特許第6747900号(P6747900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6747900
(24)【登録日】2020年8月11日
(45)【発行日】2020年8月26日
(54)【発明の名称】ハイソリッド型接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20200817BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20200817BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20200817BHJP
   C09J 175/06 20060101ALI20200817BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20200817BHJP
【FI】
   B32B27/00 D
   B32B27/36
   B32B27/32
   C09J175/06
   C09J11/06
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-146345(P2016-146345)
(22)【出願日】2016年7月26日
(65)【公開番号】特開2018-16689(P2018-16689A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年5月17日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】310000244
【氏名又は名称】DICグラフィックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(72)【発明者】
【氏名】上村 誠
(72)【発明者】
【氏名】長内 清志
(72)【発明者】
【氏名】手塚 克佳
(72)【発明者】
【氏名】田邊 英男
(72)【発明者】
【氏名】高橋 茂和
(72)【発明者】
【氏名】藤井 正
【審査官】 川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−159548(JP,A)
【文献】 特開2008−156502(JP,A)
【文献】 特開2003−055633(JP,A)
【文献】 特開2001−172602(JP,A)
【文献】 特開2003−041230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルフィルムと、ポリエチレンフィルムと、前記ポリエステルフィルムと前記ポリエチレンフィルムとを貼り合わせる接着剤層を含み、
前記接着剤層が、ポリエステルポリオール(A)、芳香族基を有するポリイソシアネート(B)シランカップリング剤(C)、及び溶剤を含有するハイソリッド型接着剤組成物の硬化塗膜であり、
前記ポリエステルポリオール(A)が、多価カルボン酸と多価アルコールの重縮合物であって、前記多価カルボン酸中のフタル酸の含有率が40質量%以上であり、前記フタル酸には、イソフタル酸とテレフタル酸を必須成分として含み、前記フタル酸中でのイソフタル酸の含有量が50質量%以上、且つオルトフタル酸の含有量が20質量%未満であり、
前記ポリエステルポリオール(A)に対するシランカップリング剤(C)の固形分質量%が1.5〜10質量%である積層体
【請求項2】
前記芳香族基を有するポリイソシアネート(B)が、メタキシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、前記ジイソシアネートと2個以上の水酸基を有するアルコールとの反応生成物、又はポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートである請求項に記載の積層体
【請求項3】
請求項1又は2に記載の積層体を用いた洗剤、シャンプー、リンスから選ばれる一種を収容するための包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート用接着剤として用いられるハイソリッド型接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
軟包装材には様々な用途があるが、その中でも高い接着物性を要求されるのが、洗剤、シャンプー、リンス等の詰め替えスタンディングパウチ用の包装材である。これらの内容物には、油分、界面活性剤の他、低分子量の香料が使用されており、これが接着剤層を侵してデラミネーション等の不良に繋がり、問題となっていた。
【0003】
従来日本国内では、シャンプー、リンス等では諸外国と比較し香りが少ないものが好まれていたが、近年消費者の嗜好が変わり、より香りの強い物を求める傾向が出てきた。そのため、外資系メーカーを中心に諸外国と同様に香りが強いものを製造してきており、従来の包装材では包装材に浸透してくる内容物に対するラミネート用接着剤の耐性(耐内容物性)が不足する結果となっている。
【0004】
一方、包装材のコスト削減の要求、環境への配慮、作業環境改善のため、接着剤のハイソリッド化による溶剤使用量削減が可能な包装材が求められている。
接着剤のハイソリッド化では、溶剤配合割合を削減しても塗工可能粘度にするため、接着剤樹脂を従来より低分子量化する必要があるが、低分子量化は耐香料性とは逆行する方向であり、両立は困難となっている。
そのため、このような高物性用途にハイソリッド接着剤が使用されることはこれまで無かったが、溶剤回収設備を持たない工場等を中心にニーズが高まっている。
【0005】
特許文献1には、香料、界面活性剤等の内容物を充填した場合においても、経時的な接着強度の低下がなく、長期にわたって強い接着強度を維持でき、粘度が低く塗工性にも優れた接着剤組成物で接着され形成された耐薬品性に優れた非食品包装用ラミネートフィルム積層体として、ガラス転移温度が40℃以上の有機ポリオール5〜50重量%及びガラス転移温度が40℃未満の有機ポリオール(但し、その分子中にカルボキシル基を有しない。)95〜50重量%からなる混合物、シランカップリング剤並びに有機ポリイソシアネートを含有する組成物で接着され形成された非食品包装用ラミネートフィルム積層体が記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、従来のハイソリッド型接着剤では達成できなかった初期凝集力及び硬化後の物性を向上させ、従来の低固形成分型接着剤と同等の性能を有するハイソリッド型接着剤として、数平均分子量が10,000以下であり、一分子当り1.4〜1.8個の水酸基を有するポリオール成分並びにイソシアネート硬化剤成分とからなり、該ポリオール成分と該イソシアネート硬化剤成分は、該ポリオール成分中の水酸基に対して該イソシアネート硬化剤中のイソシアネート基が0.8〜5.0当量の割合となるように配合された固形分が40質量%以上であることを特徴とするハイソリッド型接着剤組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−322221号公報
【特許文献2】特開2005−298588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明では、耐内容物性に優れ、溶剤使用量削減が可能なハイソリッド型接着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、ポリエステルポリオール(A)、芳香族基を有するポリイソシアネート(B)、及びシランカップリング剤(C)を含有するハイソリッド型接着剤組成物において、
ポリエステルポリオール(A)が、多価カルボン酸と多価アルコールの重縮合物であって、多価カルボン酸中のフタル酸の含有率が40質量%以上であり、該フタル酸には、イソフタル酸とテレフタル酸を必須成分として含み、フタル酸中での何れかの含有量が50質量%以上、且つオルトフタル酸の含有量が20質量%未満である、ハイソリッド型接着剤組成物により、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、耐内容物性に優れ、溶剤使用量削減が可能なハイソリッド型接着剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
即ち、本発明は、以下の項目から構成される。
1.ポリエステルポリオール(A)、芳香族基を有するポリイソシアネート(B)、及びシランカップリング剤(C)を含有するハイソリッド型接着剤組成物において、
ポリエステルポリオール(A)が、多価カルボン酸と多価アルコールの重縮合物であって、
多価カルボン酸中のフタル酸の含有率が40質量%以上であり、該フタル酸には、イソフタル酸とテレフタル酸を必須成分として含み、フタル酸中での何れかの含有量が50質量%以上、且つオルトフタル酸の含有量が20質量%未満である、ハイソリッド型接着剤組成物、
2.芳香族基を有するポリイソシアネート(B)のイソシアネート基数とポリエステルポリオール(A)の水酸基数の比率(イソシアネート基数/水酸基数)が3以上である1.に記載のハイソリッド型接着剤組成物、
3.芳香族基を有するポリイソシアネート(B)が、メタキシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、前記ジイソシアネートと2個以上の水酸基を有するアルコールとの反応生成物、又はポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートである請求項1又2に記載のハイソリッド型接着剤組成物、
4.ハイソリッド型接着剤組成物に対するシランカップリング剤(C)の固形分質量%が、1.5〜10質量%の範囲である1.〜3.の何れかに記載のハイソリッド型接着剤組成物、
5.1.〜4.の何れかに記載のハイソリッド型接着剤組成物を用いたラミネート用接着剤。
【0012】
[ポリエステルポリオール(A)]
本発明のポリエステルポリオール(A)は、多価カルボン酸と多価アルコールの重縮合物であり、多価カルボン酸中のフタル酸の含有率が40質量%以上であって、該フタル酸中に含まれる、イソフタル酸とテレフタル酸の合計がフタル酸全体に対して50質量%以上であることに特徴を有する。50質量%未満であると、耐内容物性に劣る結果となる。
本発明では発明の効果を損なわない範囲において、他の多価カルボン酸成分を共重合させてもよい。具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、不飽和結合含有多価カルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等を、脂環族多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェン酸及びその無水物、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。
【0013】
[多価アルコール]
本発明で用いる多価アルコール成分は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、及び1,3−ビスヒドロキシエチルベンゼンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む2価アルコールである多価アルコール成分、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコールである多価アルコール成分を含有することが好ましい。
【0014】
本発明では前述の多価アルコール成分を用いることが好ましいが、このほか、本発明の効果を損なわない範囲において、他の多価アルコール成分を共重合させてもよい。具体的には、ジオールとしては1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールが、三価以上のアルコールとしては、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスルトール等があげられる。
【0015】
前記、多価カルボン酸、多価アルコールを用いたポリエステルポリオール(A)は、公知慣用の重縮合反応により得ることができる。通常触媒を用いるが、用いられる触媒としては、モノブチル酸化錫、ジブチル酸化錫等錫系触媒、テトラ−イソプロピル−チタネート、テトラ−ブチル−チタネート等のチタン系触媒、テトラ−ブチル−ジルコネート等のジルコニア系触媒等の酸触媒が挙げられる。エステル反応に対する活性が高い、テトラ−イソプロピル−チタネート、テトラ−ブチル−チタネート等の上記チタン系触媒と上記ジルコニア触媒を組み合わせて用いることができる。前記触媒量は、使用する反応原料全質量に対して0〜1000ppm用いられ、より好ましくは0〜100ppmである。1000ppmを上回るとイソシアネート硬化剤を用いる場合にウレタン化反応を阻害する問題が生じる場合がある。
【0016】
[ポリイソシアネート化合物]
本発明のコーティング材は、前述の通りポリエステルポリオール(A)とポリイソシアネート化合物(B)との反応物である。
ポリイソシアネート化合物としては、芳香環を含有していることが好ましく、メタキシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネート、又は、前記ジイソシアネートと2個以上の水酸基を有するアルコールとの反応生成物、又はポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートであることが好ましく、中でもメタキシレンジイソシアネート及びメタキシレンジイソシアネートと2個以上の水酸基を有するアルコールとの反応生成物であることが最も好ましい。
【0017】
[シランカップリング剤]
本発明では、ハイソリッド型接着剤組成物に対するシランカップリング剤(C)の固形分質量%が、1.5〜10質量%の範囲であることが好ましい。この範囲外であると、耐内容物性が劣ることがある。
【0018】
本発明で用いられるシランカップリング剤(C)は、例えば、本発明で用いるシランカップリング剤(C)は、エポキシシラン(c1)とアミノシラン類(c2)等が挙げられる。
【0019】
前記エポキシシラン(c1)としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのメタクリルシラン系シランカップリング剤;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0020】
前記アミノシラン(c2)類としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−(2−(2−アミノエチル)アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、3−(N−エチルアミノ)−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、N−エチル−3−アミノ−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、N−エチル−3−アミノ−2−メチルプロピルジエトキシメチルシラン、N−エチル−3−アミノ−2−メチルプロピルトリエトキシシラン、N−エチル−3−アミノ−2−メチルプロピルメチルジメトキシシラン、N−ブチル−3−アミノ−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、3(N−メチル−2−アミノ−1−メチル−1−エトキシ)−プロピルトリメトキシシラン、N−エチル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、N−エチル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【実施例】
【0021】
以下、実施例にて、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
〔主剤調製例〕
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール 8部、ジエチレングリコール 29部、アジピン酸19部、イソフタル酸24.2部、テレフタル酸19.8部、及びチタン触媒0.006部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価2mgKOH/g以下になるまでさらに反応を続けた。10mmHg以下に減圧し、1.5時間保持してエステル化反応を終了し、ポリエステルポリオールAを得た。
【0022】
〔配合液調製例〕
ポリエステルポリオールAと芳香族基を有するポリイソシアネート(DIC株式会社製KW−75)を、10:3の割合で配合し、ポリオール固形分比で表1のようにシランカップリング剤(信越シリコーン株式会社製KBM−403)を添加し、固形分40%になるように酢酸エチルを加えて調製した。
【0023】
(実施例2)、(実施例)3
表1に記載した配合以外は、実施例1と同様に調整を行った。
【0024】
(実施例4)
〔主剤調製例〕
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール 7部、ジエチレングリコール 27部、ネオペンチルグリコール4部、アジピン酸14部、セバシン酸1部、イソフタル酸32.9部、テレフタル酸14.1部、及びチタン触媒0.006部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価2mgKOH/g以下になるまでさらに反応を続けた。10mmHg以下に減圧し、1.5時間保持してエステル化反応を終了し、ポリエステルポリオールBを得た。
【0025】
〔配合液調製例〕
ポリエステルポリオールBと芳香族基を有するポリイソシアネート(DIC株式会社製KW−75)を、10:3の割合で配合し、ポリオール固形分比で2%のシランカップリング剤(信越シリコーン株式会社製KBM−403)を添加し、固形分40%になるように酢酸エチルを加えて調製した。
【0026】
(比較例1 非ハイソリッド溶剤系接着剤)
〔主剤調製例〕
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール 10.0部、ネオペンチルグリコール 21.1部、1,6−ヘキサンジオール 10.0部、ツノダイム216 8.0部、イソフタル酸21.5部、テレフタル酸21.5部、アジピン酸23.4部及びチタン触媒0.006部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価2mgKOH/g以下になるまでさらに反応を続けた。10mmHg以下に減圧し、1.5時間保持してエステル化反応を終了し、水酸基価28の中間体ポリエステルポリオールを得た。
【0027】
得られた中間体ポリエステルポリオールの100部に対し、イソホロンジイソシアネートを8.9部加え120℃に加熱してNCO%が3.1になるまでウレタン化の反応を行ってポリエステルウレタンポリイソシアネートを得た。これを酢酸エチル111.9部で希釈した後に40℃まで温度を下げて、50℃で約1時間保持し、不揮発分60%のポリウレタンポリエステルポリオール樹脂溶液Uを得た。
【0028】
〔配合液調製例〕
ポリオール樹脂溶液Uと芳香族基を有するポリイソシアネート(DIC株式会社製KW−75)を、8:1の割合で配合し、ポリオール固形分比で1%のシランカップリング剤(信越シリコーン株式会社製KBM−403)を添加し、固形30%になるように酢酸エチルを加えて調製した。
【0029】
(比較例2)、(比較例3)
〔主剤調製例〕
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール 12部、ジエチレングリコール 8部、ネオペンチルグリコール 15部、アジピン酸 11部、イソフタル酸23.5部、テレフタル酸23.5部、ツノダイム216 7部、及びチタン触媒0.006部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価2mgKOH/g以下になるまでさらに反応を続けた。10mmHg以下に減圧し、1.5時間保持してエステル化反応を終了し、ポリエステルポリオールCを得た。
【0030】
〔配合液調製例〕
ポリエステルポリオールCと芳香族基を有するポリイソシアネート(DIC株式会社製KW−75)を、比較例1では10:1、比較例2では6:1の割合で配合し、ポリオール固形分比で表2のようにシランカップリング剤(信越シリコーン株式会社製KBM−403)を添加し、固形分40%になるように酢酸エチルを加えて調製した。
【0031】
(比較例4)
〔主剤調製例〕
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール 8部、ジエチレングリコール 29部、アジピン酸38部、イソフタル酸25部、及びチタン触媒0.006部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価2mgKOH/g以下になるまでさらに反応を続けた。10mmHg以下に減圧し、1.5時間保持してエステル化反応を終了し、ポリエステルポリオールDを得た。
【0032】
〔配合液調製例〕
ポリエステルポリオールDと芳香族基を有するポリイソシアネート(DIC株式会社製KW−75)を、10:3の割合で配合し、ポリオール固形分比で2%のシランカップリング剤(信越シリコーン株式会社製KBM−403)を添加し、固形分40%になるように酢酸エチルを加えて調製した。
【0033】
(比較例5)、(比較例6)
〔主剤調製例〕
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール 8部、ジエチレングリコール 29部、アジピン酸19部、イソフタル酸を表2の割合、及びチタン触媒0.006部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価2mgKOH/g以下になるまでさらに反応を続けた。10mmHg以下に減圧し、1.5時間保持してエステル化反応を終了し、ポリエステルポリオールE、F、G、Hを得た。
【0034】
〔配合液調製例〕
ポリエステルポリオールE、F、G、Hと芳香族基を有するポリイソシアネート(DIC株式会社製KW−75)を、10:3の割合で配合し、ポリオール固形分比で表2の割合のシランカップリング剤(信越シリコーン株式会社製KBM−403)を添加し、固形分40%になるように酢酸エチルを加えて調製した。
【0035】
(比較例7)
〔主剤調製例〕
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール 12部、ジエチレングリコール 8部、ネオペンチルグリコール 15部、アジピン酸 11部、イソフタル酸55部、オルトフタル酸20部、テレフタル酸25部、ツノダイム216 7部、及びチタン触媒0.006部を仕込み、精留管上部温度が100℃を越えないように徐々に加熱して内温を240℃に保持した。酸価2mgKOH/g以下になるまでさらに反応を続けた。10mmHg以下に減圧し、1.5時間保持してエステル化反応を終了し、ポリエステルポリオールIを得た。
〔配合液調製例〕
ポリエステルポリオールIと芳香族基を有するポリイソシアネート(DIC株式会社製KW−75)を、10:3の割合で配合し、ポリオール固形分比で表2のようにシランカップリング剤(信越シリコーン株式会社製KBM−403)を添加し、固形分40%になるように酢酸エチルを加えて調製した。
【0036】
(比較例8)、(比較例9)
芳香族基を有するポリイソシアネートを脂肪族ポリイソシアネートに変えた以外は実施例1と同様にして、調整した。
【0037】
以下の各項目について、評価を行った。
[耐内容物性]
上記の主剤、硬化剤、触媒、溶剤を配合した後、この配合液をフィルムに塗布量が固形分3.5g/m程度となるように塗布し、ドライヤーで乾燥後、カレンダーロールでこのフィルムの塗布面と別のシーラントフィルムと塗布面に密着させ、ラミネートフィルムを作製した。ラミネートフィルムの構成はONY/アルミ蒸着PET/LLDPEで作製した。このラミネートフィルムを40℃の恒温槽に入れ、4日間エージング後、シーラントが内側になるように折り曲げ、折り曲げ部位を1atm、180℃、1秒間でヒートシールして袋を作製、内容物を充填して開口部をヒートシールし、50℃の恒温槽に入れ、2週間、4週間促進試験を行った後、これを幅15mmになるように短冊状に切り、剥離試験機を用いて剥離速度300mm/分、T型剥離にて接着強度を測定した。
【0038】
評価5:LLDPEの伸び、もしくはフィルム基材の表層破壊
評価4:PET/接着剤間の剥離で接着力3.0[N/15mm]以上
評価3:PET/接着剤間の剥離で接着力2.0[N/15mm]以上
評価2:PET/接着剤間の剥離で接着力2.0[N/15mm]未満
評価1:接着剤の凝集破壊
【0039】
[塗工粘度]
上記の主剤、硬化剤、触媒、溶剤を配合した後、この配合液を25℃の恒温水槽に20分入れた後、ザーンカップ3番で粘度を測定した。
評価○:ザーンカップ#3粘度17秒未満
評価×:ザーンカップ#3粘度17秒以上
【0040】
[主剤樹脂溶液の外観]
主剤調整液を室温で1ヶ月放置した後、目視評価を行った。
評価◎:無色透明
評価○:軽度の着色もしくは微白濁
評価△:重度の着色
評価×:濁沈
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
<耐内容物性の剥離界面の説明>
・PET表層:接着剤ではなくPETフィルムの表層から剥離
・PET/ad:PETフィルムと接着剤間の剥離
・ad:接着剤の凝集破壊
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明のハイソリッド型接着剤組成物は、洗剤、シャンプー、リンス等の詰め替えスタンディングパウチ用の包装材に用いることができる。