(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の発光素子と、第1光束制御部材および第2光束制御部材を含み、前記複数の発光素子から出射された光の配光を制御する光束制御部材とを有する発光装置であって、
前記第1光束制御部材は、
前記第1光束制御部材の第1中心軸と交わるように、前記複数の発光素子と対向して配置された凹状の第1入射面と、
前記第1中心軸と交わるように配置された内側出射面と、前記内側出射面を取り囲むように配置され、前記第1中心軸を含む断面における形状が凸状の外側出射面とを有する、前記第1入射面の反対側に配置された第1出射面とを含み、
前記第2光束制御部材は、前記第1光束制御部材から出射された光を前記第1中心軸に沿う方向に向かうように制御し、
前記複数の発光素子のうち、1つの発光素子は、光軸が前記第1中心軸および前記第2光束制御部材の第2中心軸と一致するように配置され、
前記複数の発光素子は、前記第1中心軸に沿う方向に最も強く光を出射し、
前記第1光束制御部材の焦点距離をfとし、前記第1中心軸と、前記第1中心軸から最も離れた前記発光素子における光軸との距離をdとしたとき、以下の式(1)を満たし、
前記第1中心軸および前記第2中心軸を含む断面において、
前記光軸が前記第1中心軸と一致するように配置された前記発光素子の発光中心から出射された第1光線の出射角度をθ1とし、
前記第1光線が前記第1光束制御部材で制御された後、前記第1光束制御部材から出射されることで生成される第2光線の前記第1中心軸に対する角度をθ2とし、
前記第2光線が前記第2光束制御部材で制御された後、前記第2光束制御部材から出射されることで生成される第3光線の前記第1中心軸に対する角度をθ3とし、
前記第1中心軸から最も離れた発光素子の発光中心から前記第1中心軸と平行な方向に出射された第4光線が第1光束制御部材および第2光束制御部材で制御された後、前記第2光束制御部材から出射されることで生成される第5光線の前記第1中心軸に対する角度をθ4とした場合、さらに以下の式(2)〜式(5)を満たす、
発光装置。
−0.6<d/f<0 ・・・(1)
【数1】
[式(2)において、0°<θ1
n<θ1
n+1<60°、θ2
nはθ1
nに対応する光線の角度とする。]
【数2】
[式(3)において、0°<θ1
n−1<θ1
n<θ1
n+1<60°とする。]
−6°<θ3<10° ・・・(4)
[式(4)において、0°<θ1<40°、θ3は、θ1に対応する光線の角度とする。θ3は、前記第1中心軸と平行に進行する光の角度を0°として、前記第1中心軸に近づくように進行する前記第3光線の前記第1中心軸に対する角度をマイナスの値とし、前記第1中心軸から離れるように進行する前記第1中心軸に対する前記第3光線の角度をプラスの値とする。]
3°<θ4<10° ・・・(5)
[式(5)において、θ4は、前記第1中心軸と平行に進行する光の角度を0°として、前記第1中心軸に近づくように進行する前記第5光線の前記第1中心軸に対する角度をプラスの値とし、前記第1中心軸から離れるように進行する前記第5光線の前記第1中心軸に対する角度をマイナスの値とする。]
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、HUDにおいて、スクリーンに情報を表示するために使用されうる表示装置について説明する。HUDは、表示装置と、表示装置からの光を適切にスクリーンに投影するための投影レンズと、スクリーンとを有する。表示装置からの出射光は、投影レンズなどを含む投影光学系を経てスクリーンに照射される。
【0015】
[実施の形態1]
(面光源装置および表示装置の構成)
図2Aは、本発明の実施の形態1に係る表示装置100の断面図であり、
図2Bは、
図2Aに示される表示装置100の表示領域121を示す図である。
図2Aでは、第1脚部を省略している。
【0016】
図2A、Bに示されるように、実施の形態1に係る表示装置100は、面光源装置110と、表示部材120とを有する。
【0017】
面光源装置110は、表示装置100の光源である。面光源装置110は、発光装置130と、拡散板140とを有する。発光装置130は、複数の発光素子112と、第1光束制御部材114および第2光束制御部材115を含む光束制御部材113とを有し、基板111上に配置されている。
【0018】
基板111は、複数の発光素子112と、光束制御部材113とを支持する。基板111の種類は、特に限定されない。基板111は、発光素子112に電気を供給する観点から、回路基板を用いることが好ましい。たとえば、基板111は、ガラスコンポジット基板やガラスエポキシ基板、Al基板などである。
【0019】
複数の発光素子112は、面光源装置110の光源であり、基板111上に固定されている。たとえば、発光素子112は、発光ダイオード(LED)である。複数の発光素子112から出射される光の色は、それぞれ同じであってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。本実施の形態では、複数の発光素子112から出射される光の色は、全て同じである。また、発光素子112から出射される光の色は、特に限定されない。発光素子1112から出射される光の色の種類には、白、赤、青、緑などが含まれる。通常は、発光素子112は、発光素子112の発光面に対する法線方向に最も強く光を出射する。発光素子112の数は、表示部材120の大きさや、基板111と表示部材120との間の距離などに応じて適宜変更されうる。本実施の形態では、発光素子112の数は、3つである。複数の発光素子112の配置は、特に限定されない。複数の発光素子112は、直線上に配置されていてもよく、多角形の頂点に対応する位置に配置されていてもよく、円環状に配置されていてもよい。本実施の形態では、複数の発光素子112は、直線上に配置されている。また、本実施の形態では、中央部に配置されている発光素子112の光軸と、第1中心軸CA1(第2中心軸CA2)とが一致するように配置されている。ここで、「発光素子112の光軸」とは、発光素子112から立体的に出射された全光束の中心における光の進行方向をいう。また、「複数の発光素子112の光軸」とは、複数の発光素子112から立体的に出射された全光束の中心における光の進行方向をいう。また、隣接する発光素子112間の間隔(隣接する発光素子112の光軸間距離)は、特に限定されない。
【0020】
光束制御部材113は、発光素子112からの出射光の配光を制御する。光束制御部材113は、第1光束制御部材114および第2光束制御部材115を含む。第1光束制御部材114の第1中心軸CA1と、第2光束制御部材115の第2中心軸CA2とは一致していてもよいし、一致していなくてもよい。本実施の形態では、第1光束制御部材114の第1中心軸CA1と、第2光束制御部材115の第2中心軸CA2とは一致している。第1光束制御部材114は、発光素子112側に配置されており、第2光束制御部材115は、発光素子112に対して第1光束制御部材114より離れた位置(拡散板140側)に配置されている。第1光束制御部材114(第1入射面131および第1出射面132)は、第1中心軸CA1を回転軸とする回転対称であり、第2光束制御部材115(第2入射面141および第2出射面142)は、第2中心軸CA2を回転軸とする回転対称である。第1光束制御部材114および第2光束制御部材115は、第1中心軸CA1および第2中心軸CA2が一致するように配置されている。
【0021】
第1光束制御部材114および第2光束制御部材115の材料は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1光束制御部材114および第2光束制御部材115の材料の例には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂や、光透過性のガラスなどが含まれる。また、第1光束制御部材114および第2光束制御部材115は、例えば射出成形により製造される。第1光束制御部材114および第2光束制御部材115の構成については、後述する。
【0022】
拡散板140は、面光源装置110から出射された光を拡散させつつ、透過させる。拡散板140の例には、光拡散処理(例えば、粗面化処理)が行われた透明な板状の部材、およびビーズなどの散乱子が配合された透明な板状の部材が含まれる。
【0023】
表示部材120は、例えば液晶パネルである。表示部材120は、スクリーンに投影する画像が表示される表示領域121を有する。表示領域121には、面光源装置110によって制御された光が均一に照射される。なお、本実施の形態では、表示部材120の長辺をX、短辺をYで表した場合、0.8X×0.8Yで表される領域を表示領域121とした(
図2B参照)。
【0024】
発光素子112から出射された光は、第1光束制御部材114および第2光束制御部材115によって配光が制御される。第2光束制御部材115から出射された光は、拡散板140によって拡散されつつ透過され、表示部材120を均一に照らす。
【0025】
(光束制御部材の構成)
図3は、第1光束制御部材114の構成を示す図である。
図3Aは、第1光束制御部材114の平面図であり、
図3Bは、底面図であり、
図3Cは、側面図であり、
図3Dは、
図3Aに示されるA−A線の断面図である。
図4は、第2光束制御部材115の構成を示す図である。
図4Aは、第2光束制御部材115の平面図であり、
図4Bは、底面図であり、
図4Cは、側面図であり、
図4Dは、
図4Aに示されるA−A線の断面図である。
【0026】
前述したように、光束制御部材113は、第1光束制御部材114と、第2光束制御部材115と、を有する。
【0027】
第1光束制御部材114は、発光素子112から出射された光の配光を制御する。
図3A〜Dに示されるように、第1光束制御部材114は、第1入射面131と、第1出射面132を有する。なお、第1光束制御部材114には、第1フランジ133が設けられていてもよい。また、第1フランジ133の裏側には、第1光束制御部材114を基板111に固定するための第1脚部(図示省略)が設けられていてもよい。第1光束制御部材114は、発光素子112と対向して配置されている。第1光束制御部材114を基板111に固定する方法は、特に限定されず、接着固定、ネジ止め、ホルダーでの固定等が採用されうる。たとえば、第1光束制御部材114および基板111は、第1脚部を接着剤により基板111に接着することで互いに固定されうる。
【0028】
第1入射面131は、発光素子112から出射された光を第1光束制御部材114の内部に入射させるとともに、入射した光を第1出射面132に向けて屈折させる。第1入射面131は、発光素子112の発光面と対向して第1中心軸CA1と交わるように配置されている。第1入射面131の形状は、前述の機能を発揮できれば、特に限定されない。本実施の形態では、第1入射面131は、発光素子112に対向して配置された第1凹部134の内面である。第1入射面131の表面は、球面であってもよく、非球面であってもよい。本実施の形態では、第1入射面131は、発光素子112から出射された光のうち、一部の光に対して負のパワーを有する。すなわち、第1入射面131の形状は、凹レンズ形状であり、第1入射面131は、非球面である。
【0029】
第1出射面132は、第1光束制御部材114の内部を進行した光を外部に出射させる。第1出射面132は、第1入射面131の反対側(第2光束制御部材115側)に配置されている。第1出射面132は、内側第1出射面132aと、外側第1出射面132bと、を有する。
【0030】
内側第1出射面132aは、第1中心軸CA1と交わるように配置されている。内側第1出射面132aの形状は、第1中心軸CA1に対して拡げられるように光が出射されれば特に限定されない。すなわち、内側第1出射面132aの形状は、内側第1出射面132aに到達する光束を第1中心軸CAに対してさらに拡げる場合には、凹状に形成される。この場合、内側第1出射面132aに到達した光に対して負のパワーを有する。一方、内側第1出射面132aに到達する光束を第1中心軸CAに対して拡がりすぎないようにする場合には、浅い凸条に形成される。この場合、内側第1出射面132aに到達した光に対して正のパワーを有する。いずれの場合であっても、内側第1出射面132aから出射される光は、第1中心軸CA1に対して拡げられるように制御される。
【0031】
外側第1出射面131bは、内側第1出射面131aを取り囲むように、第1中心軸CA1に対して内側第1出射面131aより離れた位置に配置されている。外側第1出射面131bは、第1入射面131で入射した光のうち、一部の光を第1中心軸CA1側に向けて屈折(集光)させる。言い換えると、外側第1出射面131bは、発光素子112から出射された光のうち、第1中心軸CA1に対する出射角度が大きい光に対して、正のパワーを有する。外側第1出射面131bの形状は、凸レンズ形状であり、外側第1出射面131bは、非球面である。
【0032】
第2光束制御部材115は、第1光束制御部材114から出射された光を略平行光となるように制御する。
図4A〜Dに示されるように、第2光束制御部材115は、第2入射面141と、第2出射面142と、を有する。第2光束制御部材115の形状は、前述の機能を発揮できれば特に限定されない。第2光束制御部材115は、第2入射面141に凸レンズ面を有していてもよいし、第2出射面142に凸レンズ面を有していてもよい。また、小型化する観点から、第2光束制御部材115は、屈折型のフレネルレンズ部を有していてもよいし、反射型のフレネルレンズ部を有していてもよい。本実施の形態では、第2光束制御部材115は、第2出射面142に屈折型のフレネルレンズ部145を有している。屈折型のフレネルレンズ部145を有する第2光束制御部材115は、反射型のフレネルレンズ部を有する第2光束制御部材115と比較して、組み立て誤差を吸収できる。なお、第2光束制御部材115には、第2フランジ143が設けられていてもよい。また、第2フランジ143の裏側には、第2光束制御部材115を基板111に固定するための第2脚部(図示省略)が設けられていてもよい。第2光束制御部材115を基板111に固定する方法は、特に限定されず、接着固定、ネジ止め、ホルダーでの固定などが採用されうる。たとえば、第2光束制御部材115および基板111は、第2脚部を接着剤により基板111に接着することで互いに固定されうる。
【0033】
第2入射面141は、第1光束制御部材114から出射された光を第2光束制御部材115の内部に入射させるとともにフレネルレンズ部145に向けて屈折させる。第2入射面141の形状は、前述の機能を発揮できれば、特に限定されない。本実施の形態では、第2入射面141は、平面である。
【0034】
第2出射面142は、第2光束制御部材115の内部を進行した光を外部に出射させるとともに、当該光を第1中心軸CA1に対して略平行光となるように屈折させる。第2出射面142は、フレネルレンズ部145を有する。フレネルレンズ部145は、同心に配置された平面視形状が円状の複数の凸部146を有する。
【0035】
複数の凸部146は、それぞれ、入射した光を屈折させる屈折面147と、隣接する屈折面147を接続する接続面148と、を有する。凸部146において、屈折面147は、外側に配置されており、接続面148は、内側(第2中心軸CA2側)に配置されている。なお、複数の屈折面147は、第1光束制御部材114(第2光束制御部材115)の第1中心軸CA1(第2中心軸CA2)と光軸OAが一致するように配置された発光素子112から出射された光が平行光となるように設計されている。
【0036】
発光素子112から出射された光は、第1光束制御部材114および第2光束制御部材115によって、表示領域121を均一に照射するように制御される。発光素子112から出射される光の利用効率を向上させる観点から、第1光束制御部材114から出射された光のうち、大部分の光は、第2光束制御部材115に入射することが好ましい。よって、第1光束制御部材114から出射された光のうち、大部分の光が第2光束制御部材115に入射するように、第1光束制御部材114と、第2光束制御部材115との間隔が設定されている。
【0037】
図5は、表示装置100の光路を示す図である。
図5では、光路を示すため、ハッチングを省略している。
図5に示されるように、各発光素子112から出射された光は、第1光束制御部材114で混ざり合うように制御され、第1出射面132から出射される。第1光束制御部材114から出射された光は、第2光束制御部材115に到達する。このとき、第2光束制御部材115に到達した光の光線密度は、中央部では低く、周辺部では高くなるように制御される。言い換えると、第2光束制御部材115の第2入射面141では、中央部の光度は低く、周辺部の光度は高い。第2光束制御部材115に到達した光は、第2光束制御部材115により略平行光となるように(表示部材120の全面に対して光線密度が均一となるように)制御され、第2出射面142から出射される。第2出射面142から出射された光は、輝度が均一となるように表示部材120を照らす。
【0038】
前述した表示装置100において、発光素子112と、光束制御部材113とは、以下の式(1)を満たすように配置される。
−0.6<d/f<0 ・・・(1)
ここで、dは、第1光束制御部材114の第1中心軸CA1と、第1光束制御部材114の中心軸CA1から最も離れた発光素子112における光軸OAとの距離(以下、単に「距離d」ともいう)である。また、fは、第1光束制御部材114の焦点距離(以下、単に「焦点距離f」ともいう)である。
【0039】
図6を参照して、発光素子112と、光束制御部材113との関係について説明する。
図6Aは、第1光束制御部材114の焦点距離fを説明するための図であり、
図6Bは、焦点距離fと、距離dとの関係を説明するための図である。
図7A、Bは、照射領域Sを説明するための図である。
図7Aは、距離dが大きい場合の照射領域を説明するための図であり、
図7Bは、距離dが小さい場合の照射領域を説明するための図である。
【0040】
本実施の形態に係る第1光束制御部材114は、レンズ全体として発光素子112から出射された光を拡げる方向に機能するため、以下のように焦点距離fが定義される。
図6Aに示されるように、第1光束制御部材114の焦点距離fについては、まず、第1光束制御部材114の第1中心軸CA1と平行な仮想入射光L1を第1入射面131側から入射させると仮定する。次いで、仮想入射光L1が第1出射面132から出射する仮想出射光L1’を想定する。次いで、仮想入射光L1を入射方向に延在させるとともに、仮想出射光L1’を出射方向とは逆に延在させたときの交点を主点Aとする。次いで、第1出射面132から出射する仮想出射光L1’をさらに出射方向とは逆に延在させた仮想線と、第1光束制御部材114の第1中心軸CA1との交点を焦点Fとする。このとき主点Aと焦点Fとの第1中心軸CA1に沿う距離が焦点距離fとなる。なお、本実施の形態では、焦点距離fは、マイナスの値となる。
【0041】
次いで、焦点距離fと、距離dとの関係について説明する。
図6Bに示されるように、ここでは、1列に光軸の中心間距離が距離dずつ離れて配列された3個の発光素子112a、112b、112cと、1個の第1光束制御部材114とを想定する。また、中心に配置された発光素子112bの光軸OAbは、第1光束制御部材114の第1中心軸CA1と一致しているとする。すなわち、第1光束制御部材114の第1中心軸CA1から最も離れた発光素子112は、発光素子112a(発光素子112c)である。さらに、各発光素子112a、112b、112cから出射された仮想出射光の仮想被照射面Q(本実施の形態の拡散板140に相当する)における到達点をそれぞれPa、Pb、Pcとする。
【0042】
図6Bに示されるように、第1光束制御部材114の第1中心軸CA1と、第1中心軸CA1から最も離れた発光素子112a(112c)における光軸OAとの距離(隣接する発光素子112の中心間距離)dが長くなると、各発光素子112a、112b、112cから出射された光線の仮想平面における到達点間の距離Dが長くなることが分かる。ここで、発光素子112a、112b、112cから出射された光は、仮想平面の所定の領域(照射領域S)を照らすため、各発光素子112a、112b、112cによって照射される照射領域S同士が重なる面積が小さくなる(
図7A参照)。逆に、距離dが短くなると、各発光素子112a、112b、112cによって照射される照射領域S同士が重なる面積が大きくなる(
図7B参照)。このように、距離dを調整することで、各発光素子112a、112b、112cによって照射される領域同士が重なる面積を調整できる。
【0043】
一方、
図6Bに示されるように、第1光束制御部材114の焦点距離fが短くなると、各発光素子112a、112b、112cから出射された光線の仮想平面における到達点間の距離Dが長くなることが分かる。ここで、発光素子112a、112b、112cから出射された光は、仮想平面の所定の領域(照射領域S)を照らすため、各発光素子112a、112b、112cによって照射される照射領域S同士が重なる面積が小さくなる(
図7A参照)。逆に、焦点距離fが長くなると、各発光素子112a、112b、112cによって照射される照射領域S同士が重なる面積が大きくなる(
図7B参照)。このように、焦点距離fを調整することで、各発光素子112a、112b、112cによって照射される領域同士が重なる面積を調整できる。
【0044】
前述したように、焦点距離fと、第1光束制御部材114の第1中心軸CA1から最も離れた発光素子112の光軸との距離dは、後述する表示部材120における均斉度に大きく影響する。より具体的には、dが大きくなることによりd/fが−0.6以下となる場合には、前述の発光素子112からの出射光の照射領域S同士の重なりが小さくなる。特に長方形の画面の場合、短手(短辺)方向と比べて、長手(長辺)方向の重なりが少なくなるため長手方向の端部において輝度を十分に確保できない。一方、fを小さくして周辺を明るくしようとする場合には、d/fの絶対値がさらに小さくなるため、ますます照射領域S同士の重なりが小さくなってしまう。
【0045】
d/fが0超の場合、第1光束制御部材14の正のパワーが強くなりすぎてしまい、中心部の光線密度が周辺部の光線密度より高くなり、中心部の輝度が上昇してしまう。
【0046】
一方、d/fが−0.6<d/f<0を満たす場合には、発光素子112からの出射光の照射領域同士が適切に重なり合うため、輝度ムラが抑制される。
【0047】
(効果)
以上のように実施の形態1に係る面光源装置を有する表示装置100では、第1光束制御部材114の焦点距離fと、第1光束制御部材114の第1中心軸CA1および第1光束制御部材114の第1中心軸CA1から最も離れた発光素子112における光軸OAとの距離dとは、−0.6<d/f<0を満たす。後述する実施例1に示されるように、d/fを所定の値の範囲内とすることで、複数の発光素子112を使用する場合であっても表示部材120を均一に照らすことができる。
【0048】
また、第2光束制御部材115は、屈折型のフレネルレンズ部145を有するため、表示装置100を組み付ける場合に、組み付け誤差を吸収することができる。
【0049】
[実施の形態2]
実施の形態2では、実施の形態1に係る表示装置100における、表示領域121の正面から見た場合だけでなく、表示領域121の正面からずれた位置から見た場合であっても、輝度ムラが生じないための条件について説明する。なお、表示装置100の構成は、実施の形態1に係る表示装置100と同じであるため、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0050】
前述したように、表示装置100は、面光源装置110と、表示領域121を含む表示部材120とを有する(
図2A参照)。また、面光源装置110は、発光装置130と、拡散板140とを有する。また、発光装置130は、複数の発光素子112と、第1光束制御部材114および第2光束制御部材115を含む光束制御部材113とを有し、基板111上に配置されている。
【0051】
実施の形態2では、複数の発光素子112のうち、1つの発光素子112は、光軸OAが第1光束制御部材114の第1中心軸CA1および第2光束制御部材115の第2中心軸CA2と一致するように配置されている。また、複数の発光素子112は、第1中心軸CA1に沿う方向に最も強く光を出射する。
【0052】
また、前述したように、表示装置100において、発光素子112と、光束制御部材113とは、以下の式(1)を満たすように配置される。
−0.6<d/f<0 ・・・(1)
【0053】
実施の形態2に係る表示装置100は、前述した式(1)に加え、以下の式(2)〜式(5)をさらに満たすように構成される。
【0054】
図8は、式(2)および式(3)を説明するための図である。
図9は、式(4)および式(5)を説明するための図である。なお、
図8では、光路を示すため、基板111、発光素子112および第1光束制御部材114のハッチングを省略している。また、
図9では、光路を示すため、基板111、発光素子112、第1光束制御部材114および第2光束制御部材115のハッチングを省略している。
【0055】
図8に示されるように、発光装置130は、光軸OAが第1中心軸CA1と一致するように配置された発光素子112の発光中心から出射された第1光線L1の出射角度をθ1
nとし、第1光線L1が第1光束制御部材114で制御された後、第1光束制御部材114から出射されることで生成される第2光線L2の第1中心軸CA1に対する角度をθ2
nとした場合、実施の形態2に係る発光装置130は、以下の式(2)をさらに満たす。また、nは、第1中心軸CAおよび第2中心軸CA2と含む断面における任意の光線の番号を示す。
【0056】
【数1】
式(2)において、0°<θ1
n<θ1
n+1<60°、θ2
nはθ1
nに対応する光線の角度とする。
【0057】
このように、実施の形態2に係る照明装置100では、θ1
nの増加に伴って、θ2
nも増加するように構成される。これにより、第1光束制御部材114の第1出射面132から出射されることにより生成される第2光線L2が重ならないため、連続した光を第2光束制御部材115に入射させることができる。
【0058】
また、実施の形態2に係る発光装置130は、以下の式(3)をさらに満たす。
【0059】
【数2】
式(3)において、0°<θ1
n−1<θ1
n<θ1
n+1<60°とする。
【0060】
このように、発光装置130は、θ1
nの増加に伴って、θ1
nの増加に対するθ2
nの増加量の比率が小さくなるように構成される。これは、第1中心軸CA1側を中央部とし、第1フランジ133側を周辺部とした場合、第1出射面132の周辺部から出射された第2光線L2は、第1出射面132の中央部から出射された第2光線L2と比較して、より光線密度が密となるように出射されることを意味している。したがって、強度の強い光線が到達する中央部の光線密度は疎となり、強度の弱い光線が到達する周辺部の光線密度は密となる。これにより、第2光束制御部材115の第2入射面141における照度が均一になる。
【0061】
図9に示されるように、発光装置130は、第2光線L2が第2光束制御部材115で制御された後、第2光束制御部材115の第2出射面142から出射されることで生成される第3光線L3の第1中心軸CA1に対する角度をθ3とした場合、以下の式(4)を満たすことが好ましい。
−6°<θ3<10° ・・・(4)
式(4)において、0°<θ1<40°、θ3は、に対応する光線が第2光束制御部材115から出射した第3光線L3の第1中心軸CAに対する角度とする。θ3は、第1中心軸CA1と平行に進行する光L0の角度を0°として、第1中心軸CA1に近づくように進行する第3光線L3の第1中心軸CA1に対する角度をマイナス「−」の値とし、第1中心軸CA1から離れるように進行する第1中心軸CA1に対する第3光線L3の角度をプラス「+」の値とする。
【0062】
このように、第2光束制御部材115から出射されることで生成される第3光線L3は、第1中心軸CA1と略平行となるように出射される。なお、θ3が10°以上の場合、発散度合いが大きくなり、第3光線L3が第1中心軸CA1から著しく離れるように進行してしまう。これにより、第1中心軸CA1側(中央部)が暗くなってしまう。一方、θ3が−6°未満の場合、集光度合いが大きくなり、第3光線L3が第1中心軸CA1に向かうように進行する。これにより、第1中心軸CA1から離れた領域(周辺部)が暗くなってしまう。
【0063】
また、実施の形態2に係る発光装置130は、第1中心軸CA1から最も離れた発光素子112の発光中心から第1中心軸CA1と平行な方向に出射された第4光線L4が第1光束制御部材114および第2光束制御部材115で制御された後、第2光束制御部材115から出射されることで生成される第5光線L5の第1中心軸CA1に対する角度をθ4とした場合、以下の式(5)をさらに満たす。
3°<θ4<10° ・・・(5)
式(5)において、前記第1中心軸と平行に進行する光の角度を0°として、前記第1中心軸に近づくように進行する前記第5光線の前記第1中心軸に対する角度をプラス「+」の値とし、前記第1中心軸から離れるように進行する前記第5光線の前記第1中心軸に対する角度をマイナス「−」の値とする。
【0064】
このように、発光装置130では、第1中心軸CA1から最も離れた発光素子112から出射された光の一部は、第1中心軸CA1に対して傾斜するように、第2光束制御部材115から出射されるため、表示領域121を斜めから見た場合であっても、輝度ムラを抑制することができる。なお、θ4が3°以下の場合、第1中心軸CA1に対して斜めに出射する光が少なくなるため、表示領域121を斜めから見たときに輝度ムラが生じてしまう。一方、θ4が10°以上の場合、第2光束制御部材115から出射した光は、過度に第1中心軸CA1側に向かうため、正面からみた場合に周辺部が暗くなってしまう。
【0065】
(効果)
以上のように実施の形態2に係る面光源装置を有する表示装置100では、発光装置130が、前述の式(2)〜式(5)をさらに満たす。後述する実施例2に示されるように、発光装置130が前述の式(2)〜式(5)をさらに満たすことで、表示領域121を正面からみた場合だけでなく、表示領域121を斜めから見た場合であっても、輝度ムラが抑制される。
【0066】
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
【実施例】
【0067】
[実施例1]
実施例1では、前述した表示装置100における、焦点距離fに対する距離dと、表示部材120の表示領域121における輝度分布との関係について調べた。
【0068】
(表示装置の構成)
図10は、実施例で使用した表示装置100の構成を示す模式図である。
図10に示されるように、表示装置100は、面光源装置110と、表示部材120とを有する。面光源装置110は、発光素子112と、光束制御部材113とを含む。光束制御部材113は、第1光束制御部材114と、第2光束制御部材115とを有する。なお、
図10における寸法は、後述のNo.7の表示装置の表示装置における寸法(mm)を示している。
【0069】
(輝度の算出)
次に、各表示装置の表示領域における輝度分布をシミュレーションにより求めた。シミュレーションでは、表1に示される16種類の表示装置についての輝度分布を求めた。表1に各表示装置における焦点距離fと、距離dと、距離d/焦点距離fとについて示す。
【0070】
【表1】
【0071】
図11および
図12は、代表的な表示装置の表示領域における輝度分布を示すグラフである。
図11Aは、No.1の表示装置における輝度分布を示しており、
図11Bは、No.7の表示装置における輝度分布を示しており、
図11Cは、No.11の表示装置における輝度分布を示している。また、
図12Aは、No.12の表示装置における輝度分布を示しており、
図12Bは、No.13の表示装置における輝度分布を示しており、
図12Cは、No.16の表示装置における輝度分布を示している。各グラフにおいて縦軸は、No.7の表示装置における最大輝度を1とした場合に対する相対輝度を示しており、横軸は、表示領域の中心からの距離を示している。また、各グラフにおける実線は、
図2Bに示される表示領域の長辺方向における相対輝度を示しており、破線は、
図2Bに示される表示領域の短辺方向における相対輝度を示している。
【0072】
(均斉度の算出)
次いで、表示領域121における均斉度を算出した。均斉度は、以下の式(2)で算出した。
均斉度=最小輝度/平均輝度 ・・・(2)
最小輝度は、表示領域における輝度の最小値であり、平均輝度は、表示領域における輝度の平均値である。HUDに用いられる場合に必要とされる均斉度は0.7以上とされているため、本実施例では0.7以上を合格とした。
【0073】
各表示装置における距離d/焦点距離fと、均斉度との関係を表2および
図13に示す。
図13は、表2にまとめた結果をプロットしたグラフである。
図13における横軸は、距離d/焦点距離f(d/f)を示しており、縦軸は、均斉度(evenness)を示している。
【0074】
【表2】
【0075】
表2および
図13に示されるように、d/fが−0.816のNo.12の表示装置は、均斉度が0.57であった。これは、隣接する発光素子の光軸間距離dに対して、第1光束制御部材の負のパワーが強くなりすぎて、被照射部材(表示領域)における中央部分の光線密度が周辺部の光線密度より低くなったためと考えられた(
図12A参照)。
【0076】
また、d/fが正の値であるNo.13〜16の表示装置は、表2および
図13に示されるように、均斉度が0.7未満であった。これは、隣接する発光素子の光軸間距離dに対して、第1光束制御部材の正のパワーが強くなりすぎて、被照射部材(表示領域)における中央部分の光線密度が周辺部の光線密度より高くなり、周辺部が暗くなってしまったためと考えられた(
図12B、C参照)。
【0077】
一方、−0.6<d/f<0を満たすNo.1〜11の表示装置は、表2および
図13に示されるように、均斉度が0.7以上であった。これは、被照射部材(表示領域)における中央部分の光線密度と、周辺部の光線密度とが同じ程度となり、被照射部材の輝度が全体として均一になったことを示している(
図11A〜C参照)。
【0078】
以上のように、第1光束制御部材114の焦点距離fと、第1光束制御部材114の第1中心軸CA1および第1光束制御部材114の第1中心軸CA1から最も離れた発光素子112における光軸OAとの距離dとが、−0.6<d/f<0を満たせば、表示領域を輝度ムラが小さく、均一に照らすことができることが分かった。
【0079】
[実施例2]
実施例2では、前述した表示装置100におけるθ4と、表示領域121を正面から見たときの均斉度に対する表示領域121を5°傾斜した位置から見たときの均斉度の割合と、の関係について調べた。なお、実施例2で使用した表示装置100の構成は、実施例1における表示装置100と同じである。
【0080】
(輝度の算出)
各表示装置の表示領域における輝度分布をシミュレーションにより求めた。シミュレーションでは、表3に示される16種類の表示装置についての輝度分布を求めた。
図14は、代表的な表示装置の表示領域における輝度分布を示すグラフである。
図14Aは、No.19の表示装置における輝度分布を示したグラフであり、
図14Bは、No.23の表示装置における輝度分布を示したグラフであり
図14Cは、No.31の表示装置における輝度分布を示したグラフである。各グラフにおいて縦軸は、各表示装置における最大輝度を1とした場合に対する相対輝度を示しており、横軸は、
図2Bに示される表示領域の長辺方向における中心からの距離を示している。また、各グラフにおける実線は、表示領域を正面から見た場合の相対輝度を示しており、破線は、表示領域を5°傾斜した位置から見た場合の相対輝度を示している。
【0081】
(均斉度の算出)
次いで、表示領域における均斉度を実施例1と同様に算出した。各表示装置におけるθ4と、均斉度(5°)/均斉度(0°)との関係を表3および
図15に示す。
図15は、表3にまとめた結果をプロットしたグラフである。
図15における横軸は、θ4を示しており、縦軸は、均斉度(5°)/均斉度(0°)を示している。ここで、「均斉度(0°)」とは、表示領域を正面からみた場合の均斉度を意味している。また、「均斉度(5°)」とは、5°傾斜した位置から表示表域を見たときの均斉度を意味している。なお、特に示していないが、No.17〜32の表示装置は、前述の式(2)〜(4)を満たしている。また、HUDに用いられる場合を想定して、本実施例では「均斉度(5°)/均斉度(0°)」が0.7以上を合格とした。
【0082】
【表3】
【0083】
図16〜
図18は、代表的な表示装置の光路を示している。
図16は、No.19の表示装置の光路を示す図である。
図16Aは、光軸OAが第1中心軸CA1と一致して配置された発光素子112の発光中心から出射された光の光路を示しており、
図16Bは、第1中心軸CA1から最も離れた発光素子112の発光中心から出射された光の光路を示す図である。
図17は、No.23の表示装置の光路を示している。
図17Aは、光軸OAが第1中心軸CA1と一致して配置された発光素子112の発光中心から出射された光の光路を示しており、
図17Bは、第1中心軸CA1から最も離れた発光素子112の発光中心から出射された光の光路を示している。
図18は、No.31の表示装置の光路を示す図である。
図18Aは、光軸OAが第1中心軸CA1と一致して配置された発光素子112の発光中心から出射された光の光路を示しており、
図18Bは、第1中心軸CA1から最も離れた発光素子112の発光中心から出射された光の光路を示している。
図16〜
図18では、光路を示すため、発光素子112、第1光束制御部材114および第2光束制御部材115のハッチングを省略している。
【0084】
表3、
図14Cおよび
図18に示されるように、第5光線L5の第1中心軸CA1に対する角度θ4が3°以下であったNo.31の表示装置は、均斉度(5°)/均斉度(0°)が0.65であった。これは、第1中心軸CA1と略平行に進行してしまい、表示領域121において、第1中心軸CA1に対して斜めに出射する光が少なくなったためと考えられる。また、θ4が10°以上であったNo.32の表示装置は、均斉度(5°)/均斉度(0°)が0.67であった。これは、第5光線が過度に第1中心軸CA1側に進行してしまい、表示領域121において、適切な角度で斜めに出射する光が少なくなったためと考えられる。
【0085】
一方、θ4が3°<θ4<10°を満たすNo.17〜30の表示装置は、表3、
図14A、
図14B、
図16および
図17に示されるように、均斉度(5°)/均斉度(0°)が0.7以上であった。これは、被照射部材(表示領域)に対して垂直な方向からみた場合と、被照射部材(表示領域)に対して垂直な方向から5°ずれた方向からみた場合とであっても、被照射部材の輝度が全体として均一になったことを示している。
【0086】
以上のように、前述の式(1)〜(5)を満たせば、実施の形態1に係る表示装置の効果に加え、表示領域を正面から見た場合だけでなく、表示装置を斜めから見た場合であっても、表示領域の輝度ムラが小さくなることが分かった。