度が最大角度となる状態及び前記所定角度が最小角度となる状態において水平面に対して角度をなす。
【0013】
これにより、ステアリングシャフトが水平面に対してなす角度によらずに、溝に入った異物が溝の端部に導かれる。このため、溝に異物が溜まりにくくなる。
【0014】
電動パワーステアリング装置の望ましい態様として、前記第1カバーは、前記溝の前記モータフランジ側に配置される第1壁と、前記溝の前記制御装置側に配置され且つ前記第1壁よりも高い第2壁と、を備える。
【0015】
これにより、モータユニットが設計された姿勢に対して傾斜して配置された場合でも、溝の異物が第2壁を超えにくくなる。このため、電動パワーステアリング装置は、異物とバスバーとの接触をより抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、異物とバスバーとの接触を抑制できるモータユニット及び電動パワーステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第1実施形態の電動パワーステアリング装置の模式図である。
図2図2は、第1実施形態のモータユニットの断面図である。
図3図3は、第1実施形態のモータユニットのバスバー周辺の断面図である。
図4図4は、第1実施形態のモータの斜視図である。
図5図5は、第1実施形態のモータフランジ周辺の斜視図である。
図6図6は、第1実施形態のモータフランジ周辺の斜視図である。
図7図7は、第1実施形態のモータフランジ周辺の斜視図である。
図8図8は、第1実施形態の第1カバーの斜視図である。
図9図9は、第1実施形態の第1カバーの断面図である。
図10図10は、図9におけるA−A断面図である。
図11図11は、第1変形例の第1カバーの断面図である。
図12図12は、第2変形例の第1カバーの断面図である。
図13図13は、第2実施形態の電動パワーステアリング装置の斜視図である。
図14図14は、第2実施形態の第1カバーの断面図である。
図15図15は、溝の深さ方向が鉛直方向に対して傾斜した場合における、第2実施形態の第1カバーの断面図である。
図16図16は、所定角度が最大である状態での、図14におけるB−B断面図である。
図17図17は、所定角度が最小である状態での、図14におけるB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の電動パワーステアリング装置の模式図である。図1に示すように、電動パワーステアリング装置80は、操作者から与えられる力が伝達する順に、ステアリングホイール81と、ステアリングシャフト82と、第1ユニバーサルジョイント84と、中間シャフト85と、第2ユニバーサルジョイント86と、を備えピニオンシャフト87に接合されている。以下の説明においては、電動パワーステアリング装置80が搭載された車両における前方は単に前方と記載され、車両における後方は単に後方と記載される。
【0020】
図1に示すように、ステアリングシャフト82は、入力軸82aと、出力軸82bとを備える。入力軸82aの一方の端部がステアリングホイール81に連結され、入力軸82aの他方の端部が出力軸82bに連結される。また、出力軸82bの一方の端部が入力軸82aに連結され、出力軸82bの他方の端部が第1ユニバーサルジョイント84に連結される。
【0021】
図1に示すように、中間シャフト85は、第1ユニバーサルジョイント84と第2ユニバーサルジョイント86とを連結している。中間シャフト85の一方の端部が第1ユニバーサルジョイント84に連結され、他方の端部が第2ユニバーサルジョイント86に連結される。ピニオンシャフト87の一方の端部が第2ユニバーサルジョイント86に連結され、ピニオンシャフト87の他方の端部がステアリングギヤ88に連結される。ステアリングシャフト82の回転が中間シャフト85を介してピニオンシャフト87に伝わる。すなわち、中間シャフト85はステアリングシャフト82に伴って回転する。
【0022】
図1に示すように、ステアリングギヤ88は、ピニオン88aと、ラック88bとを備える。ピニオン88aは、ピニオンシャフト87に連結される。ラック88bは、ピニオン88aに噛み合う。ステアリングギヤ88は、ピニオン88aに伝達された回転運動をラック88bで直進運動に変換する。ラック88bは、タイロッド89に連結される。ラック88bが移動することで車輪の角度が変化する。
【0023】
図1に示すように、電動パワーステアリング装置80は、減速装置92と、モータユニット1と、を備える。減速装置92は、例えばウォーム減速装置である。モータユニット1は、電動モータ2と、制御装置3を備える。電動モータ2で生じたトルクは、減速装置92の内部のウォームを介してウォームホイールに伝達され、ウォームホイールを回転させる。減速装置92は、ウォーム及びウォームホイールによって、電動モータ2で生じたトルクを増加させる。そして、減速装置92は、出力軸82bに補助操舵トルクを与える。すなわち、電動パワーステアリング装置80はコラムアシスト方式である。制御装置3は、ECU(Electronic Control Unit)である。
【0024】
図1に示すように、電動パワーステアリング装置80は、トルクセンサ94と、車速センサ95と、を備える。電動モータ2、トルクセンサ94及び車速センサ95は、制御装置3と電気的に接続される。トルクセンサ94は、入力軸82aに伝達された操舵トルクをCAN(Controller Area Network)通信により制御装置3に出力する。車速センサ95は、電動パワーステアリング装置80が搭載される車体の走行速度(車速)を検出する。車速センサ95は、車体に備えられ、車速をCAN通信により制御装置3に出力する。
【0025】
制御装置3は、電動モータ2に取り付けられており、電動モータ2の動作を制御する。制御装置3は、トルクセンサ94及び車速センサ95のそれぞれから信号を取得する。制御装置3には、イグニッションスイッチ98がオンの状態で、電源装置99(例えば車載のバッテリ)から電流が供給される。制御装置3は、操舵トルク及び車速に基づいて補助操舵指令値を算出する。制御装置3は、補助操舵指令値に基づいて電動モータ2へ供給する電流値を調節する。制御装置3は、電動モータ2から誘起電圧の情報又は電動モータ2に設けられたレゾルバ等から出力される情報を取得する。制御装置3が電動モータ2を制御することで、ステアリングホイール81の操作に要する力が小さくなる。
【0026】
図2は、第1実施形態のモータユニットの断面図である。図2において、紙面の上側が鉛直方向の上側である。図2に示すように、第1実施形態において、電動モータ2の回転軸Zは水平面に対して角度をなしている。図2に示すように、モータユニット1は、電動モータ2と、制御装置3と、3つのバスバー4と、第1カバー5と、第2カバー6と、を備える。
【0027】
以下の説明において、鉛直方向での上側は単に上側と記載され、鉛直方向での下側は単に下側と記載される。回転軸Zに平行な方向は軸方向と記載される。軸方向に対して直交する方向は径方向と記載される。回転軸Zを中心とした円に沿う方向は周方向と記載される。
【0028】
図2に示すように、モータユニット1においては、電動モータ2と制御装置3とが近接して配置されている。電動モータ2は、モータケース20と、モータフランジ21と、端子台23と、を備える。モータケース20は、略円筒状の部材であって、例えば金属で形成されている。モータケース20は、ロータ及びステータ等を内蔵している。ロータは回転軸Zを中心に回転する。ステータにはコイルが巻かれている。コイルには三相交流が供給される。モータフランジ21は、モータケース20の一端の開口を塞ぐ部材である。モータフランジ21は、モータケース20の下側の一端に配置されている。図4に示すように、モータフランジ21は、外周面から突出する2つの支持部211を備える。端子台23は、モータフランジ21に取り付けられている。端子台23はコイル及びバスバー4に接続されている。バスバー4の電流が端子台23を介してコイルに供給される。
【0029】
図2に示すように、制御装置3は、制御装置ケース30と、コネクタ33と、を備える。制御装置ケース30は、例えば金属で形成されている。制御装置ケース30は、電子部品を備える基板等を内蔵している。制御装置ケース30は、例えばボルト等の締結部材によってモータフランジ21に固定されている。制御装置ケース30をモータフランジ21に固定する締結部材は、モータフランジ21の支持部211に取り付けられる。制御装置ケース30は、モータケース20に面している。コネクタ33は、制御装置ケース30の下側の端部に配置されている。コネクタ33にはバスバー4が接続されている。制御装置3は、コネクタ33及びバスバー4を介して、電動モータ2に電流を供給している。
【0030】
バスバー4は、電動モータ2と制御装置3とを接続する導体である。例えばバスバー4は、金属で形成されている。バスバー4の一端は電動モータ2の端子台23に接続されている。バスバー4の他端は、制御装置3のコネクタ33に接続されている。バスバー4は、モータケース20からコネクタ33に向かって突出している。このため、バスバー4は、モータケース20及びコネクタ33に覆われない部分を備える。
【0031】
図3は、第1実施形態のモータユニットのバスバー周辺の断面図である。図4は、第1実施形態のモータの斜視図である。図5は、第1実施形態のモータフランジ周辺の斜視図である。図6は、第1実施形態のモータフランジ周辺の斜視図である。図7は、第1実施形態のモータフランジ周辺の斜視図である。図8は、第1実施形態の第1カバーの斜視図である。図9は、第1実施形態の第1カバーの断面図である。図10は、図9におけるA−A断面図である。
【0032】
図4に示すように、第1カバー5は電動モータ2のモータケース20に取り付けられている。第1カバー5は、絶縁体であり、例えば樹脂で形成されている。第1カバー5に用いる樹脂としては、例えばポリブチレンテレフタレート樹脂(Poly Butylene Terephthalate:PBT)が挙げられる。第1カバー5及びバスバー4は一体となっている。例えば、第1カバー5及び3つのバスバー4はインサート成形により一体に形成されている。第1カバー5は、それぞれのバスバー4の上側表面の少なくとも一部を覆っている。3つのバスバー4が並ぶ方向である配列方向(図3における紙面奥行き方向)における第1カバー5の長さは、一端のバスバー4から他端のバスバー4までの配列方向の最大距離よりも大きい。すなわち、図7に示すように、配列方向における第1カバー5の長さL2は、一端のバスバー4から他端のバスバー4までの配列方向の最大距離L1よりも大きい。このため、配列方向における第1カバー5の端部は、軸方向でバスバー4に重ならない。図7に示すように、第1カバー5は、モータフランジ21の2つの支持部211の間に配置される。第1カバー5の周方向の端部と支持部211との間の配列方向における隙間長さGは、隣接するバスバー4の配列方向における中心間距離(ピッチ)P以下である。これにより、制御装置ケース30とモータフランジ21との接続部分である支持部211の近くに第1カバー5が配置される。制御装置ケース30に対する第1カバー5の位置ずれが抑制されるので、バスバー4の変形が抑制される。図8に示すように、第1カバー5は、凸部55と、壁部56と、溝51と、を備える。
【0033】
図8に示すように、凸部55は、第1カバー5の上側表面から突出する略円柱状の部材である。図5に示すように、凸部55は、モータケース20に設けられた穴に嵌まる。凸部55により第1カバー5がモータケース20に対して位置決めされる。
【0034】
図8に示すように、壁部56は、第1カバー5の上側表面から突出している。壁部56は、凸部55よりも径方向で内側に配置されている。壁部56は、モータケース20の内周面に沿う形状を有し、図3に示すようにモータケース20の内側に嵌まっている。
【0035】
図8に示すように、溝51は、第1カバー5の上側表面に設けられている。溝51は、上側に向かって開口している。溝51は、屈曲しており、周方向に沿って延びている。溝51は2つの屈曲部を備えている。溝51は、上述した配列方向における第1カバー5の全長に亘っている。溝51の長手方向の端部は、第1カバー5の側面で開口している。溝51は、排水溝ともいえる。
【0036】
図9は、回転軸Zを含む平面で第1カバー5を切った断面である。図9に示す断面において、溝51の底58は半円を描いている。図10に示すように、溝51の底58は、溝51の長手方向の端部が中央よりも下側に位置するように傾斜している。溝51の底58が、溝51の長手方向の中央から端部に向かってモータケース20から離れるように傾斜している。第1実施形態において第1カバー5の上側表面は軸方向に対して直交する平面状であるため、溝51は、溝51の長手方向の中央から端部に向かって深くなっている。また、溝51の表面には撥水性を高めるためのコーティングが施されている。例えば、溝51の表面がフッ素樹脂によってコーティングされている。言い換えると、第1カバー5は、溝51の表面に撥水性を高めるための被覆材を備えている。
【0037】
図3に示すように、第2カバー6は、制御装置3の制御装置ケース30に取り付けられている。第2カバー6は、絶縁体であり、例えば樹脂で形成されている。第2カバー6に用いる樹脂としては、例えばポリブチレンテレフタレート樹脂が挙げられる。第2カバー6は、コネクタ33の上側に位置する。第2カバー6は、軸方向で第1カバー5の溝51と重なっている。第2カバー6は、溝51の上側に重なっている。上述した配列方向における第2カバー6の長さは、一端のバスバー4から他端のバスバー4までの配列方向の最大距離よりも大きい。このため、配列方向における第2カバー6の端部は、軸方向でバスバー4に重ならない。
【0038】
なお、第1カバー5及び第2カバー6の形状及び材質は、上述したものに限定されない。例えば、溝51の底58は必ずしも傾斜していなくてもよい。溝51の底58は、曲面状でなくてもよく、平面上であってもよい。また、第2カバー6の上側表面が、電動モータ2に近い端部(径方向で内側の端部)が電動モータ2から遠い端部(径方向で外側の端部)よりも下側に位置するように傾斜していてもよい。
【0039】
第1カバー5はバスバー4と一体に形成されていなくてよく、第1カバー5とバスバー4との間に隙間があってもよい。この場合、第1カバー5は絶縁体でなくてもよく、例えば金属等で形成されていてもよい。第1カバー5とバスバー4とが別々に配置される場合、第1カバー5は、既存のモータケース等に加工を施すことで取り付けることが可能である。
【0040】
第1カバー5が備える溝51の数は、2つ以上であってもよい。この場合、第2カバー6は、複数の溝51のうち少なくとも1つの上側に重なっていればよい。また、第2カバー6が溝を有していてもよい。
【0041】
バスバー4の数は、必ずしも3つとは限らない。例えば、電動モータ2が3相交流を2系統有する場合、バスバー4の数は、6つとなる。6つのバスバー4が一方向に並べられる。6つのバスバー4が並ぶ方向が配列方向である。この場合、上述した最大距離L1は、6つのバスバー4のうちの一端のバスバー4から他端のバスバー4までの配列方向の最大距離を意味する。
【0042】
以上で説明したように、モータユニット1は、電動モータ2と、制御装置3と、バスバー4と、第1カバー5と、第2カバー6と、を備える。電動モータ2は、モータケース20、及びモータケース20の一端に配置されるモータフランジ21を備える。制御装置3は、モータケース20に面する制御装置ケース30を備え且つ電動モータ2に支持される。バスバー4は、モータフランジ21から制御装置3に向かって突出し且つ電動モータ2と制御装置3とを接続する。第1カバー5は、電動モータ2に取り付けられ且つバスバー4の上側表面の少なくとも一部を覆う。第2カバー6は、制御装置ケース30に取り付けられる。第1カバー5は、上側に開口する溝51を備える。第2カバー6は、溝51の上側に重なる。
【0043】
モータユニット1よりも上側にある部材、又はモータケース20及び制御装置ケース30に結露が生じることがある。水滴は重力によって下側へと落ちていく。すなわち、水滴がモータフランジ21及びコネクタ33に向かって落ちていく。また、水のほかに、油又は塵等がモータフランジ21及びコネクタ33に向かって落ちていくこともある。すなわち、異物がモータフランジ21及びコネクタ33に向かって落ちていく。水、油又は塵等の異物がバスバー4に付くと短絡が生じる可能性があるため好ましくない。また、モータユニット1を小型化するためにモータフランジ21の周辺には部品が密集しているため、異物を発見することは容易ではない。
【0044】
これに対して、第1実施形態のモータユニット1においては、モータユニット1よりも上側にある部材からモータケース20と制御装置ケース30との間に落ちた異物は、第1カバー5又は第2カバー6はで受け止められる。モータケース20の表面に付いた異物は、第1カバー5で受け止められる。制御装置ケース30の表面に付いた異物は、第2カバー6で受け止められる。第1カバー5が受けた異物は、溝51によってバスバー4にかからない位置に導かれ、下側に落ちる。第2カバー6が受けた異物は、第2カバー6の下側にある第1カバー5に移動した後、溝51によって異物がバスバー4にかからない位置に導かれ、下側に落ちる。このため、モータユニット1は、異物とバスバー4との接触を抑制できる。
【0045】
またモータユニット1においては、溝51の底58は、溝51の長手方向の端部が中央よりも下側に位置するように傾斜している。これにより、溝51に入った異物が溝51の端部に導かれやすくなる。このため、溝51に異物が溜まりにくくなる。
【0046】
またモータユニット1においては、第1カバー5は絶縁体である。バスバー4と第1カバー5とが一体となっている。これにより、モータユニット1の小型化が可能になる。
【0047】
またモータユニット1においては、複数のバスバー4が並ぶ方向である配列方向における第1カバー5の長さL2は、一端のバスバー4から他端のバスバー4までの配列方向の最大距離L1よりも大きい。これにより、異物がバスバー4によりかかりにくくなる。モータユニット1は、異物とバスバー4との接触をより抑制できる。
【0048】
また電動パワーステアリング装置80は、モータユニット1を備える。これにより、電動パワーステアリング装置80は、異物による不具合の生じる可能性を低減できる。
【0049】
(第1変形例)
図11は、第1変形例の第1カバーの断面図である。なお、上述した第1実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0050】
図11に示すように、第1変形例の第1カバー5Aは、溝51の端部に突起53を備える。突起53は、溝51が設けられた表面の裏面(下側表面)から突出している。突起53は、下側に向かって突出する。突起53は、水切り部ともいえる。なお、突起53の形状は図11に示した形状に限定されない。突起53は、溝51の端部から落ちる液体を第1カバー5Aの下側表面に伝わらせない形状を有していればよい。
【0051】
第1変形例によれば、液体が第1カバー5Aの下側表面に伝わりにくくなる。このため、液体の電動モータ2の内部への侵入が抑制される。
【0052】
(第2変形例)
図12は、第2変形例の第1カバーの断面図である。なお、上述した第1実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0053】
第2変形例の第1カバー5Bは、溝51Bを備える。溝51Bの短手方向における溝51Bの上端部の幅W1は、短手方向における溝51Bの最大幅W2よりも小さい。すなわち、溝51Bの一部において、短手方向の幅が上側に向かって小さくなっている。
【0054】
第2変形例によれば、溝51Bに入ってきた異物が、溝51Bからこぼれにくくなる。このため、異物とバスバー4との接触がより抑制される。
【0055】
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態の電動パワーステアリング装置の斜視図である。図14は、第2実施形態の第1カバーの断面図である。図15は、溝の深さ方向が鉛直方向に対して傾斜した場合における、第2実施形態の第1カバーの断面図である。図16は、所定角度が最大である状態での、図14におけるB−B断面図である。図17は、所定角度が最小である状態での、図14におけるB−B断面図である。なお、上述した第1実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0056】
図13に示すように、第2実施形態の電動パワーステアリング装置80Cは、ステアリングコラム83と、モータユニット1Cと、を備える。ステアリングコラム83は、ステアリングシャフト82を支持する部材である。ステアリングシャフト82は、回転軸Rを中心に回転できる。ステアリングコラム83は、ステアリングシャフト82が回転軸Rを中心に回転できるように、ステアリングシャフト82を支持する。例えば、ステアリングコラム83は、軸受を介してステアリングシャフト82を支持する。回転軸Rは、水平面に対して所定角度をなす。
【0057】
ステアリングコラム83は、回転軸Rが水平面に対してなす所定角度を変えられるように車体に取り付けられる。すなわち、ステアリングコラム83は、車体に対して揺動できるように取り付けられる。例えば、ステアリングコラム83は、ピボットブラケットを介して車体に取り付けられる。電動パワーステアリング装置80Cにおいては、チルト位置の調節が可能である。例えば、所定角度の最大値は、25°である。所定角度の最小値は、21°である。すなわち、ステアリングコラム83が中立位置にある状態において、所定角度は23°である。ステアリングコラム83は、中立位置から−2°以上+2°以下の範囲で移動できる。なお、中立位置とは、所定角度の最大値となる位置と、所定角度が最小となる位置との間の、中間の位置である。
【0058】
図13に示すようには、モータユニット2Cは、ステアリングコラム83の上面に取り付けられる。例えば、モータユニット2Cは、電動モータ2の回転軸Zがステアリングシャフト82の回転軸Rに対して直交するように、ステアリングコラム83に取り付けられる。
【0059】
モータユニット2Cは、第1カバー5Cは、溝51Cと、第1壁52と、第2壁54と、を備える。溝51Cは、回転軸Rと平行な方向DRに沿う。第1壁52及び第2壁54は、溝51Cを形成する部材である。第1壁52は、溝51Cのモータフランジ21(図2参照)側に配置される。第2壁54は、溝51Cの制御装置3(図2参照)側に配置される。第2壁54は、溝51Cの深さ方向DHにおいて第1壁52よりも高い。
【0060】
図14は、溝51Cの深さ方向DHが基準線Vと平行な状態を示す。基準線Vは、電動モータ2の回転軸Zと平行な直線である。図14に示す状態において、第1壁52の溝51Cに面する縁521と、第2壁54の溝51Cに面する縁541とを通る直線を、直線M1とする。直線M1は、水平面Hに対して第1角度θ1をなす。第1角度θ1は、所定の第2角度θ2以上である。第2角度θ2は、例えば15°である。これにより、図15に示すように、溝51Cの深さ方向DHが基準線Vに対して傾斜する場合でも、縁541が縁521よりも上側に位置する。
【0061】
図16に示すように、溝51Cの長手方向に沿う鉛直断面において、溝51Cの底58Cは、所定角度が最大角度θmaxとなる状態において、水平面Hに対して角度をなす。最大角度θmaxは、上述したように例えば25°である。図17に示すように、溝51Cの長手方向に沿う鉛直断面において、溝51Cの底58Cは、所定角度が最小角度θminとなる状態において、水平面Hに対して角度をなす。最小角度θminは、上述したように例えば21°である。すなわち、溝51Cの長手方向に沿う鉛直断面において、溝51Cの底58Cは、所定角度に関わらず、水平面Hに対して角度をなす。
【0062】
なお、第2角度θ2は、必ずしも15°でなくてもよい。15°は、第2角度θ2の一例に過ぎない。最大角度θmaxは、必ずしも25°でなくてもよい。25°は、最大角度θmaxの一例に過ぎない。最小角度θminは、必ずしも21°でなくてもよい。21°は、最小角度θminの一例に過ぎない。
【0063】
以上で説明したように、電動パワーステアリング装置80Cは、水平面Hに対して所定角度をなす回転軸Rを中心に回転するステアリングシャフト82と、ステアリングシャフト82を支持するステアリングコラム83と、を備える。ステアリングコラム83は、所定角度を変えられるように車体に取り付けられる。モータユニット2Cは、ステアリングコラム83に取り付けられる。溝51Cの長手方向は、回転軸Rと平行な方向DRに沿う。溝51Cの長手方向に沿う鉛直断面において、溝51Cの底58Cは、所定角度が最大角度θmaxとなる状態及び所定角度が最小角度θminとなる状態において水平面に対して角度をなす。
【0064】
これにより、ステアリングシャフト82が水平面Hに対してなす角度によらずに、溝51Cに入った異物が溝51Cの端部に導かれる。このため、溝51Cに異物が溜まりにくくなる。
【0065】
また、電動パワーステアリング装置80Cにおいては、第1カバー5Cは、溝51Cのモータフランジ21側に配置される第1壁52と、溝51Cの制御装置3側に配置され且つ第1壁52よりも高い第2壁54と、を備える。
【0066】
これにより、モータユニット2Cが設計された姿勢に対して傾斜して配置された場合でも、溝51Cの異物が第2壁54を超えにくくなる。このため、電動パワーステアリング装置80Cは、異物とバスバー4との接触をより抑制できる。
【符号の説明】
【0067】
1 モータユニット
2 電動モータ
20 モータケース
21 モータフランジ
211 支持部
23 端子台
3 制御装置
30 制御装置ケース
33 コネクタ
4 バスバー
5、5A、5B、5C 第1カバー
51、51B 溝
52 第1壁
521 縁
53 突起
54 第2壁
541 縁
55 凸部
56 壁部
58、58C 底
6 第2カバー
80、80C 電動パワーステアリング装置
81 ステアリングホイール
82 ステアリングシャフト
82a 入力軸
82b 出力軸
83 ステアリングコラム
84 第1ユニバーサルジョイント
85 中間シャフト
86 第2ユニバーサルジョイント
87 ピニオンシャフト
88 ステアリングギヤ
88a ピニオン
88b ラック
89 タイロッド
92 減速装置
94 トルクセンサ
95 車速センサ
98 イグニッションスイッチ
99 電源装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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図17