(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の断熱ボードは、前記冷凍装置の背面側から見た場合に、前記第2の断熱ボードの背後に隠れて前記カスケードコンデンサが見えなくなる大きさ及び形状を有している
請求項2、又は、請求項2を引用する場合の請求項3乃至11のいずれかに記載の冷凍装置。
前記第3の断熱ボードは、前記冷凍装置の側面側から見た場合に、前記第3の断熱ボードの背後に隠れて前記カスケードコンデンサが見えなくなる大きさ及び形状を有している
請求項4、又は、請求項4を引用する場合の請求項5乃至13のいずれかに記載の冷凍装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は一例であり、本発明はこの実施形態により限定されるものではない。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る冷凍装置の背面図である。冷凍装置1は、機械収納部2と、その上方に設けられた本体3を備える。
【0016】
機械収納部2の内部には、冷凍回路60(
図2参照)を構成する各種機器及び制御部が配置されている。冷凍回路60及び冷凍回路60を構成する各種機器については後に詳細に説明する。
【0017】
本体3の背面には、第1カスケードコンデンサ616(後述)及び第2カスケードコンデンサ626(後述)等が配置されるカスケードコンデンサ配置部39(後述)が設けられているとともに、カスケードコンデンサ配置部39を塞ぐ蓋31が取り付けられている。
【0018】
図2は、冷凍回路60を構成する主な機器を示す回路図である。冷凍回路60は、互いに独立して冷媒が循環する第1冷凍回路610及び第2冷凍回路620を有する。第1冷凍回路610と第2冷凍回路620は、両方を同時に作動させることができる。また、省エネやメンテナンスを目的として、第1冷凍回路610と第2冷凍回路620の何れか一方のみを作動させることも可能である。
【0019】
第1冷凍回路610は、第1圧縮機611と、第1プレコンデンサ612及び第1コンデンサ613と、気液を分ける第1分流器614と、第1補助減圧器615及び第1カスケードコンデンサ616と、第1減圧器617及び第1蒸発器管618とを備える。第1圧縮機611から吐出された冷媒(第1冷媒)が再び第1圧縮機611に戻るように上記各機器が所定の配管(第1配管)で接続されている。第1冷凍回路610には例えば4種類の冷媒を有する非共沸混合冷媒(以後、単に「冷媒」と称する)が封入されている。
【0020】
また、第1冷凍回路610は、第1オイルクーラ611aを第1圧縮機611内のオイル溜りに備え、第1環状配管611bを第1プレコンデンサ612及び第1オイルクーラ611aの間に備える。
【0021】
第1圧縮機611は、吸込んだ冷媒を圧縮して第1プレコンデンサ612に吐出する。
【0022】
第1プレコンデンサ612は、第1圧縮機611から吐出される冷媒を放熱させるための例えば銅又はアルミニウム製の管を蛇行させたものである。
【0023】
第1コンデンサ613は、第1プレコンデンサ612から出力される冷媒を更に放熱させるための例えば銅又はアルミニウム製の管を蛇行させたものである。
【0024】
これら第1プレコンデンサ612及び第1コンデンサ613は、例えば同じ管板に一体に構成されている。なお、第1プレコンデンサ612及び第1コンデンサ613近傍には、第1プレコンデンサ612及び第1コンデンサ613に同時に送風を行うことができるように、第1共用ファン619が配置されている。
【0025】
第1分流器614は、第1コンデンサ613から出力される冷媒を、液相の冷媒と、気相の冷媒とに分流する。分流後、液相の冷媒は第1補助減圧器615(例えばキャピラリチューブ)にて減圧された後、第1カスケードコンデンサ616の第1外側管616aで蒸発する。
【0026】
第1カスケードコンデンサ616は、第1外側管616a及び第1内側管616bを有する例えば銅又はアルミニウム製の2重管である。第1内側管616bには第1分流器614からの気相冷媒が流れる。第1外側管616aでは液相冷媒が蒸発して第1内側管616bを流れる気相冷媒を冷却する。
【0027】
第1減圧器617(例えばキャピラリチューブ)は、第1カスケードコンデンサ616の第1内側管616bで冷却され液相となった冷媒を減圧し、第1蒸発器管618に出力する。
【0028】
第1蒸発器管618は、第1減圧器617によって減圧された冷媒を蒸発させるための例えば銅又はアルミニウム製の管であり、本体3を構成する内箱35(
図3参照)の開口を除く外面に熱的に接触するように貼付されている。第1蒸発器管618は後述する第2蒸発器管628とともに蒸発器管38を構成する。
【0029】
冷媒が第1蒸発器管618で蒸発(気化)する際の冷却作用によって内箱35内が冷却される。第1蒸発器管618で蒸発して気相となった冷媒は、第1カスケードコンデンサ616にて先の蒸発した冷媒と合流し、共に第1圧縮機611に吸い込まれる。
【0030】
第2冷凍回路620は、第1冷凍回路610と同様の構成を有している。すなわち、第2圧縮機621と、第2プレコンデンサ622及び第2コンデンサ623と、気液を分ける第2分流器624と、第2補助減圧器625及び第2カスケードコンデンサ626と、第2減圧器627及び第2蒸発器管628とを備える。第2圧縮機621から吐出された冷媒(第2冷媒)が再び第2圧縮機621に戻るように上記各機器が所定の配管(第2配管)で接続されている。第2冷凍回路620には第1冷凍回路610と同様の冷媒が封入されている。
【0031】
また、第2冷凍回路620は、第1冷凍回路610と同様に、第2オイルクーラ621aと、第2環状配管621bとを備える。第2カスケードコンデンサ626は、第2外側管626a及び第2内側管626bを有する。
【0032】
なお、第2プレコンデンサ622及び第2コンデンサ623は、例えば同じ管板に一体に構成されている。なお、第2プレコンデンサ622及び第2コンデンサ623近傍には、第2プレコンデンサ622及び第2コンデンサ623に同時に送風を行うことができるように、第2共用ファン629が配置されている。
【0033】
また、第1環状配管611b及び第2環状配管621bは、本体3の開口の周囲に設けられる。この開口の周囲の部分は、結露や霜付きが発生しやすい部分である。しかしながら、第1環状配管611b及び第2環状配管621bには比較的高温の冷媒が供給されるため、本体3の開口の周囲の部分を加温することができ、結露や霜付きの発生を防止することができる。
【0034】
以上のように構成された冷凍装置1においては、第1冷凍回路610及び/又は第2冷凍回路620によって、具体的には、第1蒸発器管618及び/又は第2蒸発器管628の内部を流れる冷媒によって、冷却室32(後述)が冷却される。
【0035】
図1のIII−III断面矢視図を
図3に示す。本体3は、前方が開口した鉄板製の内箱35と、内箱35の外側に内箱35と間隔を空けて配置され、前方が開口した鉄板製の外箱36と、内箱35と外箱36との間の空間に充填された断熱材37とを備える。断熱材37は、ムース状の液体で供給された後に固化して多数の独立気泡を有するスポンジ状となった樹脂、例えば発泡ウレタンで作られている。内箱35の内部には被冷却物が収納される冷却室32が形成されている。外箱36には、ヒンジ33(
図1参照)を介して、扉34が開閉可能に取り付けられている。なお、扉34は任意の断熱部材を鉄板で取り囲んだ構造となっている板状部材である。第1環状配管611b及び第2環状配管621bは図示が省略されている。
【0036】
図4は、背面側下方から見た内箱35の斜視図である。
図4に示されるように、内箱35の外面には、蒸発器管38を構成する第1蒸発器管618及び第2蒸発器管628が、内箱35すなわち
図3に示される冷却室32を取り囲むように張り巡らされている。第1蒸発器管618及び第2蒸発器管628はそれぞれ複数の直管部383を有している。
【0037】
第1蒸発器管618及び第2蒸発器管628は、内箱35の外面、具体的には、下面351、右側面352、背面353、左側面(不図示)及び上面(不図示)に沿って、これらの面に接触するように配設されている。第1蒸発器管618及び第2蒸発器管628は、例えば、片面に粘着層が設けられたアルミニウム等の金属製のテープ(不図示)によって、内箱35の外面に取り付けられている。第1蒸発器管618は第1蒸発器管入口618a及び第1蒸発器管出口618bを有する。また、第2蒸発器管628は第2蒸発器管入口628a及び第2蒸発器管出口628bを有する。
【0038】
再び
図3を参照する。
図3に示されるように、本体3の背面には、カスケードコンデンサ配置部39が設けられている。カスケードコンデンサ配置部39は、内箱35の外側且つ外箱36の内側となる位置に設けられている。また、カスケードコンデンサ配置部39は、内箱35と外箱36との間に充填された断熱材37によって上下左右が取り囲まれている。
【0039】
カスケードコンデンサ配置部39は、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626が載置される載置部(不図示)を有する。カスケードコンデンサ配置部39には、第1蒸発器管入口618a、第1蒸発器管出口618b、第2蒸発器管入口628a及び第2蒸発器管出口628bが配置される。また、第1減圧器617及び第2減圧器627が配置される。第1蒸発器管入口618aは、第1減圧器617を介して第1カスケードコンデンサ616(第1内側管616b)に接続される。第1蒸発器管出口618bは、第1カスケードコンデンサ616(第1外側管616a)を介して第1圧縮機611に接続される。第2蒸発器管入口628aは、第2減圧器627を介して第2カスケードコンデンサ626(第2内側管626b)に接続される。第2蒸発器管出口628bは、第2カスケードコンデンサ626(第2外側管626a)を介して第2圧縮機621に接続される。
【0040】
また、本実施形態に係る冷凍装置1においては、外箱36に穴361が設けられている。穴361が設けられる位置は、カスケードコンデンサ配置部39の背面側に相当する位置である。
【0041】
カスケードコンデンサ配置部39には、内箱35側から外箱36側に向かって順に、蒸発器管38の一部、断熱ボード51、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626が配置される。断熱ボード51は例えば粘着テープ(不図示)によって内箱35の背面353に固定される。第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626は左右に並置される。機器が配置された後、蓋31によってカスケードコンデンサ配置部39は塞がれる。なお、蓋31は外箱36に対して図示しないボルト等によって着脱自在に取り付けられており、第1カスケードコンデンサ616又は第2カスケードコンデンサ626のメンテナンスが行われる際には取り外される。また、蓋31は任意の断熱部材を鉄板で取り囲んだ構造となっている板状部材である。
【0042】
断熱ボード51は、予め工場等において公知の方法によって成形された、内部に多数の独立気泡を有する樹脂製の板部材であり、例えば硬質ポリウレタン製である。なお、断熱ボード51は、十分な断熱性と、自身の板形状を維持できる剛性を備える部材であればどのようなものであっても良く、例えば、芯材にガラス繊維が入っている部材であるいわゆる真空断熱材、又は真空断熱材と十分な剛性を有する板部材を積層した部材であってもよい。
【0043】
断熱ボード51は、カスケードコンデンサ配置部39に断熱ボード51と、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626とを配置し、冷凍装置1の正面側からこれらを見た場合に、断熱ボード51の背後に隠れて第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626が見えなくなる大きさ及び形状を有している。よって、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626と蒸発器管38との間における熱伝達に断熱ボード51を介在させ、当該熱伝達を確実に低減させることができる。
【0044】
断熱ボード51の厚さは10mm以上20mm以下とすることが好ましい。厚さを10mm以上とすることで、十分に大きな断熱性及び機械的強度(剛性)を得ることができる。また、20mm以下とすることにより、内箱35と外箱36との間の空間(カスケードコンデンサ配置部39)に占める厚み方向の割合を比較的小さくすることができ、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626を配置するためのスペースを十分に確保することができる。なお、真空断熱材を用いる場合は、厚さが1mm程度あれば、十分な断熱性を得ることができる。
【0045】
また、断熱ボード51の熱伝導率は、十分な断熱性能を得るために、0.050W/(m・K)以下であることが好ましく、0.030W/(m・K)以下であることがより好ましく、0.024W/(m・K)以下であることが更に好ましい。
【0046】
なお、断熱材37の充填は、蒸発器管38が取り付けられた内箱35と外箱36とが、間隔を空けて配置されるとともに、蒸発器管38の外箱36側に断熱ボード51が配置された後に行われることが好ましい。そうすることによって、断熱ボード51の上下左右の空間を隙間なく断熱材37で充填し、カスケードコンデンサ配置部39周りの断熱性を高めることができる。
【0047】
以上のように構成されている本実施形態に係る冷凍装置1においては、冷凍回路60中の冷媒は蒸発器管38において蒸発し、蒸発器管38の周囲は超低温となる。よって、内箱35を介して蒸発器管38に取り囲まれている冷却室32を低温にすることができる。また、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626と蒸発器管38との間における熱伝達は断熱ボード51によって妨げられる。よって、冷凍装置1の性能を向上させることができる。
【0048】
ここで、参考例の冷凍装置と比較しながら、本実施形態に係る冷凍装置1が奏する作用、効果について更に詳しく説明する。
【0049】
図5は、参考例に係る冷凍装置1の水平断面図である。参考例に係る冷凍装置1においては、ムース状の液体で供給された後に固化して多数の独立気泡を有するスポンジ状となった断熱材37が、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626と蒸発器管38との間に充填されている。断熱材37の充填は、
図5に示されるように、フィルムシート71と、カスケードコンデンサ配置部39に対応した形状を有するとともに断熱材37の充填時にのみ配置される治具72とが、カスケードコンデンサ配置部39に配置された状態で行われる。なお、
図4は、参考例に係る冷凍装置1の製造途中の様子を示す図であるため、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626は図示されていない。これら2つのカスケードコンデンサは、治具72が取り外された後、
図3に示される実施形態の場合と同様に、カスケードコンデンサ配置部39に配置される。
【0050】
参考例に係る冷凍装置1は、製造時にフィルムシート71と蒸発器管38との間に十分な量の断熱材37が充填されることが望まれるが、治具72と蒸発器管38及び内箱35との間隔が狭くなっている。また、参考例に係る冷凍装置1は、治具72と蒸発器管38及び内箱35との間の部分の面積が大きくなっている(言い換えると、断熱材37が進入する距離が長くなっている)。そのため、
図5に示されるように、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626(いずれも不図示)と蒸発器管38との間には、断熱材37がない無充填部分371や、断熱材37が薄い充填不足部分372といった不具合が充填のばらつきによって生じる。したがって、参考例に係る冷凍装置1においては、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626と蒸発器管38との間における熱伝達を十分に低減させることができない。
【0051】
これに対し、本実施形態に係る冷凍装置1においては、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626と蒸発器管38との間に、貫通孔や薄い部分がない断熱ボード51が配置されている。したがって、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626と、蒸発器管38との間における熱伝達を効果的に低減することができる。本実施形態に係る冷凍装置1によれば、カスケードコンデンサ配置部39の大きさ、すなわち、配置されるカスケードコンデンサの数や大きさに関わらず、また、断熱材37の充填不足時の不具合の恐れなく、熱伝達低減効果を得ることができる。
【0052】
また、
図6Aは、
図5中のVIa−VIa断面矢視図であり、カスケードコンデンサ配置部39の周囲を示す図である。
図6Aに示されるように、参考例に係る冷凍装置1においては、無充填部分371や充填不足部分372が存在する。そのため、輸送時や製造時等に冷凍装置1に振動又は衝撃が加わり、カスケードコンデンサ配置部39を取り囲む断熱材37に
図6A中に矢印で示されるような力が加わると、断熱材37が変形し、
図6Bに示すように、割れ373が生じる恐れがある。割れ373が生じると断熱材37の断熱性能が更に低下するので、冷凍装置1の性能は更に低下してしまう。また、低温となる蒸発器管38と断熱材37の外側とが割れ373を介して連通してしまうので、蒸発器管38の周囲で結露が発生する恐れが高くなる。結露した水は周辺の金属製の部材の腐食や樹脂製の部材の加水分解を引き起こす恐れがある。
【0053】
これに対し、本実施形態に係る冷凍装置1においては、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626と蒸発器管38との間に、断熱ボード51が配置されている。断熱ボード51は貫通孔や薄い部分がない上に、剛性が高い。しかも、
図3のVIc−VIc断面矢視図(但し、カスケードコンデンサ配置部39の周辺)である
図6Cに示されるように、充填された断熱材37と、断熱ボード51とは密着しており、それらの間に隙間はない。よって、輸送時や製造時等に冷凍装置1に振動又は衝撃が加わり、
図6Cに矢印で示されるような力がカスケードコンデンサ配置部39を取り囲む断熱材37に加わっても、断熱材37が変形し、割れてしまう恐れはない。すなわち、断熱ボード51によって、断熱材37の機械的強度を高めることができる。ひいては、断熱材37が割れることに起因する冷凍装置1の性能低下や部材の劣化を確実に防止することができる。
【0054】
なお、本実施形態に係る冷凍装置1において、冷凍回路60及び冷凍回路60を構成するカスケードコンデンサの数は、2つずつでなくても良いことは勿論であり、1つずつであっても良いし、3つずつ以上であっても良い。
【0055】
(第2の実施形態)
次に、
図7を参照しながら、第2の実施形態について、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図7は本実施形態に係る冷凍装置1の水平断面図である。本実施形態に係る冷凍装置1を構成する第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626は、組み立て後のメンテナンスを必要としない。そのため、外箱36は穴361(
図2参照)を有していない。したがって、第1の実施形態に係る冷凍装置1が有している蓋31を本実施形態に係る冷凍装置1は有していない。
【0056】
第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626と外気との間における熱伝達、ひいては冷凍装置1の性能低下を防止するためには、これらのカスケードコンデンサと外箱36との間に何らかの断熱体を配置する必要がある。
【0057】
そこで、本実施形態においては、
図7に示されるように、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626と外箱36との間に、第2の断熱ボード52が配置されている。よって、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626と外箱36との間の距離を比較的小さくしつつ、十分な断熱性を得ることができる。よって、冷凍装置1の奥行きを小さくすることができる。したがって、冷凍装置1の設置に必要なスペースを小さくすることによって、設置の自由度が増すとともに、輸送や保管時に必要となるスペースも小さなものとすることができる。
【0058】
第2の断熱ボード52は、カスケードコンデンサ配置部39に第2の断熱ボード52と、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626とを配置し、冷凍装置1の背面側からこれらを見た場合に、第2の断熱ボード52の背後に隠れて第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626が見えなくなる大きさ及び形状を有している。よって、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626と外気との間における熱伝達に第2の断熱ボード52を介在させ、当該熱伝達を確実に低減させることができる。
【0059】
第2の断熱ボード52の厚さは10mm以上20mm以下とすることが好ましい。10mm以上とすることで、十分に大きな断熱性及び機械的強度(剛性)を得ることができる。また、20mm以下とすることにより、内箱35と外箱36との間の空間(カスケードコンデンサ配置部39)に占める厚み方向の割合を比較的小さくすることができる。なお、真空断熱材を用いる場合は、厚さが1mm程度あれば、十分な断熱性を得ることができる。
【0060】
また、第2の断熱ボード52の熱伝導率は、十分な断熱性能を得るために、0.050W/(m・K)以下であることが好ましく、0.030W/(m・K)以下であることがより好ましく、0.024W/(m・K)以下であることが更に好ましい。
【0061】
なお、断熱材37の充填は、蒸発器管38が取り付けられた内箱35と外箱36とが、間隔を空けて配置されるとともに、蒸発器管38の外箱36側に断熱ボード51、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626、並びに、第2の断熱ボード52が配置された後に行われることが好ましい。そうすることによって、断熱ボード51、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626、並びに、第2の断熱ボード52それぞれの上下左右の空間を隙間なく断熱材37で充填し、カスケードコンデンサ配置部39周りの断熱性を高めることができる。
【0062】
以上のように構成されている本実施形態に係る冷凍装置1においては、冷凍回路60中の冷媒は蒸発器管38において蒸発し、蒸発器管38の周囲は超低温となる。よって、内箱35を介して蒸発器管38に取り囲まれている冷却室32の内部を低温にすることができる。また、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626と蒸発器管38との間における熱伝達は断熱ボード51によって妨げられる。更に、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626と外気との間における熱伝達は第2の断熱ボード52によって妨げられる。よって、冷凍装置1の性能を向上させることができる。
【0063】
なお、第2の断熱ボード52も、第1の断熱ボード51と同様、断熱材37の機械的強度を高める効果を奏するものである。
【0064】
(第3の実施形態)
次に、
図8を参照しながら、第3の実施形態について、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図8は本実施形態に係る冷凍装置1の水平断面図である。本実施形態に係る冷凍装置1においては、カスケードコンデンサ配置部39内に、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626が左右に並置されている。
【0065】
第1冷凍回路610と、第2冷凍回路620との間で到達目標温度又は冷媒流量等の運転条件が異なると、第1カスケードコンデンサ616の内部を流れる冷媒の温度と、第2カスケードコンデンサ626の内部を流れる冷媒の温度が異なることとなる。その場合、第1カスケードコンデンサ616と第2カスケードコンデンサ626との間で熱伝達が生じる恐れがある。そのような熱伝達が生じると、冷凍装置1の性能が低下する恐れがある。
【0066】
そこで、本実施形態に係る冷凍装置1においては、第1カスケードコンデンサ616と第2カスケードコンデンサ626との間に、第3の断熱ボード53が配置されている。よって、第1カスケードコンデンサ616と第2カスケードコンデンサ626との間における熱伝達を低減させ、冷凍装置1の性能を向上させることができる。
【0067】
第3の断熱ボード53は、カスケードコンデンサ配置部39に第3の断熱ボード53と、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626とを配置し、側面側からこれらを見た場合に、第3の断熱ボード53の背後に隠れて一方のカスケードコンデンサが見えなくなる大きさ及び形状を有している。よって、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626の間における熱伝達に第3の断熱ボード53を介在させ、当該熱伝達を確実に低減させることができる。
【0068】
第3の断熱ボード53の厚さは10mm以上とすることが好ましい。厚さを10mm以上とすることで、十分に大きな断熱性及び機械的強度(剛性)を得ることができる。なお、真空断熱材を用いる場合は、厚さが1mm程度あれば、十分な断熱性を得ることができる。
【0069】
また、第2の断熱ボード52の熱伝導率は、十分な断熱性能を得るために、0.050W/(m・K)以下であることが好ましく、0.030W/(m・K)以下であることがより好ましく、0.024W/(m・K)以下であることが更に好ましい。
【0070】
なお、本実施形態に係る冷凍装置1においては、カスケードコンデンサは3つ以上配置されていても良い。その場合、複数のカスケードコンデンサの間それぞれに第3の断熱ボード53を配置することが好ましい。そうすることによって、複数のカスケードコンデンサそれぞれの間における熱伝達を確実に低減させることができる。
【0071】
(第4の実施形態)
次に、
図9を参照しながら、第4の実施形態について、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図9は背面側下方から見た内箱35の斜視図である。また、
図9には、冷凍装置1に組み付けられる前の断熱ボード51と、直管部規制部材54が示されている。なお、
図9中には、組み付け後の直管部規制部材54も破線で示されている。
【0072】
蒸発器管38は、内箱35の背面353において、互いに平行且つ均等間隔とされた複数本の直管部383(第1蒸発器管618の一部及び第2蒸発器管628の一部)を有している。本実施例に係る冷凍装置1においては、上方に配置された直管部383同士の間隔は、下方に配置された直管部383同士の間隔よりも狭い。複数本の直管部383のうち、第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626と断熱ボード51を介して対向する2本の対向直管部384は、内箱35と図示しない第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626の間、すなわち、内箱35と断熱ボード51との間に配置されている。
【0073】
また、本実施形態に係る冷凍装置1は、直管部383の位置を規制する部材である直管部規制部材54を3つ有している。これらの直管部規制部材54は互いに同じ寸法の正面視長方形の板状部材であり、その厚さは直管部383の外径とほぼ等しく、例えば10mmである。直管部規制部材54は、直管部383の位置を規制することができる剛性を有する。
【0074】
本実施形態に係る冷凍装置1においては、直管部規制部材54が直管部383同士の間に隔離されるようにタイリング配置され、例えば粘着テープ等によって、内箱35の背面353の所定位置に固定される。よって、直管部383を所定の位置に互いに等間隔に配置することが容易にできる。したがって、図示しない冷却室32内を均等に冷却することができる。なお、直管部規制部材54の数が3つに限られないことは勿論である。
【0075】
また、直管部規制部材54を構成する部材は、内箱35すなわち冷却室32と第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626との間における熱伝達を低減できる断熱体、例えば、断熱ボード51と同じ構造を有する部材で構成することが好ましい。そのように構成すれば、冷却対象である冷却室32と第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626との間における熱伝達を低減させ、冷凍装置1の性能を向上させることができる。
【0076】
なお、本実施形態においては、断熱ボード51は、対向直管部384及び直管部規制部材54を覆うように配置される。
【0077】
本実施形態に係る冷凍装置1が備える断熱ボード51の変形例を
図10に示す。
図10に示される断熱ボード51は、突出部55を3つ有している。言い換えると、溝56を2つ有している。これらの突出部55は、直管部規制部材として機能する。すなわち、これらの突出部55は、断熱ボード51から
図9に示される直管部383同士の間に向けて突出し、隣接する直管部383の位置を規制する。言い換えると、溝56に対向直管部384が挿入されることによって、対向直管部384を含む直管部383の位置が規制される。よって、このような断熱ボード51によれば、直管部383を所定の位置に規制し、図示しない冷却室32内を均等に冷却することができる。また、このような断熱ボード51によれば、タイリング配置に比べて断熱ボード51の溝56と直管部383との間の隙間が小さくなる。よって、冷却対象である冷却室32と第1カスケードコンデンサ616及び第2カスケードコンデンサ626との間における熱伝達を低減させ、冷凍装置1の性能をより向上させることができる。しかも、このような断熱ボード51は、
図9に示されるように直管部規制部材54と断熱ボード51とが別体である場合と比較して、一部材であるが故に設置作業が簡便に行えるという利点を有している。
【0078】
また、断熱ボード51は、直管部383に押しつけられた時に直管部383の形状に応じて容易に変形するクッション材のような板状部材が、剛性を有する板状部材に積層されて構成された部材であっても良い。
【0079】
本発明に係る冷凍装置が上述した各実施形態に限られず、種々の変更が可能なことは勿論である。例えば、第2の断熱ボード52、第3の断熱ボード53及び直管部規制部材54のいずれか2つ以上を併用するものであっても良い。
【0080】
2017年5月23日出願の特願2017−101960の日本出願に含まれる明細書、特許請求の範囲、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。