(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6749082
(24)【登録日】2020年8月13日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】基礎構造及び基礎構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
E02D 27/01 20060101AFI20200824BHJP
E02D 27/00 20060101ALI20200824BHJP
E04B 1/24 20060101ALI20200824BHJP
E04B 1/30 20060101ALI20200824BHJP
【FI】
E02D27/01 A
E02D27/01 Z
E02D27/00 Z
E04B1/24 Q
E04B1/30 G
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-195794(P2015-195794)
(22)【出願日】2015年10月1日
(65)【公開番号】特開2017-66808(P2017-66808A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】石山 達士
(72)【発明者】
【氏名】浅野 三男
(72)【発明者】
【氏名】水谷 考治
(72)【発明者】
【氏名】大西 直宏
【審査官】
亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/093533(WO,A1)
【文献】
特開2012−202188(JP,A)
【文献】
特開2015−140586(JP,A)
【文献】
特開2012−107424(JP,A)
【文献】
特開昭57−074449(JP,A)
【文献】
特開昭61−036408(JP,A)
【文献】
特開2004−143778(JP,A)
【文献】
特開平04−108953(JP,A)
【文献】
実開昭50−030501(JP,U)
【文献】
特開平04−080443(JP,A)
【文献】
米国特許第04582167(US,A)
【文献】
韓国登録特許第10−0503238(KR,B1)
【文献】
韓国登録特許第10−0888231(KR,B1)
【文献】
特開2003−138573(JP,A)
【文献】
特開2017−186852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/01
E02D 27/00
E02D 27/32
E04B 1/24
E04B 1/30
E04B 5/43
E04B 5/32
E01D 1/00−24/00
E21D 11/00−19/06
E21D 23/00−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤上に設けられた鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の基礎大梁と、
前記基礎大梁の上に架設された連続梁構造の鉄骨小梁と、
前記鉄骨小梁の上に、コンクリートを打設して設けられたスラブと、
を備え、
前記基礎大梁は前記地盤上に並列に設けられ、
前記鉄骨小梁は、両端部を構成し前記基礎大梁に接合された第一小梁と、前記第一小梁の間を構成する一又は複数の第二小梁と、を有し、
前記第二小梁の梁成は、前記第一小梁の梁成よりも小さい、
基礎構造。
【請求項2】
前記鉄骨小梁は、前記第一小梁と前記第二小梁とがプレート材を介してボルト接合されたゲルバー梁とされている、
請求項1の基礎構造。
【請求項3】
地盤上に設けられた基礎大梁と、
前記基礎大梁の上に架設された連続梁構造の鉄骨小梁と、
前記鉄骨小梁の上に、コンクリートを打設して設けられたスラブと、
を備え、
前記基礎大梁は前記地盤上に並列に設けられ、
前記鉄骨小梁は、両端部を構成し前記基礎大梁に接合された第一小梁と、前記第一小梁の間を構成する一又は複数の第二小梁と、を有している、
基礎構造の施工方法であって、
前記鉄骨小梁の前記第一小梁を前記基礎大梁に接合する第一工程と、
一部の前記第一小梁に前記第二小梁に接合する第二工程と、
を有し、
前記第二工程の後に、前記第二小梁を接合していない前記基礎大梁と前記基礎大梁との間を工事車両が移動する、
基礎構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎構造
及び基礎構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、対向する基礎梁間に基礎小梁が架設され、これら基礎梁および基礎小梁上に最下階(1階)の床スラブが支持されている基礎構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−104740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の基礎構造は、地盤に支持された基礎小梁が基礎梁間に並列配置された構造であり、基礎梁の上に小梁が架設された構造は開示されていない。
【0005】
ここで、基礎大梁の上に鉄筋コンクリート造の小梁を架設した基礎構造は、コンクリート造の小梁の配筋や型枠の施工が必要であり、施工性の向上の観点から改善の余地があった。
【0006】
本発明は上記事実を鑑み、基礎大梁に小梁を架設する場合の施工性を向上することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一態様の基礎構造は、地盤上に設けられた基礎大梁と、前記基礎大梁の上に架設された連続梁構造の鉄骨小梁と、
前記鉄骨小梁の上に、コンクリートを打設して設けられたスラブと、を備えている。
【0008】
第一態様の基礎構造では、基礎大梁の上に連続梁構造の鉄骨小梁を架設した構造とすることで、基礎大梁に架設する小梁が鉄筋コンクリート造の場合と比較し、配筋や型枠の施工が不要となるので、施工性が向上する。
【0009】
また、鉄骨小梁を連続梁構造とすることで、鉄骨小梁が単純梁構造の場合と比較し、梁中央部の応力を小さくできるので、鉄骨小梁の梁成を低くすることができる。よって、鉄骨小梁のコストが削減する。
【0010】
第二態様の基礎構造は、前記鉄骨小梁は、ゲルバー梁とされている。
【0011】
第二態様の基礎構造では、鉄骨小梁をゲルバー梁とすることで、曲げモーメントが伝達されないので、中央部の梁成を低くでき、この結果、鉄骨小梁のコストが削減する。
【0012】
第三態様の基礎構造は、前記基礎大梁は前記地盤上に並列に設けられ、前記鉄骨小梁は、両端部を構成し前記基礎大梁に接合された第一小梁と、前記第一小梁の間を構成する一又は複数の第二小梁と、を有している。
【0013】
第三態様の基礎構造では、基礎大梁を並列に設けて鉄骨小梁の第一小梁を接合し、第二小梁を設ける前の状態の基礎大梁間を、例えば工事車両が移動できるので、施工性がよい。
第四態様の基礎構造の施工方法は、第三態様に記載の基礎構造の施工方法であって、前記鉄骨小梁の前記第一小梁を前記基礎大梁に接合する第一工程と、一部の前記第一小梁に前記第二小梁に接合する第二工程と、を有し、前記第二工程の後に、前記第二小梁を接合していない前記基礎大梁と前記基礎大梁との間を工事車両が移動する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、基礎大梁に小梁を架設する場合の施工性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(A)は本発明の基礎構造が適用された建物の最下層部のX方向に沿った縦断面図であり、(B)は曲げモーメント図である。
【
図2】
図1(A)の鉄骨小梁の第二小梁を接合する前の状態の縦断面図である。
【
図3】際下層部の一部の鉄骨小梁に第二小梁を接合する前の状態の平面図である。
【
図4】本発明の基礎構造が適用された建物の最下層部のスラブを打設する前の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜
図4を用いて、本発明の一実施形態の基礎構造について説明する。なお、各図中の矢印Zは鉛直方向を示し、矢印Xは後述する小梁の梁方向を示し、矢印Yに後述する大梁の梁方向を示す。なお、X方向とY方向とは互いに直交している。
【0017】
<構造>
先ず、一実施形態の基礎構造10が適用された建物15の最下層部16の構造について説明する。
【0018】
図1(A)及び
図4に示すように、本実施形態の基礎構造10が適用された建物15の最下層部16には、基礎大梁50と鉄骨小梁70とが設けられている。
【0019】
基礎大梁50は、本実施形態では、鉄筋コンクリート造とされ、
図1(A)に示すように、地盤12上にY方向に沿って設けられている。なお、基礎大梁50内部には、図示されていないY方向に沿って配筋された梁主筋と、梁主筋の周りに配筋されたせん断補強筋とが埋設されている。また、
図4に示すように、基礎大梁50は、X方向に間隔をあけて並列に設けられている。
【0020】
図1(A)に示すように、基礎大梁50の上端部52に、X方向に沿った鉄骨小梁70が載せ掛けられて接合されている。なお、基礎大梁50に埋設されたアンカー54を介して鉄骨小梁70が接合されている。また、
図4に示すように、鉄骨小梁70は、Y方向に間隔をあけて並列に設けられている。
【0021】
図1(A)に示すように、鉄骨小梁70は、両端部を構成し基礎大梁50に接合された第一小梁80と、第一小梁80と第一小梁80との間に設けられた第二小梁90と、で構成された連続梁とされている。更に、本実施形態の連続梁構造の鉄骨小梁70は、第一小梁80と第二小梁90との接合部位が、計算上、曲げ応力が作用しない部位(
図1(B)のG点)とされ、プレート材72を介してボルト接合(ピン接合)したゲルバー梁である。また、鉄骨小梁70を構成する第二小梁90の梁成は、第一小梁80の梁成よりも低い。そして、この鉄骨小梁70の上にスラブ20が設けられている。
【0022】
なお、
図1(A)に示すように、本実施形態では、基礎大梁50は、地盤12上に打設された施工地盤14の上に設けられている。また、本実施形態では、造成工事の施工地盤14(すきとり底)に基礎大梁底を合わせ、床下を地下ピットとすることで埋戻し土をなくし、土工事コストの削減及び工期短縮を図っている。また、地下ピットは、設備のユーティリティールートやクールピットに有効利用される。
【0023】
(施工方法)
次に、本実施形態の施工方法の一例について説明する。
【0024】
図2に示すように、基礎大梁50を地盤12上に並列に設置し、基礎大梁50の上端部52に、まず鉄骨小梁70の第一小梁80を接合する。
図3に示すように、一部の鉄骨小梁70には第二小梁90を接合し、一部の鉄骨小梁70には第二小梁90を接合せずに後施工とする。
【0025】
そして、鉄骨小梁70の第二小梁90を接合していない基礎大梁50と基礎大梁50との間を工事車両100が移動する。
【0026】
<作用及び効果>
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0027】
基礎大梁50の上に連続梁構造の鉄骨小梁70を架設した構造とすることで、基礎大梁50に架設する小梁が鉄筋コンクリート造の場合と比較し、配筋や型枠の施工が不要となるので、施工性が向上する。
【0028】
また、鉄骨小梁70を連続梁構造とすることで、単純梁構造の場合と比較し、梁中央部の応力を小さくできる。また、鉄骨小梁70の第二小梁90は支点間が短い。したがって、鉄骨小梁70の第二小梁90の梁成を低くすることができる。よって、鉄骨小梁70のコストが削減する。
【0029】
更に、鉄骨小梁70をゲルバー梁とすることで、曲げモーメントが伝達されないので、第二小梁90の梁成を更に低くでき、この結果、鉄骨小梁70のコストが更に削減する。
【0030】
また、基礎大梁50を並列に設けて鉄骨小梁70の第一小梁80を接合し、第二小梁90を設ける前の状態の基礎大梁50と基礎大梁50との間を、工事車両100が移動できるので、施工性がよい。
【0031】
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0032】
例えば、上記実施形態では、鉄骨小梁70は、両端部を構成し基礎大梁50に接合された第一小梁80と、第一小梁80と第一小梁80との間に設けられた第二小梁90と、で構成された連続梁構造とされているが、これに限定されない。第二小梁90は複数であってもよいし、また、ゲルバー梁でなくてもよい。つまり、鉄骨小梁70は連続梁構造であればよい。
【0033】
また、例えば、上記実施形態では、基礎大梁50は、鉄筋コンクリート造とされていたが、これに限定されない。基礎大梁50は、鉄骨鉄筋コンクリート造であってもよいし、鉄骨造であってもよい、
【0034】
また、例えば、上記実施形態では、基礎大梁50は並列配置されているが、これに限定されない。基礎大梁50は格子状に配置されていてもよい。また、建物15の最下層部16の一部(例えば、工事車両100の動線となる)領域のみ、基礎大梁50が並列配置されていてもよい。
【0035】
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない
【符号の説明】
【0036】
12 地盤
50 基礎大梁
70 鉄骨小梁
80 第一小梁
90 第二小梁