特許第6749158号(P6749158)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6749158
(24)【登録日】2020年8月13日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】ルーバー
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/02 20060101AFI20200824BHJP
   E04H 17/16 20060101ALI20200824BHJP
   E05D 13/00 20060101ALI20200824BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20200824BHJP
   E06B 9/01 20060101ALI20200824BHJP
   E06B 9/04 20060101ALI20200824BHJP
【FI】
   E06B9/02 L
   E04H17/16 101
   E05D13/00 K
   E05D15/06 119
   E06B9/01 K
   E06B9/04 Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-131937(P2016-131937)
(22)【出願日】2016年7月1日
(65)【公開番号】特開2018-3448(P2018-3448A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】井上 寿也
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−55463(JP,A)
【文献】 特開2007−31960(JP,A)
【文献】 特開2010−242457(JP,A)
【文献】 実開昭54−133920(JP,U)
【文献】 特開2011−226148(JP,A)
【文献】 実開昭54−40653(JP,U)
【文献】 実開平7−32003(JP,U)
【文献】 特開平9−13839(JP,A)
【文献】 実開平5−57105(JP,U)
【文献】 特開2017−71918(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0034293(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00−11/08
E05D 1/00−15/58
E04H 17/00−17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子状に形成されたルーバー本体と、
建物のベランダを包囲する壁の壁面に形成された開口部の開口面に沿って、前記ルーバー本体をスライド可能とする支持手段と、
有するルーバー。
【請求項2】
格子状に形成されたルーバー本体と、
建物の壁面に形成された開口部の開口面に沿って、前記ルーバー本体をスライド可能とする支持手段と、
を有し、
前記開口部内には、上下方向に延在する支柱を備えた柵が設けられ、該柵の上部には幅方向全域に渡って開放された開放領域が設定されているルーバー。
【請求項3】
前記支持手段は、
前記開口部の上縁部に沿って延設され前記ルーバー本体をスライド可能に吊り下げる上レールと、
前記壁面に設けられ前記ルーバー本体の下縁部の前記壁面から離れる方向への移動を規制する規制部と、
を有する請求項1または請求項2に記載のルーバー。
【請求項4】
前記上レールは、上方へ向けて突出したレール部を備え、
前記ルーバー本体は、前記レール部上を転動する環状凹部が形成された戸車と、該戸車を当該ルーバー本体に支持するブラケットとを有する請求項3に記載のルーバー。
【請求項5】
前記規制部は、
前記ルーバー本体の下縁部に沿って延在し下方へ向けて開口したガイド部と、
前記開口部の下縁部に設けられ前記ガイド部へ挿入されたロール部と、
を有する請求項3または請求項4に記載のルーバー。
【請求項6】
前記壁面の上縁部には、前記上レールに支持された前記ルーバー本体の上縁部を幅方向全域に渡って覆い隠す笠木ケースが設けられている、請求項3〜請求項5の何れか1項に記載のルーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に設けられるルーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の窓開口部を覆うルーバーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このルーバーは、窓サッシに直接またはブラケットを介して固定されており、外部からの視線を遮ることができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−069831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のルーバーは固定されており、窓開口部を完全に開放することはできなかった。
【0006】
本発明は、建物の開口部を開閉することができるルーバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様のルーバーは、格子状に形成されたルーバー本体と、
建物のベランダを包囲する壁の壁面に形成された開口部の開口面に沿って、前記ルーバー本体をスライド可能とする支持手段と、を有する。
【0008】
すなわち、ルーバー本体は、支持手段により開口部の開口面に沿ってスライド可能とされている。このため、格子状のルーバー本体をスライドさせることで、開口部を開閉することができる。ルーバー本体が設置された壁面はベランダの壁面であるため、ベランダの壁面に設けられた開口部を開放した状態と、格子状のルーバー本体で通風を確保しつつ内部の視認性を低下させた状態とを形成することができる。
【0009】
また、ルーバー本体をスライドさせることで、格子状のルーバー本体で開口部が覆われた状態と、格子状のルーバー本体の側部に開口部が現れた状態とを形成することができ、ベランダの壁面の意匠を変化させることができる。さらに、ルーバー本体を移動することで、ベランダの壁面の一部が移動した印象を与えることができる。
本発明の第二の態様のルーバーは、格子状に形成されたルーバー本体と、建物の壁面に形成された開口部の開口面に沿って、前記ルーバー本体をスライド可能とする支持手段と、を有し、前記開口部内には、上下方向に延在する支柱を備えた柵が設けられ、該柵の上部には幅方向全域に渡って開放された開放領域が設定されている。
すなわち、ルーバー本体は、支持手段により開口部の開口面に沿ってスライド可能とされているため、格子状のルーバー本体をスライドさせることで、開口部を開閉することができる。
また、ルーバー本体をスライドさせることで、格子状のルーバー本体で開口部が覆われた状態と、格子状のルーバー本体の側部に開口部が現れた状態とを形成することができ、壁面の意匠を変化させることができる。さらに、ルーバー本体を移動することで、壁面の一部が移動した印象を与えることができる。
開口部内には柵が設けられているので、開口面積を確保しつつ、壁面の内側と外側との境界を明確にすることができる。柵の上部には、幅方向全域に渡って開放された開放領域が設定されているため、ルーバー本体を開口部に沿って移動する際には、開放領域に手を入れてルーバー本体を操作することで、開口部の幅方向全域に渡ってルーバー本体から手を放すことなく開閉作業を行うことができ、利便性が向上する。
【0010】
本発明の第三の態様のルーバーは、前記支持手段は、前記開口部の上縁部に沿って延設され前記ルーバー本体をスライド可能に吊り下げる上レールと、前記壁面に設けられ前記ルーバー本体の下縁部の前記壁面から離れる方向への移動を規制する規制部と、を有する。
【0011】
すなわち、ルーバー本体は、上レールに吊り下げられた状態で支持されている。このため、ルーバー本体を下から支持する場合と比較して、ゴミ等が溜まりにくく、移動時の抵抗が小さくなり、スムーズな移動が可能となる。
【0012】
また、ルーバー本体の下縁部は、壁面に設けられた規制部によって壁面から離れる方向への移動が規制されている。このため、ルーバー本体が吹き付けられる風で煽られたとしても、ルーバー本体のめくりあげを防止することができる。
【0013】
本発明の第四の態様のルーバーは、前記上レールは、上方へ向けて突出したレール部を備え、前記ルーバー本体は、前記レール部上を転動する環状凹部が形成された戸車と、該戸車を当該ルーバー本体に支持するブラケットとを有する。
【0014】
すなわち、ルーバー本体は、ブラケットに設けられた戸車の環状凹部が上レールに設けられたレール部上を転動することで、がたつかずに上レールに沿って軽い力で移動することができる。また、戸車の環状凹部にレール部が配置されるため、戸車の横ずれを抑制することができる。
【0015】
本発明の第五の態様のルーバーは、前記規制部は、前記ルーバー本体の下縁部に沿って延在し下方へ向けて開口したガイド部と、前記開口部の下縁部に設けられ前記ガイド部へ挿入されたロール部と、を有する。
【0016】
すなわち、ルーバー本体には、下縁に沿って延在する下方開口状のガイド部が設けられており、このガイド部には、開口部の下縁部に設けられたロール部が下方から挿入される。これにより、ルーバー本体の下縁部の壁面から離れる方向への移動を規制することができる。
【0017】
このとき、この移動規制は、ロール部がガイド部の内面に接することで行われる。このため、ルーバー本体の下縁部を溝に挿入して移動規制する場合と比較して、ルーバー本体外面の傷つき等を防止でき、外観品質を維持することができる。
【0018】
本発明の第六の態様のルーバーは、前記壁面の上縁部には、前記上レールに支持された前記ルーバー本体の上縁部を幅方向全域に渡って覆い隠す笠木ケースが設けられている。
【0019】
これにより、木の葉等の上レールへの付着を抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は上記構成としたので、ルーバーで建物の開口部を開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施形態に係るルーバーをベランダの壁面に設置する状態を示す斜視図である。
図2】同実施形態のルーバーを設置した状態を示す要部の断面図である。
図3】同実施形態のルーバー本体を示す正面図である。
図4】同実施形態のルーバー本体の要部を示す断面図である。
図5】(A)は壁面の開口部を開放した状態を示す斜視図(ベランダの側壁面は省略)であり、(B)はルーバー本体で開口部を覆った状態を示す斜視図(ベランダの側壁面は省略)である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を図面に従って説明する。図1に示すように、本実施形態に係るルーバー10は、建物のベランダ12に設置されている。ルーバー10は、ルーバー本体14と、ルーバー本体14をスライド可能に吊り下げる上レール16と、下レール18とを備えている。
【0027】
すなわち、ベランダ12は、建物より張り出しており、ベランダ12は、前壁面20と右側壁面21Aと左側面21Bとで包囲されている。前壁面20の右側には、採光及び通風用の開口部22が設けられており、前壁面20には、開口部22を備えた右領域20Aと、開口部22を不具備な左領域20Bとが形成されている。
【0028】
この開口部22の下部領域22Aには、柵24が設けられており、前壁面20の内側と外側との境界が明確化されている。この柵24は、開口部22を包囲する下部開口縁部22Cに立設された三本の支柱24Aと、各支柱24Aに支持された手すり部24Bと、各支柱24Aを中途部で連結する連結部24Cとによって格子状に形成されている。これにより、開口部22からの視認性や通風性を確保できるように構成されている。
【0029】
この柵24の上部には、開口部22の幅方向全域に渡って開放された開放領域26が設定されており、開放領域26は、開口部22の開口幅28と同じ幅寸法を有している。
【0030】
ベランダ12の前壁面20には、上縁12Aと開口部22との間に前述の上レール16が設けられており、上レール16は、開口部22の上縁部に沿って配置されるとともに、前壁面20の左縁部から右縁部に渡って延設されている。
【0031】
この上レール16は、図2に示すように、断面L字状に形成されており、長片部16Aが板材30を介して前壁面20にタッピングネジ31で固定されている。上レール16の短片部16Bの先端には、上方へ向けて突出するレール部16Cが一体形成されており、このレール部16Cは、上レール16の全長に渡って延設されている。
【0032】
前壁面20の上縁部には、断面コ字状の笠木ケース32がタッピングネジ34で固定されており、上レール16及び上レール16に支持されたルーバー本体14の上縁部を幅方向全域に渡って覆い隠せるように構成されている。これにより、木の葉等の上レール16への付着を抑制することができる。
【0033】
また、前壁面20には、図1に示したように、下縁12Bと開口部22との間に前述の下レール18が設けられており、下レール18は、開口部22の下縁部に沿って配置されるとともに、前壁面20の左縁部から右縁部に渡って延設されている。
【0034】
この下レール18は、図2に示したように、タッピングネジ36で前壁面20に固定された固定面18Aと、固定面18Aの下縁部より折曲して延出した下面18Bと、下面18Bの端部より折曲して上方に延出した前面18Cとを有している。これにより、下レール18は、上方へ向けて開口した断面コ字状に形成されており、前面18Cは固定面18Aより低く設定され固定面18Aへのネジ止めが容易とされている。
【0035】
下レール18の下面18Bには、ロール部を構成する挿入部38が設けられており、挿入部38は、図1に示したように、下レール18の中央部に配置されている。挿入部38は、図2に示したように、下面18Bにボルト40で固定された支持ブラケット38Aと、支持ブラケット38Aに回転可能に支持されたガイドローラ38Bとを備えている。ガイドローラ38Bは、外側面が樹脂で形成されており、接触時に発生する音が抑制されるとともに、接触箇所への傷つきを抑制できるように構成されている。
【0036】
ルーバー本体14は、図3及び図4に示すように、上縁を構成する上縁構成部材14Aと、下縁を構成する下縁構成部材14Bとを備えており、両構成部材14A、14Bは、断面L字状のアングル材によって構成されている。上縁構成部材14Aと下縁構成部材14Bとの間には、複数の格子部材14Cが幅方向に等間隔をおいて配置されており、各格子部材14Cは、上縁構成部材14A及び下縁構成部材14Bにタッピングネジ42で固定されている。
【0037】
各格子部材14Cは、中空の角材で構成されており、所定の厚み寸法を有している。これにより、当該ルーバー本体14に対して斜め方向からの視線が遮られ、内側を容易に覗けない縦格子が形成されている。
【0038】
なお、本実施形態では、各格子部材14Cが上下方向に延在する縦格子のルーバー本体14を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。例えば、各格子部材14Cが横方向に延在する横格子のルーバー本体14としてもよい。また、各格子部材14Cを回転操作可能な羽板で構成してもよい
【0039】
ルーバー本体14の上縁構成部材14Aには、当該ルーバー本体14を上レール16に吊下げるためのハンガー44が二か所に設けられている。このハンガー44は、ルーバー本体14に固定されたブラケット44Aと、ブラケット44Aに設けられた戸車44Bとを有している。ブラケット44Aは、図4に示したように、基部44Cが上縁構成部材14Aにボルト46で固定されており、基部44Cよりルーバー本体14の表面14F側に起立した起立部44Dに回転軸44Eを介して戸車44Bが回転自在に支持されている。
【0040】
戸車44Bの転動面44Fには、断面円弧状の環状凹部の一例である凹溝44Gが周方向に延設されており、凹溝44Gは、転動面44Fの全周に渡って形成されている。これにより、図2に示したように、戸車44Bの凹溝44Gをレール部16Cに合わせて上レール16上に配置することで、上レール16からの戸車44Bの離脱を抑制することができる。また、ルーバー本体14を上レール16に吊下げた状態でスライド可能に支持できるように構成されている。
【0041】
ハンガー44のブラケット44Aには、図4に示したように、抜け止めプレート48を着脱可能に取り付けられるように構成されている。この抜け止めプレート48は、ブラケット44Aの起立部44Dに面接触した状態でネジ50により固定される固定面48Aと、固定面48Aよりルーバー本体14の裏面14G側に延出したロック片48Bとを有している。
【0042】
このロック片48Bは、図2に示したように、当該ハンガー44を上レール16に吊り下げた状態で、上レール16のレール部16Cの下側に延出する長さを有しており、上レール16に対してハンガー44の上動を規制できるように構成されている。これにより、上レール16からのルーバー本体14の予期せぬ離脱を抑制できるように構成されている。
【0043】
ルーバー本体14には、図4に示したように、下縁に沿って延在する下方開口状の溝52が設けられており、この溝52は、断面コ字状のガイド部52Aで構成されている。ガイド部52Aは、下縁構成部材14Bに固定される固定面52Bと、固定面52Bの各側縁より下方へ向けて延出した延出面52Cとを有しており、固定面52Bが下縁構成部材14Bに面接触した状態でリベット54により固定されている。
【0044】
このガイド部52Aは、図2に示したように、ルーバー本体14を取り付けた状態において、下レール18内に配置されるとともに、ガイド部52Aが形成する溝52内に下レール18に設けられた挿入部38が挿入されるように構成されている。このとき、ガイド部52Aの両延出面52C、52C間に挿入部38のガイドローラ38Bが配置される。このガイドローラ38Bがガイド部52Aの延出面52Cに当接することで、ルーバー本体14の下縁部が前壁面20から離れる方向へ移動するのを規制できるように構成されている。また、この移動規制によってルーバー本体14の下縁部が下レール18の固定面18Aや前面18Cと干渉しないように構成されている。
【0045】
そして、挿入部38は、図1に示したように、下レール18の中央部に設けられている。このため、図5の(A)に示すように、ルーバー本体14の下縁部が下レール18の左ストッパ18Fに当接した全開状態56でも、図5の(B)に示すように下レール18の右ストッパ18Gに当接した全閉状態58でも、挿入部38がガイド部52Aの溝52に挿入された状態が維持されるように構成されている。
【0046】
以上の構成に係る本実施形態の作用を説明する。ルーバー10を構成するルーバー本体14は、開口部22の上縁部に沿って延設された上レール16にスライド可能に吊下げられており、ルーバー本体14を上レール16に沿って左右に移動することができる。このため、ルーバー本体14を開口部22の開口面に沿って移動することで、格子状のルーバー本体14により開口部22を閉鎖した全閉状態58のみならず、開口部22が開放した全開状態56も形成することができる。
【0047】
このルーバー本体14が設置された壁面はベランダ12の前壁面20であり、ベランダ12の前壁面20に設けられた開口部22を開放した状態と、格子状のルーバー本体14で通風を確保しつつ内部の視認性を低下させた状態とを形成することができる。これにより、ベランダ12の利用形態に応じた使用が可能となる。
【0048】
また、ルーバー本体14を移動することで、格子状のルーバー本体14で開口部22が覆われた状態と、格子状のルーバー本体14の側部に開口部22が現れた状態とを形成することができる。これにより、ベランダ12壁面の意匠を、前壁面20の模様及びルーバー本体14の格子模様で構成された状態と、ルーバー本体14の格子模様及び開口部22で構成された状態とに変化させることができる。さらに、ルーバー本体14を移動することで、ベランダ12の前壁面20の一部が移動した印象を与えることができる。
【0049】
一方、ルーバー本体14は、上レール16に吊り下げられた状態で支持されている。このため、ルーバー本体14を下から支持する場合と比較して、ゴミ等が溜まりにくく、移動時の抵抗が小さくなり、スムーズな移動が可能となる。
【0050】
具体的に本実施形態の構造では、ルーバー本体14は、ブラケット44Aに設けられた戸車44Bが上レール16に設けられたレール部16C上を転動することで、ルーバー本体14を、がたつかせずに上レール16に沿って軽い力で移動することができる。また、戸車44bの凹溝44Gにレール部が配置されるため、戸車44bの横ずれを抑制することができる。
【0051】
このとき、このルーバー10は、ベランダ12の前壁面20に設置されている。このため、ルーバー本体14を下方から支持するレールに沿って移動する場合のように、レール上に木の葉等が積もりルーバー本体14の移動が阻害されるといった不具合を未然に防止することができる。
【0052】
そして、ルーバー本体14の下縁部は、前壁面20に設けられた挿入部38によって前壁面20から離れる方向への移動が規制されている。このため、ルーバー本体14が吹き付けられる風で煽られたとしても、ルーバー本体14下部からのめくりあげを防止することができる。
【0053】
具体的な本実施形態の構造としては、ルーバー本体14にガイド部52Aを設けて下方開口状の溝52を形成し、この溝52に、前壁面20に設けられた下レール18の挿入部38を挿入する。これにより、ルーバー本体14の下縁部が前壁面20から離れる方向へ移動することを規制することができる。
【0054】
このとき、この移動規制は、挿入部38が溝52の内面に接することで行われる。このため、ルーバー本体14の下縁部を溝に挿入して移動規制する場合と比較して、ルーバー本体14外面の傷つき等を防止でき、外観品質を維持することができる。
【0055】
一方、ベランダ12の前壁面20の開口部22内には柵24が設けられており、開口面積を確保しつつ、前壁面20の内側と外側との境界を明確にすることができる。このとき、柵24の上部には、開口部22の幅方向全域に渡って開放された開放領域26が設定されている。
【0056】
このため、ルーバー本体14を開口部22に沿って移動する際には、開放領域26に手を入れてルーバー本体14を操作することで、開口部22の幅方向全域に渡ってルーバー本体14から手を放すことなく、開閉作業を行うことができる。したがって、利便性が向上する。
【0057】
なお、本実施形態では、ルーバー10をベランダ12の前壁面20に設置した場合について説明したが、これに限定されるものでなく、建物のいずれの壁面に設置してもよい。
【0058】
また、ルーバー本体14の吊下げ構造は、ブラケット44Aに設けられた戸車44Bに限定されるものではなく、他の構造であってもよい。
【0059】
さらに、ルーバー本体14の下縁部の移動規制構造は、ルーバー本体14に設けられたガイド部52A及びガイド部52Aの溝52に挿入される下レール18の挿入部38に限定されるものではなく、他の構造であってもよい。
【0060】
そして、開口部22内において幅方向全域に渡って開放された開放領域26は、形成しなくてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 ルーバー
12 ベランダ
14 ルーバー本体
16 上レール
16C レール部
18 下レール
20 前壁面
22 開口部
24 柵
24A 支柱
26 開放領域
28 開口幅
38 挿入部
44A ブラケット
44B 戸車
52A ガイド部
図1
図2
図3
図4
図5