【0011】
即ち、本発明は、以下の項目から構成される。
1.ポリエステルポリオール(A)、芳香族基を有するポリイソシアネート(B)、及びシランカップリング剤(C)を含有するハイソリッド型接着剤組成物において、
ポリエステルポリオール(A)が、多価カルボン酸と多価アルコールの重縮合物であって、
多価カルボン酸中のフタル酸の含有率が40質量%以上であり、該フタル酸には、イソフタル酸とテレフタル酸を必須成分として含み、フタル酸中での何れかの含有量が50質量%以上、且つオルトフタル酸の含有量が20質量%未満である、ハイソリッド型接着剤組成物、
2.芳香族基を有するポリイソシアネート(B)のイソシアネート基数とポリエステルポリオール(A)の水酸基数の比率(イソシアネート基数/水酸基数)が3以上である1.に記載のハイソリッド型接着剤組成物、
3.芳香族基を有するポリイソシアネート(B)が、メタキシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、前記ジイソシアネートと2個以上の水酸基を有するアルコールとの反応生成物、又はポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートである請求項1又2に記載のハイソリッド型接着剤組成物、
4.ハイソリッド型接着剤組成物に対するシランカップリング剤(C)の固形分質量%が、1.5〜10質量%の範囲である1.〜3.の何れかに記載のハイソリッド型接着剤組成物、
5.1.〜4.の何れかに記載のハイソリッド型接着剤組成物を用いたラミネート用接着剤。
【実施例】
【0021】
以下、実施例にて、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
〔主剤調製例〕
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール 8部、ジエチレングリコール 29部、アジピン酸19部、イソフタル酸24.2部、テレフタル酸19.8部、及びチタン触媒0.006部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価2mgKOH/g以下になるまでさらに反応を続けた。10mmHg以下に減圧し、1.5時間保持してエステル化反応を終了し、ポリエステルポリオールAを得た。
【0022】
〔配合液調製例〕
ポリエステルポリオールAと芳香族基を有するポリイソシアネート(DIC株式会社製KW−75)を、10:3の割合で配合し、ポリオール固形分比で表1のようにシランカップリング剤(信越シリコーン株式会社製KBM−403)を添加し、固形分40%になるように酢酸エチルを加えて調製した。
【0023】
(実施例2)、(実施例)3
表1に記載した配合以外は、実施例1と同様に調整を行った。
【0024】
(実施例4)
〔主剤調製例〕
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール 7部、ジエチレングリコール 27部、ネオペンチルグリコール4部、アジピン酸14部、セバシン酸1部、イソフタル酸32.9部、テレフタル酸14.1部、及びチタン触媒0.006部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価2mgKOH/g以下になるまでさらに反応を続けた。10mmHg以下に減圧し、1.5時間保持してエステル化反応を終了し、ポリエステルポリオールBを得た。
【0025】
〔配合液調製例〕
ポリエステルポリオールBと芳香族基を有するポリイソシアネート(DIC株式会社製KW−75)を、10:3の割合で配合し、ポリオール固形分比で2%のシランカップリング剤(信越シリコーン株式会社製KBM−403)を添加し、固形分40%になるように酢酸エチルを加えて調製した。
【0026】
(比較例1 非ハイソリッド溶剤系接着剤)
〔主剤調製例〕
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール 10.0部、ネオペンチルグリコール 21.1部、1,6−ヘキサンジオール 10.0部、ツノダイム216 8.0部、イソフタル酸21.5部、テレフタル酸21.5部、アジピン酸23.4部及びチタン触媒0.006部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価2mgKOH/g以下になるまでさらに反応を続けた。10mmHg以下に減圧し、1.5時間保持してエステル化反応を終了し、水酸基価28の中間体ポリエステルポリオールを得た。
【0027】
得られた中間体ポリエステルポリオールの100部に対し、イソホロンジイソシアネートを8.9部加え120℃に加熱してNCO%が3.1になるまでウレタン化の反応を行ってポリエステルウレタンポリイソシアネートを得た。これを酢酸エチル111.9部で希釈した後に40℃まで温度を下げて、50℃で約1時間保持し、不揮発分60%のポリウレタンポリエステルポリオール樹脂溶液Uを得た。
【0028】
〔配合液調製例〕
ポリオール樹脂溶液Uと芳香族基を有するポリイソシアネート(DIC株式会社製KW−75)を、8:1の割合で配合し、ポリオール固形分比で1%のシランカップリング剤(信越シリコーン株式会社製KBM−403)を添加し、固形30%になるように酢酸エチルを加えて調製した。
【0029】
(比較例2)、(比較例3)
〔主剤調製例〕
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール 12部、ジエチレングリコール 8部、ネオペンチルグリコール 15部、アジピン酸 11部、イソフタル酸23.5部、テレフタル酸23.5部、ツノダイム216 7部、及びチタン触媒0.006部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価2mgKOH/g以下になるまでさらに反応を続けた。10mmHg以下に減圧し、1.5時間保持してエステル化反応を終了し、ポリエステルポリオールCを得た。
【0030】
〔配合液調製例〕
ポリエステルポリオールCと芳香族基を有するポリイソシアネート(DIC株式会社製KW−75)を、比較例1では10:1、比較例2では6:1の割合で配合し、ポリオール固形分比で表2のようにシランカップリング剤(信越シリコーン株式会社製KBM−403)を添加し、固形分40%になるように酢酸エチルを加えて調製した。
【0031】
(比較例4)
〔主剤調製例〕
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール 8部、ジエチレングリコール 29部、アジピン酸38部、イソフタル酸25部、及びチタン触媒0.006部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価2mgKOH/g以下になるまでさらに反応を続けた。10mmHg以下に減圧し、1.5時間保持してエステル化反応を終了し、ポリエステルポリオールDを得た。
【0032】
〔配合液調製例〕
ポリエステルポリオールDと芳香族基を有するポリイソシアネート(DIC株式会社製KW−75)を、10:3の割合で配合し、ポリオール固形分比で2%のシランカップリング剤(信越シリコーン株式会社製KBM−403)を添加し、固形分40%になるように酢酸エチルを加えて調製した。
【0033】
(比較例5)、(比較例6)
〔主剤調製例〕
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール 8部、ジエチレングリコール 29部、アジピン酸19部、イソフタル酸を表2の割合、及びチタン触媒0.006部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価2mgKOH/g以下になるまでさらに反応を続けた。10mmHg以下に減圧し、1.5時間保持してエステル化反応を終了し、ポリエステルポリオールE、F、G、Hを得た。
【0034】
〔配合液調製例〕
ポリエステルポリオールE、F、G、Hと芳香族基を有するポリイソシアネート(DIC株式会社製KW−75)を、10:3の割合で配合し、ポリオール固形分比で表2の割合のシランカップリング剤(信越シリコーン株式会社製KBM−403)を添加し、固形分40%になるように酢酸エチルを加えて調製した。
【0035】
(比較例7)
〔主剤調製例〕
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール 12部、ジエチレングリコール 8部、ネオペンチルグリコール 15部、アジピン酸 11部、イソフタル酸55部、オルトフタル酸20部、テレフタル酸25部、ツノダイム216 7部、及びチタン触媒0.006部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価2mgKOH/g以下になるまでさらに反応を続けた。10mmHg以下に減圧し、1.5時間保持してエステル化反応を終了し、ポリエステルポリオールIを得た。
〔配合液調製例〕
ポリエステルポリオールIと芳香族基を有するポリイソシアネート(DIC株式会社製KW−75)を、10:3の割合で配合し、ポリオール固形分比で表2のようにシランカップリング剤(信越シリコーン株式会社製KBM−403)を添加し、固形分40%になるように酢酸エチルを加えて調製した。
【0036】
(比較例8)、(比較例9)
芳香族基を有するポリイソシアネートを脂肪族ポリイソシアネートに変えた以外は実施例1と同様にして、調整した。
【0037】
以下の各項目について、評価を行った。
[耐内容物性]
上記の主剤、硬化剤、触媒、溶剤を配合した後、この配合液をフィルムに塗布量が固形分3.5g/m
2程度となるように塗布し、ドライヤーで乾燥後、カレンダーロールでこのフィルムの塗布面と別のシーラントフィルムと塗布面に密着させ、ラミネートフィルムを作製した。ラミネートフィルムの構成はONY/アルミ蒸着PET/LLDPEで作製した。このラミネートフィルムを40℃の恒温槽に入れ、4日間エージング後、シーラントが内側になるように折り曲げ、折り曲げ部位を1atm、180℃、1秒間でヒートシールして袋を作製、内容物を充填して開口部をヒートシールし、50℃の恒温槽に入れ、2週間、4週間促進試験を行った後、これを幅15mmになるように短冊状に切り、剥離試験機を用いて剥離速度300mm/分、T型剥離にて接着強度を測定した。
【0038】
評価5:LLDPEの伸び、もしくはフィルム基材の表層破壊
評価4:PET/接着剤間の剥離で接着力3.0[N/15mm]以上
評価3:PET/接着剤間の剥離で接着力2.0[N/15mm]以上
評価2:PET/接着剤間の剥離で接着力2.0[N/15mm]未満
評価1:接着剤の凝集破壊
【0039】
[塗工粘度]
上記の主剤、硬化剤、触媒、溶剤を配合した後、この配合液を25℃の恒温水槽に20分入れた後、ザーンカップ3番で粘度を測定した。
評価○:ザーンカップ#3粘度17秒未満
評価×:ザーンカップ#3粘度17秒以上
【0040】
[主剤樹脂溶液の外観]
主剤調整液を室温で1ヶ月放置した後、目視評価を行った。
評価◎:無色透明
評価○:軽度の着色もしくは微白濁
評価△:重度の着色
評価×:濁沈
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
<耐内容物性の剥離界面の説明>
・PET表層:接着剤ではなくPETフィルムの表層から剥離
・PET/ad:PETフィルムと接着剤間の剥離
・ad:接着剤の凝集破壊