特許第6747861号(P6747861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6747861
(24)【登録日】2020年8月11日
(45)【発行日】2020年8月26日
(54)【発明の名称】ワイヤハーネスの製造ライン
(51)【国際特許分類】
   H01B 13/012 20060101AFI20200817BHJP
   B23P 21/00 20060101ALI20200817BHJP
   H01B 13/26 20060101ALN20200817BHJP
【FI】
   H01B13/012 D
   B23P21/00 301Z
   !H01B13/26 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-96106(P2016-96106)
(22)【出願日】2016年5月12日
(65)【公開番号】特開2017-204402(P2017-204402A)
(43)【公開日】2017年11月16日
【審査請求日】2019年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長友 勝美
(72)【発明者】
【氏名】黒木 勇市
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 照和
(72)【発明者】
【氏名】福田 好文
(72)【発明者】
【氏名】牧野 周夫
(72)【発明者】
【氏名】飯干 義彦
【審査官】 神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−066525(JP,A)
【文献】 特開平11−292017(JP,A)
【文献】 特開平06−333441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 13/012
B23P 21/00
H01B 13/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアにより搬送され、上を向いた面上に立設された複数のハーネス保持具にワイヤハーネスが前記コンベアの搬送方向に沿って保持された作業台であって、前記面上における前記ワイヤハーネスより作業者が立つ側である手前側の領域のみに備え付けの保持具が立設された作業台と、
第1の所定位置に到達した前記作業台の前記手前側と反対の奥側に横付けされ、前記コンベアの搬送方向に沿って前記面上における前記ワイヤハーネスより前記奥側の領域を移動しながら前記ワイヤハーネスの外周にテープを巻き付けるテープ巻き機を備えたテープ巻き台と、
前記第1の所定位置の上流側あるいは下流側の第2の所定位置に到達して停止した前記作業台の前記奥側に横付けされ、前記作業台上までスライド可能であり、前記面上における前記ワイヤハーネスより前記奥側の領域のみで保持具として機能する追加保持具を有する保持具支持台と、
を備えることを特徴とするワイヤハーネスの製造ライン。
【請求項2】
前記保持具支持台は、基台と、前記追加保持具が設置され、前記基台に対し前記作業台の方向にスライド可能なスライドアームと、
を有することを特徴とする請求項1に記載のワイヤハーネスの製造ライン。
【請求項3】
前記追加保持具は、前記スライドアームに対して傾倒位置と起立位置との間で可動である
ことを特徴とする請求項2に記載のワイヤハーネスの製造ライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスの製造ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に配索されるワイヤハーネスは、作業台に設けられた保持具上に複数本の電線を保持し、端部に端子やコネクタを接続するなどして端末処理を行い、外周の必要箇所にテープ巻きを行ったりチューブなどの保護材を組付けることで製造される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−223646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ワイヤハーネスの端部に端子やコネクタを接続する組付け作業は一般に作業者により行わる。また、ワイヤハーネスに対するテープ巻きは、作業者により行われる場合もあるが、テープ巻き機により自動で行う場合もある。組付け作業を行う作業台上には、組付け作業に用いる保持具が多数設けられているため、この作業台でテープ巻き機によりテープ巻きを行おうとすると、テープ巻き機が保持具により移動を妨げられ、テープ巻きを行うことが難しい。そのため、作業台において組付け作業が終了すると、作業者は、ワイヤハーネスを作業台から取り外し、テープ巻きを行うための専用の作業台に移し替えていた。
【0005】
しかしながら、ワイヤハーネスは長尺であり、また、幹線部分から多数の分岐線が分岐しているため、1つのラインの作業台から次のラインの作業台に置き換えるのは時間や労力がかかり、作業効率が低下する。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ワイヤハーネスの製造作業を効率的に行うことが可能なワイヤハーネスの製造ラインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスの製造ラインは、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1) コンベアにより搬送され、上を向いた面上に立設された複数のハーネス保持具にワイヤハーネスが前記コンベアの搬送方向に沿って保持された作業台であって、前記面上における前記ワイヤハーネスより作業者が立つ側である手前側の領域のみに備え付けの保持具が立設された作業台と、
第1の所定位置に到達した前記作業台の前記手前側と反対の奥側に横付けされ、前記コンベアの搬送方向に沿って前記面上における前記ワイヤハーネスより前記奥側の領域を移動しながら前記ワイヤハーネスの外周にテープを巻き付けるテープ巻き機を備えたテープ巻き台と、
前記第1の所定位置の上流側あるいは下流側の第2の所定位置に到達して停止した前記作業台の前記奥側に横付けされ、前記作業台上までスライド可能であり、前記面上における前記ワイヤハーネスより前記奥側の領域のみで保持具として機能する追加保持具を有する保持具支持台と、
を備えることを特徴とするワイヤハーネスの製造ライン。
(2) 前記保持具支持台は、基台と、前記追加保持具が設置され、前記基台に対し前記作業台の方向にスライド可能なスライドアームと、
を有する(1)に記載のワイヤハーネスの製造ライン。
(3) 前記追加保持具は、前記スライドアームに対して傾倒位置と起立位置との間で可動である
(2)に記載のワイヤハーネスの製造ライン。
【0007】
上記(1)の構成のワイヤハーネスの製造ラインによれば、ワイヤハーネスに対する作業時には、第2の所定位置で追加保持具を備えた保持具支持台が作業台に横付けされる。これにより、作業台における保持具支持台が横付けされる領域における備え付けの保持具を少なくすることができる。したがって、第1の所定位置では、テープ巻き台が作業台に横付けされてテープ巻き機がワイヤハーネスに対してテープ巻きを行う際に、作業台の保持具の少ない領域において、テープ巻き機を搬送方向に沿って移動させながらテープ巻きを行うことができる。
このように、ワイヤハーネスへ組付ける部材の組付けの際に必要な作業台上に備え付けておく保持具を少なくすることができるので、テープ巻き機によるテープ巻きの際に、保持具が邪魔にならず、これにより、テープ巻き機によるテープ巻きを製造ラインにおいてインラインで行うことができ、ワイヤハーネスの製造作業を効率的に行うことができる。よって、ワイヤハーネスの生産性を向上させることができる。
上記(2)の構成のワイヤハーネスの製造ラインによれば、第2の所定位置に到達して停止した作業台に対して、スライドアームをスライドさせることで、必要に応じて追加保持具を作業台に近付けて容易に使用可能にできる。
上記(3)の構成のワイヤハーネスの製造ラインによれば、追加保持具を傾倒位置と起立位置との間で可動させることで、追加保持具を使用し易い位置に配置させることができ、作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ワイヤハーネスの製造作業を効率的に行うことが可能なワイヤハーネスの製造ラインを提供できる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る製造ラインの全体構成を説明する概略平面図である。
図2図2は、テープ巻き台を説明する図であって、図2(a)はテープ巻き機が作業台から離間した状態の概略平面図、図2(b)はテープ巻き機が作業台に近接した状態の概略平面図である。
図3図3は、テープ巻き機を説明するテープ巻き機の斜視図である。
図4図4は、保持具支持台を説明する図であって、図4(a)はスライドアームが作業台から離間した状態の概略平面図、図4(b)はスライドアームが作業台に近接した状態の概略平面図である。
図5図5は、保持具支持台が近接した状態における作業台の搬送方向下流側から視た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
図1は、本実施形態に係る製造ラインの全体構成を説明する概略平面図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係るワイヤハーネスの製造ライン10は、自動車等の車両に配索されるワイヤハーネスWを製造するラインであり、複数の作業台11を備えている。製造ライン10では、搬送コンベア13に支持された複数の作業台11が、一方向である搬送方向Aへ順に搬送される。
【0013】
製造ライン10は、搬送方向Aに沿って複数の作業エリアに区分されている。作業エリアは、本例では、搬送方向Aの上流側から順に、搬入エリアA1、テープ巻きエリアA2及び組付けエリアA3とされている。搬送コンベア13は、作業台11を間欠的に搬送し、搬入エリアA1、テープ巻きエリアA2及び組付けエリアA3において、作業台11を所定時間停止させる。搬入エリアA1、テープ巻きエリアA2及び組付けエリアA3では、搬送が停止されている所定時間中に、各種の作業が行われる。例えば、搬入エリアA1では、作業台11へのワイヤハーネスWの搬入作業等が行われ、テープ巻きエリアA2では、ワイヤハーネスWに対するテープ巻き作業が行われ、組付けエリアA3では、ワイヤハーネスWへの作業者Sによるコネクタの接続やテープ巻きなどの組付け作業が行われる。
【0014】
作業台11には、その面上に複数のハーネス保持具(保持具)21が立設されており、これらのハーネス保持具21にワイヤハーネスWが搬送方向Aに沿って保持されている。ワイヤハーネスWは、複数の電線を束ねた電線束Dと、電線束Dに組付けられたコネクタやプロテクタ等の部品Pとから構成されている。ハーネス保持具21に保持されたワイヤハーネスWは、作業台11の面に対して所定高さ位置に配置されている。また、作業台11には、主に、組付けエリアA3で作業を行う作業者S側に、ワイヤハーネスWへ組付けるコネクタや電線束Dへ巻き付ける粘着テープなどの部材を仮置きするための備え付けの保持具22が設けられている。
【0015】
製造ライン10は、テープ巻きエリアA2にテープ巻き台30を備え、組付けエリアA3に保持具支持台50を備えている。
【0016】
図2は、テープ巻き台を説明する図であって、図2(a)はテープ巻き機が作業台から離間した状態の概略平面図、図2(b)はテープ巻き機が作業台に近接した状態の概略平面図である。図3は、テープ巻き機を説明するテープ巻き機の斜視図である。
【0017】
図2(a)に示すように、テープ巻き台30は、テープ巻きエリア(第1の所定位置)A2に到達して停止した作業台11に横付けされ、この作業台11のワイヤハーネスWの電線束Dの外周にテープTを巻き付ける。テープ巻き台30は、基台31と、この基台31に支持されたスライド台32と、スライド台32に支持されたテープ巻き機33とを備えている。
【0018】
スライド台32は、基台31に対して搬送方向Aと直交する方向へスライド可能とされている。テープ巻き機33は、スライド台32に二つ設けられており、それぞれ搬送方向Aに沿って移動可能とされている。テープ巻き機33は、スライド台32に支持された本体部35と、本体部35に設けられたテーピングヘッド36とを有している。テーピングヘッド36は、本体部35から作業台11方向へ進退される。
【0019】
図3に示すように、テーピングヘッド36は、二つの電線把持部37と、これらの電線把持部37の間に設けられたテープ巻き機構部38とを有している。
【0020】
電線把持部37は、上下一対の把持部41を有しており、これらの把持部41は、互いに近接及び離間する方向へ移動可能に支持されている。これらの把持部41は、半円状の凹部41aを有しており、把持部41同士が互いに近接された際に、凹部41a同士で形成される孔部にワイヤハーネスWの電線束Dが挿通される。これにより、電線束Dが電線把持部37によって保持される。
【0021】
テープ巻き機構部38は、U字状のガイド凹部45を有するガイド板46と、U字状の保持凹部47を有する回転板48とを有している。ガイド板46のガイド凹部45及び回転板48の保持凹部47には、電線把持部37で把持された電線束Dが挿通される。回転板48は、ガイド板46に対して回転可能に支持されており、駆動モータ(図示略)によって回転される。そして、この回転板48が回転されることで、テープ巻き機構部38にセットされた環状のテープ(図示略)から回転板48によってテープTが引き出されて電線束Dの周囲に周回される。
【0022】
このテープ巻き台30は、テープ巻きエリアA2に作業台11が到達して停止すると、図2(b)に示すように、スライド台32が作業台11側へスライドするとともに、テープ巻き機33のテーピングヘッド36がワイヤハーネスWへ向かって突出し、テープ巻き機構部38のガイド板46のガイド凹部45及び回転板48の保持凹部47に電線束Dが挿通された状態とされる。
【0023】
この状態で、テーピングヘッド36の電線把持部37がワイヤハーネスWの電線束Dを把持し、その後、テーピングヘッド36が搬送方向Aに沿って移動しながらテープ巻き機構部38の回転板48が回転して電線束DにテープTを巻き付ける。これにより、電線束Dには、その長手方向に沿ってテープTが螺旋状に巻き付けられる。
【0024】
電線束Dの外周に所定の範囲にわたってテープTを巻き付けると、テープ巻き台30は、テープ巻き機構部38によるテープ巻きを終了し、電線把持部37による電線束Dの把持を解除する。その後、テーピングヘッド36を本体部35側へ引き込むとともに、スライド台32を作業台11から離間する方向へスライドさせる。
【0025】
その後、テープ巻き台30で電線束Dにテープ巻きされたワイヤハーネスWを保持した作業台11は、搬送コンベア13によって次工程の組付けエリアA3へ送り出される。
【0026】
図4は、保持具支持台を説明する図であって、図4(a)はスライドアームが作業台から離間した状態の概略平面図、図4(b)はスライドアームが作業台に近接した状態の概略平面図である。図5は、保持具支持台が近接した状態における作業台の搬送方向下流側から視た側面図である。
【0027】
図4(a)に示すように、保持具支持台50は、テープ巻きエリアA2の下流側の組付けエリア(第2の所定位置)A3に到達して停止した作業台11に横付けされる。保持具支持台50は、複数の追加保持具51を有している。追加保持具51は、ワイヤハーネスWや、ワイヤハーネスWに組付けられている部材、あるいは、ワイヤハーネスWに組付けるべき部材を保持する。
【0028】
追加保持具51がワイヤハーネスWを保持する場合には、追加保持具51の上部は、例えばハーネス保持具21の上部と同様、ワイヤハーネスWを載置可能とするためにU字状に形成される。したがって、追加保持具51は、ハーネス保持具として機能する。
追加保持具51がワイヤハーネスWに組付けられている部材を保持する場合としては、例えば、既にワイヤハーネスWに組付けられているコネクタなどの部品Pを収容可能に構成されている。また、追加保持具51が、ワイヤハーネスWを構成する電線のクランプを保持するように構成してもよい。したがって、追加保持具51は、コネクタ受け治具やクランプ受け治具などの受け治具として機能する。
また、ワイヤハーネスWに組付けるべき部材を保持する例としては、追加保持具51は、電線束Dの電線に接続される端子やコネクタ、あるいはテープ巻き台30でテープ巻きされた箇所以外に巻き付ける粘着テープなどを保持するよう構成される。追加保持具51は、これらの部材を、例えば、作業者によるワイヤハーネスWに対する組付け作業を行う際に、仮置きのために保持する。
【0029】
保持具支持台50は、基台52と、この基台52に支持されたスライドアーム53とを有している。スライドアーム53は、基台52に対して搬送方向Aと直交する作業台11の方向へスライド可能とされている。スライドアーム53は、搬送方向Aに沿う支持ブラケット55と、この支持ブラケット55に固定されて作業台11側へ延在する複数のアーム部56とを有している。
【0030】
図5に示すように、追加保持具51は、スライドアーム53のアーム部56に支持されている。追加保持具51は、ステー57を有しており、このステー57の端部がアーム部56の端部に回動可能に連結されている。そして、追加保持具51は、スライドアーム53のアーム部56に対して、斜めに傾いた傾倒位置と鉛直方向に沿って起立した起立位置との間で可動する。
【0031】
保持具支持台50は、組付けエリアA3に作業台11が到達して停止すると、図4(b)に示すように、スライドアーム53が作業台11側へスライドする。すると、このスライドアーム53のアーム部56に支持された追加保持具51が作業台11上に配置される。
【0032】
この状態で、作業者Sは、ワイヤハーネスWに対する端子やコネクタの接続作業あるいはテープTの巻き付け作業などの組付け作業を行う。このとき、作業者Sは、作業台11に設けられた備え付けの保持具22及び保持具支持台50の追加保持具51を用い、例えば、これらの保持具22及び追加保持具51にコネクタやテープなどの部材Bを仮置きしながら、ワイヤハーネスWに対する組付け作業を行う。
【0033】
その後、保持具支持台50は、スライドアーム53が作業台11から離間する方向へスライドする。そして、作業者Sによって部材Bの組付け作業等が行われたワイヤハーネスWを保持した作業台11は、搬送コンベア13によって搬送方向Aへ搬送され、次工程へ送り出される。
【0034】
以上、説明したように、本実施形態に係る製造ライン10によれば、ワイヤハーネスWに部材Bを組付ける際には、第2の所定位置である組付けエリアA3で、追加保持具51を備えた保持具支持台50が作業台11に横付けされる。これにより、作業台11における保持具支持台50が横付けされる領域における備え付けの保持具22を少なくすることができる。したがって、第1の所定位置であるテープ巻きエリアA2では、テープ巻き台30が作業台11に横付けされてテープ巻き機33がワイヤハーネスWに対してテープ巻きを行う際に、作業台11の保持具22の少ない領域において、テープ巻き機33を搬送方向Aに沿って移動させながらテープ巻きを行うことができる。
【0035】
このように、ワイヤハーネスWへ組付ける部材Bの組付けの際に必要な作業台11上に備え付けておく保持具22を少なくすることができるので、テープ巻き機33によるテープ巻きの際に、保持具22が邪魔にならず、これにより、テープ巻き機33によるテープ巻きを製造ライン10においてインラインで行うことができ、ワイヤハーネスWの製造作業を効率的に行うことができる。よって、ワイヤハーネスWの生産性を向上させることができる。
【0036】
また、保持具支持台50は、基台52に対し作業台11へ向かってスライド可能なスライドアーム53を備える。したがって、第2の所定位置である組付けエリアA3に到達して停止した作業台11に対して、スライドアーム53をスライドさせることで、必要に応じて追加保持具51を作業台11に近付けて容易に使用可能にできる。
【0037】
しかも、追加保持具51は、スライドアーム53に対して傾倒位置と起立位置との間で可動する。したがって、追加保持具51を傾倒位置と起立位置との間で可動させることで、追加保持具51を使用し易い位置に配置させることができる。これにより、例えば、使用しない追加保持具51を傾倒位置にすることにより、作業性をより一層向上させることができる。
【0038】
なお、上記実施形態では、基台52に対してスライドアーム53をスライドさせることで、追加保持具51を作業台11に近接させる構造を例示したが、追加保持具51を、作業台11における備え付けられた保持具22の少ない領域に着脱可能とし、組付けエリアA3において、部材Bの組付けに必要となる追加保持具51を作業台11に組付けて組付け作業を行うようにしても良い。
【0039】
また、上記実施形態では、テープ巻きエリアA2の下流側に組付けエリアA3が配置されているが、テープ巻きエリアA2の上流側に組付けエリアA3を配置させ、組付けエリアA3で作業者による組付け作業を行った後に、テープ巻きエリアA2でテープ巻き機33による自動でのテープ巻きを行うようにしても良い。
【0040】
また、保持具支持台50のスライドアーム53は、自動によりスライドするようにしてもよく、また、手動でスライドするようにしてもよい。自動でスライドする方法としては、例えば、製造ライン10が、作業台11の組付けエリアA3への到達を検出する位置センサを備えるようにし、この位置センサが作業台11を検出した場合に、保持具支持台50が備える駆動機構によりスライドアームをスライドさせるようにする。また、作業者Sによって押下される作業終了ボタンを設置しておき、作業者がこの作業終了ボタンを押下した場合に、保持具支持台50の駆動機構がスライドアーム53を作業台11から離間する方向にスライドさせるようにする。
【0041】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0042】
ここで、上述した本発明に係るワイヤハーネスの製造ラインの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1] コンベア(搬送コンベア13)により搬送され、面上に立設された複数の保持具(ハーネス保持具21)にワイヤハーネス(W)が保持された作業台(11)と、
第1の所定位置(テープ巻きエリアA2)に到達した前記作業台(11)に横付けされ、前記コンベア(搬送コンベア13)の搬送方向に沿って移動しながら前記ワイヤハーネス(W)の外周にテープ(T)を巻き付けるテープ巻き機(33)を備えたテープ巻き台(30)と、
前記第1の所定位置(テープ巻きエリアA2)の上流側あるいは下流側の第2の所定位置(組付けエリアA3)に到達して停止した前記作業台(11)に横付けされ、前記作業台(11)上までスライド可能であり、前記作業台(11)上で保持具として機能する追加保持具(51)を有する保持具支持台(50)と、
を備えることを特徴とするワイヤハーネスの製造ライン。
[2] 前記保持具支持台(50)は、基台(52)と、前記追加保持具(51)が設置され、前記基台(52)に対し前記作業台(11)の方向にスライド可能なスライドアーム(53)と、
を有することを特徴とする上記[1]に記載のワイヤハーネスの製造ライン。
[3] 前記追加保持具(51)は、前記スライドアーム(53)に対して傾倒位置と起立位置との間で可動である
ことを特徴とする上記[2]に記載のワイヤハーネスの製造ライン。
【符号の説明】
【0043】
10 製造ライン
11 作業台
13 搬送コンベア(コンベア)
21 ハーネス保持具(保持具)
30 テープ巻き台
33 テープ巻き機
50 保持具支持台
51 追加保持具
52 基台
53 スライドアーム
A2 テープ巻きエリア(第1の所定位置)
A3 組付けエリア(第2の所定位置)
B 部材
T テープ
W ワイヤハーネス
図1
図2
図3
図4
図5