特許第6747892号(P6747892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6747892
(24)【登録日】2020年8月11日
(45)【発行日】2020年8月26日
(54)【発明の名称】天板付家具
(51)【国際特許分類】
   A47B 9/20 20060101AFI20200817BHJP
   A47B 13/00 20060101ALI20200817BHJP
   A47B 97/00 20060101ALI20200817BHJP
   H02G 11/00 20060101ALI20200817BHJP
【FI】
   A47B9/20
   A47B13/00 B
   A47B97/00 M
   H02G11/00
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-134475(P2016-134475)
(22)【出願日】2016年7月6日
(65)【公開番号】特開2018-748(P2018-748A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】江島 尚
【審査官】 下井 功介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−157342(JP,A)
【文献】 特開2007−130321(JP,A)
【文献】 特開2006−238994(JP,A)
【文献】 特開2000−23771(JP,A)
【文献】 特開2008−35994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 1/00〜41/06
A47B97/00
H02G11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、
この天板の長手方向一端側及び他端側のそれぞれに配され前記天板を下方から昇降可能に支持するための端部脚と、
前記天板の長手方向一端側及び他端側に配置される端部脚の間において複数配されたものであり前記端部脚とともに前記天板を下方から昇降可能に支持するための中間脚と、
前記天板の下面側において前記複数の中間脚の間を通り延出する配線ダクトと、
この配線ダクト内に収容された複数の配線を可撓性を有した状態で集約し得るものであり当該配線の端部を前記配線ダクトから床面まで前記天板の昇降動作に係る可動域に対応した配線余長を持たせた状態で下方に垂下させ得る配線集約装置と、
前記配線ダクトから垂下した前記配線集約装置を前記天板の短寸方向に並ぶ二本の中間脚の間の案内空間に沿って垂下するように案内する案内装置とを具備することを特徴とする天板付家具。
【請求項2】
前記案内装置が、前記中間脚間に案内空間を外方から仕切る仕切壁を有している請求項1記載の天板付家具。
【請求項3】
前記中間脚が、上側部分をテレスコピック状に延出動作し得る構造をなすものであり、
前記案内装置が前記中間脚の非動作部分である下側部分を外方から被覆する形状をなす請求項1又は2記載の天板付家具。
【請求項4】
前記配線ダクトが、前記天板を電気的に昇降させるために前記端部脚及び前記中間脚に接続される天板昇降用配線を収容している請求項1〜3の何れかに記載の天板付家具。
【請求項5】
前記配線ダクトが前記天板の下面側に取り付けられ前記脚との間に介在するビーム材の一部と交差するように配されたものであり、
前記配線ダクトから延出する前記天板昇降用配線の略全てが前記ビーム材の内部に配されている請求項4記載の天板付家具。
【請求項6】
前記ビーム材が、前記配線ダクトに交差する第一ビーム材とこの第一ビーム材に直交して配される第二ビーム材とを有した平面視概略格子形状をなすものであり、前記第一ビーム材及び前記第二ビーム材に配線を連通させるための連通開口を有している請求項5記載の天板付家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等において好適に用いられている天板付家具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、天板を昇降させて天板面の高さを自在に変更可能な天板付家具が知られている。例えば特許文献1には、左右の脚支柱を同期して昇降させて天板面の高さを調整する天板付家具が記載されている。
【0003】
ところで、多くの天板付家具では、天板上で使用するパーソナルコンピュータ等に接続するための配線を収容しておくための配線収容部が設けられている。そして、床面から延出する配線は当該配線収容部に案内される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−86914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる天板を昇降可能な天板付家具では通常、床面から延出する配線は天板の高さを昇降動作範囲の上端に位置づけたときに応じた長さに調整される。このように配線を調整すれば、当該配線は天板の昇降動作によって不要に引っ張られることもなく、配線も天板下方の床面上に垂れてしまうことはない。
【0006】
しかしながら、上述の通りに配線を配すると、天板を下降させたときに配線の下端側が床面上に垂れ下がってしまい下肢空間にある使用者の足に干渉してしまうといった不具合を招来しやすくなる。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解消することを目的としており、天板を昇降可能な天板付家具を使用する際に天板の昇降位置にかかわらず配線が使用者の足に干渉し難くなるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち、本発明に係る天板付家具は、天板と、この天板の長手方向一端側及び他端側のそれぞれに配され前記天板を下方から昇降可能に支持するための端部脚と、前記天板の長手方向一端側及び他端側に配置される端部脚の間において複数配されたものであり前記端部脚とともに前記天板を下方から昇降可能に支持するための中間脚と、前記天板の下面側において前記複数の中間脚の間を通り延出する配線ダクトと、この配線ダクト内に収容された複数の配線を可撓性を有した状態で集約し得るものであり当該配線の端部を前記配線ダクトから床面まで前記天板の昇降動作に係る可動域に対応した配線余長を持たせた状態で下方に垂下させ得る配線集約装置と、前記配線ダクトから垂下した前記配線集約装置を前記天板の短寸方向に並ぶ二本の中間脚の間の案内空間に沿って垂下するように案内する案内装置とを具備することを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、床面から天板へ向けて誘導される配線が不要に天板下方の床面上に垂れてしまい使用者の足に干渉してしまうという不具合を有効に回避することができる。すなわち本発明によれば、天板を昇降可能な天板付家具を使用する際に天板の昇降位置にかかわらず配線が使用者の足に干渉し難くなるようにする天板付家具を提供することが可能となる。
【0011】
そして、天板下方から垂下する配線をより外方から目立たないようにするためには、案内装置を、中間脚間に案内空間を外方から仕切る仕切壁を有するものとすることが望ましい。
【0012】
また、案内装置が天板を昇降させる際の脚の動作に干渉しないようにするためには、中間脚を、上側部分をテレスコピック状に延出動作し得る構造をなすものとし、案内装置を中間脚の非動作部分である下側部分を外方から被覆する形状とすることが望ましい。
【0013】
そして、配線集約装置に集約されている配線が何れの箇所においても外方から目立ち難いようにするためには、配線ダクトを、天板を昇降させるために端部脚及び中間脚に接続される天板昇降用配線を収容するものとすれば良い。
【0014】
天板昇降用配線を外方から目立たないように配する具体的な構成としては、配線ダクトを天板の下面側に取り付けられ脚との間に介在するビーム材の一部と交差するように配されたものとし、配線ダクトから延出する天板昇降用配線の略全てをビーム材の内部に配するという構成を挙げることができる。
【0015】
そしてビーム材の内部に配線を収容する具体的な構成として、ビーム材を、配線ダクトに交差する第一ビーム材とこの第一ビーム材に直交して配される第二ビーム材とを有する平面視概略格子形状をなすものとし、第一ビーム材及び第二ビーム材に配線を連通させるための連通開口を設ける構成を挙げることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以上説明した構成であるから、天板を昇降可能な天板付家具を使用する際に天板の昇降位置にかかわらず配線が使用者の足に干渉し難くなるようにする天板付家具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る外観図。
図2】同実施形態に係る正面図。
図3】同背面図。
図4】同側面図。
図5】同実施形態に係る底面側から見た斜視図。
図6】同実施形態に係る構成説明図。
図7】同実施形態に係る中央側断面図。
図8】同実施形態に係る動作説明図。
図9】同実施形態に係る作用説明図。
図10】同上。
図11】同上。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図1図11を参照して説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の天板付家具1は、床面から立設する端部脚2及び中間脚3と、この中間脚3の上端に取り付けられた天板支持体としての役割を奏するビーム材4と、このビーム材4に取り付けられた配線ダクト5と、ビーム材4の上側に固定支持されている天板6とを主体としたものである。また端部脚2、中間脚3は操作ユニット9を介して使用者に操作されることにより天板6が昇降するよう伸縮可能な構成を備えている。なお本実施形態では天板付家具1に使用される後述する各配線について、図示及び説明の便宜上図1図7に至るまでは省略するとともに、特に図9図11に具体的に図示するものとする。
【0020】
また天板付家具1は、使用者が各種の電化製品を好適に利用できるよう、天板6の上面側から使用可能な第一のコンセント71と、天板6の下面側における縁部近傍に設けられた第二のコンセント72とを更に有している。そしてこれら第一のコンセント71、第二のコンセント72に加え、上述した操作ユニット9が具備する各配線はビーム材4、配線ダクト5及び中間脚3に沿って集約された状態で床面へ案内されている。
【0021】
ここで、本実施形態に係る天板付家具1は、天板6と、この天板6の隅部分に配され天板6を下方から昇降可能に支持するための端部脚2と、天板6の長手方向における中間部分において天板6の端縁から退避した箇所に複数配されたものであり端部脚2とともに天板6を下方から昇降可能に支持するための中間脚3と、天板6の下面側において複数の中間脚3の間を通り延出する配線ダクト5と、この配線ダクト5内に収容された複数の配線を可撓性を有した状態で集約し得るものであり当該配線の端部を配線ダクト5から床面まで天板6の昇降動作に係る可動域に対応した配線余長を持たせた状態で下方に垂下させ得る配線集約装置8と、配線ダクト5から垂下した配線集約装置8を複数の中間脚3の間の案内空間Xに沿って垂下するように案内する案内装置3Cとを具備することを特徴とする。
【0022】
以下、天板付家具1の各構成要素の構成について説明する。
【0023】
端部脚2は、図1図6に示すように、天板6の四隅にそれぞれ配されて天板6を下側から支持するものであり、本実施形態では電動によるテレスコピック状に伸縮可能な構成とすることにより、天板6を昇降可能に支持し得るものとしている。そしてこの端部脚2は、長手方向一端側、他端側のそれぞれ二つの端部脚2同士が下端部において端部ベース2Bに連結されることにより、これら二つの端部脚2及び端部ベース2Bで端部脚ユニット2Uが構成されている。
【0024】
中間脚3は、図1図6に示すように、天板6の長手方向における中間部分において天板6の端縁から退避した箇所に複数配されたものである。当該中間脚3は、天板6の長手方向中間部分にそれぞれ配されて天板6を下側から支持するものであり、上記端部脚2同様テレスコピック状に延出及び短縮可能、すなわち伸縮可能として天板6を昇降可能に支持し得るものである。この中間脚3は、天板6の短寸方向に並ぶ二本の端部脚2同士が中間ベース3Bにより連結されるとともに、下側が案内装置3Cに覆われるように構成することで、これら中間脚3、中間ベース3B及び案内装置3Cにより、中間脚ユニット3Uが構成されている。また中間ベース3Bは、案内装置3C内に案内された配線を床面へ誘導するための床側開口3B1を有している。そして案内装置3Cは、中間脚3の非動作部分である下側部分を外方から被覆する形状をなすものであり、上方に向けて長穴状に開口する配線導入口3C1(図6図10)と、中間脚3間に形成される案内空間Xを外方から仕切る仕切壁3C2とを有している。
【0025】
ビーム材4は、図2図8図10及び図11に示すように、端部脚2及び中間脚3の上端に固定されることにより天板6を直接的に支持するためのものであり、端部脚2及び中間脚3に直接接続し且つ配線ダクト5に交差するように設けられている第一ビーム材41と、この第一ビーム材41に交差して天板6の長手方向に沿って設けられる第二ビーム材42とを有している。そしてこれら平面視概略格子形状をなす第一、第二ビーム材41、42は、それぞれ内部に配線を挿通し得るように、立面側に連通開口41a、42aを有している。また第一ビーム材41は更に、配線ダクト5からの配線を導入すべくその中央部分にビーム側開口たる中間開口41bと、端部脚2及び中間脚3との接続箇所近傍に設けられた脚用開口41cと、長手方向両端の一部を凹ませて形成した端部開口41dとを更に有している。
【0026】
配線ダクト5は、図2図11に示すように、天板6の下面側において複数の中間脚3の間を通り延出するものである。この配線ダクト5は、天板6の長手方向に沿って延びる板金素材を概略コの字状に折り曲げ成形したダクト本体51と、このダクト本体51の端部に固定され上記ビーム材4に固定される端取付板52及び中間取付板53と、ダクト本体51の底壁51aに組み付けられダクト本体51内を上下に仕切るための上下分別機構54とを有している。ダクト本体51には、中間脚3に臨む底壁51aの一部分を凹ませて形成した連通凹部51bが形成されている。この連通凹部51bにより、配線ダクト5内の配線は好適に中間脚3側へ案内される。そして端取付板52及び中間取付板53は、それぞれダクト本体51の両端に固定されつつ第一ビーム材41の中央部分に固定されたものである。これにより配線ダクト5は、中間脚3に支持された第一ビーム材41と平面視交差するように配される。端取付板52及び中間取付板53には、第一ビーム材41の中間開口41bに連通するビーム用開口52a、53aが設けられている。中間取付板53には、第一ビーム材41を介して連続する他のダクト本体51へ連通するための連通孔53bが設けられている。上下分別機構54は、天板6の開口63に臨む位置に例えば4つ配された板金素材をチャネル状に折り曲げてなるものであり、開口63を挿通するか或いは開口63から露出する第一のコンセント71に接続する上側配線を収容する上側収容空間Uと開口63からアクセスし得ない装置である第二のコンセント72のコードや操作ユニット9の操作板91に接続する操作コード92といった下側配線を収容する下側収容空間Dとを上下方向に仕切るためのものである。またこのチャネル材である上下分別機構54は、ダクト本体51内を更に縦方向に仕切るための縦仕切部54aを有している。なお当該上下分別機構54は、図示の通り開口63に臨む位置に限られず、使用者の手が開口63へ差し入れられたときに触れ得る位置に配置されていればよい。
【0027】
天板6は、図1図5及び図8に示すように、本実施形態では端部脚2に支持される対をなす端天板61と、専ら中間脚3に支持される中間天板62とを有している。これら端天板61及び中間天板62はそれぞれ平面視中央部分に配線ダクト5を露出させるための開口63を有している。この天板6は、例えば本実施形態では図1図5に示すような、一般的な成人が椅子に着席姿勢で適切に利用できる高さ位置から、図8に示すような起立姿勢で肘をついて利用できる高さ位置の間で昇降可能に構成される。
【0028】
第一のコンセント71は、図1図6図7及び図9に示すように、上述した天板6に設けられた開口63を開閉し得るように構成されたものであり、開口63を開閉可能に回転動作する開閉蓋71cと、この開閉蓋71cに取り付けられ開口63を開成するアクセス可能状態において斜め上方に面するように配されたコンセント本体71aと、これら開閉蓋71c及びコンセント本体71aを回転動作可能に支持しつつ天板6の下面側に固定される取付部材71dと、コンセント本体71aに給電するためのコード71bとを有している。なお本実施形態では図9の図示を、一部の開閉蓋71cの図示を略することにより非アクセス状態にあるコンセント本体71aを敢えて図示するようにしている。すなわち本実施形態では第一のコンセント71を、通常は開口63内に収容され直接アクセスし得ない非アクセス状態としつつ、コンセント本体71aに直接アクセスするときのみ図7に想像線で示すようにコンセント本体71aが開口63から外方へ露出するアクセス可能状態とすることができる。これにより、使用者はアクセス可能状態においてコンセント本体71aに容易にアクセスし得るのみならず、コンセント本体71aへのアクセスが済めばコンセント本体71aに使用者側の電源コードを接続したまま非アクセス状態として第一のコンセント71を利用すれば良い。すなわち、第一のコンセント71は非アクセス状態でも、開閉蓋71cと開口63との隙間から天板面上へ電源コードを持ち出して利用することができる。このとき、天板6と開閉蓋71cとは面一に保たれるので、天板6の利便性がより向上したものとなっている。更に同図に示すように第一のコンセント71のコンセント本体71aはアクセス可能状態で外方へ向けて斜め上方に面するように設定し、使用者へのアクセスの便を有効に高めている。そしてこの第一のコンセント71はダクト本体51に取り付けられた上下分別機構54の上側に配されている。これにより、当該第一のコンセント71のコード71bは上下分別機構54により仕切られた上側収容空間Uに収容されることとなる。
【0029】
第二のコンセント72は、図2図3図5図7に示すように、天板6の下面側の縁部近傍において外方に面するように設けられたものである。この第二のコンセント72は、第二ビーム材42の端部近傍に固定されたタップ72aと、このタップ72aからビーム、配線ダクト5及び中間脚3を伝って床面側に延びるコード72bとを有している。すなわち当該コード72bは、配線ダクト5内において上下分別機構54により仕切られた下側収容空間Dに収容される。
【0030】
操作ユニット9は、図2図7及び図11に示すように、端部脚2、中間脚3をそれぞれ伸縮させるためにこれら端部脚2、中間脚3に電気的に接続する天板昇降用配線たる操作コード92と、この操作コード92に接続され天板6を昇降させるための使用者からの操作を受け付ける操作板91とを有している。なお本実施形態では、操作板91は両端の端天板61の隅部分にそれぞれ対角となるように対をなして設けられている。そしてそれぞれの操作板91は近接する端部脚2及び中間脚3にそれぞれ操作コード92を介して有線にて接続するとともに、他方の操作板91に接続される端部脚2及び中間脚3と同期できるよう、他方の操作板に対して有線又は無線による接続がなされている。これにより、一の操作板91のみに操作がなされていても、計八本の脚すなわち端部脚2、中間脚3がそれぞれ同期しながら伸縮可能となっている。なお操作コード92、操作板91、端部脚2、中間脚3を関連づけるための具体的な配線態様は既存の種々の態様を適宜利用し得るため、本実施形態では詳細な説明を省略し、あくまで操作コード92と配線ダクト5、ビーム材4との関係について詳述する。またこの操作コード92は操作板91及び各端部脚2、中間脚3に接続する部分の略すべてがビーム材4、配線ダクト5及び、中間脚ユニット3Uに形成された案内空間X内に配されている。換言すれば、当該操作コード92は、配線ダクト5から延出する部分の略全てがビーム材4の内部に配されている。
【0031】
そして本実施形態の天板付家具1は、少なくとも上記第一のコンセント71、第二のコンセント72及び操作ユニット9における操作コード92の一部を配線ダクト5から例えば一の中間脚3へと集約しながら案内するための配線集約装置8を有している。
【0032】
この配線集約装置8は、本実施形態では硬質環状の集約パーツ81と、これら集約パーツ81をそれぞれ相対動作可能に接続する接続要素82とを有することで全体として可撓性を有するように構成されたものである。配線集約装置8は、配線ダクト5内に収容された複数の配線である少なくとも第一のコンセント71、第二のコンセント72のコード72b及び操作コード92を可撓性を有した状態で集約し得るものであり当該配線の端部を配線ダクト5から床面まで天板6の昇降動作に係る可動域に対応した配線余長を持たせた状態で下方に垂下させ得るものである。
【0033】
しかして本実施形態に係る天板付家具1は、配線ダクト5から垂下した配線集約装置8を複数の中間脚3の間の案内空間Xに沿って垂下するように案内する案内装置3Cを中間脚ユニット3Uの一部として具備するものである。更に本実施形態に係る天板付家具1は、第一のコンセント71及び第二のコンセント72は、天板6の昇降動作に係る可動域に対応した配線余長を持たせた状態で外部に接続され得るように構成している。
【0034】
すなわち図4に示した状態から天板6を上昇させると図8に示す状態となるが、配線集約装置8が配線余長を有している配線をすべて集約しながら可撓変形するために、配線同士が無理に引っ張られることも互いに干渉し合うこともなく全ての配線が好適に案内される。
【0035】
また本実施形態では、配線ダクト5には第一のコンセント71のコード71bの他、第二のコンセント72のコード及び天板6昇降用配線たる操作コード92を収容しているが、図9に示すように、第一のコンセント71のコードは上下分別機構54の上側の上側収容空間Uに配される一方、第二のコンセント72のコード及び操作コード92は上下分別機構54の下側の下側収容空間Dに配される。これにより、それぞれの配線が整理され不要に干渉し合うことは無い。特に本実施形態では、チャネル状をなす上下分別機構54は配線ダクト5を縦方向にも仕切る縦仕切部54bを有しているので、各配線はさらに好適に分別整理され得る。
【0036】
更に本実施形態では、配線ダクト5から延出する第二のコンセント72のコード、及び天板昇降用配線たる操作コード92の略全てがビーム材4の内部に配されている。
【0037】
すなわち図10に示すように、配線集約装置8に集約された配線はダクト本体51の連通凹部51bを通って配線ダクト5内に案内される。そして配線ダクト5内に案内された第二のコンセント72のコードや操作コード92は中間取付板53のビーム用開口53a及び第一ビーム材41の中間開口41bを通って第一ビーム材41の内部に案内される。また天板昇降用配線、すなわち操作コード92は脚用開口41cを通って殆ど外部に露出することなく中間脚3へ接続される。
【0038】
そして図11に示すように、配線ダクト5から延出し第一ビーム材41内に案内された第二のコンセント72のコード72bは、第一ビーム材41の連通開口41aを経て第二ビーム材42の連通開口42aを通り、タップ72aへと到達する。また天板昇降用配線、すなわち操作コード92は脚用開口41cを通って殆ど外部に露出することなく端部脚2へ接続される。また、操作板91に接続する操作コード92は端部開口41dを通って殆ど露出することなく操作板91に接続される。
【0039】
以上のように、本実施形態に係る天板付家具1は、配線ダクト5内に収容された複数の配線を可撓性を有した状態で集約し得るものであり当該配線の端部を配線ダクト5から床面まで天板6の昇降動作に係る可動域に対応した配線余長を持たせた状態で下方に垂下させ得る配線集約装置8と、配線ダクト5から垂下した配線集約装置8を複数の中間脚3の間の案内空間Xに沿って垂下するように案内する案内装置3Cとを具備することを特徴とする。
【0040】
斯かる構成とすることにより天板付家具1、床面から天板6へ向けて誘導される配線が不要に天板6下方の床面上に垂れてしまい使用者の足に干渉してしまうという不具合を有効に回避することができる。すなわち本発明によれば、天板6を昇降可能な天板付家具1を使用する際に天板6の昇降位置にかかわらず配線が使用者の足に干渉し難くなるようにする天板付家具1が実現されている。
【0041】
そして本実施形態では、案内装置3Cを、中間脚3間に案内空間Xを外方から仕切る仕切壁3C2を有するものとしているので、天板6下方から垂下する配線をより外方から目立たないようになっている。
【0042】
また本実施形態では中間脚3が、上側部分をテレスコピック状に延出動作し得る構造をなすものであるが、案内装置3Cを中間脚3の非動作部分である下側部分を外方から被覆する形状としているので、案内装置3Cが天板6を昇降させる際の脚の動作に干渉しないようになっている。
【0043】
そして本実施形態では、配線ダクト5が、天板6を昇降させるために端部脚2及び中間脚3に接続される天板昇降用配線たる操作コード92を収容するものであるため、配線集約装置8に集約されている配線が何れの箇所においても外方から目立ち難いようになっている。
【0044】
天板昇降用配線たる操作コード92を外方から目立たないように配する具体的な構成として本実施形態では、配線ダクト5を天板6の下面側に取り付けられ脚との間に介在するビーム材4の一部と交差するように配し、配線ダクト5から延出する操作コード92の略全てをビーム材4の内部に配するという構成を適用している。
【0045】
そして平面視概略格子形状をなす第一、第二ビーム材41、42からなるビーム材4の内部に配線を効率良く収容するために本実施形態では、これら第一ビーム材41及び第二ビーム材42に配線を連通させるための連通開口41a、42aを設けている。
【0046】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0047】
例えば上記実施形態では長手方向において端部脚と端部脚との間に二箇所に中間脚を配した天板付家具を開示したが、上記実施形態に係る天板付家具は、中間脚の数や天板の大きさを限定するものではない。特に上記実施形態に係る天板付家具は、導入しようとするオフィスの規模に応じて中間脚の数を調整し、当該中間脚の数に応じてビーム、配線ダクト、中間天板の数を適宜調整することにより任意の大きさに設定することができる。
【0048】
また、ビームや脚の昇降機能、更には操作ユニットの具体的な形状や仕様といったその他の詳細な構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1・・・天板付家具
2・・・端部脚
3・・・中間脚
3C・・・案内装置
5・・・配線ダクト
6・・・天板
8・・・配線集約装置
X・・・案内空間
図1
図2
図3
図4
図5
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図11