特許第6749029号(P6749029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6749029押出成形用造粒性改良剤及びそれを用いた農薬組成物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6749029
(24)【登録日】2020年8月13日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】押出成形用造粒性改良剤及びそれを用いた農薬組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 2/28 20060101AFI20200824BHJP
   B01J 2/20 20060101ALI20200824BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20200824BHJP
   A01N 25/12 20060101ALI20200824BHJP
   A01N 47/38 20060101ALN20200824BHJP
   A01N 47/36 20060101ALN20200824BHJP
   A01N 47/30 20060101ALN20200824BHJP
   A01N 37/22 20060101ALN20200824BHJP
   A01N 57/16 20060101ALN20200824BHJP
   A01N 43/90 20060101ALN20200824BHJP
【FI】
   B01J2/28
   B01J2/20
   A01N25/00 101
   A01N25/12
   !A01N47/38 A
   !A01N47/36 101E
   !A01N47/30 C
   !A01N37/22
   !A01N57/16 103C
   !A01N43/90 104
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-187161(P2019-187161)
(22)【出願日】2019年10月10日
【審査請求日】2019年10月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 信臣
【審査官】 山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−148660(JP,A)
【文献】 特表2002−510605(JP,A)
【文献】 米国特許第06083875(US,A)
【文献】 特開平05−078207(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/065013(WO,A1)
【文献】 特開2005−162643(JP,A)
【文献】 特開平08−268108(JP,A)
【文献】 特開平07−061902(JP,A)
【文献】 特開昭49−080252(JP,A)
【文献】 特開昭49−069630(JP,A)
【文献】 特開2004−292354(JP,A)
【文献】 特開2003−081705(JP,A)
【文献】 特開昭63−010701(JP,A)
【文献】 特開昭58−124704(JP,A)
【文献】 特開平03−261701(JP,A)
【文献】 社団法人日本機械学会,造粒と造粒装置,1967年11月20日,pp.61-63,69,93
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J
A01N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出成形により含水組成物から造粒物を製造する際に用いられる造粒性改良剤であって、
前記含水組成物は、固体粉末、水及び前記造粒性改良剤を含有し、
下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする押出成形用造粒性改良剤。
−O−(RO)−H (1)
(式中、Rは炭素原子数が14〜18の炭化水素基であり、Rは炭素原子数が2又は3のアルキレン基であり、ROがオキシプロピレン基(−CO−)を含み、該オキシプロピレン基の含有割合は、ROの全体に対して50〜100モル%であり、nは4〜10の整数である。)
【請求項2】
前記固体粉末は活性材料と増量剤とからなる請求項1に記載の押出成形用造粒性改良剤。
【請求項3】
前記一般式(1)において、Rは、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基又はオレイル基である請求項1又は2に記載の押出成形用造粒性改良剤。
【請求項4】
農薬組成物を製造する方法であって、
農薬活性成分と、請求項1から3のいずれか1項に記載の押出成形用造粒性改良剤と、増量剤とを含む混合物を、押出成形に供する工程を備えることを特徴とする、農薬組成物の製造方法。
【請求項5】
前記農薬活性成分、前記押出成形用造粒性改良剤及び前記増量剤の使用量の割合が、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、0.1〜80質量%、0.1〜5質量%及び15〜99質量%である請求項4に記載の農薬組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体粉末を主として含む造粒物の製造に好適な押出成形用造粒性改良剤に関する。また、本発明は、農薬活性成分及び押出成形用造粒性改良剤を含む農薬組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業で用いられる農薬は、農薬活性成分(以下、「農薬有効成分」ともいう)のみからなるもの、又は、農薬活性成分と、他の成分とを含有する混合物からなるものである。そして、農業に従事する者の計量又は散布の容易性や、農薬活性成分が粉末である場合にこれを散布時等に直接、吸引することが抑制される等の観点から、粒状等に造粒された農薬が広く使用されている。このような造粒物は、例えば、農薬活性成分と、固体担体、結合剤、界面活性剤等とを均一混合させた後、混合物を押出成形して製造される。
【0003】
特許文献1には、水に難溶性の固体活性成分を水中で湿式粉砕してスラリー状となし、これを鉱物性微粉末担体と混合して押し出し造粒するに際し、粉砕時の分散剤ならびに造粒性改良剤として、アルキルナフタレンスルホン酸塩を配合する非医療用粒剤の製造方法が開示されている。
特許文献2には、担体、界面活性剤、農薬活性成分及び水を含有する含水組成物を調製し、該含水組成物を押出成形する工程を経て農薬粒剤を製造する方法において、担体Aとして、比表面積が1000〜30000cm/gであり、平均粒子径が0.7〜20μmであって、水分が0.2重量%以下である炭酸カルシウム粉体を、界面活性剤Bとして、[ROYO]P(O)(OM)(式中、Rは炭素数1〜18の炭化水素基、Yはオキシアルキレン単位の繰り返し数1〜100のポリオキシアルキレンジオールから水酸基を除いた残基、MはH又は1価の塩基、m及びnは1又は2であって、m+n=3を満足する整数)、農薬活性成分Cとして、オクタノール/水の分配係数が10〜10である農薬活性成分又は20℃における水溶解度が1〜0.001ppmである農薬活性成分を、それぞれ、用い、担体A100重量部当たり界面活性剤Bを0.1〜5重量部及び水を5〜10重量部の割合で含有する含水組成物を調製することを特徴とする農薬粒剤の製造方法が開示されている。
特許文献3には、農薬有効成分、結合剤、固体担体及びポリオキシエチレンC15−C20アルキルエーテル硫酸エステル塩を含有してなる組成物を押し出し造粒することを特徴とする農薬粒状製剤の製造方法が開示されている。
また、特許文献4には、1.5kW以上の電動機が搭載された造粒機を用いて混練物を押出造粒する粒状農薬製剤の製造方法であって、該混練物が、農薬活性成分、界面活性剤、増量剤及び水を含み、かつ、条件(1)ミキサートルクレオメーターを用いて、その主軸の周速度が8.6cm/sの条件で測定される造粒指数が0.4〜1.0及び(2)ミキサートルクレオメーターを用いて、その主軸の周速度が8.6cm/sの条件で測定されるトルクが4Nm以下 を満たすように調製された混練物である、粒状農薬製剤の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−146126号公報
【特許文献2】特開平11−79902号公報
【特許文献3】特開2008−37820号公報
【特許文献4】特開2018−35133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、固体粉末を主として含む造粒物の製造に好適な造粒性改良剤を提供することである。また、本発明の他の目的は、水に接触した際に崩壊性に優れた造粒物を製造することができる造粒性改良剤を提供することである。
また、本発明の更に他の目的は、植物の成長を阻害しない造粒性改良剤を含み、水に接触した際に崩壊性に優れた造粒物とすることができる農薬組成物及びその組成物からなる造粒物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、固体粉末を主として含む造粒物の製造に用いる造粒性改良剤について、鋭意検討した結果、本発明を見い出すに至った。
【0007】
本発明の押出成形用造粒性改良剤は、下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする。
−O−(RO)−H (1)
(式中、Rは炭素原子数が14〜18の炭化水素基であり、Rは炭素原子数が2又は3のアルキレン基であり、ROがオキシプロピレン基(−CO−)を含み、該オキシプロピレン基の含有割合は、ROの全体に対して50〜100モル%であり、nは4〜10の整数である。)
上記一般式(1)において、Rは、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基又はオレイル基であることが好ましい。
【0008】
本発明の押出成形用造粒性改良剤を用いて得られる農薬組成物は、農薬活性成分と、上記押出成形用造粒性改良剤とを含有することができる
上記農薬組成物は、更に、増量剤を含有することができ、その場合、農薬活性成分、造粒性改良剤及び増量剤の含有割合は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、0.1〜80質量%、0.1〜5質量%及び15〜99質量%であることが好ましい。
上記農薬組成物は、好ましくは、造粒物である。
【0009】
本発明において、農薬組成物を製造する方法は、農薬活性成分と、上記押出成形用造粒性改良剤と、増量剤とを含む混合物を、押出成形に供する工程を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の押出成形用造粒性改良剤によれば、固体粉末を主として含む造粒物を効率よく製造することができる。具体的には、造粒性改良剤及び固体粉末の混合物を押出成形するに際して、成形機に大きな負荷をかけることなく製造することができる。固体粉末の構成材料は、特に限定されないが、本発明の押出成形用造粒性改良剤を含む造粒物が水に接触すると、崩壊しやすいため、固体粉末が、例えば、活性材料(除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、抗ウイルス剤、植物成長調節剤、殺菌剤、誘引剤、忌避剤、抗菌剤、防カビ剤、肥料、香料、着色剤、消臭剤等の、作用を有する材料)を含む場合には、造粒物が水に接触した際に崩壊し、その結果、活性材料を拡展させ、広い範囲でその作用を発揮させることができる。
本発明の押出成形用造粒性改良剤を用いて得られる農薬組成物によれば、植物の成長を阻害しない造粒性改良剤を含むため、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、抗ウイルス剤、植物成長調節剤、殺菌剤、誘引剤、忌避剤等の農薬活性成分による作用を十分に発揮させることができる。この農薬組成物が造粒物である場合には、単位質量あたりの農薬活性成分の含有割合が既知となるため、農地等に使用した場合に、農薬活性成分の所期の使用量を容易に把握することができる。また、造粒物は、水に接触した際に容易に崩壊するため、同量の農薬活性成分のみを満遍なく散布したと同等の効果を得ることができる。
また、本発明の農薬組成物の製造方法によれば、農薬活性成分を主として含む造粒物を効率よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の押出成形用造粒性改良剤は、固体粉末と併用することにより、固体粉末を主として含む造粒物を効率よく形成させるものであり、下記一般式(1)で表される化合物(以下、「化合物(A)」という)を含有する。本発明の押出成形用造粒性改良剤に含まれる化合物(A)は、1種のみでも2種以上でもよい。
−O−(RO)−H (1)
(式中、Rは炭素原子数が14〜18の炭化水素基であり、Rは炭素原子数が2又は3のアルキレン基であり、ROがオキシプロピレン基(−CO−)を含み、該オキシプロピレン基の含有割合は、ROの全体に対して50〜100モル%であり、nは4〜10の整数である。)
【0012】
上記一般式(1)において、Rは炭素原子数が8〜22の炭化水素基であり、好ましくは脂肪族炭化水素基である。また、この脂肪族炭化水素基は、飽和炭化水素基及び不飽和炭化水素基のいずれでもよい。飽和炭化水素基としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。また、不飽和炭化水素基としては、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、エイコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基等が挙げられる。
本発明において、Rの炭素原子数は、好ましくは12〜20、より好ましくは14〜18である。
【0013】
上記一般式(1)において、Rは炭素原子数が2又は3のアルキレン基であり、nは2〜14の整数であるため、化合物(A)は、ROとして、オキシエチレン基(−CO−)又はオキシプロピレン基(−CO−)が規則的あるいは不規則的に連なって結合した構造を有する。
本発明において、ROはオキシプロピレン基(−CO−)を含む。このオキシプロピレン基の含有割合は、造粒性の観点から、ROの全体に対して、50〜100モル%である。
本発明において、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基の合計数であるnは、4〜10である。
【0014】
本発明の押出成形用造粒性改良剤は、必要に応じて、他の成分を含有することができる。他の成分としては、他の造粒性改良剤、水、有機溶剤等が挙げられる。
【0015】
他の造粒性改良剤としては、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩及びそのホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩及びそのホルムアルデヒド縮合物、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル硫酸塩、リグニンスルホン酸塩、カルボキシメチルセルロース塩、脂肪酸及びその誘導体、スルホン置換コハク酸ジエステル、多糖類等が挙げられる。
【0016】
また、本発明の押出成形用造粒性改良剤が、水、有機溶剤等の液状媒体を含む場合、その含有割合は、特に限定されないが、その上限は、上記化合物(A)の含有量を100質量部とした場合に、好ましくは500質量部、より好ましくは200質量部である。
【0017】
本発明の押出成形用造粒性改良剤が適用可能な固体粉末を構成する材料は、特に限定されず、有機材料及び無機材料のいずれでもよい。また、これらを組み合わせた複合材料でもよい。更に、固体粉末材料の上記液状媒体への溶解性も特に限定されない。
また、固体粉末の形状及びサイズも、特に限定されない。
【0018】
上記固体粉末は、造粒性の観点から、上記液状媒体のうち、特に水に不溶な化合物を含む固体粉末であることが好ましい。例えば、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、抗ウイルス剤、植物成長調節剤、殺菌剤、誘引剤、忌避剤、抗菌剤、防カビ剤、肥料、香料、着色剤、消臭剤等の作用を有する活性材料からなる粉末は、農業をはじめ、園芸等において造粒物を有効に活用することができる。本発明の押出成形用造粒性改良剤は、植物の成長を阻害しない化合物(A)、即ち、薬害のない化合物(A)を含むため、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、抗ウイルス剤、植物成長調節剤、殺菌剤、誘引剤、忌避剤等とともに含まれる造粒物は、農業において好適に使用される。
【0019】
本発明の押出成形用造粒性改良剤を用いて造粒物を製造する場合には、増量剤(クレー、珪石、タルク、白土、珪藻土、シリカ、ベントナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、でんぷん、乳糖、塩化カリウム、尿素等の粉末)、固体粉末の安定剤、崩壊促進剤、バインダー剤等の他の成分を更に併用することができる。これらの他の成分の形状及びサイズは、特に限定されない。本発明においては、バインダーを併用せずに造粒物を製造することもできる。
【0020】
好ましい造粒物の製造方法は、本発明の押出成形用造粒性改良剤と、固体粉末と、水と、必要に応じて用いる他の成分とを混合した後、得られた混合物(以下、「含水組成物」という)を、押出成形に供する方法である。
【0021】
上記含水組成物を調製する場合には、固体粉末及び他の成分は、予め、微粒化されたものであることが好ましい。また、この含水組成物における造粒性改良剤及び固体粉末の含有割合は、用途により、適宜、選択されることから、特に限定されないが、造粒性改良剤の使用量は、固体粉末、他の成分及び造粒性改良剤の合計100質量%に対して、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは1〜4質量%である。更に、含水組成物における水の含有割合は、造粒性の観点から、その全体に対して、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
【0022】
上記含水組成物の調製に用いる装置は、特に限定されず、例えば、リボンミキサー方式混合機、V型混合機、ロータリーミキサー、円錐型混合機、高速流動型混合機、連続ニ−ダー等を用いることができる。
【0023】
上記含水組成物の押出成形は、従来、公知の押出成形機により行うことができる。押出成形機としては、スクリュー型成形機、ロール型成形機、ブレード型成形機等が挙げられる。押出成形機から排出された成形物は、通常、微量の水分を含むため、これを乾燥することにより、造粒物を得ることができる。造粒物の形状及びサイズは、用途により、適宜、選択されるため、押出成形条件は、特に限定されない。
【0024】
本発明の押出成形用造粒性改良剤を用いることにより、上記含水組成物を押出成形するに際して、成形機に大きな負荷をかけることなく造粒物を製造することができる。
【0025】
本発明の押出成形用造粒性改良剤を用いて得られる農薬組成物は、上記本発明の押出成形用造粒性改良剤及び農薬活性成分を含有する組成物である。従って、上記農薬組成物は、植物の成長を阻害しない化合物(A)、即ち、薬害のない化合物(A)を含む押出成形用造粒性改良剤と、農薬活性成分とを含有する。
上記農薬活性成分としては、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、抗ウイルス剤、植物成長調節剤、殺菌剤、誘引剤、忌避剤等が挙げられる。これらの農薬活性成分は、水溶性及び水不溶性のいずれでもよいが、水に不溶であることが好ましい。上記農薬組成物に含まれる農薬活性成分は、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
【0026】
上記除草剤としては、アイオキシニル、アジムスルフロン、アシュラム、アトラジン、アニロホス、アラクロール、イソウロン、イソキサベン、イマザキン、イマザピル、イマゾスルフロン、インダノファン、エスプロカルブ、エトキシスルホン、エトベンザニド、オキサジアゾン、オキサジアルギル、オキサジクロメホン、オルソベンカーブ、オリザリン、カフェンストロール、カルフェントラゾンエチル、カルブチレート、キザロホップメチル、クミルロン、グリホサートアンモニウム塩、グリホサートイソプロピルアミン塩、グリホサートカリウム塩、グリホサートトリメシウム塩、グルホシネート、クレトジム、クロメプロップ、クロルフタリム、シアナジン、シクロスルファムロン、ジクワット、ジチオピル、シデュロン、シノスルフロン、シハロホップブチル、ジフルフェニカン、ジメタメトリン、ジナテナミド、シメトリン、シンメトリン、セトキシジム、ダイムロン、ダゾメット、チフェンスルフロンメチル、デスメディファム、テトラピオン、テニルクロール、テプラロキシジム、トリアジフラム、トリクロピル、トリフルラリン、トリフロキシスルフロンナトリウム塩、ナプロパミド、ニコスルフロン、パラコート、ハロスルフロンメチル、ビアラホス、ビスピリバックナトリウム塩、ビフェノックス、ピラゾキシフェン、ピラゾスルフロンメチル、ピラゾエート、ピラフルフェンチオン、ピリフタリド、ピリブチカルブ、ピリミノバックメチル、フェノチオール、フェントラザミド、フェンメディファム、ブタクロール、ブタミホス、フラザスルフロン、フルアジホップ、フルチアセットメチル、フルミオキサジン、プレチラクロール、プロジアミン、プロピサミド、ブロマシル、プロメトリン、ブロモブチド、フロラスラム、ベスロジン、ベンスルフロンメチル、ベンゾフェナップ、ベンゾビシクロン、ベンタゾンナトリウム塩、ベンチオカーブ、ペンディメタリン、ペントキサゾン、ベンフレセート、メタミトロン、メトスルフロンメチル、メトラクロール、メトリブジン、メフェナセット、モリネート、リニュロン、リムスルフロン、レナシル、ACN,シマジン、ジクロベニル、クロルチアミド、ジウロン、プロパニル、MCP、MCPイソプロピルアミン塩、MCPB、MCPP、MDBA、MDBAイソプロピルアミン塩、PAC、SAP、2,4−PA等が挙げられる。
【0027】
上記殺虫剤としては、アクリナトリン、アセキノシル、アセタミプリド、アセフェート、アミトラズ、アラニカルブ、アレスリン、イソキサチオン、イミダクロプリド、インドキサカルブMP、エスフェンバレレート、エチオフェンカルブ、エチプロール、エチルチオメトン、エトキサゾール、エトフェンプロックス、エマメクチン安息香酸塩、塩酸レバミゾール、オキサミル、カズサホス、カルタップ塩酸塩、カルボスルファン、クロチアニジン、クロフェンテジン、クロマフェノジド、クロルピリホス、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、シクロプロトリン、ジノテフラン、シフルトリン、ジメトエート、スピノサド、ダイアジノン、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオシクラムシュウ酸塩、テブフェノジド、テブフェンピラド、テフルトリン、テフルベンズロン、トラロメトリン、トルフェンピラド、ノバルロン、ハルフェンプロックス、ビフェナゼート、ビフェントリン、ピメトロジン、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、ピリダベン、ピリダリル、ピリプロキシフェン、ピリミジフェン、ピリミホスメチル、ピレトリン、フィプロニル、フェニソブロモエート、フェノチオカルブ、フルアクリピリム、フルシトリネート、フルバリネート、フルフェノクスロン、プロパホス、プロフェノホス、ヘキシチアゾクス、ペルメトリン、ベンスルタップ、ベンゾエピン、ベンフラカルブ、ボーベリア・バシアーナ、ボーベリア・ブロンニアティ、ホサロン、マラソン、メスルフェンホス、メソミル、メトキシフェノジド、ルフェヌロン、BPMC、BT(バチルス・チューリンゲンシス菌)、メチダチオン、フェニトロチオン、イソプロカルブ、フェンチオン、NAC等が挙げられる。
【0028】
上記殺菌剤としては、アシベンゾランSメチル、アゾキシストロビン、アンバム、硫黄、イソプロチオラン、イプコナゾール、イプロジオン、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、イミベンコナゾール、エクロメゾール、オキサジキシル、オキシテトラサイクリン、オキスポコナゾールフマル酸塩、オキソリニック酸、カスガマイシン、カルプロパミド、キノメチオナート、キャプタン、クレソキシムメチル、クロロネブ、シアゾファミド、ジエトフェンカルブ、ジクロシメット、ジクロメジン、ジチアノン、ジネブ、ジフェノコナゾール、シフルフェナミド、ジフルメトリム、シプロコナゾール、シプロジニル、シメコナゾール、ジメトモルフ、シモキサニル、シュードモナス・フルオレッセンス、シュードモナスCAB−02、ジラム、水和硫黄、ストレプトマイシン、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、チアジアジン、チアジニル、チアベンダゾール、チウラム、チオファネートメチル、チフルザミド、テクロフタラム、テトラコナゾール、テブコナゾール、トリアジメホン、トリアジン、トリコデルマ・アトロビリデ、トリシクラゾール、トリフルミゾール、トリフロキシストロビン、トリホリン、トルクルホスメチル、バチルスズブチリス、バリダマイシン、ビテルタノール、ヒドロキシイソキサゾール、ピラゾホス、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピロキロン、ファモキサドン、フェナリモル、フェノキサニル、フェリムゾン、フェンブコナゾール、フェンヘキサミド、フサライド、フラメトピル、フルアジナム、フルオルイミド、フルジオキソニル、フルスルファミド、フルトラニル、プロシミドン、プロパモカルブ塩酸塩、プロピコナゾール、プロピネブ、プロベナゾール、ヘキサコナゾール、ベノミル、ペフラゾエート、ペンシクロン、ボスカリド、ホセチル、ポリカーバメート、マンゼブ、マンネブ、ミクロブタニル、ミルディオマイシン、メタスルホカルブ、メトミノストロビン、メパニピリム、有機銅、硫酸亜鉛、硫酸銅、エジフェンホス、イプロベンホス、クロロタロニル等が挙げられる。
【0029】
上記農薬組成物は、必要に応じて、他の造粒性改良剤、増量剤、安定剤、崩壊促進剤、溶出制御剤、溶出促進剤、水、有機溶剤等を含有することができる。
上記農薬組成物は、各成分がそのままの性状で混合されてなる混合物(以下、「第1農薬組成物」という)であってよいし、この第1農薬組成物を用いて得られた造粒物(成形物)であってもよい。この造粒物の形状及びサイズは、特に限定されない。
上記造粒物は、農薬活性成分及び造粒性改良剤を含むため、農薬活性成分のみを用いた場合に比べて、例えば、農地等に散布した際に、作物又は農地に所期の量の農薬活性成分を確実に施用することができる。また、造粒物は、水に接触した際に容易に崩壊するため、農薬活性成分を効率よく拡展させることができる。
【0030】
上記農薬組成物が造粒物である場合、増量剤を含有することが好ましく、クレー、珪石、タルク、白土、珪藻土、シリカ、ベントナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、でんぷん、乳糖、塩化カリウム、尿素等の粉末からなる増量剤の少なくとも1種を含有することが特に好ましい。
【0031】
上記農薬組成物が増量剤を含有する場合、農薬活性成分、押出成形用造粒性改良剤及び増量剤の含有割合は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは0.1〜80質量%、0.1〜5質量%及び15〜99質量%である。
【0032】
本発明において、農薬組成物からなる造粒物を製造する場合、水、有機溶剤等の液状媒体を含む第1農薬組成物を用いることが好ましい。この第1農薬組成物における液状媒体の下限は、農薬活性成分、押出成形用造粒性改良剤及び増量剤の含有量の合計を100質量部とした場合に、好ましくは15質量部、より好ましくは10質量部である。但し、上限は、通常、20質量部である。
上記第1農薬組成物は、好ましくは、含水組成物である。
【0033】
本発明において、農薬組成物からなる造粒物を製造する方法は、上記第1農薬組成物を、押出成形に供する工程を備える方法とすることができ、含水組成物を押出成形するとした上記記載の方法を適用することができる。この製造方法は、バインダー、賦形剤等を併用してもよいが、併用しなくてもよいという点で、低コストの製造方法であり、他の造粒性改良剤を含む原料組成物を押出成形した場合に比べて成形機への負荷が小さく、好適である。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例を挙げるが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、「%」は質量%を意味することがある。
【0035】
1.試験区分1(化合物(A)の合成)
上記一般式(1)に基づく化合物(A)を合成し、後述の実施例及び比較例において、これらを造粒性改良剤として用いた。
【0036】
合成例1
セチルアルコール1モル(242.2g)をオートクレーブに仕込み、触媒として水酸化カリウム粉末1.5gを加えた後、オートクレーブ内を十分に窒素で置換した。その後、撹拌下に反応系を120℃〜140℃に維持しつつ、エチレンオキシド1モル(44g)及びプロピレンオキシド6モル(348.6g)を圧入して付加重合反応を行い、同温度で1時間熟成してエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの付加重合反応を終了した。次いで、上記触媒をリン酸で中和し、副生成物を分子蒸留により分離して、セチルアルコールにエチレンオキシド1モル及びプロピレンオキシド6モルがランダム付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−1)を得た(表1参照)。
【0037】
合成例2
セチルアルコールに代えてミリスチルアルコール1モルを用い、エチレンオキシドを不使用とし、プロピレンオキシド5モルを用いた以外は、合成例1と同様の操作を行い、ミリスチルアルコールにプロピレンオキシド5モルが付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−2)を得た(表1参照)。
【0038】
合成例3
ステアリルアルコール1モル(270.5g)をオートクレーブに仕込み、触媒として水酸化カリウム粉末1.5gを加えた後、オートクレーブ内を十分に窒素で置換した。その後、撹拌下に反応系を120℃〜140℃に維持しつつ、エチレンオキシド2モル(88g)を圧入して付加重合反応を行い、同温度で1時間熟成してエチレンオキシドの付加重合反応を終了した。次いで、反応系を同温度に維持しつつ、プロピレンオキシド4モル(232.4g)を圧入して付加重合反応を行い、同温度で1時間熟成してプロピレンオキシドの付加重合反応を終了した。その後、上記触媒をリン酸で中和し、副生成物を分子蒸留により分離して、ステアリルアルコールにエチレンオキシド2モル及びプロピレンオキシド4モルを、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの順にブロック付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−3)を得た(表1参照)。
【0039】
合成例4
セチルアルコール1モルをオートクレーブに仕込み、触媒として水酸化カリウム粉末1.5gを加えた後、オートクレーブ内を十分に窒素で置換した。その後、撹拌下に反応系を120℃〜140℃に維持しつつ、プロピレンオキシド4モルを圧入して付加重合反応を行い、同温度で1時間熟成してプロピレンオキシドの付加重合反応を終了した。次いで、反応系を同温度に維持しつつ、エチレンオキシド3モルを圧入して付加重合反応を行い、同温度で1時間熟成してエチレンオキシドの付加重合反応を終了した。その後、上記触媒をリン酸で中和し、副生成物を分子蒸留により分離して、セチルアルコールにプロピレンオキシド4モル及びエチレンオキシド3モルを、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドの順にブロック付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−4)を得た(表1参照)。
【0040】
合成例5
セチルアルコールに代えてミリスチルアルコール1モルを用い、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの使用量をいずれも2モルとした以外は、合成例1と同様の操作を行い、ミリスチルアルコールにエチレンオキシド2モル及びプロピレンオキシド2モルがランダム付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−5)を得た(表1参照)。
【0041】
合成例6
セチルアルコールに代えてオレイルアルコール1モルを用い、エチレンオキシドを不使用とし、プロピレンオキシド10モルを用いた以外は、合成例1と同様の操作を行い、オレイルアルコールにプロピレンオキシド10モルが付加されたポリオキシアルキレンアルケニルエーテル(A−6)を得た(表1参照)。
【0042】
合成例7
エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの使用量を、それぞれ、5モル及び4モルとした以外は、合成例1と同様の操作を行い、セチルアルコールにエチレンオキシド5モル及びプロピレンオキシド4モルがランダム付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−7)を得た(表1参照)。
【0043】
合成例8
ミリスチルアルコール1モルをオートクレーブに仕込み、触媒として水酸化カリウム粉末1.5gを加えた後、オートクレーブ内を十分に窒素で置換した。その後、撹拌下に反応系を120℃〜140℃に維持しつつ、エチレンオキシド3モルを圧入して付加重合反応を行い、同温度で1時間熟成してエチレンオキシドの付加重合反応を終了した。次いで、反応系を同温度に維持しつつ、プロピレンオキシド2モルを圧入して付加重合反応を行い、同温度で1時間熟成してプロピレンオキシドの付加重合反応を終了した。その後、上記触媒をリン酸で中和し、副生成物を分子蒸留により分離して、ミリスチルアルコールにエチレンオキシド3モル及びプロピレンオキシド2モルを、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの順にブロック付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−8)を得た(表1参照)。
【0044】
合成例9
セチルアルコールに代えてラウリルアルコール1モルを用い、エチレンオキシドを不使用とし、プロピレンオキシド4モルを用いた以外は、合成例1と同様の操作を行い、ラウリルアルコールにプロピレンオキシド4モルが付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−9)を得た(表1参照)。
【0045】
合成例10
SASOL社製「SAFOL 23」(商品名)191gをオートクレーブに仕込み、触媒として水酸化カリウム粉末1.5gを加えた後、オートクレーブ内を十分に窒素で置換した。その後、撹拌下に反応系を120℃〜140℃に維持しつつ、エチレンオキシド1モルを圧入して付加重合反応を行い、同温度で1時間熟成してエチレンオキシドの付加重合反応を終了した。次いで、反応系を同温度に維持しつつ、プロピレンオキシド7モルを圧入して付加重合反応を行い、同温度で1時間熟成してプロピレンオキシドの付加重合反応を終了した。その後、上記触媒をリン酸で中和し、副生成物を分子蒸留により分離して、分岐C12〜13アルコールにエチレンオキシド1モル及びプロピレンオキシド7モルが、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの順にブロック付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−10)を得た(表1参照)。
【0046】
合成例11
アラキジルアルコール1モルをオートクレーブに仕込み、触媒として水酸化カリウム粉末1.5gを加えた後、オートクレーブ内を十分に窒素で置換した。その後、撹拌下に反応系を120℃〜140℃に維持しつつ、プロピレンオキシド5モルを圧入して付加重合反応を行い、同温度で1時間熟成してプロピレンオキシドの付加重合反応を終了した。次いで、反応系を同温度に維持しつつ、エチレンオキシド5モルを圧入して付加重合反応を行い、同温度で1時間熟成してエチレンオキシドの付加重合反応を終了した。その後、上記触媒をリン酸で中和し、副生成物を分子蒸留により分離して、アラキジルアルコールにプロピレンオキシド5モル及びエチレンオキシド5モルを、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドの順にブロック付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−11)を得た(表1参照)。
【0047】
合成例12
ステアリルアルコール1モルをオートクレーブに仕込み、触媒として水酸化カリウム粉末1.5gを加えた後、オートクレーブ内を十分に窒素で置換した。その後、撹拌下に反応系を120℃〜140℃に維持しつつ、エチレンオキシド3モルを圧入して付加重合反応を行い、同温度で1時間熟成してエチレンオキシドの付加重合反応を終了した。次いで、反応系を同温度に維持しつつ、プロピレンオキシド9モルを圧入して付加重合反応を行い、同温度で1時間熟成してプロピレンオキシドの付加重合反応を終了した。その後、上記触媒をリン酸で中和し、副生成物を分子蒸留により分離して、ステアリルアルコールにエチレンオキシド3モル及びプロピレンオキシド9モルを、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの順にブロック付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−12)を得た(表1参照)。
【0048】
合成例13
セチルアルコールに代えてミリスチルアルコール1モルを用い、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの使用量をいずれも1モルとした以外は、合成例1と同様の操作を行い、ミリスチルアルコールにエチレンオキシド1モル及びプロピレンオキシド1モルがランダム付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−13)を得た(表1参照)。
【0049】
合成例14
セチルアルコールに代えてステアリルアルコール1モルを用い、プロピレンオキシドを不使用とし、エチレンオキシド4モルを用いた以外は、合成例1と同様の操作を行い、ステアリルアルコールにエチレンオキシド4モルが付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−14)を得た(表1参照)。
【0050】
合成例15
セチルアルコールに代えてオクチルアルコール1モルを用い、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの使用量をいずれも2モルとした以外は、合成例1と同様の操作を行い、オクチルアルコールにエチレンオキシド2モル及びプロピレンオキシド2モルがランダム付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−15)を得た(表1参照)。
【0051】
合成例16
セチルアルコールに代えてベヘニルアルコール1モルを用い、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの使用量を、それぞれ、3モル及び5モルとした以外は、合成例1と同様の操作を行い、ベヘニルアルコールにエチレンオキシド3モル及びプロピレンオキシド5モルがランダム付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−16)を得た(表1参照)。
【0052】
合成例17
セチルアルコールに代えてステアリルアルコール1モルを用い、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの使用量を、それぞれ、2モル及び1モルとした以外は、合成例1と同様の操作を行い、ステアリルアルコールにエチレンオキシド2モル及びプロピレンオキシド1モルがランダム付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−17)を得た(表1参照)。
【0053】
合成例18
セチルアルコールに代えてミリスチルアルコール1モルを用い、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの使用量を、それぞれ、7モル及び4モルとした以外は、合成例1と同様の操作を行い、ミリスチルアルコールにエチレンオキシド7モル及びプロピレンオキシド4モルがランダム付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−18)を得た(表1参照)。
【0054】
合成例19
セチルアルコールに代えてラウリルアルコール1モルを用い、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの使用量を、それぞれ、4モル及び3モルとした以外は、合成例1と同様の操作を行い、ラウリルアルコールにエチレンオキシド4モル及びプロピレンオキシド3モルがランダム付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−19)を得た(表1参照)。
【0055】
合成例20
セチルアルコールに代えてアラキジルアルコール1モルを用い、エチレンオキシドを不使用とし、プロピレンオキシド3モルを用いた以外は、合成例1と同様の操作を行い、アラキジルアルコールにプロピレンオキシド3モルが付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−20)を得た(表1参照)。
【0056】
合成例21
セチルアルコールに代えて2−ドデシルアルコール1モルを用い、プロピレンオキシドを不使用とし、エチレンオキシド9モルを用いた以外は、合成例1と同様の操作を行い、2−ドデシルアルコールにエチレンオキシド9モルが付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−21)を得た(表1参照)。
【0057】
合成例22
セチルアルコールに代えてミリスチルアルコール1モルを用い、プロピレンオキシドを不使用とし、エチレンオキシド11モルを用いた以外は、合成例1と同様の操作を行い、ミリスチルアルコールにエチレンオキシド11モルが付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−22)を得た(表1参照)。
【0058】
合成例23
セチルアルコールに代えてステアリルアルコール1モルを用い、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの使用量を、それぞれ、12モル及び3モルとした以外は、合成例1と同様の操作を行い、ステアリルアルコールにエチレンオキシド12モル及びプロピレンオキシド3モルがランダム付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(a−1)を得た(表1参照)。
【0059】
合成例24
セチルアルコールに代えてラウリルアルコール1モルを用い、プロピレンオキシドを不使用とし、エチレンオキシド1モルを用いた以外は、合成例1と同様の操作を行い、ラウリルアルコールにエチレンオキシド1モルが付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(a−2)を得た(表1参照)。
【0060】
合成例25
オクチルアルコール1モルをオートクレーブに仕込み、触媒として水酸化カリウム粉末1.5gを加えた後、オートクレーブ内を十分に窒素で置換した。その後、撹拌下に反応系を120℃〜140℃に維持しつつ、プロピレンオキシド7モルを圧入して付加重合反応を行い、同温度で1時間熟成してプロピレンオキシドの付加重合反応を終了した。次いで、反応系を同温度に維持しつつ、エチレンオキシド9モルを圧入して付加重合反応を行い、同温度で1時間熟成してエチレンオキシドの付加重合反応を終了した。その後、上記触媒をリン酸で中和し、副生成物を分子蒸留により分離して、オクチルアルコールにプロピレンオキシド7モル及びエチレンオキシド9モルを、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドの順にブロック付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(a−3)を得た(表1参照)。
【0061】
合成例26
プロピレンオキシドを不使用とし、エチレンオキシド15モルを用いた以外は、合成例1と同様の操作を行い、ミリスチルアルコールにエチレンオキシド15モルが付加されたポリオキシアルキレンアルキルエーテル(a−4)を得た(表1参照)。
【0062】
【表1】
【0063】
2.試験区分2(造粒性改良剤の薬害評価)
実施例1−1〜1−、参考例1−1〜1−16及び比較例1−1〜1−15
上記で得られた(A−1)〜(A−22)及び(a−1)〜(a−4)、並びに、下記の化合物(b−1)〜(b−11)を造粒性改良剤として、薬害評価を行った。その結果を表2に示す。
(b−1)ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
(b−2)炭素原子数が10〜14のアルキル基を有するアルキル硫酸ナトリウム
(b−3)炭素原子数が10〜14のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
(b−4)ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム
(b−5)POE(3)オクチルエーテルホスフェートナトリウム
(b−6)ポリアクリル酸ナトリウム
(b−7)ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物ナトリウム
(b−8)POE(14)トリスチリルフェニルエーテルサルフェートNH
(b−9)POE(20)ステアリルエーテルサルフェートNa
(b−10)POE(12)トリスチリルフェニルエーテルホスフェートTEA
(b−11)POE(8)トリスチリルフェニルエーテル
【0064】
<薬害評価方法>
ガラス製シャーレ(直径10cm、深さ1cm)にコットン(75mm×75mm、約1.2g)を敷き、上記造粒性改良剤を0.1%含む水溶液又はイオン交換水のみを25g添加し、コットン全体を湿らせた。次いで、カイワレ大根種子10粒を均一に撒き、25℃の恒温器に静置し、発芽させた。3日後に発芽した茎の長さ(10粒分の平均値)を測定し、式(1)にて成長率を算出した。
【数1】
この成長率から、下記基準で薬害を判定した。
〇:50%以上であった
△:20%以上50%未満であった
×:20%未満であった
【0065】
【表2】
【0066】
3.試験区分3(農薬組成物の製造並びに造粒性及び崩壊性の評価)
実施例2−1〜2−、参考例2−1〜2−18及び比較例2−1〜2−15
表2に示された造粒性改良剤を、下記の農薬活性成分及び増量剤と併用し、表3に示す構成の農薬組成物を得た。
【0067】
3−1.農薬活性成分
(Z−1)カフェンストロール
(Z−2)ベンスルフロンメチル
(Z−3)ダイムロン
(Z−4)プレチラクロール
(Z−5)ダイアジノン
(Z−6)トリシクラゾール
【0068】
3−2.増量剤
(T−1)クレー
(T−2)炭酸カルシウム
(T−3)ベントナイト
(T−4)珪藻土
(T−5)ホワイトカーボン
【0069】
【表3】
【0070】
次いで、各農薬組成物の全量に対して、表4に記載の量の水を添加し均一な混合物を得た。そして、この混合物を不二パウダル社製押出成形機「DG−L1」(型式名)を用いた押出成形に供した後、ヤマト科学社製乾燥機「パルビスミニスプレーGB210A」を用いて、60℃にて30分乾燥し、長さ約3mmに整粒して、円柱状(直径1mm及び長さ3mm)の粒体を作製した。成形条件は、モーターのインバーター周波数20Hz、シャフトの回転数32rpmである。このときの造粒性及び崩壊性の評価を以下の方法により行った。その結果を表4に示す。
【0071】
(1)造粒性
押出成形機に加わる押出最大負荷(農薬組成物をホッパーに投入直後から350秒経過後の間における最大トルク電圧)に基づいて、造粒性を下記基準により評価した。
◎◎:1.0V以上2.9V以下
◎:3.0V以上3.9V以下
○:4.0V以上4.9V以下
△:5.0V以上9.9V以下
×:10.0V以上
【0072】
(2)崩壊性
ガラス製シャーレ(直径10cm、深さ1cm)に水道水60mlを入れ、上記の押出成形により得られた粒体0.03gをシャーレ中央部に投入し、自然沈降させた。このまま3時間放置し、粒体が崩壊して拡展した面積(mm)を測定し、崩壊性を下記基準により評価した。
◎:2000mm以上
○:1000mm以上2000mm未満
△:500mm以上1000mm未満
×:500mm未満
【0073】
【表4】
【0074】
表4によれば、実施例2−1〜2−は、造粒性及び崩壊性の両方に優れたことが分かる。押出成形により粒体を作製する際には、加水量が多いほど、成形材料として低粘度となる傾向にあるため、造粒性が高いと思われるが、本発明の造粒性改良剤を含む農薬組成物では、多くの実施例において、比較例2−1〜2−15よりも少ない加水量で良好な造粒性が得られることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の造粒性改良剤を固体粉末と併用することにより、固体粉末を主として含む造粒物を効率よく製造することができる。また、この造粒物は、水に接触すると、容易に崩壊するため、固体粉末が活性材料からなる場合に、崩壊した固体粉末が広い範囲に拡展し、その作用を発揮させることができる。活性材料が農薬活性成分を含む場合には、好適な農薬組成物とすることができ、農業において、有用である。
【要約】
【課題】固体粉末を主として含む造粒物の製造に好適であり、水に接触した際に崩壊性に優れた造粒物を製造することができる造粒性改良剤を提供する。
【解決手段】本発明の造粒性改良剤は、下記一般式(1)で表される化合物を含有する。
−O−(RO)−H (1)
(式中、Rは炭素原子数が8〜22の炭化水素基であり、Rは炭素原子数が2又は3のアルキレン基であり、nは2〜14の整数である。複数のRは、互いに同一であっても異なってもよい。)
【選択図】なし