特許第6748937号(P6748937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6748937
(24)【登録日】2020年8月13日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】蓄電装置及び蓄電装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/30 20060101AFI20200824BHJP
   H01M 2/20 20060101ALI20200824BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20200824BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20200824BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20200824BHJP
   H01G 11/76 20130101ALI20200824BHJP
   H01G 2/02 20060101ALI20200824BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20200824BHJP
【FI】
   H01M2/30 C
   H01M2/20 A
   H01M2/20 Z
   H01M2/10 M
   H01M2/10 S
   H01M2/34 A
   H01G11/10
   H01G11/76
   H01G2/02 101E
   H01G11/84
【請求項の数】14
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-209914(P2015-209914)
(22)【出願日】2015年10月26日
(65)【公開番号】特開2016-92005(P2016-92005A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2018年9月12日
(31)【優先権主張番号】特願2014-224332(P2014-224332)
(32)【優先日】2014年11月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 丈
【審査官】 前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−242376(JP,A)
【文献】 特開2007−042578(JP,A)
【文献】 特開2002−134094(JP,A)
【文献】 特開2005−019213(JP,A)
【文献】 特表2014−510998(JP,A)
【文献】 特表2013−541159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/30
H01M 2/20
H01M 2/10
H01M 2/34
H01G 2/02
H01G 2/10
H01G 11/10
H01G 11/76
H01G 11/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体を収容するケースと該ケースの外面上に配置された一対の外部端子とをそれぞれが有する複数の蓄電素子を備え、
前記外部端子のそれぞれは、前記ケースの外面に配置される台部と、前記台部から延出する取付部と、前記取付部の延出方向の先端から起立する接続部と、を有し、
前記接続部と前記取付部とは、導電性を有し且つ屈曲した板状の部材によって構成され、
該複数の蓄電素子のうち隣り合う二つの蓄電素子のうち何れか一方の蓄電素子は、前記一対の外部端子のうちの何れか一方の外部端子に、少なくとも凸部を含む前記接続部を有し、
前記複数の蓄電素子のうち隣り合う二つの蓄電素子のうち何れか他方の蓄電素子は、前記一対の外部端子のうちの何れか他方の外部端子に、少なくとも凹部を含む前記接続部を有し、
前記凸部は、前記凹部に嵌り込んでいる
蓄電装置。
【請求項2】
前記一方の蓄電素子における接続部の凸部は、突出する方向で先端と、該先端とは反対側の基端とを有するとともに、
基端側から先端側になるにつれて、該凸部の突出する方向と直交する方向における断面積が大きくなる抜止部を含む
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記一方の外部端子の接続部は、
前記他方の外部端子の接続部よりも、延性の高い金属で構成される
請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記一対の外部端子の接続部は、隣り合う外部端子の接続部と対向する合わせ面を含み、
前記一方の外部端子の接続部、及び前記他方の外部端子の接続部は、少なくとも合わせ面に腐食防止層が配される
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記一方の外部端子の接続部と、前記他方の外部端子の接続部とは、互いに異なる金属で構成され、
前記一方の外部端子の接続部と、該接続部の凸部が凹部に嵌め込まれている接続部とにおける、互いの合わせ面の外周縁部の少なくとも一部は、絶縁部材で覆われる
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
それぞれが一対の外部端子を有する複数の蓄電素子と、
該複数の蓄電素子のうちの隣り合う二つの蓄電素子のうちの少なくとも何れか一方に接続されるセンサ部材と、を備え、
前記隣り合う二つの蓄電素子のうち何れか一方の蓄電素子は、前記一対の外部端子のうちの何れか一方の外部端子に、少なくとも凸部を含む接続部を有し、
前記隣り合う二つの蓄電素子のうち何れか他方の蓄電素子は、前記一対の外部端子のうちの何れか他方の外部端子に、少なくとも凹部を含む接続部を有し、
前記凸部は、前記凹部に嵌り込み、
前記隣り合う二つの蓄電素子における前記一対の外部端子のそれぞれの接続部は、前記凸部と、該凸部の反対側に位置する凹部であって、該凸部の突出する方向と同方向に窪む凹部とを含み、
該センサ部材は、前記一方の外部端子における接続部の凹部に嵌り込む凸部、又は前記他方の外部端子における接続部の凸部が嵌り込む凹部の何れか一方を含む接続部を有する
蓄電装置。
【請求項7】
前記一方の蓄電素子における接続部の凸部は、突出する方向で先端と、該先端とは反対側の基端とを有するとともに、
基端側から先端側になるにつれて、該凸部の突出する方向と直交する方向における断面積が大きくなる抜止部を含む
請求項6に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記一方の外部端子の接続部は、
前記他方の外部端子の接続部よりも、延性の高い金属で構成される
請求項6又は7に記載の蓄電装置。
【請求項9】
前記一対の外部端子の接続部は、隣り合う外部端子の接続部と対向する合わせ面を含み、
前記一方の外部端子の接続部、及び前記他方の外部端子の接続部は、少なくとも合わせ面に腐食防止層が配される
請求項6乃至請求項の何れか一項に記載の蓄電装置。
【請求項10】
前記一方の外部端子の接続部と、前記他方の外部端子の接続部とは、互いに異なる金属で構成され、
前記一方の外部端子の接続部と、該接続部の凸部が凹部に嵌め込まれている接続部とにおける、互いの合わせ面の外周縁部の少なくとも一部は、絶縁部材で覆われる
請求項6乃至請求項の何れか一項に記載の蓄電装置。
【請求項11】
それぞれが外部端子を有する複数の蓄電素子を備える蓄電装置の製造方法であって、
前記複数の蓄電素子を並べて配置し、
前記複数の蓄電素子のうち隣り合う二つの蓄電素子の外部端子の接続部を互いに当接させ、
前記外部端子に接続するためのセンサ部材を前記二つの蓄電素子のうちの一方の蓄電素子における外部端子の接続部、又は他方の蓄電素子における外部端子の接続部に当接させ、
前記二つの外部端子のそれぞれの接続部及び前記センサ部材を雄型の金型と雌型の金型とで挟み込んだ状態で押圧する
蓄電装置の製造方法。
【請求項12】
電極体を収容するケースの外面上に前記外部端子を配置して前記蓄電素子を構成し、
隣り合う二つの蓄電素子の外部端子の接続部を前記ケースと前記外部端子とが並ぶ方向と直交又は略直交する方向で互いに当接させる
請求項11に記載の蓄電装置の製造方法。
【請求項13】
外部端子を有する少なくとも一つの蓄電素子と、
該蓄電素子を外部回路と接続するための外部出力端子と、
前記外部端子及び前記外部出力端子のうちの少なくとも何れか一方に接続されるセンサ部材と、を備え、
前記外部端子及び該外部出力端子のうちの何れか一方は、少なくとも凸部を含む接続部を有し、
前記外部端子及び前記外部出力端子のうちの何れか他方は、少なくとも凹部を含む接続部を有し、
前記凸部は、前記凹部に嵌まり込み、
前記外部端子及び前記外部出力端子のそれぞれの接続部は、前記凸部と、該凸部の反対側に位置する凹部であって、該凸部の突出する方向と同方向に窪む凹部と、を含み、
前記センサ部材は、前記外部端子の接続部の凹部又は前記外部出力端子の接続部の凹部に嵌まり込む凸部、及び前記外部端子の接続部の凸部又は前記外部出力端子の接続部の凸部が嵌まり込む凹部の少なくとも何れか一方を含む接続部を有する
蓄電装置。
【請求項14】
蓄電素子を外部回路と接続するための外部出力端子と、
前記外部回路の一部である外部回路端子であって、前記外部出力端子と電気的に接続される外部回路端子と、
前記外部出力端子及び前記外部回路端子のうちの少なくとも何れか一方に接続されるセンサ部材と、を備え、
前記外部出力端子及び前記外部回路端子のうちの何れか一方は、少なくとも凸部を含む接続部を有し、
前記外部出力端子及び前記外部回路端子のうちの何れか他方は、少なくとも凹部を含む接続部を有し、
前記凸部は、前記凹部に嵌まり込み、
前記外部出力端子の接続部及び前記外部回路端子の接続部のそれぞれは、前記凸部と、該凸部の反対側に位置する凹部であって、該凸部の突出する方向と同方向に窪む凹部と、
を含み、
該センサ部材は、前記外部出力端子の接続部の凹部又は前記外部回路端子の接続部の凹部に嵌まり込む凸部、及び前記外部出力端子の接続部の凸部又は前記外部回路端子の接続部の凸部が嵌まり込む凹部の少なくとも何れか一方を含む接続部を有する
蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つ以上の蓄電素子を含む蓄電装置及び蓄電装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド電気自動車等の各種機器では容量の大きな電源が必要なため、図10に示すように、複数の電池セル6を備える電池パックが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図11に示すように、複数の電池セル6は、角形の外装缶60と、該外装缶60の上面から突出する一対の電極端子61とを有する。
【0004】
電極端子61は、板状の部材を折り曲げて形成される折曲片610を有する。折曲片610は、外装缶60から上方に突出する第一の片部611と、第一の片部611から延出する第二の片部612であって、該第一の片部611が延びる方向と直交する方向に延びる第二の片部612とを有する。そして、第二の片部612には、連結穴613が形成されている。
【0005】
前記電池パックは、隣り合う電池セル6のそれぞれの第二の片部612を互いに当接させて、各電池セル6を電気的に接続している。さらに、前記電池パックは、互いに当接する第二の片部612のそれぞれの連結穴613にリベットや、ボルト等の締結部材(図12に示す電池パックでは、リベット)を挿通させる。そして、互いに当接する第二の片部612のそれぞれを締結部材によって締結する。
【0006】
そのため、前記電池パックを製造する場合、隣接する電池セル6のそれぞれの第二の片部612の連結穴613に締結部材を挿通するにあたり、該第二の片部612のそれぞれの連結穴613を一致させる必要がある。従って、前記電池パックを製造する場合、隣接する電池セル6を電気的に接続する作業が煩雑である。
【0007】
また、前記電池パックでは、隣り合う電池セル6のそれぞれの第二の片部612が適正に締結されていない場合、隣り合う電池セル6のそれぞれの第二の片部612の接続が解除されてしまうことがある。そのため、前記電池パックでは、隣り合う電池セル6の電気的接続が解除されることがある。
【0008】
さらに、前記電池パックでは、例えば、外部回路(モーター、制御装置、又は別の電池パック等のように、一部に電気が流れることによって電気回路の一部を構成するもの)に接続される端子が電池セル6の電極端子61に締結される場合も同様に、該端子が電池セル6の電極端子61に対して適正に締結されていなければ、電池セル6の電極端子61と該端子との接続が解除されてしまうことがある。そのため、前記電池パックでは、電池セル6に対する外部回路の電気的接続が解除されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−181765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、蓄電素子に対する電気的な接続が解除されることを抑えることができる蓄電装置を提供することを課題とする。
【0011】
また、本発明は、上記問題に鑑み、蓄電素子に対する接続作業を効率よく行うことができる蓄電装置の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る蓄電装置は、
それぞれが一対の外部端子を有する複数の蓄電素子を備え、
該複数の蓄電素子のうち隣り合う二つの蓄電素子のうち何れか一方の蓄電素子は、前記一対の外部端子のうちの何れか一方の外部端子に、少なくとも凸部を含む接続部を有し、 前記複数の蓄電素子のうち隣り合う二つの蓄電素子のうち何れか他方の蓄電素子は、前記一対の外部端子のうちの何れか他方の外部端子に、少なくとも凹部を含む接続部を有し、
前記凸部は、前記凹部に嵌り込んでいる。
【0013】
前記蓄電装置では、前記一方の蓄電素子における一方の接続部の凸部が前記他方の蓄電素子における他方の接続部の凹部を画定する部分に嵌り込んでいる。そのため、前記蓄電装置は、互いに接合される二つの接続部が離れることを抑えることができる。従って、前記蓄電装置は、隣り合う蓄電素子同士の電気的な接続が解除されることを抑えることができる。
【0014】
前記一方の蓄電素子における一方の接続部の凸部は、突出する方向で先端と、該先端とは反対側の基端とを有するとともに、
基端側から先端側になるにつれて、該凸部の突出する方向と直交する方向における断面積が大きくなる抜止部を含む、
ようにしてもよい。
【0015】
このようにすれば、抜止部が前記他方の蓄電素子における他方の接続部の凹部内に嵌り込み、前記一方の蓄電素子における一方の接続部の凸部が前記他方の蓄電素子における他方の接続部の凹部から外れることを抑えることができる。従って、前記蓄電装置は、隣り合う蓄電素子同士の電気的な接続が解除されることをより確実に抑えることができる。
【0016】
前記蓄電装置において、
該複数の蓄電素子のうちの隣り合う二つの蓄電素子における前記一対の外部端子のそれぞれの接続部は、前記凸部と、該凸部の反対側に位置する凹部であって、該凸部の突出する方向と同方向に窪む凹部とを含み、
前記隣り合う二つの蓄電素子のうちの少なくとも何れか一方に接続されるセンサ部材をさらに備え、
該センサ部材は、前記一方の外部端子における接続部の凹部に嵌り込む凸部、又は前記他方の外部端子における接続部の凸部が嵌り込む凹部の何れか一方を含む接続部を有する、
ようにしてもよい。
【0017】
前記蓄電装置では、センサ部材の接続部には、前記一方の外部端子の接続部の凹部に嵌り込む凸部、又は前記他方の外部端子の接続部の凸部が嵌り込む凹部の何れか一方が含まれる。そのため、センサ部材の接続部は、前記一方の外部端子の接続部又は前記他方の外部端子の接続部から離れた状態になることを抑えることができる。従って、前記蓄電装置は、センサ部材と、前記一方の蓄電素子における外部端子又は前記他方の蓄電素子における外部端子とが電気的に接続されている状態をより確実に保つことができる。すなわち、前記蓄電装置では、蓄電素子に対するセンサ部材の電気的な接続が解除されることを抑えることができる。
【0018】
前記一方の外部端子の接続部は、
前記他方の外部端子の接続部よりも、延性の高い金属で構成される、
ようにしてもよい。
【0019】
このようにすれば、一方の外部端子の接続部が変形し易くなる。そのため、前記蓄電装置では、一方の外部端子の接続部の凸部が損傷することを抑えることができる。これにより、前記蓄電装置は、互いに接合されている二つの接続部が離れることをより確実に抑えることができる。従って、前記蓄電装置は、隣り合う蓄電素子同士の電気的な接続が解除されることをより確実に抑えることができる。
【0020】
前記一対の外部端子の接続部は、隣り合う外部端子の接続部と対向する合わせ面を含み、
前記一方の外部端子の接続部、及び前記他方の外部端子の接続部は、少なくとも合わせ面に腐食防止層が配される、
ようにしてもよい。
【0021】
このようにすれば、一方の外部端子の接続部、及び他方の外部端子の接続部の少なくとも合わせ面が腐食することを抑えることができる。
【0022】
前記一方の外部端子の接続部と、前記他方の外部端子の接続部とは、互いに異なる金属で構成され、
前記一方の外部端子の接続部と、該接続部の凸部が凹部に嵌め込まれている接続部とにおける、互いの合わせ面の外周縁部の少なくとも一部は、絶縁部材で覆われる、
ようにしてもよい。
【0023】
異なる金属で構成される二つの接続部を接合する場合、各接続部の界面に水分が付着すると、各接続部に電食が生じる可能性がある。しかしながら、前記蓄電装置では、互いに接合される二つの接続部のそれぞれの合わせ面における外周縁部の少なくとも一部が絶縁部材で覆われるため、該二つの接続部のそれぞれに電食が生じることを抑えることができる。
【0024】
前記凸部及び前記凹部の少なくとも一方の厚さ寸法は、前記外部端子の接続部以外の部位の厚さ寸法より小さい、
ようにしてもよい。
【0025】
このように、二つの接続部を接続(結合)している部位である凸部及び凹部の少なくとも一方を薄くすることで、過電流等による発熱によって溶断させることができ(即ち、接続部に所謂ヒューズ的な機能を持たすことができ)、これにより、蓄電装置の安全性を高めることができる。
【0026】
本発明に係る蓄電装置の製造方法は、
それぞれが外部端子を有する複数の蓄電素子を備える蓄電装置の製造方法であって、
前記複数の蓄電素子を並べて配置し、
前記複数の蓄電素子のうち隣り合う二つの蓄電素子の外部端子の接続部を互いに当接させ、
該二つの接続部のそれぞれを雄型の金型と雌型の金型とで挟み込んだ状態で押圧する。
【0027】
前記蓄電装置の製造方法では、前記二つの蓄電素子のそれぞれの接続部を雄型の金型と雌型の金型とで挟み込んだ状態で押圧する。そのため、互いに当接する二つの接続部のうちの何れか一方の接続部に凸部を形成しつつ、該凸部が嵌め込まれている凹部を前記二つの接続部のうちの何れか他方の接続部に形成することができる。そのため、前記蓄電装置の製造方法は、金型による押圧によって、各接続部を接合することができる。従って、前記蓄電装置の製造方法は、隣り合う蓄電素子を効率よく電気的に接続することができる。
【0028】
前記蓄電装置の製造方法において、
電極体を収容するケースの外面上に前記外部端子を配置して前記蓄電素子を構成し、
隣り合う二つの蓄電素子の外部端子の接続部を前記ケースと前記外部端子とが並ぶ方向と直交又は略直交する方向で互いに当接させる、
ようにしてもよい。
【0029】
このようにすれば、前記蓄電装置の製造方法では、隣り合う二つの蓄電素子のそれぞれにおける外部端子の接続部を押圧し易くなる。そのため、前記蓄電装置の製造方法は、隣り合う二つの蓄電素子のそれぞれにおける外部端子の接続部を接合し易くなる。従って、前記蓄電装置の製造方法は、隣り合う蓄電素子をさらに効率よく電気的に接続することができる。
【0030】
前記蓄電装置の製造方法において、
前記外部端子に接続するためのセンサ部材を前記二つの蓄電素子のうちの一方の蓄電素子における一方の外部端子の接続部、又は他方の蓄電素子における他方の外部端子の接続部に当接させ、
前記センサ部材を前記一方の蓄電素子における一方の接続部に当接させ、
前記二つの外部端子のそれぞれの接続部及び前記センサ部材を、雄型の金型と雌型の金型とで挟み込んだ状態で押圧する、
ようにしてもよい。
【0031】
前記蓄電装置の製造方法では、隣り合う二つの蓄電素子のそれぞれの外部端子の接続部及びセンサ部材を、雄型の金型と雌型の金型とで挟み込んだ状態で押圧する。そのため、センサ部材の接続部には、前記一方の外部端子における接続部の凹部に嵌り込む凸部、又は前記他方の外部端子における接続部の凸部が嵌り込む凹部が形成される。そのため、前記蓄電装置の製造方法は、センサ部材における接続部と、前記二つの蓄電素子のそれぞれの外部端子の接続部との位置合わせを必要とせずに、各接続部を接合することができる。従って、前記蓄電装置の製造方法は、効率よく隣り合う蓄電素子を電気的に接続することができ、さらに、効率よく配電端子と蓄電素子とを電気的に接続することもできる。
【0032】
本発明の別の蓄電装置は、
外部端子を有する少なくとも一つの蓄電素子と、
該蓄電素子を外部回路と接続するための外部出力端子と、を備え、
前記外部端子及び該外部出力端子のうちの何れか一方は、少なくとも凸部を含む接続部を有し、
前記外部端子及び前記外部出力端子のうちの何れか他方は、少なくとも凹部を含む接続部を有し、
前記凸部は、前記凹部に嵌まり込んでいる。
【0033】
前記蓄電装置では、外部端子の接続部及び外部出力端子の接続部のうちの何れか一方の接続部に含まれる凸部が、外部端子の接続部及び外部出力端子の接続部のうちの何れか他方の接続部に含まれる凹部を画定する部分に嵌り込んでいる。そのため、前記蓄電装置では、互いに接合される外部端子の接続部と外部出力端子の接続部とが離れることを抑えることができる。従って、前記蓄電装置は、蓄電素子に対する外部回路の電気的な接続が解除されることを抑えることができる。
【0034】
この場合、
前記外部端子及び前記外部出力端子のうちの少なくとも何れか一方に接続されるセンサ部材をさらに備え、
前記外部端子及び前記外部出力端子のそれぞれの接続部は、前記凸部と、該凸部の反対側に位置する凹部であって、該凸部の突出する方向と同方向に窪む凹部と、を含み、
前記センサ部材は、前記外部端子の接続部の凹部又は前記外部出力端子の接続部の凹部に嵌まり込む凸部、及び前記外部端子の接続部の凸部又は前記外部出力端子の接続部の凸部が嵌まり込む凹部の少なくとも何れか一方を含む接続部を有するようにしてもよい。
【0035】
センサ部材の接続部に前記凸部が含まれる場合、該センサ部材の接続部の凸部は、外部端子の接続部の凹部又は外部出力端子の接続部の凹部のうちの何れか一方の凹部に嵌まり込む。そのため、前記蓄電装置は、センサ部材が外部端子や、外部出力端子から離れることを抑えることができる。
【0036】
また、センサ部材の接続部に前記凹部が含まれる場合、該センサ部材の接続部の凹部には、外部端子の接続部の凸部及び外部出力端子の接続部の凸部のうちの何れか一方の接続部の凸部が嵌まり込む。この場合においても、前記蓄電装置は、センサ部材が外部端子や、外部出力端子から離れることを抑えることができる。
【0037】
従って、前記蓄電装置は、蓄電素子に対するセンサ部材の電気的な接続が解除されることを抑えることができる。
【0038】
また、本発明のさらに別の蓄電装置は、
蓄電素子を外部回路と接続するための外部出力端子と、
前記外部回路の一部である外部回路端子であって、前記外部出力端子と電気的に接続される外部回路端子と、を備え、
前記外部出力端子及び前記外部回路端子のうちの何れか一方は、少なくとも凸部を含む接続部を有し、
前記外部出力端子及び前記外部回路端子のうちの何れか他方は、少なくとも凹部を含む接続部を有し、
前記凸部は、前記凹部に嵌まり込んでいる。
【0039】
前記蓄電装置では、外部出力端子の接続部及び外部回路端子の接続部のうちの何れか一方の接続部に含まれる凸部が、外部出力端子の接続部及び外部回路端子の接続部のうちの何れか他方の接続部に含まれる凹部に嵌り込んでいる。そのため、前記蓄電装置は、外部出力端子の接続部と外部回路端子の接続部とが離れることを抑えることができる。従って、前記蓄電装置では、蓄電素子に対する外部回路の電気的な接続が解除されることを抑えることができる。
【0040】
この場合、
前記外部出力端子及び前記外部回路端子のうちの少なくとも一方に接続されるセンサ部材をさらに備え、
前記外部出力端子の接続部及び前記外部回路端子の接続部のそれぞれは、前記凸部と、該凸部の反対側に位置する凹部であって、該凸部の突出する方向と同方向に窪む凹部と、を含み、
該センサ部材は、前記外部出力端子の接続部の凹部又は前記外部回路端子の接続部の凹部に嵌まり込む凸部、及び前記外部出力端子の接続部の凸部又は前記外部回路端子の接続部の凸部が嵌まり込む凹部の少なくとも何れか一方を含む接続部を有するようにしてもよい。
【0041】
前記蓄電装置では、センサ部材の接続部に前記凸部が含まれる場合、該センサ部材の凸部は、外部出力端子の接続部の凹部及び外部回路端子の接続部の凹部のうちの何れか一方の凹部に嵌まり込む。そのため、前記蓄電装置は、センサ部材が外部出力端子や、外部回路端子から離れることを抑えることができる。
【0042】
また、前記蓄電装置では、センサ部材の接続部に前記凹部が含まれる場合、該センサ部材の接続部の凹部には、外部出力端子の接続部の凸部及び外部回路端子の接続部の凸部のうちの何れか一方の凸部が嵌まり込む。この場合においても、前記蓄電装置は、センサ部材が外部出力端子や、外部回路端子から離れることを抑えることができる。
【0043】
従って、前記蓄電装置では、蓄電素子に対する外部回路の電気的な接続が解除されることを抑えることができる。
【発明の効果】
【0044】
以上のように、本発明の蓄電装置によれば、蓄電素子に対する電気的な接続が解除されることを抑えることができる。
【0045】
また、本発明の蓄電装置の製造方法によれば、蓄電素子に対する接続作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る蓄電装置の斜視図である。
図2図2は、同実施形態に係る蓄電装置の蓄電素子の斜視図である。
図3図3は、同実施形態に係る蓄電装置の分解斜視図である。
図4図4は、同実施形態に係る蓄電装置の部分拡大図であって、蓄電素子の部分拡大図である。
図5図5は、同実施形態に係る蓄電装置の外部端子の断面図である。
図6図6は、同実施形態に係る蓄電装置の製造方法の説明図であって、各接続部を並べた状態の説明図である。
図7図7は、同実施形態に係る蓄電装置の製造方法の説明図であって、各接続部を接続した状態の説明図である。
図8図8は、本発明の他の実施形態に係る蓄電装置の部分拡大図である。
図9図9は、本発明の別の実施形態に係る蓄電装置の部分拡大図である。
図10図10は、従来の電池パックの斜視図である。
図11図11は、従来の電池パックにおける蓄電素子の斜視図である。
図12図12は、従来の電池パックにおける外部端子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の蓄電装置の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。尚、本実施形態の各構成部材の名称は、本実施形態におけるものであり、背景技術における各構成部材の名称と異なる場合がある。
【0048】
蓄電装置は、図1に示すように、外部端子11,12を有する蓄電素子1と、該蓄電素子1に隣り合うスペーサ2と、蓄電素子1及びスペーサ2をひとまとめに保持する保持部材3とを備える。保持部材3は、導電材料により成形される。これに伴い、蓄電装置は、蓄電素子1と保持部材3との間に配置されるインシュレータ4を備える。本実施形態の保持部材3は、その構成要素として、図1に示されている終端部材30と、フレーム31とを備えている。
【0049】
本実施形態に係る蓄電装置は、複数の蓄電素子1を備える。複数の蓄電素子1のそれぞれは、一方向に整列する。また、蓄電装置では、隣り合う二つの蓄電素子1の外部端子11,12が電気的に接続されている。
【0050】
なお、以下の説明において、便宜上、蓄電素子1の整列する方向(第一方向)をX軸方向という。また、蓄電素子1の整列する方向(X軸方向)と直交する二軸方向のうちの一つの方向(第二方向)をY軸方向といい、残りの一つの方向(第三方向)をZ軸方向ということとする。これに伴い、各図面には、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のそれぞれに対応する直交三軸(座標軸)が補助的に図示されている。
【0051】
スペーサ2は、絶縁性を有する。蓄電装置は、スペーサ2として、X軸方向で隣り合う二つの蓄電素子1間に配置されるスペーサ2と、X軸方向における両端に配置される蓄電素子1と隣り合うスペーサ2とを備える。
【0052】
本実施形態において、保持部材3は、金属製である。保持部材3は、図1及び図3に示すように、X軸方向における両端に配置されるスペーサ2と隣り合う位置のそれぞれに配置される一対の終端部材30と、該一対の終端部材30のそれぞれを接続するフレーム31とを備える。
【0053】
インシュレータ4は、絶縁性を有する材料で構成されている。そして、インシュレータ4は、複数の蓄電素子1のそれぞれと複数の保持部材3(フレーム31)との間に配置される。これにより、蓄電装置では、蓄電素子1が保持部材3に対して絶縁されている。
【0054】
蓄電素子1は、図2に示すように、正極及び負極を含む電極体と、電極体を収容するケース10と、ケース10の外面上に配置された一対の外部端子11,12とを備える。
【0055】
ケース10は、開口を有するケース本体100と、ケース本体100の開口を閉じる蓋板101であって、蓋板101の外面上に一対の外部端子11,12が配置される蓋板101とを有する。
【0056】
複数の蓄電素子1のそれぞれは、外部端子11,12として、負極の外部端子11と、正極の外部端子12と、を有する。一方の外部端子11は、電極体の負極に接続される。他方の外部端子12は、電極体の正極に接続される。
【0057】
図4に示すように、外部端子11,12は、隣り合う蓄電素子1の外部端子11,12に電気的に接続される接続部13,14を有する。
【0058】
本実施形態において、一方の外部端子11の接続部13は、他方の外部端子12の接続部14よりも、延性の高い金属で構成されている。また、一対の外部端子11,12の接続部13,14は、隣り合う外部端子11,12の接続部13,14と対向する合わせ面を含む。
【0059】
図5に示すように、接続部13,14には、凸部130,140と、該凸部130,140の反対側に位置する凹部131,141であって、該凸部130,140の突出する方向と同方向に窪む凹部131,141とが形成される。
【0060】
本実施形態に係る蓄電装置では、接続部13の凸部130は、隣り合う蓄電素子1における接続部14の凹部141を画定する部分に嵌り込むように形成される。そのため、蓄電装置では、接続部13の凸部130の外面全体と、隣り合う蓄電素子1における接続部14の凹部141を画定する内周面全体とが隙間なく接触している。
【0061】
接続部13の凸部130は、突出方向に先端と、該先端とは反対側の基端とを有する。前記接続部13の凸部130は、基端側から先端側になるにつれて、突出する方向と直交する方向における断面積が大きくなる抜止部132が形成される、
【0062】
本実施形態において、凸部130は、基端から先端になるにつれて外径が大きくなるように形成されている。そのため、凸部130では、凸部130の外面全体が抜止部132となっている。
【0063】
凹部131,141は、凸部130,140の突出する方向とは反対側で開口するように形成される。凹部131,141は、開口が形成される第一端と該第一端とは反対側の第二端とを有する。
【0064】
上述のように、凸部130は、基端から先端になるにつれて外径が大きくなるように形成されている。これに伴い、凹部141は、第一端の内周よりも、第二端の内周が大きくなるように形成される。そのため、蓄電装置では、凸部130の第二端の外周が凹部141の第一端の内周よりも大きくなっている。
【0065】
接続部13,14は、隣り合う蓄電素子1の接続部13,14に対して、ケース10と外部端子11とが並ぶ方向と直交又は略直交する方向(本実施形態では、X軸方向)で当接する。
【0066】
より具体的に説明する。本実施形態に係る外部端子11,12は、蓄電素子1のケース10(蓋板101)の外面に配置される台部15,16を有する。また、外部端子11,12は、接続部13,14と台部15,16とに繋がる取付部17,18を有する。
【0067】
台部15,16上には、取付部17,18が配置される。一方の外部端子11において、取付部17は、X軸方向に長手をなす。
【0068】
一方の外部端子11において、取付部17は、台部15からX軸方向の一方に延出する。取付部17は、台部15上に配置される第一端と、該第一端とは反対側の第二端とを有する。そのため、取付部17の第二端は、台部15よりもX軸方向の一方にずれた場所に配置される。
【0069】
取付部17の第二端には、接続部13が繋がっている。接続部13は、取付部17の第二端から起立する(Z軸方向で起立する)。なお、本実施形態に係る一方の外部端子11では、接続部13、台部15、取付部17のそれぞれが一体的に形成される。
【0070】
他方の外部端子12において、取付部18は、X軸方向に長手をなす。他方の外部端子12において、取付部18は、台部16からX軸方向の他方に延出する。取付部18は、台部16上に配置される第一端と、該第一端とは反対側の第二端とを有する。そのため、取付部18の第二端は、台部16よりもX軸方向の他方にずれた場所に配置される。
【0071】
取付部18の第二端には、接続部14が繋がっている。接続部14は、取付部18の第二端から起立する(Z軸方向で起立する)。
【0072】
なお、本実施形態における外部端子11では、導電性を有する板状の部材を屈曲させて接続部13と、取付部17とを形成している。また、外部端子12では、導電性を有する板状の部材を屈曲させて接続部14と、取付部18とを形成している。そのため、本実施形態では、接続部13、取付部17を構成する部材と、接続部14、取付部18を構成する部材とのそれぞれを導電部材として、以下の説明を行う場合がある。
【0073】
本実施形態に係る蓄電装置は、以上の通りである。続いて、本実施形態に係る蓄電装置の製造方法について、図面を参照しつつ説明する。
【0074】
本実施形態に係る蓄電装置の製造方法では、図6に示すように、X軸方向で外部端子11,12が隣り合うように複数の蓄電素子1を配置する。
【0075】
これにより、X軸方向で隣り合う二つの蓄電素子1において、一方の蓄電素子1の外部端子11の接続部13と他方の蓄電素子1の外部端子12の接続部14とがX軸方向で対向する。一方の蓄電素子1の外部端子12の接続部14と他方の蓄電素子1の外部端子11の接続部13とがX軸方向で対向する。そして、X軸方向で隣り合う二つの外部端子11,12の接続部13,14を互いに当接させる。
【0076】
さらに、一方の外部端子11の接続部13を他方の外部端子12の接続部14に向けて押圧する。本実施形態では、雌雄一対の金型50,51によって一方の外部端子11の接続部13を他方の外部端子12の接続部14に向けて押圧する。すなわち、互いに当接させた接続部13,14を雄型の金型50と雌型の金型51とで挟み込んだ状態で押圧する。
【0077】
より具体的に説明する。一対の金型50,51によって、一方の外部端子11の接続部13と他方の外部端子12の接続部14とをX軸方向で挟み込む。そして、一方の金型50(雄型の金型50)で一方の外部端子11の接続部13を押圧する。
【0078】
一方の外部端子11の接続部13は、一方の金型50に押圧された部分が他方の外部端子12の接続部14側に突出する。このとき、他方の外部端子12の接続部14は、一方の外部端子11の接続部13を介して一方の金型50に押圧される。
【0079】
このようにして、図7に示すように、互いに当接する接続部13,14に対して、凸部130,140と、該凸部130,140の反対側に位置する凹部131,141であって、該凸部130,140の突出する方向と同方向に窪む凹部131,141とを形成しつつ、接続部13の凸部130が接続部14の凹部141を画定する部分に嵌り込むようにする。
【0080】
一方の金型50(雄型の金型50)で一方の外部端子11の接続部13をさらに押圧すると、凸部130の第一端の外周が凸部130の第二端の外周よりも大きくなる。また、負極の外部端子11の接続部13は、正極の外部端子12の接続部14よりも、延性の高い金属で構成されている。金型50によって接続部13が押圧され、凸部130,140が形成される際、負極の外部端子11の接続部13の変形の度合いが大きい。このように、負極の外部端子11の接続部13は、正極の外部端子12の接続部14よりも、延性の高い金属で構成されているため、凸部130が損傷することを抑制することができる。
【0081】
以上のように、本実施形態に係る蓄電装置は、前記一方の蓄電素子1における接続部13の凸部130が前記他方の蓄電素子1における接続部14の凹部141を画定する部分に嵌り込んでいる。これにより、前記蓄電装置は、前記一方の蓄電素子1における接続部13と前記他方の蓄電素子1における接続部14とが離れてしまうことを抑えることができる。従って、前記蓄電装置は、隣り合う蓄電素子1同士の電気的な接続が解除されることを抑えることができる。
【0082】
前記一方の蓄電素子1における接続部13の凸部130は、基端側から先端側になるにつれて、突出する方向と直交する方向における断面積が大きくなる抜止部132が形成されている。
【0083】
また、前記一方の蓄電素子1における接続部13の凸部130は、抜止部132が前記他方の蓄電素子1における接続部14の凹部141を画定する部分に嵌り込んでいる。そのため、前記一方の蓄電素子1における接続部13の凸部130が前記他方の蓄電素子1における接続部14の凹部141から外れることを抑えることができる。従って、前記蓄電装置は、隣り合う蓄電素子1同士の電気的な接続が解除されることをより確実に抑えることができる。
【0084】
前記一方の蓄電素子1における前記負極の外部端子11の凸部130は、前記他方の蓄電素子に1おける前記正極の外部端子12の凹部141を画定する部分に嵌り込んでいる。
【0085】
そのため、前記一方の蓄電素子1における負極の外部端子11の凸部130は、前記他方の蓄電素子1における正極の外部端子12の接続部14の凹部141を画定する部分に覆われる。そのため、前記蓄電装置では、前記一方の蓄電素子1における負極の外部端子11の接続部13の凸部130が変形し難くなる。
【0086】
本実施形態に係る蓄電装置の製造方法によれば、隣り合う二つの蓄電素子1のそれぞれの接続部13,14に対して、凸部130,140と、凹部131,141とを形成しつつ、前記一方の蓄電素子1における接続部13の凸部130が前記他方の蓄電素子1における接続部14の凹部141を画定する部分に嵌り込むようにする。
【0087】
そのため、前記蓄電装置の製造方法は、金型50,51による押圧によって各接続部13,14を接合することができるため、隣り合う蓄電素子1を効率よく電気的に接続することができる。
【0088】
前記蓄電装置の製造方法では、前記一方の蓄電素子1における接続部13の凸部130に対して、基端側から先端側になるにつれて、該凸部130の突出方向と直交する方向における断面積が大きくなる抜止部132を形成している。
【0089】
そのため、前記一方の蓄電素子1における凸部130の抜止部132を前記他方の蓄電素子1における接続部14の凹部141を画定する部分内に嵌め込むことができる。これにより、前記一方の蓄電素子1における接続部13の凸部130が前記他方の蓄電素子1における接続部14の凹部141から外れることを抑えることで、隣り合う蓄電素子1をさらに効率よく電気的に接続することができる。
【0090】
前記蓄電装置の製造方法では、隣り合う二つの蓄電素子1のそれぞれにおける外部端子11,12の接続部13,14をケース10と外部端子11,12とが並ぶ方向と直交又は略直交する方向で互いに当接させている。
【0091】
そのため、隣り合う二つの蓄電素子のそれぞれにおける外部端子11,12の接続部13,14を押圧し易くなる。従って、前記蓄電装置は、隣り合う二つの蓄電素子1のそれぞれにおける外部端子11,12の接続部13,14を接合し易くなり、隣り合う蓄電素子1をさらに効率よく電気的に接続することができる。
【0092】
以上のように、蓄電装置の製造方法によれば、隣り合う蓄電素子1を効率よく電気的に接続することができる。
【0093】
なお、本発明に係る蓄電装置は、上記一実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更を行うことは勿論である。
【0094】
上記実施形態において、一方の外部端子11の接続部13には、凸部130と凹部131とが形成されていたが、これに限定され得るものではない。例えば、一方の外部端子11の接続部13は、他方の外部端子12の接続部14の凹部141に嵌り込む凸部130のみを含むように構成されていてもよい。
【0095】
このようにする場合、一方の外部端子11の接続部13は、金型50,51を用いて凸部130及び凹部131を形成した後、凹部131を金属材料又は樹脂材料等で埋めることによって形成される。また、鍛造によって予め接続部13に凸部130を形成した後、当該凸部130と他方の端子に形成された凹部とを嵌め合わせる構成としてもよい。
【0096】
また、他方の外部端子12の接続部13には、凸部140と凹部141とが形成されていたが、これに限定され得るものではない。例えば、他方の外部端子12の接続部14は、一方の外部端子11の接続部13の凸部130が嵌り込む凹部141のみを含むように構成されていてもよい。
【0097】
このようにする場合、他方の外部端子12の接続部14は、雌型の金型51の代わりに平坦な金型を用いることによって形成される。また、上記実施形態において、雄型の金型50及び平坦な金型を用いて、再度、接続部13,14のうち凸部130及び凹部141が形成されている箇所を押圧することによって形成することもできる。
【0098】
上記実施形態において、接続部13,14は、取付部17,18を介して台部15,16上に取り付けられていたが、これに限定され得るものではない。例えば、接続部13,14は、台部15,16に直接的に(一体的に)接続されていてもよい。
【0099】
X軸方向で隣り合う外部端子11,12に電気的に接続されていたが、これに限定されるものではない。例えば、蓄電装置がY軸方向で隣り合うように配置される蓄電素子1を備える場合、接続部13,14は、Y軸方向で隣り合う外部端子11,12に電気的に接続されていてもよい。
【0100】
上記実施形態において、接続部13,14は、X軸方向で隣り合う外部端子11,12に電気的に接続されていたが、これに限定され得るものではない。例えば、蓄電装置がY軸方向で隣り合うように配置される蓄電素子1を備える場合、接続部13,14は、Y軸方向で隣り合う外部端子11,12に電気的に接続されていてもよい。
【0101】
上記実施形態において、接続部13,14は、X軸方向で互いに対向していたが、これに限定されるものではない。例えば、接続部13,14は、Y軸方向で互いに対向するようにしたり、X軸方向及びY軸方向のそれぞれの方向に交差する方向で対向するようにしたりしてもよい。
【0102】
また、接続部13,14は、隣り合う蓄電素子1の接続部13,14に対して、ケース10と外部端子11とが並ぶ方向と直交又は略直交する方向(本実施形態では、X軸方向)で当接していたが、これに限定され得るものではない。例えば、接続部13,14は、ケース10と外部端子11とが並ぶ方向(本実施形態では、Z軸方向)で互いに当接していてもよい。但し、蓄電装置では、接続部13,14がケース10と外部端子11とが並ぶ方向と直交又は略直交する方向で当接している方が隣り合う蓄電素子1を効率よく電気的に接続することができる。
【0103】
なお、上記実施形態において特に言及しなかったが、一方の外部端子11の接続部13、及び他方の外部端子12の接続部14は、少なくとも合わせ面に腐食防止層が配されていてもよい。このようにすれば、一方の外部端子11の接続部13、及び他方の外部端子12の接続部14の少なくとも合わせ面が腐食することを抑えることができる。
【0104】
腐食防止層は、一方の外部端子11の接続部13の材質である第1金属と、他方の外部端子12の接続部14の材質である第2金属との間のイオン化傾向を有する第3金属を用いることが好ましい。また、腐食防止層は、炭素材料等の非金属の導電性材料、又は貴金属を用いることが好ましい。
【0105】
腐食防止層に金属を用いる場合、接続部13と接続部14とが溶接によって接合することもできる。しかし、接合時に金属層が溶融するため、接続部13と接続部14との合わせ面において、金属層が所定の位置に維持されない可能性がある。一方、上記実施形態においては、凸部130が凹部141に嵌まり込む構成である。このため、接続部13と接続部14との合わせ面において、腐食防止層を確実に維持することができる。
【0106】
腐食防止層に炭素材料等の非金属の導電性材料を用いる場合、炭素材料等の非金属の導電性材料は、通常の溶接条件下では溶融しないため、接続部13と接続部14とを溶接によって接合することは困難である。一方、上記実施形態においては、凸部130が凹部141に嵌まり込む構成である。このため、接続部13と接続部14との合わせ面に腐食防止層を配した状態で接続部13と接続部14との電気的接続を維持することができる。
【0107】
また、図8に示すように、一方の外部端子11の接続部13と、他方の外部端子12の接続部14とは、互いに異なる金属で構成され、互いに当接する接続部の合わせ面の外周縁部の少なくとも一部が絶縁テープ等の絶縁部材5で覆われていてもよい。すなわち、一方の外部端子11の接続部13と、他方の外部端子12の接続部14とは、互いの境目Lの少なくとも一部が絶縁部材5で覆われていてもよい。なお、図8に示す一方の外部端子11の接続部13と、他方の外部端子12の接続部14とは、互いの境目L全体が絶縁部材5で覆われている。
【0108】
互いに接合される接続部13,14のそれぞれが異なる金属で構成される場合、接続部13,14の界面に水分が付着すること、該接続部13,14に電食が生じる可能性がある。しかしながら、前記蓄電装置では、互いに当接する接続部13,14のそれぞれの合わせ面の外周縁部の少なくとも一部が絶縁部材5で覆われるため、該接続部13,14のそれぞれに電食が生じることを抑えることができる。また、絶縁テープの代わりに、インシュレータ4の一部又はスペーサ2の一部を延長させ、境目Lの少なくとも一部を覆うように構成しても良い。この場合、部品点数を削減することができる。
【0109】
図9に示すように、蓄電装置は、外部端子11,12に接続されるセンサ部材(例えば、温度センサ、電圧センサ等)19を備えていてもよい。
【0110】
このようにする場合、一方の外部端子11の接続部13は、他方の外部端子12の接続部14と対向する第一面(合わせ面)と、該第一面とは反対側の第二面とを有する。一方の外部端子11の接続部13の第二面における凸部130と対応する部分には、凹部131が形成される。
【0111】
センサ部材19は、一方の外部端子11の接続部13を介して他方の外部端子12の接続部14と並ぶ接続部190を有する。センサ部材19の接続部190には、一方の外部端子11における接続部13の凹部131内に突出する凸部191を含む。また、センサ部材19の接続部190は、凸部191の反対側に位置する凹部192であって、凸部191の突出する方向と同方向に窪む凹部192を含む。
【0112】
図9に示す蓄電装置では、センサ部材19の接続部190を一方の外部端子11の接続部13及び他方の外部端子12の接続部14に向けて押圧することによって、センサ部材19を外部端子11,12に電気的に接続することができる。
【0113】
なお、センサ部材19の接続部190は、凹部192に他方の外部端子12の接続部14の凸部140が嵌り込むようにしてもよい。また、センサ部材19の接続部190は、凸部191、又は凹部192の何れか一方を含むようにしてもよい。
【0114】
接続部190に凸部191のみを含むようにする場合は、金型50,51を用いて凸部130及び凹部131を形成した後、凹部131を金属材料又は樹脂材料等で埋めることによって形成される。接続部190に凹部192のみを含むようにする場合は、雌型の金型51の代わりに平坦な金型を用いることによって形成される。また、凸部191及び凹部192を形成した後、雄型の金型50及び平坦な金型を用いて、再度、接続部190のうち凸部191及び凹部192が形成された箇所を押圧することによって形成することもできる。
【0115】
センサ部材19は、一対の外部端子11,12の間に配されていてもよい。つまり、一方の外部端子11の凸部130は、センサ部材19を介して間接的に、他方の外部端子12の凹部141に嵌まり込んでいてもよい。このとき、一対の外部端子11,12の少なくとも一方とセンサ部材19との間に、腐食防止層が配されていてもよい。具体的には、一方の外部端子11の凸部130は、腐食防止層が表面に配されたセンサ部材19を介して間接的に、他方の外部端子12の凹部141に嵌まり込んでいてもよい。
【0116】
上記実施形態における外部端子11は、導電部材(接続部13及び取付部17)と、台部15とを一体的に形成したり、導電部材(接続部13及び取付部17)と、台部15とを別体で構成したりしてもよい。
【0117】
また、外部端子12は、導電部材(接続部14及び取付部18)と、台部16とを一体的に形成したり、導電部材(接続部14及び取付部18)と、台部16とを別体で構成したりしてもよい。
【0118】
上記実施形態における蓄電装置は、外部端子11の接続部13の凸部130を外部端子12の接続部14の凹部141に嵌め込むことによって、隣り合う蓄電素子1同士を電気的に接続していたが、これに限定されるものではない。例えば、蓄電装置は、蓄電素子1の外部端子11,12を外部回路と接続するための外部出力端子をさらに備えていてもよい。ここで、外部回路とは、モーター、制御装置、又は他の蓄電装置等、少なくともその一部に電気が流れ、電気回路の一部を構成するものを意味する。
【0119】
この場合、蓄電装置は、外部端子11,12又は外部出力端子のうちの何れか一方が少なくとも凸部を含む接続部を有し、外部端子11,12又は外部出力端子のうちの何れか他方が少なくとも凹部を含む接続部を有し、前記凸部が該凹部に嵌り込む構成としてもよい。
【0120】
また、上記構成の蓄電装置は、外部端子11,12及び外部出力端子のうちの少なくとも一方に接続されるセンサ部材をさらに備えていてもよい。この場合、センサ部材は、外部端子11,12の接続部13,14又は外部出力端子の接続部のうちの何れか他方の接続部に含まれる凹部に嵌り込む凸部、及び外部端子11,12の接続部13,14又は外部出力端子の接続部のうちの何れか一方の接続部に含まれる凸部が嵌り込む凹部のうちの少なくとも何れか一方を含む接続部を有するようにしてもよい。
【0121】
なお、外部端子11,12の接続部13,14及び外部出力端子の接続部のそれぞれが、凸部と、該凸部の反対側に位置する凹部であって、該凸部の突出する方向と同方向に窪む凹部とを含む場合、センサ部材の接続部の凸部は、外部端子11,12の接続部13,14の凹部131,141、又は外部出力端子の接続部の凹部に嵌め込まれる。また、センサ部材の接続部の凹み部には、外部端子11,12の接続部13,14の凸部130,140、又は外部出力端子の接続部の凸部が嵌め込まれる。
【0122】
そして、上記実施形態で適用した技術、又は本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更を行うことができる旨の説明をした技術を、上記構成の蓄電装置に適用してもよい。
【0123】
上記実施形態における蓄電装置では、外部端子11の接続部13の凸部130を外部端子12の接続部14の凹部141に嵌め込むことによって、隣り合う蓄電素子1同士を電気的に接続していたが、これに限定されるものではない。例えば、蓄電装置は、蓄電素子1を外部回路と接続するための外部出力端子と、該外部回路の一部である外部回路端子であって、該外部出力端子と電気的に接続される外部回路端子とを備えていてもよい。なお、上述のように、外部回路とは、モーター、制御装置、又は他の蓄電装置等、少なくともその一部に電気が流れ、電気回路の一部を構成するものを意味する。
【0124】
この場合、蓄電装置は、外部出力端子又は外部回路端子のうちの何れか一方が少なくとも凸部を含む接続部を有し、外部出力端子又は外部回路端子のうちの何れか他方が少なくとも凹部を含む接続部を有し、前記凸部が該凹部に嵌り込む構成としてもよい。
【0125】
また、上記構成の蓄電装置は、外部出力端子及び外部回路端子のうちの少なくとも一方に接続されるセンサ部材をさらに備えていてもよい。この場合、センサ部材は、外部出力端子の接続部又は外部回路端子の接続部のうちの何れか他方の接続部に含まれる凹部に嵌り込む凸部、及び外部出力端子の接続部又は外部回路端子の接続部のうちの何れか一方の接続部に含まれる凸部が嵌り込む凹部の少なくとも何れか一方を含む接続部を有するようにしてもよい。
【0126】
なお、外部出力端子の接続部及び外部回路端子の接続部のそれぞれが、凸部と、該凸部の反対側に位置する凹部であって、該凸部の突出する方向と同方向に窪む凹部とを含む場合、センサ部材の接続部の凸部は、外部出力端子の接続部の凹部、又は外部出力端子の接続部の凹部に嵌め込まれる。また、センサ部材の接続部の凹部には、外部出力端子の接続部の凸部、又は外部出力端子の接続部の凸部が嵌め込まれる。
【0127】
また、安全性を高める技術として、接続部がヒューズ的な機能を持ってもよく、凸部と凹部で接続された外部端子において、該外部端子間で溶断する機能があってもよい。その場合、例えば、凸部及び凹部の少なくとも一方の厚さ寸法を、外部端子の接続部以外の部位の厚さ寸法より小さくする構造が好適である。
【0128】
そして、上記実施形態で適用した技術、又は本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更を行うことができる旨の説明をした技術を、上記構成の蓄電装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0129】
1…蓄電素子、2…スペーサ、3…保持部材、4…インシュレータ、5…絶縁部材、10…ケース、11,12…外部端子、13,14…接続部、15,16…台部、17,18…取付部、19…センサ部材、30…終端部材、31…フレーム、50,51…金型、100…ケース本体、101…蓋板、130,140…凸部、131,141…凹部、132…抜止部、190…接続部、191…凸部、192…凹部、L…境目
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