【実施例】
【0041】
ステップ1:免疫用抗原細胞安定株の作製
CHO−DHFR
(−)細胞を6ウェルプレートに
移し、24時間培養した後、hGLP−1R遺伝子(ヌクレオチド配列は配列番号113を参照、アミノ酸配列は配列番号114を参照)を含むpYSプラスミド
をトランスフェクション
する。トランスフェクションの前に培養液を交換し、Invitrogen社が推奨するLipofectamine 2000
(Invitrogen)のトランスフェクション条件に基づきトランスフェクションを行
う。
トランスフェクションの48時間後に、
培養培地を10nMのMTXを含有する完全培地に
交換する。約2週間にわたり3日ごとに液を換え
ると、安定成長したクローンが現れ
る。
分散した細胞コロニーをプレートから剥離し、収集する。細胞が約50%の
コンフルエンスに成長するまで待ち、
漸増濃度のMTX
(MTXの濃度が10μMになるまで
)を圧選択のために加える。作製した安定細胞株について、それぞれFACS検出を行い、抗hGLP−1Rの抗体(Abcam)を用いて
圧選択後の細胞
クローンを同定
する。10μMのMTX
による選別後の
選択されたCHO−DHFR−hGLP−1R細胞膜上でhGLP−1Rが大量に発現
する。最後に、サブクローニン
グを経て、hGLP−1R高発現細胞安定株6株を
同定する。
【0042】
ステップ2:抗体の調製
フロイントアジュバント中で乳化したCHO−DHFR−hGLP−1R全細胞を、2×10
6個の細胞/匹の用量で、BALB/cマウス(6〜8週齢)に皮下注射
する。2週間後に、不完全フロイントアジュバント乳化免疫原を用いて
、マウス
の免疫を増強し、この後、週1回増強
する。尾
の末尾を切断する方式によって採血し、血清を遠心分離し
て回収し、FACS
解析を行って血清力価を測定
する。適切な抗体価に達したときに、
頸椎脱臼によりマウスを安楽死させ、無菌状態で脾臓細胞を得
る。成長状態が対数増殖期にあるSP2/0細胞を収集し、2000rpmで3分間遠心
分離する。沈殿を無血清培養
培地で再懸濁し、再度遠心
分離−再懸濁し、計数を行
う。脾臓細胞およびSP2/0細胞を
SP2/0細胞:脾臓細胞≧1:1の比で混合し
、「洗浄−遠心
分離」を計3回行
う。最後の1回の遠心
分離後の沈殿を
分離し(37℃まで予熱した
)、PEG−1350 1mL
を一滴ずつ加え(30秒以内に滴下を完了する)、1分間
ピペッティングで混合した後(37℃まで予熱した
)、無血清培地(Invitrogen)30mL
をゆっくりと加え、PEGの融合作用を終了
させる。1500rpmで5分間遠心
分離し、細胞沈殿を
再懸濁し、HAT(ヒポキサンチン、メトトレキサートおよびチミジン;Invitrogen)、20%のFBS(Bioind)を付加したRPMI1640(Invitrogen)を融合
培養培地とし
て加える。各ウェルに
100μlの体積中の脾
臓細胞20000個およびフィーダー
層細胞5000個を96ウェルプレート中に
播く。融合したハイブリドーマ細胞およびフィーダー
層細胞をともに96ウェルプレートの中で培養し、HAT選別を行い、融合していない細胞を除去
する。10日後に、培養プレート中のハイブリドーマ細胞上澄
を収集し、ELISA検出を行
う。
【0043】
ステップ3:全細胞ELISA選別
CHO−DHFR−hGLP−1RのhGLP−1Rを
過剰発現した細胞およびhGLP−1Rを発現していないCHO−DHFR
(−
)細胞を
別々に96ウェルプレートに
移し、90%の
コンフルエンスまで成長させ
る。培養
培地上澄を除去し、
接着した細胞をPBSで2回洗い、100%のメタノール100μlを加え、4℃で10分間
細胞を固定
する。新しく調製した0.6%のH
2O
2−PBS 100μlをさらに加え、室温で20分間
インキュベートし、
細胞をPBSで2回洗浄
する。PBS−1%のBSA
溶液で
ブロッキングした後、ハイブリドー
マ上澄を加え、4℃で90分間
インキュベートする。複数回洗浄した後、5000倍に希釈したGxM−HRP−Fc二次抗体(Sigma−Aldrich)100μlを各ウェルに加え、37℃で0.5時間
インキュベートする。5回洗浄した後、各ウェルにTMB発色基質100μlを加え、37℃で15分間
インキュベートし、2MのH
2SO
4を加えて反応を終了し、OD450値を読み取
る。陽性対照は、免疫マウスの血清とし、陰性対照は細胞培
養上澄と
する。抗hGLP−1R抗体を分泌するハイブリドーマ
クローンを選
別し、クロー
ニングを行い、hGLP−1Rに対する分泌を安定化することができる細胞株を得
る。最後に、ハイブリドー
マが分泌した抗体上澄
をFACS
解析により検証を行
う。
【0044】
ステップ4:陽性ハイブリドーマ細胞上澄フロー分
析(FACS)
10mMのEDTAを含むPBS
を使用して、CHO−DHFR−hGLP−1R細胞10
5個を
剥離して収集し
、1.5mlのEPチューブに
とる。遠心
分離後に上澄を捨て、陰性対照試料は、フロー式サンプルローディングバッファー(PBS、2%のFBS)で再懸濁
する。陽性
対照については抗体上澄200μlを加え、
細胞を再懸濁して室温で
インキュベートし、1500rpmで遠心
分離し、上澄を捨て、フロー式サンプルローディングバッファーで1回洗い、さらに遠心
分離する。細胞を再懸濁し、各ウェルに、1:50で希釈したFITCマーカーのヒツジ抗マウス蛍光抗体(BD Pharmingen)200μlを加え、室温で光を避けて30分間
インキュベートする。遠心
分離し、上澄を捨て、さらにフロー式サンプルローディングバッファーで
細胞を洗い、
再度遠心
分離し、最後に
解析のためにフロー式サンプルローディングバッファーで再懸濁
する。ハイブリドー
マ上澄および
CHO−DHFR−hGLP−1
R細胞は、特異的結合を有し、灰色のピークと点線のピークは陰性対照であり、ハイブリドー
マ上澄が対応する実線ピーク(
*で記されている)は著しく右に寄ってい
る(
図1)。
【0045】
ステップ5:抗体遺伝子のクローニングおよびサブクローニング
抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を収集
する。QIAGENのmRNA抽
出キットの操作手順書に基づき、ハイブリドー
マのmRNAを抽出
する。次いで、抽出したmRNAをcDNAに逆転写
する。逆転写プライマーは、マウスの軽、重鎖定常領域の特異性プライマーであり、重鎖逆転写プライマーは(5’−TTTGGRGGGAAGATGAAGAC−3’)(配列番号115)であり、軽鎖逆転写プライマーは(5’−TTAACACTCTCCCCTGTTGAA−3’)(配列番号116)および(5’−TTAACACTCATTCCTGTTGAA−3’)(配列番号117)であ
る。RT−PCRの反応条件は、25℃で5分間、50℃で60分間、70℃で15分間
である。逆転写したcDNAを、0.1mMのTEで500μlまで希釈し、限外ろ過遠心管(Amicon Ultra−0.5)の中に加え、2000gで10
分間遠心
分離する。ろ液を捨て、さらに0.1mMのTE 500μlを加え、2000gで10分間遠心
分離する。ろ液を捨て、調製チューブを新しい遠心チューブの中に逆さに置き、2000gで10分間遠心
分離し、精製したcDNAを得
る。精製したcDNA 10μlをテンプレートと
する。5
×テーリングバッファー(tailing buffer)4μl、dATP(1mM)4μlおよび10Uのターミナルトランスフェラーゼ(Promega)を加えた後、均一に混ぜ、37℃で5分間
インキュベートした後、65℃で5分間
インキュベートする。ポリAテールを加えたcDNAをテンプレートとし、PCR
を行って抗体の軽、重鎖可変領域遺伝子を増幅
する。上流プライマーは、いずれもOligodTであり、重鎖下流プライマーは、(5’−TGGACAGGGATCCAGAGTTCC−3’)(配列番号118)および(5’−TGGACAGGGCTCCATAGTTCC−3’)(配列番号119)であり、軽鎖下流プライマーは、(5’−ACTCGTCCTTGGTCAACGTG−3’)(配列番号120)である。PCR反応条件
は以下の通りである:95℃で5分間
;95℃で30秒間、56℃で30秒間、72℃で1分間を40サイクル
;72℃で7分間。PCR生成物をPMD 18−Tベクターに結合した後、シークエンシングを行
う。シークエンシングで得られた抗体軽鎖および重鎖可変領域配列は、付録の配列表を参照。
【0046】
すでにシークエンシングして得られた抗体のDNA配列に基づきPCRプライマーを設計し、これにより完全な軽鎖、重鎖シグナルペプチドならびに可変
ドメインおよびマウスIgG1定常領域を、発現ベクターpTM5と結合
する。
【0047】
ステップ6:懸濁HEK293宿主細胞
株における抗GLP−1
R抗体の一過性発現
懸濁HEK293またはCHO発現細胞
株をスピナーフラスコに接種し、37℃で24時間の回転培養の後、
細胞はトランスフェクションの準備が整う。トランスフェクションのプロセスにおいて、ポリエチレンイミン(PEI)をトランスフェクション
試薬とし、DNAと
の混合
物を、細胞培養に加え
る。PEIとDNAの混合の好ましい配合比は、1:1から5:1である。細胞は、PEIとDNAの混合物を受けた後、37℃の回転培養を96時間以上継続
する。抗原結合タンパク
が発現し、その間に、0.5%の
トリプトンを、発現に必要なアミノ酸源として細胞培養に加え、最後に細胞上澄を収集し、抗原結合タンパク質の精製分離に用い
る。
【0048】
ステップ7:抗体ヒト化および最適化
先ず、
選別されたマウス抗体軽、重鎖可変領域配列
を、NCBIのオンライン抗体可変領域配列
アラインメントツールIg Blastを用いて
相同性を有する抗体と整列させ、
ヒト化用に選択した抗体可変領域配列と相同のヒト
化抗体生殖細胞系
列遺伝子配列(Ig Germline Gene sequence)を検索し、CDR配列を除き、相同性が最も高いヒト
化遺伝子配列をテンプレー
トとして
使用してCDRグラフティングを行い、ヒト化抗体可変領域配列を得て、ヒト化抗体軽、重鎖の遺伝子
を合成
する。配列に基づきPCRプライマーを設計し、合成配列の5’末端および3’末端に適切な制限酵素切断部位を導入
する。ヒト化抗体可変領域をPCR増幅後に、ヒトIgG2またはIgG4定常領域配列と
結合させた後、完全な組換えヒト化抗体配列を得
る。組換
え抗体は、ステップ6に基づき発現を行い、ステップ4におけるFACS
解析により、GLP−1Rに対する親和力を検証
する。GLP−1Rに対する親和力を残したヒト化抗体
候補の群から、親和力の最も優れた
ものを選び出し、部位特異的変異導入により、可変領域配列をさらに改造し、GLP−1Rに対する親和力をさらに向上させ
る。
【0049】
ステップ8:GLP−1ヒト化融合タンパク質の遺伝子クローニングとサブクローニング
最適化したヒト化抗体を、軽鎖のN末端
およびC末端においてGLP−1
またはその誘導体配列と融合し、GLP−1融合タンパク質を
形成させ、両者の配列は、ペプチドリンカー配列(LK)を架橋として結合
する。シグナルペプチド−GLP−1−ペプチドリンカーのヌクレオチド配列は、金斯瑞生物科技有限公司が合成
する。合成遺伝子をテンプレートとし
て使用し、「シグナルペプチド−GLP1−リンカー」部分の配列をPCR増幅
する。PCR上流プライマーは(5’−CCACCATGGACTTTGGGCTGAGC−3’)(配列番号121)であり、PCR下流プライマーは(5’−AGAGCCGGTGGCAGAGCCAG−3’)(配列番号122)であ
る。PCR反応条件は、95℃で5分間
;95℃で30秒間、56℃で30秒間、72℃で30秒間を35サイクル
;72℃で7分間
である。また、ヒト化抗体のヌクレオチド配列をテンプレートとし
て使用し、融合タンパク質
配列の抗体部分の配列を増幅
させる。
【0050】
PCR上流プライマーは、(5’−CTGGCTCTGCCACCGGCTCTGCCATCCAGATGACCCAGTCTCC−3’)(配列番号123)であり、PCR下流プライマーは、(5’−ACACTCTCCCCTGTTGAAGCTC−3’)(配列番号124)であ
る。PCR反応条件は、95℃で5分間
;95℃で30秒間、56℃で30秒間、72℃で1分間を35サイクル
;72℃で7分間
である。次いで、オーバーラップPCR(overlapping PCR)によって、融合タンパク質核酸配列の「シグナルペプチド−GLP−1−ペプチドリンカー」部分を抗体部分と結合し、プライマー両端にNhe1およびNot1の
2つの制限酵
素部位を
導入し、これにより、完全な融合タンパク質配列を発現ベクターpTM5と結合
させる。オーバーラップPCRの上流プライマーは、(5’−CCGGCTAGCCACCATGGACTTTGGGCTGAGC−3’)(配列番号125)であり、下流プライマーは、(5’−AGTGCGGCCGCTCAACACTCTCCCCTGTTGAAGCTC−3’)(配列番号126)であ
る。PCR反応条件
は以下の通りである:95℃で5分間
;95℃で30秒間、56℃で30秒間、72℃で1分間を35サイクル
;72℃で7分間。PCR生成物をPTM5ベクターに結合した後、シークエンシング
により確認する。
【0051】
ステップ9:懸濁HEK293宿主細胞
株におけるGLP−1融合タンパク質の一過性発現
HEK293懸濁細胞をスピナーフラスコの中に接種し、トランスフェクションの前に
培養培地を換え
る。融合タンパク質軽/重鎖遺伝子を含むベクターを、DNA総量0.5〜1.5μg/mlの濃度で、1.5〜7.5μg/mlのポリエチレンイミン(PEI)と混合し、15〜25分間静置した後、
混合物を細胞培養
培地に加え
る。24時間後に
、細胞培養
培地に0.5〜1%の
トリプトンN1を加え
る。5〜10日間培養した後に
分泌されたGLP−1融合タンパク質を含む上澄を収集する。
【0052】
ステップ10:懸濁CHO宿主細胞
株におけるGLP−1融合タンパク質の安定発現
懸濁CHO細胞を6ウェルプレートに接種し、ステップ1におけるトランスフェクション条件で、融合タンパク質の発現ベクターをトランスフェクション
する。48時間後に、300mg/mlのハイグロマイシン(重鎖)および6mg/mlのピューロマイシン(軽鎖)を加え、共同選別を行
う。大量のアポトーシスが現れた後(死亡率>90%)、抗生物質濃度を徐々に下げ、余剰細
胞を回復
させ、
培養増殖のためにスピナーフラスコ
に移し、次いで上澄中の抗体の発現を確認
する。その後の培地において、半分の抗生物質濃度を保ち、
細胞のGLP−1融合タンパク質
を安定発現
させる。
【0053】
ステップ11:GLP−1融合タンパク質の細胞培養上澄からの精製および調製
細胞培養を遠心
分離してその中の細胞を除去し、その上澄
をプロテインG共役アフィニティー
クロマトグラフィーカラムを
通す。およそpH2.5〜3.5の溶出液で、発現したGLP−1融合タンパク質
にクロマトグラフィーカラ
ムから溶出
する。溶出チューブの中
の中和緩衝液
で、溶出液の低pH値を速やかに中和
する。溶出後に収集したタンパク質溶液をPBSに対して透析
する。
【0054】
ステップ12:レポーター遺伝子実験でのGLP−1融合タンパク質の
インビトロでのGLP−1
Rの
活性化機能の検出(
図2を参照)
各ウェルに20000個の、共発現hGLP1R−CRE−ルシフェラーゼのCHO−DHFR
(−
)細胞を96ウェル細胞培養プレートに接種し、37℃で一晩培養
する。
次の日に、培地上澄を除去
する。無血清培地で細胞表面を2回洗浄し、残液
も同様に除去し、さらに
抗体またはGLP−1の希釈および精製のために100μl
の無血清培地
を加え、37℃で4時間
インキュベートする。刺激の終了後、PromegaのBright Glo化学発光基質100μlを加え
る。最後に、細胞
溶解物を白色96ウェルプレートに移し、Molecular DevicesのSpectraMax L
マイクロプレートリーダーで相対発光強度を読み取
る。
【0055】
ステップ13:マウス(ICR)絶食状態での耐糖能試験
マウスの静脈内
耐糖能を測定し、本特許
に開示されたGLP−1融合タンパク質(好ましくは、抗体GLP−1(A8G)−LK−L13H13))の効果を評価
する。
マウスを4群
設け、各群に少なくとも3から5匹のマウスを含
める。I群は
対照群であり、同体積PBS
の腹腔内注射を受ける。II群は、15μg/匹の単回腹腔内注射を受け
る。III群は、5μg/匹の単回腹腔内注射を受け
る。注射後に、マウスに6〜16時間の絶食処置を行い、絶食の完了後、マウス血液試料を取り、その基礎血糖値を測定
する。次いで、
マウスに濃度1.5g/kgのグルコース胃ゾンデ経口投与を受けさせ
る。胃ゾンデ経口投与の後、15分、30分、60分、および90分後にその血液試料を採取し、血糖値を測定
する(
図3を参照)。
【0056】
ステップ14:耐糖能試験によるGLP−1融合タンパク質のマウス(C57BL)体内持効性(40時間)の検出
マウスの静脈内
耐糖能を測定し、本特許
に開示されたGLP−1融合タンパク質(好ましくは、抗体GLP−1(A8G)−LK−L13H13))
の持効性を評価
する。
マウスを2群設け、各群は少なくとも3から5匹のマウスを含
む。I群は
対照群であり、同体積PBS
の腹腔内注射を受けた。II群は、15μg/匹
の単回腹腔内注射を受け
た。注射の24時間後に、マウスに16時間の絶食処置を行い、絶食の完了後、マウス血液試料を取り、その基礎血糖値を測定
する。次いで、
マウスに濃度1.5g/kgのグルコース胃ゾンデ経口投与を受けさせた
。胃ゾンデ経口投与の後、15分、30分、60分、および90分後にその血液試料を採取し、血糖値を測定
する(
図4を参照)。
【0057】
ステップ15:GLP−1融合タンパク質による2型糖尿病マウス(db/dbマウス)の血糖値低下
への持効性研究(72時間)
異なる時点で2型糖尿病マウスの血糖値を測定し、本特許
に開示されたGLP−1融合タンパク質(好ましくは、抗体GLP−1(A8G)−LK−L13H13))による2型糖尿病マウス体内でのその血糖値低下の持効性を評価
する。
マウスを2群設け、各群に少なくとも6匹のマウスを含
む。注射開始前に、マウス血液試料を取り、その基礎血糖値を測定
する。その後、I群
(対照群)は、同体積PBS
の腹腔内注射を受け
た。II群は10nmol/kg濃度の
GLP−1融合タンパク質の単回腹腔内注射を受けた。注射後1、4、6、24、48、72時間後に、それぞれその血液試料を採取し、両群のマウスの血糖値を測定
する(
図5を参照)。
【0058】
ステップ16:GLP−1融合タンパク質による2型糖尿病マウス(db/dbマウス)の日摂食量減少
への持効性研究(120時間)
2型糖尿病マウス
の摂食量の変化を測定し、本特許
に開示されたGLP−1融合タンパク質(好ましくは、抗体GLP−1(A8G)−LK−L13H13))による2型糖尿病マウスの摂食レベ
ル低下の持効性を評価
する。このステップおよびステップ15は、同じロットのマウスで同時に行った。
マウスを2群設け、各群に少なくとも6匹のマウスを含
む。ステップ15の注射の3日前から注射の5日(120時間)後まで、毎朝同じ時間に各群のマウスの日摂食量を秤量した(
図6を参照)。
【0059】
以上に記載の実施例は、本発明の好ましい方式に過ぎず、本発明に対していかなる形式の限定を行うものでもなく、特許請求の範囲に記載の技術手法を超えない前提の下で、さらに他の変更および修正がある。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
以下のa、bおよびcのうちの1つを含むアミノ酸配列を含むことを特徴とする、GLP−1Rと特異的に結合可能な抗体:
a.配列番号46〜配列番号53、またはこの配列との差が合計で3個以下のアミノ酸が付加、置換および/または欠失された配列からなるL1〜L13軽鎖CDR3配列、
b.配列番号20〜配列番号27、またはこの配列との差が合計で4個以下のアミノ酸が付加、置換および/または欠失された配列からなるH1〜H13重鎖CDR3配列、及び
c.(a)の軽鎖CDR3配列および(b)の重鎖CDR3配列。
(構成2)
以下のa、b、cおよびdのうちの1つを含むアミノ酸配列を含むことを特徴とする、構成1記載のGLP−1Rと特異的に結合可能な抗体:
a.配列番号28〜配列番号37、またはこの配列との差が合計で3個以下のアミノ酸が付加、置換および/または欠失された配列からなるL1〜L13軽鎖CDR1配列、
b.配列番号38〜配列番号45、またはこの配列との差が合計で2個以下のアミノ酸が付加、置換および/または欠失された配列からなるL1〜L13軽鎖CDR2配列、
c.配列番号6〜配列番号12、またはこの配列との差が合計で2個以下のアミノ酸が付加、置換および/または欠失された配列からなるH1〜H13重鎖CDR1配列、
d.配列番号13〜配列番号19、またはこの配列との差が合計で3個以下のアミノ酸が付加、置換および/または欠失された配列からなるH1〜H13重鎖CDR2配列。
(構成3)
以下のa、bおよびcのうちの1つを含むアミノ酸配列を含むことを特徴とする、GLP−1Rと特異的に結合可能な抗体:
a.以下のi、iiおよびiiiのうちの少なくとも1つの配列を含む、軽鎖可変領域:
i.配列番号28〜配列番号37のうちの1つの軽鎖CDR1配列;
ii.配列番号38〜配列番号45のうちの1つの軽鎖CDR2配列;
iii.配列番号46〜配列番号53のうちの1つの軽鎖CDR3配列;
b.以下のi、iiおよびiiiのうちの少なくとも1つの配列を含む、重鎖可変領域:
i.配列番号6〜配列番号12のうちの1つの重鎖CDR1配列;
ii.配列番号13〜配列番号19のうちの1つの重鎖CDR2配列;
iii.配列番号20〜配列番号27のうちの1つの重鎖CDR3配列;
c.(a)の軽鎖可変領域配列および(b)の重鎖可変領域配列。
(構成4)
以下のa、bおよびcのうちの1つを含むアミノ酸配列を含むことを特徴とする、GLP−1Rと特異的に結合可能な抗体:
a.以下のiおよびiiのうちの少なくとも1つの配列を含む、軽鎖可変領域:
i.配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105のいずれかと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む、L1〜L13の軽鎖可変領域配列;
ii.配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104のいずれかと少なくとも80%同一性を有するポリヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列を含む、L1〜L13の軽鎖可変領域配列;
b.以下のiおよびiiのうちの少なくとも1つの配列を含む、重鎖可変領域:
i.配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79のいずれかと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む、H1〜H13の重鎖可変領域配列;
ii.配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78のいずれかと少なくとも80%同一性を有するポリヌクレオチド配列にコードされるアミノ酸配列を含む、H1〜H13の重鎖可変領域配列;
c.(a)の軽鎖可変領域配列および(b)の重鎖可変領域配列。
(構成5)
さらに以下のa、bおよびcのうちの1つを含むアミノ酸配列を含むことを特徴とする、構成4記載のGLP−1Rと特異的に結合可能な抗体:
a.配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105のいずれかを含む、L1〜L13の軽鎖可変領域配列;
b.配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79のいずれかを含む、H1〜H13の重鎖可変領域配列;
c.(a)の軽鎖可変領域配列および(b)の重鎖可変領域配列。
(構成6)
前記(c)における(a)の軽鎖可変領域配列と(b)の重鎖可変領域配列の組み合わせが、L1H1、L2H2、L3H3、L4H4、L5H5、L6H6、L7H7、L8H8、L9H9、L10H10、L11H11、L12H12、L13H13のいずれかから選択されることを特徴とする、構成5に記載のGLP−1Rと特異的に結合可能な抗体。
(構成7)
a.配列番号106の軽鎖定常領域アミノ酸配列、
b.配列番号107の軽鎖定常領域アミノ酸配列、
c.配列番号108の重鎖定常領域アミノ酸配列、
d.配列番号109の重鎖定常領域アミノ酸配列、
e.配列番号106の軽鎖定常領域アミノ酸配列および配列番号108の重鎖定常領域アミノ酸配列、
f.配列番号107の軽鎖定常領域アミノ酸配列および配列番号108の重鎖定常領域アミノ酸配列、
g.配列番号106の軽鎖定常領域アミノ酸配列および配列番号109の重鎖定常領域アミノ酸配列、
h.配列番号107の軽鎖定常領域アミノ酸配列および配列番号109の重鎖定常領域アミノ酸配列
のいずれか1つをさらに含むことを特徴とする、構成6に記載のGLP−1Rと特異的に結合可能な抗体。
(構成8)
マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え抗体、抗原結合抗体フラグメント、1本鎖抗体、2本鎖抗体、3本鎖抗体、4本鎖抗体、Fabフラグメント、F(fa’)xフラグメント、ドメイン抗体、IgD抗体、IgE抗体、IgM抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、IgG4抗体から選択されることを特徴とする、構成1または3または4に記載のGLP−1Rと特異的に結合可能な抗体。
(構成9)
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号127のうちの1つのアミノ酸配列を含むGLP−1と、構成1または3または4に記載の抗体とを含むことを特徴とする、GLP−1融合タンパク質。
(構成10)
GLP−1が、N’−R1−L−R2−C’、N’−R2−L−R1−C’またはN’−R2−L−R1r−C’
(式中、Lは、LK1〜LK3のアミノ酸配列:配列番号110、配列番号111、配列番号112から選択されるいずれかの、全長の、部分的なまたは反復したアミノ酸配列を含むペプチドリンカー配列であり、
R1は、GLP−1のアミノ酸配列であり、
R1rは、GLP−1の逆方向アミノ酸配列であり、
R2は、構成1または3または4に記載の抗体の軽鎖または重鎖のアミノ酸配列であり、
C’は、GLP−1融合タンパク質ポリペプチド鎖のヒドロキシル残基末端を表し、
N’は、GLP−1融合タンパク質ポリペプチド鎖のアミノ残基末端を表す)
の結合方式により構成1または3または4に記載の抗体の軽鎖および/または重鎖と融合されることを特徴とする、構成9に記載のGLP−1融合タンパク質。
(構成11)
構成9に記載のGLP−1融合タンパク質をコードすることを特徴とするポリヌクレオチド。
(構成12)
構成11に記載のポリヌクレオチドを含むことを特徴とするベクター。
(構成13)
構成12に記載のベクターを含むことを特徴とする宿主細胞。
(構成14)
医薬的に許容される担体と混合された構成9に記載のGLP−1融合タンパク質を含むことを特徴とする医薬組成物。
(構成15)
インスリン非依存型糖尿病の予防または治療に用いる医薬品を製造する構成14に記載の医薬組成物の使用。