(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スペーサの前記支持部が、前記内部シール部材を前記電子基板側から係止して、前記内部シール部材の前記延伸方向に沿う移動を規制する請求項5に記載のレセプタクルコネクタ。
前記スペーサの前記支持部は、前記面部から前記延伸方向に沿い前記プラグコネクタ側に円柱状に突出する請求項1から6のいずれか一項に記載のレセプタクルコネクタ。
撮像素子と、前記撮像素子を駆動制御すると共に前記撮像素子から出力された映像信号を処理する電子回路と、前記撮像素子へ集光するレンズを備えた光学系と、を有する電子基板と、
請求項1から7のいずれか一項に記載のレセプタクルコネクタと、を備え、
前記電子回路を前記信号端子に電気的に接続し、前記電子基板を前記スペーサの前記面部に載置したカメラユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記レセプタクルコネクタに、上記例示したような付加機能を追加する場合、レセプタクルコネクタの構造が複雑になる場合があるため問題である。
【0007】
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、たとえば載置性や組み立て容易性などの付加機能を備えた、簡易な構造のレセプタクルコネクタ、およびカメラユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係るレセプタクルコネクタの特徴構成は、
延伸方向においてプラグコネクタと嵌合可能であり、プラグコネクタ側と電子基板側との間で信号を伝送する複数の信号端子と、
前記延伸方向に沿う円柱状であり、複数の前記信号端子を前記延伸方向に貫通させて保持する絶縁体のホルダと、
前記ホルダの径方向における外周を覆う筒状で導電性の第一シェルと、
前記第一シェルが収容された前記延伸方向に沿う円筒空間を有する非導電性のコネクタケースと、を備えたレセプタクルコネクタであって、
前記延伸方向に直交する面部を有するスペーサを備え、
前記面部は、前記信号端子が貫通する複数の挿通孔を有する支持部と、前記支持部を支持する梁部と、前記面部から前記延伸方向に沿い前記プラグコネクタ側に突出し、前記径方向に沿った弾性力を有するスペーサ係合爪と、を備え、
前記第一シェルは、前記コネクタケースに対して固定されており、
前記第一シェルは、前記第一シェルの前記径方向の外周面に前記スペーサ係合爪が係合するスペーサ係合凹部を備え、前記延伸方向の電子基板側の端部に前記梁部と係合する係合溝を備え、
前記スペーサは前記コネクタケースに対し、前記スペーサ係合爪と前記スペーサ係合凹部との係合により前記延伸方向に沿う移動が規制され、前記梁部と前記係合溝との係合により、前記延伸方向に沿う軸を回転軸とした回転が規制され、
前記スペーサは、複数の前記挿通孔に前記信号端子を貫通させた状態で、前記コネクタケースに対する前記ホルダの回転を規制する点にある。
【0009】
上記構成によれば、ホルダが、信号端子を、当該信号端子の延伸方向の中央部で保持した状態(すなわち、当該信号端子の両端部分を露出した状態)にある。そして、ホルダは、信号端子を保持した状態で、例えば第一シェルの筒の内側に挿入されるなどして、第一シェルに覆われる。
そのため、信号端子は、ホルダに保持された状態で、導電性の第一シェルの筒の部分と信号端子の径方向視で重複し、当該重複部分において径方向からの電気的ノイズ(電磁波)から遮蔽された状態となる。この状態で、信号端子およびホルダは、第一シェルを介してコネクタケースに収容されて、レセプタクルコネクタとして機能する。
スペーサの面部は、例えばカメラユニットを形成するための電子基板をレセプタクルコネクタに載置するために用いることが出来る。スペーサの面部により、電子基板を容易にレセプタクルコネクタに載置できる。
【0010】
このレセプタクルコネクタにおいて、複数の信号端子を貫通させて保持するホルダと、信号端子が貫通する複数の挿通孔を有する支持部を備えたスペーサとは、それぞれ互いに複数の信号端子で係合する。具体的には、ホルダとスペーサとは、それぞれ互いに、信号端子の延伸方向に沿う軸を回転軸とした回転が規制される関係になる。
【0011】
そして、スペーサは、スペーサ係合爪とスペーサ係合凹部との係合により、コネクタケースに対する延伸方向に沿う移動が規制され、スペーサは、コネクタケースに対し、延伸方向において固定される。また、スペーサは、スペーサの梁部とコネクタケースに対して固定された第一シェルの係合溝との係合により、コネクタケースに対する延伸方向に沿う軸を回転軸とした回転が規制され、スペーサは、コネクタケースに対し、延伸方向に沿う軸を回転軸とした回転を不能とされる。
その結果、ホルダの回転を規制するスペーサは、ホルダのコネクタケースに対する、信号端子の延伸方向Lに沿う軸を回転軸とした回転を規制するのである。
したがって、上記のようなスペーサを用いて、上記のように信号端子とホルダと第一シェルとをそれぞれ係合させるという簡易な構造で、ホルダおよび信号端子を確実に位置決めして、使用時に信号端子の位置がずれる様な場合を回避(例えば短絡などの事故を回避)し、高い安全性を提供することが出来るという付加機能を備えたレセプタクルコネクタを提供できる。
【0012】
本発明に係るレセプタクルコネクタの更なる特徴構成は、
前記第一シェルが貫通する開口部を備えた導電性の底部を有する第二シェルを備え、
前記スペーサは、前記第二シェルに対して前記電子基板側に配置され、
前記スペーサは、前記第二シェルが前記開口部に前記第一シェルを貫通させた状態で、前記第二シェルを、前記コネクタケースとの間に挟み込み、前記第二シェルの前記延伸方向に沿う移動を規制する点にある。
【0013】
上記構成によれば、第二シェルはその開口部に第一シェルを貫通させているため、第二シェルは信号端子の延伸方向と交錯する。したがって、導電性の第二シェルの底部は、延伸方向において電気的ノイズを遮蔽するように機能する。そして、このようなノイズ遮蔽能を有する第二シェルを、スペーサでコネクタケースとの間に挟み込むという簡易な構造および組み立て方法で、レセプタクルコネクタに取り付けることが出来る。
したがって、ノイズの遮蔽能と組み立て容易性という付加機能とを備えた、簡易な構造のレセプタクルコネクタを提供できる。
【0014】
本発明に係るレセプタクルコネクタの更なる特徴構成は、
前記面部は、前記面部の周囲から屈曲して前記延伸方向に沿い前記プラグコネクタ側に延出するスペーサ壁を備え、
前記スペーサ壁の前記プラグコネクタ側の端部が、前記第二シェルを前記電子基板側から係止して、前記第二シェルの前記延伸方向に沿う移動を規制する点にある。
【0015】
上記構成によれば、スペーサ壁のプラグコネクタ側の端部で第二シェルを係止して、第二シェルの延伸方向に沿う移動、すなわち、プラグコネクタ側への移動を防ぎ、第二シェルが電子基板側から抜け落ちることを簡易な構造で回避することができる。
【0016】
本発明に係るレセプタクルコネクタの更なる特徴構成は、
前記第一シェルの前記径方向における外側に、前記第一シェルと前記コネクタケースとの間を前記延伸方向で封止する円環状の外部シール部材を備え、
前記底部は、前記外部シール部材を、前記コネクタケースとの間に挟み込み、前記外部シール部材の前記延伸方向に沿う移動を規制する点にある。
【0017】
上記構成によれば、ネクタケースの内周面と第一シェルとの間が、外部シール部材で封止され、プラグコネクタ側から電子基板側へ水が浸入するのを防止するという防水機能を提供できる。そして、この外部シール部材を、第二シェルの底部とコネクタケースとの間に挟み込む態様、すなわち、第二シェルの底部で電子基板側からプラグコネクタ側に向けて係止するという簡易かつ組み立て容易な構造で、外部シール部材の装着を確実ならしめることが出来る。
【0018】
本発明に係るレセプタクルコネクタの更なる特徴構成は、
前記第一シェルの前記径方向における内側に、前記第一シェルの内部を前記延伸方向で封止する円柱状の内部シール部材を備え、
前記スペーサは、前記内部シール部材を、前記ホルダとの間に挟み込み、前記内部シール部材の前記延伸方向に沿う移動を規制する点にある。
【0019】
上記構成によれば、第一シェルと内部シール部材との間が内部シール部材で封止され、プラグコネクタ側から電子基板側への水の浸入を防ぐ(防水する)という防水機能を提供できる。そして、この内部シール部材を、スペーサとホルダとの間に挟み込むという簡易かつ組み立て容易な構造で、内部シール部材の装着を確実ならしめることが出来る。
【0020】
本発明に係るレセプタクルコネクタの更なる特徴構成は、
前記スペーサの前記支持部が、前記内部シール部材を、前記電子基板側から係止して、前記内部シール部材の前記延伸方向に沿う移動を規制する点にある。
【0021】
上記構成によれば、支持部で内部シール部材の電子基板側の面を係止して、内部シール部材が電子基板側に移動することを防止することができる。その結果、内部シール部材が電子基板側から抜け落ちることを簡易な構造で回避することができる。
【0022】
本発明に係るレセプタクルコネクタの更なる特徴構成は、
前記スペーサの前記支持部は、前記面部から前記延伸方向に沿い前記プラグコネクタ側に円柱状に突出する点にある。
【0023】
上記構成によれば、内部シール部材を、支持部により第一シェルの筒の内側(内部)に押し込まれた配置の状態として、内部シール部材の装着を確実ならしめることが出来る。
また、支持部に設けた挿通孔の延伸方向に沿う長さを長くして、信号端子の位置決めを確実ならしめることが出来る。
【0024】
上記目的を達成するための本発明に係るカメラユニットの特徴構成は、
撮像素子と、前記撮像素子を駆動制御すると共に前記撮像素子から出力された映像信号を処理する電子回路と、前記撮像素子へ集光するレンズを備えた光学系と、を有する電子基板と、
請求項1から7のいずれか一項に記載のレセプタクルコネクタと、を備え、
前記電子回路を前記信号端子に電気的に接続し、前記電子基板を前記スペーサの前記面部に載置した点にある。
【0025】
上記構成によれば、電子基板をスペーサの面部に載置するという簡易な構造で、高い安全性や、ノイズの遮蔽能、組み立て容易性、および防水性という付加機能を備えたカメラユニットを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1から
図9に基づいて、本発明の実施形態に係るレセプタクルコネクタおよびコネクタについて説明する。
【0028】
本実施形態は、
図1に模式的に示すように、電子基板の一例としてのカメラモジュール110に取り付けられて、車両に搭載されるカメラユニット100(例えば、車に載置される車載カメラ)として用いられるレセプタクルコネクタ10を例として説明する。
まず、レセプタクルコネクタ10が使用される態様について、その概略構成を説明する。
【0029】
〔レセプタクルコネクタの使用態様の概略構成〕
本実施形態に係るレセプタクルコネクタ10は、通常、レセプタクルコネクタ10と、当該レセプタクルコネクタ10のプラグコネクタ側L1(
図2参照)から挿入して接続されるプラグコネクタ120と一対で、コネクタ20として用いられる。
コネクタ20は、プラグコネクタ120に接続されるケーブル130とカメラモジュール110とを電気的に接続するために用いる。
【0030】
なお、ケーブル130は、内部導体(図示せず)を絶縁体(図示せず)で被覆した、信号を伝送し、グランド(アース)に導通し、または電力を供給する信号線ないし電力供給線であり、当該内部導体を当該絶縁体と共に被覆して、当該内部導体を、外部空間E1からの電気的ノイズから保護する電気的保護部材(いわゆる、シールド)としての外部導体(図示せず)を備える。
【0031】
コネクタ20は、具体的には例えば、ケーブル130からの信号を、カメラモジュール110に出力し、また、カメラモジュール110からの信号をケーブル130に出力する。さらに、ケーブル130から供給される駆動用の電力を、カメラモジュール110に供給する。
なお、ケーブル130で伝送される信号としては、例えば、カメラモジュール110を制御するための信号や、カメラモジュール110から受信する画像情報を含む映像の信号が挙げられる。
【0032】
〔レセプタクルコネクタの概略構成〕
レセプタクルコネクタ10の概略構成を説明する。
レセプタクルコネクタ10は、
図2に示すように、延伸方向Lにおいてプラグコネクタ120と嵌合可能であり、プラグコネクタ側L1と電子基板側L2との間で信号を伝送する4本の直線状の信号端子1と、延伸方向Lに沿う円柱状であり、信号端子1をその延伸方向Lに貫通させて保持する絶縁体のホルダ2と、ホルダ2の延伸方向Lに直交する径方向Rにおける外周を覆う筒状で導電性の第一シェル3と、第一シェル3が収容された延伸方向Lに沿う円筒空間E3を有する非導電性のコネクタケース8と、を備える。
なお、
図2は、レセプタクルコネクタ10の延伸方向Lに沿う断面を示している。
【0033】
レセプタクルコネクタ10は、さらに、第一シェル3の内部を延伸方向Lで封止する内部シール部材4と、円筒空間E3の内部を延伸方向Lで封止する外部シール部材6と、を備えており、プラグコネクタ側L1から電子基板側L2への水の浸入を防止(以下、防水と称する)している。このように防水機能を備えることにより、例えば短絡などの事故を防ぎ、高い安全性を提供できる。
【0034】
また、レセプタクルコネクタ10は、レセプタクルコネクタ10の電子基板側L2を覆い、外部空間E1の主にプラグコネクタ側L1から電子基板側L2に向けた電気的ノイズ(電磁波)から遮蔽して保護する電気的保護部材である第二シェル7と、カメラモジュール110を載置するスペーサ9と、を備える。
以下、レセプタクルコネクタ10の各部分について詳述する。
【0035】
コネクタケース8は、
図2、
図5および
図6に示すように、内周面8aで区画される円筒空間E3と、空間E2とを備える。
コネクタケース8は、円筒空間E3に第一シェル3から成る端子モジュール30を収容し、プラグコネクタ120を挿入する、レセプタクルコネクタ10の容器である。なお、端子モジュール30とは、第一シェル3に、信号端子1を保持したホルダ2と、内部シール部材4とが組み込まれたモジュールを言う。
また、コネクタケース8の空間E2には、第二シェル7と、スペーサ9と、が収容される。
【0036】
コネクタケース8は、樹脂などの絶縁性(非導電性)材料によって形成されている。信号端子1、第一シェル3および第二シェル7は導電性を有するから、信号端子1、第一シェル3および第二シェル7をレセプタクルコネクタ10の外部から絶縁するためである。
コネクタケース8は、樹脂であれば、ナイロン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド樹脂、塩化ビニル樹脂などで形成することができ、本実施形態では、ひとつの態様として、樹脂としてのナイロンで形成した場合を示している。
【0037】
コネクタケース8は、円筒空間E3を形成するコネクタケース8の内周面8aに、第一係合爪81と、外部シール当接面86と、を備える(
図6参照)。
【0038】
第一係合爪81は、内周面8aから径方向Rにおける内側R1に突出し、径方向Rに沿った弾性力を有する複数の爪状の(本実施形態では4つの)突起である。第一係合爪81は、後述する第一シェル3の溝状の凹部である第一係合凹部31と係合し、第一シェル3(端子モジュール30)を円筒空間E3に係止する。
コネクタケース8の、それぞれ隣り合う第一係合爪81の間には、内周面8aから径方向Rにおける内側R1にやや突出する凸部83を備える(
図6参照)。
【0039】
外部シール当接面86は、コネクタケース8の内周面8aに設けられた面であり、延伸方向Lに交錯し空間E2と対向する面(電子基板側L2に向く面)として設けられる。本実施形態では、外部シール当接面86は、交錯の一態様として延伸方向Lに直交している。外部シール当接面86には、外部シール部材6が当接する。
【0040】
コネクタケース8は、第二シェル7を空間E2に収容する際に第二シェル7を支持する部材として、例えば突起85と環状延出部82とを備える(
図6参照)。
環状延出部82は、電子基板側L2に向けて第二シェル7の底部71を支持し、突起85は、第二シェル7を、延伸方向Lに対する相対的な側方から支持する。
突起85は、例えば内周面8aから径方向Rにおける内側R1に向けて突起する態様で設けられる。
環状延出部82は、例えばコネクタケース8から、延伸方向Lに沿い、電子基板側L2に延出する環状の部材として設けられる。
【0041】
空間E2は、第二シェル7や、スペーサ9を収容する空間である。空間E2は、本実施形態では、環状延出部82の電子基板側L2の先端部よりも電子基板側L2の空間である。
【0042】
また、コネクタケース8は、レセプタクルコネクタ10がプラグコネクタ120と共にコネクタ20として機能するために、プラグコネクタ120の抜け止めピンと係合し、コネクタケース8からのプラグコネクタ120の脱離を防止する、抜止受部88を備える。
また、コネクタケース8は、レセプタクルコネクタ10がカメラモジュール110に取り付けられて、カメラユニット100として用いられる際に、レセプタクルコネクタ10の電子基板側L2を覆うケースであり、カメラモジュール110を収容する本体ケース89を備える場合がある。
【0043】
信号端子1は、
図2、
図3、
図5に示すように、プラグコネクタ側L1から接続されるケーブル130と、電子基板側L2に接続されるカメラモジュール110との間で、少なくとも信号と伝送する部材である。
本実施形態の信号端子1は、信号を伝送し、また電力を供給するする直線状の導電性部材であり、いわゆるコンタクトピンである場合を示している。本実施形態では、信号端子1は、金属としての銅に、導電性の被覆材としての金をめっきしている。
本実施形態では、信号端子1は、ケーブル130の内部導体に対応する。
信号端子1の直径は、例えば0.3mmから5mmである。レセプタクルコネクタ10をカメラモジュール110として用いる場合は、信号端子1の直径は、典型的には0.3mmから1.5mmである。
【0044】
信号端子1は、少なくともプラグコネクタ120の接続端子(図示せず)と電気的に接続される第一端子部11と、カメラモジュール110のレセプタクル(図示せず)と電気的に接続される第二端子部12とを備える。
【0045】
本実施形態では、信号端子1はさらに、第一膨隆部13と、第二膨隆部14と、調整部15と、抜け止め突起16を備える(
図3参照)。
信号端子1は、プラグコネクタ側L1から電子基板側L2に向けて順に、第一端子部11、抜け止め突起16、第二膨隆部14、調整部15、第一膨隆部13、第二端子部12を備える。
【0046】
第二端子部12は、本実施形態では、スペーサ9から、電子基板側L2に向けて、先端部分が延出(突出)した状態に配置される。カメラモジュール110と電気的に接続するためである。
【0047】
第一膨隆部13と、第二膨隆部14とは、それぞれ、第一端子部11ないし第二端子部12よりも相対的に太く形成された信号端子1の一部である。
調整部15は、第一端子部11ないし第二端子部12よりも相対的に太く、第一膨隆部13よりも相対的に細く形成された信号端子1の一部である。
抜け止め突起16は、第一端子部11の電子基板側L2に偏位した位置(信号端子1のおよそ中央部分であり、第二膨隆部14のプラグコネクタ側L1の近傍)に設けられた突起である。
なお、信号端子1の直径とは、第一端子部11または第二端子部12の直径の事を言う。
【0048】
信号端子1は、信号端子1の延伸方向Lにおける、第一膨隆部13ないし調整部15の径や長さを調整して、レセプタクルコネクタ10の特性インピーダンスを調整可能となっている。
第二膨隆部14は、後述するように、内部シール部材4に挿通されて内部シール部材4に支持される部分である。
【0049】
第一膨隆部13および調整部15による、レセプタクルコネクタ10の特性インピーダンスの調整について補足する。
信号端子1の径が大きくなると、レセプタクルコネクタ10の特性インピーダンスは小さくなる。逆に、信号端子1の径が小さくなると、レセプタクルコネクタ10の特性インピーダンスは大きくなる。
【0050】
つまり、信号端子1の一部である第一膨隆部13や調整部15の径が大きくなると、レセプタクルコネクタ10の特性インピーダンスは小さくなる。逆に、第一膨隆部13や調整部15の径が小さくなると、レセプタクルコネクタ10の特性インピーダンスは大きくなる。
【0051】
また、第一膨隆部13の長さと調整部15の長さとの合計の値を固定し、かつ、第一膨隆部13の径と調整部15の径とをそれぞれ固定の値とした場合に、調整部15の長さを長くする(第一膨隆部13の長さを短くする)と、レセプタクルコネクタ10の特性インピーダンスは大きくなる。逆に、調整部15の長さを短くする(第一膨隆部13の長さを長くする)と、レセプタクルコネクタ10の特性インピーダンスは小さくなる。
【0052】
ホルダ2は、
図2、
図3に示すように、信号端子1を覆う絶縁体であり、ケーブル130の絶縁体に対応するものである。本実施形態では、ホルダ2は、絶縁体としての樹脂で形成される。樹脂としては例えば、ナイロン樹脂や塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂などを利用できる。
【0053】
またホルダ2は信号端子1を保持孔29(
図3参照)に挿通して貫通させて、信号端子1を正確に位置決めして保持する保持部材である。なお、保持孔29は、延伸方向Lに沿う孔である。
本実施形態では、保持孔29は、ひとつの信号端子1に、ひとつの保持孔29が割り当てられる。つまり、信号端子1の本数と、同じ孔数の保持孔29を備える。
【0054】
ホルダ2は、延伸方向Lに沿う円柱状であり、ホルダ2の本体部分である円柱状の胴部23と、胴部23の電子基板側L2端部に配置されて胴部23よりも相対的に太い(延伸方向Lに対して直交する径方向Rの径が大きい)係止部25と、延伸方向Lに沿う孔である保持孔29と、プラグコネクタ120に対して立体障害となり、プラグコネクタ120の挿入状態を決定する脚部28を備える。
【0055】
胴部23は、第一シェル3に、第一シェル3の電子基板側L2からプラグコネクタ側L1に向けて挿入される。係止部25は、胴部23が筒状の第一シェル3に挿入される際に、第一シェル3と係合して、第一シェル3に対する胴部23の挿入位置を決定する。
【0056】
脚部28は、胴部23からプラグコネクタ側L1に向けて、延伸方向Lに沿い柱状に延出する部材である。脚部28は、後述するように、レセプタクルコネクタ10にプラグコネクタ120を挿入して嵌める場合に、互いの挿入位置を決める位置決め部分である。
【0057】
ホルダ2の保持孔29には、信号端子1の第一端子部11が挿通される。
信号端子1は、第一端子部11の抜け止め突起16が、ホルダ2の電子基板側L2から保持孔29の内部まで圧入されて、保持孔29と抜け止め突起16が係合し、ホルダ2に固定される。
保持孔29の直径は、通常、信号端子1の直径と同じか、やや大きく形成される。また、保持孔29の直径は、抜け止め突起16の部分の直径よりもやや小さい。信号端子1の第一端子部11を無理なく保持孔29に挿通可能とし、また、第一端子部11の抜け止め突起16を保持孔29に圧入した場合に、信号端子1が容易に抜け落ちないようにするためである。
なお、本実施形態では、信号端子1は、保持孔29の電子基板側L2の開口部分に第二膨隆部14のプラグコネクタ側L1の端部が係止されて、ホルダ2に対する挿通位置を決定する。つまり、ホルダ2は、信号端子1の第一端子部11の電子基板側の部分、すなわち信号端子1のおよそ中央部分を保持孔29で保持するのである。つまり、第一端子部11のプラグコネクタ側L1の先端部分はホルダ2に覆われず、ホルダ2を貫通し露出して端子部となる。
【0058】
本実施形態ではホルダ2は、胴部23に延伸方向Lに沿う孔である複数(本実施形態では4つ)の保持孔29を備え、ひとつの保持孔29で一つの信号端子1を正確に位置決めして保持する。
また、脚部28は、隣り合う信号端子1の間のいくつかに設けられる。本実施形態では、4本の信号端子1の、4つの間のうち、3つの間に設けられている。
【0059】
第一シェル3は、
図2から
図5に示すように、ホルダ2の径方向Rにおける外周側を覆う部材である。つまり、第一シェル3は、ケーブル130の外部導体に対応する部材であり、外部空間E1からの電気的ノイズから、信号端子1を保護する電気的保護部材である。
【0060】
第一シェル3は、第一シェル3の本体部分としての胴部38を有し、胴部38に、プラグコネクタ側L1から電子基板側L2に向けて順に、多面体部36と、溝状の凹部である第一係合凹部31と、接続部37と、溝状の凹部である第二係合凹部39とを備える。胴部38の電子基板側L2の端部には、先端突起33(
図3、
図5参照)と、係合溝34とを備える(
図3参照)。
【0061】
第一シェル3は、電気的保護部材として、電気的ノイズを遮蔽する材料で形成される。電気的ノイズを遮蔽する材料としては例えば、金属や、金属粉末を練り込んだ樹脂コンパウンド、樹脂に金属メッキを施したもの、などが挙げられる。
本実施形態では、第一シェル3は、金属としての銅で成り、表面を金属としての錫でめっきしたものを用いている。当該錫のめっきは、第一シェル3の防錆を兼ねている。第一シェル3は、例えば銅材料を切削して形成(つまり、削り出しで形成)したり、鋳型で成型したりすることができる。本実施形態では、第一シェル3を、銅材料を切削して形成した場合を例示している。
【0062】
第一シェル3は、延伸方向Lに沿う筒状の部材である。上述のように、信号端子1が圧入された円柱状のホルダ2は、第一シェル3に挿入される。つまり、ホルダ2の円柱の、延伸方向Lに沿う軸心と、第一シェル3の円筒の延伸方向Lに沿う軸心とは、一致する。すなわち、第一シェル3の円筒の延伸方向Lに沿う軸心は、第一シェル3の円筒の軸心方向と一致する。
ホルダ2は、電子基板側L2から第一シェル3に挿入されると、ホルダ2の係止部25が第一シェル3の係合面32(
図2参照)で係止され、延伸方向Lのプラグコネクタ側L1への移動が規制される。
【0063】
係合面32は、第一シェル3の内周面3a(
図2参照)に設けられた面であり、延伸方向Lに交錯し空間E2と対向する面(電子基板側L2に向く面)として設けられる。本実施形態では、係合面32は、交錯の一態様として延伸方向Lに直交している。
【0064】
第一シェル3は、プラグコネクタ側L1から電子基板側L2に向けて順に、プラグコネクタ120を嵌める筒状の胴部38と、第一シェル3の延伸方向Lに沿う軸(軸心)を回転軸Pとした回転を規制する多面体部36と、第一係合爪81が係合する第一係合凹部31と、第二シェル7と電気的に接続される筒状の接続部37と、スペーサ9と係合する第二係合凹部39と、第一シェル3の電子基板側L2の端部に在る係合溝34と、第一シェル3の電子基板側L2の端部に在り、延伸方向Lに沿い、電子基板側L2の側に延出する突起状部である先端突起33とを備える。
【0065】
第一係合凹部31は、第一シェル3の外周面3bに設けられた、環状の溝部(凹部)である。第一係合凹部31の溝の断面は、およそ矩形である。
第一係合凹部31は、第一係合爪81が係合する係合部である。
第一係合凹部31は、多面体部36と接続部37との間で多面体部36と接続部37に対して相対的な溝となっている。
【0066】
第一シェル3は、第一係合爪81と第一係合凹部31との係合により、コネクタケース8に係止された状態で、コネクタケース8に収容されている。第一シェル3は、第一シェル3がコネクタケース8に収容(装着、取付)された状態で、コネクタケース8に対する第一シェル3(信号端子1)の延伸方向Lに沿う移動が規制されている。
第一シェル3を、延伸方向Lに沿って、第一シェル3をコネクタケース8の電子基板側L2から挿入してコネクタケース8に収容して装着すると、コネクタケース8の第一係合爪81が、第一シェル3の第一係合凹部31に係合する。
【0067】
多面体部36は、延伸方向Lに沿う複数(本実施形態では4つ)の平面部36bを備える。本実施形態では、それぞれとなりあう平面部36bの頂部が面取りされた平面状の面取り部36aを備えている。本実施形態では、平面部36bを4面備える。
第一シェル3は、コネクタケース8に、面取り部36aをコネクタケース8の凸部83に対向させた状態で収容される。平面部36bは、凸部83と立体障害的に係合し、第一シェル3の、延伸方向Lに沿う軸を回転軸Pとした回転を防止する。
【0068】
第二係合凹部39は、第一シェル3の外周面3bに、円環状の凹部として設けられ、後述する第二係合爪96が係合する部分である。
【0069】
係合溝34は、第一シェル3の電子基板側L2の端部に、第一シェル3の接続部37の周方向に沿い、設けられた切欠きである。本実施形態では、それぞれ等間隔で隣り合う先端突起33の間に、係合溝34が設けられている。本実施形態では、先端突起33および係合溝34がそれぞれ交互に設けられる場合を示している。また、本実施形態では、先端突起33および係合溝34が等間隔にそれぞれ4つずつ設けられる場合を示している。
【0070】
なお、ケーブル130の外部導体は、第一シェル3に電気的に接続される。また、後述するように第一シェル3と第二シェル7とは電気的に接続されているため、第二シェル7が、カメラモジュール110のグラウンドに接続されている場合には、第一シェル3およびケーブル130のグランドも、カメラモジュール110のグラウンドに電気的に接続されている。
【0071】
内部シール部材4は、弾性部材でなり、
図2、
図3に示すように、第一シェル3とコネクタケース8との間を延伸方向Lで封止する封止材である。本実施形態では、内部シール部材4として、延伸方向Lに沿う円柱状のゴム状部材を用いている。
【0072】
内部シール部材4は、例えば弾性部材の一例である、ゴム状部材で形成される。ゴム状部材しては、特にゴム材料を用いる。ゴム材料としては、例えばシリコンゴムや、シリコンスポンジが好適である。ゴム材料としてさらに好ましくは、シリコンオイルなどの油を含浸したゴムを用いる。
本実施形態では、内部シール部材4として、シリコンオイルを含浸したシリコンゴムを用いている。
【0073】
内部シール部材4は、信号端子1が圧入された挿通孔49(
図3参照)を備え、内部シール部材4の径方向Rにおける外側R2の外周部4aが第一シェル3の径方向Rにおける内側R1の内周面3aに圧接する状態で、第一シェル3の内部を延伸方向Lで封止して防水している。
なお、挿通孔49は、信号端子1の外径が他の部分よりも大きい第二膨隆部14において信号端子1に圧接している。内部シール部材4は弾性部材であるから、第二膨隆部14の外径に応じて柔軟に変形して信号端子1に圧接される。挿通孔49の径は、たとえば、第二膨隆部14の直径と、同じか、やや小さい。信号端子1を、挿通孔49に挿通した場合に、信号端子1が内部シール部材4により圧接された状態とするためである。
本実施形態では、挿通孔49は、ひとつの信号端子1に、ひとつの挿通孔49が割り当てられる。つまり、信号端子1の本数と、同じ孔数の挿通孔49がある。
【0074】
内部シール部材4は、本実施形態では、ホルダ2とスペーサ9との間に挿入して配置される。
内部シール部材4は、電子基板側L2の面42がスペーサ9の支持部97のコネクタ側の面97aで係止されている。本実施形態では、係止の一態様として、電子基板側L2の面42がスペーサ9の支持部97のコネクタ側の面97aに当接している。つまり、内部シール部材4は、スペーサ9で電子基板側L2への移動を規制されている。なお、スペーサ9の支持部97については後述する。
また、内部シール部材4は、プラグコネクタ側L1の面41がホルダ2の電子基板側L2の面22で係止されている。本実施形態では、係止の一態様として、プラグコネクタ側L1の面41がホルダ2の電子基板側L2の面22に当接している。つまり、内部シール部材4は、ホルダ2で、プラグコネクタ側L1への移動を規制されている。
【0075】
つまり、内部シール部材4は、スペーサ9と、ホルダ2との間に挟み込まれて、延伸方向Lに沿う移動を規制されている。内部シール部材4は、このように、スペーサ9と、ホルダ2との間に挟むだけで固定できるため、組み立て容易性に優れる。
【0076】
第一シェル3に、信号端子1を挿通したホルダ2と、内部シール部材4とを電子基板側L2から挿入すると、一体の端子モジュール30(
図4参照)となる。端子モジュール30は、信号端子1やホルダ2や内部シール部材4を第一シェル3に挿入するだけで容易に組み立てることができ、組み立て容易性に優れる。
端子モジュール30は、コネクタケース8の電子基板側L2から円筒空間E3に挿入して、コネクタケース8に収容するだけの容易な操作で、コネクタケース8に装着することができ、組み立て容易性に優れる。
【0077】
なお、第一シェル3は、レセプタクルコネクタ10とプラグコネクタ120とを接続する場合に、第一シェル3とプラグコネクタ120との間を封止して防水するソケット側シール部材5を備える場合がある。第一シェル3がソケット側シール部材5を備える場合については後述する。
【0078】
外部シール部材6は、弾性部材でなり、第一シェル3の内側R1にある内部を延伸方向Lで封止する封止材である。本実施形態では、外部シール部材6として、円環状のゴム状部材を用いている。
【0079】
外部シール部材6は、
図2、
図4に示すように、例えば弾性部材の一例である、ゴム状部材で形成される。ゴム状部材しては、特にゴム材料を用いる。ゴム材料としては、例えばシリコンゴムや、シリコンスポンジが好適である。ゴム材料としてさらに好ましくは、シリコンオイルなどの油を含浸したゴムを用いる。
本実施形態では、外部シール部材6として、シリコンオイルを含浸したシリコンゴムを用いている。
【0080】
外部シール部材6は、径方向Rにおける外側R2の外周部6bが、円筒空間E3を形成するコネクタケース8の内周面8a(環状延出部82の内周面)に圧接し、径方向Rにおける内側R1の内周部6aが第一シェル3の径方向Rにおける外側R2の外周面3bに圧接する状態で、円筒空間E3の内部を延伸方向Lで封止して防水している。
【0081】
外部シール部材6は、第二シェル7およびスペーサ9に対してプラグコネクタ側L1に配置されている。
外部シール部材6は、プラグコネクタ側L1の面61がコネクタケース8で係止され、第一シェル3に設置されている。本実施形態では、係止の一態様として、プラグコネクタ側L1の面61がコネクタケース8に当接している。
【0082】
本実施形態では、外部シール部材6は、面61が、コネクタケース8の内周面8aに設けられた面であり、延伸方向Lに直交して交錯し空間E2に対向する面である外部シール当接面86で、係止されている。つまり、外部シール部材6は、コネクタケース8の内周面8aでプラグコネクタ側L1への移動を規制されている。
外部シール部材6は、電子基板側L2の面62が第二シェル7で係止され、第一シェル3に設置されている。本実施形態では、係止の一態様として、電子基板側L2の面62が第二シェル7に当接している。つまり、外部シール部材6は、第二シェル7で、電子基板側L2への移動を規制されている。
【0083】
つまり、外部シール部材6は、コネクタケース8と、第二シェル7との間に挟み込まれて、延伸方向Lに沿う移動を規制されている。
外部シール部材6は、コネクタケース8に収容された端子モジュール30(第一シェル3)に対して、コネクタケース8の電子基板側L2から挿入し、コネクタケース8の電子基板側L2から第二シェル7で挟み込むという容易な操作で装着することができ、組み立て容易性に優れる。
【0084】
第二シェル7は、
図2、
図3に示すように、電子基板側L2を電気的ノイズから遮蔽して、電気的ノイズから、信号端子1を流れる電気信号や電子基板としてのカメラモジュール110などの、第二シェル7よりも延伸方向Lの電子基板側L2にある部材を保護する電気的保護部材(いわゆる、シールド)である。
第二シェル7は、コネクタケース8の空間E2の部分に、環状延出部82と突起85とで正確に位置決めして支持されて収容される。
【0085】
第二シェル7は、電気的保護部材として、電気的ノイズを遮蔽する材料で形成される。電気的ノイズを遮蔽する材料としては例えば、金属や、金属粉末を練り込んだ樹脂コンパウンド、樹脂に金属メッキを施したもの、などが挙げられる。
本実施形態では、第二シェル7は、金属としての銅で成り、表面を金属としての錫でめっきしたものを用いている。錫のめっきは、第一シェル3の防錆を兼ねている。第二シェル7は、例えば銅板材を曲げ加工して形成することができる。
【0086】
第二シェル7は、コネクタケース8の電子基板側L2に、レセプタクルコネクタ10の電子基板側L2の空間E2をプラグコネクタ側L1から電子基板側L2に向けて覆う(プラグコネクタ側L1から電子基板側L2に向けて片面を囲う)ように設けられる。コネクタケース8は、空間E2として例えば矩形筒状空間を有しており、当該矩形筒状空間に第二シェル7が収容される。
【0087】
第二シェル7は、底部71と側壁部72とを有する、筒の内側が電子基板側に向く、有底筒状の導電性の部材として設けられる。
側壁部72は底部71の周囲から屈曲して延伸方向Lに沿い電子基板側L2に延出して設けられる。つまり側壁部72は、当該有底筒状の第二シェル7の筒としての胴部である。
第二シェル7は、主として底部71と側壁部72とで成る当該有底筒状の形状により、空間E2を覆い、外部空間E1の電気的ノイズから空間E2を遮蔽して信号端子1を流れる電気信号や、電子基板で処理される電気信号を保護する。
【0088】
底部71には、その中央部に第一シェル3が貫通する開口部73を備え、この開口部73は、開口部73の開口縁部73eから屈曲して延伸方向Lに沿い電子基板側L2に延出する突出部75を備える。
【0089】
第二シェル7は、突出部75において、第一シェル3に嵌められて接合される。
第二シェル7は、第一シェル3の外周面3bと突出部75の径方向Rにおける内周面75aとが面接触する状態(嵌められた状態)で、第一シェル3に配置されている。第一シェル3および第二シェル7は、共に金属などの導電性材料により形成されているから、このように接合されることによって、第一シェル3および第二シェル7は電気的にも接続される。
【0090】
第二シェル7の突出部75の収容空間E4(
図4参照)に、第一シェル3の接続部37が圧入されており、第一シェル3(接続部37)の外周面3bと、突出部75の内周面75aとは圧接されている。したがって、第二シェル7の底部71における開口部73の縁部(開口縁部73e)に隙間を有することなく、第一シェル3と第二シェル7とが接合される。これにより、外部空間E1から空間E2への電磁波の侵入や、空間E2から外部空間E1への電磁波の漏洩などが適切に抑制される。
【0091】
第二シェル7は、このように、第二シェル7の底部71を第一シェル3が貫通する配置、すなわち第二シェル7の底部71が信号端子1の延伸方向Lに交錯(本実施形態では交錯の一態様として直交)する配置となり、当該配置にある導電性の第二シェル7は、電子基板側L2に延出する側壁部72および突出部75、並びに底部71とで、電子基板側L2を覆い、信号端子1(第二端子部12)やカメラモジュール110などの、第二シェル7よりも延伸方向Lの電子基板側L2にある部材、およびそれら部材で処理される電気信号を、電気的ノイズから遮蔽して保護する。
【0092】
スペーサ9は、
図2、
図4、
図5に示すように、電子基板としてのカメラモジュール110を載置する土台である。
スペーサ9は、当該土台となる面部91と、面部91の外周から延伸方向Lに沿い、プラグコネクタ側L1に向けて延出するスペーサ壁92と、を備える。
スペーサ9は絶縁体としての樹脂で形成される。樹脂としては例えば、ナイロン樹脂や塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂などを利用できる。スペーサ9は本実施形態ではコネクタケース8と同じ樹脂で形成しており、ナイロンで形成されている。
【0093】
面部91は、第一シェル3の円筒の延伸方向Lに沿う軸心と同一の軸心の円形の平板である。面部91は、延伸方向Lに直交して交錯している。
面部91は、信号端子1を貫通させて正確に位置決めして支持する挿通孔99を有する支持部97と、第二係合凹部39と係合する爪部であり、径方向Rに沿った弾性力を有する第二係合爪96と、支持部97を面部91において保持する梁部95を備えている。また、面部91は、ひとつの第二係合爪96に対し、ひとつの開口部93が形成されている。
【0094】
第二係合爪96は、面部91の外側R2に相対的に変位した位置の部分を起点に、相対的に内側R1の部分で屈曲し、延伸方向Lに沿いプラグコネクタ側L1に突出(延出)し、支持部97の径方向Rの外側R2に配置されている。第二係合爪96は、第二係合凹部39と係合し、第二係合爪96と第二係合凹部39とは互いに延伸方向Lに沿う移動を規制する。
第二係合爪96と第二係合凹部39との係合により、スペーサ9は第一シェル3に係止され、コネクタケース8に対する延伸方向Lに沿う移動を規制されている。
本実施形態では、第二係合爪96は、それぞれ隣り合う第二係合爪96同士が、等間隔で配置されている。
第二係合爪96は、本実施形態では4つ設けられている。
【0095】
開口部93は、それぞれの第二係合爪96の周囲の一部(面部91の内側R1の部分)にひとつの開口部93が形成されている。
梁部95は、それぞれ隣り合う開口部93の間の面部91の部分である。
【0096】
梁部95は、係合溝34と係合し、スペーサ9を、第一シェル3に対する延伸方向Lに沿う軸(軸心)を回転軸Pとした回転を規制(防止)する。
具体的には、第二係合爪96と第二係合凹部39とが係合している状態、すなわち、スペーサ9が第一シェル3に取り付けられた状態で、梁部95が係合溝34に嵌る態様により、スペーサ9が、第一シェル3に対する延伸方向Lに沿う軸(軸心)を回転軸Pとした回転することを規制する。
【0097】
このように、スペーサ9は、第一シェル3に対して、延伸方向Lに沿う移動と、延伸方向Lに沿う軸(軸心)を回転軸Pとした回転とが規制される。ここで、上述のように、第一シェル3は、コネクタケース8に対し、第一シェル3の延伸方向Lに沿う移動が規制され、また、延伸方向Lに沿う軸(軸心)を回転軸Pとした回転が規制されているため、スペーサ9はコネクタケース8に対し、延伸方向Lに沿う移動と、延伸方向Lに沿う軸(軸心)を回転軸Pとした回転とが規制された状態になる。
すなわち、スペーサ9は、第二係合爪96と第二係合凹部39との係合により、コネクタケース8に対する延伸方向Lに沿う移動が規制され、梁部95と係合溝34との係合により、コネクタケース8に対する延伸方向Lに沿う軸(軸心)を回転軸Pとした回転が規制される。
【0098】
挿通孔99は、信号端子1を貫通させて支持する延伸方向Lに沿う孔である。
信号端子1は、その第二端子部12の先端部分を電子基板側L2に向けて突出させた状態で、支持部97の挿通孔99に挿通されて正確に位置決めして配置される。面部91に載置されたカメラモジュール110と接続するためである。
挿通孔99は、本実施形態では、ひとつの信号端子1に、ひとつの挿通孔99が割り当てられる。
【0099】
スペーサ9は、コネクタケース8に収容された端子モジュール30(第一シェル3)に対して、コネクタケース8の電子基板側L2から挿入すれば、第二係合爪96と第二係合凹部39との係合により、容易に装着できる。スペーサ9を端子モジュール30に装着する場合に、信号端子1は、保持孔29で保持されて正確に位置決めされているため、複数の信号端子1を、それぞれ対応する挿通孔99に挿入する操作も容易である。
スペーサ9は、このように組み立て容易性に優れる。
【0100】
本実施形態のスペーサ9の挿通孔99は、信号端子1が複数本、つまり、4本あるので、挿通孔99も4つ設けられる。この場合、ホルダ2の保持孔29も、挿通孔99と同一の個数だけ設けられる。また、挿通孔99と保持孔29とは、それぞれ対応した位置で取り付けられる。つまり、隣り合う挿通孔99同士の距離や位置関係と、隣り合う保持孔29同士の距離や位置関係とは、同一である。つまり、複数の挿通孔99の配列と、保持孔29の配列は同じである。
なお、挿通孔49も同様に、挿通孔99および保持孔29と同様の配列である。
したがって、信号端子1が2本以上ある場合、スペーサ9とホルダ2とは、2本以上の信号端子1を介して、第一シェル3の延伸方向Lに沿う軸(軸心)を回転軸Pとした回転方向において互いを規制する。つまり、スペーサ9とホルダ2とは、第一シェル3の延伸方向Lに沿う軸(軸心)を回転軸Pとした回転方向において互いに固定された関係にある。
【0101】
ここで、スペーサ9は、コネクタケース8に対し、延伸方向Lに沿う移動と、延伸方向Lに沿う軸(軸心)を回転軸Pとした回転とを規制された状態であるから、コネクタケース8とホルダ2とは、第一シェル3の延伸方向Lに沿う軸(軸心)を回転軸Pとした回転方向において互いに固定された関係にある。
すなわち、スペーサ9は、複数の挿通孔99に信号端子1を貫通させた状態で、ホルダ2のコネクタケース8に対する延伸方向Lに沿う軸(軸心)を回転軸Pとした回転を規制するのである。よって、ホルダ2および信号端子1は、簡易な構造で確実に位置決めさて、高い組み立て精度を維持し、使用時に、信号端子1の位置がずれる様な場合を回避して、例えば短絡などの事故を防ぎ、高い安全性を提供できる。
【0102】
支持部97は、面部91から延伸方向Lに沿いプラグコネクタ側L1に円柱状に突出して形成されている。本実施形態のスペーサ9は、プラグコネクタ側L1に円柱状に突出した支持部97の一部を、第一シェル3の内部に挿入した状態で配置される。そのため、内部シール部材4は、プラグコネクタ側L1に円柱状に突出した支持部97により、第一シェル3の内部に押し込まれた配置の状態になる。
【0103】
挿通孔99は、本実施形態では、信号端子1の第一膨隆部13と調整部15とを覆うように支持している。したがって、挿通孔99の径は、信号端子1の第一端子部11や第二端子部12の径よりも太い。
挿通孔99を有する支持部97は、延伸方向Lに沿う円柱状であるが、この円柱状の支持部97の延伸方向Lに沿う長さを変更して、信号端子1の第一膨隆部13と調整部15とのそれぞれの長さを変更する場合がある。また、挿通孔99の径を変更して、信号端子1の第一膨隆部13や調整部15の径を変更する場合がある。つまり、支持部97の延伸方向Lに沿う長さや、径を変更して、レセプタクルコネクタ10の特性インピーダンスを調整する場合がある。
【0104】
本実施形態における、ホルダ2と、内部シール部材4と、外部シール部材6と、第二シェル7と、スペーサ9との配置について、補足する。
【0105】
本実施形態では、スペーサ9を、ホルダ2に対して、電子基板側L2に配置し、内部シール部材4を、スペーサ9とホルダ2との間に配置している。
スペーサ9で、内部シール部材4を、ホルダ2との間に挟み込み、内部シール部材4の前記延伸方向に沿う移動を規制するためである。
【0106】
本実施形態では、スペーサ9の支持部97のプラグコネクタ側L1の面97aが、内部シール部材4の電子基板側L2の面42を、電子基板側L2から当接させて、内部シール部材4の延伸方向Lに沿う、電子基板側L2への移動を規制している。
【0107】
本実施形態では、スペーサ9は、第二シェル7に対して、電子基板側L2に配置している。
第二シェル7を、スペーサ9で係止するためである。そして、第二シェル7の、第一シェル3に対する延伸方向Lに沿う移動を規制した状態で、第二シェル7を、第一シェル3に配置するためである。
【0108】
本実施形態では、第二シェル7を、スペーサ壁92のプラグコネクタ側L1の端部92aで、第二シェル7の、電子基板側L2の面を係止している。
つまり、スペーサ9は、第二シェル7が開口部73に第一シェル3(端子モジュール30)を貫通させた状態で、第二シェル7を、コネクタケース8との間に挟み込み、第二シェル7の前記延伸方向に沿う移動を規制する。
【0109】
第二シェル7は、外部シール部材6に対して、電子基板側L2に配置している。
外部シール部材6の電子基板側L2の面62を第二シェル7の底部71のプラグコネクタ側L1の面で係止して、第一シェル3に設置するためである。
つまり、第二シェル7の底部71は、外部シール部材6を、コネクタケース8(内周面8a)との間に挟み込み、外部シール部材6の前記延伸方向に沿う移動を規制する。
外部シール部材6は、このように、第二シェル7と、コネクタケース8との間に挟むだけで固定できるため、組み立て容易性に優れる。
【0110】
レセプタクルコネクタ10の組み立てのひとつの態様について補足する。
レセプタクルコネクタ10の組み立ては、以下の、容易な手順で可能である。
まず、ホルダ2を、第一シェル3に挿入する。この状態で、ホルダ2に信号端子1を圧入して挿通する。
次に、内部シール部材4を、信号端子1に圧入する。言い換えると、ホルダ2に挿通された状態の信号端子1を内部シール部材4に圧入する。
以上で、端子モジュール30の組み立てが完了する。
【0111】
次に、端子モジュール30(第一シェル3)を、電子基板側L2からコネクタケース8に挿入して収容する。端子モジュール30をコネクタケース8に収容すると、それぞれ係合して、端子モジュール30が、コネクタケース8に固定して設置される。
次に、外部シール部材6を、端子モジュール30(第一シェル3)に嵌める。
その後、端子モジュール30(第一シェル3)に、第二シェル7を圧入し、コネクタケース8の空間E2に収容する。
その後、端子モジュール30(第一シェル3)に、スペーサ9を電子基板側L2から取り付ける。
以上でレセプタクルコネクタ10の組み立てが完了する。
【0112】
〔コネクタについての説明〕
レセプタクルコネクタ10は、
図7から
図9に示すように、レセプタクルコネクタ10と、レセプタクルコネクタ10のプラグコネクタ側L1からコネクタケース8の円筒空間E3に挿入されて接続されるプラグコネクタ120と、により、レセプタクルコネクタ10とプラグコネクタ120とで一対のコネクタ20として利用可能である。
【0113】
プラグコネクタ120の一態様を例示すると、プラグコネクタ120は、少なくともコネクタケース8に挿入された状態で第一シェル3の胴部38と径方向視で重複する接続筒部122を備える(
図8、
図9参照)。
本実施形態では、接続筒部122が、第一シェル3の胴部38に外嵌する状態で、第一シェル3と接続筒部122とが径方向視で重複(本実施形態では、重複の一態様として、第一シェル3が接続筒部122に嵌合)する場合を例示しているが、接続筒部122が、第一シェル3の胴部38に内嵌する状態で、第一シェル3と接続筒部122とが重複する場合もある(図示せず)。
【0114】
このように、第一シェル3と接続筒部122とが径方向視で重複する状態で、プラグコネクタ120の接続端子部(図示せず)が、信号端子1のプラグコネクタ側L1と電気的に接続される。
以下、第一シェル3と接続筒部122とが重複する状態で、プラグコネクタ120の接続端子部(図示せず)が、信号端子1のプラグコネクタ側L1と電気的に接続される状態を、単に「接続が完了する」と記載する。
【0115】
プラグコネクタ120は、本実施形態では、レセプタクルコネクタ10側の抜け防止機構である抜止受部88と係合する、突起121aを有する抜止ピン121と、使用者がプラグコネクタ120を把持する把持部124と、コネクタケース8の内周面8aに設けられた位置決め溝8bと係合して、プラグコネクタ120のレセプタクルコネクタ10に対する挿入位置を定める位置決め部123とを備える場合を例示している。
【0116】
抜止ピン121は、プラグコネクタ120のレセプタクルコネクタ10への接続した状態で意図しない抜けを防止し、接続が完了した状態の維持を確実ならしめるための、プラグコネクタ120側の抜け防止機構である。
抜止ピン121は、抜止受部88に挿入された状態で、突起121aが、抜止受部88の凹部に係合し、レセプタクルコネクタ10に対しての抜け方向へのプラグコネクタ120移動が規制される。
【0117】
接続が完了すると、ケーブル130とレセプタクルコネクタ10が取り付けられる電子基板としてのカメラモジュール110との通信や電力供給が可能となる。
【0118】
このように接続が完了する状態で、さらに、第一シェル3が、第一シェル3と接続筒部122との間を封止するソケット側シール部材5を備えると、第一シェル3とプラグコネクタ120の接続筒部122との間がソケット側シール部材5で封止されて、接続筒部122の外側R2から第二シェル7の内側R1に対して防水されるため好ましい。
本実施形態では、第一シェル3と接続筒部122が重複する位置に、ソケット側シール部材5を配置した例を示している。
【0119】
ソケット側シール部材5は、延伸方向Lに沿う円柱状の弾性部材である。本実施形態では、弾性部材として、ゴム状部材を用いている。ゴム状部材しては、特にゴム材料を用いる。ゴム材料としては、例えばシリコンゴムや、シリコンスポンジが好適である。ゴム材料としてさらに好ましくは、シリコンオイルなどの油を含浸したゴムを用いる。
本実施形態では、ソケット側シール部材5として、シリコンオイルを含浸したシリコンゴムを用いている。
【0120】
ソケット側シール部材5は、第一シェル3の、防水凹部35に嵌められて固定される。
本実施形態では、防水凹部35は、多面体部36のコネクタ側の面35bと、面35bよりもコネクタ側に位置し、第一シェル3の外周面3bから外側R2に突起する防水突起35aとで相対的に溝部として形成される場合を示している。
なお、防水凹部35は、胴部38の外周面3bに、溝部として設ける場合もある。
【0121】
つまり、ソケット側シール部材5は、ソケット側シール部材5のプラグコネクタ側L1を防水突起35aで係止され、ソケット側シール部材5の電子基板側L2を多面体部36の面35bで係止される。
【0122】
ソケット側シール部材5は、防水凹部35に嵌められた状態で、ソケット側シール部材5の内側R1である内周部5aが、第一シェル3の外周面3bに圧接して第一シェル3と、ソケット側シール部材5の間を封止している。
ソケット側シール部材5は、プラグコネクタ120との接続が完了する状態で、ソケット側シール部材5の外側R2である外周部5bが、接続筒部122の内側R1の面に圧接して接続筒部122と、ソケット側シール部材5の間を封止している(
図9参照)。
【0123】
つまり、プラグコネクタ120との接続が完了する状態で、ソケット側シール部材5は、第一シェル3とプラグモジュールの接続筒部122との間がソケット側シール部材5で封止されて、接続筒部122の外側から第一シェルの内側に対する防水機能(以下、ソケット側シール部材5の防水機能と称する)を発揮する。
【0124】
なお、第一シェル3が、第一シェル3と接続筒部と122の間を封止するソケット側シール部材5を備える場合において、接続が完了する状態で、接続筒部122の電子基板側の端部が、防水突起35aよりもコネクタ側に位置するような接続筒部122を形成すると、ソケット側シール部材5の防水機能を無効とすることができる。
【0125】
たとえば、接続が完了する状態で接続筒部122がソケット側シール部材5と重複する程度に延伸方向Lの長さを有するプラグコネクタ120を用いる場合(
図9)に防水機能を有効とし、接続が完了する状態で接続筒部122がソケット側シール部材5と重複しない程度の延伸方向Lに沿う長さ(例えば、接続が完了する状態で接続筒部122の電子基板側の端部が、防水突起35aよりもコネクタ側に位置する長さ)を有するプラグコネクタ120を用いる場合(
図8)に防水機能を無効とすることができる。
つまり、プラグコネクタ120が防水機能を発揮する場合(
図9)と、発揮させない場合(
図8)とを使い分けることができる。
【0126】
言い換えると、本実施形態で例示したレセプタクルコネクタ10は、プラグコネクタ120が防水機能を発揮する場合と、発揮しない場合との、何れにも嵌合可能である。
例えば防水機能を発揮するための相対的に新しい規格のプラグコネクタ120と、防水機能を備えない相対的に旧式の(たとえば、従来から使用されている)のプラグコネクタ120との双方に対して、互換性を備えたレセプタクルコネクタ10として利用できる。
【0127】
〔カメラユニットに用いる場合の説明〕
以下では、レセプタクルコネクタ10を、カメラモジュール110に取り付けて、車両に搭載されるカメラユニット100(車載カメラ)として用いる場合の一つの態様を
図1をもとにして説明する。
以下、このようなカメラユニット100の一態様を例示する。
【0128】
レセプタクルコネクタ10(コネクタ20)は、例えば、ケーブル130で伝送される信号を、カメラモジュール110に送信し、また、カメラモジュール110から受信する。さらに、ケーブル130から供給される駆動用の電力を、カメラモジュール110に供給するために、カメラモジュール110に取り付けて用いる。
【0129】
カメラモジュール110は、その電子基板(図示せず。電子基板としては、例えばプリント基板やフレキシブルプリント基板が例示できる)を、スペーサ9に載置する態様で、用いることができる。例えば、カメラモジュール110の基板に先端突起33に対応する係合部(図示せず)を設け、カメラモジュール110をスペーサ9に載置した状態で、カメラモジュール110を先端突起33に係止(例えば、係止として、固定)する。このように、レセプタクルコネクタ10が、電子基板側L2に平面を有するスペーサ9を備えるため、レセプタクルコネクタ10は、カメラモジュール110の基板を容易に載置でき、載置性に優れる。その上で、信号端子1を基板上の回路配線に半田付け等の方法により電気的に接続する。
【0130】
コネクタケース8は、カメラユニット100の中では、カメラモジュール110に対して相対的にプラグコネクタ側L1に位置することになるので、リアケースと称される場合がある。
【0131】
本体ケース89には、好適にはカメラモジュール110が収容される。
本体ケース89は、カメラユニット100の中では、リアケースと称されるコネクタケース8に対してフロントケースと称される場合がある。コネクタケース8と本体ケース89とは、互いに当接して、内部に端子モジュール30、第二シェル7、カメラモジュール110などを収容する収容空間が形成される。
【0132】
以下、カメラモジュール110の一例を説明する。
カメラモジュール110は、電子基板の一例であり、少なくとも撮像素子101と、撮像素子101を駆動制御すると共に撮像素子101から出力された映像信号を処理する電子回路102と、撮像素子101へ集光するレンズ103を備えた光学系104とを有する。
【0133】
カメラユニット100は、ケーブル130を介して画像処理装置(図示せず)やモニタ装置(図示せず)に接続される。ケーブル130は、画像処理装置やモニタ装置からカメラユニット100の撮像素子101や電子回路102に対して電力を供給すると共に、撮像素子101および電子回路102から出力される映像の信号をケーブル130を介して画像処理装置やモニタ装置に出力する。つまり、カメラユニット100は、公知の電源重畳方式を用いた撮影装置である。
【0134】
カメラモジュール110の撮像素子101は、CCD(Charge Coupled Device)センサやCIS(CMOS Image Sensor)である。レンズ103は、1枚に限らず、複数枚であってもよい。電子回路102は、撮像素子101を駆動するクロックドライバや、撮像素子101から出力されたアナログ信号に対してサンプルホールドやクランプ処理などのアナログ信号処理を施すアナログ信号処理回路を含んでいる。電子回路102は、さらにアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータを含んでいてもよい。また、電子回路102は、電源重畳方式で供給された電力源に対して整流等の処理を行う電源回路を有していてもよい。
【0135】
なお、電子回路102は、1枚または複数枚の基板(例えば、プリント基板)に電子部品が実装された電子基板として構成されている。複数の電子基板を有する場合には、電子基板間の電気的接続にフレキシブル基板が用いられてもよい。電子回路102が形成された電子基板には、プラグコネクタ120を介してケーブル130を接続するためのレセプタクルコネクタ(図示せず)も実装されている。プラグコネクタ120は、レセプタクルコネクタ10に接続されると共に、ケーブル130にも接続されて、電子回路102を備えたカメラモジュール110とケーブル130とを電気的に接続する。
【0136】
カメラユニット100における、第二シェル7の役割(効果)について補足する。
以上説明したように、カメラユニット100(車載カメラ)は、ひとつの態様として、レセプタクルコネクタ10におけるスペーサ9の電子基板の側に、撮像素子101と、撮像素子101を駆動制御すると共に撮像素子101から出力された映像信号を処理する電子回路102と、撮像素子101へ集光するレンズ103を備えた光学系104とを有するカメラモジュール110を備えることになる。
第二シェル7は、カメラモジュール110が備える、これら第二シェル7よりも延伸方向Lの電子基板側にある部材(電子回路102の少なくとも一部)を、外部空間E1の電気的ノイズから遮蔽して、保護するように機能する。
【0137】
このように、内部シール部材4と、外部シール部材6とを追加するだけの簡易な構造で、プラグコネクタ側L1から電子基板側L2への防水機能と言う付加機能を備えたレセプタクルコネクタ10を提供できる。
また、内部シール部材4と、外部シール部材6と、ソケット側シール部材5とを追加するだけの簡易な構造で、プラグコネクタ側L1から電子基板側L2までの防水機能と言う付加機能を備えたコネクタ20を提供できる。
【0138】
〔別実施形態〕
以下、別の実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0139】
(1)上記実施形態では、第一シェル3と第二シェル7との接合として、第二シェル7の突出部75の収容空間E4に、第一シェル3の接続部37を圧入する場合を例示した。
しかしながら、第一シェル3と第二シェル7との接合は、圧入に限るものではない。第一シェル3を突出部75の収容空間E4に挿入した後、開口縁部73eを溶着したり接着したり、または半田付けしたりすることによって、第一シェル3と第二シェル7とを接合してもよい。
【0140】
(2)上記実施形態では、第二係合爪96と第二係合凹部39との係合により、スペーサ9を第一シェル3に係止する場合を例示した。
しかしながら、第二係合爪96と第二係合凹部39とを係合させて、スペーサ9を第一シェル3に係止する代わりに、たとえば、支持部97を、第一シェル3に内嵌(たとえば、支持部97を第一シェル3に圧入して内嵌)し、スペーサ9を第一シェル3に係止してもよい。
【0141】
(3)上記実施形態では、支持部97は、面部91から延伸方向Lに沿いプラグコネクタ側L1に円柱状に突出して形成されている場合を例示した。
しかしながら、支持部97は、突出させる場合に限られない。たとえば、支持部97を突出させる代わりに、たとえば、延伸方向Lに沿う円柱状のゴム状部材である内部シール部材4を、延伸方向Lに対してより長く形成してもよい。
【0142】
(4)上記実施形態では、信号端子1は、信号と電力とを伝送する直線状の導電性部材である場合を例示した。
しかしながら、信号端子1は、導電性部材に限られない。たとえば、導電性部材である信号端子1を用いる代わりに、たとえば、光ファイバを用いてもよい。また、複数の信号端子1を備える場合において、信号端子1として導電性部材で成るものと、光ファイバで成るものを、混在させてもよい。
【0143】
(5)上記実施形態では、電子基板がカメラモジュール110である場合を例示した。
しかしながら、電子基板は、カメラモジュール110に限られない。例えば、車載用の、衝突防止センサである場合もある。衝突防止センサとしては、例えば、超音波センサや、テラヘルツ波センサなどが例示できる。