(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0021】
図1は、この発明の実施の形態におけるワーク情報認識システムが適用された工作機械を示す平面図である。
【0022】
図1を参照して、本実施の形態におけるワーク情報認識システムは、ワークの情報を認識するためのシステムである。本実施の形態では、一例として、ワーク情報認識システムが、ワークを加工する工作機械100に適用されている。工作機械100は、固定工具を用いた旋削機能と、回転工具を用いたミーリング機能とを有する複合加工機である。
【0023】
まず、工作機械100の基本的な構成について説明する。工作機械100(ワーク情報認識システム)は、第1主軸121と、第2主軸122と、工具主軸123と、スプラッシュガード115とを有する。第1主軸121、第2主軸122および工具主軸123は、加工エリア141内に設けられている。
【0024】
第1主軸121および第2主軸122は、水平方向に延びるZ軸方向において、互いに対向して配置されている。第1主軸121は、Z軸に平行な中心軸131を中心に回転可能に設けられ、第2主軸122は、Z軸に平行な中心軸132を中心に回転可能に設けられている。第1主軸121および第2主軸122には、ワークを着脱可能に保持するためのチャック機構が設けられている。第2主軸122は、Z軸方向に移動可能に設けられている。
【0025】
工具主軸123は、ワークの旋削加工時に固定工具を保持したり、ワークのミーリング加工時に、回転工具を保持して、中心軸133を中心に回転させたりする。工具主軸123には、工具を着脱可能に保持するためのクランプ機構が設けられている。工具主軸123は、鉛直方向に延びるX軸方向、水平方向に延び、Z軸方向に直交するY軸方向、および、Z軸方向に移動可能に設けられている。工具主軸123は、さらに、Y軸に平行な中心軸134を中心に旋回可能に設けられている。
【0026】
スプラッシュガード115は、後述するカバー体152とともに工作機械100の外観をなしている。スプラッシュガード115は、加工エリア141を区画形成している。
【0027】
工作機械100(ワーク情報認識システム)は、ワーク搬送部161と、カバー体152と、ワーク載置具20とをさらに有する。ワーク搬送部161は、加工エリア141およびワーク収納エリア151の間でワークを搬送する。
【0028】
カバー体152は、ワーク収納エリア151を区画形成している。ワーク収納エリア151は、加工エリア141と隣り合って設けられている。ワーク収納エリア151は、Z軸方向において加工エリア141と隣り合って設けられている。加工エリア141およびワーク収納エリア151の間は、開閉可能なシャッター(不図示)により隔てられている。
【0029】
ワーク搬送部161は、移動機構部164と、ロボットアーム165とを有する。ロボットアーム165は、移動機構部164からアーム状に延出している。ロボットアーム165は、ワークを把持可能なように構成されている。ロボットアーム165は、把持したワークを空間内で自在に移動させるとともに、把持したワークの姿勢を自在に変化させることが可能なように構成されている。ロボットアーム165は、6軸を互いに独立して制御可能なロボットアームである。
【0030】
移動機構部164は、ロボットアーム165を、加工エリア141およびワーク収納エリア151の間で移動させる。移動機構部164は、ロボットアーム165を、Z軸方向に沿って直線往復移動させる。移動機構部164は、ロボットアーム165をZ軸に平行な方向に案内するリニアガイド、回転運動を出力するサーボモータ、および、サーボモータから出力された回転運動を直線運動に変換して、ロボットアーム165をZ軸方向に移動させるラックピニオン等から構成されている。
【0031】
なお、本発明におけるワーク搬送部は、ワークを搬送可能な構成であれば特に限定されず、たとえば、X軸、Y軸およびZ軸の3軸に移動可能な3軸ローダであってもよい。
【0032】
図2は、
図1中のワーク収納エリアに配置されるワーク載置具を示す斜視図である。
図3は、
図2中のワーク載置具からトレイを除いた状態を示す斜視図である。
【0033】
図1から
図3を参照して、工作機械100(ワーク情報認識システム)は、ワーク載置具20と、引き出し156とをさらに有する。
【0034】
引き出し156は、カバー体152の機械前面に設けられている。引き出し156は、
図1中の矢印157に示すように、Y軸方向に沿ってスライド可能に設けられている。引き出し156は、ワーク収納エリア151に向けて押し込まれる閉状態と、ワーク収納エリア151から機械前方に引き出される開状態との間において、スライド可能に設けられている。
【0035】
ワーク載置具20は、ワークWが載置可能なように構成されている。ワーク載置具20は、複数のワークWが載置可能なように構成されている。ワーク載置具20は、ワーク収納エリア151に配置されている。ワーク載置具20は、引き出し156に載置されている。引き出し156に載置されたワーク載置具20は、引き出し156が閉状態とされることによって、ワーク収納エリア151に配置される。引き出し156に載置されたワーク載置具20は、引き出し156が開状態とされることによって、ワーク収納エリア151の外部に配置される。
【0036】
本実施の形態では、2組のワーク載置具20および引き出し156が、Z軸方向に並んで設けられている。代表的な例として、一方のワーク載置具20には、加工前のワークWが載置され、他方のワーク載置具20には、加工後のワークWが載置される。
図2および
図3中には、円柱形状を有する加工前のワークWが示されている。
【0037】
ワーク載置具20は、トレイ21と、プレート材(中敷き)24とを有する。トレイ21は、浅底の箱形状を有する。プレート材24は、トレイ21に収容されている。プレート材24は、全体として、平面状に広がる板形状を有する。ワーク載置具20がワーク収納エリア151に配置された状態において、プレート材24は、Y軸−Z軸平面に平行に設けられている。プレート材24は、X軸方向から見た場合に矩形形状の平面視を有する。
【0038】
プレート材24は、ベースプレート25と、スペーサ26と、トッププレート27とを有する。ベースプレート25は、トッププレート27よりも大きい平面形状を有する。ベースプレート25およびトッププレート27は、プレート材24の厚み方向において互いに重ね合わされている。トッププレート27には、複数の開口部28が設けられている。開口部28は、プレート材24の厚み方向において、トッププレート27を貫通している。開口部28は、ワークWの形状に対応する開口面(本実施の形態では、円形の開口面)を有する。ワーク載置具20がワーク収納エリア151に配置された状態において、複数の開口部28は、Y軸方向およびZ軸方向に沿って格子状に並んで設けられている。
【0039】
スペーサ26は、トッププレート27の周縁に沿って帯状に延びる枠形状を有する。スペーサ26は、プレート材24の厚み方向において、ベースプレート25およびトッププレート27の間に介挿されている。これにより、開口部28の直下では、ベースプレート25およびトッププレート27の間に隙間が設けられている。ワークWが開口部28に挿入され、ベースプレート25上に載置されることによって、ワークWは、プレート材24により保持される。
【0040】
続いて、ワーク収納エリア151において、ワーク載置具20に載置されたワークWの各種情報を認識するための構成について説明する。
【0041】
工作機械100(ワーク情報認識システム)は、基準物体としての基準ブロック31をさらに有する。
【0042】
基準ブロック31は、ワーク載置具20に着脱可能に設けられている。ワーク載置具20には、複数の基準ブロック31が設けられている。ワーク載置具20には、少なくとも3つの基準ブロック31が設けられている。ワーク載置具20には、基準ブロック31A、基準ブロック31Bおよび基準ブロック31Cが設けられている。
【0043】
基準ブロック31は、ワーク載置具20のうちのプレート材24に設けられている。基準ブロック31は、プレート材24のうちのベースプレート25に設けられている。基準ブロック31は、ボルトによりワーク載置具20に締結されている。基準ブロック31は、そのボルトを外すことによって、ワーク載置具20から取り外し可能である。
【0044】
複数の基準ブロック31(31A,31B,31C)は、互いに離れて配置されている。複数の基準ブロック31は、プレート材24が広がる平面内において互いに離れて配置されている。複数の基準ブロック31は、トッププレート27から露出するベースプレート25の周縁部に設けられている。複数の基準ブロック31は、複数の開口部28が設けられる領域(すなわち、複数のワークWが保持される領域)の外側の領域に設けられている。
【0045】
基準ブロック31Aと、基準ブロック31Bおよび基準ブロック31Cとは、プレート材24が有する矩形形状の平面視の長手方向に離れて設けられている。基準ブロック31Bと、基準ブロック31Cとは、プレート材24が有する矩形形状の平面視の短手方向に離れて設けられている。基準ブロック31Aは、プレート材24が有する矩形形状の平面視の短手方向において、基準ブロック31Bおよび基準ブロック31Cの間の中心位置に設けられている。基準ブロック31A、基準ブロック31Bおよび基準ブロック31Cは、二等辺三角形が有する3つの角部にそれぞれ位置している。
【0046】
なお、基準ブロック31がワーク載置具20に着脱可能に設けられる方法は、上記のボルトを用いた方法に限られず、たとえば、クリップまたは嵌め込みを用いた方法であってもよい。また、基準ブロック31A、基準ブロック31Bおよび基準ブロック31Cが設けられる位置は、特に限定されない。しかしながら、上記に説明した構成によれば、基準ブロック31A、基準ブロック31Bおよび基準ブロック31Cを、プレート材24が広がる平面内において互いに大きく離して配置することが可能である。
【0047】
基準ブロック31は、立体である。基準ブロック31は、ベースプレート25から突出する凸形状を有する。本実施の形態では、基準ブロック31は、四角柱のブロックから構成されている。ワーク載置具20がワーク収納エリア151に配置された状態において、基準ブロック31は、Y軸方向に延びる縦と、Z軸方向に延びる横とが、互いに等しい長さとなり、X軸方向に延びる高さが、縦および横の各々よりも大きい長さとなる四角柱形状を有する。
【0048】
なお、基準ブロック31は、上記の四角柱に限られず、たとえば、縦および横の長さが異なる四角柱形状を有してもよい。基準ブロック31は、X軸方向に延びる高さが、縦および横の各々と等しい四角柱形状、または、X軸方向に延びる高さが、縦および横の各々よりも小さい長さとなる四角柱形状を有してもよい。また、基準ブロック31は、円柱形状を有してもよいし、三角柱形状を有してもよい。
【0049】
図4は、
図1中のロボットアームの先端部を示す斜視図である。
図1および
図4を参照して、ロボットアーム165は、可動部171と、ワーク把持部172(172P,172Q)とを有する。
【0050】
可動部171は、移動機構部164からアーム状に延出するロボットアーム165の先端に設けられている。可動部171は、
図4中に示す回動軸181を中心に揺動可能に設けられるとともに、
図4中に示す回転軸182を中心に回転可能に設けられている。
【0051】
可動部171には、ワーク把持部172が設けられている。ワーク把持部172は、ワークを着脱可能に把持するように構成されている。本実施の形態では、同時に2つのワークを把持するために、ワーク把持部172として、ワーク把持部172Pおよびワーク把持部172Qが設けられている。
【0052】
工作機械100(ワーク情報認識システム)は、情報検出部41をさらに有する。情報検出部41は、基準ブロック31の情報を検出するように構成されている。基準ブロック31の情報は、基準ブロック31の大きさ、形状または位置に関する情報を含んでもよい。
【0053】
情報検出部41は、レーザセンサからなる。情報検出部41は、レーザ光を出射する出射部(不図示)と、出射部から出射され、対象物に反射されたレーザ光を受ける受光部(不図示)とを有する。情報検出部41は、受光部におけるレーザ光の受光位置や、レーザ光が出射部から受光部に戻るまでの時間に基づいて、対象物の位置情報を検出することが可能である。
【0054】
情報検出部41は、ワーク搬送部161に固定されている。情報検出部41は、ロボットアーム165に固定されている。情報検出部41は、ロボットアーム165のうちの可動部171に固定されている。情報検出部41は、ワーク把持部172と隣り合って設けられている。このような構成により、ワーク搬送部161の動作に伴って、情報検出部41を空間内で自在に移動させるとともに、情報検出部41の姿勢を自在に変化させることができる。
【0055】
なお、本発明における情報検出部は、基準物体の各種情報を検出可能なものであれば特に限定されず、たとえば、接触式スライラスであってもよい。また、本実施の形態では、情報検出部41がワーク搬送部161に固定される場合を説明したが、これに限られず、たとえば、情報検出部41を移動させるための専用のアクチュエータが設けられてもよい。
【0056】
図5は、ワーク載置具に載置されたワークの情報を認識するための構成を示すブロック図である。
【0057】
図1および
図5を参照して、工作機械100(ワーク情報認識システム)は、制御装置51をさらに有する。制御装置51は、工作機械100に備え付けられる制御盤(コントロールパネル)からなる。制御装置51は、情報検出部41から基準ブロック31の情報を受ける。制御装置51は、記憶部53と、制御部52とを有する。
【0058】
記憶部53は、基準ブロック31の情報と、ワークの情報との関係に関するデータを記憶する。ワークの情報は、ワークの大きさ、加工状態、加工方法または配置に関する情報を含んでもよい。
【0059】
制御部52は、情報検出部41により検出された基準ブロック31の情報を、記憶部53に記憶されたデータに照らし合わせることにより、ワーク載置具20に載置されるワークの情報を認識する。
【0060】
図6は、
図5中の記憶部に記憶されるデータの例を示す表である。
図7は、互いに異なる種類のワークが載置されるワーク載置具の例を示す平面図である。
図8は、互いに異なる種類のワークが載置されるワーク載置具の別の例を示す平面図である。
【0061】
図6から
図8を参照して、記憶部53は、基準ブロック31の大きさ(四角柱形状の基準ブロック31のその平面視における縦および横の長さ)と、ワークWの大きさ(円柱形状のワークWの直径および高さ)との対応関係を記憶してもよい。より具体的には、記憶部53は、基準ブロック31の縦および横の長さL1と、ワークWの直径D1および高さH1とを対応付けて記憶し、基準ブロック31の縦および横の長さL2と、ワークWの直径D2および高さH2とを対応付けて記憶し、基準ブロック31の縦および横の長さL3と、ワークWの直径D3および高さH3とを対応付けて記憶してもよい。
【0062】
この際、
図7中に示すように、基準ブロック31A、基準ブロック31Bおよび基準ブロック31Cの全てが、ワークWの情報を示す大きさを有してもよい。また、
図8中に示すように、基準ブロック31Aが、ワークWの情報を示す大きさを有し、基準ブロック31Bおよび基準ブロック31Cは、後述するプレート材24の傾きを検出するためにのみ用いられてもよい。
【0063】
図9は、
図5中の記憶部に記憶されるデータの別の例を示す表である。
図10は、
図5中の記憶部に記憶されるデータのさらに別の例を示す表である。
【0064】
図9を参照して、記憶部53は、基準ブロック31の形状(基準ブロック31のその平面視における形状)と、ワークWの加工状態および加工方法との対応関係を記憶してもよい。より具体的には、記憶部53は、基準ブロック31の正方形の形状と、ワークWの加工状態が未加工であり、ワークWの加工方法が加工プラグラムHを用いた加工であることとを対応付けて記憶し、基準ブロック31の長方形(縦>横)の形状と、ワークWの加工状態が第1中間加工物であり、ワークWの加工方法が加工プログラムIを用いた加工であることとを対応付けて記憶し、基準ブロック31の長方形(縦<横)の形状と、ワークWの加工状態が第2中間加工物であり、ワークWの加工方法が加工プログラムJを用いた加工であることとを対応付けて記憶してもよい。
【0065】
図10を参照して、記憶部53は、基準ブロック31の位置(基準ブロック31のその平面視における中心の座標)と、ワークWの配置(複数のワークWがワーク載置具20に載置される態様と、各ワークWのその平面視における中心の座標)との対応関係を記憶してもよい。より具体的には、記憶部53は、基準ブロック31の中心座標(X1,Y1,Z1)と、複数のワークWがZ軸方向に4列、Y軸方向に5行並ぶ態様、および、各ワークWの中心座標とを対応付けて記憶し、基準ブロック31の中心座標(X2,Y2,Z2)と、複数のワークWがZ軸方向に6列、Y軸方向に6行並ぶ態様、および、各ワークWの中心座標とを対応付けて記憶し、基準ブロック31の中心座標(X3,Y3,Z3)と、複数のワークWがZ軸方向に7列、Y軸方向に8行並ぶ態様、および、各ワークWの中心座標とを対応付けて記憶してもよい。
【0066】
なお、以上に説明した記憶部53に記憶されるデータは、一例であって、基準ブロック31の情報の内容や、ワークの情報の内容、対応付けられる基準ブロック31の情報とワークの情報との組み合わせは、特に限定されない。
【0067】
図11は、ワーク載置具に載置されたワークの情報を認識するステップを示すフローチャートである。
図12から
図14は、
図11中のワークの情報を認識するステップにおいて、基準ブロックに対するレーザ光の走査方法を示す平面図である。
【0068】
以下、ワーク載置具20に設けられた基準ブロック31(31A,31B,31C)のの情報に基づいて、ワーク載置具20に載置されたワークWの情報を認識するステップについて説明する。
【0069】
図1から
図3および
図11を参照して、まず、複数のワークWをワーク載置具20に載置する(S101)。本ステップでは、複数のワークWを複数の開口部28にそれぞれ挿入する。
【0070】
次に、ワーク載置具20を、ワーク収納エリア151にセッティングする(S102)。本ステップでは、開状態とした引き出し156にワーク載置具20を載置する。引き出し156を閉状態とすることにより、ワーク載置具20をワーク収納エリア151に配置する。
【0071】
図7から
図14を参照して、次に、情報検出部41により、基準ブロック31(31A,31B,31C)の情報を検出する(S103)。
【0072】
本ステップでは、ワーク搬送部161(移動機構部164,ロボットアーム165)を動作させることによって、情報検出部41を基準ブロック31の上方に位置決めする。情報検出部41から下方に向けてレーザ光を出射しながら、ワーク搬送部161を動作させることにより、レーザ光をZ軸方向およびY軸方向の各々に沿って走査する。レーザ光の走査とともに、情報検出部41にてレーザ光の反射光を受ける。このとき、基準ブロック31が存在する位置と存在しない位置との間では、情報検出部41にレーザ光が戻る時間に差が生じる。レーザ光の戻り時間に差が生じたタイミングにおけるワーク搬送部161の動作位置に基づいて、基準ブロック31の大きさ(基準ブロック31のその平面視における縦および横の長さ)と、基準ブロック31の形状(基準ブロック31のその平面視における形状)とを検出する。また、レーザ光の戻り時間と、ワーク搬送部161の動作位置とを合わせて考慮することにより、基準ブロック31の位置(基準ブロック31のその平面視における中心の座標)を検出する。
【0073】
上記レーザ光の走査を、基準ブロック31A、基準ブロック31Bおよび基準ブロック31Cの各々に対して実行する。これにより、基準ブロック31Aのその平面視における中心座標(Xa,Ya,Za)と、基準ブロック31Bのその平面視における中心座標(Xb,Yb,Zb)と、基準ブロック31Cのその平面視における中心座標(Xc,Yc,Zc)とを検出する。
【0074】
本実施の形態では、情報検出部41が、ワーク搬送のためのワーク搬送部161に設けられるため、新たなアクチュエータを追加することなく、情報検出部41を基準ブロック31に向けて移動させることができる。また、基準ブロック31に対する情報検出部41の接近性を良好にできる。
【0075】
次に、制御部52は、基準ブロック31の情報を、記憶部53に記憶されるデータに照らし合わせることによって、ワークWの情報を認識する(S104)。
【0076】
本ステップでは、制御部52が、S103のステップで検出された基準ブロック31の情報を、記憶部53に記憶されるデータに照らし合わせることによって、ワークWの大きさ(
図6)と、ワークWの加工状態および加工方法(
図9)と、ワークWの配置(
図10)とに関する情報を認識する。
【0077】
制御部52は、さらに、基準ブロック31A、基準ブロック31Bおよび基準ブロック31Cの中心座標から、ワーク載置具20におけるプレート材24の傾きを検出する。制御部52は、検出されたプレート材24の傾きに基づいて、ワーク載置具20に載置された各ワークWの位置を補正する。
【0078】
次に、制御部52は、得られたワークの情報に基づいて、ワークの搬送および加工を実行する(S105)。
【0079】
制御部52は、先のステップで認識したワークWの大きさと、ワークWの配置とに関する情報により、複数のワークWがワーク収納エリア151のいずれの空間位置にどのように存在しているかを把握している。このため、制御部52は、ロボットアーム165のワーク把持部172がワークWを把持可能な位置および姿勢に正確に位置決めされるように、ワーク搬送部161を動作させることができる。この際、先のステップにて、プレート材24の傾きに起因したワークWの位置ずれが補正されているため、ワーク載置具20に載置された各ワークWに対してワーク把持部172をさらに精度よく位置決めすることができる。
【0080】
なお、ロボットアーム165によりワークWを把持する際に、情報検出部41にてレーザ光をワークWに向けて出射し、その反射光を受光するステップを実行してもよい。反射光の受光状態が異常である場合にワークWが存在しないと判断することにより、ワーク把持部172によるワークWの空掴みを防ぐことができる。
【0081】
ワーク搬送部161によりワークWをワーク収納エリア151から加工エリア141に移動させたあと、制御部52は、先のステップで認識したワークWの加工状態および加工方法の情報に基づいて、ワークWの加工を実行する。
【0082】
以上に説明した、この発明の実施の形態におけるワーク情報認識システムの構成についてまとめて説明すると、本実施の形態におけるワーク情報認識システムは、ワークを載置可能なワーク載置具20と、ワーク載置具20に着脱可能に設けられる基準物体としての基準ブロック31と、基準ブロック31の情報を検出する情報検出部41と、情報検出部41から基準ブロック31の情報を受ける制御装置51とを備える。制御装置51は、基準ブロック31の情報と、ワークの情報との関係に関するデータを記憶する記憶部53と、情報検出部41により検出された基準ブロック31の情報を、記憶部53に記憶されたデータに照らし合わせることにより、ワーク載置具20に載置されるワークの情報を認識する制御部52とを有する。
【0083】
このように構成された、この発明の実施の形態におけるワーク情報認識システムによれば、基準ブロック31がワーク載置具20に着脱可能に設けられるため、ワーク載置具20に載置されるワークの種類が変更になった場合には、
ワーク載置具20に設けられる基準ブロック31を、そのワークに対応する基準ブロック31に取り換えればよい。このため、ワークの種類の変更に容易に対応することができる。
【0084】
図15および
図16は、
図12中に示す基準ブロックの各種変形例を示す平面図である。
図15を参照して、本変形例では、ワーク載置具20に、
図12中の基準ブロック31に替えて、基準ブロック36および基準ブロック37が設けられている。
【0085】
基準ブロック36は、Z軸方向に沿って延びる長尺形状を有する。基準ブロック36は、Z軸方向に延びるワーク載置具20(プレート材24)の端辺に沿って設けられている。基準ブロック37は、Y軸方向に沿って延びる長尺形状を有する。基準ブロック37は、Z軸方向に沿って延びるワーク載置具20(プレート材24)の端辺に沿って設けられている。
【0086】
このような構成において、
図11中のS103のステップ時、情報検出部41から基準ブロック36に向けてレーザ光を出射しながら、ワーク搬送部161を動作させることにより、レーザ光を基準ブロック36の長手方向(Z軸方向)および短手方向(Y軸方向)の各々に沿って走査する。これにより、基準ブロック36の長手方向における一方端36pおよび他方端36qの座標を検出する。また、情報検出部41から基準ブロック37に向けてレーザ光を出射しながら、ワーク搬送部161を動作させることにより、レーザ光を基準ブロック37の長手方向(Y軸方向)および短手方向(Z軸方向)の各々に沿って走査する。これにより、基準ブロック37の長手方向における一方端37pおよび他方端37qの座標を検出する。
【0087】
図11中のS104のステップ時、制御部52は、基準ブロック36の一方端36pおよび他方端36qの座標と、基準ブロック37の一方端37pおよび他方端37qの座標とから、ワーク載置具20におけるプレート材24の傾きを検出する。
【0088】
図16を参照して、本変形例では、ワーク載置具20に、
図12中の基準ブロック31に替えて、基準ブロック38が設けられている。基準ブロック38は、
図15中の基準ブロック36と基準ブロック37とが、ワーク載置具20(プレート材24)の角部で繋がった形状を有する。
【0089】
本変形例においても、レーザ光を、基準ブロック36の部分と基準ブロック37の部分とに、Y軸方向およびZ軸方向に沿って走査することにより、ワーク載置具20におけるプレート材24の傾きを検出する。
【0090】
このように、プレート材24の傾きを検出するに際しては、必ずしも3つの基準ブロックが必要ではなく、2つの基準ブロック36,37を用いてもよいし、1つの基準ブロック38を用いてもよい。また、4つ以上の基準ブロックを用いて、プレート材24の傾きを検出してもよい。
【0091】
なお、本実施の形態では、基準ブロックをワーク載置具20のうちのプレート材24に設ける場合を説明したが、基準ブロックをワーク載置具20のうちのトレイ21に設けてもよい。
【0092】
また、本発明における基準物体は、上記の立体である基準ブロックに限定されず、たとえば、シート状のミラーであってよい。基準物体を立体である基準ブロックとした場合、基準物体の耐久性を向上させることができる。基準物体をシート状のミラーとした場合、基準物体の設置場所の自由度を上げることができる。
【0093】
本発明におけるワーク情報認識システムは、工作機械に限られず、たとえば、ワーク測定装置やワーク洗浄装置などの各種のワーク処理装置に適用されてもよい。
【0094】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。