(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記算出部は、超音波が前記配管を流れる流体の上流側から下流側に伝搬する時間と、下流側から上流側に伝搬する時間との時間差を求めることにより、前記配管内の流体の流量を算出する、請求項1に記載の超音波流量センサ。
前記ガイド部が、前記配管の直径方向に対して該配管の長手方向に傾斜した角度に基づいて前記第1取付具と前記第2取付具の相対的な位置決めを誘導する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の超音波流量センサ。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明が包含する概念の概要を説明するための図であり、(a)、(b)はZ配置、(c)、(d)はV配置に関し、(a)、(c)は相対的に大径の配管に関し、(b)、(d)は相対的に小径の配管に関する。
【
図2】配管に組み付けた実施例の超音波流量計システムの端面図である。
【
図3】配管に組み付けた実施例の超音波流量計システムの断面図である。
【
図4】配管に組み付けた実施例の超音波流量計システムの斜視図である。
【
図5】配管に組み付けた実施例の超音波流量計システムを正対した状態で見た正面図である。
【
図6】
図1に図示の実施例の超音波流量計システムに含まれる超音波流量計の機能ブロック図である。
【
図7】実施例の超音波流量計システムの第2取付具に内蔵された皿バネを説明するための図である。
【
図8】
図7に図示の皿バネを複数第2取付具に内蔵する場合に、この複数の皿バネの1つの配列例を説明するための図である。
【
図9】
図7に図示の皿バネを複数第2取付具に内蔵する場合に、この複数の皿バネの他の配列例を説明するための図である。
【
図10】実施例の超音波流量計システムに含まれる第2取付具の斜視図である。
【
図11】実施例の超音波流量計システムに含まれる第2取付具の分解斜視図である。
【
図12】実施例の超音波流量計システムに含まれる第2取付具の端面図である。
【
図13】実施例の超音波流量計システムに含まれる第2取付具の断面図である。
【
図14】配管に取り付けた実施例の超音波流量計システムに含まれる第2取付具の斜視図である。
【
図15】実施例の超音波流量計システムに含まれる第2センサユニットを第2取付具を使って配管に取り付けた状態を説明するための断面図である。
【
図16】実施例の超音波流量計システムに含まれる第1、第2の取付具を配管に取り付けた状態を説明するための斜視図である。
【
図17】実施例に含まれる情報変換機構の変形例の側面図である。
【
図18】実施例に含まれる情報変換機構の変形例の斜視図である。
【
図19】実施例に含まれる情報変換機構の変形例の側面図であり、比較的大きな直径の配管に関連した図である。
【
図20】実施例に含まれる情報変換機構の変形例の側面図であり、比較的小さな直径の配管に関連した図である。
【
図21】実施例で採用した取付具の構造を説明するための概略図である。
【
図22】実施例で採用した取付具の構造の変形例を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る超音波流量センサを概念的に説明するための模式図である。
図1(a)及び
図1(b)は、Z配置の超音波流量センサを示し、
図1(c)及び
図1(d)は、V配置の超音波流量センサを示している。
【0014】
図1(a)及び
図1(b)において、超音波素子を有する第1センサユニット1102は、第1取付具1101を介して配管Pに取り付けられている。また、超音波素子を有する第2センサユニット1104は、第2取付具1103を介して配管Pに取り付けられている。そして、第1取付具1101には、配管Pの軸線方向に対して傾斜するスリット1106が形成される一方で、第2取付具1103には、外方に突出するピン1105が設けられている。
【0015】
図1(a)から
図1(b)に示すように、配管Pの径がl
1からl
2に変わると(l
2<l
1)、それに伴って、突出ピン1105とスリット1106との相対位置が変化する。その結果、第1取付具1101及び/又は第2取付具1103が配管Pの軸線方向に変位し、第1センサユニット1102と第2センサユニット1104の離間距離がX
1からX
2へ短くなる(X
2<X
1)。スリット1106の傾斜角度は、配管Pの径に応じて予め適切に規定されている。したがって、突出ピン1105とスリット1106とで生成される第1センサユニット1102と第2センサユニット1104との相対位置(Z配置)が配管Pの直径の大小に関わりなく最適化され、第1センサユニット1102と第2センサユニット1104とは超音波の受信感度が良好な位置に位置決めされる。
【0016】
このように、
図1(a)及び
図1(b)に示すZ配置の超音波流量センサは、配管Pの径に応じて、配管Pの軸線方向における第1取付具1101と第2取付具1103の相対的な位置決めを誘導するガイド部を有し、このガイド部は典型的にはピン1105及びスリット1106を含む。
【0017】
また、
図1(c)及び
図1(d)において、超音波素子を有する第1センサユニット1112は、第1取付具1111を介して配管Pに取り付けられている。また、超音波素子を有する第2センサユニット1114は、第2取付具1113を介して配管Pに取り付けられている。そして、第1取付具1111には、配管Pの軸線方向に対して傾斜するスリット1118が形成され、第2取付具1113にも、配管Pの軸線方向に対して傾斜するスリット1118が設けられている。
【0018】
配管Pを挟んで、第1取付具1111及び第2取付具1113が位置する側とは反対側に、ベース部材1115が設けられている。ベース部材1115は、第1取付具1111及び第2取付具1113とは別個に、バンド等によって配管Pに固定される。また、ベース部材1115には、外方に突出するピン1117が設けられている。第1取付具1111及び第2取付具1113はレール1116に案内されて配管Pの軸線方向に移動可能に構成されている。すなわち、レール1116は配管Pの軸線方向に延びている。
【0019】
このような構成からなるV型の超音波流量センサにおいて、
図1(c)から
図1(d)に示すように、配管Pの径がl
1からl
2に変わると(l
2<l
1)、それに伴って、ベース部材1115に設けられたピン1117と、各取付具1111、1113のスリット1118との相対位置が変化する。その結果、ベース部材1115に対して、第1取付具1111及び第2取付具1113が配管Pの軸線方向に沿って変位し、第1センサユニット1112と第2センサユニット1114がX
1からX
2へ短くなる(X
2<X
1)。スリット1118の傾斜角度は、配管Pの径に応じて予め適切に規定されている。したがって、突出ピン1117とスリット1118とで生成される第1センサユニット1112と第2センサユニット1114との相対位置(V配置)が配管Pの直径の大小に関わりなく最適化され、第1センサユニット1112と第2センサユニット1114とは超音波の受信感度が良好な位置に位置決めされる。
【0020】
このように、
図1(c)及び
図1(d)に示すV配置の超音波流量センサは、配管Pの径に応じて、配管Pの軸線方向における第1取付具1111と第2取付具1113の相対的な位置決めを誘導するガイド部を有し、このガイド部は典型的にはピン1117及びスリット1118を含む。
【0021】
以上、
図1を用いて説明したように、本実施形態に係る超音波流量センサによれば、スリット1106とピン1105の作用により(
図1の(a)、(b))、或いは、スリット1118とピン1117の作用により(
図1の(c)、(d))、配管Pの軸線方向において第1センサユニット1102、1112と第2センサユニット1104、1114を適正位置に容易に位置決めすることができる。
【0022】
実施例(図2〜図16):
先ず
図2〜
図5を参照して、超音波流量センサシステム100は、第1、第2の取付具102、104を有し、この2つの取付具102、104を使って第1、第2のセンサユニット6、8を配管Pの周面にZ配置で取り付けることができる。第1、第2のセンサユニット6、8は超音波流量センサ10を構成する。
【0023】
図6は超音波流量センサ10の機能ブロック図である。
図6を参照して、超音波流量センサ10は制御部12を有し、また、記憶部14、送信増幅部16、受信増幅部18を有する。送信増幅部16、受信増幅部18は送信・受信切替回路20に接続されている。
【0024】
制御部12に含まれる送信信号発生部22で生成したアナログ信号は、送信増幅部16を経由して送信・受信切替回路20を通じて第1、第2の超音波素子24、26に供給され、第1、第2の超音波素子24、26から超音波が発生される。第1の超音波素子24は第1センサユニット6に含まれる。第2の超音波素子26は第2センサユニット8に含まれる。
【0025】
第1センサユニット6(第1超音波素子24)から発生された超音波は、配管Pの中を通る流体に入射される。流体内を伝播する超音波は、第2センサユニット8(第2超音波素子26)によって受信され、第2超音波素子26は、受信した超音波に基づくアナログ信号を出力する。第2超音波素子26から出力されたアナログ信号は送信・受信切替回路20を通じて受信増幅部18に供給される。
【0026】
受信増幅部18では、送信・受信切替回路20から受け取ったアナログ信号を増幅すると共にA/D変換回路によりデジタル信号に変換される。このデジタル信号は制御部12に供給される。
【0027】
他方、第2センサユニット8(第2超音波素子26)が発生した超音波は、配管Pの中を通る流体に入射される。流体内を伝播する超音波は、第1センサユニット6(第1超音波素子24)によって受信され、第1超音波素子24は、受信した超音波に基づくアナログ信号を出力する。第1超音波素子24から出力されたアナログ信号は送信・受信切替回路20を通じて受信増幅部18に供給される。
【0028】
受信増幅部18では、送信・受信切替回路20から受け取ったアナログ信号を増幅すると共にA/D変換回路によりデジタル信号に変換される。このデジタル信号は制御部12に供給される。
【0029】
制御部12は、記憶部14に記憶されているプログラムを実行することにより、信号演算部30、流量演算部32、比較・判定部34の機能が実現される。信号演算部30では、受信増幅部18から与えられるデジタル信号に基づいて時間差Δtを測定する。この時間差Δtは、第1超音波素子24が出力した超音波が第2超音波素子26によって受信されるまでの時間t1と、第2超音波素子26が出力した超音波が第1超音波素子24によって受信されるまでの時間t2との差である。流量演算部32は、信号演算部30により測定された時間差Δtに基づいて、配管Pの中を流れる流体の速度を所定の式に基づいて算出すると共に、当該流体の流量を別の所定の式に基づいて算出する。
【0030】
すなわち、第1超音波素子24及び第2超音波素子26の出力信号に基づいて、超音波が配管Pを流れる流体の上流側から下流側に伝搬する時間と下流側から上流側に伝搬する時間との時間差Δtを求めて配管P内の流体の流量を算出する。
【0031】
図4、
図5を参照して、超音波流量センサ10は、ユーザが操作するボタンなどの操作部36や7セグメントLEDや薄型表示器で構成される表示部38等を有し、また、外部機器とのインターフェースを構成するコネクタなどの出力部40を有する。
【0032】
表示部38の表示や出力部40を通じた外部機器には、予め設定したしきい値(設定値)に基づく制御出力が出力される。すなわち、予め定められた流量しきい値との対比で、検出した配管P内を流れる流体の流量に関するオン/オフ信号が出力される。また、積算流量毎にパルス出力される。また、例えば通信を使って流量計測値がデジタル出力される。
【0033】
上記の構成要素を第1、第2のセンサユニット6、8のいずれに搭載するかは任意である。第1センサユニット6にはメイン基板42(
図3)が搭載され、このメイン基板42に制御部12や記憶部14などが搭載されている。また、第1センサユニット6は、ユーザインターフェースを構成する操作部36や7セグメントLEDや薄型表示器で構成される表示部38、外部機器とのインターフェースを構成するコネクタなどの出力部40が搭載されている(
図3)。
【0034】
引き続き
図3を参照して、第1センサユニット6に組み込まれた第1センサ部44は、第1超音波素子24と第1くさび部材46を含む。第2センサユニット8に組み込まれた第2センサ部48は、第2超音波素子26と第2くさび部材50を含む。第1、第2センサ部44、48は、配管Pの周面に圧接した状態で位置決めされる。好ましくは、第1センサ部44、第2センサ部48と配管Pとの間に音響結合媒体つまりカプラントCpが介装される。このカプラントCpは固体(弾性カプラントつまりゴムシート)であるのが好ましいがグリスなど流動体であってもよい。
【0035】
好ましい態様として、少なくとも第2取付具104に関し、第2センサユニット8が配管Pと圧接する方向に付勢する付勢部材(皿バネ)66を配置させるのがよい。第1取付具102で形成されるユニット収容部に装着された第1センサユニット6は、第1ボルトBt(1)によって第1取付具102に固定される。第2取付具104で形成されるユニット収容部に装着された第2センサユニット8は、第2ボルトBt(2)によって第2取付具104に固定される。
【0036】
第2ボルトBt(2)と同軸に配置するのに好適な皿バネ66(
図7)の配置を
図8、
図9を参照して説明する。第1ボルトBt(1)にも複数の皿バネ66を同軸に配置してもよい。複数の皿バネ66の配列に関し、
図8に図示のように、皿バネ(
図7)を一つ又は複数おきに上下反転させて配置した第1皿バネ列であってもよいし、
図9に図示のように、複数の皿バネ66を上下反転させることなく、全て同じ向きに配置した第2皿バネ列で構成してもよい。
【0037】
第2取付具104に付勢部材66を付加することにより、配管Pに対して、配管Pの一つの側に正対した状態でZ配置の第2取付具104及び第1取付具102を取り付ける、その作業を容易にすることができる。
【0038】
実施例の適用は配管Pや配管Pの中を流れる流体は特に制限されないが、典型的な適用例を例示的に列挙すれば次の通りである。
【0039】
(1) 配管Pの直径:100mm〜220mm(適当な配管Pの直径:約114mm〜約216mm)
(2) 配管Pの材料:鉄鋼、SUS、銅、ポリ塩化ビニル(PVC)
(3) 流体:水、油、薬液、不凍液(エチレングリコール)、クーラント
【0040】
図10〜
図15を参照して第2センサユニット8が設置される取付具つまり第2取付具104を説明する。
図11を参照して、第2取付具104の第2の取付部は、プレス成形された細長い第2位置規制部106と、この第2位置規制部106の一側縁及び他側縁に連結された第2アーム部108を有する。第2位置規制部106と第2アーム部108は、配管Pの長手方向軸線Ax(p)に沿った長さを有する。
【0041】
第2アーム部108は、配管Pの断面円形に沿った周方向に屈曲可能である。具体的には、第2アーム部108は屈曲可能なプレート部材、好ましくはパンチングメタルで構成されている。パンチングメタルは、複数の開口(典型的には円形穴)が規則的に配列した板状の金属部材であり、配管Pの径方向にのみ屈曲可能である。第2アーム部108をパンチングメタルで構成することにより、第2アーム部108の所定の剛性を確保しつつ第2アーム部108を軽量化することができる。
【0042】
図12は第2位置規制部106の端面図であり、
図13は第2位置規制部106の断面図である。
図11〜
図13を参照して、第2位置規制部106は、第2センサユニット8を包囲するユニット収容部材110(
図11、
図13)を貫通するボルト112及びボルト112が螺合されるナット114(
図13)を有する。ボルト112は、配管Pの直径Dm上つまり第2母線GL2上において間隔を隔てて2本配置されている。ユニット収容部材110は、第2位置規制部106及びこの第2位置規制部106から起立する一対の縦壁116(
図11)と協働して第2ユニット収容部を構成する。
図13を参照して、このボルト112には、前述した複数の皿バネ66が同軸に配置され、この皿バネ66によって第2センサユニット8は配管Pと圧接する方向に付勢されている。
【0043】
第2位置規制部106は、
図12、
図13から良く分かるように、第2母線GL2を挟んで対称形状を有し、第2母線GL2を挟んで一方側と他方側に所定の角度で延びる一対の成形された傾斜翼部を有する形状を有している。そして、第2位置規制部106は、第2母線GL2を挟んで、第2母線GL2から等距離の2箇所CL(2)で接している。これにより、第2センサユニット8を第2母線GL2に整合させることができると共に、第2センサユニット8の向きを配管Pの中心を通る直径方向Dmに差し向けることができる。
【0044】
図11を参照して、第2取付具104の一部を構成する各第2アーム部108つまりパンチングメタルは、その長手方向中央部分に、前述したガイド部の構成要素であるピン64(
図14)が固定されている。前述したように、第2位置規制部106は第2母線GL2上を延びる細長い形状を有する。この第2位置規制部106の一方の側縁と他方の側縁とに第2アーム部108が連結され、この一対の第2アーム部108において、第2母線GL2を挟んで対称の位置に上記のピン64が設置されている。パンチングメタルからなる第2アーム部108は可撓性であり、配管Pの円周方向に且つ配管Pの径方向にのみ屈曲可能である。したがって、第2アーム部108は、配管Pの周面に沿って且つ配管Pの周面に隣接した状態で巻き付くことができる。
【0045】
配管Pの長手方向軸線Ax(p)において、パンチングメタルからなる第2アーム部108の一端と他端の各々に金属製のバンドBd(3)が取付けられている(
図14)。この2つのバンドBd(3)を使って第2取付具104を配管Pに固定することができる。
【0046】
図16は、第1センサユニット6が設置される取付具つまり第1取付具102を説明するための図である。第1取付具102の構成は、上述した第2取付具104と実質的に同じである。第1取付具102の一対の縦壁124は、第2取付具104の縦壁116に対応する。
【0047】
第1取付具102は第1位置規制部120を有し(
図16)、第1位置規制部120は、第2取付具104の第2位置規制部106に対応する。第1取付具102は第1アーム部122を有し、この第1アーム部122は、第2取付具104のパンチングメタルからなる第2アーム部108に対応するパンチングメタルで構成されている。すなわち、パンチングメタルは、複数の開口(典型的には円形穴)が規則的に配列した板状の金属部材である。配管Pの長手方向軸線Ax(p)において、パンチングメタルからなる第1アーム部122の一端と他端の各々に金属製のバンドBd(4)が取付けられている。第2取付具104の第2アーム部108の上に第1取付具102の第1アーム部122を重ね合わせた状態で、第1取付具102を2つのバンドBd(4)を使って配管Pに固定することができる。
【0048】
第1取付具102と第2取付具104との相違点は次の2点である。
(1)配管Pの長手方向軸線Ax(p)に沿った長さ寸法において、第1取付具102の第1アーム部122が、第2取付具104の第2アーム部108よりも小さい。
(2) 第1取付具102の第1アーム部122は傾斜スリット58を有し、この傾斜スリット58の中に第2取付具104のピン64が配置されている。
【0049】
実施例の超音波流量センサシステム100において、傾斜スリット58とピン64によって、第1、第2の取付具102、104は第1情報を第2情報に変換する機能を発揮することができる。第1情報は、第1、第2の取付具102、104を取り付けた配管Pの直径の情報である。第2情報は、配管Pの長手方向軸線Ax(p)に沿った第1、第2の取付具102、104の適正離間距離の情報である。したがって、第1、第2の取付具102、104は、傾斜スリット58とピン64によって、配管Pの長手方向軸線Ax(p)に沿った適正な離間距離に位置決めされる。
【0050】
また、第1、第2の取付具102、104は、その相互作用によって、第1センサユニット6を第1母線GL1(
図2、
図3)上に位置決めし、他方、第2センサユニット8を第2母線GL2(
図2、
図3)上に位置決めする機能を有する。
【0051】
実施例の超音波流量センサシステム100は、作業者が配管Pの一方の側から正対した状態で第1、第2の取付具102、104を使って第1、第2のセンサユニット6、8を設置することができる。その作業手順及び作業内容を説明すると次の通りである。
【0052】
(工程1)第2取付具104に第2センサユニット8を組み付ける(
図11)。
(工程2)作業者が配管Pに正対した状態で、第2センサユニット8を装着した第2取付具104を配管Pに仮固定する。この仮固定は、第2取付具104のバンドBd(3)を使って行うことができる。この仮固定の状態において、第2センサユニット8は、第2取付具104の皿バネ66によって配管Pの周面に向かって付勢された状態にある。
【0053】
(工程3)第2取付具104を配管Pの周方向に回転させて、作業者から見て配管Pの反対側に第2取付具104を位置させる。
(工程4)
図11は第2取付具104に関するものであるが、この第2取付具104の場合と同じ要領で、第1取付具102に第1センサユニット6を組み付ける。
【0054】
(工程5)作業者が配管Pに正対した状態で、第1センサユニット6を装着した第1取付具102を配管Pに仮固定する。この仮固定は、第1取付具102のバンドBd(4)を使って行うことができる(
図16)。この仮固定の状態において、第1センサユニット6は、第1取付具102の皿バネ66によって配管Pの周面に向かって付勢された状態にある。第1取付具102を配管Pに仮固定することにより、この第1取付具102の傾斜スリット58と第2取付具104のピン64との協働によって、第1センサユニット6を第1母線GL1上に仮位置決めした状態になり、第2センサユニット8を第2母線GL2上に仮位置決めした状態になる。
【0055】
(工程6)第2取付具104を配管Pに固定する。また、第1取付具102を配管Pに固定する。これにより、第1センサユニット6は第1母線GL1上に位置決めされる。また、第2センサユニット8は第2母線GL2上に位置決めされる。また、第1、第2のセンサユニット6、8は、配管Pの長手方向軸線Ax(p)に沿って離間され、その離間距離が適正化される。また、第1センサユニット6は、第1取付具102の皿バネ66によって配管Pの周面に付勢された状態になる。同様に、第2センサユニット8は、第2取付具104の皿バネ66によって配管Pの周面に向かって付勢された状態になる。
【0056】
以上の説明から直ちに理解できるように、作業者が配管Pに正対した状態を継続した中で、第1、第2のセンサユニット6、8を配管Pに適正にZ配置することができる。換言すれば、配管Pの直径方向に対向する第1、第2の母線GL1、GL2に第1、第2のセンサユニット6、8を適正に組み付けるために、作業者は配管Pの周囲を回り込む必要はない。したがって、複数の配管Pが横並びに配列したような作業環境であったとしても、容易に第1、第2のセンサユニット6、8を設置することができる。
【0057】
図2〜
図16を参照して説明した実施例では、第1アーム部122に形成されたスリット58に沿って、第2アーム部108に形成されたピン64が移動することにより、配管Pの軸線方向における第1取付具102と第2取付具104の相対的な位置決めを誘導するガイド部、すなわち「情報変換機構」が実現されている。
【0058】
しかし、本発明はこれに限られず、ピン64やスリット58の形状を自由に変更することが可能である。情報変換機構の変形例を
図17〜
図20に基づいて説明する。
【0059】
図17〜
図20を参照して、第1アーム部122に、スリット58の形状を略三角形に変えた孔部59が形成されている。また、第2アーム部108には、鉤状(フック状)の当接部65が形成されている。この当接部65は、第1取付具102を配管Pの軸線方向に動かすことによって、孔部59を形成し、配管Pの周方向に対して傾斜した傾斜縁部59aに当接する。
【0060】
より具体的には、まず、第2アーム部108を配管Pに巻き付けて、バンドBd(3)によって第2取付具104を配管Pに位置決め固定する。次に、第1アーム部122を配管Pに巻き付けて、バンドBd(4)によって第1取付具102を配管Pに仮止めする。仮止めした直後の状態では、当接部65は傾斜縁部59aに当接していない(
図17)。
【0061】
その後、第1取付具102を配管Pの軸線方向に沿って動かして、当接部65を傾斜縁部59aに当接させる(
図18、
図19)。このとき、配管Pの軸線方向における第1取付具102と第2取付具104の相対位置は、最適な位置関係になる。なぜならば、傾斜縁部59aの傾斜角度を、配管の径に応じて最適な角度となるように予め規定しているからである。
【0062】
例えば
図20に示すように、配管Pの径が小さくなった場合、傾斜縁部59aにおける当接部65の相対的な位置は変わる。
図20では、図中の上方に移動している。これにより、径が相対的に大きい配管Pに設置した
図19に示す第1取付具102と第2取付具104の離間距離よりも、径が相対的に小さい配管Pに設置した
図20に示す第1取付具102と第2取付具104の離間距離の方が短くなる。
【0063】
このように、当接部65と傾斜縁部59aがあることにより、ユーザは、配管Pの軸線方向における第1取付具102と第2取付具104の相対位置を誘導してもらえるので、配管Pに第1取付具102と第2取付具104を容易に取り付けることができる。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施例及び変形例を説明したが、本発明はこれに限定されず、下記の変形例を包含する。
【0065】
(1)実施例では、
図21に模式的に図示したように、第1、第2の取付具102、104のアーム部122、108を配管Pの周方向に屈曲可能なプレート部材で構成されている。変形例として、
図22に示すように、配管Pの周方向に複数の関節86を有する多関節構造のバンド部材で構成してもよい。この多関節構造のバンドは、腕時計のバンドとして様々な構成が知られている。
【0066】
(2)実施例において、情報変換機構としてピン64と傾斜スリット58との組み合わせ、つまり傾斜スリット58によってピン64をガイドする方法を例示した。変形例として、ピン64、傾斜スリット58の代わりに、傾斜凹条と、該傾斜凹条に受け入れられた傾斜凸条とのスライド可能な凹凸嵌合を採用してもよい。