(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記各ガイド手段を駆動する駆動力を、前記各平行リンク機構に同期して伝達すると共に、前記各ガイド手段を等距離ずつ前記幅方向に接近離間させる同期リンクを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の紙葉類整列装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0011】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔紙幣取扱装置〕
本発明の実施形態に係る紙幣整列装置が装備される紙幣取扱装置について
図8を参照して説明する。
図8は、紙幣整列装置周辺の装置構成を示す平面図である。
紙幣整列装置1(紙葉類整列装置)は、例えば電鉄の駅に設置される券売機(自動販売機)等の紙幣取扱装置200に装備される。紙幣取扱装置200は、紙幣の受入れ処理、及び釣銭等としての紙幣の払出し処理等を行う。
紙幣取扱装置200は紙幣整列装置1の搬送方向上流側に上流側搬送路201を、搬送方向下流側に下流側搬送路206を備えている。上流側搬送路201と下流側搬送路206は、搬送方向に伸びる無端状の搬送ベルトを張架するローラ202、207を夫々備えている。ローラ202、207は、搬送ベルトを介して紙幣に所定のグリップ力を与えることで紙幣を搬送方向に沿って斜行させることなく搬送する。
下流側搬送路206内には、例えば、紙幣の真贋及び金種を識別する識別センサとして、紙幣の幅方向の特定位置における磁気出力を検知する磁気センサや、紙幣の幅方向全域の画像を取得する画像取得手段であるスキャナ(ラインセンサ)等が配置される。これらの識別センサを用いて夫々の紙幣を高精度に識別するためには、紙幣を搬送路の幅方向の所定位置に位置決めすると共に、紙幣を搬送路に沿った姿勢に矯正した状態にて整列搬送して、判定に必要な出力を安定して得られるようにする必要がある。
【0012】
〔紙幣整列装置の概略構成〕
本発明の実施形態に係る紙幣整列装置の概略構成について
図5の斜視図を参照して説明する。紙幣整列装置は、搬送中の紙幣(紙葉類)を搬送路の幅方向の所定位置に整列させる装置である。
紙幣整列装置1は、紙幣を搬送する搬送路11を形成する搬送機構10と、搬送機構10によって搬送される紙幣を搬送路11の幅方向中央部に整列させるセンタリング機構40と、搬送中の紙幣を紙幣整列装置1外に強制的に排出して紙幣整列装置1内での紙幣詰まりを防止する強制排出機構90とを備えている。
センタリング機構40と強制排出機構90は、紙幣整列装置1内で互いに干渉しない位置に配置される。例えば、センタリング機構40は搬送される紙幣の一面側に配置され、強制排出機構90は搬送される紙幣の他面側に配置される。本実施形態においては、センタリング機構40が紙幣の下面側(搬送路11の下方)に配置され、強制排出機構90が紙幣の上面側(搬送路11の上方)に配置される例により説明する。
なお、以下の説明において、搬送方向とは紙幣整列装置の搬送路に沿った方向をいい、幅方向とは搬送路において搬送方向と直交する方向をいう。また、上下方向とは、搬送方向と幅方向の双方に直交する方向をいう。
【0013】
以下、夫々の機構について説明する。
〔搬送機構〕
まず、紙幣整列装置1における紙幣の搬送機構10について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、センタリング機構を説明する為の紙幣整列装置の三面図である。
図2は、センタリング機構を説明する為の紙幣整列装置の斜視図である。
搬送機構10は、搬送路11の上側を構成する上側搬送部13と、搬送路11の下側を構成する下側搬送部23と、を備える。
上側搬送部13は、搬送路11に並行に伸びると共に紙幣の搬送方向に走行する無端状の上側搬送ベルト15と、上側搬送ベルト15を張設する一対の搬送ローラ17、17と、搬送ローラ17、17の間に配置された補助ローラ19、19を備える。
下側搬送部23は、搬送路11の長手方向に並行に伸びると共に紙幣の搬送方向に走行する無端状の下側搬送ベルト25と、下側搬送ベルト25を張設する一対の搬送ローラ27、27と、搬送ローラ27、27の間に配置された補助ローラ29、29を備える。
図示する搬送機構10において、上側搬送ベルト15と下側搬送ベルト25とは搬送路11の幅方向中央部に一対が配置されているが、幅方向に複数対を備えてもよい。
【0014】
対向する上側搬送ベルト15と下側搬送ベルト25との間には、搬送路11内に紙幣が進入したときに紙幣の幅方向への移動を許容し、且つ折り癖や反り癖の付いた紙幣を、紙幣ジャムを発生させることなく下流へと搬送可能な程度の隙間が形成されている。また、
図8(c)に示すように、上流側搬送路201のローラ202の回転軸と、下流側搬送路206のローラ207の回転軸との間の距離は、紙幣Sの搬送方向長よりも長くなるように設定されている。搬送路11では、紙幣をグリップせずに搬送することによって、紙幣の整列と搬送を両立させている。
【0015】
〔センタリング機構〕
センタリング機構について
図1及び
図2に基づいて説明する。なお、
図1及び
図2においては、紙幣整列装置のうち強制排出機構の描画を省略している。また、
図2は、紙幣整列装置をセンタリング機構が配置された側(下側)から観察した図である。
センタリング機構40は、紙幣整列装置1内を搬送される紙幣の幅方向中心を、搬送路11の幅方向中心に略整合させる装置である。センタリング機構40は、搬送路11の幅方向両側部に配置され、搬送方向と並行に伸びる一対の可動ガイド41、41(ガイド手段)と、可動ガイド41、41を進退させるリンク機構50と、リンク機構50を駆動する駆動手段80とを備える。
【0016】
<可動ガイド>
図1の正面図及び
図2に示すように、可動ガイド41、41の対向面には、紙幣の幅方向各端縁を夫々受け入れてガイドする凹所43、43が搬送方向に沿って形成されている。搬送路11の幅方向に沿った方向における可動ガイド41、41の断面形状は概略角U字形状である。
紙幣が搬送路11内を搬送されているときに、可動ガイド41、41は、互いに略平行な姿勢を維持したまま接近移動して、紙幣の幅方向端部を凹所43、43内に受け入れることにより、搬送中の紙幣の姿勢を搬送方向に沿った姿勢に矯正すると共に、紙幣を搬送路11の幅方向中央部に位置決めする。
ここで、2つの可動ガイド41、41は、搬送路11の幅方向中央部を搬送方向に伸びる仮想的な軸線Xに対して線対称な位置に配置されており、且つ、2つの可動ガイド41、41の形状は軸線Xに対して線対称な形状である。
可動ガイド41、41には、搬送方向の上流側と下流側に夫々接続片45(接続片45a、45b)が外方に突出形成されている。接続片45にはリンク機構50が接続される。
【0017】
<リンク機構>
リンク機構50は、駆動手段80からの駆動力を可動ガイド41、41に伝達し、可動ガイド41、41を幅方向に進退させる。
リンク機構50は、夫々の可動ガイド41、41を、搬送方向に沿った姿勢を維持したまま幅方向に進退させる平行リンク機構51、51と、各平行リンク機構51、51に対して駆動力を同期して伝達すると共に、各平行リンク機構51、51を介して可動ガイド41、41を等距離ずつ幅方向に接近離間させる同期リンク71、71と、を備える。
ここで、リンク機構50は、搬送路11の幅方向中央部を搬送方向に沿って伸びる仮想的な軸線Xに対して線対称に配置されており、リンク機構50は軸線Xに対して線対称に動作する。
【0018】
<<平行リンク機構>>
平行リンク機構51は、ガイド手段41、41よりも、搬送路11の幅方向の外側に配置されている。図示する平行リンク機構51は、いわゆる平行四辺形リンク機構であり、互いに平行に配置され、且つ同一長さの駆動リンク53と従動リンク59を備える。
駆動リンク53は、一端部が下流側の接続片45bに対して可動軸55によって回動可能に接続され、他端部が紙幣整列装置1の適所に固定された固定軸57によって回動可能に軸支されている。駆動リンク53の可動軸55部分には、同期リンク71から駆動力が伝達される。
従動リンク59は、一端部が上流側の接続片45bに対して可動軸61によって回動可能に接続され、他端部が紙幣整列装置1の適所に固定された固定軸63によって回動可能に軸支されている。
平行リンク機構51の可動軸55、61と固定軸57、63とは、平行四辺形の頂点に対応する位置に配置され、可動ガイド41を搬送方向に沿った姿勢のまま幅方向に移動させる。
駆動リンク53の固定軸57には、可動ガイド41、41を他方の可動ガイドに対して接近する方向(
図3(a)中、矢印C1方向)に弾性付勢するトーションバネ(弾性付勢部材)が取り付けられている。トーションバネは、リンク機構50を構成する各リンクの接合部に設けられたガタ(遊び)を吸収する役割を果たす。
なお、平行リンク機構としては平行四辺形リンク以外にも、互いに回動自在となるようにX字状に組み合わせられた少なくとも2本のリンク片を備えたいわゆるパンタグラフ機構を用いることもできる。
【0019】
<<同期リンク>>
2つの同期リンク71、71は、夫々の一端部(一部)を可動軸55、55により駆動リンク53、53に対して回動可能に接続され、夫々の他端部(他部)を搬送路11の幅方向中央部(軸線X上)において入力軸73により互いに回動可能に接続されている。各同期リンク71、71の中間部は紙幣整列装置1の適所に固定された固定軸75、75によって回動可能に軸支されている。本例において各同期リンク71、71は中間部が屈曲した上面視概略V字形状であり、各同期リンク71、71の屈曲部が固定軸75、75によって軸支されている。
【0020】
入力軸73には、駆動手段80から搬送方向に沿った方向に働く駆動力Aが入力される。
図3(a)に示すように、同期リンク71、71は固定軸75、75を支点として回動して、駆動リンク53、53の可動軸55、55に対して、可動軸55、55を幅方向の中央部に向けて移動させる駆動力Bを伝達する。同期リンク71を屈曲形状とすることで、同期リンク71に入力される矢印A方向の力を所望の方向に働く力(矢印B方向の力)に適宜変換して出力する。
同期リンク71の一端部には、駆動リンク53と接続する接続孔77が貫通形成されている。同期リンク71は、接続孔77内に駆動リンク53の可動軸55を挿通することにより、駆動リンク53に対して回動可能に接続される。ここで接続孔77は、固定軸75を支点として矢印B方向に回動する同期リンク71が、固定軸57を支点として矢印C1方向に回動する可動軸55の運動を妨げないように、可動軸55の運動範囲に対応する大きさに形成されている。
【0021】
本例では、固定軸75から入力軸73までの距離よりも、固定軸75から接続孔77までの距離が長くなるようにしているので、入力軸73に入力された駆動軸を適宜増幅して接続孔77部分から出力する。
本例では、同期リンク71と平行リンク機構51の駆動リンク53を別部材としたが、同期リンク71の固定軸75と駆動リンク53の固定軸57とを一体化することにより、同期リンク71と駆動リンク53を一つのリンク部材とすることも可能である。
【0022】
<駆動手段>
駆動手段80は、駆動源である直動型のセンタリング用ソレノイド81と、センタリング用ソレノイド81のプランジャ81aの出没による駆動力を同期リンク71、71に出力する出力リンク83と、を備える。駆動手段80は、本例では、搬送路11の下方であって、搬送路11の幅方向の一端部寄り、具体的には下側搬送ベルト25の側方に配置されている。
センタリング用ソレノイド81は、プランジャ81aの進退方向が搬送方向に沿うように設置されており、搬送される紙幣の種類に関係なく予め設定された一定量だけ出没する。
【0023】
出力リンク83は、搬送路11の幅方向端部に配置されたセンタリング用ソレノイド81のプランジャ81aからの駆動力Aを、搬送路11の幅方向中央部に配置された同期リンク71、71の入力軸73に伝達する。出力リンク83は、一部83aがプランジャ81aに接続され、他部83bが入力軸73に接続されている。出力リンク83は、プランジャ81aの出没と共に搬送方向に沿って進退し、プランジャ81aからの駆動力Aをそのまま入力軸73に伝達する。
出力リンク83は任意の形状とすることができるが、本例において出力リンク83は、一部がプランジャ81aと接続されて搬送方向に沿って伸びる第一辺83Aと、第一辺83Aの先部から搬送路11の中央部に向かって延びると共に他部が入力軸73に接続された第二辺83Bとを有する上面視概略L字形状に形成されている。第一辺83Aには、搬送方向に沿って伸びる長孔85が形成されており、長孔85内には、紙幣整列装置1の適所に固定された固定ピン87が挿通されている。出力リンク83は、長孔85に挿通された固定ピン87により、搬送方向に沿った方向にのみ進退するようにガイドされている。
【0024】
本例において、センタリング用ソレノイド81は、搬送路11の上流側に配置されているが、下流側に配置してもよい。また、プランジャ81aが出力リンク83を介さずに直接に入力軸73に対して駆動力Aを出力する構成としてもよい。
直動型のセンタリング用ソレノイド81は、出力軸であるプランジャ81aの出没速度が、回転するモータの出力軸の応答速度よりも高速であるため、紙幣のセンタリングに関わる動作を高速化することができる。なお、応答速度の観点からはセンタリング機構の駆動手段として直動型のソレノイドを用いることが好ましいが、回転型のソレノイドや、回転する出力軸を有する駆動モータを用いても構わない。
センタリング用ソレノイド81は、電流が供給されないオフ時においては、可動ガイド41を互いに離間した離間位置に維持し、電流が供給されるオン時において可動ガイド41を互いに接近した接近位置に変位させる。なお、センタリング用ソレノイド81は、オフ時に可動ガイド41を接近位置に維持し、オン時に可動ガイド41を離間位置に変位させる構成としてもよい。
【0025】
<可動ガイドの動作>
リンク機構、及び可動ガイドの動作について説明する。
図3(a)〜(d)は、センタリング機構を構成するリンク機構と可動ガイドの動作を示す模式図である。
図3(a)は、可動ガイドが離間した状態を示しており、(b)、(c)、(d)は可動ガイドが徐々に互いに接近する様子を示している。
【0026】
可動ガイドが離間した
図3(a)においては、同期リンク71の入力軸73に対して駆動力Aが入力される。
入力軸73が矢印A方向に移動することにより、各同期リンク71、71は、固定軸75、75を中心として回動し、接続孔77部分が図中矢印B方向に移動する。接続孔77に挿通された駆動リンク53の可動軸55は、同期リンク71の回動に伴って、固定軸57を中心として図中矢印C1方向に回動する。駆動リンク53の動作は可動ガイド41を介して従動リンク59に伝達され、従動リンク59は固定軸63を中心として矢印C2方向に回動する。なお、可動軸55と固定軸63が描く軌跡は同一半径、同一回転角度の円弧である。駆動リンク53及び従動リンク59の回動に伴って、可動ガイド41は矢印C1(C2)方向に沿った円弧状の軌跡を描きながら搬送路11の幅方向中央部に向かって移動する。また、ここで、平行リンク機構51により、駆動リンク53と従動リンク59は平行な姿勢を保持したまま回動するので、可動ガイド41も搬送方向に沿った姿勢を保持しながら他方の可動ガイド41に接近する。
リンク機構50と可動ガイド41は、仮想的な軸線Xに対して線対称に配置されているので、同期リンク71からの駆動力は軸線Xを中心として各可動ガイド41、41に線対称に伝達され、各可動ガイド41、41は、軸線Xを中心として線対称に接近移動する。
【0027】
ここで、本実施形態においては、駆動力Aを受けて回動する同期リンク71と、同期リンク71から伝達された駆動力により回動する平行リンク機構51の回動方向(時計回り方向又は反時計回り方向)は一致していない。しかし、同期リンク71が可動軸55を移動させる方向(矢印B方向)と、平行リンク機構51が可動軸55を移動させる方向(矢印C1方向)とを概ね一致させることで、平行リンク機構51に対して駆動力を伝達している。
【0028】
リンク機構50の、各リンクの接合部には、ある程度のガタ(遊び)が設けられている。本例に示すセンタリング機構40においては、複数のリンク、即ち出力リンク83、同期リンク71、及び平行リンク機構51を接合することによって発生する遊びを、固定軸57に設けたトーションバネによって吸収している。つまり、トーションバネから
図3(a)中、矢印C1方向に働く弾性付勢力を可動ガイド41に与えることにより、可動ガイド41のガタツキや傾斜を防止している。
更に、上記トーションバネの弾性付勢力は、可動ガイド41、41の間隔が紙幣の幅よりも狭くなるように動作した場合に、紙幣が自身の持つコシにより可動ガイド41、41をトーションバネの弾性付勢力に抗して外方に押し広げることが可能な程度に設定されている。以上の構成により、
図1に示すプランジャ81aが紙幣の種類に関係なく一定量だけ出没する構成としても、可動ガイド41、41間の間隔を紙幣幅に合わせて調整できる。
【0029】
〔強制排出機構〕
強制排出機構について説明する。
図4は、強制排出機構を説明する為の紙幣整列装置の三面図である。
図5は、強制排出機構を説明する為の紙幣整列装置の斜視図である。なお、
図4及び
図5においては、センタリング機構の一部の図示を省略している。
強制排出機構90は、搬送路11を間に挟んで下側搬送ベルト25の走行面と対向して配置された排出ローラ91と、排出ローラ91を揺動可能(出没可能)に支持する揺動片93と、揺動片93を駆動する駆動手段101とを備える。揺動片93は、排出ローラ91を、搬送路11内に突出して下側搬送ベルト25を押圧する押圧姿勢と、下側搬送ベルト25から離間した退避姿勢との間で揺動可能に支持する。
【0030】
<排出ローラ>
排出ローラ91は、上側搬送ベルト15の内周側に配置されており、揺動片93によって回動自在に軸支されている。排出ローラ91は、押圧姿勢にあるときに上側搬送ベルト15を介して下側搬送ベルト25を押圧する。
本例において排出ローラ91は、搬送路11の搬送方向中央部に配置されている。排出ローラ91は、少なくとも搬送方向の後端縁が紙幣整列装置1の搬送路11内に進入した紙幣を、上側搬送ベルト15を介して押圧可能な位置に配置されていればよい。
【0031】
<揺動片>
揺動片93は、排出ローラ91を出没させる方向とは異なる方向に出力される駆動手段101からの駆動力Dを、排出ローラ91を搬送路11内に出没させる方向の力(又は出没方向の成分を有する力E)に変換して排出ローラ91に伝達する。本例において揺動片93は、搬送方向に出力される駆動手段からの駆動力Dを、排出ローラ91を搬送路11内に出没させる上下方向成分を有する力Eに変換して排出ローラ91に伝達する。
【0032】
本例に示す揺動片93は側面視概略V字形状であり、搬送方向と交差する方向に伸びて、一端部に配置された入力軸95によって駆動手段101に対して回動可能に接続される第一辺93Aと、第一辺93Aに連設されて他端部において排出ローラ91を支持する第二辺93Bとを備える。揺動片93の屈曲部は、搬送機構10とは干渉しない紙幣整列装置1の適所に固定された固定軸97によって回動自在に軸支されている。
揺動片93は、上側搬送ベルト15を幅方向に挟むようにして一対が対向して配置されており、2つの揺動片93、93によって、排出ローラ91の回転軸の端部を夫々軸支する。また、入力軸95は、上側搬送ベルト15の上方に位置している。
揺動片93は、固定軸97を中心として排出ローラ91を退避姿勢と排出姿勢との間で揺動(回動)させる。排出ローラ91の回転軸91aは搬送方向と直交(又は交差)する方向に延在しており、排出ローラ91が排出姿勢をとるとき、排出ローラ91は上側搬送ベルト15の内周面に接触して上側搬送ベルト15と連れ回り回転する。
揺動片93を備えることにより、駆動源である排出用ソレノイド103を、整列装置1のコンパクト化に寄与する位置及び向きにて設置しやすくなる。また、固定軸97から入力軸95までの距離と、固定軸97から排出ローラ91の回転軸までの距離とを適宜調整することにより、排出用ソレノイド103の出力を適宜増幅(又は減衰)して伝達することができる。
【0033】
<駆動手段>
駆動手段101は、搬送機構10とは干渉しない位置に配置されており、本例では搬送路11の上方であって、上側搬送ベルト15の側方に配置されている。
駆動手段101は、駆動源である直動型の排出用ソレノイド103と、排出用ソレノイド103の出力軸であるプランジャ103aの進退を揺動片93に伝達する伝達片105と、を備える。排出用ソレノイド103は、プランジャ103aの進退方向が搬送方向に沿うように設置されている。伝達片105は、プランジャ103aと接続されることによりプランジャ103aと共に搬送方向に沿って進退する。
伝達片105は、搬送方向に沿って伸びるように配置され、長手方向の一端部がプランジャ103aに接続され、他端部に配置された入力軸95によって揺動片93を回動自在に支持する。本例において、排出用ソレノイド103は、搬送路11の上流側に配置されているが、下流側に配置してもよい。
直動型の排出用ソレノイド103は、出力軸であるプランジャ103aの出没速度が、回転するモータの出力軸の応答速度よりも高速であるため、紙幣の強制排出に関わる動作を高速化することができる。なお、応答速度の観点からは強制排出機構の駆動手段として直動型のソレノイドを用いることが好ましいが、回転型のソレノイドや、回転する出力軸を有する駆動モータを用いても構わない。
【0034】
<排出ローラの動作>
図6(a)、(b)は、強制排出機構の動作を示す側面図である。
図6(a)は排出ローラが退避姿勢にある状態を示し、
図6(b)は排出ローラ91が排出姿勢にある状態を示している。
図6(a)に示すように、排出用ソレノイド103は、電流が供給されないオフ時においてプランジャ103aが突出した状態にあり、排出ローラ91が退避姿勢となるように揺動片93の姿勢を維持する。
排出用ソレノイド103に電流が供給されてオン状態になると、
図6(b)に示すようにプランジャ103aが没入して、伝達片105を介して揺動片93の入力軸95を搬送方向に沿って図中矢印D方向に移動させる。揺動片93は、排出用ソレノイド103からの搬送方向に沿った駆動力を、固定軸97を中心とする回転力に変換する。排出ローラ91は、固定軸97を中心として矢印E方向に回転移動して、排出姿勢に変位する。
本例において排出用ソレノイド103は、電流が供給されないオフ時においては排出ローラ91を退避姿勢に維持し、電流が供給されるオン時において排出ローラ91を排出姿勢に変位させる。しかし、排出用ソレノイド103は、オフ時に排出ローラ91を排出姿勢に維持し、オン時に排出ローラ91を退避姿勢に変位させる構成としてもよい。
【0035】
〔制御装置〕
紙幣整列装置1の動作を制御する制御装置について説明する。
図7は、紙幣整列装置の制御系を示す機能ブロック図である。
制御装置110は、紙幣整列装置1の制御に必要な情報を検知するセンサ群111と、センサ群111からの検知信号に基づいてセンタリング機構40と強制排出機構90の駆動源であるセンタリング用ソレノイド81と排出用ソレノイド103をそれぞれ駆動制御する制御部121とを備える。
なお、制御部121は、センタリング機構40と強制排出機構90が独立して動作するように制御する。
【0036】
<センサ群>
センサ群111は、紙幣整列装置1の搬送路11の直上流と直下流に配置された入口センサ113と出口センサ115とを備える。入口センサ113は、搬送路11への紙幣先端(紙幣の下流端)の進入を検知するセンサ(進入検知手段)であり、出口センサ115は紙幣先端又は紙幣後端(紙幣の上流端)が紙幣整列装置1を通過したことを検知するセンサである。
また、センサ群111は、搬送機構10の上側及び下側搬送ベルト15、25を張架する搬送ローラ17、27の何れかの回転軸17a、27aに設置されて搬送ローラ17、27の回転を検知するロータリーエンコーダ117を備える。ここで、ロータリーエンコーダ117は、例えば駆動モータからギアタイミングベルト等を介して駆動力が伝達される駆動ローラに設置される。
入口センサ113と出口センサ115、又はこれらとロータリーエンコーダ117は、搬送路11内における紙幣の搬送異常を検知する異常検知手段としても機能する。
【0037】
<制御部>
制御部121(制御手段)は、センタリング用ソレノイド81を駆動制御するセンタリング制御部123と、排出用ソレノイド103を駆動制御する排出制御部125と、を備える。
ここで、制御部121は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータであり、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開して実行することにより、各部の制御及び所定の機能を実行する。
センタリング制御部123と排出制御部125には、それぞれ入口センサ113と出口センサ115からの検知情報と、ロータリーエンコーダ117からの検知情報としてのパルス出力が入力される。
【0038】
〔センタリング機構の動作タイミング〕
紙幣の搬送とセンタリング機構の動作タイミングについて
図7と
図8に基づいて説明する。
図8(a)〜(d)は、紙幣整列装置の動作を示す平面図である。ここで、常時においてセンタリング用ソレノイドはオフであり、可動ガイドは離間しているものとする。
【0039】
図8(a)に示すように、センタリングされてない紙幣Sが搬送路11に対して幅方向の一方端に寄った状態で搬送されているとする。まず入口センサ113が紙幣の先端を検知し、続いて
図8(b)に示すように入口センサ113が紙幣の後端を検知する。
センタリング制御部123は、
図8(c)に示すように、少なくとも紙幣Sの後端が上流側搬送路201のローラ202によるグリップを抜けた後、本例では、紙幣Sの後端縁が搬送路11に進入した後にセンタリング用ソレノイド81をオンにして、夫々の可動ガイド41、41を互いに接近させるように制御して、紙幣をセンタリングする。紙幣Sは、幅方向端縁が可動ガイド41によって位置決めされた状態にて、上側及び下側搬送ベルト15、25によって下流へと搬送される。
図8(d)に示すように、センタリング制御部123は、出口センサ115が紙幣の先端を検知した後、更に紙幣が下流側搬送路206によってグリップされた後にセンタリング用ソレノイド81をオフにして可動ガイド41を離間させる。下流側搬送路206によってグリップされた紙幣Sは、幅方向に移動することなく下流へと搬送される。
【0040】
ここで、センタリング制御部123は、入口センサ113が紙幣の先端又は後端を検知してから一定時間経過後、又は、入口センサ113が紙幣の先端又は後端を検知してからロータリーエンコーダ117のパルス出力を所定数受信した後に、可動ガイドを接近させる制御を行う。このように制御することで、センタリング制御部123は、所定の速度で搬送される紙幣Sが上流側搬送路201のグリップを抜けたタイミングで可動ガイド41を接近させることができる。
同様に、センタリング制御部123は、可動ガイド41を接近させてから一定時間経過後、又は、出口センサ115が紙幣の先端又は後端を検知してから一定時間経過後、或いは、出口センサ115が紙幣の先端又は後端を検知してからロータリーエンコーダ117のパルス出力を所定数受信した後に、可動ガイドを離間させる制御を行う。このように制御することで、センタリング制御部123は、所定の速度で搬送される紙幣Sが下流側搬送路206によってグリップされた後に可動ガイドを離間させることができる。
【0041】
センタリング制御部123は、
図8(c)に示す紙幣のセンタリングを実施する際に、可動ガイド41を複数回往復運動させることが望ましい。即ち、センタリング制御部123は、接近させた可動ガイドを一旦離間させた後、再度可動ガイドを接近させるようにセンタリング用ソレノイド81を駆動する。このように制御することで、紙幣に無理な力が加わりにくくなり、紙幣の座屈を防止しながら、搬送路に対して斜めに搬送されている紙幣の姿勢を搬送方向に沿った姿勢に徐々に矯正することができる。
【0042】
ここで、可動ガイド41が紙幣の幅方向端部を幅方向中央部に向けて押圧する際に、紙幣の幅方向中央部が上方又は下方に膨出変形したり、座屈したりすると、紙幣が目的の位置に整列しないという自体が発生する。本例では、紙幣の幅方向中央部が上側搬送ベルト15と下側搬送ベルト25との間に挟まれているので、紙幣の変形を効果的に防止し、確実にセンタリングすることができる。更に、上述のように、可動ガイド41の間隔が紙幣の幅よりも狭くなるように動作した場合であっても、紙幣は自身の持つコシにより可動ガイド41、41を離間させる方向に押圧するので、紙幣は座屈することなく下流へと搬送される。
【0043】
<可動ガイドが常時接近している場合の制御>
センタリング用ソレノイド81のオフ時に可動ガイド41が接近状態となり、オン時に可動ガイド41が離間状態となる場合は、以下のように動作する。
即ち、入口センサ113が紙幣の先端の通過を検知した場合に、センタリング制御部123は、センタリング用ソレノイド81をオンにして、可動ガイド41を一旦離間させる。次いで、入口センサ113が紙幣の後端の通過を検知した場合に、センタリング制御部123は、センタリング用ソレノイド81をオフにして、可動ガイド41を接近させる。
【0044】
〔強制排出機構の動作タイミング〕
次に、紙幣の搬送と強制排出機構の動作タイミングについて説明する。ここで、常時において排出用ソレノイドはオフであり、排出ローラは退避位置にあるものとする。
排出制御部125は、紙幣が搬送路11内を搬送されているときに、搬送のもたつきや停滞、或いは紙幣詰まり等の搬送異常の発生を検知した場合に、排出用ソレノイドを駆動して紙幣を紙幣整列装置1外に強制的に排出する。
ここで、紙幣が正常に搬送されている場合に、紙幣が搬送路11を通過するのに要する所定の通過時間は、紙幣の搬送速度と搬送路11の長さとから求められる。同様に、上記所定の通過時間内にロータリーエンコーダ117が出力する所定のパルス数も、単位時間当たりに出力されるパルス数から求められる。
従って、搬送のもたつきや停滞、或いは紙幣詰まり等の搬送異常は、以下のようにして検知できる。即ち、入口センサ113が紙幣の先端(又は後端)を検知した後、上記所定の通過時間内に出口センサ115が紙幣の先端(又は後端)を検知しなかった場合に、排出制御部125は、搬送異常が発生したことを検知できる。通過時間の代わりに総パルス数を用いてもよく、この場合は、入口センサ113が紙幣の先端(又は後端)を検知した後、上記所定のパルス数の範囲内で出口センサ115が紙幣の先端(又は後端)を検知しなかった場合に、排出制御部125は搬送異常が発生したと検知できる。
【0045】
具体的には、
図8(a)に示すように、入口センサ113が紙幣の先端の通過を検知すると、排出制御部125は、紙幣の通過時間についての計時を開始する。
紙幣Sの先端が入口センサ113により検知されてから所定の通過時間内に、紙幣Sの先端が出口センサ115により検知された場合、排出制御部125は排出用ソレノイド103をオンにしない。
一方、紙幣Sの先端が入口センサ113により検知されてから所定の通過時間を経過しても、紙幣Sの先端が出口センサ115により検知されなかった場合、排出制御部125は排出用ソレノイド103をオンにして、排出ローラ91を排出姿勢に変位させるように制御する(
図6(b))。排出姿勢となった排出ローラ91により、紙幣は、上側搬送ベルト15を介して排出ローラ91により下側搬送ベルト25に押し付けられるので、回転走行する上側及び下側搬送ベルト15、25によってグリップされて、紙幣は紙幣整列装置1からスムースに排出される。
【0046】
本例では、搬送異常の発生を検知した場合に紙幣を強制的に排出するが、入口センサ113による紙幣先端(又は後端)の検知後、所定の時間経過後に排出ローラ91を排出姿勢に変位させてもよい。この場合、排出ローラ91を排出姿勢に変位させるタイミングは、可動ガイド41が互いに接近して紙幣をセンタリングする動作が完了した後のタイミングとする。この場合、排出制御部125は、出口センサ115が紙幣の排出を検知したか否かに関わらず排出ローラ91を動作させるので、紙幣整列装置1内での紙幣の搬送のもたつきや停滞、或いは紙幣詰まり等の搬送異常を未然に防止できる。
【0047】
<排出ローラが常時排出姿勢にある場合の制御>
排出用ソレノイド103のオフ時に排出ローラ91が排出姿勢となり、排出用ソレノイド103のオン時に排出ローラ91が退避姿勢となる場合は、以下のように動作する。
即ち、入口センサ113が紙幣の先端を検知した場合に排出制御部125は、排出用ソレノイド103をオンにして排出ローラ91を退避姿勢に変位させる。紙幣の搬送異常が検知されないまま出口センサ115が紙幣後端を検知した場合に、又は出口センサ115が紙幣先端を検知してから所定時間経過後に、排出制御部125は排出用ソレノイド103をオフにして排出ローラ91を排出姿勢に変位させる。一方、紙幣の搬送中に搬送異常が検知された場合に、排出制御部125は排出用ソレノイド103をオフにして排出ローラ91を排出姿勢に変位させる。
【0048】
〔本実施形態における効果〕
本実施形態に係るセンタリング機構によれば、可動ガイドをソレノイドにより接近位置又は離間位置に移動させるので、可動ガイドの動作時間を短縮できる。また、紙幣の搬送を停止することなく、紙幣を搬送路の幅方向中央部に整列させることができるので、紙幣処理を高速に行うことができ、紙幣の処理時間を短縮できる。
【0049】
本実施形態に係る強制排出機構によれば、排出ローラをソレノイドにより退避姿勢又は排出姿勢に変位させるので、排出ローラの動作時間を短縮できる。また、紙幣整列装置内で発生する紙幣の搬送異常の発生を防止し、紙幣を紙幣整列装置外へ搬送、及び排出することができる。また、強制排出機構では、単一の排出ローラを退避姿勢又は排出姿勢に変位させるだけで、上側搬送ベルトと下側搬送ベルトとを離間させて紙幣の幅方向への移動を許容し、又は搬送ベルトによって紙幣を挟持して搬送力を増大させることができるので、非常に簡易な構成である。
【0050】
〔実施態様例と作用、効果のまとめ〕
<第一の実施態様>
本態様は、搬送中の紙葉類(紙幣S)を搬送路11の幅方向の所定位置に整列させる紙葉類整列装置(紙幣整列装置1)であって、搬送路の幅方向両側部に配置され、搬送方向と並行に伸びる一対のガイド手段(可動ガイド41)と、各ガイド手段を、搬送方向に沿った姿勢を維持したまま幅方向に進退させる平行リンク機構51と、を備えたことを特徴とする。
ガイド手段に駆動力を伝達する手段として各種のギアやネジ軸を採用する場合、駆動源としてモータ等の回転駆動手段が必要となる。上記構成では、モータからの回転運動を、ガイド手段の直線的な運動に変換する必要があるため、駆動伝達機構を構成する部品点数の増加、コストアップ、実装スペースの拡大を招きがちである。また、モータによる駆動では応答速度の高速化が困難であり、ガイド手段を高速に動作させることが難しい。
本態様においては、ガイド手段の駆動に平行リンク機構を用いる。平行リンク機構の駆動には、直動型ソレノイド等の直動的な駆動手段を用いることができるので、複数のギアやタイミングベルトといった複雑な駆動伝達機構を用いる必要がない。このため、部品点数の減少、コストダウン、実装スペースの縮小を図ることができ、装置構成を簡易にすることができる。また、平行リンク機構の駆動に直動型ソレノイドを用いる場合、モータ駆動する場合に比べて応答速度が高速となる。従って、紙葉類の整列にかかる処理時間を短縮することができる。
【0051】
<第二の実施態様>
本態様に係る紙葉類整列装置(紙幣整列装置1)は、各ガイド手段(可動ガイド41、41)を駆動する駆動力を、各平行リンク機構51、51に同期して伝達すると共に、各ガイド手段を等距離ずつ幅方向に接近離間させる同期リンク41を備えたことを特徴とする。
本態様によれば、同期リンクによって2つのガイド手段を線対称に動作させるので、ガイド手段を駆動する駆動手段を2つのガイド手段で共通化することができる。従って、部品点数の減少、コストダウン、実装スペースの縮小を図ることができる。
【0052】
<第三の実施態様>
本態様に係る紙葉類整列装置(紙幣整列装置1)は、平行リンク機構51の適所に、一方のガイド手段(可動ガイド41)を他方のガイド手段に対して接近する方向に弾性付勢する弾性付勢部材(トーションバネ)を備えたことを特徴とする。
本態様においては、ガイド手段をリンク機構50により作動させているため、ガイド手段にはある程度のガタ(遊び)が発生する。
本態様によれば、平行リンク機構に備えた弾性付勢部材により、リンク機構のガタを吸収することができるので、ガイド手段を搬送方向に並行な姿勢に維持できる。
【0053】
<第四の実施態様>
本態様に係る紙葉類整列装置(紙幣整列装置1)は、搬送路11への紙葉類(紙幣S)の進入を検知する進入検知手段(入口センサ113)と、進入検知手段によって検知された紙葉類の後端縁が搬送路に進入した後に、各ガイド手段(可動ガイド41、41)を接近させるように、各ガイド手段を駆動する駆動手段(センタリング用ソレノイド81)を制御する制御手段(センタリング制御部123)と、を備えたことを特徴とする。
本態様によれば、適切なタイミングでガイド手段を動作させることができる。
【0054】
<第五の実施態様>
本態様に係る紙葉類整列装置(紙幣整列装置1)は、一対の搬送ローラ27、27によって無端状に張設され、搬送方向に走行すると共に搬送路11を形成する搬送ベルト(下側搬送ベルト25)と、搬送路を間に挟んで搬送ベルトの走行面と対向して配置され、搬送路内に突出して搬送ベルトを押圧する押圧姿勢と、搬送ベルトから離間した退避姿勢との間で出没可能に支持された排出ローラ91と、を備えたことを特徴とする。
本態様に係る紙葉類整列装置においては、搬送路内で紙葉類を幅方向に移動させるため、紙葉類の整列動作中は紙葉類をグリップして搬送することができない。このため、紙葉類の搬送のもたつきや停滞、或いは詰まり等の搬送異常が発生する虞がある。
本態様によれば、排出ローラを介して紙葉類を搬送ベルトに押し付けるので、紙葉類に搬送力が与えられ、搬送異常を未然に防止することができる。
【0055】
<第六の実施態様>
本態様に係る紙葉類整列装置(紙幣整列装置1)は、搬送路11内における紙葉類(紙幣S)の搬送異常を検知する異常検知手段(センサ群111)と、異常検知手段が搬送異常を検知したときに排出ローラ91を押圧姿勢に変位させるように、排出ローラを駆動する駆動手段(排出用ソレノイド103)を制御する制御手段(排出制御部125)と、を備えたことを特徴とする。
本態様によれば、搬送異常が発生した場合に、排出ローラを介して紙葉類を搬送ベルトに押し付けるので、紙葉類に搬送力が与えられ、紙葉類の搬送路内での詰まりを防止することができる。
【0056】
<第七の実施態様>
本態様に係る紙幣取扱装置200は、第一乃至第六の何れかに記載の紙葉類整列装置(紙幣整列装置1)を備え、紙葉類としての紙幣Sを取り扱うことを特徴とする。
本態様によれば、第一乃至第六の実施態様の作用、効果を享受することができる。