(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記第1把持装置および前記第2把持装置の少なくとも一方の回転が終了してから、前記第1クランプおよび前記第2クランプのそれぞれの回転を終了させるように構成されている、請求項2に記載の線状部材のツイスト装置。
前記制御装置は、前記第1把持装置および前記第2把持装置の少なくとも一方の回転が終了してから、前記第1クランプおよび前記第2クランプのそれぞれの回転を開始させるように構成されている、請求項2に記載の線状部材のツイスト装置。
前記制御装置は、前記第1把持装置および前記第2把持装置の少なくとも一方の回転が終了する前に、前記第1クランプおよび前記第2クランプのそれぞれの回転を開始させるように構成されている、請求項2に記載の線状部材のツイスト装置。
前記制御装置は、更に、前記第1把持装置および前記第2把持装置の少なくとも一方の回転を開始させる前に、当該回転の方向と逆方向に前記第1クランプおよび前記第2クランプのそれぞれを回転させるように構成されている、請求項2〜5のいずれか一つに記載の線状部材のツイスト装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ツイスト装置では、互いに離間した第1クランプおよび第2クランプによって線状部材の端部を把持するので、線状部材の端部同士を撚り合わせることはできない。ここで、線状部材のうち撚り合わされた部分(言い換えると、互いに接触している部分)を「撚り合わせ部分」と言い、撚り合わされていない部分を「非撚り合わせ部分」と言う。非撚り合わせ部分の長さ、すなわち、撚り合わせ部分の一端と線状部材の一端との間の長さのことを、「撚り残し長さ」という。上記ツイスト装置では、第1クランプおよび第2クランプを公転させることにより両電線をある程度の回数撚り合わせた後では、両クランプをそれ以上公転させても撚り残し長さは短くならない。そのため、撚り残し長さを調整することができないという課題があった。特にツイスト電線の場合、撚り残し長さが長いと、特性インピーダンスが上昇し、特性インピーダンスを所望の範囲内に収めにくくなるという課題が生じる。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の線状部材を良好に撚り合わせることができると共に、撚り残し長さを調整することができる線状部材のツイスト装置およびツイスト方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は鋭意研究の結果、複数の線状部材をある程度の回数撚り合わせた後では、線状部材を把持するクランプを更に公転させても撚り残し長さは実質的に変化しないが、クランプを自転させると撚り残し長さが変化するという知見を得るに至った。そして、その知見に基づいて以下の発明をなすに至った。
【0009】
本発明に係る線状部材のツイスト装置は、少なくとも第1線状部材および第2線状部材を撚り合わせる線状部材のツイスト装置であって、前記第1線状部材の一端部と前記第2線状部材の一端部とを把持する第1把持装置と、前記第1線状部材の他端部と前記第2線状部材の他端部とを把持する第2把持装置と、前記第1線状部材の前記一端部を把持する第1クランプおよび前記第2線状部材の前記一端部を把持する第2クランプ、または、前記第1線状部材の前記他端部を把持する第1クランプおよび前記第2線状部材の前記他端部を把持する第2クランプと、前記第1把持装置および前記第2把持装置の少なくとも一方を回転させる公転駆動機構と、前記第1クランプおよび前記第2クランプのそれぞれを回転させる自転駆動機構と、前記公転駆動機構および前記自転駆動機構を制御する制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記第1把持装置および前記第2把持装置の少なくとも一方の回転を開始した後に、前記第1クランプおよび前記第2クランプのそれぞれの回転を開始するように構成されている。
【0010】
上記ツイスト装置では、公転駆動機構が第1把持装置および第2把持装置の少なくとも一方を回転させると、第1線状部材および第2線状部材の一端部および/または他端部が一括して回転し、第1線状部材と第2線状部材とが撚り合わされる。一方、自転駆動機構が第1クランプおよび第2クランプのそれぞれを回転させると、第1線状部材の一端部が第1線状部材の中心軸回りに回転し、第2線状部材の一端部が第2線状部材の中心軸回りに回転する。上記ツイスト装置によれば、第1把持装置および第2把持装置の少なくとも一方が回転(すなわち公転)を開始した後に、第1クランプおよび第2クランプはそれぞれ回転(すなわち自転)を開始する。そのため、第1線状部材および第2線状部材は、ある程度撚り合わされた後、撚り合わされると同時に捩られ、あるいは、撚り合わせが終了した後に捩られる。その結果、公転を開始した後に自転を行わない場合と異なり、撚り残し長さを調整することができる。
【0011】
本発明の好ましい一態様によれば、前記第1クランプおよび前記第2クランプの両方が、前記第1把持装置または前記第2把持装置に備えられている。
【0012】
上記態様によれば、第1クランプおよび第2クランプがそれぞれ第1線状部材および第2線状部材を把持したまま、第1把持装置および第2把持装置の少なくとも一方を回転させることができる。そのため、第1線状部材および第2線状部材を持ち替えることなく、公転と自転とを行うことができる。
【0013】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記制御装置は、前記第1把持装置および前記第2把持装置の少なくとも一方の回転が終了してから、前記第1クランプおよび前記第2クランプのそれぞれの回転を終了させるように構成されている。
【0014】
上記態様によれば、公転と共に自転を行った後、または、公転の終了後、自転のみを行うことができる。これにより、撚り残し長さを安定して調整することができる。
【0015】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記制御装置は、前記第1把持装置および前記第2把持装置の少なくとも一方の回転が終了してから、前記第1クランプおよび前記第2クランプのそれぞれの回転を開始させるように構成されている。
【0016】
上記態様によれば、公転の終了後、自転のみを行うことができる。これにより、撚り残し長さを安定して調整することができる。
【0017】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記制御装置は、前記第1把持装置および前記第2把持装置の少なくとも一方の回転が終了する前に、前記第1クランプおよび前記第2クランプのそれぞれの回転を開始させるように構成されている。
【0018】
上記態様によれば、公転が終了する前に、公転と自転とが同時に行われる。そのため、線状部材を撚り合わせる時間(撚り残し長さを調整する時間を含む)を短縮することができる。なお、公転と自転とが同時に行われた後には、自転のみが行われてもよく、自転が行われなくてもよい。
【0019】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記制御装置は、更に、前記第1把持装置および前記第2把持装置の少なくとも一方の回転を開始させる前に、当該回転の方向と逆方向に前記第1クランプおよび前記第2クランプのそれぞれを回転させるように構成されている。
【0020】
上記態様によれば、第1線状部材および第2線状部材が予め公転の回転方向と逆方向に捩られるので、公転の際に第1線状部材と第2線状部材との密着性を高めることができる。よって、第1線状部材と第2線状部材とをより好適に撚り合わせることができる。
【0021】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第1クランプおよび前記第2クランプは、前記第1把持装置に備えられ、前記公転駆動機構は、前記第1把持装置を回転させるように構成されている。
【0022】
上記態様によれば、撚り残し長さの調整が可能な好適な機構を得ることができる。
【0023】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第1クランプおよび前記第2クランプは、前記第1把持装置に備えられ、前記公転駆動機構は、前記第2把持装置を回転させるように構成されている。
【0024】
上記態様によれば、撚り残し長さの調整が可能な好適な機構を得ることができる。
【0025】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第1線状部材の一端部と前記第2線状部材の一端部とを把持する第3把持装置と、前記第1把持装置から前記第3把持装置に前記第1線状部材および前記第2線状部材の前記一端部を搬送する搬送装置と、を更に備えている。前記第1クランプおよび前記第2クランプは、前記第3把持装置に備えられている。前記制御装置は、前記第1把持装置および前記第2把持装置の少なくとも一方の回転が終了してから、前記搬送装置を駆動した後、前記第1クランプおよび前記第2クランプのそれぞれの回転を開始させるように構成されている。
【0026】
上記態様によれば、公転は第1把持装置および第2把持装置の少なくとも一方によって行われ、自転は第3把持装置によって行われる。公転と公転後の自転とは、別々の場所で行われる。そのため、複数組の線状部材の撚り合わせを順次行う場合、一組の線状部材の公転と、他の一組の線状部材の自転とを同時に行うことができる。よって、複数組の線状部材の撚り合わせを順次行う場合、全体の作業時間を短縮することができる。
【0027】
本発明に係る線状部材のツイスト方法は、少なくとも第1線状部材および第2線状部材を撚り合わせる線状部材のツイスト方法であって、前記第1線状部材の一端部および前記第2線状部材の一端部を把持するとともに、前記第1線状部材の他端部および前記第2線状部材の他端部を把持する把持工程と、前記第1線状部材および前記第2線状部材の一端部、および/または、前記第1線状部材および前記第2線状部材の他端部を一括して回転させる公転工程と、前記第1線状部材および前記第2線状部材の一端部をそれぞれ回転させ、および/または、前記第1線状部材および前記第2線状部材の他端部をそれぞれ回転させる自転工程と、を含み、前記公転工程を開始した後に前記自転工程を開始する。
【0028】
上記ツイスト方法によれば、第1線状部材および第2線状部材を良好に撚り合わせることができると共に、撚り残し長さを調整することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、複数の線状部材を良好に撚り合わせることができると共に、撚り残し長さを調整することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る線状部材のツイスト装置は、線状部材としての2本の電線C1,C2(以下、電線C1,C2をそれぞれ第1電線、第2電線という)を撚り合わせるツイスト装置1である。
図3に示すように、各電線C1,C2は、金属等の導体からなる心線151と、ビニル樹脂等の絶縁体からなり、心線151の周囲を覆う被覆152とを備えている。両電線C1,C2には端部処理が施されていてもよい。例えば、
図3に示すように、両電線C1,C2の端部の被覆152は剥ぎ取られていてもよい。また、両電線C1,C2の端部に端子(図示せず)が圧着されていてもよい。
【0032】
図1に示すように、ツイスト装置1は、レール4と、レール4に支持された第1把持ユニット51および第2把持ユニット52とを備えている。第1把持ユニット51および第2把持ユニット52の少なくとも一方は、レール4にスライド可能に支持されている。本実施形態では、第1把持ユニット51がレール4にスライド可能に支持されている。ただし、第2把持ユニット52がレール4にスライド可能に支持されていてもよく、第1把持ユニット51および第2把持ユニット52の両方がレール4にスライド可能に支持されていてもよい。
【0033】
以下の説明では、図中の符号F、Rrをそれぞれ前方、後方とする。ただし、これらは説明の便宜上定めた方向に過ぎず、ツイスト装置1の実際の設置態様を何ら限定するものではない。レール4は前後方向に延びている。第1把持ユニット51は第2把持ユニット52の前方に配置されている。
【0034】
第1把持ユニット51は、第1電線C1の前端部と第2電線C2の前端部とを把持する第1把持装置11を備えている。第1把持装置11は、第1電線C1の前端部を把持する第1クランプ2aと、第2電線C2の前端部を把持する第2クランプ2bと、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bを保持するホルダ15とを備えている。第2把持ユニット52は、第1電線C1の後端部と第2電線C2の後端部とを把持する第2把持装置12を備えている。第2把持装置12は、第1電線C1の後端部を保持する第3クランプ2cと、第2電線C2の後端部を保持する第4クランプ2dと、第3クランプ2cおよび第4クランプ2dを保持するホルダ15とを備えている。
【0035】
まず、第1把持ユニット51の構成について説明する。第1把持ユニット51は、レール4に係合したベース5と、ベース5に支持されたユニット本体7とを備えている。ユニット本体7は縦板7aおよび縦板7bを有している。縦板7aは縦板7bの前方に配置されている。縦板7aの前側部分には、第1モータ3aおよび第2モータ3bが固定されている。第1モータ3aに連結された回転軸8は、縦板7aおよび縦板7bを貫通している。回転軸8の後端にはギア18が固定されている。ギア18は縦板7bの後方に配置されている。ギア18の下方にはギア13が配置され、ギア13の下方にはギア14が配置されている。ギア13はギア18と噛み合っており、ギア14の前端部はギア13と噛み合っている。ギア14の後端部の側方には、ギア16およびギア17が配置されている。ギア14はギア16とギア17との間に配置されている。ギア14は、ギア16およびギア17と噛み合っている。
【0036】
図4は、第1把持ユニット51の一部を破断して示す第1把持ユニット51の平面図である。第1クランプ2aおよび第2クランプ2bは、シャフト20と、圧縮ばね23と、一対のグリップアーム22と、シャフト20とグリップアーム22とを連結するリンク21とを備えている。リンク21は、第1リンクバー21aと、第1リンクバー21aに回転可能に連結された第2リンクバー21bとを有している。第1クランプ2aのシャフト20は、ギア16およびホルダ15を貫通している。第1クランプ2aのシャフト20は、ギア16およびホルダ15に対して、シャフト20の軸方向に移動可能に支持されている。第1クランプ2aのシャフト20は、ギア16に回転不能に支持され、ホルダ15に回転可能に支持されている。第2クランプ2bのシャフト20は、ギア17およびホルダ15を貫通している。第2クランプ2bのシャフト20は、ギア17およびホルダ15に対して、シャフト20の軸方向に移動可能に支持されている。第2クランプ2bのシャフト20は、ギア17に回転不能に支持され、ホルダ15に回転可能に支持されている。
【0037】
第1クランプ2aおよび第2クランプ2bのシャフト20の前端部には、シャフト20よりも外径が大きい被押圧部20aが設けられている。第1クランプ2aおよび第2クランプ2bのシャフト20の後端部は、リンク21の第1リンクバー21aに連結されている。シャフト20とグリップアーム22とは、リンク21を介して連結されている。シャフト20とグリップアーム22とは、シャフト20がグリップアーム22の方に移動するとグリップアーム22が開き、シャフト20がグリップアーム22側と反対側に移動するとグリップアーム22が閉じるように連結されている。第1クランプ2aの圧縮ばね23は、ギア16とシャフト20の被押圧部20aとの間に介在している。第2クランプ2bの圧縮ばね23は、ギア17とシャフト20の被押圧部20aとの間に介在している。シャフト20は圧縮ばね23により、グリップアーム22側と反対側に引っ張られている。圧縮ばね23は、グリップアーム22を閉じる方に付勢している。
【0038】
縦板7aと縦板7bとの間には、グリップ用アクチュエータ24が配置されている。グリップ用アクチュエータ24は、シャフト20をグリップアーム22の方に押す力を発生させるものである。本実施形態では、グリップ用アクチュエータ24はエアシリンダによって構成されている。ただし、グリップ用アクチュエータ24はエアシリンダに限らず、モータ等の他のアクチュエータであってもよい。グリップ用アクチュエータ24は、シリンダ24aと、ロッド24bと、ロッド24bの先端に設けられた押圧部24cとを備えている。グリップ用アクチュエータ24がONされるとロッド24bが伸張し、
図5に示すように、押圧部24cがシャフト20の被押圧部20aをグリップアーム22側に押す。これにより、グリップアーム22が開かれる。一方、グリップ用アクチュエータ24がOFFされるとロッド24bが収縮し、押圧部24cはシャフト20の被押圧部20aから離れる。その結果、シャフト20は圧縮ばね23の力により、グリップアーム22側と反対側に引っ張られ、グリップアーム22が閉じられる(
図4参照)。
【0039】
図1に示すように、第2モータ3bに連結された回転軸9は、縦板7aおよび縦板7bを貫通している。回転軸9は更にギア14を貫通し、ホルダ15に固定されている(
図4も参照)。回転軸9はギア14に対して回転可能である。ホルダ15は、回転軸9と共に回転するようになっている。
【0040】
第2モータ3bを停止させつつ第1モータ3aを駆動すると、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bをそれぞれ回転させることができる。すなわち、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bを自転させることができる。詳しくは、第1モータ3aを駆動すると回転軸8が回転する。回転軸8が回転するとギア18が回転する。ギア16およびギア17はギア13およびギア14を介してギア18と連結されているので、ギア18が回転すると、ギア16およびギア17も回転する。よって、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bのシャフト20が回転し、それに伴って、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bのグリップアーム22が回転する。本実施形態では、第1モータ3a、回転軸8およびギア13〜18により、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bのそれぞれを回転させる「自転駆動機構」が構成されている。
【0041】
第2モータ3bを駆動すると、第1把持装置11を回転させることができる。すなわち、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bを一括して回転させることができ、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bを公転させることができる。詳しくは、第2モータ3bを駆動すると、回転軸9が回転する。回転軸9はホルダ15に固定されているので、回転軸9が回転するとホルダ15が回転する。第1クランプ2aおよび第2クランプ2bはホルダ15に支持されているので、ホルダ15の回転に伴って、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bは一括して回転する。本実施形態では、第2モータ3bおよび回転軸9により、第1把持装置11を回転させる「公転駆動機構」が構成されている。
【0042】
第1把持ユニット51は、ベース5をレール4に沿って移動させるモータ等を有する移動装置6を備えている。移動装置6の構成は特に限定されず、公知の各種の装置を用いることができる。例えば、図示は省略するが、移動装置6は、ベース5に連結された伝動ベルトと、伝動ベルトに巻かれたプーリと、プーリに連結されたモータとを備えていてもよい。
【0043】
以上が第1把持ユニット51の構成である。第2把持ユニット52は、ベース5がレール4に移動不能に固定されている点を除けば、第1把持ユニット51と同様の構成を有している。第2把持ユニット52は第1把持ユニット51と前後対称の構成を備えている。第2把持ユニット52は、第1クランプ2a、第2クランプ2b、第1モータ3a、第2モータ3bの代わりに、それぞれ第3クランプ2c、第4クランプ2d、第3モータ3c、第4モータ3dを備えている。その他の構成は第1把持ユニット51と同様であるので、同様の構成要素には同様の符号を付し、それらの説明は省略することとする。
【0044】
ツイスト装置1は、前述の公転駆動機構および自転駆動機構を制御する制御装置30を備えている。制御装置は、第1モータ3a、第2モータ3b、第3モータ3c、第4モータ3d、グリップ用アクチュエータ24、および移動装置6と通信可能に接続されており、それらを制御する。制御装置30の構成は何ら限定されないが、例えば、マイクロコンピュータによって構成されている。制御装置30はツイスト装置1用の専用の制御装置であってもよく、パーソナルコンピュータ等の汎用の制御装置であってもよい。
【0045】
本実施形態では制御装置30は、把持制御部31と、第1自転制御部32と、公転制御部33と、第2自転制御部34とを有している。これら各制御部31〜34は、コンピュータが所定のプログラムを実行することにより実現される。これら各制御部31〜34は同一または他のプロセッサによって構成される。
【0046】
次に、
図7のフローチャートを参照しながら、ツイスト装置1の動作の一例について説明する。まず、把持工程S1が行われる。把持工程S1では、把持制御部31が第1把持ユニット51および第2把持ユニット52のグリップ用アクチュエータ24を駆動する。これにより、第1把持ユニット51および第2把持ユニット52が第1電線C1および第2電線C2を把持する。詳しくは、第1クランプ2aが開閉され、第1クランプ2aが第1電線C1の前端部を把持する。第2クランプ2bが開閉され、第2クランプ2bが第2電線C2の前端部を把持する。第3クランプ2cが開閉され、第3クランプ2cが第1電線C1の後端部を把持する。第4クランプ2dが開閉され、第4クランプ2dが第2電線C2の後端部を把持する。これにより、第1電線C1および第2電線C2は、平行に並べられる(
図1参照)。
【0047】
次に、自転工程S2が行われる。自転工程S2では、第1自転制御部32により、第1モータ3aおよび第3モータ3cが駆動される。すると、第1モータ3aの回転軸8は、
図1のR1の方向に回転する。第3モータ3cの回転軸8は、R1と逆の回転方向であるR2の方向に回転する。第1クランプ2aおよび第2クランプ2bはそれぞれR2の方向に回転し、第3クランプ2cおよび第4クランプ2dはそれぞれR1の方向に回転する。これにより、第1電線C1の前端部と後端部とは互いに逆方向に回転し、第2電線C2の前端部と後端部とは互いに逆方向に回転する。その結果、第1電線C1および第2電線C2はそれぞれ捩られる。
【0048】
次に、公転工程S3が行われる。すなわち、第1モータ3aおよび第3モータ3cが停止すると、公転制御部33が第2モータ3bおよび第4モータ3dを駆動する。すると、第2モータ3bの回転軸9はR1の方向に回転し、第4モータ3dの回転軸9はR2の方向に回転する。これにより、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bは一括してR1の方向に回転し、第3クランプ2cおよび第4クランプ2dは一括してR2の方向に回転する。第1〜第4クランプ2a〜2dは、自転の方向と反対方向に公転する。これにより、第1電線C1と第2電線C2とが撚り合わされる(
図2参照)。なお、第1電線C1および第2電線C2が撚り合わされると、それら電線C1,C2の見かけ上の長さ(言い換えると前後方向の長さ)は短くなる。そこで、制御装置30は、移動装置6を駆動し、電線C1,C2の撚り合わせが進むにつれて第1把持ユニット51と第2把持ユニット52との距離が短くなるように、第1把持ユニット51のベース5を移動させる。
【0049】
ところで、第1クランプ2aと第2クランプ2bとは、ツイスト電線CTの長手方向と垂直な方向に離間している。同様に、第3クランプ2cと第4クランプ2dとは、ツイスト電線CTの長手方向と垂直な方向に離間している。
図2に示す状態では、第1クランプ2aと第2クランプ2bとは左右方向に離間し、第3クランプ2cと第4クランプ2dとは左右方向に離間している。そのため、第1電線C1と第2電線C2とを先端まで撚り合わせることはできない。
図3に示すように、ツイスト電線CTには、第1電線C1と第2電線C2とが撚り合わされた部分(以下、撚り合わせ部という)Csの他に、第1電線C1と第2電線C2とが撚り合わされていない部分(以下、非撚り合わせ部という)Crが生じる。ここでは、第1電線C1と第2電線C2とが接触している部分が撚り合わせ部Csであり、第1電線C1と第2電線C2とが接触していない部分が非撚り合わせ部Crである。
【0050】
本願発明者は、鋭意研究の結果、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bを公転させて第1電線C1および第2電線C2をある程度の回数撚り合わせた後では、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bをそれ以上公転させても、撚り合わせ部Csの末端Ccの位置は実質的に変わらず、撚り合わせ部Csの撚り合わせピッチPが短くなるだけで、非撚り合わせ部Crの長さ(以下、撚り残し長さという)Lは実質的に短くならないことを見出した。更に、第1電線C1および第2電線C2をある程度の回数撚り合わせた後では、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bを自転させると、撚り合わせの回数は変わらないが、撚り合わせ部Csの長さが変化して撚り残し長さLが変わることを見出した。詳しくは、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bをそれぞれ公転の回転方向と同じ方向に自転させると撚り残し長さLが長くなり、公転の回転方向と逆方向に自転させると撚り残し長さLが短くなることを見出した。
【0051】
本ツイスト装置1では、上記知見に基づき、ツイスト電線CTの撚り残し長さLを短くするために、公転工程S3の後に、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bのそれぞれを公転の方向と逆方向に回転させ、第3クランプ2cおよび第4クランプ2dのそれぞれを公転の方向と逆方向に回転させる自転工程S4を行うこととした。すなわち、公転制御部33が第2モータ3bおよび第4モータ3dを停止した後、第2自転制御部34は、第1モータ3aおよび第3モータ3cを駆動する。第2自転制御部34は、第1モータ3aの回転軸8がR1の方向に回転するように第1モータ3aを駆動し、第3モータ3cの回転軸8がR2の方向に回転するように第3モータ3cを駆動する。これにより、
図8に示すように、第1電線C1および第2電線C2の末端Ccが先端側に移動し、ツイスト電線CTの撚り残し長さLが短くなる。
【0052】
自転工程S4が終了すると、ツイスト電線CTを回収する回収工程S5が行われる。回収工程S5では、把持制御部31が第1把持ユニット51および第2把持ユニット52のグリップ用アクチュエータ24を駆動する。すると、第1〜第4クランプ2a〜2dは開閉され、ツイスト電線CTが回収される。ツイスト電線CTの回収の方法は特に限定されない。例えば、ツイスト電線CTを把持する把持装置(図示せず)を備え、第1把持ユニット51および第2把持ユニット52から上記把持装置にツイスト電線CTを受け渡すようにしてもよい。また、第1〜第4クランプ2a〜2dを開くとツイスト電線CTは自重により落下するので、レール4の下方に回収トレイ(図示せず)を設けておき、その回収トレイにツイスト電線CTを回収するようにしてもよい。
【0053】
以上のように、本実施形態に係るツイスト装置1によれば、第1把持装置11および第2把持装置12が回転する(言い換えると、第1〜第4クランプ2a〜2dが公転する)ことによって第1電線C1および第2電線C2を撚り合わせた後、第1〜第4クランプ2a〜2dを自転させることとしたので、ツイスト電線CTの撚り残し長さLを調整することができる。本実施形態では、自転工程S4において、第1〜第4クランプ2a〜2dを公転の方向と逆方向に自転させることとしたので、ツイスト電線CTの撚り残し長さLを短くすることができる。よって、ツイスト電線CTの特性インピーダンスの上昇を抑えることができ、特性インピーダンスを所望の範囲内に容易に収めることができる。本実施形態に係るツイスト装置1によれば、良好なツイスト電線CTを得ることができる。
【0054】
本実施形態では、第1〜第4クランプ2a〜2dを公転させる前に、自転工程S2において、第1〜第4クランプ2a〜2dのそれぞれを公転の回転方向と逆方向に自転させることとした。この自転により、第1電線C1および第2電線C2は予め公転の方向と逆方向に捩られる。そのため、第1電線C1および第2電線C2には、公転の方向に戻ろうとする復元力が生じる。上記復元力は、第1〜第4クランプ2a〜2dを公転させる際に、第1電線C1および第2電線C2を互いに密着させるような力として作用する。そのため、本実施形態によれば、第1電線C1と第2電線C2との密着性が高まり、第1電線C1と第2電線C2との間に隙間が生じにくい。よって、所望のインピーダンス特性を有する良好なツイスト電線CTを得ることができる。
【0055】
本実施形態では、公転工程S3の終了後に自転工程S4を開始する。公転の終了後、自転のみが行われる。そのため、自転工程S4をより安定して実行することができる。すなわち、第1〜第4クランプ2a〜2dを公転させることにより第1電線C1および第2電線C2を撚り合わせた後、第1〜第4クランプ2a〜2dを自転させることにより、ツイスト電線CTの撚り残し長さLを調整する作業をより安定して行うことができる。
図9は、公転工程S3の開始時間t31、終了時間t32、自転工程S4の開始時間t41、および終了時間t42の関係を示すタイムチャートである。横軸tは時間を表している。自転工程S4の開始時間t41は公転工程S3の終了時間t32と同時であってもよく、
図9に示すように終了時間t32よりも遅い時間であってもよい。
【0056】
ただし、前記実施形態は一例に過ぎない。自転工程S4は公転工程S3が開始された後に開始されればよく、自転工程S4の開始時は必ずしも公転工程S3の終了後に限られない。
【0057】
図10(a)〜(c)に示すように、自転工程S4の開始時間t41は、公転工程S3の終了時間t32よりも前であってもよい。この場合、自転工程S4の終了時間t42は、公転工程S3の終了時間t32よりも後であってもよく(
図10(a)参照)、前であってもよく(
図10(b)参照)、同時であってもよい(
図10(c)参照)。
図10(a)〜(c)に示す変形例では、公転工程S3と自転工程S4とが重なる時間がある。その際には、第1モータ3aおよび第2モータ3bは同時に駆動し、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bは公転すると共に自転する。同様に、第3モータ3cおよび第4モータ3dは同時に駆動し、第3クランプ2cおよび第4クランプ2dは公転すると共に自転する。
図10(d)に示すように、公転工程S3の後に自転工程S4を行い、その自転工程S4の少なくとも一部と同時に他の公転工程S3aを行ってもよい。
【0058】
図10(a)〜(c)に示す変形例によれば、公転工程S3と自転工程S4の少なくとも一部が重なっているため、公転工程S3および自転工程S4の全体の時間を短縮することができる。したがって、良好なツイスト電線CTをより短い時間で作製することができる。
【0059】
なお、
図10(a)に示す変形例によれば、公転工程S3と自転工程S4の一部とが重なると共に、自転工程S4の残りは公転工程S3の終了後に行われる。そのため、公転工程S3および自転工程S4の全体の時間を短縮しつつ、公転工程S3の終了後は自転工程S4を安定して行うことができる。
【0060】
ここでは、自転工程S4の所要時間(t41からt42までの時間)が、公転工程S3の所要時間(t31からt32までの時間)よりも短い場合について説明したが、自転工程S4の所要時間は公転工程S3の所要時間よりも長くてもよく、等しくてもよい。
【0061】
図11に模式的に示すように、前記実施形態では、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bは第1把持装置11に備えられ、第3クランプ2cおよび第4クランプ2dは第2把持装置12に備えられている。第1把持装置11および第2把持装置12の両方が回転可能であり、第1〜第4クランプ2a〜2dの全てが回転可能である。しかし、第1把持装置11および第2把持装置12の構成は特に限定されない。次に、第1把持装置11および第2把持装置12の構成が異なる変形例について説明する。
【0062】
図12に示すように、第2把持装置12は回転可能な第3クランプ2cおよび第4クランプ2dを備えておらず、回転不能に構成されていてもよい。本変形例では、第1モータ3aおよび第2モータ3bを備えているが、第3モータ3cおよび第4モータ3dは不要である。公転工程S3は第1把持装置11が回転することによって行われ、自転工程S2およびS4は、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bが回転することによって行われる。本変形例によれば、第2把持装置12には回転機構が不要である。そのため、第2把持装置12の構成を簡素化することができる。第2把持装置12は、第1電線C1および第2電線C2の両方を把持する単一のクランプを備えていてもよい。単一のクランプにより両電線C1,C2を把持することとすれば、第2把持装置12における第1電線C1の把持位置と第2電線C2の把持位置とをより近づけることができる。そのため、ツイスト電線CTの第2把持装置12側における撚り残し長さを、より短くすることができる。
【0063】
図13に示す変形例では、第1把持装置11は回転可能な第1クランプ2aおよび第2クランプ2bを備えているが、回転不能に構成されている。第2把持装置12は、回転可能な第3クランプ2cおよび第4クランプ2dを備えておらず、回転可能に構成されている。本変形例では、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bを回転させるモータと、第2把持装置12を回転させるモータとを備えている。公転工程S3は、第2把持装置12が回転することによって行われる。自転工程S2およびS4は、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bが回転することによって行われる。本変形例によれば、一つの把持装置が公転のための機構と自転のための機構とを併せ持つ必要がない。そのため、第1把持装置11および第2把持装置12の構成を簡素化することができる。なお、本変形例においても、第2把持装置12は、第1電線C1および第2電線C2の両方を把持する単一のクランプを備えていてもよい。本変形例においても、ツイスト電線CTの第2把持装置12側における撚り残し長さを、より短くすることができる。
【0064】
本実施形態では、公転工程S3および自転工程S4は第1把持ユニット51および第2把持ユニット52により行われる。第1把持装置11および第2把持装置12は、第1電線C1および第2電線C2を持ち替えることなく公転および自転を行うことができる。
【0065】
(第2実施形態)
第1実施形態は、一対の把持ユニット51,52により公転工程S3および自転工程S4の両方を行うものである。しかし、公転工程S3および自転工程S4を、別々の把持ユニットにより行ってもよい。
【0066】
図14に示すように、ツイスト装置1は、両電線C1,C2の一端部を把持する第1把持装置11と、両電線C1,C2の他端部を把持する第2把持装置12とに加えて、両電線C1,C2の一端部を把持する第3把持装置11Aと、両電線C1,C2の他端部を把持する第4把持装置12Aとを備えていてもよい。ツイスト装置1は、更に、両電線C1,C2の一端部を第1把持装置11から第3把持装置11Aに搬送する第1搬送装置61と、両電線C1,C2の他端部を第2把持装置12から第4把持装置12Aに搬送する第2搬送装置62とを備えている。本実施形態のツイスト装置1では、第1把持装置11および第2把持装置12は回転可能に構成されている。ツイスト装置1は、第1把持装置11および第2把持装置12を駆動するモータ(図示せず)を備えている。第1クランプ2aおよび第2クランプ2bは第3把持装置11Aに備えられ、第3クランプ2cおよび第4クランプ2dは第4把持装置12Aに備えられている。図示は省略するが、ツイスト装置1は、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bを回転させるモータと、第3クランプ2cおよび第4クランプ2dを回転させるモータとを備えている。
【0067】
本実施形態では、公転工程S3は第1把持装置11および第2把持装置12が回転することによって行われる。
【0068】
公転工程S3の後、搬送工程が行われる。搬送工程では、第1搬送装置61が第1把持装置11から両電線C1,C2の一端部を受け取り、第2搬送装置62が第2把持装置12から両電線C1,C2の他端部を受け取る。そして、第1搬送装置61は第3把持装置11Aに向けて移動し、第2搬送装置62は第4把持装置12Aに向けて移動する。その後、第1搬送装置61は、第1電線C1の一端部を第1クランプ2aに受け渡し、第2電線C2の一端部を第2クランプ2bに受け渡す。第2搬送装置62は、第1電線C1の他端部を第3クランプ2cに受け渡し、第2電線C2の他端部を第4クランプ2dに受け渡す。
【0069】
搬送工程の後、第3把持装置11Aおよび第4把持装置12Aによって自転工程S4が行われる。すなわち、第1〜第4クランプ2a〜2dが回転し、ツイスト電線CTの撚り残し長さが調整される。
【0070】
本実施形態によれば、公転工程S3と自転工程S4とは別々の場所で行われる。そのため、処理の順序としては公転工程S3の後に自転工程S4が行われるが、それら公転工程S3および自転工程S4を同時に行うことができる。一組の電線C1,C2に対する公転と、他の一組の電線C1,C2に対する自転とを同時に行うことができる。したがって、複数組の電線C1,C2の撚り合わせを順次行う場合、自転工程S4を安定して行うことができると共に、全体の作業時間を短縮することができる。
【0071】
なお、公転工程S3では、第1把持装置11および第2把持装置12の少なくとも一方を回転させれば足り、必ずしも両方を回転させる必要はない。また、自転工程S4では、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bの両方、または、第3クランプ2cおよび第4クランプ2dの両方を回転させれば足り、必ずしも第1〜第4クランプ2a〜2dの全てを回転させる必要はない。
【0072】
例えば、
図15に示すように、第2把持装置12が回転不能に構成されていてもよい。第4把持装置12Aは、回転可能な第3クランプ2cおよび第4クランプ2dを備えていなくてもよい。
【0073】
上記実施形態では、両電線C1,C2の一端部を第1把持装置11から第3把持装置11Aに搬送する第1搬送装置61と、両電線C1,C2の他端部を第2把持装置12から第4把持装置12Aに搬送する第2搬送装置62とを備えているが、第1搬送装置61および第3把持装置11Aを省略することも可能であり、あるいは、第2搬送装置62および第4把持装置12Aを省略することも可能である。例えば、
図14または
図15に示す構成において、第2搬送装置62および第4把持装置12Aを省略してもよい。この場合、公転工程S3の後の搬送工程では、第1搬送装置61は第1把持装置11から第3把持装置11Aに両電線C1,C2の一端部を受け渡すが、第2把持装置12は両電線C1,C2の他端部を把持し続ける。搬送工程の後の自転工程S4では、第3把持装置11Aに備えられた第1クランプ2aおよび第2クランプ2bが回転し、ツイスト電線CTの撚り残し長さが調整される。
【0074】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明が前記実施形態に限定されないことは勿論であり、本発明は他に種々の形態にて実施することができる。
【0075】
前記実施形態では、公転工程S3の前に自転工程S2を行うこととしたが(
図7参照)、自転工程S2は必ずしも必要ではなく、省略することが可能である。
【0076】
前記実施形態では、自転工程S4の後に回収工程S5を行うこととしたが(
図7参照)、自転工程S4と回収工程S5との間に、他の公転工程を行ってもよい。すなわち、自転工程S4を行うことによりツイスト電線CTの撚り残し長さを調整した後、追加の公転工程を行うようにしてもよい。本発明に係るツイスト方法は、少なくとも公転工程S3および自転工程S4を含んでいれば足り、それ以外にどのような工程を含んでいてもよい。
【0077】
前記実施形態では、ツイスト電線CTの撚り残し長さを短くするために、自転工程S4において、両電線C1,C2を公転方向と逆方向に自転させることとした。しかし、本発明は、撚り残し長さを短くする場合だけでなく、撚り残し長さを長くする場合にも利用することができる。自転工程S4は、両電線C1,C2を公転方向と同じ方向に自転させる工程であってもよい。
【0078】
前記実施形態では、
図4に示すように、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bは、レール4の長手方向に対して傾斜するように形成されていた。すなわち、先端側に行くほど公転の回転中心に近づくように形成されていた。第1クランプ2aは先端側に行くほど第2クランプ2bに近づくように形成され、第2クランプ2bは先端側に行くほど第1クランプ2aに近づくように形成されていた。しかし、第1クランプ2aおよび第2クランプ2bの形状は特に限定されない。第1クランプ2aおよび第2クランプ2bは、レール4の長手方向と平行な方向に延びるように形成されていてもよい。
【0079】
前記実施形態では、アクチュエータの一例としてモータを用いていたが、アクチュエータはモータに限定されない。
【0080】
前記実施形態では、2本の電線C1,C2からツイスト電線CTを作製することとしていたが、ツイスト電線CTは3本以上の電線を撚り合わせることによって作製されてもよい。
【0081】
前記実施形態では、線状部材の例として、電線C1,C2が用いられている。前記実施形態のツイスト装置1は、ツイスト電線CTを作製する装置である。しかし、本発明に係るツイスト装置は、ツイスト電線CTを作製する装置に限られない。線状部材は電線に限らず、例えば、ワイヤ、ロープであってもよい。