(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中心周波数推定部において推定した中心周波数に応じて、前記ターゲット位置指紋導出部において導出した相互相関を重み付けし、前記ターゲット位置指紋導出部において導出した相互相関として、重み付けた相互相関を出力するターゲット位置指紋重み付け部と、
前記中心周波数推定部において推定した中心周波数に応じて、前記周波数領域補間部において導出した相互相関を重み付けし、前記周波数領域補間部において導出した相互相関として、重み付けた相互相関を出力する参照用位置指紋重み付け部とをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の発信源推定装置。
前記周波数領域補間部において導出した相互相関に対して空間補間を実行し、前記周波数領域補間部において導出した相互相関として、空間補間によって学習地点の数が増加した相互相関を出力する空間領域補間部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の発信源推定装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。未知の発信源の位置を推定することは、不法無線機や妨害電波発信機の対策に取り組むために重要である。これらは、他の通信システムに有害な干渉を与えたり、サービスを中断させたりすることがあるからである。これまでの位置指紋をベースとした位置推定では、位置指紋として受信信号の強度やチャネルインパルス応答を使用している。それでは、未知の発信源からの送信信号の中心周波数が不明である場合に、未知の発信源の位置を推定できない。本実施例は、アンテナアレイにおけるアンテナ間の位相差を位置指紋として使用する位置推定アルゴリズムに関する。この位置推定アルゴリズムにおいて、複数の中心周波数をまとめて使用しながら、到来方向推定が実行される。また、トレーニングされた位置指紋は、未知の発信源からの送信信号とのパターンマッチングの前に、周波数領域と空間領域において補間される。
【0012】
図1は、本発明の実施例に係る発信源推定システム100の構成を示す。発信源推定システム100は、センサ10と総称される第1センサ10a、第2センサ10b、発信源推定装置20を含む。第1センサ10aは、アンテナ12と総称される第1アンテナ12a、第2アンテナ12b、第3アンテナ12c、第4アンテナ12dを含む。
図1において、センサ10の数は「2」とされているが、これに限定されない。また、第1センサ10aに備えられたアンテナ12の数は「4」とされるが、これに限定されない。さらに、第1センサ10a以外のセンサ10にも複数のアンテナ12が備えられる。
【0013】
複数のセンサ10が、対象となるエリアにランダムに配置される。各センサ10は、複数のアンテナ12を有する。複数のセンサ10は、無線回線あるいは有線回線によって発信源推定装置20に接続される。発信源推定装置20は、各センサ10の複数のアンテナ12において受信した受信信号をもとに、位置指紋をベースにした位置推定を実行する。
【0014】
位置指紋をベースにした位置推定は、2つの段階を有する。1つ目の段階は、トレーニング段階と呼ばれる。トレーニング段階において、既知の発信源が、対象となるエリア内の多くの位置(以下、「学習地点」という)から信号(以下、「トレーニング信号」という)を送信し、ランダムに配置された複数のセンサ10がトレーニング信号を受信する。ここで、複数の学習地点の座標は、(x1,y1)、(x2,y2)、・・・のように示される。また、トレーニング信号は、複数の中心周波数で送信される。発信源推定装置20は、各センサ10の複数のアンテナ12において受信したトレーニング信号をもとに、位置指紋に使用するためのパラメータ(以下、「学習位置指紋」という)を導出する。発信源推定装置20は、複数の学習地点のそれぞれに対する学習位置指紋をデータベース(以下、「位置指紋データベース」という)として記憶する。
【0015】
2つ目の段階は、推定段階と呼ばれる。推定対象となる未知の発信源がエリア内に現われたときにこの段階に遷移される。まず、推定対象となる未知の発信源の位置指紋が、トレーニング段階と同様の手順で取得される。次に、この位置指紋と、位置指紋データベースに既に記憶された学習位置指紋との間でパターンマッチングがなされる。位置指紋データベースに記憶された学習位置指紋のうち、推定対象となる未知の発信源の位置指紋に最も近い学習位置指紋の学習地点が、推定される位置になる。以下では、トレーニング段階での処理と推定段階での処理をさらに詳しく説明する。
【0016】
図2は、発信源推定装置20の構成を示す。発信源推定装置20は、取得部30、学習位置指紋導出部32、記憶部34、中心周波数推定部36、到来方向推定部38、周波数領域補間部40、参照用位置指紋重み付け部42、空間領域補間部44、ターゲット位置指紋導出部46、ターゲット位置指紋重み付け部48、パターンマッチング部50を含む。以下では、(1)トレーニング段階、(2)推定段階の順に説明する。
【0017】
(1)トレーニング段階
取得部30は、複数のセンサ10において受信したトレーニング信号(以下、「受信信号」という)を取得する。q番目のセンサ10におけるp番目のアンテナ12での受信信号は次のように示される。
【数1】
ここで、h
p,q[k]はq番目のセンサ10におけるp番目のアンテナ12でのチャネルインパルス応答を示し、x[k]は、送信信号を示し、w[k]は付加された白色ガウス雑音を示し、*は畳み込み演算子を示す。取得部30は、受信信号を学習位置指紋導出部32に出力する。
【0018】
学習位置指紋導出部32は、取得部30から受信信号を入力し、学習位置指紋を導出する。具体的に説明すると、q番目のセンサ10におけるp番目のアンテナ12での受信信号と、q番目のセンサ10におけるp’番目のアンテナ12での受信信号との相互相関は、次のように示される。
【数2】
ここで、R
ζ(x[k],y[k])は、ζだけ遅延したx[k]とy[k]との相互相関を示し、R
ζ(x[k],x[k])は、x[k]の自己相関を示す。雑音w[k]を含む演算は、ε
ζとして示される誤差項に含まれる。また、畳み込み演算と相互相関演算との互換性が使用されると、R
ζ(y
p,q[k],y
p’,q[k])は、p番目とp’番目のアンテナ12でのCIRの相互相関と、送信信号x[k]の自己相関との間の畳み込みとして示される。
【0019】
これらより、学習位置指紋導出部32は、次のように示される学習位置指紋を導出する。
【数3】
ここで、y
p,s,m,n[k]は、p番目のアンテナ12、s番目のスナップショット、m番目の学習地点、n番目の中心周波数での受信信号を示す。また、p,p’は、1,2,・・・,N
el(p≠p’)であり、sは1,2,・・・,Sであり、mは1,2,・・・,N
txであり、nは、1、2,・・・,N
fである。なお、N
elはアンテナ12の数を示し、N
txは学習地点の数を示し、N
fは中心周波数の数を示し、Sはスナップショットの数を示す。また、学習位置指紋導出部32は、このような学習位置指紋をセンサ10毎に導出する。さらに、学習位置指紋導出部32は、S個のスナップショットとなり、N
f個の中心周波数となるまで処理を繰り返し実行するとともに、N
tx個の学習地点においても処理を実行する。学習位置指紋導出部32は、学習地点の座標とともに学習位置指紋を記憶部34に出力する。
【0020】
記憶部34は、学習位置指紋導出部32から、学習地点の座標と学習位置指紋との組合せを入力し、これらをまとめた位置指紋データベースを記憶する。
図3は、記憶部34に記憶された位置指紋データベースのデータ構造を示す。位置指紋データベースは、互いに異なった中心周波数毎のテーブル200を含む。ここでは、中心周波数「f
1」に対するテーブル200と中心周波数「f
Nf」に対するテーブル200だけが示されているが、他の中心周波数に対しても同様のテーブル200が形成される。1つのテーブル200には、複数の学習地点のそれぞれに対して、各センサ10におけるアンテナ12間の学習位置指紋が複数含まれる。学習位置指紋は受信信号のアンテナ12間の相互相関に相当する。そのため、記憶部34は、互いに異なった中心周波数毎に、複数の学習地点のそれぞれから送信された送信信号に対する相互相関であって、かつ各センサ10における受信信号のアンテナ12間の相互相関がまとめられた位置指紋データベースを記憶するといえる。
図2に戻る。
【0021】
(2)推定段階
未知の発信源から送信された送信信号が複数のセンサ10の複数のアンテナ12のそれぞれにおいて受信された場合に、発信源推定装置20は、推定段階に遷移する。未知の発信源から送信された送信信号を受信するために、センサ10は、スペクトルセンシング技術を実行する。スペクトルセンシング技術には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。取得部30は、推定段階に遷移した場合、複数のセンサ10のそれぞれから各アンテナ12において受信した信号(以下、「受信信号」という)を取得する。取得部30は、中心周波数推定部36、到来方向推定部38、ターゲット位置指紋重み付け部48に受信信号を出力する。
【0022】
中心周波数推定部36は、取得部30において取得した受信信号の中心周波数f
targetを推定する。中心周波数f
targetは、学習位置指紋において使用される複数の中心周波数と同一でなくてもよい。中心周波数f
targetの推定には公知の技術が使用されればよい。例えば、中心周波数推定部36は、受信信号に対してフーリエ変換を実行することによって、スペクトルを生成する。中心周波数推定部36は、スペクトルとしきい値とを比較し、電力がしきい値よりも大きくなる周波数の最小値(以下、「fmin」という)と、電力がしきい値よりも大きくなる周波数の最大値(以下、「fmax」という)を検出する。なお、fminとfmaxの間の周波数において、電力はしきい値よりも大きくなっているとする。中心周波数推定部36は、fmaxからfminを減算した結果を帯域幅とする。中心周波数推定部36は、fminとfmaxと間の中心の周波数を中心周波数f
targetとする。中心周波数推定部36は、推定した中心周波数f
targetを周波数領域補間部40に出力する。
【0023】
到来方向推定部38は、取得部30からの受信信号を入力したタイミングにおいて処理を開始する。なお、これまでの到来方向推定において、アンテナ12の間隔は、グレーティングローブを避けるためにλ/2に設定される。発信源推定システム100は、広い範囲の周波数に対応すべきであるので、異なったアンテナ12の間隔を有した複数のアレイを備えることが好ましい。しかしながら、そのような構成では、コストが増加し、実現性が低くなる。そのため、ここでは、すべての周波数に対して1つのアレイの配置が使用される。アンテナ12の間隔よりも波長が十分に小さくなる場合であっても、グレーティングローブの影響を低減するために、到来方向推定部38は、複数の中心周波数に対する学習位置指紋を同時に使用する。
【0024】
到来方向推定部38は、さまざまな到来方向θに対して、記憶部34に記憶した位置指紋データベースの学習位置指紋のレプリカ(以下、「レプリカ位置指紋」という)を次のように生成する。なお、レプリカは疑似信号に相当する。
【数4】
ここで、A
p(f,θ)は、アレイ応答であり、理想的な一様円形状アレイ(UCA)、利用的な一様直線状アレイ(ULA)に対して次のように示される。
【数5】
ここで、rはUCAのアレイ半径であり、dはアンテナ12の間隔である。
【0025】
到来方向推定部38は、次のように、レプリカ位置指紋と学習位置指紋との間の二乗誤差が最小になるような到来方向を推定する。その際、複数の中心周波数に対する学習位置指紋が同時に使用される。
【数6】
【0026】
このような処理は、センサ10毎に、すべての学習地点に対して実行される。つまり、到来方向推定部38は、各学習地点に対するアレイ応答のアンテナ12間の相互相関と、記憶部34に記憶した位置指紋データベースでの相互相関との差の2乗値をセンサ10内の複数のアンテナ12と複数の中心周波数とにわたって積算することによって、各学習地点に対する到来方向をセンサ10毎に推定する。到来方向推定部38は、到来方向を周波数領域補間部40に出力する。
【0027】
なお、周波数が高くなると伝搬損失が大きくなるので、学習位置指紋に含まれる雑音が大きくなる。学習位置指紋のSNR(Signal to Noise Ratio)がしきい値以下である場合、到来方向推定部38は、到来方向推定の前に当該学習位置指紋を除外する。
【0028】
周波数領域補間部40は、中心周波数推定部36から中心周波数f
targetを入力し、到来方向推定部38から到来方向を入力する。周波数領域補間部40は、中心周波数f
targetと到来方向とをもとに、次のように位置指紋(以下、「参照用位置指紋」という)を導出する。
【数7】
【0029】
このような処理は、センサ10毎に、すべての学習地点に対して実行される。つまり、周波数領域補間部40は、到来方向と中心周波数f
targetとをもとに、各学習地点に対するアレイ応答のアンテナ12間の相互相関をセンサ10毎に導出する。これは、周波数領域において位置指紋を補間することに相当する。式(4)、式(5)によると、位置指紋は周波数の関数である。そのため、位置指紋に対する周波数領域の補間が必要になる。周波数に対してプロットした場合、位置指紋の位相は直線になり、その傾斜は支配的な経路の到来方向に依存する。位置指紋の位相の周期的な性質により、簡易な線形回帰を使用して直線を推定することは困難である。そのため、周波数領域補間部40では、LOS(Line Of Sight)あるいは支配的な経路の到来方向の知識を使用する。周波数領域補間部40は、導出した参照用位置指紋を参照用位置指紋重み付け部42に出力する。
【0030】
参照用位置指紋重み付け部42は、周波数領域補間部40から参照用位置指紋を入力する。参照用位置指紋重み付け部42は、アンテナ12間の相関係数を重み係数とする。ここでは、直達波あるいは卓越波が存在する場合、相関係数≒1となり、直達波あるいは卓越波が存在しない場合、相関係数<1となる。しかしながら、アンテナ12の間隔に対して波長が長すぎると、相関係数が常に1になる。そのため、参照用位置指紋重み付け部42は、波長がアンテナ12の間隔より十分小さい場合のみ、重み係数を使用し、それ以外の場合に重み係数を1とする。そのため、重み係数は、次のように示される。
【数8】
【0031】
ここで、|N|は、集合Nの要素数を示し、N={n|f
n≧c/4d}である。参照用位置指紋重み付け部42は、重み係数によって参照用位置指紋を次のように重み付けする。
【数9】
つまり、参照用位置指紋重み付け部42は、中心周波数f
targetに応じて、周波数領域補間部40において導出した相互相関を重み付けする。参照用位置指紋重み付け部42は、重み付けた参照用位置指紋(以下、これもまた「参照用位置指紋」という)を空間領域補間部44に出力する。
【0032】
空間領域補間部44は、参照用位置指紋重み付け部42から参照用位置指紋を入力する。空間領域補間部44は、参照用位置指紋に対して空間補間を実行する。空間補間によって、トレーニング段階において使用されていない学習地点における参照用位置指紋が推定される。これにより、学習地点の数が増加するとともに、参照用位置指紋の空間的な密度が増加する。なお、空間補間によって増加した学習地点もまた学習地点という。つまり、空間領域補間部44は、周波数領域補間部40において導出した相互相関に対して空間補間を実行し、空間補間によって学習地点の数が増加した相互相関を生成する。
【0033】
図4は、空間領域補間部44の構成を示す。空間領域補間部44は、実部抽出部60、実部補間部62、虚部抽出部64、虚部補間部66、合成部68を含む。実部抽出部60は、参照用位置指紋の実部を抽出し、参照用位置指紋の実部を実部補間部62に出力する。実部補間部62は、複数の参照用位置指紋の実部をもとに、空間補間、例えば、線形補間を実行することによって、新たな学習地点に対する参照用位置指紋の実部を導出する。実部補間部62は、導出した参照用位置指紋の実部を合成部68に出力する。虚部抽出部64、虚部補間部66は、参照位置指紋の虚部に対して、実部抽出部60、実部補間部62と同様の処理を実行する。合成部68は、実部補間部62において導出した参照用位置指紋の実部と、虚部補間部66において導出した参照用位置指紋の虚部とを合成することによって、新たな学習地点に対する参照用位置指紋を導出する。
図2に戻る。空間領域補間部44は、空間補間した新たな参照用位置指紋(以下、これもまた「参照用位置指紋」という)をパターンマッチング部50に出力する。
【0034】
ターゲット位置指紋導出部46は、取得部30からの受信信号を入力する。ターゲット位置指紋導出部46は、学習位置指紋と同様の処理を実行することによって、受信信号に対する位置指紋(以下、「ターゲット位置指紋」という)を導出する。このような処理は、センサ10毎に実行される。つまり、ターゲット位置指紋導出部46は、取得部30において取得した受信信号のアンテナ12間の相互相関をセンサ10毎に導出する。ターゲット位置指紋導出部46は、ターゲット位置指紋をターゲット位置指紋重み付け部48に出力する。
【0035】
ターゲット位置指紋重み付け部48は、ターゲット位置指紋導出部46からのターゲット位置指紋を入力する。ターゲット位置指紋重み付け部48は、参照用位置指紋重み付け部42と同様の処理を実行することによって、ターゲット位置指紋を重み付けする。重み付けしたターゲット位置指紋(以下、これもまた「ターゲット位置指紋」という)は、次のように示される。
【数10】
【0036】
ここで、重み係数は次のように示される。
【数11】
このような処理は、センサ10毎に実行される。つまり、ターゲット位置指紋重み付け部48は、中心周波数f
targetに応じて、ターゲット位置指紋導出部46において導出した相互相関を重み付けする。ターゲット位置指紋重み付け部48は、ターゲット位置指紋をパターンマッチング部50に出力する。
【0037】
パターンマッチング部50は、空間領域補間部44からの参照用位置指紋を入力するとともに、ターゲット位置指紋重み付け部48からのターゲット位置指紋を入力する。パターンマッチング部50は、学習地点毎に、参照用位置指紋とターゲット位置指紋との差の2乗値をセンサ10内の複数のアンテナ12と複数のセンサ10とにわたって積算する。パターンマッチング部50は、積算結果が最小となる場合の学習地点を、未知の発信源が配置された位置として推定する。この処理は、次のように示される。
【数12】
ここで、N
rxは、センサ10の数を示す。未知の発信源が配置された位置は、次のように示される。パターンマッチング部50は、推定した位置を出力する。
【0038】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ハードウエアとソフトウエアの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0039】
本発明の実施例によれば、アンテナ間の相互相関をもとに、学習位置指紋、参照用位置指紋、ターゲット位置指紋を生成するので、チャネルインパルス応答が不明であっても、未知の発信源の位置を簡易に推定できる。また、レプリカ位置指紋と学習位置指紋との差の2乗値をセンサ内の複数のアンテナと複数の中心周波数とにわたって積算することによって到来方向を推定するので、中心周波数が不明であっても、未知の発信源の位置を簡易に推定できる。また、到来方向と中心周波数とをもとに参照用位置指紋を導出するので、位置指紋に対する周波数領域の補間を実行できる。
【0040】
また、位置指紋に対する周波数領域の補間が実行されるので、参照用位置指紋の導出精度を向上できる。また、参照用位置指紋の導出精度が向上するので、未知の発信源の位置の推定精度を向上できる。また、参照用位置指紋とターゲット位置指紋に対する重み付けを実行するので、激しいマルチパス・フェージングによる周波数補間の誤差の影響を低減でき、LOS地点とNLOS地点を判別するための付加情報が加わることにより、推定精度を向上できる。また、参照用位置指紋に対する空間補間を実行するので、学習地点を増加できる。また、学習地点が増加するので、未知の発信源の位置の推定精度を向上できる。
【0041】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0042】
本発明の実施例において、発信源推定装置20は、参照用位置指紋重み付け部42における重み付け、空間領域補間部44における空間補間、ターゲット位置指紋重み付け部48における重み付けを実行している。しかしながらこれに限らず例えば、空間領域補間部44における空間補間が省略されてもよい。また、参照用位置指紋重み付け部42における重み付け、ターゲット位置指紋重み付け部48における重み付けが省略されてもよい。本変形例によれば、処理を簡易にできる。
【0043】
本発明の実施例において、位置指紋データベースにおける学習位置指紋は、実際に受信したトレーニング信号をもとに生成されている。しかしながらこれに限らず例えば、位置指紋データベースにおける学習位置指紋は、地形データや建物データを用いたレイトレースシミュレーションによって生成されてもよい。本変形例によれば、トレーニング信号を送信不可能な状況においても、位置指紋データベースにおける学習位置指紋を生成できる。