特許第6749013号(P6749013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6749013レンジフードの取り付け方法及びレンジフード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6749013
(24)【登録日】2020年8月13日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】レンジフードの取り付け方法及びレンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20200824BHJP
【FI】
   F24F7/06 101B
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-138022(P2016-138022)
(22)【出願日】2016年7月12日
(65)【公開番号】特開2018-9725(P2018-9725A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】小木原 吉紀
(72)【発明者】
【氏名】小松 俊明
【審査官】 佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−237461(JP,A)
【文献】 特開2008−202884(JP,A)
【文献】 実開昭48−004980(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に壁取付部材を固定して取り付け、ねじ部とねじ部より大径の胴部が軸方向に連続した取付ねじのねじ部を、前記壁取付部材のねじ孔にねじ込んで前記取付ねじを仮取り付けし、前記ねじ部の前記胴部側部分と、前記胴部を前記壁取付部材の壁面と反対側面から突出させ、
レンジフード本体の取付部の取付用孔に、前記取付ねじの突出部分が挿入されるように前記レンジフード本体を移動させて前記取付用孔の内周面上部分が、前記取付ねじの胴部の外周面に接するように前記取付用孔を引掛け、その状態で前記レンジフード本体を前記壁面側に移動することで、前記取付用孔の内周面上部分が前記取付ねじの胴部の外周面を滑りながら前記ねじ部側に移動して前記取付用孔の内周面上部分を前記取付ねじのねじ部に接した状態で、前記取付ねじを締め付けて前記胴部のねじ部側の端面と前記壁取付部材の壁面と反対側面とで前記取付部を挟持することで、前記レンジフード本体を前記壁取付部材を介在して前記壁面に固定して取り付けることを特徴とするレンジフードの取り付け方法。
【請求項2】
請求項に記載のレンジフードの取り付け方法において、
前記胴部の前記ねじ部側の端面は、前記取付ねじの軸方向と直角の面で、前記取付ねじを締め付けた際に前記胴部の前記ねじ部側の端面が、前記取付部に均一に接するようにしたレンジフードの取り付け方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のレンジフードの取り付け方法において、
前記胴部の外周面は軸方向の凹凸がない平滑面で、前記取付用孔の内周面上部分が前記胴部の外周面を滑りながら移動するようにしたレンジフードの取り付け方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のレンジフードの取り付け方法において、
前記胴部の外周面は軸方向全長に渡って同一の径、または、ねじ部側の径がねじ部と反対側の径より小さいテーパ形状で、前記取付用孔の内周面上部分が前記胴部の外周面を滑りながら移動するようにしたレンジフードの取り付け方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のレンジフードの取り付け方法において、
前記取付ねじは、前記胴部のねじ部とは反対側にねじ頭部を有し、前記ねじ頭部は前記胴部より大径で、前記取付用孔の内周面上部分が前記胴部の外周面を滑りながら前記ねじ部と反対側に移動すると前記取付用孔の内周面上部分が前記ねじ頭部の前記胴部側の端面に接するようにしたレンジフードの取り付け方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の取り付け方法で取り付けられ、
壁面に壁取付部材が固着して取り付けられ、
レンジフード本体に設けた取付部の取付用孔の内周面上部分は、ねじ部と胴部を軸方向に連続して有し、前記ねじ部が前記壁取付部材のねじ孔にねじ込まれた取付ねじの前記ねじ部の前記壁取付部材の前記壁面と反対側面から突出した胴部側部分に接し、
前記取付ねじは締め付けられ、前記取付部は、前記胴部の前記ねじ部側の端面と前記壁取付部材の前記壁面と反対側面とで挟持され、前記レンジフード本体は前記壁取付部材を介在して前記壁面に固定して取り付けてあることを特徴とするレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードを壁面に取り付ける方法及びその取り付け方法で壁面に取り付けたレンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンジフードを壁面に取り付けるには、レンジフードの壁取付孔から取付ねじを壁内部の下地材にねじ込んで締め付けることで取り付けるのが一般的である。
このように取り付けることで、レンジフードを壁面に十分な強度で取り付けできる。壁内部の下地材とは、間柱または貫(柱などの垂直材を貫通させて水平に通される水平材)である。
しかしながら、レンジフードの取り付け位置等によっては、取付ねじが壁内部の下地材と位置がずれ、取付ねじを下地材にねじ込むことができないことがある。また、既設のレンジフードを新しいレンジフードに交換して取り付けるリフォームの場合は、下地材の同じ個所に取付ねじがねじ込まれるので、十分な強度を得られないことがある。
【0003】
この問題を解消したレンジフードの取り付け方法が特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示されたレンジフードの取り付け方法は、取付装置の孔から固定ねじを壁内部の下地材にねじ込んで締め付けることで、取付装置を壁面に固定して取り付ける。
その取付装置のねじ孔に取付ねじを途中までねじ込んで仮取り付けし、その取付ねじの取付装置から突出した突出部分にレンジフードの壁取付孔を通して引掛けることで、レンジフードを取付装置に仮取り付け支持する。この状態で取付ねじを締め付けてレンジフードを取付装置に固定することでレンジフードを壁面に取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-237461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたレンジフードの取り付け方法によれば、取付ねじが壁内部の下地材と位置がずれている場合や、リフォームの場合でもレンジフードを十分な強度で壁面に取り付けできる。
しかしながら、このような取り付け方法であると、取付ねじの取付装置から突出した突出部分の長さが短く、レンジフードの壁取付孔を取付ネジの突出部分に引掛けにくいのでレンジフードを取り付けにくい。
この問題を解消するには、取付ねじの取付装置のねじ孔へのねじ込み長さを短くしたり、全長の長い取付ねじを使用することで、取付ねじの取付装置からの突出した突出部分の長さを長くすることが考えられる。
しかし、取付ねじの取付装置のねじ孔へのねじ込み長さを短くすると、取付ねじの取付装置への仮取り付け強度が弱いので、取付ねじの突出部分に壁取付孔を引掛けた時のレンジフードの仮取り付け支持が不安定になり、レンジフードが落下してしまう恐れがある。
【0006】
また、取付装置の奥行き寸法(壁面に接する面とレンジフードが接する面との間の寸法)、つまり、取付ねじをねじ込むねじ孔の長さに限度があるために、全長の長い取付ねじを使用すると、その取付ねじを締め付けた時に取付ねじの先端が壁面に当接してしまうので、取付ねじを十分に締め付けできずレンジフードの取り付け強度が弱くなってしまう。
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、取付ねじが壁内部の下地材と位置がずれている場合や、リフォームの場合でもレンジフードを十分な強度で壁面に取り付けでき、レンジフード本体の取付用孔を取付ねじの突出部分に引掛けし易く、レンジフード本体を容易に仮取り付け支持でき、しかも取付ねじの仮取り付け強度が強く、レンジフード本体を安定して仮取り付け支持できると共に、取付ねじを十分に締め付けてレンジフード本体を強固に固定して取り付けできるようにしたレンジフードの取り付け方法およびレンジフードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のレンジフードの取り付け方法は、壁面に壁取付部材を固定して取り付け、ねじ部とねじ部より大径の胴部が軸方向に連続した取付ねじのねじ部を、前記壁取付部材のねじ孔にねじ込んで前記取付ねじを仮取り付けし、前記ねじ部の前記胴部側部分と、前記胴部を前記壁取付部材の壁面と反対側面から突出させ、レンジフード本体の取付部の取付用孔に、前記取付ねじの突出部分が挿入されるように前記レンジフード本体を移動させて前記取付用孔の内周面上部分が、前記取付ねじの胴部の外周面に接するように前記取付用孔を引掛け、その状態で前記レンジフード本体を前記壁面側に移動することで、前記取付用孔の内周面上部分が前記取付ねじの胴部の外周面を滑りながら前記ねじ部側に移動して前記取付用孔の内周面上部分を前記取付ねじのねじ部に接した状態で、前記取付ねじを締め付けて前記胴部のねじ部側の端面と前記壁取付部材の壁面と反対側面とで前記取付部を挟持することで、前記レンジフード本体を前記壁取付部材を介在して前記壁面に固定して取り付けることを特徴とするレンジフードの取り付け方法である。
【0010】
本発明のレンジフードの取り付け方法においては、前記胴部の前記ねじ部側の端面は、前記取付ねじの軸方向と直角の面で、前記取付ねじを締め付けた際に前記胴部の前記ねじ部側の端面が、前記取付部に均一に接するようにしたレンジフードの取り付け方法とすることができる。
この取り付け方法によれば、取付ねじを締め付けた際、取付ねじの軸方向と直角である端面が取付部に均一に接触し、より広い面積で取付部を壁取付部材に押し付けることができるため、レンジフード本体が安定した取り付け状態となる。
【0011】
本発明のレンジフードの取り付け方法においては、前記胴部の外周面は軸方向の凹凸がない平滑面で、前記取付用孔の内周面上部分が前記胴部の外周面を滑りながら移動するようにしたレンジフードの取り付け方法とすることができる。
この取り付け方法によれば、胴部の外周面は軸方向に凹凸がない平滑面であるので、取付部を、その取付用孔の内周面上部分を胴部の外周面に滑らせてねじ部側に移動する際に障害となるものがなく、取付部のねじ部側への移動が容易である。
【0012】
本発明のレンジフードの取り付け方法においては、前記胴部の外周面は軸方向全長に渡って同一の径、または、ねじ部側の径がねじ部と反対側の径より小さいテーパ形状で、前記取付用孔の内周面上部分が前記胴部の外周面を滑りながら移動するようにしたレンジフードの取り付け方法とすることができる。
この取り付け方法によれば、胴部の外周面に取付部の取付用孔の内周面上部分を接した状態で、レンジフード本体の自重などにより取付部をねじ部と離れる方向に移動する力が働くことがなく、取付部を胴部の外周面を滑らせながらねじ部側に移動することが容易である。
【0013】
本発明のレンジフードの取り付け方法においては、前記取付ねじは、前記胴部のねじ部と反対側にねじ頭部を有し、前記ねじ頭部は前記胴部より大径で、前記取付用孔の内周面上部分が前記胴部の外周面を滑りながら前記ねじ部と反対側に移動すると前記取付用孔の内周面上部分が前記ねじ頭部の前記胴部側の端面に接するようにしたレンジフードの取り付け方法とすることができる。
この取り付け方法によれば、取付部の取付用孔の内周面上部分を胴部の外周面に接した状態で、レンジフード本体に壁面から離れる方向の力が加わってもねじ頭部の胴部側の端面が抜け止めとなって、容易に外れることがなく安全である。
【0014】
本発明のレンジフードは、本発明の取り付け方法で取り付けられ、壁面に壁取付部材が固着して取り付けられ、レンジフード本体に設けた取付部の取付用孔の内周面上部分は、ねじ部と胴部を軸方向に連続して有し、前記ねじ部が前記壁取付部材のねじ孔にねじ込まれた取付ねじの前記ねじ部の前記壁取付部材の前記壁面と反対側面から突出した胴部側部分に接し、
前記取付ねじは締め付けられ、前記取付部は、前記胴部の前記ねじ部側の端面と前記壁取付部材の前記壁面と反対側面とで挟持され、前記レンジフード本体は前記壁取付部材を介在して前記壁面に固定して取り付けてあることを特徴とするレンジフードである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のレンジフードの取り付け方法によれば、壁面に壁取付部材を取り付けることで、取付ねじが壁内部の下地材と位置がずれている場合や、リフォームの場合でもレンジフードを十分な強度で壁面に取り付けできる。
また、取付ねじにおけるレンジフード本体の取付用孔を引掛ける長さを十分に確保できるため、レンジフード本体の取付用孔を取付ねじの突出部分に引掛けし易く、レンジフード本体を容易に仮取り付け支持できるため施工性が良く、しかも取付ねじの仮取り付け強度が強く、レンジフード本体を安定して仮取り付け支持できると共に、取付ねじを十分に締め付けてレンジフード本体を強固に固定して取り付けできる。
また、レンジフード本体を持っている施工者は取付部が胴部の外周面からねじ部に落ちた感触が得られ、取付用孔の内周面上部分がねじ部に接したことを施工者が確認できるので、取り付けのミスがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】壁面に取り付けたレンジフードの正面図である。
図2】壁面に取り付けたレンジフードの側面図である。
図3】送風機ボックス取り付け部分の拡大正面図である。
図4図3のA―A断面図である。
図5】レンジフード本体の取付動作説明図である。
図6】レンジフード本体の取付動作説明図である。
図7】取付ねじの他の実施の形態を示す正面図である。
図8】取付用孔の第2の実施の形態を示す正面図である。
図9】取付用孔の第3の実施の形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の取り付け方法で壁面に取り付けたレンジフードの実施の形態を図1図2に基づいて説明する。図1は壁面に取り付けたレンジフードの正面図、図2は壁面に取り付けたレンジフードの側面図である。
レンジフード1のレンジフード本体2は壁面3に取り付けてある。レンジフード本体2は、フード20と送風機ボックス21を有している。
フード20は下面20aに吸い込み部(図示せず)を有した扁平な箱形状で、フード20の背面20bが壁面3に接している。
送風機ボックス21はフード20の上面20cにおける背面20b寄りに取り付けてあり、その背面21aはフード20の背面20bよりもフード20の前面20d寄りに位置している。送風機ボックス21の前面21bはフード20の前面20dよりも背面20b寄りに位置している。送風機ボックス21の左右の側面21cはフード20の左右の側面20eよりも内側に位置している。
【0018】
つまり、フード20の平面の大きさは送風機ボックス21の平面の大きさよりも大きく、フード20の背面20b、前面20d、左右の側面20eは送風機ボックス21の背面21a、前面21b、左右の側面21cから張り出している。送風機ボックス21の内部に送風機(図示せず)が設けてある。
壁面3に壁取付部材(取付ベース)4が固着して取り付けてある。その壁取付部材4に送風機ボックス21が固着してある。これにより、レンジフード本体2は壁取付部材4を介在して壁面3に固着して取り付けてある。フード20の背面20bが壁面3に接しているので壁取付部材4がレンジフード本体2の下方から見えることがない。
壁取付部材4の長さ(図1中、左右の側面4a間の寸法)はフード20の左右の側面20e間の寸法とほぼ同一で、壁取付部材4の厚さ(背面4bと前面4cの間の寸法)は送風機ボックス21の背面21aと壁面3との間の寸法と同一である。壁取付部材4の上部4dに長手方向に間隔をあけて複数のねじ挿入孔40が形成してある。
【0019】
壁取付部材4は、複数のねじ挿入孔40における幾つかのねじ挿入孔40、たとえば2つのねじ挿入孔40から固定ねじ41を壁内部の下地材、例えば、間柱(図示せず)にねじ込んで締め付けることで壁面3に固着して取り付けてある。
送風機ボックス21の左右の側面21cには、レンジフード本体2を壁面3に固着して取り付けるための取付部5が設けてある。その取付部5から取付ねじ6が壁取付部材4にねじ込んで締め付けられ、送風機ボックス21が壁取付部材4に固着されている。送風機ボックス21の背面21aが壁取付部材4の前面4cに接している。壁取付部材4の上部4dは送風機ボックス21の上面21dから上に突出している。
フード20の上面20cには、高さ調整自在の幕板7が取り付けてある。この幕板7で送風機ボックス21、取付部5、取付ねじ6、壁取付部材4、固定ねじ41を覆って室内から見えないようにしてある。
【0020】
次に、送風機ボックス取り付け部分の詳細を図3図4に基づいて説明する。図3は送風機ボックス取り付け部分の拡大正面図、図4図3のA―A断面図である。
壁取付部材4は、背面板42と正面板43を上下の連結材44で間隔を空けて連結した中空箱形状である。背面板42の上部42aが正面板43の上部43aより上方に突出し、その上部42aにねじ挿入孔40が形成してある。
壁取付部材4は取付ねじ6がねじ込まれるねじ孔45を有している。例えば、背面板42の孔42bと正面板43の孔43bとに渡りナット46を嵌め込んで取り付けることで、ねじ孔45としてある。
取付部5は板状の金具で、送風機ボックス21の側面21cにねじ、リベット、溶接などで取り付けてある。取付部5の背面5aは送風機ボックス21の背面21aと面一である。なお、取付部5は送風機ボックス21と一体に設けることができる。
【0021】
取付ねじ6は、取付ねじ6の軸方向一端側のねじ部60と、ねじ部60の軸方向他端部と連続し取付ねじ6の軸方向中間にある胴部61と、胴部61の軸方向他端部と連続し取付ねじ6の軸方向他端側にあるねじ頭部62を有している。
ねじ部60の軸方向一側部分が壁取付部材4のねじ孔45にねじ込まれ、ねじ部60の軸方向他側部分(胴部側部分)が壁取付部材4の正面板43、つまり、壁取付部材4の壁面3と反対側面から突出している。
胴部61はねじ部60より大径で、胴部61の軸方向一端面61a、つまり、ねじ部60側の端面61aはねじ部60の外周面よりも軸方向と直角の方向に突出し、その端面61aが取付ねじ6の締め付け面である。この胴部61のねじ部60側の端面61aは取付ねじ6の軸方向と直角な面である。
胴部61の外周面61bは軸方向に凹凸がない平滑面である。胴部61は軸方向に渡って同一の径で、外周面は軸方向に渡って平行である。
【0022】
ねじ頭部62は胴部61より大径で、ねじ頭部62の軸方向一端面62a、つまりねじ頭部62の胴部61側の端面62aは胴部61の外周面61bよりも突出している。
ねじ頭部62の胴部61側の端面62aは取付ねじ6の軸方向と直角である。ねじ頭部62は取付ねじ6を回転する回転操作部62bを有している。
ねじ頭部62はほぼ半球形状で、その表面に十文字状の溝を有し、その溝が回転操作部62bである。
これに限ることはなく、ねじ頭部62は六角形状としてもよい。または、ねじ頭部62は胴部61と同一径で、その端面に溝を形成して回転操作部としたものとしてもよい。
【0023】
取付部5は、背面5aから正面5bに貫通、つまり取付部5の厚さ方向に貫通した取付用孔50を有している。
取付用孔50は、取付ねじ6のねじ頭部62が軸方向に挿通する下大径孔部51と、その下大径孔部51の内周面上部分と連続した上小径孔部52を有したダルマ形状である。
上小径孔部52は取付ねじ6のねじ頭部62および胴部61が軸方向に挿通することができないが、ねじ部60は軸方向に挿通することができる。上小径孔部52の内周面上部分52aはねじ部60の外周面に接触する。
取付用孔50の下大径孔部51の内周面上部分と上小径孔部52の内周面下部分を連続する中間孔部53は、胴部61が軸直角方向に通ることができないが、ねじ部60は軸直角方向に通ることができる。
【0024】
取付用孔50の上小径孔部52の内周面上部分52aがねじ部60の外周面の上部分に接している。取付ねじ6のねじ部60が壁取付部材4のねじ孔45にねじ込まれて締め付けられている。その取付ねじ6の締め付け力で胴部61のねじ部60側の端面61aが取付部5の正面5bに接して背面5aが壁取付部材4の正面板43に押し付けられている。
これにより取付部5が壁取付部材4に固定され、レンジフード本体2が取付部材4を介在して壁面3に固着して取り付けてある。
このように、レンジフード本体2の取付部5は取付ねじ6の胴部61と壁取付部材4とで挟持され強固に固定されているため、レンジフード本体2は壁取付部材4を介在して壁面3に安定して取り付けてある。
【0025】
次に、レンジフード本体2を壁面3に取り付ける方法の実施の形態を説明する。
図4に示すように、壁取付部材4の背面板42を壁面3に接し、背面板42のねじ挿入孔40から固定ねじ41を壁内部の間柱にねじ込んで締め付けることで、壁取付部材4を壁面3に固定して取り付ける。
この時、間柱と対応したねじ挿入孔40を選択し、選択したねじ挿入孔40から固定ねじ41を間柱にねじ込むことで、間柱の位置に関係なく壁取付部材4を任意の位置に取り付けできる。
取付ねじ6のねじ部60の軸方向一側部分を壁取付部材4のねじ孔45に、十分な取り付け強度が得られる長さだけねじ込み、取付ねじ6を壁取付部4に仮取り付けする。これにより取付ねじ6を壁取付部材4に強固に仮取り付けできる。
【0026】
仮取り付けした取付ねじ6は、ねじ部60の軸方向他端部60a、つまり胴部側部分が壁取付部材4の正面板43、つまり、壁面3と反対側面から突出し、胴部61のねじ部60側の端面61aと壁取付部材4の正面との間に隙間S(図5)がある。この隙間Sは取付部5の厚さよりも大きい。
取付ねじ6をねじ孔45にねじ込む際、壁取付部材4の正面板43に位置決め片(隙間ゲージ)を当接し、取付ねじ6の胴部61のねじ部60側の端面61aを位置決め片に接することで、胴部61のねじ部60側の端面61aと壁取付部材4の正面との間の隙間Sを所定の値とするようにしてもよい。このようにすれば、隙間Sを簡単に所定の値とすることができる。
なお、取付ねじ6をねじ孔45にねじ込んで仮取り付けした後に壁取付部材4を壁面3に取り付けるようにしてもよい。
【0027】
この状態で、施工者がレンジフード本体2を持ち上げて上下方向、左右方向に移動することで、図5に2点鎖線で示すように取付孔50を取付ねじ6に、その下大径孔部51をねじ頭部62が軸方向に挿通するように位置合わせする。例えば、下大径孔部51の中心51aをねじ頭部62の中心62cと一致させる。
この後、レンジフード本体2を図5の矢印aで示すように壁面3に向けて移動することで、取付部5を図6に実線で示すように、下大径孔部51がねじ頭部62を通過して胴部61までに達する。
この状態でレンジフード本体2を図6の矢印bで示すように下方に移動して、図6に1点鎖線で示すように中間孔部53(下大径孔部51の内周面上部分)を胴部61の外周面61bに接して取付部5を取付ねじ6に引掛けることで、レンジフード本体2を仮取り付け支持する。
【0028】
この後、レンジフード本体2を図6の矢印cで示すように壁面3に向けて移動することで、取付部5は、取付孔50の中間孔部53が取付ねじ6の胴部61の外周面61bを滑りながらねじ部60側に移動(スライド)する。
そして、取付孔50の中間孔部53が取付ねじ6の胴部61を通過すると、レンジフード本体2は自重で図6の矢印dで示すように下方に移動し、取付部5は2点鎖線で示すように取付孔50の上小径孔部52の内周面上部分52aが取付ねじ6のねじ部60の外周面に接する。この際、レンジフード本体2を持っている施工者は取付部5が胴部61の外周面61bからねじ部60に落ちた感触が得られ、取付孔50の上小径孔部52の内周面上部分52aが取付ねじ6のねじ部60の外周面に接したことを施工者が確認できるので、取り付けのミスがない。
【0029】
この状態で、取付ねじ6を締め付け、図4に示すように、胴部61のねじ部60側の端面61aを取付部5の正面5bに押し付けることで、取付部5を壁取付部4と胴部61とで挟持して取付部5を壁取付部4に固定し、レンジフード本体2を壁取付部材4を介在して壁面3に固定して取り付ける。
これによりレンジフードを壁面3に取り付けできる。
このように壁取付部材4を用いて取り付けするので、取付ねじ6が壁内部の下地材と位置がずれている場合や、リフォームの場合でもレンジフード本体2を十分な強度で壁面3に取り付けできる。
【0030】
また、取付ねじ6を壁取付部材4のねじ孔45にねじ込んで仮取り付けした状態で、ねじ部60の軸方向他端部60aと胴部61が壁取付部材4から突出するので、ねじ部60をねじ孔45に十分の取り付け強度が得られる長さだけねじ込みして、取付ねじ6の壁取付部材4からの突出部分の長さを長くできるので、取付部5の取付用孔50を取付ねじ6の突出部分に引掛けし易く、取付ねじ6の仮取り付け強度が強い。しかも取付ねじ6を十分に締め付けできる。
したがって、従来は突出部分はねじ部60の軸方向他端部60aのみであったのに対し、本発明によれば突出部分は胴部61の分だけ更に長くなるためレンジフード本体2の仮取り付け支持が容易で、レンジフード本体2を安定して仮取り付け支持できる。しかもレンジフード本体2を強固に固定して取り付けできる。
【0031】
また、胴部61のねじ部60側の端面61aは取付ねじ6の軸方向と直角であるから、取付ねじ6を締め付けた際、胴部61の端面61aが取付部5に均一に接触し、より広い面積で取付部5を壁取付部材4に押し付けることができるため、レンジフード本体2が安定した取り付け状態となる。
また、胴部61の外周面61bは軸方向に凹凸がない平滑面であるので、取付部5を胴部61の外周面61bに沿ってねじ部60側に移動する際に障害となるものがなく、取付部5のねじ部60側への移動が容易である。
【0032】
また、胴部61は軸方向に渡って同一の径であるので、胴部61の外周面61bに取付部5の取付用孔50を接した状態で、レンジフード本体2の自重などにより取付部5をねじ部60と離れる方向に移動する力が働くことがなく、取付部5をねじ部60側に移動することが容易である。
また、取付ねじ6は胴部61よりも大径のねじ頭部62を有するので、取付部5の取付用孔50を胴部61の外周面61bに接した状態で、レンジフード本体2に壁面3から離れる方向の力が加わってもねじ頭部62の胴部61側の端面62aが抜け止めとなって、容易に外れることがなく安全である。
【0033】
図7は取付ねじ6の他の実施の形態を示し、取付ねじ6はねじ部60と胴部61とねじ頭部62を有し、胴部61の外周面61bは、軸方向に凹凸がない平滑面で、ねじ部60側の径がねじ頭部62側の径よりも小さいテーパ形状である。
この取付ねじ6であれば、取付部5の取付用孔50を胴部61の外周面61bに接した状態で、レンジフード本体2の自重等で取付部5にねじ部60側に移動する力が働き、ねじ部60と離れる方向の力は働かないので、取付部5をねじ部60側に移動することが容易である。
【0034】
図8は取付用孔50の第2の実施の形態を示し、取付用孔50は底辺が下で、頂点が上である三角形状である。
そして、取付用孔50の底辺側が取付ねじ6のねじ頭部62が軸方向に挿通する下大径孔部51で、頂点側がねじ頭部62が軸方向に挿通しない上小径孔部52である。取付用孔50の底辺と頂点との中間部分が下大径孔部51と上小径孔部52を連続する中間孔部53である。
【0035】
図9は取付用孔50の第3の実施の形態を示し、取付用孔50は取付ねじ6のねじ頭部62が軸方向に挿通する円形の下大径孔部51と、ねじ頭部62が軸方向に挿通せずにねじ部60が軸方向に挿通する矩形状の上小径孔部52を有し、上小径孔部52の下大径孔部51の内周面上部分に開口した部分が中間孔部53である。
【0036】
取付用孔50は、図示はしないが取付ねじ6のねじ頭部62、胴部61が軸方向に挿通する一つ孔としてもよい。つまり、取付用孔50はねじ頭部62、胴部61が軸方向に挿通し、内周面上部分がねじ部60の外周面に接する形状であればよい。
以上の実施の形態では、取付部5の取付用孔50を取付ねじ6の胴部61の外周面61bに接することで、取付部5の取付用孔50を取付ねじ6の胴部61に引掛けし、取付部5を胴部61の外周面61bを滑りながらねじ部60側に移動したが、取付部5の取付用孔50を取付ねじ6に引掛ける際に、取付部5の取付用孔50(上小径孔部52の内周面上部分52a)が取付ねじ6のねじ部60に接することがあるが、それでもよい。
また、取付部5をフード20に設けてもよいし、取付部5をフード20と送風機ボックス21にそれぞれ設けてもよい。この場合は、壁取付部材4がフード20の背面20bに接するようになる。つまり、取付部5はレンジフード本体2に設ければよい。
【符号の説明】
【0037】
1…レンジフード、2…レンジフード本体、3…壁面、4…壁取付部材、5…取付部、6…取付ねじ、20…フード、21…送風機ボックス、41…固定ねじ、50…取付用孔、51…下大径孔部、52…上小径孔部、52a…内周面上部分、53…中間孔部、60…ねじ部、61…胴部、61a…ねじ部側の端面、61b…外周面、62…ねじ頭部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9