(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6749188
(24)【登録日】2020年8月13日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】太陽光発電ユニットと太陽電池モジュールの補修方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/05 20140101AFI20200824BHJP
H02S 20/10 20140101ALI20200824BHJP
【FI】
H01L31/04 570
H02S20/10 R
H02S20/10 H
H02S20/10 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-180840(P2016-180840)
(22)【出願日】2016年9月15日
(65)【公開番号】特開2018-46204(P2018-46204A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土田 亮
(72)【発明者】
【氏名】中尾 亮
(72)【発明者】
【氏名】中井川 敦
(72)【発明者】
【氏名】正木 秀明
【審査官】
桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】
特表2015−527855(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0340358(US,A1)
【文献】
特開2006−210613(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0043686(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第101807614(CN,A)
【文献】
特開2003−158286(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0029036(US,A1)
【文献】
特開2001−332752(JP,A)
【文献】
特開2000−079961(JP,A)
【文献】
特開2006−286748(JP,A)
【文献】
特開2013−002244(JP,A)
【文献】
特開2010−059750(JP,A)
【文献】
特開2003−158284(JP,A)
【文献】
A. HALBE et al.,Evaluation of mounting mechanisms for the installation of lightweight PV systems on commercial rooftops,2014 IEEE 40th Photovoltaic Specialist Conference,IEEE,2014年 6月 8日,pp. 3539-3542,DOI: 10.1109/PVSC.2014.6924873
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L31/04−31/078
H02S20/10−20/26
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールを取り付けた太陽光発電ユニットにおいて、
既設の太陽電池モジュールと、
前記既設の太陽電池モジュールの受光面上に設置した新設の太陽電池モジュールと、
前記既設の太陽電池モジュールに新設の太陽電池モジュールを固定する固定器具とを備えたことを特徴とする太陽光発電ユニット。
【請求項2】
前記新設の太陽電池モジュールは前記既設の太陽電池モジュールより小さく形成されている請求項1に記載された太陽光発電ユニット。
【請求項3】
前記固定器具は前記新設の太陽電池モジュールの枠部に取り付けた第一固定部と既設の太陽電池モジュールの枠部に取り付けた第二固定部とを有していて、前記新設の太陽電池モジュールの対向する位置にそれぞれ設置した請求項1または2に記載された太陽光発電ユニット。
【請求項4】
既設の太陽電池モジュールの受光面に新設の太陽電池モジュールを設置する工程と、
前記既設の太陽電池モジュール及び前記新設の太陽電池モジュールの枠部に固定器具を取り付ける工程と、
を備えたことを特徴とする太陽電池モジュールの補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば平地や屋根等に設置される太陽電池モジュールを配列した太陽光発電ユニットと太陽電池モジュールの補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュール(太陽電池パネル)をアレイ状に配列させた太陽光発電ユニットとして例えば特許文献1に記載されたものが提案されている。この太陽光発電ユニットは架台に設けたフレームに太陽電池モジュールを配列したものであり、太陽電池モジュールの裏面に補強部材と補強用パネルを設置することでカーポートの屋根として用いている。
太陽電池モジュールは一般的に屋外に多数配列して設置されており、風雨等の自然環境にさらされたり経年劣化したりするために一部のセルが故障したりすることがあった。この場合、単位ユニットの太陽電池モジュール全体を架台から取り外して新たな太陽電池モジュールに交換することが一般的であるが、交換作業に手間とコストがかかり経済的でなかった。
【0003】
これに対し、特許文献2では太陽電池モジュールの故障したセルのカバーガラスの上に同形同大の新たなセルをシリコーン接着剤等によって固着し、そのコネクタを正常な他のセルに溶着し接続することで修理している。これによって、故障したセルを撤去することなくセルの修理ができるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−117097号公報
【特許文献2】特開2003−158286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献2に記載された太陽電池モジュールでは、故障したセルの上に設けたカバーガラスの上に交換用の新たなセルを設置してシリコーン接着剤等で接着して固定するため、取り付けに手間がかかり炎天下での作業が大変であった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、故障などした太陽電池モジュールの補修を容易に且つ短時間で行えるようにした太陽光発電ユニットと太陽電池モジュールの補修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による太陽光発電ユニットは、太陽電池モジュールを取り付けた太陽光発電ユニットにおいて、既設の太陽電池モジュールと、既設の太陽電池モジュールの受光面上に設置した新設の太陽電池モジュールと、既設の太陽電池モジュールに新設の太陽電池モジュールを固定する固定器具とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、故障等した既設の太陽電池モジュールを取り外すことなく受光面に新設の太陽電池モジュールを設置して、固定器具で既設の太陽電池モジュールと新設の太陽電池モジュールを係止させて固定することで、既設の太陽電池モジュールを交換することなく容易に新設の太陽電池モジュールを取り付けることができる。
【0008】
また、新設の太陽電池モジュールは既設の太陽電池モジュールより小さい形状とされていることが好ましい。
故障等した既設の太陽電池モジュールより小型で受光面積の小さい新設の太陽電池モジュールを既設の太陽電池モジュールの受光面上に設置することで取り付け作業が一層容易になる。
【0009】
また、固定器具は新設の太陽電池モジュールの枠部に取り付けた第一固定部と既設の太陽電池モジュールの枠部に取り付けた第二固定部とを有する固定金具であり、前記新設の太陽電池モジュールの対向する位置に設置したことを特徴とする。
既設の太陽電池モジュールの枠部と新設の太陽電池モジュールの枠部に固定金具を取り付けて固定すると共に対向する位置に固定金具を設置することで、新設の太陽電池モジュールに挟み込む方向の締め付けトルクをかけることができる。
【0010】
本発明による太陽電池モジュールの補修方法は、既設の太陽電池モジュールの受光面に新設の太陽電池モジュールを設置する工程と、既設の太陽電池モジュール及び新設の太陽電池モジュールの枠部に固定器具を取り付ける工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明による太陽光発電ユニットと太陽電池モジュールの補修方法によれば、故障や破損等した既設の太陽電池モジュールの受光面に新設の太陽電池モジュールを設置し、固定器具で既設の太陽電池モジュールと新設の太陽電池モジュールを互いに固定することで、既設の太陽電池モジュールを取り除く手間がなく簡単かつ容易に新設の太陽電池モジュールを取り付けることができる。そのため、故障した太陽電池モジュールを取り除く手間が省けて補修コストを低廉にできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第一実施形態による太陽電池モジュールを備えた太陽光発電ユニットの正面図である。
【
図2】
図1に示す太陽光発電ユニットの太陽電池モジュールの配列を示す平面図である。
【
図3】既設の太陽電池モジュールの枠部を取付部材に固定した部分の断面図である。
【
図4】故障した既設の太陽電池モジュールの上に新設の太陽電池モジュールを固定した状態を示す斜視図である。
【
図5】
図4に示す太陽電池モジュールを固定金具で固定した状態の断面図である。
【
図6】第一変形例による新設の太陽電池モジュールの固定状態を示す要部側面図である。
【
図7】第二変形例による新設の太陽電池モジュールの固定状態を示す要部断面図である。
【
図8】第二実施形態による太陽電池モジュールの枠部を取付部材に固定した部分の断面図である。
【
図9】故障した既設の太陽電池モジュールの上に新設の太陽電池モジュールを固定金具で固定した状態の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第一実施形態による太陽光発電ユニットと太陽電池モジュールの補修方法について
図1から
図5に基づいて説明する。
本発明の実施形態による太陽光発電ユニット1は、
図1及び
図2に示すように、例えば地表面等の設置面2に設置された架台3の上部に複数の太陽電池モジュール4を配列した太陽電池アレイ5を配設して構成されている。本実施形態では太陽電池アレイ5は東西方向に傾斜する傾斜面からなる板状に形成され、二組の太陽電池アレイ5は互いに傾斜方向が東方向と西方向に異なる山型または屋根型に設置されているが、同一方向に傾斜していてもよい。
【0014】
架台3は設置面2上に所定間隔で設置された基部7の上部に支持部材8がそれぞれ固定され、その上部に梁部材9が連結されている。各支持部材8は例えばトラス構造に形成されているが、支柱であってもよい。支持部材8は太陽電池アレイ5の傾斜方向に離間して例えば2組設置され、その一方は太陽電池アレイ5の下端部5a付近に設置された支持部材8Aであり、他方は太陽電池アレイ5の上端部5bよりも下端部5a側に寄った位置に設置された支持部材8Bである。梁部材9の上部には垂木をなす取付部材10がその側面に連結部材11を介して傾斜状態で固定されている。梁部材9と取付部材10は平面視で互いに直交する方向に配列されている。
【0015】
山型に形成された一対の太陽電池アレイ5及び取付部材10の傾斜姿勢に関し、各上端部5bの間にわずかな隙間がある。そして、これら各上端部5bから両側の支持部材8Bまでの間は作業者が立って歩行や保守点検作業等をできる程度の高さと横幅を有する保守スペース12を形成している。
保守スペース12において、上端部5bの高さは例えば180cm〜230cm程度、支持部材8Bの高さは例えば100cm〜150cm程度、一対の支持部材8B間の距離は例えば150cm程度である。また、下端部5aは上端部5bよりかなり高さが低く、設置面2から例えば37cm程度の高さを有している。
【0016】
そして、所定間隔で配列された取付部材10には、その上端部5bから下端部5aに向けて複数枚(
図1,2では例えば6枚)の太陽電池モジュール4がその枠部4dでねじ14によってそれぞれ取付部材10に固定されている。即ち、
図3に示すように、太陽電池モジュール4の枠部4dは断面略E字状に形成され、上部のコの字状空間で太陽電池モジュール4の受光面4bを含むセル等を嵌合し、下側のコの字状部分でねじ止めできるようになっている。
そのため、既設の太陽電池モジュール4Aは、
図3に示すように断面略コの字状の取付部材10の上部裏面から枠部4dの下面4daにねじ14を捩じ込むことで固定されている。しかも、複数枚の太陽電池モジュール4が取付部材10に縦横方向に配列固定されて太陽電池アレイ5を構成している。なお、取付部材10の上面部と枠部4dの下面4daには予め所定間隔でねじ穴が形成されているが、捩じ込み時に形成してもよい。
【0017】
また、太陽光発電ユニット1は一対の太陽電池アレイ5が取付部材10の傾斜角度に沿って東西方向に対向して設置されている。太陽電池アレイ5は、取付部材10の傾斜角度に沿って適宜角度、例えば15°の傾斜角を有しているために日中の午前午後に亘って太陽光を受光することができる。山型をなす一対の太陽電池アレイ5はその上端部5b同士がわずかな間隙を介して対向して配設されている。
【0018】
図2において、太陽電池アレイ5の一部の既設の太陽電池モジュール4が故障したものとする。故障した既設の太陽電池モジュール4を符号4Aで示す。しかも、本実施形態では、
図4に示すように、故障した太陽電池モジュール4Aの受光面4b上には新たな太陽電池モジュール4Pが取り付けられている。新たな太陽電池モジュール4Pは既設の太陽電池モジュール4Aよりも受光面積が小さく縦横方向の寸法が小さい小型のものとする。
【0019】
一般に、既設の太陽光発電ユニット1は設置後、数年〜10数年の年月が経過していずれかの太陽電池モジュール4が故障することがある。その場合、故障した太陽電池モジュール4Aの交換の時期には、技術の進歩により設置時より小さい大きさの太陽電池モジュール4Pで同程度以上の発電出力をだせるように進歩している。そのため、新設の太陽電池モジュール4Pとして故障した太陽電池モジュール4Aより縦横寸法の小さい小型のものを設置した。
【0020】
図4及び
図5はこのような新設の太陽電池モジュール4Pの取り付け構造を示すものである。この場合、故障した太陽電池モジュール4Aの受光面4b上の略中央に新設の太陽電池モジュール4Pを載置する。そして、新設の太陽電池モジュール4Pの対向する枠部4cと故障した太陽電池モジュール4Aの対向する枠部4dにはそれぞれ一対の固定金具13が嵌め込まれている。固定金具13は例えばステンレスやスチール等の金属部材からなり、その薄板形状から押圧トルクを有している。
この固定金具13は、新設の太陽電池モジュール4Pの枠部4cの上面と側面に当接する断面略L字状の第一固定部13aと、故障した太陽電池モジュール4Aの枠部4dの側面と下面4daに当接する略L字状の第二固定部13bと、第一及び第二固定部13a、13bを連結する連結部13cとで一体形成されている。
【0021】
そして、
図5に示すように、各固定金具13は、第二固定部13bの下面から故障した太陽電池モジュール4Aの枠部4dの既設のネジ穴にねじ14がねじ込まれて固定され、新設の太陽電池モジュール4Pは対向する固定金具13の第一固定部13aの弾性トルクで押圧されて挟持固定されている。
また、固定金具13の第一固定部13aにも新設の太陽電池モジュール4Pの枠部4cのネジ穴(図示せず)にねじ14を捩じ込んで固定してもよい。
【0022】
本実施形態による太陽光発電ユニット1は上述した構成を備えており、次に故障した太陽電池モジュール4Aの補修方法について説明する。
図2に示す太陽光発電ユニット1における山型をなす一対の太陽電池アレイ5の既設の太陽電池モジュール4のいずれかに故障が発生した場合、
図4に示すように、故障した太陽電池モジュール4Aの受光面4b上に新設の太陽電池モジュール4Pを設置する。
【0023】
そして、新設の太陽電池モジュール4Pの対向する両側部から各2枚の固定金具13を装着し、新設の太陽電池モジュール4Pの枠部4cと故障した太陽電池モジュール4Aの枠部4dとに第一固定部13aと第二固定部13bを嵌め込んで押圧させる。
ついで、第二固定部13bの下面から枠部4dのネジ穴にねじ14を捩じ込むことで故障した太陽電池モジュール4Aの上に新設の太陽電池モジュール4Pを固定できる。
【0024】
上述のように、本実施形態による太陽光発電ユニット1の太陽電池モジュール4Aの補修構造と補修方法によれば、故障した太陽電池モジュール4Aを交換することなく、その上に比較的小型で出力の大きい新設の太陽電池モジュール4Pを複数の固定金具13で固定することで簡単且つ低コストで太陽電池モジュール4の修理を行える。
【0025】
また、新設の太陽電池モジュール4Pは故障した既設の太陽電池モジュール4Aより小型であるため、設置高さが高くなっても周囲の正常な太陽電池モジュール4への太陽光の入射光量等に影響を与えない。特に新設の太陽電池モジュール4Pを既設の太陽電池モジュール4Aの略中央に設置すれば他の太陽電池モジュール4への入射光を遮蔽する影響は一層小さくなる。
しかも、太陽電池モジュール4の修理に際して、固定金具13をねじ14で故障した太陽電池モジュール4Aと新設の太陽電池モジュール4Pとに取り付けて一体に固定するだけであるから、接着剤等でセルを固定する場合と比較して取り付けが容易で低コストになる。
【0026】
なお、本発明は上述した実施形態による太陽光発電ユニット1に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能であり、これらはいずれも本発明に含まれる。以下に、本発明の変形例等について説明するが、上述した実施形態と同一または同様な部分や部材には同一の符号を用いて説明を省略する。
【0027】
図6は上述した実施形態の第一変形例による太陽光発電ユニット1を示すものである。
図6において、比較的小型の新設の太陽電池モジュール4Pが故障した太陽電池モジュール4Aの受光面4bに載置され、その四辺の枠部4c、4dにそれぞれ固定金具13が取り付けられている。
各固定金具13の固定に際して上述の実施形態と同様に例えば第二固定部13bの下面がねじ14で故障した太陽電池モジュール4Aの枠部4dの下面4daに固定されている。
本変形例によれば、新設の太陽電池モジュール4Pが故障した太陽電池モジュール4Aの各四辺の枠部4c、4dに固定金具13を固定するため、より堅固に固定できる。
【0028】
なお、故障した太陽電池モジュール4Aに対する小型の新設の太陽電池モジュール4Pの設置位置は必ずしも故障した太陽電池モジュール4Aの中央である必要はなく、例えばいずれか一辺または二辺の枠部4dに枠部4cを重ねて偏った位置に取り付けるようにしてもよい。
また、固定金具13は4枚に限定されるものではなく、太陽電池モジュール4の大きさに応じて適宜の枚数を取り付けできる。
【0029】
また、新設の太陽電池モジュール4Pは必ずしも故障した太陽電池モジュール4Aより小型である必要はなく、故障した太陽電池モジュール4Aと同一寸法のものでもよい。この場合、故障した太陽電池モジュール4Aの上に新設の太陽電池モジュール4Pを固定する固定金具13は断面略コの字型に形成されていればよい。
或いは、故障した太陽電池モジュール4Aの上に新設の太陽電池モジュール4Pを設置した状態で、両者の枠部4c、4dのネジ穴にねじ14をねじ込んで固定してもよい。
この場合でも、簡単且つ低コストで故障した太陽電池モジュール4Aの修理を行える。
【0030】
次に本発明の第二実施形態による新設の太陽電池モジュール4Pの固定構造について
図8及び
図9により説明する。本実施形態においても、既設の太陽電池モジュール4Aの上に新設の太陽電池モジュール4Pを固定金具20で固定した構造を有しており、本第二実施形態では枠部18,19の構成が第一実施形態と相違している。
図8は既設の太陽電池モジュール4Aの取付部材10への取り付け構造を示す要部断面図である。
図8において、既設の太陽電池モジュール4Aの枠部18は、略板状の太陽電池モジュール本体の四辺の端部を嵌合するための断面略コの字状の受け部18aと、受け部18aの下側に形成した中空枠部18bと、中空枠部18bの下面を内側に延長させたねじ挿通穴を有する載置部18cとからなる断面形状で四辺が形成されている。載置部18cは取付部材10の上に設置され、取付部材10の上面部の裏側から載置部18cにねじ14を締め込むか、或いはナット15に締め込むことで固定されている。
【0031】
図9では、故障した太陽電池モジュール4Aの受光面4b上の略中央に比較的小型の新設の太陽電池モジュール4Pを載置している。新設の太陽電池モジュール4Pの枠部19は枠部18と同一構成を備えており、両太陽電池モジュール4A,4Pを区別するために別の符号を用いた。枠部19は受け部19a、中空枠部19b、載置部19cを有している。
新設の太陽電池モジュール4Pの対向する枠部19と故障した太陽電池モジュール4Aの対向する枠部18にはそれぞれ固定金具20が嵌め込まれている。この固定金具20は、新設の太陽電池モジュール4Pの枠部19の受け部19a及び中空枠部19bに当接する断面略L字状の第一固定部20aと、故障した太陽電池モジュール4Aの枠部18の受け部18a及び中空枠部18b及び載置部18cに当接する略L字状の第二固定部20bと、第一及び第二固定部20a、20bを連結する連結部20cとで一体形成されている。
【0032】
そして、各固定金具20は、第二固定部20bの下面から故障した太陽電池モジュール4Aの枠部18の載置部18cに形成したネジ穴にねじ14がねじ込まれて固定されている。新設の太陽電池モジュール4Pは対向する固定金具20の第一固定部20aで上面と側面を押え込まれて挟持され、固定されている。新設の太陽電池モジュール4Pはその下側に設置した既設の太陽電池モジュール4Aの枠部18を介して取付部材10に固定されている。
【0033】
なお、本発明による太陽光発電ユニット1は東西方向に傾斜面が向くように設置したが、これに代えて南北方向に設置してもよい。
また、上述した実施形態では、固定器具として固定金具13を設けたが、これに限定されることなくねじ14、樹脂製固定具等を用いてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 太陽光発電ユニット
3 架台
4 太陽電池モジュール
4A 故障した太陽電池モジュール
4P 新設の太陽電池モジュール
4c、4d、18,19 枠部
5 太陽電池アレイ
8,8A,8B 支持部材
10 取付部材
13、20 固定金具
14 ねじ