特許第6748426号(P6748426)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6748426
(24)【登録日】2020年8月12日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】ネット
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/00 20060101AFI20200824BHJP
【FI】
   E04H17/00
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-253612(P2015-253612)
(22)【出願日】2015年12月25日
(65)【公開番号】特開2017-115486(P2017-115486A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 幸輔
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3188865(JP,U)
【文献】 特開2015−014093(JP,A)
【文献】 特開2002−315497(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0011993(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00
E04H 17/16
E04G 21/24
E04G 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表編地及び裏編地を有する二重編地からなるネットであって、
前記表編地及び前記裏編地が開口部のあるメッシュ部を有しており、
前記表編地及び前記裏編地が連結糸により連結された結節部と、前記表編地及び前記裏編地が前記連結糸により連結されない非結節部とを有するように編成されたダブルラッセル編地からなり
前記表編地及び前記裏編地の幅方向に平行となる向きで配された筒状体を有することを特徴とするネット。
【請求項2】
前記ネットは、2色以上の糸で構成されており、前記表編地及び前記裏編地がそれぞれ異なる色彩であること特徴とする請求項1に記載のネット。
【請求項3】
前記表編地及び/又は前記裏編地の幅方向における端部のうち、少なくとも設置時に上方となる端部に、前記メッシュ部よりも密となる組織を長手方向に連続的に有すること特徴とする請求項1又は2に記載のネット。
【請求項4】
前記表編地及び前記裏編地における100cm角に存在する開口部の合計面積が占める割合が45〜85%であること特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットに関し、さらに詳しくは、主に工事現場、建築現場、変電所、農場、スキー場等に支持具を介して設置され、境界を明確に区分できるネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、境界の区分手段としては、強風等により風圧事故を防止するため通気性を重視し、合成樹脂製のロープを張ったりしていた。しかし、更に境界を明確にする場合には、前記ロープを幾重にも張らなければならず、作業に手間及び時間を有した。
【0003】
また、場合によっては、鉄柵を使用し、塗装にて境界を明確にしてきたが、材料の重量が重く、設置に重機を使用する必要がある等、作業に時間及び費用がかかる等の問題があった。
【0004】
近年、敷地境界標識として特許文献1乃至2のような単層布帛からなるシートが用いられている。上記シートは、容易に境界を明確にできるとともに、軽量で施工性にも優れるものであった。また、メッシュ構造を有しているため、風雨から受ける応力を緩和でき、シートの破損、設置したシートの倒壊等を軽減するものであった。
【0005】
しかしながら、上記シートは設置する際にロープ等の補助具を用いて支持具に結び付ける等して固定しなければならず、設置に時間がかかり、施工性のさらなる向上が求められていた。また、施工の際、作業者から受ける応力等の物理的応力によりシートの裂け、破れの発生が懸念されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平07−38451号公報
【特許文献2】特開平09−302944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述した問題を解決するものであり、ポール等の支持具に容易に取り付けができ、さらに通気性、強度にも優れたネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前述した目的を達成するものであって、すなわち、表編地及び裏編地を有する二重編地からなるネットであって、前記表編地及び前記裏編地が開口部のあるメッシュ部を有しており、前記表編地及び前記裏編地が連結糸により連結された結節部と、前記表編地及び前記裏編地が前記連結糸により連結されない非結節部とを有するように編成されたダブルラッセル編地からなり、前記表編地及び前記裏編地の幅方向に平行となる向きで配された筒状体を有することを特徴とするネットである。

【0009】
前記ネットは、2色以上の糸で構成されており、前記表編地及び前記裏編地がそれぞれ異なる色彩であることが好ましい。
【0010】
前記表編地及び/又は前記裏編地の幅方向における端部のうち、少なくとも設置時に上方となる端部に、前記メッシュ部よりも密となる組織を長手方向に連続的に有することが好ましい。
【0011】
前記表編地及び前記裏編地における100cm角に存在する開口部の合計面積が占める割合が45〜85%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のネットはポール等の支持具に容易に取り付けができるような施工性に優れ、さらに通気性、強度にも優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態の一例であるネットを示す模式平面図である。
図2】他の実施形態を示す模式平面図である。
図3】他の実施形態を示す模式平面図である。
図4図1又は図3のX−Yにおける模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図1図4を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下の構成に限定されることを意図しない。また、図面のネット1の各構成の位置関係を示すものであるが、各々の筒状体7等の位置関係については正確に反映したものではない。
【0015】
本発明は、表編地2及び裏編地3が開口部のあるメッシュ部を有しており、表編地2及び裏編地3が連結糸4により連結された結節部5と、前記表編地及び前記裏編地が前記連結糸により連結されない非結節部6からなり、表編地2及び裏編地3の幅方向に平行となる向きで配された筒状体7を有する。
【0016】
ネット1は、表編地2及び裏編地3を有する二重組織の編物であり、施工の際、作業者から受ける応力等の物理的応力によりネットの裂け、破れを防ぐことができる。また、ネット1は、好ましくはダブルラッセル編機を使用して編成することができるが、特に限定されるものではない。
【0017】
表編地2及び裏編地3の糸種としては特に限定されるものではなく、例えばポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等の合成繊維、アセテート、トリアセテート、プロミックス等の半合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維のいずれの繊維種も採用可能である。なかでも強度や耐候性が良好であるという理由からポリアミド、ポリエステル等の合成繊維が好ましい。
【0018】
また、使用される糸の総繊度78〜550dtexが好ましい。更に好ましくは、167〜330dtexである。この範囲であれば、柔軟性に優れ、施工性、作業性が向上する。
【0019】
また、マルチフィラメント糸、モノフィラメント糸、フラットヤーン等が挙げられる。なかでも、柔軟性の観点からマルチフィラメント糸が好適に使用される。
【0020】
また、表編地2及び裏編地3は、開口部を有しており、優れた通気性を発揮する。これにより、強風から受ける応力を緩和することができ、ネットの裂け、破れ、又は支持具8の倒壊等を防ぐことができる。
【0021】
また、前記表編地及び前記裏編地の前記メッシュ部は、2.54cm角のループ数がそれぞれ80〜450個であることが好ましい。この範囲であれば、通気性を有しながら、施工性、及び強度を向上することができる。
表編地2及び裏編地3における単位面積(例えば100cm角あたり)の存在する開口部の合計面積が占める割合(以下、開口率とも称する)は45〜85%が好ましく、さらに好ましくは70〜80%である。この範囲であれば、充分な通気性が得られ、且つ、ネットの強度も良好となり物理的応力による裂け、破れを軽減できる。
【0022】
ネット1は、図1図2図3のように、支持具8を挿入するために、表編2地及び裏編地3の幅方向に平行となる向きで配された非連結部6からなる筒状体7を有することが肝要である。幅方向に平行となる向きで配されるように筒状体7を有することで、図1図2図3に示すように、設置面から取り付けられた支持具8を非結節部6に挿入でき、容易に固定され、優れた施工性を発揮する。
【0023】
筒状体7のサイズ及び位置としては、支持具8を挿入できるような形態であれば、特に限定せず、支持具8及び使用環境に合わせて適宜設定することができる。
【0024】
例えば、図1に示すように、長手方向5〜10cm×全幅の非結節部6からなる筒状体7を形成しても良い。これにより、強度及び施工性の良好な標準直径3〜6cmの支持具8の挿入ができ、支持具8に対してネットがズレることなく施工が可能となる。また、全幅で筒状体7を形成することで、強風による応力を幅方向全体で受けることができ、裂け、破れを軽減できる。
【0025】
また、図2に示すように表編地2及び裏編地3の設置面Gと反対側の最端部を結合させる耳部9を形成することが好ましい。これにより、鞘状を形成し、支持具8を覆うように固定でき、施工の手間がさらに軽減できる。
前記耳部9は、生産性の観点から連結糸4を用い表編地2及び裏編地3の編工程と一緒に編成されることが好ましく、幅方向約1〜2cmであることが好ましい。
【0026】
例えば、図3に示すように、長手方向5〜10cm×幅方向1〜10cmの非結節部6からなる筒状体7を幅方向に方向性を有しながら複数形成しても良い。これにより、強度及び施工性の良好な標準直径3〜6cmの支持具8の挿入ができ、支持具8に対してネットがズレることなく施工が可能となる。また、筒状体7を部分的に形成することで、支持具8の挿入がより容易となり、施工性が向上する。
【0027】
また、幅方向における筒状体7同士の間隔は、特に限定されるものではなく、均等であっても、不均等であっても良い。なかでも、均等に5〜15cm間隔で筒状体7を形成することが好ましく、施工性の向上が見られる。
【0028】
また、図3のように筒状体7を幅方向に有しながら複数形性する場合、表編地2及び裏編地3において、設置面Gと反対側の端部に筒状体7を設け、その最端部に耳部9を形成することが好ましい。(図示せず)これにより、鞘状を形成し、支持具8を覆うように固定でき、施工の手間がさらに軽減できる。
【0029】
前述した図1図2図3に具えられた筒状体7は、取り付けられる支持具8の位置間隔により、適宜設計することができるが、前述した筒状体7を長手方向に連続して具えることで、ランダムに支持具8が取り付けられている場合でも対応が可能である。
【0030】
ネットは、2色以上の糸で構成され、表編地2及び裏編地3の色彩が異なることが好ましい。表編地2及び裏編地3がそれぞれ異なる色彩を有することで、表裏それぞれの色彩を視覚的に視認することで、作業者の位置がどの境域に属しているかが明確となる。安全な境域と危険な境域を区分するネットとして用いられる場合、例えば、安全な境域を緑色の表編地2で区分し、危険な境域は橙色の裏編地3で区分することで、離れた位置からネットを視認するだけで、作業者の位置が安全な境域か、危険な境域なのかが即座に把握できる。
【0031】
また、色彩の付与方法としては、特に限定されるものではないが、原着糸、先染糸の使用や、印刷、染色等が挙げられる。なかでも、原着糸又は先染糸を使用することが好ましい。2色以上の原着糸又は先染糸を同時に編み込んで、一工程で表裏の色差の異なるネットを得ることが可能となる。また、より好ましくは、屋外使用に伴う耐候変色の観点から、原着糸を使用することが好ましい。
【0032】
表編地2及び裏編地3の色差ΔEが24以上であることが好ましく、より好ましくは60以上であり、特に好ましくは70以上である。色差ΔEが24以上であれば、作業者が離れた位置からネットを視認した場合でも、作業者の位置がどの境域に属しているかが視覚的により明確に把握できる。
【0033】
表編地2及び/又は裏編地3の幅方向における端部のうち、少なくとも設置時に上方となる端部に、前記メッシュ部よりも密となる組織を長手方向に連続的に有する密部Aを編成することが好ましい。これにより、設置面Gから取り付けられた2本の支持具8の間隔を広く取っても、支持具8間でネットが垂れず、ネットと設置面Gとの平行性を向上することができる。そのため、支持具8の取り付けの箇所が少なくて良く、施工の時間及び手間を軽減できる。尚、「密部A」とは、2.54cm角あたりのループ数が前記メッシュ部より1.1〜3.0倍多く含まれ、密に編成された部分を示す。
【0034】
また、密部Aは、最端部から15cmの領域に幅方向3〜15cmに編成することが好ましい。より好ましくは5〜10cmである。この範囲であれば、ネットと設置面Gとの平行性をより確実に維持する。
【0035】
また、ネットと設置面Gとの平行性を高めるため、前述した端部以外にも、長手方向に連続した密部Bを適宜編成することが好ましい。尚、「密部B」とは、密部Aと同様、2.54cm角あたりのループ数が前記メッシュ部より1.1〜3.0倍多く含まれ、密に編成された部分を示す。
また、密部Bの幅及び本数は特に限定されるものではないが、幅1〜10cmであり、幅100cmあたりの本数が3〜15本程度が好適に用いられる。これにより、ネットと設置面Gとの平行性が向上する。
【0036】
また、密部B同士の間隔は、特に限定されるものではなく、均等であっても、不均等であっても良い。均等に外力を分散させるという観点から均等に密部Bを編成することが好適である。
【0037】
ネット1は、前記メッシュ部での通気度が500cm/cm・s以上であることが好ましい。また、密部A,Bでの通気度は100cm/cm・s以上であることが好ましい。上記範囲であれば、強風でもネットに掛かる応力を緩和でき、裂け、破れを軽減できる。
【0038】
ネット1は、長手方向の引張強度が140N/2.54cm以上であることが好ましい。140N/2.54cm以上であれば、施工の際、作業者から受ける応力等の物理的応力によりネットの裂け、破れを軽減できる。また、風圧がネットにかかった場合やのネットの裂け、破れを軽減できる。
【実施例】
【0039】
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもその実施例に限定されるものではない。
実施例1〜8及び比較例1の各ネットについては、下記の方法で性能評価を行った。結果を表1に示す。
【0040】
1.開口率(%)
ネットの生地面積100cm角に存在する開口部の面積合計が占める割合について、任意で選んだ5ヶ所の平均値を算出した。
2.表裏色差ΔE
分光光度計(Color i5、X−Rite社製)を用い、表層及び裏層の色差ΔEを測定した。尚、各ネットに対して任意で選んだ5ヶ所の平均値を算出した。
3.引張強度
JIS L 1096.8.14 A法(スプリット法)に準じて実施例及び比較例の各ネットの密部A,B以外のメッシュ部の長手方向を測定した。
(3−1)破れにくさ
上記方法で測定した引張強度において、評価した。
○:引張強度が200N/2.54cm以上
△:引張強度が200N/2.54未満、140N/2.54cm以上
×:引張強度が140N/2.54cm未満
4.通気度(cm/cm・s)
JIS L 1096.8.26 A法(フラジール形法)に準じて測定した。尚、密部A,Bがあるネットは、密部A,Bと密部A,B以外のメッシュ部の通気度をそれぞれ測定し、各部の占有面積割合より通気度を算出した。
【0041】
5.施工評価
地面を幅1m,長さ6m,深0.7m掘り、整地を目的として真砂土(粒径5mm以下)を入れ均し、締固め機械 ランマー(株式会社日立建機カミーノ製、ZV55R)を用いて転圧して厚み約0.5mの土壌を形成する。形成した土壌に、支持具(直径4.86cm,長さ1.5mの単管用鋼製杭(長野緑化株式会社製))2本を、5m間隔で設置面に垂直になるように、樹脂製手掛矢を使用して、0.5m埋め込んだ。ネットの筒状体に、設置した支持具を挿入して、全長5mのネットを施工した。
【0042】
(5−1)施工性
ネットの設置にあたり、施工性を確認した。
○:筒状体に支持具の挿し込む作業が容易で、施工し易い。
△:筒状体に支持具の挿し込む作業に少し時間を要するが、施工できる
×:筒状体がない、又は支持具を差し込む作業に多時間を要し、施工が困難である。
【0043】
(5−2)耐風性
試験体から0.2mの位置に、大型送風機(サンキテクノス株式会社製 ジャンボファン5600)を設置し、風速25m/sで1時間の風を送り、その時にネットにかかる風圧により支持具の倒壊有無を確認した。
○:支持具は設置面に対して垂直のまま維持している
△:支持具は設置面に対して僅かに傾きが確認できる
×:支持具は設置面に対して大きな傾きが確認できる
【0044】
(5−3)生地弛み
支持具の近接部に対する設置面からのネットの高さと支持具間同士の中央部に対する設置面からのネットの高さの差を測定した。
○:高さが5cm未満
△:高さが5cm以上、10cm未満
×:10cm以上
【0045】
(5−4)視認性
ネットを設置した場所より100m離れた位置から任意に選ばれた10人にネットを観察させ、色彩差を視認できるかを調査した。
○:9人以上が表層及び裏層の色彩差を視認できる。
△:6〜8人が表層及び裏層の色彩差を視認できる。
×:5人以下が表層及び裏層の色彩差を視認できる。
【0046】
[実施例1]
6枚筬を装備したダブルラッセル編機(カール・マイヤー社製、RD−6DPLM22E)を使用し、表編地、裏編地及び結節部からなる二重編地を編成した。表編地及び裏編地のメッシュ部は、2.54cm角のループ数がそれぞれ253個であった。
表編地(L1,L2)、裏編地(L5,L6)に用いられる編糸は167dtex/48fのポリエステルの原着糸であり、色座標がL=53.74,a=−51.66,b=6.41であった。結節部(L3,L4)に用いられる連結糸は84dtex/36fのポリエステルのセミダル生糸であった。
そして、非結節部からなる筒状体については、図1に示すように全幅×長手方向8cmなるよう筒状体を形成した。また、筒状体を長手方向に対して1cm毎に連続して設けた。
その後、編成した二重編地を190℃の温度で1分間、熱セットし、開口率80%のネットを得た。
【0047】
[実施例2]
表編地(L1,L2)に用いられる編糸は167dtex/48fのポリエステルの原着糸であり、色座標がL=53.74,a=−51.66,b=6.41であった。また、裏編地(L5,L6)に用いられる編糸は167dtex/48fのポリエステルの原着糸であり、色座標がL=54.08,a=33.32,b=41.42であった。結節部(L3,L4)に用いられる連結糸は84dtex/36fのポリエステルのセミダル生糸であった。
設置時に上方となる表編地及び裏編地の最端部に1cm耳部を設け、そこから幅方向5.0cm×全長の密部Aを編成し、また、幅方向1.3cm×全長の密部Bを密部A下端から等間隔で10本編成した。上記密部A,Bのループ数は前記メッシュ部より1.8倍多く含むよう密に編成した以外は実施例1と同様な構成及び処理を実施し、開口率71%のネットを得た。
【0048】
[実施例3]
設置時に上方となる表編地及び裏編地の最端部に1cm耳部を設け、そこから幅方向5.0cm×全長の密部Aを編成し、また、幅方向1.0cm×全長の密部Bを密部A下端から等間隔で15本編成した以外は、実施例2と同様な構成及び処理を実施し、開口率70%のネットを得た。
【0049】
[実施例4]
設置時に上方となる表編地及び裏編地の最端部に1cm耳部を設け、そこから幅方向14.0cm×全長の密部Aを編成し、また、幅方向10.0cm×全長の密部Bを密部A下端から等間隔で5本編成した以外は、実施例2と同様な構成及び処理を実施し、開口率48%のネットを得た。
【0050】
[実施例5]
設置時に上方となる表編地及び裏編地の最端部に1cm耳部を設け、そこから幅方向3.0cm×全長の密部Aを編成し、また、幅方向1.0cm×全長の密部Bを密部A下端から等間隔で3本編成した以外は、実施例2と同様な構成及び処理を実施し、開口率77%のネットを得た。
【0051】
[実施例6]
表編地(L5,L6)に用いられる編糸は167dtex/48fのポリエステルの原着糸であり、色座標がL=54.92,a=−0.32,b=18.71であること以外は、実施例2と同様な構成及び処理を実施し、開口率71%のネットを得た。
【0052】
[実施例7]
非結節部からなる筒状体については、幅方向に方向性を有しながら幅方向1.3cm×長手方向9cmの筒状体を10箇所等間隔に具えた。また、筒状体を長手方向に対して1cm毎に連続して設けたこと以外は実施例2と同様な構成及び処理を実施し、開口率71%のネットを得た。
【0053】
[実施例8]
非結節部からなる筒状体については、幅方向に方向性を有しながら幅方向1.0cm×長手方向9cmの筒状体を15ヵ所等間隔で具えたこと以外は、実施例3と同様な構成及び処理を実施し、開口率70%のネットを得た。
【0054】
[比較例1]
4枚筬を装備したラッセル編機を使用し、編地を編成した。
L1,L2に用いられる編糸は167dtex/48fのポリエステルの原着糸であり、色座標がL=53.74,a=−51.66,b=6.41であった。L3に用いられる編糸は84dtex/36fのポリエステルのセミダル生糸であった。編地のメッシュ部は、2.54cm角のループ数がそれぞれ253個であった。
その後、編成した編地を190℃の温度で1分間、熱セットし、開口率80%のネットを得た。
【0055】
【表1】
【符号の説明】
【0056】
G 設置面
1 ネット
2 表編地
3 裏編地
4 連結糸
5 結節部
6 非結節部
7 筒状体
8 支持具
9 耳部
10 密部A
11 密部B
図1
図2
図3
図4