【実施例1】
【0016】
実施例1に係るパネル装置につき、
図1から
図5を参照して説明する。以下、
図5の紙面手前をパネル装置の前面側、紙面左右をパネル装置の左右として説明する。
【0017】
図1に示されるように、パネル装置100は、ドアパネル1と間仕切りパネル20とから構成されて、主に室内のオフィス空間やショールーム等の各種作業スペースを、作業の目的に合わせて所望の広さに区分けするものであり、このドアパネル1を開閉することで、パネル装置100により区分けされた作業スペース内部X(
図1における手前側:内側の空間)と外部Y(
図1における奥側:外側の空間)との出入りが可能となっている。
【0018】
ドアパネル1は、前後に並行に配置された2枚のガラス板4,4、これらがスリット2b,2bに嵌め込まれる縦枠2,2、及びガラス板4,4の上下を保持する横枠3,3により構成されるガラス戸板5、及びこのガラス戸板5を開閉操作するための開閉装置6により構成されている。開閉装置6は、ガラス戸板5の左端で上下方向に中央よりも若干下方に取付けられている。尚、横枠3,3は省略することができる。
【0019】
間仕切りパネル20は、左右に立設される縦枠22,22と、縦枠22の上下端から延び、天井及び床に沿って設けられる横枠23,23と、縦枠22,22と横枠23,23
に嵌め込まれて、作業スペースの内部側と外部側に配置される2枚のガラス板24(内部側は図示略)を備えている。
【0020】
図2及び
図3に示されるように、開閉装置6は、シリンダ8、レバーハンドル9及び電気錠12により主に構成され、シリンダ8及びレバーハンドル9が、収納ケース7の内部に収納された電気錠12とガラス板4を介して接続されている。収納ケース7はガラス戸板5の縦枠2に固定された状態で2枚のガラス板4,4の前後方向の間に介挿されて配置されている。このようにガラス板4を介してレバーハンドル9が接続されていることで、収納ケース7がガラス板4,4の間に配置されていても、外部及び内部からガラス戸板5を開閉できる構造となっている。
【0021】
図3及び
図4に示されるように、収納ケース7は略矩形のケース本体7aの内部に電気錠12と、リーダライタ13(非接触リーダ)及び処理基板14により構成されるカードリーダユニット15を主に収納し、可視光を遮りかつその他の電磁波を透過するアクリル製のアクリルプレート10,10によりその前後を覆われている。また、ケース本体7aの上下方向略中央には、ケース本体7aの内部を仕切る仕切り板7bが設けられており、仕切り板7bの上方にカードリーダユニット15が、下方に電気錠12がそれぞれ収納されている。
【0022】
図5に示されるように、ドアパネル1の上方の天井内部には制御装置17が設けられている。この制御装置17はカードリーダユニット15から繋がる入力ラインA(破線)及び電気錠12に繋がる出力ラインB(実線)がドアパネル1の縦枠2及び横枠3の内部に挿通されている。これらの信号ラインA,Bを介してカードリーダユニット15、制御装置17、電気錠12が制御装置17に電気的に接続された状態となっている。
【0023】
所定のキー情報を備えたICカード(図示せず)がリーダライタ13にかざされると、リーダライタ13と電気的に接続された処理基板14がそのキー情報に基づきリーダライタ13から出力された信号を送信可能に処理し、後述する電気配線を介して制御装置17に電気信号を送る。そして、制御装置17から電気錠12に電気錠12の開閉の指令信号が送られることで、電気錠12の開錠状態又は施錠状態を操作できる構造となっている。(
図5参照)
【0024】
電気錠12には、その内部にラッチボルトと一体のデッドボルト12aが格納されている。デッドボルト12aは、開錠状態においては、レバーハンドル9の操作により、左右方向に進退可能となっており、これによりガラス戸板5の縦枠2と隣接する間仕切りパネル20の縦枠22(
図1参照)に設けられた受座(図示せず)と係合又は係合解除が可能となっている。
【0025】
施錠状態においては、デッドボルト12aは、前述の制御装置17からの指令信号に従い、ガラス戸板5から左側に位置する縦枠22に設けられた受座に向けて突き出した状態でロックされることで、ガラス戸板5を縦枠22に対して開閉不能に固定できる構造となっている。また電気錠12に電気的な不具合が発生した際には、シリンダ8の内部に設けられた鍵穴(図示せず)に鍵を挿入して物理的に施錠状態又は開錠状態を操作できる構造となっている。
【0026】
ガラス戸板5への収納ケース7の配置状態について詳述すると、
図4に示されるように、ガラス戸板5の縦枠2の側面2aには開口部16が設けられている。この開口部16は収納ケース7のケース本体7aよりも小さく形成されている。
【0027】
開閉装置6の配置の手順としては、収納ケース7aを縦枠2のドアパネル1外側の側面2aとは反対側のドアパネル1内側の側面2cの開口部2dを取り囲むように取り付け、固定ネジ(図示せず)を用いて縦枠2に固定する。開口部2dは開口部16と比べて左右幅が同寸法かつ上下寸法が小さい開口を例に説明しているが、その大きさは特に問わない。次に、縦枠2の側面2a側から開口部16を介して電気錠12、カードリーダユニット15をケース本体7aに挿入することで収納し、アクリルプレート10,10により前後に蓋をする。この後に、縦枠2の前後にガラス板4,4を嵌め込むことにより取付ける。これにより、ガラス板4,4に挟まれた状態で収納ケース7が所定の位置に配置されることになる。最後に、板状のフロント11を側面2aに被せ、固定ネジ(図示せず)等の固定手段を用いて縦枠2の側面2aに固定することで、収納ケース7の配置作業が完了する。
【0028】
尚、フロント11は複数のプレートで構成されていてもよく、例えば、電気錠12用とカードリーダユニット15用の2枚のプレートで構成されていてもよい。更に尚、開口部16を収納ケース7のケース本体7aよりも大きく形成しておき、ガラス板4,4を縦枠2に嵌め込んで設置した後に、予めアクリルプレート10,10で蓋をされたケース本体7aを開口部16を介して縦枠2の側面2a側(右側方)から挿入した後に縦枠2の側面2a側から縦枠2にネジ固定し、電気錠12、カードリーダユニット15をケース本体7aの内部に、開口部16を介して側面2a側から挿入することで収納してもよい。また、収納ケース7a及びフロント11の縦枠2への固定は固定ネジによる手段に限られない。
【0029】
収納ケース7の仕切り板7bの上面には、前後方向略中央に、ガラス板4,4と略平行な案内溝7mが設けられている。この案内溝7mは、カードリーダユニット15を構成する処理基板14が配置される際に、その位置を案内するためのものである。この案内溝7mにより案内されることで、処理基板14とともに配置されるリーダライタ13の前後方向の位置が決められる。すなわち、リーダライタ13の姿勢が案内溝7により安定するとともに、リーダライタ13の読み取り距離を考慮して、その前面にICカードがかざされる前後面側のガラス板4,4との位置関係を適切に管理することが容易となっている。
【0030】
以上説明した通り、リーダライタ13が作業スペースの外部側のガラス板4と対向しているため、外部側のガラス板4を介してICカードをリーダライタ13にかざすことで、カードリーダユニット15に対して電気錠12の開閉操作をすることが可能となっており、外部Y側のガラス板4の外表面にカードリーダユニット15が露出しないため、リーダライタ13が外部から取り外されたり、一部を分解されたりすることで、不正に電気錠12が開閉される危険性がなく、安全性を確保することができる。また、人や物がぶつかることによるカードリーダユニット15の損傷を防止できる。
【0031】
また、縦枠2の側面2aに設けられた開口部16からケース本体7aの内部にカードリーダユニット15及び電気錠12を挿入することで収納できる構造としている。このため、ガラス戸板5が閉まっている状態においては、隣接する間仕切りパネル20の縦枠22により縦枠2の側面2aが露見しないことから、カードリーダユニット15及び電気錠12にアクセスすることができないため、これらを部屋の外部から取り外されたり、一部を分解されたりするような危険性がなく、安全性を確保することができる。
【0032】
また、電気錠12とカードリーダユニット15が同じ収納ケース7に収容されていることで、構造がシンプルになり美観を奏するとともに、取付け作業やメンテナンスを行う際に、まとめて行うことができ、作業性を確保することができる。
【0033】
また、作業スペースの内部X側にもガラス板4が配置されているため、ガラス板4,4により挟まれた状態で収納ケース7が配置されている。このため、ガラス板4,4の前後の外表面にカードリーダユニット15の露出がなく、美観を奏するとともに、人や物がぶつかることによるカードリーダユニット15の損傷を防止できる。
【0034】
また、ケース本体7aの前後には可視光を通さず、その他の電磁波を透過するアクリルプレート10,10により蓋がされていることで、前面のガラス板4を介して内部が見えないようにしながらも、確実にICカードを検知することができる。
【実施例2】
【0035】
次に、実施例2に係るパネル装置につき、
図6から
図8を参照して説明する。以下、
図8の紙面手前をドアパネルの前面側、紙面左右を間仕切りパネルの左右として説明する。尚、実施例1と同一の構成については、その説明を省略する。
【0036】
図6に示されるように、パネル装置200は、開閉装置26を有する間仕切りパネル21と、間仕切りパネル21と隣接するドアパネル25を備えている。ドアパネル25は金属製のドアパネルとなっている。間仕切りパネル21は、ドアパネル25に隣接する縦枠22にドアパネル25の開閉装置26を有している。尚、天井及び床に沿って設けられる横枠23については、その構成を省略しても良い。
【0037】
次に、
図7(a)に示されるように、ドアパネル25には、シリンダ28及びレバーハンドル29が設けられており、内部の電気錠(図示せず)と接続されている。このドアパネル25の内部に設けられた電気錠と、開閉装置26は後述の通り電気的に接続されているため、開閉装置26に対するICカードによる開閉操作により、ドアパネル25の内部に設けられた電気錠の開閉が可能となっている。
【0038】
次に、
図7(a)及び(b)に示されるように、開閉装置26は収納ケース27の内部に、リーダライタ13(非接触リーダ)及び処理基板14から成るカードリーダユニット15が収納されている。収納ケース27は、ケース本体27aの前後をアクリルプレート30で蓋をされた状態でガラス板24,24の間に配置され、縦枠22内側の側面22cに固定されている。また、ケース本体27aの内部には、案内溝27mが設けられており、この案内溝27mにカードリーダユニット15が案内された状態で配置されている。
【0039】
次に、
図8に示されるように、縦枠22の上方の天井内部には制御装置17が設けられている。この制御装置17はカードリーダユニット15から繋がる入力ラインA(破線)及び電気錠12に繋がる出力ラインB(実線)が接続されている。これらの信号ラインを介してカードリーダユニット15、制御装置17、電気錠12が電気的に接続された状態となっている。
【0040】
以上説明した通り、リーダライタ13が作業スペースの外部側のガラス板24と対向しているため、外部側のガラス板24を介してICカードをリーダライタ13にかざすことで、カードリーダユニット15に対して電気錠12の開閉操作をすることが可能となっており、外部Y側のガラス板24の外表面にカードリーダユニット15が露出しないため、リーダライタ13が外部から取り外されたり、一部を分解されたりすることで、不正に電気錠12が開閉される危険性がなく、安全性を確保することができる。また、人や物がぶつかることで、カードリーダユニット15が損傷することを防止できる。
【0041】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0042】
例えば、上記実施例においては、非接触リーダとしてICカードを用いて開閉操作を行うリーダライタ13を備えたカードリーダユニット15を使用しているが、非接触リーダとしては異なる態様であってもよい。例えばリモコンを使用して電波信号を送受するものや、撮像素子を用いてガラス板4または24を介して一次元コードや二次元コードを読み取るものであってもよい。
【0043】
また、上記実施例においては、縦枠2又は縦枠22に2枚のガラス板4,4又は24,24がそれぞれ嵌入される態様について説明したが、ガラス板4,4又は24,24の枚数は一枚であってもよい。その場合について
図3を用いて説明すると、ガラス板4は収納ケース7の前面側のガラス板4のみが配置されている構成となる。
【0044】
また、上記実施例においては、リーダライタ13と処理基板14は別の部品としてカードリーダユニット15を構成していたが、一体化されていてもよい。
【0045】
また、上記実施例においては、制御装置17を天井に格納している態様について説明したが、床下やその他の場所に格納しても良いし、制御装置17がカードリーダユニット15と一体化された構成を有していてもよい。
【0046】
また、上記実施例においては、パネル装置が使用される空間として作業スペースについて説明したが、各種の作業が行われる空間に限られず、保管倉庫等で使用されるものであってもよい。
【0047】
また、上記実施例においては、ガラス板4又は24はケイ酸塩を主成分としたガラス製であったが、アクリルガラス等の樹脂ガラスであって電磁波を透過するものであればよい。