(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記蓄電池は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、全固体電池、金属・空気電池、有機二次電池、リチウム金属電池、ナトリウムイオン電池、マグネシウムイオン電池およびアルミニウムイオン電池のいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の大容量蓄電池システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電池の単セル容量が小さい場合、十分な電力を蓄電しておくためには、複数の蓄電池を給電対象に並列に接続しておくことが好ましいが、複数の蓄電池を給電対象に並列に接続し続けたままでは、回路内に短絡が発生した場合に複数の蓄電池から大きな短絡電流が給電対象側へと流れてしまう。そのため、上記特許文献1に開示された放電装置のように、使用しない蓄電池に対応したスイッチング素子をオフとしておけば、短絡発生時に大きな電流が流れることを抑制することができる。しかしながら、上記特許文献1の放電装置では、使用している蓄電池に対応するスイッチング素子のオフと、次に使用する蓄電池に対応するスイッチング素子のオンとを同時に行うため、蓄電池の切替時における制御が煩雑となる。また、特許文献1の放電装置では、蓄電池の並列数と同じ数のスイッチング素子が必要となる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、給電対象に複数の蓄電池を並列に接続した大容量蓄電池システムにおいて、安全性を確保しつつ、より簡易な構成および制御で給電対象に無停電に電力を供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の蓄電池を有する第1蓄電池モジュールを少なくとも一つ含み、前記給電対象に接続された第1蓄電池群と、複数の蓄電池を有する第2蓄電池モジュールを少なくとも一つ含み、前記給電対象に前記第1蓄電池群と並列に接続された第2蓄電池群と、トリガ信号が入力されると前記第1蓄電池群から前記給電対象へと電力を供給させる導通状態となると共に、該導通状態かつ該トリガ信号が入力されていない状態で逆バイアスの電圧が印加されると前記第1蓄電池群から前記給電対象への電力の供給を遮断する非導通状態となる第1サイリスタスイッチと、トリガ信号が入力されると前記第2蓄電池群から前記給電対象へと電力を供給させる導通状態となると共に、該導通状態かつ該トリガ信号が入力されていない状態で逆バイアスの電圧が印加されると前記第2蓄電池群から前記給電対象への電力の供給を遮断する非導通状態となる第2サイリスタスイッチと、前記第1サイリスタスイッチおよび前記第2サイリスタスイッチに前記トリガ信号を出力する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1サイリスタスイッチに前記トリガ信号を出力して該第1サイリスタスイッチを前記導通状態として、前記第1蓄電池群に含まれる前記第1蓄電池モジュールから前記給電対象へと電力を供給させ、電力供給中の前記第1蓄電池モジュールの電圧が切替時電圧以下となる前に、前記第1サイリスタスイッチへの前記トリガ信号の出力を停止しておき、前記電力供給中の前記第1蓄電池モジュールの電圧が前記切替時電圧以下となったときに、前記第2サイリスタスイッチに前記トリガ信号を出力して該第2サイリスタスイッチを導通状態として、前記第2蓄電池群に含まれる電力供給前の前記第2蓄電池モジュールから前記給電対象へと電力を供給させることを特徴とする。
【0007】
本発明の大容量蓄電池システムでは、電力供給中の第1蓄電池モジュールの電圧が切替時電圧以下となっていないときには、他の第1蓄電池モジュールおよび第2蓄電池群を給電対象から切り離しておくことができる。この結果、回路内に短絡が発生したときに、給電対象に並列に接続された第1蓄電池群および第2蓄電池群から過大な電流が給電対象へと流れることを抑制することができる。一方、電力供給中の第1蓄電池モジュールの電圧が切替時電圧以下となったときには、第2サイリスタスイッチが導通状態とされ、第2蓄電池群に含まれる電力供給前の第2蓄電池モジュールから給電対象へと電力の供給が開始される。これにより、切替時電圧以下まで電圧が低下した第1蓄電池モジュールに対応した第1サイリスタスイッチは、逆バイアスの電圧が印加されることで自動的に非導通状態となる。すなわち、一つのサイリスタスイッチへのトリガ信号を出力するだけで、給電対象へと電力を供給する蓄電池群を切り替えることが可能となる。また、第1蓄電池モジュールおよび第2蓄電池モジュールが並列に接続された複数の蓄電池を有する場合であっても、各蓄電池モジュールに対応したスイッチング素子と各蓄電池群に対応したサイリスタスイッチを用いればよいため、蓄電池の並列数に合わせてスイッチング素子を設ける必要がない。従って、本発明の大容量蓄電池システムによれば、給電対象に複数の蓄電池を並列に接続した大容量蓄電池システムにおいて、安全性を確保しつつ、より簡易な構成および制御で給電対象に無停電に電力を供給することができる。
【0008】
また、前記第1蓄電池群は、前記給電対象に並列に接続された複数の前記第1蓄電池モジュールを有し、前記第2蓄電池群は、前記給電対象に並列に接続された複数の前記第2蓄電池モジュールを有し、前記制御部によりオンオフ制御され、各前記第1蓄電池モジュールと前記第1サイリスタスイッチとの接続と該接続の解除とを切り換える複数の第1スイッチング素子と、前記制御部によりオンオフ制御され、各前記第2蓄電池モジュールと前記第2サイリスタスイッチとの接続と該接続の解除とを切り換える複数の第2スイッチング素子と、をさらに備え、前記制御部は、前記第1スイッチング素子の一つをオンすると共に前記第1サイリスタスイッチにトリガ信号を出力して該第1サイリスタスイッチを前記導通状態として、前記第1蓄電池群に含まれる前記第1蓄電池モジュールの一つから前記給電対象へと電力を供給させ、前記電力供給中の前記第1蓄電池モジュールの電圧が前記切替時電圧以下となる前に、前記第1サイリスタスイッチへの前記トリガ信号の出力を停止しておき、前記電力供給中の前記第1蓄電池モジュールの電圧が前記切替時電圧よりも大きな所定電圧以下となったときに、前記電力供給前の前記第2蓄電池モジュールの一つに対応した前記第2スイッチング素子をオンしておき、前記電力供給中の前記第1蓄電池モジュールの電圧が前記切替時電圧以下となったときに、前記第2サイリスタスイッチに前記トリガ信号を出力して該第2サイリスタスイッチを導通状態として、前記電力供給前の前記第2蓄電池モジュールの一つから前記給電対象へと電力を供給させることが好ましい。
【0009】
これにより、電力供給中の第1蓄電池モジュールの電圧が切替時電圧以下となっていないときには、当該第1蓄電池モジュール以外の蓄電池モジュールを、対応するスイッチング素子をオフすることで給電対象から切り離しておくことができる。この結果、第1蓄電池群および第2蓄電池群の容量をより向上させつつ、回路内に短絡が発生したときに、給電対象に並列に接続された各蓄電池モジュールから過大な電流が給電対象へと流れることを抑制し、安全性を確保することができる。また、電力供給中の第1蓄電池モジュールの電圧が切替時電圧よりも大きな所定電圧以下となったときに、電力供給前の第2蓄電池モジュールの一つに対応した第2スイッチング素子をオンしておくことで、電力供給中の第1蓄電池モジュールの電圧が切替時電圧以下となったときに、第2サイリスタスイッチにトリガ信号を出力するだけで、速やかに電力供給前の第2蓄電池モジュールから給電対象へと電力の供給を開始することができる。すなわち、一つのサイリスタスイッチへのトリガ信号を出力するだけで、給電対象へと電力を供給する蓄電池モジュールを切り替えることが可能となる。この結果、第1蓄電池群および第2蓄電池群の容量をより向上させつつ、より簡易な制御で給電対象へと無停電で電力を供給することができる。
【0010】
また、前記第1蓄電池群および前記第2蓄電池群に充電電力を供給する充電電力供給部と、前記制御部によりオンオフ制御され、前記第1蓄電池群と前記充電電力供給部との接続と該接続の解除とを切り換える第1充電側スイッチング素子と、前記制御部によりオンオフ制御され、前記第2蓄電池群と前記充電電力供給部との接続と該接続の解除とを切り換える第2充電側スイッチング素子と、をさらに備え、前記制御部は、前記充電電力供給部から前記第1蓄電池群および前記第2蓄電池群に充電電力を供給しない場合は、前記第1充電側スイッチング素子および前記第2充電側スイッチング素子をオフすることが好ましい。
【0011】
これにより、充電電力を供給する場合を除き、第1蓄電池群および第2蓄電池群を充電電力供給部から切り離しておくことができるため、安全性をさらに向上させることが可能となる。また、蓄電池の常時充電を避けることで、蓄電池内部から水素ガス等が発生することを良好に抑制することができ、特に、蓄電池が可燃性の電解液を有するリチウムイオン電池である場合には、充電中に懸念される熱暴走を伴う異常を良好に抑制することが可能となる。
【0012】
また、前記第1蓄電池群および前記第2蓄電池群とは異なる電源からの電力を前記給電対象へと供給する電源電力供給部と、前記制御部によりオンオフ制御され、前記電源電力供給部と前記給電対象との接続と接続の解除とを切り換える第1給電側スイッチング素子と、前記制御部によりオンオフ制御され、一端が前記第1給電側スイッチング素子と前記給電対象との間に接続されると共に他端が前記充電電力供給部と前記第1充電側スイッチング素子及び前記第2充電側スイッチング素子との間に接続されて、前記充電電力供給部と前記給電対象との接続と接続の解除とを切り換える第2給電側スイッチング素子と、をさらに備え、前記制御部は、前記電源電力供給部から前記給電対象へと電力を供給させる場合、前記第1給電側スイッチング素子をオンすると共に前記第2給電側スイッチング素子をオフし、前記電源電力供給部の保守点検を行う場合、前記第1給電側スイッチング素子をオフすると共に前記第2給電側スイッチング素子をオンすることが好ましい。
【0013】
これにより、第1給電側スイッチング素子をオンして第2給電側スイッチング素子をオフしている状態で、第1充電側スイッチング素子または第2充電側スイッチング素子をオンすれば、電源電力供給部から給電対象に電力を供給させながら、充電電力供給部から第1蓄電池群または第2蓄電池群へと充電電力を供給させることができる。この際、第1サイリスタスイッチおよび第2サイリスタスイッチにより、電源電力供給部からの電流が第1蓄電池群および第2蓄電池群側へと流れることが阻止されるため、充電電力供給部から第1蓄電池群または第2蓄電池群へと供給される充電電力を、蓄電池の充電特性に見合った充電電流および充電電圧に精度良く制御することが可能となる。また、電源電力供給部の保守点検を行う場合、第1給電側スイッチング素子をオフして第2給電側スイッチング素子をオンして充電電力供給部から給電対象へと電力を供給させることにより、電源電力供給部の保守点検を行いながら給電対象へと電力を供給することができる。
【0014】
また、前記第1蓄電池群及び前記第2蓄電池群と前記給電対象との間に設けられた遮断器をさらに備え、前記第1蓄電池モジュール及び前記第2蓄電池モジュールにおいて複数の前記蓄電池を前記給電対象に対して並列に接続する際、前記蓄電池の並列数は、前記第1蓄電池モジュールまたは前記第2蓄電池モジュールから短絡電流が流れた場合、前記短絡電流が前記遮断器の定格遮断容量未満となる数であることが好ましい。
【0015】
このように、一つ一つの第1蓄電池モジュールまたは第2蓄電池モジュールから流れ得る短絡電流が遮断器の定格遮断容量よりも大きくならないようしつつ、当該蓄電池モジュールを給電対象に複数並列に接続することで、比較的簡易な(一般的な)遮断器を用いながらも、第1蓄電池群および第2蓄電池群全体の蓄電容量を十分に向上させることが可能となる。
【0016】
また、前記蓄電池は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、全固体電池、金属・空気電池、有機二次電池、リチウム金属電池、ナトリウムイオン電池、マグネシウムイオン電池およびアルミニウムイオン電池のいずれかであることが好ましい。
【0017】
本発明によれば、このような単セル容量が小さい蓄電池を使用する場合にも、安全性を確保しつつ、複数の蓄電池を給電対象に並列に接続して蓄電電力を十分に確保することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる大容量蓄電池システムは、給電対象に複数の蓄電池を並列に接続した大容量蓄電池システムにおいて、安全性を確保しつつ、より簡易な構成および制御で給電対象に無停電に電力を供給することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明にかかる大容量蓄電池システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0021】
図1は、実施形態にかかる大容量蓄電池システムを示す概略図である。
図1に示す大容量蓄電池システム1は、例えば原子力プラント設備といった各種プラント設備に含まれる給電対象50へと無停電に電力を供給するための装置である。給電対象50は、例えばプラント設備内の各種計測器といった装置である。本実施形態において、給電対象50には、例えば125Vの直流電力が供給される。
【0022】
大容量蓄電池システム1は、
図1に示すように、給電対象50へと交流電源11の電力を供給する第1電力供給部(電源電力供給部)10と、交流電源11から電力供給ができない場合に蓄電電力を給電対象50へと供給する第2電力供給部20と、第2電力供給部20への充電電力の供給、及び第1電力供給部10の保守点検時に給電対象50への交流電源11からの電力の供給を行う第3電力供給部(充電電力供給部)30と、第1電力供給部10、第2電力供給部20および第3電力供給部30を制御する制御部40とを備える。
【0023】
第1電力供給部10は、商用交流電源である交流電源11と、交流電源11と給電対象50とに接続された整流器12とを有する。交流電源11は、例えば商用交流電源である。整流器12は、交流電源11からの交流電力を直流電力に変換して給電対象50に供給する。整流器12と給電対象50との間には、遮断器(MCCB)60が設けられている。遮断器60は、短絡電流を遮断する。遮断器60の定格遮断容量は、例えば40kAである。
【0024】
第2電力供給部20は、給電対象50に接続された第1蓄電池群21と、給電対象50に第1蓄電池群21と並列に接続された第2蓄電池群22と、第1蓄電池群21から給電対象50側への一方向に電流の流れを整流する第1サイリスタスイッチSCR1と、第2蓄電池群22から給電対象50側への一方向に電流の流れを整流する第2サイリスタスイッチSCR2と、第1蓄電池群21と第1サイリスタスイッチSCR1との間に設けられた第1スイッチング素子としてのスイッチング素子S11およびスイッチング素子S12と、第2蓄電池群22と第2サイリスタスイッチSCR2との間に設けられた第2スイッチング素子としてのスイッチング素子S21およびスイッチング素子S22と、第1蓄電池群21の電圧V21を検出する電圧センサ23と、第2蓄電池群22の電圧V22を検出する電圧センサ24とを備える。
【0025】
第1蓄電池群21は、複数の蓄電池が直列並列に接続された第1蓄電池モジュールとしての蓄電池モジュール211および蓄電池モジュール212を含む。第2蓄電池群22は、複数の蓄電池が直列並列に接続された第2蓄電池モジュールとしての蓄電池モジュール221および蓄電池モジュール222を含む。各蓄電池モジュール211,212,221,222に含まれる蓄電池の直列数は、給電対象50に供給すべき電力の電圧に合わせて設定される。また、各蓄電池モジュール211,212,221,222に含まれる蓄電池の並列数は、回路内に短絡が発生した際に、各蓄電池モジュール211,212,221,222からの短絡電流が遮断器60の定格遮断容量以下となる数に設定される。蓄電池モジュール211,212,221,222は、給電対象50に並列に接続される。これにより、一つずつの第1蓄電池群21,第2蓄電池群22の容量をより向上させることができる。本実施形態において、各蓄電池モジュール211,212,221,222が有する複数の蓄電池は、リチウムイオン電池である。本実施形態において、各蓄電池モジュール211,212,221,222の容量は、例えば25kWh程度であり、第1蓄電池群21および第2蓄電池群22全体に蓄電される蓄電容量は、例えば100kWh程度である。
【0026】
第1サイリスタスイッチSCR1は、給電対象50側から第1蓄電池群21側への電流の流れを遮断する逆阻止3端子型のサイリスタスイッチである。第1サイリスタスイッチSCR1は、ゲートにトリガ信号が入力されることで導通状態となり、第1蓄電池群21側から給電対象50側へと電力を供給させる。また、第1サイリスタスイッチSCR1は、導通状態かつトリガ信号が入力されていない状態で、第1蓄電池群21側より給電対象50側の電圧が高くなると、すなわち逆バイアスが印加されると、第1蓄電池群21側から給電対象50側への電力の供給を遮断する非導通状態となる。第1サイリスタスイッチSCR1のゲートに入力されるトリガ信号は、制御部40において生成される。第1サイリスタスイッチSCR1は、遮断器60よりも第1蓄電池群21側に設けられる。
【0027】
第2サイリスタスイッチSCR2は、給電対象50側から第2蓄電池群22側への電流の流れを遮断する逆阻止3端子型のサイリスタスイッチである。第2サイリスタスイッチSCR2は、ゲートにトリガ信号が入力されることで導通状態となり、第2蓄電池群22側から給電対象50側へと電力を供給させる。また、第2サイリスタスイッチSCR2は、導通状態かつトリガ信号が入力されていない状態で、第2蓄電池群22側より給電対象50側の電圧が高くなると、すなわち逆バイアスが印加されると、第2蓄電池群22側から給電対象50側への電力の供給を遮断する非導通状態となる。第2サイリスタスイッチSCR2のゲートに入力されるトリガ信号は、制御部40において生成される。第2サイリスタスイッチSCR2は、遮断器60よりも第2蓄電池群21側に設けられる。すなわち、遮断器60は、第1蓄電池群21及び第2蓄電池群22と給電対象50との間に設けられている。
【0028】
スイッチング素子S11,S12,S21,S22は、例えばコンタクタといったオンオフを切替可能な周知のスイッチング素子である。スイッチング素子S11は、蓄電池モジュール211と第1サイリスタスイッチSCR1との接続と接続の解除とを切り換える。スイッチング素子S12は、蓄電池モジュール212と第1サイリスタスイッチSCR1との接続と接続の解除とを切り換える。スイッチング素子S21は、蓄電池モジュール221と第2サイリスタスイッチSCR2との接続と接続の解除とを切り換える。スイッチング素子S22は、蓄電池モジュール222と第2サイリスタスイッチSCR2との接続と接続の解除とを切り換える。スイッチング素子S11,S12,S21,S22は、制御部40によりオンオフ制御される。
【0029】
電圧センサ23は、検出した第1蓄電池群21の電圧V21を制御部40へと出力する。電圧センサ24は、検出した第2蓄電池群22の電圧V22を制御部40へと出力する。なお、電圧センサは、蓄電池モジュール211,212,221,222の電圧をそれぞれ検出するものを一つずつ設けてもよい。
【0030】
第3電力供給部30は、交流電源11からの交流電力を直流電力に変換して第1蓄電池群21および第2蓄電池群22に供給する充電器31と、充電器31と第1蓄電池群21および第2蓄電池群22との間に設けられたスイッチング素子S31とを有する。スイッチング素子S31は、例えばコンタクタといったオンオフを切替可能な周知のスイッチング素子であり、制御部40によりオンオフ制御される。
【0031】
ここで、大容量蓄電池システム1は、第3電力供給部30と第1蓄電池群21との接続と接続の解除とを切り換える第1充電側スイッチング素子としてのスイッチング素子S32と、第3電力供給部30と第2蓄電池群22との接続と接続の解除とを切り換える第2充電側スイッチング素子としてのスイッチング素子S33とを有している。スイッチング素子S32は、第3電力供給部30のスイッチング素子S31と第2電力供給部20のスイッチング素子S11,S12とに接続されている。スイッチング素子S33は、第3電力供給部30のスイッチング素子S31と第2電力供給部20のスイッチング素子S21,S22とに接続されている。スイッチング素子S32,S33は、例えばコンタクタといったオンオフを切替可能な周知のスイッチング素子であり、制御部40によりオンオフ制御される。
【0032】
また、大容量蓄電池システム1は、第1電力供給部10と給電対象50との接続と接続の解除とを切り換える第1給電側スイッチング素子としてのスイッチング素子S34と、一端がスイッチング素子S34と給電対象50との間に接続されると共に他端が第3電力供給部30とスイッチング素子S32及びスイッチング素子S33との間に接続されて、第3電力供給部30と給電対象50との接続と接続の解除とを切り換える第2給電側スイッチング素子としてのスイッチング素子S35とを備える。スイッチング素子S34及びスイッチング素子S35は、例えばコンタクタといったオンオフを切替可能な周知のスイッチング素子であり、制御部40によりオンオフ制御される。
【0033】
制御部40は、電圧センサ23からの第1蓄電池群21の電圧V21の値と、電圧センサ24からの第2蓄電池群22の電圧V22の値とを入力する。制御部40は、第1電力供給部10,第2電力供給部20,および第3電力供給部30の何れかから給電対象50へと無停電に電力が供給されるように、スイッチング素子S11,S12,S21,S22,S31,S32,S33,S34,S35のオンオフ制御を行うと共に、第1サイリスタスイッチSCR1,第2サイリスタスイッチSCR2にトリガ信号を出力する。
【0034】
制御部40は、通常時、すなわち交流電源11から給電対象50へと電力を供給する場合、第1サイリスタスイッチSCR1および第2サイリスタスイッチSCR2にトリガ信号を出力することなく非導通状態としたままで、スイッチング素子S34をオンすると共にスイッチング素子S35をオフする。これにより、第1電力供給部10の整流器12で直流電力に変換された交流電源11からの電力が給電対象50へと供給される。
【0035】
制御部40は、第1電力供給部10から給電対象50に電力を供給している状態(スイッチング素子S34をオンしてスイッチング素子S35をオフしている状態)で、電圧センサ23から入力した電圧V21または電圧センサ24から入力した電圧V22の値に基づいて、スイッチング素子S11,S12,S21,S22をオンオフ制御すると共に、スイッチング素子S31,S32,S33をオンオフ制御し、第3電力供給部30から各蓄電池モジュール211,212,221,222に充電電力を供給させる。具体的には、制御部40は、各蓄電池モジュール211,212,221,222のうち電圧が低下しているものがある場合には、スイッチング素子S31をオンすると共に、当該電圧が低下している蓄電池モジュール211,212,221,222に対応したスイッチング素子S11,S12,S21,S22の何れか、並びにスイッチング素子S32またはスイッチング素子S33をオンとする。これにより、交流電源11からの電力が充電器31を介して電圧が低下した蓄電池モジュール211,212,221,222のいずれかに供給される。なお、電圧が低下した蓄電池モジュール211,212,221,222が複数ある場合には、当該電圧が低下したものに同時に充電電力を供給してもよい。
【0036】
このように、スイッチング素子S34をオンしてスイッチング素子S35をオフしている状態で、スイッチング素子S32またはスイッチング素子S33をオンすれば、第1電力供給部10から給電対象50に電力を供給させながら、第3電力供給部30から第1蓄電池群21または第2蓄電池群22へと充電電力を供給させることができる。この際、第1サイリスタスイッチSCR1および第2サイリスタスイッチSCR2により、第1電力供給部10からの電流が第1蓄電池群21および第2蓄電池群22側へと流れることが阻止されるため、第3電力供給部30から第1蓄電池21群または第2蓄電池22群へと供給される充電電力を、蓄電池の充電特性に見合った充電電流および充電電圧に精度良く制御することが可能となる。
【0037】
一方、制御部40は、第3電力供給部30から第1蓄電池群21および第2蓄電池群22に充電電力を供給しない場合、スイッチング素子S31、または、スイッチング素子S32及びスイッチング素子S33をオフとしておく。すなわち、本実施形態の大容量蓄電池システム1では、充電を行う場合を除き、第3電力供給部30と各蓄電池モジュール211,212,221,222とを切り離しておく。これにより、リチウムイオン電池の充電時に懸念される異常が発生することを抑制し、熱暴走を良好に抑制することが可能となる。従って、装置の安全性を確保することができる。さらに、各蓄電池モジュール211,212,221,222を常時充電しないようにすることで、各蓄電池内部から水素ガス等が発生することを抑制することが可能となる。なお、リチウムイオン電池は、自己放電しづらいため、各蓄電池モジュール211,212,221,222を常時充電しないようにしても、蓄電電力を十分に確保しておくことができる。
【0038】
また、制御部40は、第1電力供給部10の整流器12について保守点検を行う場合、スイッチング素子S34をオフすると共に、スイッチング素子S31およびスイッチング素子S35をオンして、第3電力供給部30から給電対象50へと交流電源11の電力を供給させる。この際、制御部40は、スイッチング素子S32,S33をオフとし、第3電力供給部30から第1蓄電池群21および第2蓄電池群22へと充電電力を供給させない。これにより、第1電力供給部10の整流器12について保守点検を行う場合にも、第3電力供給部30を介して交流電源11からの電力を給電対象50へと供給させることができる。
【0039】
制御部40は、例えば停電等の非常時であって第1電力供給部10の交流電源11から給電対象50へと給電できない場合、入力した電圧V21または電圧V22の値に基づいて、第1サイリスタスイッチSCR1および第2サイリスタスイッチSCR2へのトリガ信号を生成・出力すると共に、スイッチング素子S11,S12,S21,S22をオンオフ制御し、第2電力供給部20から給電対象50へと給電させる。以下、この場合の大容量蓄電池システム1の動作について、詳細に説明する。
【0040】
図2は、大容量蓄電池システム1において、第1蓄電池群21に含まれる蓄電池モジュール211と給電対象50とが接続された状態を示す概略図である。制御部40は、あらかじめ蓄電池モジュール211に対応したスイッチング素子S11をオンの状態としておき、停電等によって第1電力供給部10の交流電源11から給電対象50へと電力を供給できない状態となると、
図2に示すように、蓄電池モジュール211を含む第1蓄電池群21に対応した第1サイリスタスイッチSCR1のゲートにパルス状のトリガ信号を出力して導通状態とする。これにより、
図2において白い実線矢印で示すように、蓄電池モジュール211から給電対象50へと直流電力が給電される。なお、本実施形態では、トリガ信号としてパルス状の信号を用いるため、第1サイリスタスイッチSCR1が導通状態となった以降は、制御部40からのトリガ信号の出力は停止されているものとする。
【0041】
制御部40は、蓄電池モジュール211から給電対象50へと電力を供給している状態で、電圧センサ23から入力される第1蓄電池群21の電圧V21、すなわち蓄電池モジュール211の電圧V21を監視しておく。制御部40は、蓄電池モジュール211の電圧V21の値が所定電圧Vref以下となっていない場合、
図2に示す状態を継続させる。
【0042】
蓄電池モジュール211の放電が進み、蓄電池モジュール211の電圧V21の値が所定電圧Vref以下となると、制御部40は、蓄電池モジュール221に対応したスイッチング素子S21をオンし、当該蓄電池モジュール221と、第2蓄電池群22に対応した第2サイリスタスイッチSCR2とを接続させておく。所定電圧Vrefは、後述する切替時電圧Vsよりも大きな値とされる。
【0043】
さらに蓄電池モジュール211の放電が進み、蓄電池モジュール211の電圧V21の値が切替時電圧Vs以下となると、制御部40は、第2サイリスタスイッチSCR2のゲートにパルス状のトリガ信号を出力し、第2サイリスタスイッチSCR2を導通状態とする。切替時電圧Vsは、本実施形態では、蓄電池モジュール211,212,221,222の終止電圧である。なお、切替時電圧Vsは、蓄電池モジュール211,212,221,222の終止電圧よりも大きな値であってもよい。これにより、第2蓄電池群22に含まれる電力供給前の蓄電池モジュール221と給電対象50とが接続される。
図3は、大容量蓄電池システム1において、第2蓄電池群22に含まれる蓄電池モジュール221と給電対象50とが接続された状態を示す概略図である。この状態では、
図3に白い実線矢印で示すように、蓄電池モジュール221から給電対象50への電力の供給が開始される。
【0044】
ここで、まだ電圧が低下していない電力供給開始直後の蓄電池モジュール221は、切替時電圧(本実施形態では、終止電圧)Vsにいたった蓄電池モジュール211よりも電圧が高い。そのため、蓄電池モジュール221から給電対象50への電力の供給が開始されると、第1サイリスタスイッチSCR1は、給電対象50側の電圧が蓄電池モジュール211側の電圧よりも高くなる。そして、上述したように、制御部40からの第1サイリスタスイッチSCR1へのパルス状のトリガ信号の出力は、第1サイリスタスイッチSCR1が導通状態となった以降は停止されているため、蓄電池モジュール211の電圧V21が切替時電圧Vs以下となる前に停止されている。従って、第1サイリスタスイッチSCR1は、導通状態かつトリガ信号が入力されていない状態で、いわゆる逆バイアスが印加されることによって、自動的に非導通状態となる。これにより、蓄電池モジュール211から給電対象50への電力の供給が停止される。すなわち、大容量蓄電池システム1は、第2サイリスタスイッチSCR2へのトリガ信号を出力するだけで、給電対象50へと電力を供給する蓄電池群を第1蓄電池群21から第2蓄電池群22へと切り替えることが可能となる。また、本実施形態では、蓄電池モジュール211,212,213,214が並列に接続された複数の蓄電池を有するが、第1蓄電池群21に対応した第1サイリスタスイッチSCR1とスイッチング素子S11,S12,第2蓄電池群22に対応した第2サイリスタスイッチSCR2とスイッチング素子S21,S22だけを用いればよいため、蓄電池の並列数に合わせてスイッチング素子を設ける必要がない。従って、より簡易な構成および制御で給電対象50に無停電に電力を供給することが可能となる。
【0045】
また、上述したように、本実施形態の大容量蓄電池システム1では、蓄電池モジュール211の電圧V21が切替時電圧Vsよりも大きな所定電圧Vref以下となったときに、蓄電池モジュール221に対応したスイッチング素子S21をオンしておく。これにより、蓄電池モジュール211の電圧が切替時電圧Vs以下となったときに、第2サイリスタスイッチSCR2を出力するだけで、速やかに蓄電池モジュール221から給電対象50へと電力の供給を開始することができる。すなわち、大容量蓄電池システム1は、第2サイリスタスイッチSCR2へのトリガ信号を出力するだけで、給電対象50へと電力を供給する蓄電池モジュールを蓄電池モジュール211から蓄電池モジュール221へと切り替えることが可能となる。この結果、第1蓄電池群21および第2蓄電池群22の容量をより向上させつつ、より簡易な制御で、より確実に給電対象50へと無停電で電力を供給することができる。
【0046】
制御部40は、給電対象50へと電力を供給する蓄電池モジュールを蓄電池モジュール211から蓄電池モジュール221に切り替えた後、制御部40は、スイッチング素子S11をオフしておくと共に、蓄電池モジュール221の電圧V22を監視しておく。そして、大容量蓄電池システム1は、蓄電池モジュール221の電圧V22が低下した際には、上記蓄電池モジュール211から蓄電池モジュール221への切替と同様の手順で、給電対象50へと電力を供給する蓄電池モジュールが第1蓄電池群21に含まれる電力供給前の蓄電池モジュール212へと切り替わる。さらに、大容量蓄電池システム1は、蓄電池モジュール212の電圧V21が低下した際には、同様の手順で、給電対象50へと電力を供給する蓄電池モジュールが第2蓄電池群22に含まれる電力供給前の蓄電池モジュール222へと切り替わる。なお、所定電圧Vrefおよび切替時電圧Vsの値は、蓄電池モジュール211,212,221,222ごとに異なる値とされてもよい。
【0047】
このように、大容量蓄電池システム1は、複数の蓄電池モジュール211,212,221,222を給電対象50に並列に接続しておき、停電等の交流電源11から給電対象50に給電できない場合に、各蓄電池モジュール211,212,221,222を給電対象50へと逐次接続する。これにより、停電等の非常時に給電対象50に供給すべき蓄電電力を十分に確保しておくことができる。特に、本実施形態のように、蓄電池として単セル容量が比較的小さいリチウムイオン電池を用いる場合にも、蓄電電力を十分に確保しておくことができる。
【0048】
また、大容量蓄電池システム1は、複数の蓄電池モジュール211,212,221,222を給電対象50に逐次接続することで、電力供給中の蓄電池モジュール以外は、すべて給電対象50から切り離しておくことができる。その結果、第1蓄電池群21および第2蓄電池群22の容量をより向上させつつ、回路内のいずれかで短絡が発生した場合に、複数の蓄電池モジュール211,212,221,222からの短絡電流が合わさり大きな短絡電流が流れることを抑制し、給電対象50を良好に保護することが可能となる。
【0049】
また、蓄電池モジュール211,212,221,222からの短絡電流が合わさり大きな短絡電流が流れることを抑制することで、遮断器60の遮断性能を高める必要がなくなる。この結果、遮断器60として比較的簡易な(一般的な)ものを用いたり、既存の設備をそのまま利用したりすることができるため、設備全体としてのコストダウンを図ることが可能となる。また、上述したように、各蓄電池モジュール211,212,221,222に含まれる蓄電池の並列数は、回路内に短絡が発生した際に、各蓄電池モジュール211,212,221,222からの短絡電流が遮断器60の定格遮断容量以下となる数に設定される。このように、一つ一つの蓄電池モジュール211,212,221,222から流れ得る短絡電流が遮断器60の定格遮断容量よりも大きくならないようしつつ、当該蓄電池モジュール211,212,221,222を給電対象に複数並列に接続することで、比較的簡易な(一般的な)遮断器60を用いながらも、第1蓄電池群21および第2蓄電池群22全体の蓄電容量を十分に向上させることが可能となる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態の大容量蓄電池システム1によれば、給電対象50に複数の蓄電池を並列に接続した大容量蓄電池システムにおいて、安全性を確保しつつ、より簡易な制御で給電対象50に無停電に電力を供給することができる。
【0051】
本実施形態では、第2電力供給部20が2つの蓄電池群(第1蓄電池群21および第2蓄電池群22)と、2つのサイリスタスイッチ(第1サイリスタスイッチSCR1および第2サイリスタスイッチSCR2)とを有するものとしたが、第2電力供給部20は、3つ以上の蓄電池群と、各蓄電池群に対応した3つ以上のサイリスタスイッチとを有していてもよい。この場合にも、各蓄電池群に含まれる各蓄電池モジュールを上述した手順で給電対象50に逐次接続すればよい。
【0052】
また、本実施形態では、第1蓄電池群21は、蓄電池モジュール211および212を有し、第2蓄電池群22は、蓄電池モジュール221および222を有するものとしたが、第1蓄電池群21および第2蓄電池群22は、蓄電池モジュールを少なくとも一つ含むものであればよく、給電対象50に並列に接続された蓄電池モジュールを3つ以上含むものであってもよい。第1蓄電池群21および第2蓄電池群22が、一つの蓄電池モジュールのみを含むものである場合には、スイッチング素子S11,S12,S21,S22は、省略されてもよい。なお、第1蓄電群21の容量のみで十分で、第2蓄電池群22が必要とされない場合は、第2蓄電池群22,第2サイリスタスイッチSCR2およびスイッチング素子S33を省略してもよい。また、第1蓄電池群21および第2蓄電池群22が、蓄電池モジュールを3つ以上含むものである場合には、各蓄電池モジュールと第1サイリスタスイッチSCR1または第2サイリスタスイッチSCR2との間に、スイッチング素子を設ければよい。
【0053】
また、本実施形態では、第3電力供給部30から充電電力を供給する場合を除き、第3電力供給部30と第1蓄電池群21および第2蓄電池群22とを切り離すものとしたが、第3電力供給部30と第1蓄電池群21および第2蓄電池群22とは、必要に応じて接続されてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、蓄電池モジュール211,212,221,222が有する蓄電池としてリチウムイオン電池を用いるものとしたが、蓄電池は、ニッケル水素電池、全固体電池、金属・空気電池、有機二次電池、リチウム金属電池、ナトリウムイオン電池、マグネシウムイオン電池およびアルミニウムイオン電池のいずれかであってもよい。この場合にも、大容量蓄電池システム1によれば、各蓄電池群から大きな短絡電流が流れることを抑制することができるため、装置の安全性を確保することができ、また、蓄電容量を高めることができる。
【0055】
なお、本実施形態では、制御部40から第1サイリスタスイッチSCR1および第2サイリスタスイッチSCR2のゲートにパルス状のトリガ信号を出力するものとしたが、トリガ信号は、制御部40から出力された後、給電中の蓄電池モジュールの電圧が切替時電圧Vsにいたる前に出力が停止されさえすれば、パルス状の信号である必要はない。
【0056】
また、本実施形態では、制御部40は、停電等によって第1電力供給部10の交流電源11から給電対象50へと電力を供給できない状態となると、蓄電池モジュール211を含む第1蓄電池群21に対応した第1サイリスタスイッチSCR1のゲートにパルス状のトリガ信号を出力して導通状態とするものとしたが、整流器12の出力電圧が充電器31の出力電圧より高い設定の場合には、予め第1サイリスタスイッチSCR1のゲートにトリガ信号を出力しておいてもよい。
【0057】
これにより、整流器12(第1電力供給部10)から給電対象50に電力を供給しながら、充電器31(第3電力供給部30)から第1蓄電池群21に充電電力を供給している場合にも、第1サイリスタスイッチSCR1は逆バイアスの電圧が印加されて非導通状態を保つ。その結果、充電器31(第3電力供給部30)からの電力が給電対象50側へと供給されることはなく、第1蓄電池群21に充電電力を良好に供給することができる。そして、予め第1サイリスタスイッチSCR1にトリガ信号が出力されていることにより、第1サイリスタスイッチSCR1は、停電等の交流電源11からの電力を給電対象50へと供給できない非常時に、整流器12の出力電圧低下に伴って逆バイアスの電圧の印加が停止されたタイミングで速やかに導通状態となる。この結果、停電等の非常時に、蓄電池モジュール211から給電対象50へと速やかに電力供給を開始させることができる。なお、停電等による整流器12の出力電圧低下に伴い、第1サイリスタスイッチSCR1が導通状態となった以降は、制御部40からのトリガ信号の出力は停止されているものとする。
【0058】
また、本実施形態では、第3電力供給部30から第1蓄電池群21および第2蓄電池群22へと充電電力を供給するものとしたが、蓄電池の充電特性や整流器12の充電電圧や充電電流の制御性を勘案し、第3電力供給部30(充電器31とスイッチング素子S31)を省略して、第1電力供給部10(整流器12)から給電対象50への電力の供給と第1蓄電池群21および第2蓄電池群22への充電電力の供給の双方を行うものとしてもよい。この場合、スイッチング素子34をオンとしスイッチング素子35をオフとすれば、第1電力供給部10から給電対象50への電力供給を行い、第1蓄電池群21および第2蓄電池群22への充電電力の供給を停止することができる。