(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の容器では、第1剤のうちの一部分を第2剤に接触させてから吐出させることが望まれている。これに対して、特許文献1の二剤混合容器では、使用に際して第1剤および第2剤のほぼ全量同士が接触するため、上記の要求に応えることが難しかった。
また、この種の容器では、第1剤と第2剤とを接触させることで水素を生成し、この水素を含有した液体を吐出させることについての要望があった。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、容器本体内の第1剤のうちの一部分を第2剤に接触させ、水素を含有した液体を吐出可能な吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の吐出容器は、液状の第1剤が収容される容器本体と、前記容器本体の口部に装着される有頂筒状の装着キャップと、前記装着キャップに、上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有するポンプと、前記ステムの上端に装着されるとともに、吐出孔が形成された押下ヘッドと、を備え、前記押下ヘッドには、前記第1剤と接触することで水素を発生させる第2剤が収容され、前記吐出孔に連通する収容部と、前記収容部と前記ステムの上端開口部とを連通させる第1連通孔と、が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、押下ヘッドが押下されるとポンプが作動して、ポンプのシリンダ内の第1剤が、ステムおよび第1連通孔を通じて収容部内に流入し、収容部内に収容された第2剤に接触する。このとき、第1剤と第2剤とが接触することで水素が発生し、この水素を含有した液状の第1剤が、吐出孔から吐出される。このように、本発明によれば、容器本体内の第1剤のうちの一部分を第2剤に接触させ、水素を含有した液体を吐出させることができる。
【0008】
ここで、前記収容部に有頂筒部が設けられ、前記有頂筒部の周壁には、前記第1連通孔が周方向に間隔を空けて複数形成されていてもよい。
【0009】
この場合、有頂筒部の周壁に、収容部とステムの上端開口部とを連通させる第1連通孔が周方向に間隔を空けて複数形成されているため、これらの第1連通孔を通過した第1剤を、収容部内の第2剤により確実に接触させることができる。
【0010】
また、前記押下ヘッドは、前記収容部内における前記第2剤の移動を規制する規制部を備え、前記規制部は、前記吐出孔と連通して前記収容部内に向けて開口する第2連通孔と、周方向において同等の位置に配置されていてもよい。
【0011】
この場合、収容部内における第2剤の移動を規制する規制部が、第2連通孔と周方向において同等の位置に配置されていることで、第2連通孔に第2剤が接近するのを抑えることができる。これにより、例えば収容部内から第2連通孔へと第1剤が流入する際に、この第1剤に流された第2剤によって第2連通孔が閉塞されてしてしまうのを抑止し、第2連通孔を通じて吐出孔から第1剤を確実に吐出させることができる。
【0012】
また、前記押下ヘッドは、前記収容部が形成されたヘッド本体部と、前記収容部を開放自在に閉塞する蓋体と、を有し、前記規制部は、前記ヘッド本体部および前記蓋体の双方に形成されていてもよい。
【0013】
この場合、吐出容器を繰り返し使用することで、例えば第2剤の効能が低下したり、第2剤の残量が少なくなったりした際に、蓋体を操作して収容部を開放させることで、第2剤を容易に交換したり補充したりすることができる。
さらに、収容部内における第2剤の移動を規制する規制部が、ヘッド本体部および蓋体の双方に形成されていることで、第2剤によって第2連通孔が閉塞されてしまうのをより確実に抑止することができるとともに、蓋体を開いた後閉じる操作をする際に、蓋体に形成された規制部が第2剤に当接し、この閉じる操作が妨げられてしまうのを抑止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、容器本体内の第1剤のうちの一部分を第2剤に接触させ、水素を含有した液体を吐出可能な吐出容器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態に係る吐出容器の構成を、
図1〜
図3を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため縮尺を適宜変更している。
図1〜
図3に示すように、吐出容器10は、液状の第1剤Pが収容される容器本体1と、容器本体1の口部1aに装着される有頂筒状の装着キャップ3と、装着キャップ3に貫設されたステム5を有するポンプ4と、ステム5の端部に装着されるとともに吐出孔24bが形成された押下ヘッド2と、を備えている。第1剤Pとしては、例えば水分を含んだ化粧水や液体洗剤などが用いられる。
【0017】
ここで、
図1に示すように、容器本体1の口部1a、装着キャップ3、およびステム5は、それぞれの中心軸が共通軸上に位置する状態で配設されている。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向を上下方向(容器軸方向)といい、上下方向に沿った押下ヘッド2側を上方、その反対側を下方という。また、上下方向から見た平面視で、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O周りに周回する方向を周方向という。また、平面視において、容器軸Oから見た吐出孔24b側を前方といい、その反対側を後方という。
【0018】
装着キャップ3は容器本体1の口部1aに螺着されている。
ポンプ4の下端部には、パイプ4aが配設されている。ステム5は、装着キャップ3に上方付勢状態で下方移動可能に貫設されており、その上端に押下ヘッド2が装着されている。ステム5およびポンプ4は、押下ヘッド2が押下されてステム5が下降した後、このステム5が上方付勢力によって上昇する際に、ポンプ4が作動して、容器本体1内の第1剤Pをパイプ4aの下端部から吸い上げるように構成されている。吸い上げられた第1剤Pは、ポンプ4の不図示のシリンダ内に溜められる。このシリンダ内に第1剤Pが溜まった状態で押下ヘッド2が押下されると、ステム5が下降するのに伴い、シリンダ内の第1剤Pがステム5の上端開口部から流出する。
【0019】
押下ヘッド2は、ステム5に固定されたヘッド本体部20と、ヒンジ部31を介してヘッド本体部20に連結された蓋体30と、を有している。蓋体30は、ヘッド本体部20に対してヒンジ部31周りに回動する。なお、図示の例ではヘッド本体部20と蓋体30とが一体に形成されているが、これらは別体に形成されていてもよい。
【0020】
ヘッド本体部20は、上下方向に延びる外筒部21と、外筒部21の上下方向中央部から径方向内側に向けて延びる環状のフランジ部22と、フランジ部22の内周縁から下方に向けて延びる外嵌筒部23と、外筒部21から径方向外側に向けて延びる吐出筒部24と、フランジ部22から上方に向けて延びる有頂筒部25と、を有している。
【0021】
外筒部21、外嵌筒部23、および有頂筒部25の中心軸線はそれぞれ、容器軸Oと同軸上に位置している。外嵌筒部23は、ステム5の上端部に外嵌されている。上下方向において、外嵌筒部23の下端部は、外筒部21の下端部よりも上方に位置している。
吐出筒部24は、上下方向において、フランジ部22の上方に位置している。吐出筒部24の内径は、径方向外側に向かうに従い、漸次大きくなっている。吐出筒部24内は、外筒部21内に向けて開口する第2連通孔24aに連通している。吐出筒部24の径方向外側の開口は先述の吐出孔24bとされている。
【0022】
有頂筒部25は、上方に向かうに従って漸次縮径している。有頂筒部25の下端部における内径は、ステム5の上端開口部における外径よりも大きい。有頂筒部25の頂壁における下面の直径は、ステム5の上端開口部における内径よりも大きい。有頂筒部25の頂壁は、ステム5の上端開口部の真上に位置しており、この上端開口部を覆っている。
【0023】
ここで本実施形態では、外筒部21と、フランジ部22と、有頂筒部25と、により形成された空間(以下、収容部2aという)内に、第2剤Sが収容されている。第2剤Sは、第1剤Pと接触することで水素を発生させる水素生成剤である。このような水素生成剤としては、例えば金属マグネシウム自体や、金属マグネシウムを含んだ固形物などを用いることができる。水素生成剤として金属マグネシウムなどを用いた場合、この金属マグネシウムが第1剤Pに含まれる水分と反応することで水素が発生し、この水素が第1剤Pに溶け込む。第2剤Sの形状は、粒状、球状、ブロック状、リング状などであってもよい。第2剤Sがリング状である場合、その内径は有頂筒部25の外径より大きく、その外径は外筒部21の内径より小さくてもよい。
【0024】
図1および
図3に示すように、収容部2aに設けられた有頂筒部25の周壁には、この周壁を径方向に貫通する第1連通孔25aが、周方向に等間隔を空けて形成されている。これら第1連通孔25aは、ステム5の上端開口部と収容部2a内とを連通している。複数の第1連通孔25aのうちの一つは、中心軸線Oを径方向で挟む第2連通孔24aの反対側に配置されている。
【0025】
有頂筒部25の周壁には、径方向内側に向けて突出し、上下方向に延びる縦リブ25bが形成されている。縦リブ25bは、第1連通孔25aと周方向で異なる位置に配置されている。縦リブ25bの下端面は、ステム5の上端開口部に上方から当接若しくは近接している。押下ヘッド2が押下されると、縦リブ25bがステム5を下方に向けて押圧する。
【0026】
有頂筒部25と外筒部21との間には、リブ状の下側規制部26(規制部)が形成されている。下側規制部26は、周方向において、第2連通孔24aと同等の位置に配置されている。下側規制部26の上端面は、第2連通孔24aの下方に位置している。下側規制部26は、フランジ部22から上方に向けて立設されている。下側規制部26は、有頂筒部25の周壁から前方に向けて延びている。下側規制部26は、外筒部21の内周面のうち第2連通孔24aの真下に位置する部分から、有頂筒部25の外周面まで、径方向に延びている。
例えば第2剤Sが球状である場合、
図3に示すように、第2剤Sは周方向において下側規制部26を回避した位置に位置することとなる。このように、下側規制部26は、収容部2a内における第2剤Sの位置を規制し、第2剤Sが第2連通孔24aに近づくのを抑止するように構成されている。
【0027】
図1および
図2に示すように、蓋体30は、収容部2aを開放自在に閉塞する。蓋体30は、収容部2aを覆う天板32と、天板32から下方に向けて延びる嵌合筒部33と、を備えている。ヒンジ部31は、外筒部21の上端部と、天板32の外周部と、を互いに連結している。ヒンジ部31は、吐出筒部24と周方向において同等の位置に配置されている。
【0028】
図1に示すように、天板32の前端部から後端部までの長さは、外筒部21の外径よりも大きい。このため、天板32の後端部は、外筒部21の後端部よりも径方向外側に位置している。
嵌合筒部33の外周面には、径方向外側に向けて突出する環状突部33aが形成されている。環状突部33aは、上下方向において、第2連通孔24aよりも上方に位置している。
【0029】
蓋体30は、嵌合筒部33の前端部から下方に向けて延びる上側規制部34を備えている。上側規制部34は、第2連通孔24aと周方向および上下方向において同等の位置に配置されている。上側規制部34の下端部は、上下方向において、第2連通孔24aの下端部と同等の位置に配置されている。上側規制部34と第2連通孔24aとの間には、径方向の隙間が形成されており、この隙間は第2剤Sの径よりも小さい。このため、第2剤Sが上側規制部34と第2連通孔24aとの間の隙間に進入するのが抑止される。このように、上側規制部34は、第2剤Sの収容部2a内における位置を規制し、第2剤Sが第2連通孔24aに近づくのを抑止するように構成されている。
【0030】
以上説明したように、本実施形態の押下ヘッド2には、第2剤Sが収容され、吐出孔24bに連通する収容部2aと、収容部2a内とステム5の上端開口部とを連通させる第1連通孔25aと、が設けられている。この構成により、押下ヘッド2が押下されてポンプ4が作動すると、容器本体1内の第1剤Pのうちの一部が吸い上げられ、この第1剤Pが、ステム5および第1連通孔25aを通じて収容部2a内に流入し、第2剤Sに接触した後、吐出孔24bから吐出される。このように、吐出容器10を操作すると、第1剤Pのうちの一部を、第2剤Sに接触させてから吐出させることができる。
【0031】
さらに、ポンプ4によって吸い上げられた第1剤Pは、水素生成剤である第2剤と収容部2a内で接触した後、この収容部2aに連通する吐出孔24bから吐出される。この構成により、第1剤Pに水素が溶出してから、この第1剤Pが吐出されるまでの時間が短く抑えられて、第1剤Pが吐出孔24bから吐出される前に、溶け込んだ水素が第1剤Pから抜けてしまうのを抑止することができる。
【0032】
また、収容部2aに設けられた有頂筒部25の周壁に、第1連通孔25aが周方向に間隔を空けて複数形成されているため、これらの第1連通孔25aを通過した第1剤Pを、収容部2a内の第2剤Sにより確実に接触させることができる。
さらに、有頂筒部25の頂壁がステム5の上端開口部の真上に位置しているため、ステム5からの第1剤Pの流れが有頂筒部25の頂壁に当たって周方向に拡散され、複数の第1連通孔25aから万遍なく第1剤Pを収容部2a内に流入させることができる。
【0033】
また、収容部2a内における第2剤Sの移動を規制する上側規制部34および下側規制部26が、第2連通孔24aと周方向において同等の位置に配置されていることで、第2連通孔24aに第2剤Sが接近するのを抑えることができる。これにより、例えば収容部2a内から第2連通孔24aへと第1剤Pが流入する際に、この第1剤Pに流された第2剤Sによって第2連通孔24aが閉塞されてしてしまうのを抑止し、第2連通孔24aを通じて吐出孔24bから第1剤Pを確実に吐出させることができる。
【0034】
また、ヘッド本体部20および蓋体30の双方に、収容部2a内における第2剤Sの移動を規制する規制部が形成されているため、上述した作用効果をより確実に奏功させることができる。
また、例えば吐出容器10の使用が繰り返されて、第2剤Sの効能が弱まったり残量が少なくなったりした場合は、
図2に示すように蓋体30をヒンジ部31周りに回動させることで収容部2aを開放し、第2剤Sを容易に交換したり補充したりすることができる。
【0035】
また、ヘッド本体部20における第2連通孔24aの下方に、第2剤Sの移動を規制する下側規制部26が形成されているため、
図2に示すように蓋体30が開かれた状態であっても、第2連通孔24aの近傍に第2剤Sが位置するのを抑止することができる。これにより、蓋体30を閉じる際に、ヒンジ部31周りに回動する上側規制部34の軌道上に第2剤Sが位置し、この第2剤Sと上側規制部34とが当接して蓋体30を閉める操作が妨げられるのを抑止することができる。
【0036】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0037】
例えば、前記実施形態では、押下ヘッド2に有頂筒部25が設けられていたが、このような有頂筒部25が設けられていない押下ヘッド2を採用してもよい。この場合、例えば収容部2aの壁面のうちの一部分に、ステム5の上端開口部に連通する複数の第1連通孔が開口していてもよい。
【0038】
また、前記実施形態における押下ヘッド2は、収容部2a内における第2剤Sの移動を規制する上側規制部34および下側規制部26を備えていたが、これらの規制部のうちのいずれか一方を備える押下ヘッド2を採用してもよい。
【0039】
また、第1剤Pは化粧水や液体洗剤などに限らず、水素生成剤と反応して水素を生成し、この水素を含有し利用することができる液体であればよい。
【0040】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。