(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
可撓性シートから形成され、胴部、天面部及び底面部を有する容器本体部と、該容器本体部の天面部から突出し、キャップが脱着自在に螺合されたスパウトとを備えたスパウト付パウチ容器であって、
前記スパウトの前記天面部から離間した位置における周方向の一部に、前記キャップの外周面より外方に突出した係合凸部を有しており、
内容物の排出後に折り畳んだ前記容器本体部の一部を、前記係合凸部と前記天面部との間に形成された係合凹部に係合させることにより、その折り畳み状態を維持可能になされている、スパウト付パウチ容器。
前記スパウトは、一対の環状張り出し部を有し、一方の環状張り出し部の周方向の一部に、該周方向における他の部分より大きく突出した部分を有し、該部分により前記係合凸部が形成されている、請求項1に記載のスパウト付パウチ容器。
前記スパウトは、その周方向において前記係合凸部が前記キャップの外周面よりも突出している角度範囲が、10°以上180°以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載のスパウト付パウチ容器。
前記スパウトは、筒状のスパウト部と該スパウト部の外周部から外方に延出したフランジ部とを有するスパウト形成部材のスパウト部から形成されており、前記係合凹部が、前記係合凸部と、前記フランジ部により補強された前記天面部との間に形成されている、請求項1〜4の何れか1項に記載のスパウト付パウチ容器。
平坦状態とした前記容器本体部においては、前記スパウトが、平坦状態とした前記胴部の平坦面に対して垂直な方向に突出している、請求項1〜5の何れか1項に記載のスパウト付パウチ容器。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
本発明の第1実施形態のスパウト付パウチ容器1(以下「パウチ容器1」ともいう)は、
図1に示すように、可撓性シートから形成され、胴部2d、天面部2t及び底面部2bを有する容器本体部2と、容器本体部2の天面部2tから突出するスパウト3とを備えている。
図1には、キャップ4が、スパウト3から分離されている状態を示したが、本実施形態のパウチ容器1においては、
図3及び
図4に示すように、スパウト3に、キャップ4が螺合されている。
【0010】
容器本体部2は、
図1に示すように、天面シート部21、正面シート部22、背面シート部23及び底面シート部24を有しており、天面シート部21により、スパウト3が突出する容器本体部2の天面部2tが形成され、正面シート部22及び背面シート部23により、容器本体部2の筒状の胴部2dが形成され、底面シート部24により、容器本体部2の底面部2bが形成されている。
容器本体部2は、幅方向Xの両端部に、正面シート部22の両側縁部22s,22sと背面シート部23の両側縁部23s,23sとが接合された一対のサイドシール部S,Sを有している。
【0011】
背面シート部23は、
図2(b)に示すように、胴部2dを形成する長方形状の胴部形成部23dと、胴部形成部23dから上方に延出した上方部23uとを有している。正面シート部22も、同様に、胴部2dを形成する長方形状の胴部形成部22dと、胴部形成部22dから上方に延出した上方部22uとを有している(
図1参照)。
正面シート部22及び背面シート部23は、胴部形成部22d,23dにおける両側縁部どうしが互いに接合されて筒状の胴部2dを形成している。
正面シート部22及び背面シート部23は、胴部2dを形成する相対向する2枚のシート部を便宜上区別したものであり、好ましくは、
図2に示すように、容器本体部2の平坦状態においてスパウト3が突出している側を正面シート部側、平坦状態においてスパウトが突出していない側を背面シート部側とする。
【0012】
容器本体部2の天面部2tを形成する天面シート部21は、正面シート部22の上方部22uと、背面シート部23の上方部23uとの間に固定されている。より詳細には、正面シート部22の上方部22uの縁部22tと、天面シート部21の正面シート部側の半部の縁部21sとが接合され、背面シート部23の上方部23uの縁部23tと、天面シート部21の背面シート部側の半部の縁部21s’とが接合されている。そして、それにより、容器本体部2の上部に、正面側上部シール部S2及び背面側上部シール部S3が形成されている。正面側上部シール部S2及び背面側上部シール部S3は、
図1に示すように、容器本体部2の内部に内容物が収容されている状態(以下「内容物収容状態」ともいう)において、パウチ容器1の幅方向Xにおける中央に位置する部分が、その両側に位置する傾斜した部分より上方に位置している。
【0013】
容器本体部2は、パウチ容器1を自立可能とする底部を形成する底部形成部27を有している。本実施形態のパウチ容器1において、底部形成部27は、正面シート部22、背面シート部23、及び正面シート部22と背面シート部23との間に配された底面シート部24から構成されている。底面シート部24は、長方形状を有しており、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、容器本体部2の平坦状態においては、正面シート部22と背面シート部23との間の中央部にパウチ容器1の幅方向Xに沿う折り線24cが形成されるように2つ折りされている。容器本体部2の平坦状態とは、内容物を排出した後に、容器本体部2の胴部2dを平坦な板状にした状態をいう。
底部形成部27に位置するサイドシール部S,Sのそれぞれにおいては、2つ折りされた底面シート部24の長手方向の両端部24s,24sが、正面シート部22の両側縁部22s,22sと背面シート部23の両側縁部23s,23sとの間に挟持された状態で一体化されている。このように、正面シート部22と背面シート部23とが、底部で互いに接合されていることにより、パウチ容器1が自立可能となる。
【0014】
容器本体部2の幅方向Xにおける一対のサイドシール部S,S間には、正面シート部22と底面シート部24とが接合された正面側下部シール部S4と、背面シート部23と底面シート部24とが接合された背面側下部シール部S5とが形成されている。正面側下部シール部S4においては、底面シート部24の折り線24cより正面側の部分と正面シート部22とが接合されており、背面側下部シール部S5においては、底面シート部24の折り線24cより背面側の部分と、背面シート部23とが接合されている。
【0015】
第1実施形態のパウチ容器1における容器本体部2は、このように、天面シート部21、正面シート部22、背面シート部23及び底面シート部24の各部が接合されることによって袋状に形成されており、内部に内容物5を収容可能な収容部25が形成されている。本実施形態のパウチ容器1は、容器本体部2が、可撓性シートからなるパウチ容器である。本発明のパウチ容器は、自立可能なものに限られないが、本実施形態のパウチ容器1は、少なくとも内容物収容状態において自立可能な容器である。
【0016】
第1実施形態のパウチ容器1は、前述した構成の容器本体部2、その容器本体部2の天面部2tから突出するスパウト3、及び該スパウト3に脱着自在に螺合されたキャップ4を備えている。
スパウト3は、
図4に示すように、容器本体部2の天面部2tに、合成樹脂製のスパウト形成部材30を固着することにより形成されており、内容物収容状態においては、スパウト3は、天面シート部21の中央部から上方に向かって突出している。
スパウト形成部材30は、
図4及び
図5に示すように、容器の内外を連通する筒状のスパウト部31と、スパウト部31の下端部における外周部から外方に延出した環状のフランジ部34とを有している。スパウト部31は、上下端が開口した円筒状をなしている。
【0017】
容器本体部2は、
図4に示すように、天面シート部21からなる天面部2tに、スパウト形成部材取付用の貫通孔21aを有しており、上述したスパウト形成部材30は、前述したスパウト部31を貫通孔21aに挿通させ、天面シート部21の下面にフランジ部34の上面を接合することによって、容器本体部2に固着されている。
【0018】
パウチ容器1のスパウト3は、
図4及び
図5に示すように、外周面3a、スパウト3の注出口の周縁部を形成する上端部3b、及び内周面3cを有している。
また、スパウト3の外周部には、キャップ4を脱着自在に螺合可能とするための螺条35が設けられており、キャップ4の周壁部41の内面には、該螺条35に対応する螺条43が設けられている。キャップ4は、周壁部41及び平面視円形状の天面部42を有している。
【0019】
また、スパウト3の外周部における螺条35の形成部位より下方に、上下2段の環状張り出し部36,37が設けられている。上下2段の環状張り出し部36,37は、パウチ容器1の製造ラインやパウチ容器1に内容物を収容する内容物入りパウチ容器1を製造する製造ライン等において、環状張り出し部36,37どうし間を把持して移動させることで、パウチ容器1の工程間の受け渡しを容易とするために設けられたものである。
【0020】
本実施形態のパウチ容器1においては、
図3及び
図4に示すように、スパウト3の天面部2tから離間した位置における周方向の一部に、キャップ4の外周面4aより外方に突出した係合凸部38を有している。より具体的には、前述したパウチ容器1の把持用の一対の環状張り出し部36,37のうちの一方である下段の環状張り出し部37の周方向の一部に、該周方向における他の部分より大きく突出した部分を有し、該部分により、外周面4aより外方に突出した係合凸部38が形成されている。そして、係合凸部38と天面部2tとの間に係合凹部39が形成されている。係合凹部39は、
図9に示すように、折り畳んだ容器本体部2Dの一部が係合し、その折り畳み状態が維持される。
【0021】
上下2段の環状張り出し部36,37及び螺条35は、何れも、スパウト3の外周面3aから、スパウト3の中心軸Lに直交する方向の外方に向かって突出している。スパウト形成部材30のフランジ部34は、スパウト部31の下端部から水平方向に張り出すようにスパウト部31に連設されている。
図5に示すフランジ部34は、平面視略矩形の環状の板状体であるが、フランジ部34の形態は任意に変更できる。
【0022】
容器本体部2を構成する各シート部間の接合や、容器本体部2にフランジ部34を固着する接合の方法としては、ヒートシール、超音波シール、高周波シール等による融着、接着剤による接着等の各種公知の方法を用いることができる。なお、パウチ容器1やスパウト3に関し、上側や上方は、
図1に示すように、パウチ容器1を、天面部2tを鉛直上側、底面部2bを鉛直下側に配置した状態において、鉛直上側や鉛直上方である。パウチ容器1の幅方向Xは、パウチ容器1を、正面シート部22側又は背面シート部23側から視たときの左右方向である。
【0023】
本実施形態のパウチ容器1は、例えば、
図6に示すように、被詰め替え容器10に内容物5を再充填又は補充するための詰め替え容器として好ましく用いられる。被詰め替え容器10としては、例えば、注出ノズル付のキャップを備えた注出容器等が挙げられる。また、パウチ容器1に収容される内容物5は、液体でも粉体でも良く、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアリンス等の液状のヘアケア剤、ボディソープやハンドソープ等の液体石鹸、衣類や食器用の液体洗剤、柔軟剤や漂白剤、バストイレや床洗浄用の液体洗浄剤、液状の化粧品、液状の医薬品等が挙げられる。
【0024】
第1実施形態のパウチ容器1は、内容物5を排出させた後に、容器本体部2を、
図2(a)及び
図2(b)に示すような平坦状態とすることができる。
図2(a)及び
図2(b)に示す容器本体部2の平坦状態においては、スパウト3が、平坦状態とした胴部2dの平坦面に対して垂直な方向に突出しており、スパウト3の外周部に形成された係合凸部38は、容器本体部2の下方に向かって突出している。スパウト3が、胴部2dの平坦面に対して垂直な方向に突出という表現は、スパウト3の中心軸Lが、胴部2dの平坦面に対して厳密に垂直であることを意味せず、スパウト3の中心軸Lが、胴部2dの平坦面の法線に対して0°超15°以下程度傾斜していても良い。また、第1実施形態のパウチ容器1における正面シート部22及び背面シート部23は、筒状の胴部2dを形成する胴部形成部22d,23dと該胴部形成部から上方に延出した上方部22u,23uとを有しており、容器本体部2を平坦状態としたときに、正面シート部22又は背面シート部23の上方部22u,23uと天面シート部21の本体容器部側の部分とが、正面シート部22又は背面シート部23の胴部形成部22d,23dに重ね合わされたフラップFを形成している。
【0025】
本実施形態のパウチ容器1においては、前述した通り、下段の環状張り出し部37の一部が大きく突出して、係合凸部38が形成されている。係合凸部38は、
図4に示すように、スパウト3の外周部における、容器本体部2の天面部2tから離間した位置に形成されており、天面部2tと係合凸部38との間に係合凹部39が形成されている。本実施形態において、係合凸部38は、スパウト3の中心軸Lに直交する平面と平行に突出しているが、先端に向かうにつれて天面部2tに近づくように傾斜していることも好ましい。
【0026】
第1実施形態のパウチ容器1においては、平坦状態の容器本体部2を、
図7に示すように、下端側から複数回折り曲げて折り畳み、その折り畳んだ容器本体部2Dの一部を、
図9に示すように、係合凹部39に係合させることが可能になっており、それにより、容器本体部2Dの折り畳み状態が維持されるようになっている。
【0027】
第1実施形態のパウチ容器1によれば、内容物の排出後に、容器本体部2を複数回折り曲げて折り畳み、その折り畳んだ容器本体部2Dの一部を、係合凹部39に挿入して係合させるだけで、その折り畳み状態を維持できるので、パウチ容器1を、容易にコンパクトな形態とすることができるとともに、そのコンパクトな形態を維持したまま廃棄することができる。また、容器本体部2を折り畳んだ状態を維持するために、輪ゴムや紐、テープ等の固定部材を用いる必要がないため、固定部材を用意したり、固定部材で固定する作業も不要であり、コンパクトな形態にして廃棄することが容易である。コンパクトな形態として廃棄することは、例えばゴミの保管場所の低減やゴミの減容等に寄与する。
【0028】
また、第1実施形態のパウチ容器1によれば、
図3に示すように、スパウト3が、その周方向の一部のみにキャップ4の外周面4aよりも外方に突出した係合凸部38を有するため、キャップ4を回転させてスパウト3から外す際に、係合凸部38が邪魔にならず、キャップ4をスムーズに取り外すことができる。
また、従来のスパウト付パウチ容器として、製造時における取扱い性を高めるためにスパウトに把持用の一対の環状張り出し部を設けたものは知られているが、その環状張り出し部は、キャップ4の外周面4aからは突出しないものが一般的である。
これに対して、第1実施形態のパウチ容器1のスパウト3に設けた係合凸部38は、キャップ4の外周面4aよりも外方に突出しているため、折り畳んだ容器本体部2Dの形状や、折り畳んだ容器本体部2Dとスパウト3の外周面3aとの間の距離に多少の差があったとしても、係合凸部38と天面部2tとの間に形成された係合凹部39に、折り畳まれた容器本体部2Dの一部を一層確実に係合させることができ、また折り畳み状態の維持の安定性にも優れている。
【0029】
また、第1実施形態のパウチ容器1によれば、環状張り出し部37が、スパウト3の周方向の一部のみに係合凸部38を有するため、一対の環状張り出し部36,37を利用して、パウチ容器1を移動させる際に、把持部材や支持部材が、係合凸部38に接触しにくくなる。
【0030】
第1実施形態のパウチ容器1においては、
図3に示すように、スパウト付パウチ容器をキャップの上方から視たときに、スパウト3の中心軸Lを挟んで相対向する位置に、一対の係合凸部38が形成されており、一方の係合凸部38は、スパウト3の中心軸Lと正面シート部22とを最短距離で結ぶ直線L1と重なっており、他方の係合凸部38は、スパウト3の中心軸Lと背面シート部23とを最短距離で結ぶ直線L2と重なっている。
前記直線L1と重なる位置及び前記直線L2と重なる位置に、係合凸部38を有することで、
図6に示すような折り畳み方をしたときに、係合凸部38と天面部2tとの間に位置する係合凹部39に、折り畳まれた容器本体部2Dの一部を係合させることが容易になる。なお、直線L1と重なる係合凸部38は、該直線L1に直交する第2直線L3と重なっておらず、直線L2と重なる係合凸部38は、該直線L2に直交する第2直線L3と重なっていない。
【0031】
スパウト3は、その周方向において係合凸部38,38がキャップ4の外周面4aよりも突出している角度範囲(θ1+θ2,
図3参照)が、キャップ4の回し易さと折り畳まれた容器本体部2Dの折り畳み形状の維持安定性との両立の観点から、好ましくは10°以上、より好ましくは30°以上であり、また好ましくは180°以下、より好ましくは120°以下であり、また好ましくは180°以下10°以上、より好ましくは120°以下30°以上である。ここでいう角度範囲は、本実施形態のパウチ容器1のように、周方向に複数の係合凸部38,38を有する場合は、個々の角度範囲の合計である。
また、スパウト3は、その周方向において個々の係合凸部38がキャップ4の外周面4aよりも突出している角度範囲(θ1又はθ2,
図3参照)は、好ましくは10°以上、より好ましくは30°以上であり、また好ましくは90°以下、より好ましくは60°以下であり、また好ましくは90°以下10°以上、より好ましくは60°以下30°以上である。
【0032】
また係合凸部38は、キャップ4の外周面4aよりも突出する長さL8(
図3参照)が、キャップ4の外径に対して、好ましくは4.0%以上、より好ましくは8.0%以上であり、また好ましくは20%以下、より好ましくは12%以下であり、また好ましくは4.0%以上20%以下、より好ましくは8.0%以上12%以下である。
またまた係合凸部38は、キャップ4の外周面4aよりも突出する長さL8(
図3参照)が、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは2.0mm以上であり、また好ましくは5.0mm以下、より好ましくは3.0mm以下であり、また好ましくは1.0mm以上5.0mm以下、より好ましくは2.0mm以上3.0mm以下である。
【0033】
第1実施形態のパウチ容器1においては、容器本体部2を、
図2(a)及び
図2(b)に示すように平坦状態としたときに、該容器本体部2は、該容器本体部2の下部に、正面シート部22と背面シート部23との間に底面シート部24が折り込まれた積層領域27を有している。積層領域27は、前述した底部形成部27における正面シート部22と背面シート部23との間に底面シート部24に折り畳まれた状態で介在しているものであり、平坦状態とした底部形成部27である。従って、積層領域27には、底部形成部27と同一の符号27を付してある。
【0034】
そして、第1実施形態のパウチ容器1においては、平坦状態の容器本体部2の下端aから積層領域27の上端bまでの高さLT(mm)と、平坦状態の容器本体部2の下端aから係合凹部39の底部(スパウト3の外周面3aに同じ)までの最短距離LM(mm)が、以下の関係式を満たしていることが好ましい。
LM=LT×(N+1)+3〜7mm×N ・・・(1)
(但し、Nは、2以上5以下の自然数である)。
Nは、積層領域27を芯部として折り曲げる回数であり、前記高さLT及び前記最短距離LMが、前記の関係式(1)を満たしていると、
図7に示すように、積層領域27を芯部として、容器本体部2をN回、折り曲げて折り畳んだときに、N回折り曲げて折り畳んだ容器本体部2Dの一部を、係合凹部39に係合させ易くなる。
【0035】
図7は、Nが4のときに、LT及びLMが上記の関係式(1)を満たす例を示したもので、積層領域27を芯部として、容器本体部を4回折り曲げて折り畳んだときに、折り畳んだ状態の容器本体部2Dの端部が、係合凹部39と略同じ位置に位置し、該端部を係合凹部39に係合させ易くなる。
図8は、Nが3のときに、LT及びLMが上記の関係式(1)を満たす別の例を示したもので、積層領域27を芯部として、容器本体部を3回折り曲げて折り畳んだときに、折り畳んだ状態の容器本体部2Dの端部が、係合凹部39と略同じ位置に位置し、該端部を係合凹部39に係合させ易くなる。
なお、
図7中の一点鎖線B1〜B4及び
図8中の一点鎖線B1〜B3は、平坦状態の容器本体部2を、積層領域27を芯部として折り曲げるときの折り線の大まかな位置を示すものである。
Nが2又は5のときに、前記高さLT及び前記最短距離LMが、上記の関係式(1)を満たすようにしても、同様の効果が奏される。なお、上記の芯部とは、平坦状態の容器本体部2を折り曲げる際の最初の折り曲げ片であり、容器本体部2の幅方向Xに延びる芯部の両端縁a,bに沿って容器本体部2を交互に折り曲げながら巻形状を形成していく。
【0036】
前記高さLTは、折り畳み性とパウチ容器1の自立安定性の観点から、好ましくは25mm以上35mm以下である。また、容器本体部2を折り畳むための折り曲げ回数Nは、折り畳み性とパウチ容器1の自立安定性の観点から、好ましくは2以上4以下であり、より好ましくは3又は4、更に好ましくは3である。
【0037】
また、第1実施形態のパウチ容器1は、天面部2tから係合凸部38の下面までの距離tが3〜8mmである。距離tが3〜8mmであると、2〜5回、好ましくは2〜4回折り曲げて折り畳んだ容器本体部2の厚みが、天面部2tと突出部37との間に形成される係合凹部39に係合させ易い厚みとなり、折り畳んだ容器本体部2を、係合凹部39に係合させることが一層容易となり、また容器本体部2の折り畳み状態が一層安定に維持される。
【0038】
容器本体部2の平坦状態においては、天面シート部21は、正面シート部22及び背面シート部23のいずれかの天面部側、より詳細には、上方部22u又は23uを折り曲げながら、正面シート部22の胴部形成部22d又は背面シート部23の胴部形成部23dと積層状態となっていることが好ましい。即ち、天面シート部21は平坦な状態で、折り曲げられた正面シート部22又は背面シート部23と同じ平坦面から、スパウト3が突出した状態となっていることが好ましい。
また、本発明におけるスパウトは、係合凸部38と天面部2tとの間に、他の突出部や張り出し部を有し、係合凸部38と当該他の突出部や張り出し部との間が係合凹部39となっていても良いが、スパウト3の係合凸部38と、天面シート部21との間には、他の張り出し部やフランジ部はないことが好ましい。
【0039】
また、本実施形態のパウチ容器1におけるスパウト3は、筒状のスパウト部31と該スパウト部31の外周部から外方に延出したフランジ部34とを有するスパウト形成部材30のスパウト部31から形成されており、係合凹部39が、係合凸部38と、フランジ部34により補強された天面部2tとの間に形成されている。このため、折り畳んだ容器本体部2の一部が係合凹部39に係合した状態が一層安定に維持される。
【0040】
また、正面シート部22、背面シート部23、底面シート部24の厚さは、容器本体部2の折り畳み性を良好にする観点から、60μm以上が好ましく、より好ましくは70μm以上であり、また好ましくは250μm以下であり、より好ましくは210μm以下あり、また60μm以上250μm以下であることが好ましく、60μm以上210μm以下であることがより好ましく、70μm以上210μm以下あることがさらに好ましい。
【0041】
また、容器本体部2の折り畳み性の観点から、これらシート部22、23、24の層構成としては、ポリエチレンテレフタレートと延伸ポリアミドから選ばれる1種又は2種以上の樹脂層と直鎖低密度ポリエチレン層を備えることが好ましく、例えば、(1)ポリエチレンテレフタレート10〜15μm//蒸着ポリエチレンテレフタレート10〜15μm//延伸ポリアミド12〜17μm//直鎖低密度ポリエチレン40〜100μm、(2)延伸ポリアミド12〜20μm//直鎖低密度ポリエチレン80〜150μm、(3)延伸ポリアミド10〜20μm//蒸着ポリエチレンテレフタレート10〜15μm//直鎖低密度ポリエチレン40〜70μm、(4)ポリエチレンテレフタレート10〜15μm//蒸着ポリエチレンテレフタレート10〜15μm//延伸ポリアミド20〜30μm//直鎖低密度ポリエチレン120〜170μmが好ましい構成として挙げられる。
【0042】
次に、本発明の第2〜第5実施形態のスパウト付パウチ容器1A〜1D(以下、単にパウチ容器という)について説明する。第2〜第5実施形態の各パウチ容器1A〜1Dの容器本体部2には、複数の折り曲げ誘導部6〜9が設けられている。各パウチ容器1A〜1Dは、前記高さLT及び前記最短距離LMが、前記の関係式(1)を満たしていても良いし、満たしていなくても良い。
【0043】
折り曲げ誘導部を設ける態様としては、
図10(a)に示すパウチ容器1Aのように、容器本体部2における正面シート部22の両側の側縁部22s,22sと背面シート部23の両側の側縁部23s,23sとが接合されているサイドシール部Dおよびその近傍に、折り曲げ位置を示す目印6を、印刷やエンボス加工等の任意の表示方法により表示する方法、
図10(b)及び
図10(c)に示すパウチ容器1B,1Cのように、左右のサイドシール部D間に、直線状又は断続的な線状のエンボス線7や罫線8を設ける方法、
図10(d)に示すパウチ容器1Dのように、サイドシール部Dに、罫線9を設ける方法等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0044】
第2〜第5実施形態のパウチ容器1A〜1Dにおける折り曲げ誘導部6〜9は、平坦状態の容器本体部2を、その下端a側から各折り曲げ誘導部の位置で順次折り曲げて折り畳むことにより、該容器本体部2を、折り畳んだ容器本体部の一部を係合凹部39内に挿入可能な状態に折り畳むことができるような位置に設けてある。
これにより、容器本体部2から内容液を吐出して、容器本体部2を平坦な状態にした後に、折り曲げ誘導部6〜9を目印に、あるいは折り曲げ誘導部から折り曲げやすいために、予定した折り曲げ回数で折り曲げて畳まれた容器本体部2の一部を、係合凸部38と天面部との間に形成された係合凹部39に首尾よく係合させることが可能であり、コンパクトな状態で廃棄することができる。
【0045】
具体的には、折り曲げ誘導部は、平坦状態の容器本体部2の下端aから係合凹部39の底部(スパウト3の外周面3aに同じ)までの最短距離LM(mm)を、2〜4本の境界線で3〜5等分する際の各境界線の位置に設けることが好ましく、3本の境界線で4等分する際の3本の境界線の位置に設けることが好ましい。さらに好適には、折り曲げ予定回数N×3〜7mmを、前記最短距離LM(mm)から除いて3〜5等分した長さLT2について、正面シート部22及び/又は背面シート部23の下端aから天面シート部21までの高さ方向Yに、LT2の高さごとに折り曲げ誘導部6〜9を設けることが好ましく、少なくとも下端aからLT2の高さに折り曲げ誘導部6〜9を設けることが好ましい。
【0046】
第1〜第5実施形態のパウチ容器1,1A〜1Dにおいては、容器本体部2を平坦にした状態では、天面シート部21の容器本体部2側は正面シート部22あるいは背面シート部23と重なりあったフラップF(
図2(a)参照)を形成している。フラップFは、容器本体部2を折り曲げながら折り畳んだときに、折り畳まれた容器本体部2に対してスパウト3の係合凸部38に係止した状態で、係止を解除させる反発力を与える観点から、スパウト3の外周面3aから天面シート部21の外縁までの最短距離Lfは、底面シート部24が折り込まれた底面シート部積層領域の高さLTの長さの25%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、容器本体部2の折り曲げ性の観点から、前記高さLTの長さよりも短いことが好ましく、前記高さLTの長さの70%以下であることがより好ましく、前記高さLTの長さの60%以下であることがさらに好ましい。
【0047】
スパウト3及びスパウト形成部材30は、合成樹脂製であることが好ましい。またスパウト形成部材30におけるスパウト部31とフランジ部34とは、合成樹脂の射出成形等により一体成形されていることが好ましい。スパウト3及びスパウト形成部材30を構成する合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP)、ポリブテン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ乳酸等が挙げられる。キャップ4も合成樹脂製であることが好ましい。スパウト3及びキャップ4は、それぞれ、合成樹脂製であることが好ましいが、アルミ等の金属やセラミックス製であってもよい。
また、容器本体部を形成する可撓性シートとしては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成樹脂又はこれらの組み合わせからなる単層又は多層のフィルムや積層シート、又はこれらにアルミニウム等の金属蒸着層を付加した積層シート等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0048】
本発明のスパウト付パウチ容器は、上述した各実施形態に制限されず、適宜変更可能である。
例えば、スパウト付パウチ容器は、前記高さLT及び前記最短距離LMが、前記の関係式(1)を満たしておらず、且つ第2〜第5実施形態のパウチ容器1A〜1Dにおけるような折り曲げ誘導部6〜9を有しないものであっても良い。
また、係合凸部38は、スパウト3の周方向における1箇所のみに形成されていても良い。例えば、スパウト付パウチ容器をキャップの上方から視たときに、正面シート部22側と背面シート部23側の何れか一方の側のみに係合凸部を有していても良い。
【0049】
また、スパウト3の周面部に形成された上下2段の環状張り出し部のうち、上段の環状張り出し部36の周方向の一部に、該周方向における他の部分より大きく突出した部分を有し、該部分により係合凸部が形成されていても良い。また上下2段の環状張り出し部のそれぞれに、周方向における他の部分より大きく突出した部分を形成し、上下2段の環状張り出し部のそれぞれにキャップ4の外周面より突出した係合凸部を形成しても良い。その場合、上段の係合凸部と下段の係合凸部との間に係合凹部が形成されていても良く、その係合凹部も、係合凸部と天面部との間に位置しており、本発明の係合凹部である。
また係合凸部38の形状は、
図3に示すようは平面視して略台形状のものに代えて、扇形、矩形状、半円状、三角形状等の任意の形状とすることができ、
図11(a)又は
図11(b)に示す係合凸部38のような形状とすることもできる。
図11(a)及び
図11(b)は、それぞれ、スパウトの中心軸Lに直交する平面によるスパウトの断面図であり、係合凸部38を、その下側から視た状態が示されている。
また、スパウトは、環状張り出し部を有していないものであっても良い。すなわち、係合凸部38は、環状張り出し部の一部が大きく突出して形成されているものに代えて、スパウトの筒状の外周面から直接突出した凸部を設け、該凸部の一部が、係合凸部を形成するようにしても良い。
【0050】
また、スパウト3の係合凸部38と天面部2tとの間の外周面3aは、スパウトの中心軸に直交する断面の形状が円形でなくても良く、上下2段の環状張り出し部36,37間の外周部のように一対又は二対の平面部を有していても良い。またスパウト3の係合凸部38と天面部2tとの間の外周面3aは、折り畳まれた容器本体部2が係合する正面シート部に近い部分のみに平面部を有していても良い。
【0051】
また、スパウト3の軸方向において、キャップ4は、その周壁部41の外径が一定でなくても良い。キャップ4の高さ方向において、その周壁部41の外径が異なる場合、係合凸部38は、キャップ4の下端部における外周面より突出している。なお、開封前のキャップ4は、開封時に分離されるピルファープルーフ用の環状片が一体成形等により一体化されていても良い。開封後に、キャップ4から分離される部分は、キャップ4の一部とはしないが、係合凸部38は、ピルファープルーフ用の環状片の外表面よりも外方に突出していることが好ましい。