特許第6749084号(P6749084)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6749084
(24)【登録日】2020年8月13日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】LED照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20200824BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20200824BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20200824BHJP
   G02B 17/08 20060101ALI20200824BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20200824BHJP
   F21W 131/20 20060101ALN20200824BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20200824BHJP
【FI】
   F21S2/00 610
   F21V8/00 221
   F21V8/00 227
   F21V8/00 241
   F21V8/00 232
   G02B23/26 B
   G02B17/08 A
   G02B6/42
   F21W131:20
   F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-202721(P2015-202721)
(22)【出願日】2015年10月14日
(65)【公開番号】特開2017-76492(P2017-76492A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2018年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】309018490
【氏名又は名称】株式会社ユーテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 修司
(72)【発明者】
【氏名】梅津 堅治
【審査官】 飯塚 向日子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−072339(JP,A)
【文献】 特開2010−199027(JP,A)
【文献】 特表2012−500413(JP,A)
【文献】 特開2008−292589(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/017774(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/115194(WO,A1)
【文献】 特開2005−091491(JP,A)
【文献】 特表2007−535149(JP,A)
【文献】 国際公開第03/050584(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0329433(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 8/00
G02B 6/42
G02B 17/08
G02B 23/26
F21W 131/20
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDと半球ミラーとを備えるLED照明装置であって、
前記LEDは、その発光部が平面且つ点対称形状を有し、発光角度分布がランベルト分布で、発光面が拡散面であり、
前記半球ミラーは、その内面が反射面を形成し、中心に開口部があり、該反射面が前記LEDに向けて配置され、前記LEDから出射し、前記開口部に達しない光を前記LEDに直接戻し、
前記LEDの法線と前記半球ミラーの光軸が一致し、
前記LEDと前記半球ミラーの間隔は前記半球ミラーの曲率半径以下であり、
前記半球ミラーの前記開口部の寸法が該開口部から照射される照射範囲に等しく、
前記LED寸法をdLED、前記LEDと前記半球ミラーとの間隔をt、前記開口部から照射される光のNAをNAobjectとした時に、
sin(tan−1dLED/2t)≦NAobject
が成り立つことを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
LEDと平凸レンズミラーとを備えるLED照明装置であって、
前記LEDは、その発光部が平面且つ点対称形状を有し、発光角度分布はランベルト分布で、発光面が拡散面であり、
前記平凸レンズミラーは、その凸面内面周辺が反射面を形成し、中心に該反射面の開口部があり、前記LEDと前記平凸レンズミラーの平面側が向かい合って平行に間隔を置いて配置され、前記LEDから出射し、前記開口部に達しない光を前記LEDに直接戻し、
前記LEDの法線と前記平凸レンズミラーの光軸が一致し、
前記LEDと前記平凸レンズミラーの球面との間隔は該平凸レンズミラーの曲率半径以下であり、
前記平凸レンズミラーの前記開口部の寸法が該開口部から照射される照射範囲に等しく、
前記LED寸法をdLED、前記LEDと前記平凸レンズミラーの反射面との間隔をt、前記平凸レンズミラーの屈折率をn、前記開口部から照射される光のNAをNAobjectとした時に、
nsin(tan−1dLED/2t)≦NAobject
が成り立つことを特徴とするLED照明装置。
【請求項3】
前記ミラー開口部の位置に光ファイバを配置し、前記開口部から照射される光のNAが光ファイバ以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡等に用いられるLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡の照明光は光ファイバで光源から先端まで導かれ照射される。光源は100〜300W程度のキセノンランプが多く使用され、直径1〜3mmの光ファイバに対して200〜300lm/mm以上の入力が要求される。近年、長寿命化や高効率化の為、光源にLED照明装置を採用する取り組みが行われている。(特許文献1,2,3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−198736号公報
【特許文献2】特開2007−148418号公報
【特許文献3】特表2013−515346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、LEDの出力光をレンズ光学系で光ファイバ端面に結像する照明装置および内視鏡装置に関するもので、光学系の入射NA(開口数:Numerical Aperture)と出射NAの最適化について記載している。この方式では、理想光学系を用いLED全光束を光ファイバ端面に光ファイバNAと同じNAで集光した場合、エタンデュ保存則より、
LED径xLEDNA=光ファイバ径x光ファイバNA
の関係が成り立つ。
【0005】
発光角度分布がランベルト分布のチップLEDでは、LEDNA=1であるため、
LED径=光ファイバ径x光ファイバNA
となる。したがって、例えば、直径1mmのLEDの全光束を直径1.67mm、NA0.6の光ファイバに入射することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、輝度100Mcd/mのLEDを用いた場合、光ファイバ入力は113lm/mmになり、キセノンランプと比較すると少ないという課題があった。
【0007】
また、特許文献2の図7は、LEDと光ファイバを突き合わせるものであり、LEDと光ファイバの形状が同じであれば光ファイバ端面には全光束が一旦入射するが、光ファイバのNA以上の光線は光ファイバの外に漏れ出し、出射端まで導光されない。この方法の入射効率は、光ファイバNA=0.6の場合、
光ファイバ入力/LED出力=光ファイバNA=0.6=0.36
となる。
【0008】
したがって、特許文献2に記載の発明では、輝度100Mcd/mのLEDを用いた場合、光ファイバ入力は113lm/mmになり、キセノンランプと比較すると少ないという課題があった。
【0009】
さらに、特許文献3の図2は、LED光の一部を半球ミラーでLEDに戻し、LEDの輝度を上げる方法としては有効であるが、LED形状、配置、集光レンズ等に問題があるため、効率を低下させてしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、LEDと半球ミラーとを備えるLED照明装置であって、前記LEDは、その発光部が平面且つ点対称形状を有し、発光角度分布がランベルト分布で、発光面が拡散面であり、前記半球ミラーは、その内面が反射面を形成し、中心に開口部があり、該反射面が前記LEDに向けて配置され、前記LEDの法線と前記半球ミラーの光軸が一致し、前記LEDと前記半球ミラーの間隔は前記半球ミラーの曲率半径以下であり、前記半球ミラーの前記開口部の寸法が照射寸法にほぼ等しく、前記LED寸法をdLED、前記LEDと前記半球ミラーの間隔をt、照射NAをNAobjectとした時に、sin(tan-1dLED/2t)≒NAobjectが成り立つことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、LEDと平凸レンズミラーとを備えるLED照明装置であって、前記LEDは、その発光部が平面且つ点対称形状を有し、発光角度分布はランベルト分布で、発光面が拡散面であり、前記平凸レンズミラーは、その凸面内面周辺が反射面を形成し、中心に該反射面の開口部があり、前記LEDと前記平凸レンズミラーの平面側が向かい合って平行に間隔を置いて配置され、前記LEDの法線と前記平凸レンズミラーの光軸が一致し、前記LEDと前記平凸レンズミラーの球面との間隔は該平凸レンズミラーの曲率半径以下であり、前記平凸ミラーの前記開口部の寸法が照射寸法にほぼ等しく、前記LED寸法をdLED、前記LEDと前記平凸レンズミラーの間隔をt、前記平凸レンズミラーの屈折率をn、照射NAをNAobjectとした時に、nsin(tan-1dLED/2t)≒NAobjectが成り立つことを特徴とする
【0012】
さらに、本発明は、前記ミラー開口部の位置に光ファイバを配置し、前記照射NAが光ファイバNAにほぼ等しいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、LED出力を変えることなく、入力の大きなLED照明装置を実現することができる等、種々の優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係るLED照明装置における光線追跡図である。
図2】従来の光ファイバ用LED照明装置における光線追跡図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係るLED照明装置における光線追跡図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係るLED照明装置においてNA0.6の光ファイバ入力の計算値である。
図5】本発明の第1の実施形態に係るLED照明装置においてNA0.2の光ファイバ入力の計算値である。
図6】本発明の第1の実施形態に係るLED照明装置におけるモンテカルロ・シミュレーション光線追跡図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係るLED照明装置における照射面の照度分布図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係るLED照明装置におけるの遠視野照度分布図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係るLED照明装置においてNA0.6の光ファイバ入力の計算値である。
図10】本発明の第2の実施形態に係るLED照明装置におけてNA0.2の光ファイバ入力の計算値である
図11】本発明の第2の実施形態に係るLED照明装置におけるモンテカルロ・シミュレーション光線追跡図である。
図12】本発明の第2の実施形態に係るLED照明装置における照射面の照度分布図である。
図13】本発明の第2の実施形態に係るLED照明装置におけるの遠視野照度分布図である。
図14】本発明に係るLED照明装置の断面図である。
図15】本発明の第3の実施形態に係るLED照明装置における光線追跡図である。
図16】本発明の第3の実施形態に係るLED照明装置における照度分布のモンテカルロシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係るLED照明装置について詳細に説明する。
【0016】
まず、図1及び図2により、本発明の第1の実施形態に係るLED照明装置における光線追跡図と従来の光ファイバ用LED照明装置における光線追跡図について説明する。
【0017】
図2は従来の突合せ結合光ファイバ用LED光源の光線追跡図を示している。
LED1の直径:dLEDが4mm、光ファイバ8の直径:dfiberが3mm、光ファイバNA:NAfiberが0.6であり、LED1と光ファイバ8の間隔は十分小さく、LED1の法線と光ファイバ8の光軸は一致して配置されている。
【0018】
光ファイバ径より外側でLED1から出射した光線62は光ファイバ1の端面2に入射せず、光ファイバで導光されることは無い。光ファイバ径よりも内側でLED1から出射した光線は光ファイバ8の端面に入射するが、光ファイバNAよりも大きなNAで入射した光線6は光ファイバ8の側面より外部に出てしまい、光ファイバ8の出射端9まで導光されることは無い。導光される光線5は光ファイバ径よりも内側から出射し、光ファイバ8のNA以下のNAで光ファイバ8に入射した光線である。
【0019】
従って、この光学系の効率は
光ファイバ8で導光される光量/LED1の出力光量
=(dfiber/dLED)^2xNAfiber^2
=(3/4)^2x0.6^2=0.203
となる。
【0020】
本発明はLED1と光ファイバ8の間隔を最適化し入射NAと光ファイバ8のNAを一致させ、更に光ファイバ8で導光出来ない大きなNAの光をミラー3でLED1に戻し、LED1の拡散効果を利用して光ファイバ8で導光出来るように変換することにより光ファイバ8への光の入力を増加させるものである。
【0021】
図1は本発明の第1の実施形態に係るLED照明装置4の光線追跡図を示している。発光部が平面且つ点対称形状、発光角度分布がランベルト分布で、発光面が拡散面であるLED1と、内面が反射面3aを形成し、中心に開口部3bがある半球ミラー3からなる光源装置で、反射面3aがLED1に向けて配置され、LED1の法線と半球ミラー3の光軸が一致し、LED1と半球ミラー3の間隔は半球ミラー3の曲率半径以下であり、半球ミラー3の開口部3bに光ファイバ8を配置し、半球ミラー3の開口部径が光ファイバ径に等しい。
【0022】
LED1から出射し、半球ミラー3の開口部3bを通る光線は、直接光ファイバ8の端面に入射する。これらの光線の内、光ファイバ8で導光される光は光ファイバ8のNA以下のNAで入射しなければならない。図1でLEDの上端から光ファイバ中心に向かう光線の場合、光ファイバ8の光軸となす角度θの正弦が光ファイバ8のNA以下でなければ導光されない。
【0023】
すなわち、以下の関係が成り立つ。
sinθ=sin(tan-1dLED/2t)≦NAfiber
ここで、tはLED1と半球ミラー3の中心との間隔である。
この条件ではLED1の上端から光ファイバ8の下端に入射した光線61の入射NAは光ファイバNAより大きくなり導光されない。逆にLED1の上端から出射し、光ファイバ8の上端に入射した光線51は光ファイバ8のNAによる導光制限に十分余裕がある。LED1から出射する全ての光線について高い入射効率を得るには、
sin(tan-1dLED/2t)≒NAfiber
であることが望ましい。
【0024】
光ファイバ8で導光できない光線6は、反射面3aによりLED1上にLED1像を点対称に結像させる。LED1とLED1像が一致するにはLED1の形状は点対称形でなければならない。LED1の発光角度分布がランベルト分布であれば、反射面3aにより開口部3b以外に出射された全ての光線6をLED1側に戻すことができる。LED1表面が拡散面であれば、LED1に戻された光線は拡散し、開口部3bと反射面3aに向かって出射される。開口部3bに向かった光線は光ファイバ8の入力の増加に寄与する。反射面3aに向かった光も、LED1−ミラー3間で反射・拡散を繰り返すうちにいずれは開口部3bから出射する。
【0025】
図3は本発明の第2の実施形態に係るLED照明装置4の光線追跡図を示している。発光部が平面且つ点対称形状、発光角度分布がランベルト分布で、発光面が拡散面であるLED1と、凸面内面周辺が反射面7aを形成し、中心に反射面の開口部7bがある平凸レンズミラー7からなる光源装置で、LED1と平凸レンズミラー7の平面側が向かい合って平行に間隔を置いて配置され、LED1の法線と平凸レンズミラー7の光軸が一致し、LED1と平凸レンズミラー7の球面の間隔は平凸レンズミラー7の曲率半径以下であり、ミラー開口部7bに光ファイバ8を配置し、ミラー開口部径が光ファイバ径に等しい。
【0026】
LED1から出射し平凸レンズミラー7の開口部7bを通る光線は、直接光ファイバ8の端面に入射する。これらの光線の内、光ファイバ8で導光される光は光ファイバ8のNA以下のNAで入射しなければならない。図3でLED1の上端から光ファイバ8の中心に向かう光線の場合、レンズ内で光ファイバ8の光軸となす角度θの正弦が光ファイバ8のNA以下でなければ導光されない。
【0027】
すなわち、以下の関係が成り立つ。
nsinθ=nsin(tan-1dLED/2t)≦NAfiber
ここで、nはレンズの屈折率、tはLED1と反射面の中心との距離である。また、LED及び光ファイバと平凸レンズミラーの間隔はtに比べて十分小さいものとする。
【0028】
この条件ではLED1の上端から光ファイバ8の下端に入射した光線61の入射NAは光ファイバNAより大きくなり導光されない。逆にLED1の上端から出射し、光ファイバ8の上端に入射した光線51は光ファイバ8のNAによる導光制限に十分余裕がある。LED1から出射する全ての光線について高い入射効率を得るには、
nsin(tan-1dLED/2t)≒NAfiber
であることが望ましい
【0029】
光ファイバ8で導光できない光線6は、反射面7aによりLED1上にLED1像を点対称に結像させる。LED1とLED1像が一致するにはLED1形状は点対称形でなければならない。LED1の発光角度分布がランベルト分布であれば、反射面7aにより開口部7b以外に出射されたほとんどの光線6をLED1側に戻すことができる。LED1表面が拡散面であれば、LED1に戻された光線は拡散し、開口部7bと反射面7aに向かって出射される。開口部7bに向かった光線は光ファイバ8の入力の増加に寄与する。反射面7aに向かった光も、LED1−反射面7a間で反射・拡散を繰り返すうちにいずれは開口部7bから出射する。
【0030】
図4図5は本発明の第1の実施形態に係るLED照明装置においてNA0.6及びNA0.2の光ファイバ8に対する入射効率(光ファイバ入射光束/LEDの出力光束)のミラー曲率半径:rをパラメーターとしたモンテカルロシミュレーションの結果を示す図である。但し、LED径:4mm、ミラー開口径=ファイバ径:3mm、ミラー3及びLED1の反射率は0.95である。
【0031】
NAが0.6の光ファイバ8に対してはLED1−ミラー3の中心間距離:tが2.8mmに効率のピークがある。NAが0.2の光ファイバ8に対してはtが長いほど効率が良い。入射NAを0.6を目標とした場合、0.6のNAに対する入射効率を優先するが、同じ効率であれば出射端で光軸方向の成分が多いNA0.2の光ファイバ8に対する効率が高いほうが望ましい。そこでr=3.5mm、t=3mmを選んだ。ミラー3の中心と光ファイバ8との間隔は0mm、Φ3mm開口と光ファイバ8との間隔は0.34mmである。
【0032】
図6は上記の設計のLED光源装置のモンテカルロ光線追跡図である。LED1−ミラー3間を多くの光線が往復し、開口部に達した光線のみが光ファイバ8に入力されるのが分かる。
【0033】
図7は光ファイバ8の入射端面の照度分布である。ミラー3から間隔がある為、照度分布が多少広がっている。図8は光ファイバ8を取り去り、光ファイバ8の端面位置にΦ3mmの絞りを置き、絞りから100mmはなれた位置の照度分布である。光ファイバ8に入射出来ないNA0.6以上(x軸座標75mm以上、−75mm以下)の光線も4%含まれている。10%NA(中心照度に対して10%照度の角度の正弦)は0.62、0.6光ファイバ8に対する入射効率は0.35で、従来の突合せ法の1.7倍である。輝度100Mcd/mのLEDを用いた場合、光ファイバ8への入力は190lm/mmになり、キセノンランプに近づく。
【0034】
本発明において
sin(tan-1dLED/2t)=sin(tan-14/(2x3)
=0.55≒0.6=NAfiber設計値目標
≒0.62=10%NA計算値
が成り立つ。
【0035】
図9図10は本発明の第2の実施形態に係るLED照明装置においてNA0.6及びNA0.2の光ファイバ8に対する入射効率のミラー曲率半径:rをパラメーターとしたモンテカルロシミュレーションの結果を示す図である。但し、LED径:4mm、ミラー7の開口径=ファイバ径:3mm、LED1−平凸レンズ7の間隔:0.1mm、平凸レンズ7−光ファイバ8の間隔:0.5mm、平凸レンズ7の屈折率:1.516、反射面7a及びLED1の反射率は0.95である。
【0036】
図11は設計目標NA0.6に対してr=6、t=4.7mmを選択したLED光源装置のモンテカルロ光線追跡図である。
【0037】
図12は光ファイバ8の入射端面の照度分布である。図13は光ファイバ8の端面位置にΦ3mmの絞りを置き、絞りから100mmはなれた位置の照度分布である。光ファイバ8に入射出来ないNA0.6以上の光線も3%含まれている。10%NAは0.6、0.6の光ファイバ8に対する入射効率は0.4で、従来の突き合せ法の2倍である。輝度100Mcd/mのLEDを用いた場合、光ファイバ入力は226lm/mmになり更にキセノンランプに近づく。
【0038】
本発明において
nsin(tan-1dLED/2t)=1.516xsin(tan-14/(2x4.7)
=0.59≒0.6=NAfiber設計値目標
≒0.6=10%NA計算値
が成り立つ。
【0039】
図14に本発明に係る白色LEDの光学的断面図を示す。LED1は図面左、裏面側からミラー層12、半導体11(中央にPN接合11b、表面に拡散層11d)、蛍光層13からなる。PN接合で青色光線21a、21bが発生する。21aは拡散層で拡散し、表面に向かう光線22aと裏面に向かう光線22bに分かれる。光線22aは蛍光層で蛍光拡散する黄色光線23a、23bと拡散する青色光線24a、24bに分かれる。光線23a、24aはLEDから白色光として出力される。裏面方向に向かった光線21b、22bはミラー層で反射し光線25、26となって拡散層に入射し、以下光線21aと同様にふるまう。光線23b、24bは拡散層に入り、以下光線21aと同様にふるまう。
【0040】
外部から蛍光層に入射した光線31は蛍光拡散光線32a、32bと拡散光線33a、33bに分かれる。光線32a、33aはLED1の外部に出力され、光線32b、33bは拡散層に入り、以下光線21aと同様にふるまう。
【0041】
図14のLED1の各層の厚さがLED1の直径に対して十分に薄ければ、このLED1を光学的にマクロに見ると、ランベルト分布で発光する面発光体であり、拡散反射面であり、蛍光拡散反射面である。
【0042】
本発明に青色LEDと黄色蛍光体を使用したLEDを使う場合、LED単体のよりも本発明の出力光の色温度が下がる。これはミラーとLEDの間で反射、拡散を繰り返す青色光が蛍光物質に吸収され、黄色い蛍光を出すため、相対的に青色が減り、黄色が増すために起こる。同じ色温度を得るには、蛍光物質の量を減らす必要がある。
【0043】
図15は本発明の第3の実施例を示す。本発明によるLED光源装置4をシュリーレン法装置40の光源に応用した例である。ミラー開口部がシュリーレン装置光源のピンホールになる。41は凸レンズ、42は被検体、43はナイフエッジ、44はスクリーンである。LED光源装置は、LED直径:4mm、平凸レンズミラーは曲率半径:10mm、厚さ:9.2mm、ミラー開口径:1mm、LED−平凸レンズミラーの間隔は0.2mmである。
【0044】
図16はミラーから100mm離れた位置の照度分布のモンテカルロシミュレーション結果で、10%NAは0.339である。本発明において
nsin(tan-1dLED/2t)=1.516xsin(tan-14/(2x9.4)
=0.315≒0.339=10%NA計算値
が成り立つ。LED及びミラーの反射率を0.95とした場合、ミラー開口部の輝度はLEDの輝度の6倍、反射率0.9でも4倍の画期的な輝度になる。
【符号の説明】
【0045】
1 LED
3 半球ミラー
3a 反射面
3b 開口部
7 平凸レンズミラー
7a 反射面
7b 開口部
8 光ファイバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16