特許第6748864号(P6748864)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6748864
(24)【登録日】2020年8月13日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】駆動装置および電動車両
(51)【国際特許分類】
   B62K 15/00 20060101AFI20200824BHJP
【FI】
   B62K15/00
【請求項の数】8
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-37058(P2020-37058)
(22)【出願日】2020年3月4日
【審査請求日】2020年3月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510013079
【氏名又は名称】株式会社ワイディーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100194249
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】吉松 晴雄
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第2799382(CN,Y)
【文献】 特表2005−507811(JP,A)
【文献】 特開2012−125386(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0355231(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101244737(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0118299(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2019/0210686(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両のボディーを該電動車両の前後方向に沿って折り畳んだ折り畳み位置と元の展開された展開位置との間で移動可能とする伸縮機構を駆動する駆動装置であって、
第1回転方向と前記第1回転方向とは逆の第2回転方向に回転可能とし、前記電動車両の幅方向に沿った回転軸線を中心にして回転駆動される駆動出力部を備え、バッテリーにより電動駆動される駆動部と、
前記駆動出力部の回転力を前記伸縮機構の入力部に伝達する前記電動車両の幅方向に沿った回転軸線を中心にして回転可能な動力伝達部と、
前記電動車両を自立可能に支持すると共に前記駆動部の駆動反力を受ける支持部と、
を有する駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動装置において、
前記駆動部は、前記電動車両の駆動輪を駆動する電動モータと、前記駆動出力部の回転力を前記動力伝達部へ伝達する伝達状態と前記伝達状態を遮断する遮断状態との切り替えを行う切り替え部と、前記切り替え部の切り替え操作を行う切り替え操作部と、を有することを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
請求項2に記載の駆動装置において、
前記支持部は、前記駆動輪を地面から浮かした状態で前記電動車両を自立可能に支持するスタンドであることを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の駆動装置において、
前記動力伝達部は、展開状態の前記伸縮機構の入力部に前記駆動出力部と一体に前記第2回転方向へ回転すると前記伸縮機構を前記折り畳み状態へ駆動し、前記伸縮機構の折り畳み状態から前記駆動出力部と一体に前記第1回転方向へ回転すると前記伸縮機構を前記展開状態へ駆動することを特徴とする駆動装置。
【請求項5】
鞍乗型の電動車両であって、
前輪を備えた操舵部と、
搭載されるバッテリーにより電動駆動される後輪と、
前記電動車両の幅方向に沿った回転軸心を中心に回転する回転ボディー部の先端部に前記操舵部を備えた従動ボディー部を連結軸で連結し、前記回転ボディー部の回転動作に従動して前記操舵部を前後方向に移動可能とする主ボディー部と、
シートを備え前記回転ボディー部の回転動作に連係して前後方向に伸縮可能とする副ボディー部と、
前記電動車両の幅方向に沿った回転軸心を中心に回転する電動駆動力により回転駆動され、前記回転ボディー部に回転駆動力を伝達する動力伝達部と、
前記動力伝達部に対して動力を伝達する動力伝達状態と該動力伝達状態を遮断する動力遮断状態を切り替える切り替え部と、
前記後輪を接地面から浮かすと共に前記前輪を接地面に接地させて電動車両を自立可能に支持するスタンドと、
を有する電動車両。
【請求項6】
請求項5に記載の電動車両において、
前記操舵部は、上下方向で折り畳み可能な2分割構造に構成したハンドルポストと、前記動力伝達部の回転動作に連係して前記ハンドルポストを折り畳み状態と展開状態に駆動するハンドルポスト駆動部と、を有することを特徴とする電動車両。
【請求項7】
請求項5または6に記載の電動車両において、
前記動力伝達部を回転駆動する駆動源は、前記後輪を駆動する駆動部であることを特徴とする電動車両。
【請求項8】
請求項6に記載の電動車両において、
前記操舵部は、折り畳み可能に構成した左右のハンドルバーと、前記ハンドルポストの折り畳みおよび展開動作に連係して前記ハンドルバーを折り畳み状態と展開状態に駆動するハンドルバー駆動部と、
を有することを特徴とする電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクータ等の鞍乗型の電動車両において、車両を走行可能な展開状態と折り畳まれた折り畳み状態との間で折り畳み可能とする折り畳み機構を駆動する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
折り畳み機構を備えた電動車両において、折り畳み機構を電動駆動装置により駆動する技術が提案されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示の鞍乗型車両は、前輪側部分と後輪側部分とにそれぞれ連結する前構造部と後構造部とを連結ピンにより互いに回転可能に連結した折り畳み機構を有している。また、折り畳み操作は、前輪をブレーキングした状態で後輪を前進駆動させると、前記後構造部が前記前構造部を押し、前記連結ピンを支点として前記後構造部と前記前構造部とが互いに相反する方向に回転し、前記後構造部と前記前構造部が接近して折り畳まれる。座席、ハンドル等の操舵部は前記後構造部および前構造部の回転動作にリンクして所定の折り畳み動作が行われる。折り畳み状態から走行可能な展開状態への動作は、折り畳み状態とは逆の動作により行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2005‐507811号(WO2003/037678)公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の鞍乗型の電動車両は、駆動モータにより駆動輪を接地させた状態で実際に走行駆動させることにより車両構造部の折り畳みおよび展開動作を行うため、折り畳み動作および展開動作の際に運転者が前輪をブレーキングした状態を維持する必要がある。すなわち、特許文献1に開示の電動車両は、折り畳み機構を駆動する駆動力として、駆動輪がブレーキングした非駆動輪側に向けて直進する直進動作を利用している。
【0006】
このような折り畳み機構を備えた電動車両を例えば折り畳む場合、運転者はブレーキレバーから手を離さないようにし、折り畳み動作に伴って移動する前後の構造部に注意しなければならないという安全性の点において問題がある。
【0007】
また、操作ボタンの操作、あるいはスマートフォン等の携帯端末による遠隔操作で折り畳みおよび展開動作を行う場合、操作者がブレーキング操作をしなければならず、ハンズフリーでの折り畳み、展開動作ができない。
【0008】
本発明の目的は、安全に車両の折り畳み機構を駆動できる駆動装置を提供しようとするものである。
【0009】
本発明の他の目的は、安全に車両の折り畳みと展開を行え、またハンズフリーでの折り畳みと展開を可能とする折り畳み機構を備えた電動車両を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的を実現する駆動装置の構成は、電動車両のボディーを該電動車両の前後方向に沿って折り畳んだ折り畳み位置と元の展開された展開位置との間で移動可能とする伸縮機構を駆動する駆動装置であって、第1回転方向と前記第1回転方向とは逆の第2回転方向に回転可能とし、前記電動車両の幅方向に沿った回転軸線を中心にして回転駆動される駆動出力部を備え、バッテリーにより電動駆動される駆動部と、前記駆動出力部の回転力を前記伸縮機構の入力部に伝達する前記電動車両の幅方向に沿った回転軸線を中心にして回転可能な動力伝達部と、前記電動車両を自立可能に支持すると共に前記駆動部の駆動反力を受ける支持部とを有する。
【0011】
この駆動装置において、前記駆動部は、前記電動車両の駆動輪を駆動する電動モータと、前記駆動出力部の回転力を前記動力伝達部へ伝達する伝達状態と前記伝達状態を遮断する遮断状態との切り替えを行う切り替え部と、前記切り替え部の切り替え操作を行う切り替え操作部と、を有する構成とすることができる。
【0012】
また、前記支持部は、前記駆動輪を地面から浮かした状態で前記電動車両を自立可能に支持するスタンドとすることができる。
【0013】
また、前記動力伝達部は、展開状態の前記伸縮機構の入力部に前記駆動出力部と一体に前記第2回転方向へ回転すると前記伸縮機構を前記折り畳み状態へ駆動し、前記伸縮機構の折り畳み状態から前記駆動出力部と一体に前記第1回転方向へ回転すると前記伸縮機構を前記展開状態へ駆動する構成とすることができる。
【0014】
本発明の目的を実現する電動車両の構成は、鞍乗型の電動車両であって、前輪を備えた操舵部と、搭載されるバッテリーにより電動駆動される後輪と、前記電動車両の幅方向に沿った回転軸心を中心に回転する回転ボディー部の先端部に前記操舵部を備えた従動ボディー部を連結軸で連結し、前記回転ボディー部の回転動作に従動して前記操舵部を前後方向に移動可能とする主ボディー部と、シートを備え前記回転ボディー部の回転動作に連係して前後方向に伸縮可能とする副ボディー部と、前記電動車両の幅方向に沿った回転軸心を中心に回転する電動駆動力により回転駆動され、前記回転ボディー部に回転駆動力を伝達する動力伝達部と、前記動力伝達部に対して動力を伝達する動力伝達状態と該動力伝達状態を遮断する動力遮断状態を切り替える切り替え部と、前記後輪を接地面から浮かすと共に前記前輪を接地面に接地させて電動車両を自立可能に支持するスタンドとを有する。
【0015】
この電動車両において、前記操舵部は、上下方向で折り畳み可能な2分割構造に構成したハンドルポストと、前記動力伝達部の回転動作に連係して前記ハンドルポストを折り畳み状態と展開状態に駆動するハンドルポスト駆動部と、を有する構成とすることができる。
【0016】
また、電動車両において、前記動力伝達部を回転駆動する駆動源は、前記後輪を駆動する駆動部とすることができる。
【0017】
また、電動車両において、前記操舵部は、折り畳み可能に構成した左右のハンドルバーと、前記ハンドルポストの折り畳みおよび展開動作に連係して前記ハンドルバーを折り畳み状態と展開状態に駆動するハンドルバー駆動部とを有する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によれば、路面に接して電動車両を支持する支持部を固定点として駆動対象物である電動車両のボディーを折り畳み位置と展開位置との間を動力伝達部の回転力で駆動することができる。伸縮機構を駆動する際に、駆動反力を受ける支持部は路面に対して固定されるため、駆動部は移動することがないことから安全に伸縮動作を行わせることができる。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、後輪を電動駆動する駆動部を利用して動力伝達部に回転力の伝達が行え、走行時や単なる駐車時には誤って動力伝達部への回転力が伝達されることを防止することができる。
【0020】
請求項3に係る発明によれば、動力伝達部による電動車両の伸縮動作を行わせる際に、後輪は空転するので、誤って電動車両が走行することを未然に防止することができる。
【0021】
請求項4に係る発明によれば、動力伝達部を第1回転方向と第2回転方向である正逆方向へ回転させるだけで、伸縮機構を折り畳み動作と展開動作させることができr、伸縮動作を簡単に行うことができる。
【0022】
請求項5に係る発明によれば、主ボディー部を前後方向で二つ折りさせるだけで、操舵部を前後方向に沿って移動させることにより電動車両の前後方向を短くするようにしている。このため、操舵部のハンドルを握ってブレーキングする必要はなく、運転者は電動車両から離れて安全に伸縮動作を行うことができる。その際、前輪が後輪に近づくため、折り畳んだ電動車両をコンパクト化することができ、折り畳んだ電動車両を引っ張ると、後輪を転動させながら電動車両を移動させることを容易に行える。
【0023】
請求項6に係る発明によれば、ハンドルポストを折り畳めるため、折り畳んだ姿は上下方向を短くすることができる。
【0024】
請求項7に係る発明によれば、後輪を駆動する電動モータ等の駆動源を利用して動力伝達部を回転駆動することができるので、例えば既存のインホイールモータを利用して簡単に動力伝達部の駆動を行える。
【0025】
請求項8に係る発明によれば、ハンドルバーも折り畳めるので、電動車両を折り畳んだ姿は、幅方向を狭くすることができ、自動車のトランク、荷台、またエレベータ内への移動、住居内への移動を可能とすることができる。このため、住居内で、電動車両にバッテリーを搭載した状態でバッテリーへの充電を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による電動車両の実施形態を示す鞍乗型電動車両の外観斜視図である。
図2図1に示す鞍乗型電動車両の正面図である。
図3図1に示す鞍乗型電動車両を最終折り畳み位置まで折り畳んだ状態を示す外観斜視図である。
図4図1に示す鞍乗型電動車両に装備する電動車両を伸縮動作させるクラッチ機構を有する駆動装置の上面図である。
図5図4に示す駆動装置を前側から後方に向けて見たクラッチ機構の外観斜視図である。
図6図4のA−A矢視断面図である。
図7】クラッチ機構を説明する図で、スタンドを上方に上げた状態で、円筒カム部がニュートラル位置に設定された状態を示す上面図である。
図8図7に示すクラッチ機構を前側から後方に向けて見た外観斜視図である。
図9】クラッチ機構を説明する図で、円筒カム部をカム動作位置である動力伝達位置に設定した状態でスタンドを下方位置に下げた状態を示す。
図10図9に示すクラッチ機構を前側から後方に向けて見た外観斜視図である。
図11図1に示す鞍乗型電動車両の折り畳み動作を説明する図で、折り畳み初期状態を示す正面図である。
図12図11に示す折り畳み状態からさらに折り畳み動作を進め、回転フレーム部を約90度の角度まで回転させた状態を示す正面図である。
図13】最終折り畳み状態を示す正面図である。
図14図13に最終折り畳み状態で、クラッチレバーを動力伝達位置に移動させ、後輪を接地させた状態を示す正面図である。
図15図14に示す鞍乗型電動車両の上面図である。
図16】他の実施形態を示す電動スクータの正面図を示す。
図17図16に示す電動スクータの斜視図である。
図18図16示す電動スクータを折り畳んだ状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0028】
図1から図3は、本発明による電動車両を鞍乗型電動車両である電動スクータに適用した実施形態を示す外観図で、図1および図2は走行可能な展開状態を示し、図3は折り畳んだ折り畳み状態を示す。図4から図10はクラッチ機構を示す。なお、図1に示すように、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸において、X軸方向を前後方向、Y軸方向を左右方向、Z軸方向を上下方向とし、Y軸方向は前輪と後輪の回転軸心に沿った方向とする。
【0029】
本実施形態の電動スクータ1は、車両のボディーとして折り畳み位置と使用状態をなす展開位置との間で伸縮動作可能な伸縮機構に構成される主ボディー部であるフレーム構造の主フレーム部10と、シート2を備えた副ボディー部であるフレーム構造の副フレーム部20を有している。また、電動スクータ1は、前輪3を備えた折り畳み位置と使用状態をなす展開位置との間で伸縮動作可能な伸縮機構を備えた操舵部30と、電動モータ等を含む電動駆動部4(図4図6参照)により駆動される後輪5と、電動駆動部4の電動モータに給電するバッテリー6と、前記電動モータに対する正逆回転方向の通電制御および通電開始・停止等を制御する制御部7とを有する。さらに、電動スクータ1は、後輪5を接地面から浮かした状態で電動スクータ1を自立状態で支持するスタンド50と、電動駆動部4の回転出力を主フレーム部10の伸縮動作用の動力伝達部60(図4図10参照)と、電動駆動部4の回転を前記動力伝達部60に伝達する動力伝達状態と該動力伝達状態を遮断する動力遮断状態(ニュートラル状態)を切り替える切り替え部であるクラッチ機構70(図4図10参照)を有する。
【0030】
電動スクータ1の各フレーム部等の構成説明は図1及び図2に示す走行可能な展開状態に基づいて説明する。
【0031】
主フレーム部10の構成
【0032】
主フレーム部10は、回転ボディー部である回転フレーム部11の先端部に主連結軸12を介して従動ボディー部である従動フレーム部13を回動可能に連結した構成で、オープンループ構造のリンク機構による伸縮機構を構成している。回転フレーム部11は、後輪5の左右側に設けた直線状の左回転フレーム11aと右回転フレーム11bの先端部の間に主連結軸12を装着している。左回転フレーム11aと右回転フレーム11bの各他端部は、後輪5の後述する回転不能のモータ軸42に装着される左スリーブ45と右スリーブ46に対して回転自在に取り付けられている。従動フレーム部13は、シート2に着座した運転者の足が乗るように前後方向の前部13aを直線状の後部13bに対して上方に向けて折曲した構造の従動フレーム本体13cを有し、従動フレーム本体13cの後端部に左右方向に延びるパイプ状の軸受13dが固定されている。軸受13dは左回転フレーム11aと右回転フレーム11bの先端部に配置されて主連結軸12が挿通される。
【0033】
図1及び図2に示す主フレーム部10は、回転フレーム部11が水平状態で従動フレーム本体13cの後端に設けたストッパープレート13eが左回転フレーム11aと右回転フレーム11bの先端部の上面に当接することで展開状態が保持され、主フレーム部10が下向きに傾斜する位置まで回転することが阻止される。
【0034】
操舵部30の構成
【0035】
操舵部30は、ハンドルポスト部31の上部にハンドル部32を取り付け、下部に固定したフォーク33に前輪3を取り付けている。ハンドルポスト部31は、上下方向で2分割構造とし、ハンドル部32を取り付けた上ポスト部31aとフォーク33を取り付けた下ポスト部31bを有する。上ポスト部31aを下ポスト部31bに対し、ヒンジ軸34を介して後方に向けて折り畳み可能とすることで、伸縮機構を構成している。下ポスト部31bに従動フレーム本体13cの先端部が固定され、操舵部30が主フレーム部10と一体に連結される。
【0036】
上ポスト部31aの下端に設けた上フランジ部31cと下ポスト部31bの上端に設けた下フランジ部31dとを繋ぎ合わせて上ポスト部31aと下ポスト部31bを直線状に繋ぐ。その際、上ポスト部31aと下ポスト部31bの内部に挿通される不図示の各操舵軸が一体的に連結され、ハンドル部32の操作力が前輪3に伝達される。上フランジ部31cと下フランジ部31dは図示しないボルトナット等で構成されるポストロック部材により取り外し可能にロックされる。
【0037】
ハンドル部32は、左ハンドルバー32aと右ハンドルバー32bをハンドルバー取り付け部32cに対してそれぞれ上下方向に折り畳み可能に取り付けることにより伸縮機構を構成している。左ハンドルバー32aと右ハンドルバー32bの基端部は、前後方向に設けた図示しない支軸によりハンドルバー取り付け部32cに取り付けられている。左ハンドルバー32aと右ハンドルバー32bを略水平とする使用可能な状態に保持するために、ハンドルバー取り付け部32cに対してロック板32dをヒンジ部32eにより回動可能に取り付け、ロック板32dを左ハンドルバー32aと右ハンドルバー32bの基端部に被せて固定する。ロック板32dは、フック部材で構成されたハンドルバーロック部材32f(図11参照)によりハンドルバー取り付け部32cに取り外し可能に取り付けられている。
【0038】
スタンド50は、図1及び図2に示すように、電動スクータ1を自立可能に保持しており、前輪3を接地した状態で後輪5を接地面から浮かしている。したがって、電動駆動部4により後輪5を回転駆動しても後輪5は空転するだけで、電動スクータ1は走行しない。図2に示す状態で、電動駆動部4の回転力で回転フレーム部11を時計回り方向に回転させると、従動フレーム部13が主連結軸12を介して後方に移動しながら上方に移動する二つ折れ状態になる。その際、前輪3は接地面を後方に向けて転動しながら移動し、操舵部30が後方に移動して折り畳み動作が開始される。
【0039】
そして、図3に示すように、回転フレーム部11の時計回り方向への回転に連係して操舵部30の上下方向低くし、左右方向を狭くしてよりコンパクトに折り畳みができるようにしている。具体的には、ハンドルポスト折り畳み機構35により、ハンドルポスト部31の下ポスト部31bに対して上ポスト部31aを折り畳み、上ポスト部31aの折り畳み動作に連係してハンドルバー折り畳み機構36により左ハンドルバー32aと右ハンドルバー32bを下方に折り畳む動作が行われる。
【0040】
ハンドルポスト折り畳み機構35は、左回転フレーム11aを回転リンクとし、従動フレーム部13と、従動フレーム部13と同様な形状に折れ曲がった折れ曲がりロッド35aと、上ポスト部31aに固定された長さの短いリンク板35cと、ヒンジ軸34と、リンク板35cの先端と折れ曲がりロッド35aとを連結する支軸35bによりリンク機構に構成されている。折れ曲がりロッド35aは、一端が左回転フレーム11aの下部に設けたブラケット35dに支軸35eを介して連結されている。
【0041】
左回転フレーム11aが図2に示す水平位置から折り畳みのために時計回り方向に回転すると、ハンドルポスト部31が前輪3の接地点を支点として反時計回り方向に回転し、折れ曲がりロッド35aと従動フレーム部13との動作により折れ曲がりロッド35aがリンク板35cを時計回り方向に回転させる。このため、上ポスト部31aがヒンジ軸34を介して後方に向けて折れ曲がる。ハンドルポスト折り畳み機構35はリンク機構で構成されているため、折り畳み位置から左回転フレーム11aを反時計回り方向に回転すると、元の展開位置に戻る。
【0042】
ハンドルバー折り畳み機構36は、左ロッド36aと右ロッド36bと中央ロッド36cの下端部を連結体36dに連結し、左ロッド36aの上端部を左ハンドルバー32aに連結し、右ロッド36bの上端部を右ハンドルバー32bに連結し、中央ロッド36cの上端部をロック板32dに連結している。連結体36dは、下ポスト部31bの上端に設けた下フランジ部32dに設けた取り付けブラケット36eに取り付けられている。取り付けブラケット36eは、下ポスト部31bに対して軸心回りに回転自在に取り付けられている。このため、図3に示す最終の折り畳み姿勢において、下ポスト部31bが上ポスト部31aに対して軸回り方向でずれが生じても、左ロッド36aと右ロッド36bと中央ロッド36cが捩じれないようにしている。
【0043】
副フレーム部20の構成
【0044】
副フレーム部20は、後輪5の左右にそれぞれ設けたリンク機構で構成される同一構造の左リンク部21と右リンク部22を有する。左リンク部21と右リンク部22は4節リンクで構成され、左回転フレーム11aと右回転フレーム11bの一部をそれぞれ左駆動リンク22a、右駆動リンク22bとし、後端側に配置される上下方向に延びる左右のリンク部材を左固定リンク23a、右固定リンク23bとする。
【0045】
また、左回転フレーム11aと右回転フレーム11bの間で長さ方向の途中に連結バー24が固定され、連結バー24の左右両端に左第1支軸24a、右第1支軸(不図示)が取り付けられる。左第1支軸24aと右第1支軸には上下方向に延びる左第1従動リンク25a、右第1従動リンク25bが連結される。左第1従動リンク25aと右第1従動リンク25bの上端には左第2支軸26a、右第2支軸26bを介してそれぞれ左第2従動リンク27aと右第2従動リンク27bの先端が連結される。
【0046】
左第2従動リンク27aと右第2従動リンク27bの後端は、左第3支軸28a、右第3支軸28bを介して左固定リンク23a、右固定リンク23bの上端に連結される。図6に示すように左固定リンク23aと右固定リンク23bの下端は、電動駆動部4のモータ軸42の左軸端部42cと右軸端部42dに回転不能に固定される。このため、電動駆動部4を構成する電動モータMの回転反力を左固定リンク23aと右固定リンク23bが受けることになる。
【0047】
第1図及び第2図において、左第1支軸24a(右第1支軸)は、左第2支軸26a(右第2支軸26b)よりも前後方向において後方に配置され、左第2従動リンク27a(右第2従動リンク27b)は水平に配置される。また、シート2は左第2従動リンク27aと右第2従動リンク27b上に跨って配置される。
【0048】
スタンド50の構成
【0049】
スタンド50は、上述のように、下げ位置で電動スクータ1を自立可能に保持しており、前輪3を接地した状態で後輪5は接地面から浮かしている。このため、スタンド50は、後輪5の左右に配置された左脚部51と右脚部(不図示)の先端部同士を底板52で固定した構成とし、後輪5の半径よりも左脚部51と右脚部の半径を長くしている。左脚部51の基端部51a(図4参照)と右脚部の基端部(不図示)は、後記する電動駆動部4の左スリーブ45と右スリーブ46に対して回転可能に取り付けられている。
【0050】
左脚部51の基端部51aは、回転フレーム部11の左回転フレーム11aの基端部よりも軸方向内側に配置される。スタンド50は、図1及び図2に示す下げ位置から後方に向けて略水平となるまで上げた上げ位置との間を移動可能とする。左脚部51と右脚部の先端部には前後方向に延びる楕円形状の接地板54が固定される。接地板54の後部には小径のコロ54aが回転可能に取り付けられている。左側の接地板54は、図1および図2に示すように、先端部54bとコロ54aによりそれぞれ2点で接地し、右側の接地板とにより4点支持を行う。コロ54aの下端は接地板54の下端よりも下方に僅かに飛び出ている。
【0051】
電動駆動部4、動力伝達部60、クラッチ機構70の構成
【0052】
図4図10は電動駆動部4、動力伝達部60、クラッチ機構70を示す。
【0053】
スタンド50が上げ位置に上げられた状態は、電動スクータ1を走行準備状態あるいは走行状態であるため、主フレーム部10を展開状態から折り畳み状態に移行させることは行われない。一方、スタンド50が下げ位置に下ろされた状態は、単に電動スクータ1を駐車するだけの状態と、電動スクータ1の折り畳み動作又は展開動作である伸縮動作を行うための伸縮準備状態が想定される。
【0054】
クラッチ機構70は、スタンド50が下げ位置に下げられていることを条件に、伸縮準備状態を指示された場合に後輪5を駆動する電動駆動部4の回転力を動力伝達部60に伝達し、伸縮準備状態が指示されていない場合に該伝達を遮断する。
【0055】
本実施形態において、クラッチ機構70を設けているのは、後輪5を駆動する電動駆動部4の回転力を利用して主フレーム部10の回転フレーム部11を回転駆動し、電動スクータ1の伸縮動作を行わせるためで、回転フレーム部11を回転駆動するために専用の駆動源を設ければ、電気的な構成で電動駆動部4と専用駆動源との駆動を切り替えることができる。
【0056】
まず、図4図6を参照して電動駆動部4の構成を説明する。
【0057】
電動駆動部4は、図6に示すように、後輪5のホイール41内に電動モータMを内蔵したインホイールモータで、後輪5の回転中心軸線Lと同一軸線上に設けた非回転のモータ軸42に電磁石Maを設け、永久磁石部Mbをホイール41の内周に設けた構成としている。バッテリー6から前進走行のために正方向の電流を電磁石Maのコイルに通電すると後輪5が反時計回り方向に回転し、逆方向の電流を電磁石Maのコイルに通電すると後輪が時計回り方向に回転する。電動モータMの回転において、反時計回り方向への回転を第1回転方向、時計回り方向への回転を第2回転方向とする。給電線は後輪5の右側に引き出される。また、ホイール41の左側には、ホイール41に固定されるハブ41aを介してクラッチ機構70を構成する回転円板43が取り付けられており、ハブ41aはモータ軸42に回転自在に装着されている。なお、電動駆動部4をインホイールモータとしているが、電動モータと後輪5とをベルト、チェーン等の動力伝達手段を介して連結した構成としても良い。
【0058】
モータ軸42は、ホイール41から左右両側に延出する左延出部42aと右延出部42bに、内端面側にフランジ45f、46fがそれぞれ形成された左スリーブ45と右スリーブ46がスプライン結合等で回転不能に取り付けられている。電動駆動部4は、回転円板43の回転力を主フレーム部10の回転力として出力する。
【0059】
モータ軸42の左延出部42aは左スリーブ45から左軸端部42cが貫通し、右延出部42bは右スリーブ46から右軸端部42dが貫通する。左スリーブ45の外周部は、フランジ45fから軸方向外方に向かって外径が順次小径となる第1軸部45a、第2軸部45b、第3軸部45cが形成され、右スリーブ46の外周部はフランジ46fから軸方向外方に向かって外径が順次小径となる第1軸部46a、第2軸部46bが形成されている。左軸端部42cと右軸端部42dは外周面の一部を対向して平坦面とする二面幅形状としている。左スリーブ45に動力伝達部60とクラッチ機構70を配置している。
【0060】
動力伝達部60の構成とクラッチ機構70の構成
【0061】
動力伝達部60は、図5に示すように、矩形平板形状の伝達板61と、伝達板61の基端部に設けたハブ62と、伝達板61の先端部に幅方向に対向して設けた上下一対の上係合軸63aと下係合軸63bで構成される係合部63を有する。本実施形態において、動力伝達部60はクラッチ機構70の一部をなし、モータ軸4の軸方向に沿って移動可能とする可動部としての機能を有する。
【0062】
また、伝達板61の基端部に、図6に示すように、ハブ62の中心軸心を中心とする半径rの円上に周方向に沿って複数の長孔形状の係合孔64を等間隔に形成しており、本実施形態では係合孔64を6個形成している。複数の係合孔64に対応して回転円板43の外側に係合孔64の個数の半分の本数の係合ピン47が半径rの円周上に軸方向外方に向けて支出されている。周方向における係合ピン47のピッチは係合孔64のピッチの倍のピッチで形成され、また係合孔64を長孔に形成することにより、回転円板43の停止位置に関係なく係合ピン47が係合孔64に係合可能としている。なお、係合ピン47の本数を係合孔64の個数の半分である3本としているが、これに限定さるものではなく、回転円板43の位置に関係なく、全ての係合ピン47が異なる係合孔64に同時に係合できるピッチよ係合孔64の長孔の長さを設定すればよい。
【0063】
動力伝達部60は、ハブ62を左スリーブ45の第1軸部45aに軸方向移動可能で軸回りに回転可能に外装している。ハブ62は、内径部62aの内径dがフランジ45fの外径と同径に形成され、内径部62aの外端に内フランジ62bが形成されている。内フランジ62bの内径は第1軸部45aの外径と同径に形成されている。
【0064】
内径部62aには圧縮コイルスプリング65が内フランジ62bとフランジ45fとの間に内装されている。圧縮コイルスプリング65のバネ力に抗して伝達板61を回転円板43に向けて押圧し移動させると、伝達板61の各係合孔64が各係合ピン47に係合し、伝達板61と回転円板43がモータ軸42の軸回り方向に一体に回転可能となる。前記押圧力を解除すると、伝達板61が軸方向外方に向けて移動し、各係合孔64が各係合ピン47から離脱する。このため、伝達板61に対する回転円板43の回転力の伝達が解除される。すなわち、伝達板61の押圧と押圧解除動作はクラッチ機構70の動作となる。
【0065】
左スリーブ45の第1軸部45aには、伝達板61の軸方向外方側に円筒形状の円筒カム部71が回転可能で軸方向に移動可能に装着されている。円筒カム部71は、伝達板61のハブ62と接触する軸方向内端面71a(図4参照)をカム高さ基準面とする平坦面に形成し、反対側の軸方向外端面にカム72を形成している。
【0066】
左スリーブ45の第2軸部45bには、スタンド50の左脚部51の基端部51aに形成した軸孔51bが回転可能に装着されている。さらに、第3軸部45cには、図3中破線で示すように、左回転フレーム11aの基端部11cに形成した軸孔11dが回転自在に装着されている。
【0067】
左回転フレーム11aは図4および図5中破線で示すように、係合部63の上係合軸63aと下係合軸63bとの間に配置され、さらに基端部側はL字形状に折曲されてスタンド50の左脚部51よりも軸方向外側に配置される。上係合軸63aと下係合軸63bにはローラ63cが回転自在に取り付けられ、左回転フレーム11aとのスムーズな接触を行っている。
【0068】
左固定リンク23aは、左固定リンク23aの下端部に形成したスパナ開口状の開口部23c(図2参照)が左軸端部42cに差し込まれ、左固定リンク23aが回転不能に固定される。さらに、左軸端部42cの端面にボルト42eがネジ止められて左スリーブ45に装着された左固定リンク23a、左回転フレーム11a、左脚部51、円筒カム部71、伝達板61の抜けを防止している。
【0069】
なお、右スリーブ46の第1軸部46aには破線で示すように、右回転フレーム11bと右脚部51bの各基端部が回転可能に装着され、第2軸部46bにはダミーの円筒部材46cが装着され、右固定リンク23bを右軸端部42dに回転不能に固定し、右軸端部42dの端面に捩じ込んだボルト42fによりこれらの部材の抜けを防止している。
【0070】
図4において、クラッチ機構70を構成する円筒カム部71のカム72は、カム高さ基準面をなす軸方向内端面71aから軸方向の長さ(カム高さ)をH1とするニュートラル領域73と、軸方向長さ(カム高さ)をH2とするカムトップ部74を有し、カムトップ部74のカム高さH2をニュートラル領域73のカム高さH1よりも高く設定している。円筒カム部71は、カム高さH2とカム高さH1との差を深さH3とする切欠部75を周方向に沿って形成している。切欠部75は一端部75aと他端部75bとの間で所定の角度範囲θ1に形成している。所定の角度範囲θ1は、スタンド50が下げ位置と上げ位置との間で移動する角度範囲とし、切欠部75の一端部75aを直角な壁面とする。他端部75bから時計回り方向に沿ってカムトップ部74までの間を斜面75cとして円筒カム部71の軸方向外端面であるカムトップ部74に連設させている。他端部75bからカムトップ部74までの斜面75cの周方向の角度をθ2とする。
【0071】
スタンド50の左脚部51は、クラッチ機構70の一部を構成し、左脚部51の基端部51aには、円筒カム部71の切欠部75側に対向してカムフォロワーである突起部76を円筒カム部71の端面に向けて設けている。突起部76の突出高さを切欠部75の深さと同じH3とし、突起部76が切欠部75内に入り込んでいると、図4および図5に示すように伝達板61の係合孔64が回転円板43の係合ピン47から離脱した状態となる。この状態をニュートラル状態とし、円筒カム部71の位置をニュートラル位置とする。
【0072】
図4および図5は、円筒カム部71がニュートラル位置に設定された状態を示している。円筒カム部71のニュートラル位置において、スタンド50が下げ位置に下げられていると、突起部76は切欠部75の他端部75bに位置する。円筒カム部71をニュートラル位置に保持した状態で、スタンド50の左脚部51を略水平の上げ位置まで上げると、突起部76は切欠部75の一端部75aの壁面に当接する。突起部76が切欠部75の一端部75aに当接している位置を退避位置とする。
【0073】
退避位置において、円筒カム部71のカムトップ部74を突起部76に近づく方向に角度θ4(角度θ2を超えてさらにθ3の角度だけ回転させた角度)だけ回転させた位置をカム動作位置である動力伝達位置とする。動力伝達位置において、スタンド50を上げ位置から下げ位置に下げると、突起部76は元の位置まで角度θ1だけ回転移動する際、カム72の斜面75cと当接しながらカムトップ部74まで移動する。したがって、円筒カム部71と共に伝達板61が回転円板43に向けて移動し、回転円板43の係合ピン47に伝達板61の係合孔64が係合する。
【0074】
クラッチ機構70は、クラッチ操作部77により円筒カム部71をニュートラル位置と動力伝達位置との間を回転移動させる。クラッチ操作部77は、図1および図2に示すクラッチレバー78を前後方向に操作すると、連結ロッド79を介して動力伝達位置とニュートラル位置との間を回転移動させる。図2および図4に示すように、クラッチレバー78と円筒カム部71の外周部に固定したアームプレート80との間に連結ロッド79をそれぞれ上連結ピン79aと下連結ピン79bを介して連結している。図4に示すように、下連結ピン79bはアームプレート80に固定され、ロッドレバー78の軸孔79cが下連結ピン79bに左右方向に移動可能に連結され、伝達板61が動力伝達位置とニュートラル位置との間を移動可能としている。
【0075】
クラッチレバー78は、左アームレバー78aと右アームレバー78bの先端部間に左右方向に延びるアームバー78cを固定した構成としている。左アームレバー78aと右アームレバー78bは、図1および図2に示すように、左固定リンク23aの上端部と右固定リンク23bの上端部との間に固定された支持板78dに回転可能に取り付けられている。左アームレバー78bの後端に連結ロッド79の上端が上連結ピン79aを介して連結されている。
【0076】
クラッチレバー78は、図1および図2に示す位置が動力伝達位置で、図3に示す位置がニュートラル位置である。クラッチレバー78をニュートラル位置から前方に向けて倒すと、連結ロッド79が上方に向けて引き上げられ、アームプレート80を反時計回り方向に移動し、円筒カム部71が角度θ4だけ回転してカム動作位置である動力伝達位置に移動する。
【0077】
クラッチレバー78を動力伝達位置から後方に向けてニュートラル位置まで引くと、下方に移動する連結ロッド79がアームプレート80を時計回り方向に移動し、円筒カム部71が角度θ4だけ時計回り方向に回転してニュートラル位置に移動する。なお、クラッチレバー78の回転を規制してニュートラル位置を保持するクラッチレバーロック機構を設けることにより、不用意にクラッチレバーが動力伝達位置に移動することを未然に防止することができる。
【0078】
図3は、電動スクータ1の折り畳み動作の終了後に、クラッチレバー78を動力伝達位置からニュートラル位置に切り替えた状態を示しており、回転円板43は伝達板61と切り離されているため、後輪5は転動可能である。また、電動スクータ1が完全に折り畳まれた状態を保持するために、ハンドル部32を支持板78d等に保持するハンドル部ロック機構を設けることにより、折り畳まれた電動スクータ1が展開位置に向けて移動することを未然に防止することができる。
【0079】
電動スクータ1の折り畳みと展開動作を制御する制御部7は、CPU等で構成され、不図示の伸縮動作スタートスイッチをオンすると、電動スクータ1が展開状態となっていれば電動モータMを後進方向に回転させて折り畳み動作を開始させ、展開状態になっていれば電動モータMを前進方向に回転させて展開動作を開始させる。
【0080】
制御部7は、主フレーム部10、副フレーム部20、ハンドルポスト部31、ハンドル部32の折り畳み位置と展開位置とをそれぞれ検出する不図示の検出センサからのフレーム位置情報と、スタンド50の下げ位置と上げ位置とをそれぞれ検出する不図示の検出センサからのスタンド位置情報と、円筒カム部71のニュートラル位置と動力伝達位置を検出する不図示の検出センサからのクラッチ情報を取得する。
【0081】
制御部7は、取得した全てのフレーム位置情報が展開位置を示し、スタンド位置情報が下げ位置を示し、クラッチ情報が動力伝達位置を示す場合に伸縮動作スイッチからオン信号を取得すると、電動モータMに後進回転方向である第2回転方向への回転を指示する。その後、全てのフレーム位置情報が折り畳み位置に切り替わると、電動モータMの駆動を停止させる。
【0082】
制御部7は、全てのフレーム位置情報が折り畳み位置を示し、スタンド位置情報が下げ位置を示し、クラッチ情報がニュートラル位置を示した状態で、電動アシストスイッチをオンにした場合、図3に示す状態からクラッチレバー78を手で持って少し下方に下げながら後方に引っ張ると、後輪5が接地して後方への移動力を電動でアシストする。
【0083】
制御部7は、全てのフレーム位置情報が折り畳み位置を示し、スタンド位置情報が下げ位置を示し、クラッチ情報が動力伝達位置を示す場合に伸縮動作スイッチからオン信号を取得すると、電動モータMに前進回転方向である第1回転方向への回転を指示する。その後、全てのフレーム位置情報が展開位置に切り替わると、電動モータMの駆動を停止させる。前記伸縮動作スイッチと前記電動アシストスイッチは、電動スクータ1に設けても良く、またスマートフォンなどにより遠隔操作する構成としても良い。
【0084】
本実施形態において、電動スクータ1の伸縮動作を行う場合、電動モータMの反力はモータ軸42を介して左固定リンク23aと右固定リンク23bに伝達される。したがって、スタンド50で電動モータMの反力を受けるために、スタンド50の下げ位置で、左固定リンク23aと右固定リンク23bとスタンド50を時計回り方向(第2回転方向)および反時計回り方向(第1回転方向)に対して回転不能に固定する不図示の反力受部を設けている。反力受部としては、例えば電磁ソレノイドを用いることができ、電磁ソレノイドへの通電で係合軸が左右方向に沿って支出し、通電を遮断すると退避する。前記電磁ソレノイドを左固定リンク23aと右固定リンク23bにそれぞれ取り付け、スタンド50が下げ位置に下げられた状態で、左脚部51と右脚部にそれぞれ形成した不図示の係合孔に電磁ソレノイドの係合軸が係合可能とする。
【0085】
制御部7は、前記クラッチ情報が動力伝達位置を示し、スタンド位置情報が下げ位置を示す場合に前記電磁ソレノイドに通電して係合軸を支出させ、左固定リンク23aと右固定リンクの各係合孔に係合させる。制御部7は、前記フレーム位置情報が折り畳み位置から展開位置または展開位置から折り畳み位置に反転すると伸縮動作が終了したと判断し、前記電磁ソレノイドへの通電を遮断する。なお、反力受部を電気的に構成した場合を例示しているが機械的な構成であっても良い。
【0086】
次に、カム機構70の動作を図4図5図7図8図9図10に基づいて説明する。
【0087】
図4および図5は、円筒カム部71をニュートラル位置に設定し、スタンド50を下げ位置に下げた場合を示している。左脚部51の突起部76はニュートラル領域73の他端部75bに位置しているため、カムトップ部74に当接することはない。したがって、回転円板43の係合ピン47から伝達板61の係合孔64から離脱した状態が保持され、電動スクータ1の後輪5が回転しても伝達板61が回転することはない。
【0088】
すなわち、運転者は一時的に駐車する目的でスタンド50を下げた場合、電動スクータ1を折り畳んだ状態で後輪5を転動可能として引っ張りながら移動可能とすることが想定される。
【0089】
図7および図8は、円筒カム部71をニュートラル位置に設定し、スタンド50を上げた場合を示している。左脚部51の突起部76はカム72のニュートラル領域73において、一端部75aの壁面に当接しているため、カムトップ部74に当接することはない。したがって、回転円板43の係合ピン47から伝達板61の係合孔64から離脱した状態が保持され、電動スクータ1の後輪5が回転しても伝達板61が回転することはない。すなわち、運転者は電動スクータ1を運転している場合が想定される。
【0090】
図9および図10は、円筒カム部71を動力伝達位置に設定し、スタンド50を下げ位置に下げた場合を示している。伝達板61は水平状態であるため、電動スクータ1は折り畳み待機状態にある。左脚部51の突起部76はカム72のカムトップ部74に当接しているため、円筒カム部71は伝達板61を押しながら回転円板43に向けて移動する。伝達板61の係合孔64は周方向に沿った長孔に形成されているため、回転円板43の係合ピン47は確実に係合孔64に係合する。したがって、電動スクータ1を折り畳むために電動モータMを第2回転方向に回転すると、回転円板43と一体に伝達板61が第2回転方向に回転する。伝達板61が第2回転方向に回転すると、伝達板61の下係合軸63bが左回転フレーム11aの下面に当接しながら上方に向けて押し上げる。左回転フレーム11aがモータ軸42の回転中心軸線Lを中心に第2回転方向に回転することで、電動スクータ1の折り畳み動作が開始される。
【0091】
電動スクータ1の折り畳み動作を図11図15に基づいて説明する。
【0092】
図9および図10で説明したように、左回転フレーム11aが第2回転方向に回転を開始すると、図11に示すように、主フレーム部10の折り畳み動作に連動して副フレーム部20とハンドルポスト部31の折り畳み動作が開始され、ハンドルポスト部31の折り畳み動作に連動してハンドル部32の折り畳み動作が開始される。
【0093】
図11は回転フレーム部11が略水平方向から時計回り方向(第2回転方向)に回転(約50度の角度)した状態を示しており、従動フレーム部13が後方へ移動しながら略水平状態への姿勢変化に従っての前輪3が接地面を転動しながら後方に向けて移動し、電動スクータ1の前後方向の長さが短くなり始める。
【0094】
副フレーム部20は、左リンク部21と右リンク部22が同じ動作を行うため、左リンク部21の動作についてのみ説明し、右リンク部22の動作説明は省略する。左第1従動リンク25aが上方に向けて移動するため、左第2従動リンク27aが前端側を上向きに傾斜し、シート2の位置が高くなると共に前方が上向きに傾斜した姿勢となる。
【0095】
ハンドルポスト折り畳み機構35は、折れ曲がりロッド35aと従動フレーム部13との動作によりリンク板35cが時計回り方向に回転し、ヒンジ軸34を介して上ポスト部31aと共にハンドル部32が後方に向けて折り畳み動作が開始される。左回転フレーム11aの時計回り方向(第2回転方向)への回転が進むにつれて、上ポスト部31aの後方への折り畳み動作が進む。
【0096】
ハンドルバー折り畳み機構36は、上ポスト部31aと共にハンドル部32が後方に移動するため、連結体36dに連結されるロック板32dが開き方向に回転する。ロック板32dの開き動作と共に、連結体36dに連結される左ロッド36aと右ロッド36bにそれぞれ連結される左ハンドルバー32aと右ハンドルバー32bが上ポスト部31aに近づくように折れ曲がる折り畳み動作が開始される。
【0097】
図11に示す状態において、左ハンドルバー32aと右ハンドルバー32bの折り畳み動作はまだ途中である。
【0098】
図12は、図11に示す状態から左回転フレーム11aをさらに時計回り方向(第2回転方向)に回転し、約90度の角度まで左回転フレーム11aを回転した状態を示し、回転フレーム部11はシート2の下に位置する。
【0099】
図12に示す折り畳み状態は、後輪5に対して前輪3がさらに近づいており、また上ポスト部31aは水平状態に近づいた位置まで折り畳まれる。図11に示す状態から図12に示す状態に左回転フレーム11aが回転しても、左回転フレーム11aに設けた左第1支軸24aの上下方向と前後方向の移動距離は短いので、左第1従動リンク25aの上方と後方への移動は僅かであり、シート2の位置は殆ど変化しない。したがって、操舵部30が後輪5側に向けて近づく動作と上ポスト部31aの折り畳み動作が進行し、シート2の前方位置でハンドル部32が略下方の位置まで折り畳まれ、シート2の下に潜り込む。
【0100】
図13は、左回転フレーム11aが図12に示す位置からさらに約50度の角度を時計回り方向(第2回転方向)に回転させた最終折り畳み状態を示す。図12に示す状態から左回転フレーム11aが時計回り方向(第2回転方向)に回転すると、折れ曲がりロッド35aとリンク板35cとを連結する支軸35bの位置が上方に移動するため、リンク板35cがさらに時計回り方向に回転する。したがって、折り畳まれた左ハンドルバー32aと右ハンドルバー32bと一体の上ポスト部31aが水平位置からさらに後方に向けて下がった傾斜位置に折り畳まれると共に、左固定リンク23aに接近する位置まで移動する。その際、後輪5に対して前輪3が当たり、さらに操舵部30が後方に移動するので、前輪3が後輪5に接しながら向きが変わる。このため、電動スクータ1の前後方向の長さが最も短く、幅が最も狭くなる。
【0101】
一方、副リンク部20は、左第1支軸24aが図12に示すピーク位置から後方に移動すると共に下方に移動する。このため、左第1従動リンク25aは下方に下がりながら後方に移動することから左第2従動リンク27aの先端部が下方に向けて下がる。したがって、電動スクータ1は上下方向の高さが最も低くなる。
【0102】
図13に示す電動スクータ1の最終折り畳み状態は、クラッチレバー78を前方に倒した動力伝達位置に設定している。この状態では、図9および図10に示すように回転円板43と伝達板61が連結された状態であるため、後輪5を接地させた状態で電動スクータ1を押しても引いても後輪5は回転しない。このため、折り畳んでコンパクト化した電動スクータ1を手押しで移動させるのは困難である。
【0103】
図14は、クラッチレバー78を後方に引いた位置(ニュートラル位置)に切り替えた状態であって、クラッチレバー78を下向きに押し下げることにより、コロ54aを支点として折り畳まれた電動スクータ1が時計回り方向に回転し、後輪5が接地し、前輪3が浮いた状態を示した正面図、図15は上面図である。
【0104】
図14に示すように、コロ54aと後輪5が路面に接地するため、折り畳み状態の電動スクータ1は、運転者がクラッチレバー78を手で握って下方に下げながら後方に向けて引っ張ると、前輪3が浮いた状態で後輪5を転動させながら折り畳み姿勢の電動スクータ1を移動させることができる。例えば建物内、レベータ内への移動が容易に行える。特に、電動スクータ1のバッテリー6は重いので、電動スクータ1を折り畳んだ姿勢で建物内まで移動させ、バッテリー6を電動スクータ1から取り外すことなく充電することができる。
【0105】
図15に示すように、最終折り畳み状態は、左右方向において最も外側に左第1従動リンク25aと右第1従動リンク25bが位置し、その間に左ハンドルバー32aと右ハンドルバー32bが位置し、幅方向の略中央に上ポスト部31aが前後方向に沿って位置する。左ハンドルバー32aと右ハンドルバー32bは、前後方向において左第1従動リンク25aと右第1従動リンク25bの前端および後端の間に位置する。また、前輪3は傾いた姿勢であっても、左第1従動リンク25aと右第2従動リンク27bとの間に位置する。前輪3を傾かせることにより、電動スクータ1の折り畳み姿勢における前後方向の長さを極力短くすることができる。
【0106】
上記した実施形態において、副フレーム部20は、シート2の移動軌跡を折り畳み初期からが折り畳み動作の終期にわたって上方に向けて移動させ、最後に下方に移動させているがこのような移動軌跡に限定されることはなく、主フレーム部10が折り畳み動作のために時計回り方向に回転するのに従って折り畳まれればよい。
【0107】
また、上ポスト部31aの折り畳み動作に連係して左右のハンドルバー32a、32bを折り畳むようにしているが、手動操作で折り畳むようにしても良い。
【0108】
他の実施形態
図16図18は他の実施形態を示す。
上記した実施形態は、図1図3に示すように、ボディー構造としてフレーム部材を用いたフレーム構造としており、説明容易のために骨格のみを示している。本実施形態の電動スクータ1は、ボディー構造に外装部材を取り付けた構成を示している。
【0109】
図16に示すように、主フレーム部10には従動フレーム部13と下ポスト部31bを覆う主カバー110を従動フレーム部13に取り付け、副フレーム部20には副カバー120を取り付けている。また、前輪3には前輪カバー103が取り付けられ、後輪5には後輪カバー105が取り付けられる。主カバー110は、運転者の足が載る足置き部110aを有し、下ポスト部31bの前面を覆うと共に、従動フレーム本体13cの左右両側を覆うフロントカウル110bを有する。フロントカウル110bは、左右両側面の後端部110cを角形状に形成している。
【0110】
副カバー120は、左リンク部21を覆う副左カバー部120aと右リンク部22を覆う副右カバー部120bと背面部を覆う副背面カバー部120cとの3側部を有すると共に、上部にシート2を取り囲むシート切欠部121が形成され前面が開口する形状に形成されている。そして、副カバー120は、左固定リンク23aと右固定リンク23bに取り付けられている。
【0111】
したがって、折り畳み動作および展開動作に伴って副カバー120は動かない。これに対し、副フレーム部20の折り畳み動作の開始により、シート2は左第3支軸28aと右第3支軸28bを支点として上方に移動しながら後方に移動し、折り畳まれる上ポスト部31aが左リンク部21と右リンク部22との間に収納される。その後シート2は左第3支軸28aと右第3支軸28bを支点として下方に移動しながら前方に移動し、元に戻って副カバー部120のシート切欠部121に収まる。
【0112】
折り畳みの最終状態において、副カバー120の前面開口を主カバー110で覆うようにしている。副カバー部材120の副左カバー部120aと副右カバー部120bは前面に向けて大きく三角形に切欠いた逃げ部122が形成される。またフロントカウル110bの左右両側面の後端部110cに形成した各角部は副左カバー部120aと副右カバー部120bの各逃げ部122に係合する。このため、図18に示すように、電動スクータ1は折り畳み状態で主カバー110と副カバー120と前輪カバー103と後輪カバー105とにより包まれた外観となる。また、上ポスト部31aには風防カバー131が取り付けられている。折り畳み最終状態で風防カバー131は上ポスト部31aと一体に副フレーム部20内に収納される。
【0113】
本実施形態において、副フレーム部20は、左第1従動リンク25aと右第1従動リンク25bをショックアブソーバで構成し、走行時の衝撃を吸収し、シート2に着座する運転者の乗り心地を良くしている。なお、外装部材の構成は上記の実施形態に限定されるものではない。またバッテリー6も後輪の左右に配置しても良く、制御部7の配置位置も特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0114】
1:電動スクータ 2:シート 3:前輪 4:電動駆動部
M:電動モータ Ma:電磁石 Mb:永久磁石部 L:回転中心軸線
41:ホイール 41a:ハブ 42:モータ軸 42a:左延出部
42b:右延出部 42c:左軸端部 42d:右軸端部
42e、42f:ボルト 43:回転円板 45:左スリーブ
45a:第1軸部 45b:第2軸部 45c:第3軸部
45f、46f:フランジ 46:右スリーブ 46a:第1軸部
46b:第2軸部 46c:円筒部材 47:係合ピン 5:後輪
6:バッテリー 7:制御部 10:主フレーム部 11:回転フレーム部11a:左回転フレーム 11b:右回転フレーム 11c:基端部
11d:軸孔 12:主連結軸 13:従動フレーム部 13a:前部
13b:後部 13c:従動フレーム本体 13d:軸受
13e:ストッパープレート 20:副フレーム部 21:左リンク部
22:右リンク部 22a:左駆動リンク 22b:右駆動リンク
23a:左固定リンク 23b:右固定リンク 23c:開口部
24:連結バー 24a:左第1支軸 25a:左第1従動リンク
25b:右第1従動リンク 26a:左第2支軸 26b:右第2支軸
27a:左第2従動リンク 27b:右第2従動リンク 28a:左第3支軸
28b:右第3支軸 30:操舵部 31:ハンドルポスト部
31a:上ポスト部 31b:下ポスト部 31c:上フランジ部
31d:下フランジ部 32:ハンドル部 32a:左ハンドルバー
32b:右ハンドルバー 32c:ハンドルバー取り付け部 32d:ロック板
32e:ヒンジ部 32f:ハンドルバーロック部材 33:フォーク
34:ヒンジ軸 35:ハンドルポスト折り畳み機構
35a:折れ曲がりロッド 35b、35e:支軸 35c:リンク板
35d:ブラケット 36:ハンドルバー折り畳み機構 36a:左ロッド
36b:右ロッド 36c:中央ロッド 36d:連結体
36e:取り付けブラケット 50:スタンド 51:左脚部
51a:基端部 51b:軸孔 52:底板 54:接地板
54a:コロ 60:動力伝達部 61:伝達板 62:ハブ
62a:内径部 62b:内フランジ 63:係合部 63a:上係合軸
63b:下係合軸 63c:ローラ 64:係合孔
65:圧縮コイルスプリング 70:クラッチ機構 71:円筒カム部
71a:軸方向内端面 72:カム 73:ニュートラル領域
74:カムトップ部 75:切欠部 75a:一端部 75b:他端部
75c:斜面 76:突起部 77:クラッチ操作部
78:クラッチレバー 78a:左アームレバー 78b:右アームレバー
78c:アームバー 78d:支持板 79:連結ロッド
79a:上連結ピン 79b:下連結ピン 79c:軸孔
80:アームプレート 110:主カバー 120:副カバー
103:前輪カバー 105:後輪カバー 110a:足置き部
110b:フロントカウル 110c:後端部 120a:副左カバー部
120b:副右カバー部 120c:副背面カバー部 121:シート切欠部
122:逃げ部 131:風防カバー
【要約】
【課題】安全でハンズフリーに車両の折り畳みと展開を可能とする折り畳み機構を備えた電動車両の提供。
【解決手段】鞍乗型の電動車両1は、前輪3を備えた操舵部30とバッテリー6で駆動される後輪5を有する。電動車両1は、回転フレーム部11の先端部に操舵部30を備えた従動フレーム部13を連結軸12で連結し、回転フレーム部11の回転に従動して操舵部30を前後方向に移動可能とする主フレーム部10と、シート2を備え回転フレーム部11の回転動作で前後方向に伸縮する副フレーム部20と、後輪5の電動モータにより回転駆動され、回転フレーム部11に回転駆動力を伝達する動力伝達部60と、動力伝達部60への動力伝達と該動力伝達を遮断する動力遮断状態を切り替えるクラッチ機構70と、後輪5を接地面から浮かし前輪3を接地面に接地させて電動車両1を自立可能に支持するスタンド50と、により構成する。
【選択図】図1
図1
図2
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図4
図5
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図18