特許第6749275号(P6749275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 芝浦メカトロニクス株式会社の特許一覧

特許6749275アウターマスク、プラズマ処理装置、およびフォトマスクの製造方法
<>
  • 特許6749275-アウターマスク、プラズマ処理装置、およびフォトマスクの製造方法 図000002
  • 特許6749275-アウターマスク、プラズマ処理装置、およびフォトマスクの製造方法 図000003
  • 特許6749275-アウターマスク、プラズマ処理装置、およびフォトマスクの製造方法 図000004
  • 特許6749275-アウターマスク、プラズマ処理装置、およびフォトマスクの製造方法 図000005
  • 特許6749275-アウターマスク、プラズマ処理装置、およびフォトマスクの製造方法 図000006
  • 特許6749275-アウターマスク、プラズマ処理装置、およびフォトマスクの製造方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6749275
(24)【登録日】2020年8月13日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】アウターマスク、プラズマ処理装置、およびフォトマスクの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20200824BHJP
   G03F 1/80 20120101ALI20200824BHJP
【FI】
   H01L21/302 105B
   G03F1/80
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-71129(P2017-71129)
(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2018-174216(P2018-174216A)
(43)【公開日】2018年11月8日
【審査請求日】2019年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】飯野 由規
(72)【発明者】
【氏名】宮本 高志
【審査官】 加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−181810(JP,A)
【文献】 特表2014−518447(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/052958(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
G03F 1/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理物をエッチングしてフォトマスクを製造する際に用いられるアウターマスクであって、
板状を呈し、中央領域に開口を有する基部と、
枠状を呈し、前記基部の一方の面の周縁に沿って、前記基部の厚み方向に突出して設けられた枠部と、
を有し、
前記枠部は、前記処理物のパターン部が設けられる面の四隅において、前記面と接触する面を有するアウターマスク。
【請求項2】
前記パターン部が設けられる面の周縁には面取り部が設けられ、
前記枠部は、前記面取り部にさらに接触可能となっている請求項1記載のアウターマスク。
【請求項3】
前記基部の厚みは、1mm以上である請求項1または2に記載のアウターマスク。
【請求項4】
前記枠部が前記面と接触した際に、前記基部の前記処理物側の面と、前記処理物との間の距離が1mm以上となる請求項1〜3のいずれか1つに記載のアウターマスク。
【請求項5】
処理物を収納する収納部と、
請求項1〜4のいずれか1つに記載のアウターマスクを収納するアウターマスク収納部と、
前記収納部から取り出された前記処理物の上に、前記アウターマスク収納部から取り出された前記アウターマスクを載置する移載部と、
前記アウターマスクが載置された処理物に対してプラズマ処理を施す処理部と、
を備えたプラズマ処理装置。
【請求項6】
処理物をエッチングしてフォトマスクを製造する方法であって、
前記処理物の上に、請求項1〜4のいずれか1つに記載のアウターマスクを載置する工程と、
前記アウターマスクが載置された前記処理物に対してプラズマ処理を施す工程と、
を備えたフォトマスクの製造方法。
【請求項7】
前記プラズマ処理を施す工程において、前記処理物の表面にある残渣を除去する請求項6記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項8】
前記プラズマ処理を施す工程において、前記処理物の表面にあるクロムを含む層を除去する請求項6記載のフォトマスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、アウターマスク、プラズマ処理装置、およびフォトマスクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置などの微細構造体は、フォトリソグラフィ法を用いて製造される。フォトリソグラフィ法においては、フォトマスクを用いた露光が行われる。近年においては、バイナリーマスクに代えて、露光時の解像度や焦点深度を改善することで転写特性を向上させた位相シフトマスクや、極端紫外線(EUV:Extreme Ultra Violet)を用いて微細なパターンの転写を行うEUVリソグラフィ法に用いられる反射型マスクなども提案されている。
【0003】
位相シフトマスクや反射型マスクの製造においてもフォトリソグラフィ法が用いられる。例えば、位相シフトマスクの製造においては、石英からなる基部の上にモリブデンシリコン(MoSi)を含む層を形成し、モリブデンシリコンを含む層の上にクロム(Cr)を含む層を形成し、クロムを含む層の上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィ法などを用いてパターニングを行うことでレジストマスクを形成し、レジストマスクをエッチングマスクとしてドライエッチングを行うことでクロムを含む層とモリブデンシリコンを含む層に所望のパターンを形成し、その後、再度レジストマスクの形成とドライエッチングを行うことで、モリブデンシリコンを含むパターンの上にあるクロムを含む層を除去するようにしている。
【0004】
ところが、クロムを含む層を除去する際に、モリブデンシリコンを含むパターンの上にクロムを含む残渣が生じる場合がある。クロムを含む残渣があると透過率などの光学特性が変動して位相シフトマスクの機能が低下するため、クロムを含む残渣を除去する必要がある。そのため、クロムを含む残渣が生じた場合には、フォトレジストを再度塗布し、フォトリソグラフィ法などを用いてパターニングを行うことでレジストマスクを再度形成し、レジストマスクをエッチングマスクとして再度ドライエッチングを行うことでクロムを含む残渣を除去する様にしている。
【0005】
この様にすれば、クロムを含む残渣を除去することができる。しかしながら、フォトレジストの再度の塗布やパターニングには時間を要し、生産性が低下する要因となっていた。
ここで、プラズマ処理装置の処理容器の内部に処理物と対峙するシャッタを設け、シャッタの開口の大きさを変化させることで、所望の領域における層を除去する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
クロムを含む残渣を除去する際にこの技術を用いれば、フォトレジストの再度の塗布やパターニングを行う必要がなくなる。
【0006】
ところが、単に、処理物と対峙するシャッタとすれば、シャッタの開口を介して供給されたラジカル(中性活性種)がモリブデンシリコンを含むパターンの外側にあるクロムを含む層の表面に到達したり、シャッタの側方を回り込んだラジカルがモリブデンシリコンを含むパターンの外側にあるクロムを含む層の表面に到達したりするおそれがある。ラジカルがクロムを含む層の表面に到達すると、クロムを含む層がエッチングされて位相シフトマスクの機能が低下するおそれがある。
そこで、フォトマスクの機能の低下を抑制することができ、且つ、生産性を向上させることができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5696418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、フォトマスクの機能の低下を抑制することができ、且つ、生産性を向上させることができるアウターマスク、プラズマ処理装置、およびフォトマスクの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係るアウターマスクは、処理物をエッチングしてフォトマスクを製造する際に用いられるアウターマスクである。アウターマスクは、板状を呈し、中央領域に開口を有する基部と、枠状を呈し、前記基部の一方の面の周縁に沿って、前記基部の厚み方向に突出して設けられた枠部と、を有し、前記枠部は、前記処理物のパターン部が設けられる面の四隅において、前記面と接触可能となっている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、フォトマスクの機能の低下を抑制することができ、且つ、生産性を向上させることができるアウターマスク、プラズマ処理装置、およびフォトマスクの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】プラズマ処理装置1を例示するためのレイアウト図である。
図2】処理部50の一例を例示するための模式断面図である。
図3】(a)は、処理物200の上に載置されたアウターマスク100を例示するための模式斜視図である。(b)は、アウターマスク100と、処理物200のパターン部202との位置関係を例示するための模式断面図である。(c)は、(a)におけるA部の模式断面図である。(d)は、(a)におけるB部の模式拡大図である。(e)は、(a)におけるC部の模式拡大図である。(f)は、(a)を下面側(処理物200に載置する側)から見た模式断面図である。
図4】他の実施形態にかかるアウターマスク100を例示するための模式断面図である。
図5】(a)〜(k)は、比較例に係る位相シフトマスクの製造方法を例示するための模式工程断面図である。
図6】(a)、(b)は、本実施の形態に係る位相シフトマスクの製造方法を例示するための模式工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0013】
(プラズマ処理装置1)
まず、本発明の実施形態に係るプラズマ処理装置1について説明する。
図1は、プラズマ処理装置1を例示するためのレイアウト図である。
図1に示すように、プラズマ処理装置1には、集積部10、搬送部20、ロードロック部30、受け渡し部40、処理部50、および制御部60が設けられている。
【0014】
プラズマ処理装置1によりプラズマエッチング処理が施される処理物200の平面形状は、例えば、四角形である。また、プラズマ処理装置1は、処理物200にプラズマエッチング処理を施すことで位相シフトマスクや反射型マスクを製造する装置とすることができる。なお、処理物200に関する詳細は後述する。
【0015】
集積部10には、収納部11、スタンド12、および開閉扉13が設けられている。
収納部11は、処理物200を収納する。
収納部11の数には、特に限定はないが、複数の収納部11を設ける様にすれば、生産性を向上させることができる。収納部11は、例えば、処理物200を積層状(多段状)に収納可能なキャリアなどとすることができる。例えば、収納部11は、ミニエンバイロメント方式の半導体工場で使われている基板の搬送と保管を目的とした正面開口式キャリアであるFOUP(Front-Opening Unified Pod)などとすることができる。
ただし、収納部11は、FOUPなどに限定されるわけではなく、処理物200を収納することができるものであればよい。
【0016】
スタンド12は、床面または筐体21の側面に設けられている。スタンド12の上面には、収納部11が載置される。スタンド12は、載置された収納部11を保持する。
【0017】
開閉扉13は、収納部11の開口部と、搬送部20の筐体21の開口部との間に設けられている。開閉扉13は、収納部11の開口部を開閉する。例えば、図示しない駆動部により開閉扉13を上昇させることで、収納部11の開口部を閉鎖する。また、図示しない駆動部により開閉扉13を下降させることで、収納部11の開口部を開放する。
【0018】
搬送部20は、集積部10と、ロードロック部30との間に設けられている。
搬送部20は、プラズマ処理を施す際の圧力よりも高い圧力(例えば、大気圧)の環境において、処理物200およびアウターマスク100を搬送する。
搬送部20には、筐体21、移載部22、アウターマスク収納部23、および載置部24が設けられている。
筐体21は、箱状を呈し、その内部には移載部22、アウターマスク収納部23、および載置部24が設けられている。筐体21は、例えば、外部からパーティクルなどが侵入できない程度の気密構造を有するものとすることができる。筐体21の内部の雰囲気は、例えば、大気圧となっている。
【0019】
移載部22は、集積部10とロードロック部30との間における処理物200の搬送と受け渡しを行う。移載部22は、旋回軸を中心として回転するアーム22aを有する搬送ロボットとすることができる。移載部22は、例えば、タイミングベルトとリンクなどを組み合わせた機構を有する。アーム22aは、関節を有する。アーム22aの先端には、処理物200またはアウターマスク100を保持する保持部が設けられている。
【0020】
アウターマスク収納部23は、アウターマスク100を収納する。アウターマスク収納部23に収納されるアウターマスク100の数は、1つ以上とすることができる。複数のアウターマスク100を収納する場合には、アウターマスク100を載置する複数の棚を積層状(多段状)に設けることができる。なお、アウターマスク収納部23には同じアウターマスク100が複数収納されるようにしてもよいし、後述する開口寸法や外径寸法が異なる複数種類のアウターマスク100が収納されるようにしてもよい。
【0021】
載置部24は、処理物200を支持する。処理物200を処理する際には、移載部22は、収納部11から処理物200を取り出し載置部24の上に載置する。次に、移載部22は、アウターマスク収納部23からアウターマスク100を取り出し載置部24に支持された処理物200の上にアウターマスク100を載置する。処理済みの処理物200を収納部11に収納する際には、移載部22は、アウターマスク100が載置された処理物200をロードロック部30の載置部33から取り出し載置部24の上に載置する。次に、移載部22は、アウターマスク100を上方に持ち上げて処理物200からアウターマスク100を取り外し、アウターマスク100をアウターマスク収納部23に収納する。次に、移載部22は、載置部24から処理物200を取り出し、処理物200を収納部11に収納する。
なお、アウターマスク100に関する詳細は後述する。
【0022】
ロードロック部30は、搬送部20と受け渡し部40との間に設けられている。
ロードロック部30は、例えば、雰囲気が大気圧の筐体21と、雰囲気がプラズマ処理を施す際の圧力の筐体41との間で、アウターマスク100が載置された処理物200の受け渡しができるようにする。
【0023】
ロードロック部30には、ロードロック室31、開閉扉32、載置部33、および圧力制御部34が設けられている。
ロードロック室31は、箱状を呈し、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持できるようになっている。
開閉扉32は、ロードロック室31の筐体21側、および筐体41側にそれぞれ設けられている。また、図示しない駆動部により開閉扉32を移動させることで、ロードロック室31の開口部を開閉できるようになっている。
【0024】
また、平面視において、筐体41側の開閉扉32の位置は、筐体21側の開閉扉32の位置とずれていてもよい。この場合、筐体41側の開閉扉32の中心は、筐体21側の開閉扉32の中心よりも、移載部42の中心側に寄っているようにすることができる。この様にすれば、移載部42とロードロック室31の間においてアウターマスク100が載置された処理物200を受け渡しする際に、移載部42がロードロック室31の内部に容易に侵入することができる。
【0025】
載置部33は、ロードロック室31の内部に設けられている。載置部33は、アウターマスク100が載置された処理物200を水平となるように支持する。
圧力制御部34は、減圧部とガス供給部を有する。
減圧部は、ロードロック室31の内部にある気体を排気して、ロードロック室31の内部の雰囲気を大気圧よりも低い所定の圧力まで減圧する。例えば、圧力制御部34は、ロードロック室31の内部の雰囲気の圧力が、筐体41の内部の雰囲気の圧力(プラズマ処理を施す際の圧力)とほぼ同等となるようにする。
【0026】
ガス供給部は、ロードロック室31の内部に気体を供給して、ロードロック室31の内部の雰囲気の圧力が、筐体21の内部の雰囲気の圧力とほぼ同等となるようにする。ガス供給部は、例えば、ロードロック室31の内部に気体を供給して、ロードロック室31の内部の雰囲気を大気圧よりも低い圧力から、大気圧に戻す。
【0027】
この様にロードロック室31の内部の雰囲気の圧力を変化させることで、雰囲気の圧力が異なる筐体21と筐体41との間においてアウターマスク100が載置された処理物200の受け渡しを行うことができる。
【0028】
減圧部は、例えば、真空ポンプなどとすることができる。ガス供給部は、例えば、加圧された窒素ガスや不活性ガスなどが収納されたボンベなどとすることができる。
【0029】
受け渡し部40は、処理部50とロードロック部30との間におけるアウターマスク100が載置された処理物200の受け渡しを行う。
受け渡し部40には、筐体41、移載部42、および減圧部43が設けられている。
筐体41は、箱状を呈し、その内部が開閉扉32を介してロードロック室31の内部と繋がっている。筐体41は、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持できるようになっている。
【0030】
移載部42は、筐体41の内部に設けられている。移載部42には、関節を有するアームが設けられている。アームの先端には、アウターマスク100が載置された処理物200を保持する保持部が設けられている。移載部42は、保持部によりアウターマスク100が載置された処理物200を保持し、アームの方向を変え、アームを屈曲させるようにして伸縮させることで、ロードロック室31と処理容器51との間におけるアウターマスク100が載置された処理物200の受け渡しを行う。
【0031】
減圧部43は、筐体41の内部の雰囲気を大気圧よりも低い所定の圧力まで減圧する。例えば、減圧部43は、筐体41の内部の雰囲気の圧力が、処理容器51においてプラズマ処理を施す際の圧力とほぼ同等となるようにする。減圧部43は、例えば、真空ポンプなどとすることができる。
【0032】
処理部50は、処理容器51の内部において、アウターマスク100が載置された処理物200に対してプラズマ処理を施す。
処理部50は、例えば、プラズマエッチング装置とすることができる。
この場合、プラズマの発生方法には特に限定はなく、例えば、高周波やマイクロ波などを用いてプラズマを発生させるものとすることができる。また、処理部50の数にも特に限定はない。
【0033】
図2は、処理部50の一例を例示するための模式断面図である。
図2に示すように、処理部50には、処理容器51、載置部52、電源部53、電源部54、減圧部55、およびガス供給部56が設けられている。
【0034】
処理容器51は、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な気密構造となっている。 処理容器51は、本体部51aおよび窓部51bを有する。
本体部51aは、略円筒形状を呈している。本体部51aは、例えば、アルミニウム合金などの金属から形成することができる。また、本体部51aは、接地されている。
本体部51aの内部には、アウターマスク100が載置された処理物200をプラズマエッチング処理するための空間であるプラズマ処理空間51cが設けられている。
本体部51aには、アウターマスク100が載置された処理物200を搬入搬出するための搬入搬出口51dが設けられている。
搬入搬出口51dは、ゲートバルブ51eにより気密に閉鎖できるようになっている。
【0035】
窓部51bは、板状を呈し、本体部51aの天板に設けられている。窓部51bは、電磁場を透過させることができ、且つ、プラズマエッチング処理を行った際にエッチングされにくい材料から形成されている。窓部51bは、例えば、石英などの誘電体材料から形成することができる。
【0036】
載置部52は、処理容器51の内部であって、処理容器51(本体部51a)の底面の上に設けられている。
載置部52は、電極52a、台座52b、および絶縁リング52cを有する。
電極52aは、プラズマ処理空間51cの下方に設けられている。電極52aの上面はアウターマスク100が載置された処理物200を載置するための載置面となっている。電極52aは、金属などの導電性材料から形成することができる。
【0037】
台座52bは、電極52aと、本体部51aの底面の間に設けられている。台座52bは、電極52aと、本体部51aの間を絶縁するために設けられている。台座52bは、例えば、石英などの誘電体材料から形成することができる。
【0038】
絶縁リング52cは、リング状を呈し、電極52aの側面、および台座52bの側面を覆うように設けられている。絶縁リング52cは、例えば、石英などの誘電体材料から形成することができる。
【0039】
電源部53は、電源53aおよび整合器53bを有する。
電源部53は、いわゆるバイアス制御用の高周波電源である。すなわち、電源部53は、載置部52上の、アウターマスク100が載置された処理物200に引き込むイオンのエネルギーを制御するために設けられている。電極52aと電源53aは、整合器53bを介して電気的に接続されている。
【0040】
電源53aは、イオンを引き込むために適した比較的低い周波数(例えば、13.56MHz以下の周波数)を有する高周波電力を電極52aに印加する。
整合器53bは、電極52aと電源53aの間に設けられている。整合器53bは、電源53a側のインピーダンスと、プラズマP側のインピーダンスとの間で整合をとるための整合回路などを備えている。
【0041】
電源部54は、電極54a、電源54b、および整合器54cを有する。
電源部54は、プラズマPを発生させるための高周波電源である。すなわち、電源部54は、プラズマ処理空間51cにおいて高周波放電を生じさせてプラズマPを発生させるために設けられている。
本実施の形態においては、電源部54が、処理容器51の内部にプラズマPを発生させるプラズマ発生部となる。
電極54a、電源54b、および整合器54cは、配線により電気的に接続されている。
【0042】
電極54aは、処理容器51の外部であって、窓部51bの上に設けられている。
電極54aは、電磁場を発生させる複数の導体部と複数の容量部(コンデンサ)とを有したものとすることができる。
【0043】
電源54bは、100KHz〜100MHz程度の周波数を有する高周波電力を電極54aに印加する。この場合、電源54bは、プラズマPの発生に適した比較的高い周波数(例えば、13.56MHzの周波数)を有する高周波電力を電極54aに印加する。
また、電源54bは、出力する高周波電力の周波数を変化させるものとすることもできる。
【0044】
整合器54cは、電極54aと電源54bの間に設けられている。整合器54cは、電源54b側のインピーダンスと、プラズマP側のインピーダンスとの間で整合をとるための整合回路などを備えている。
【0045】
プラズマ処理装置1は、上部に誘導結合型電極を有し、下部に容量結合型電極を有する二周波プラズマエッチング装置である。
ただし、プラズマの発生方法は例示をしたものに限定されるわけではない。
プラズマ処理装置1は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)を用いたプラズマ処理装置や、容量結合プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)を用いたプラズマ処理装置などであってもよい。
【0046】
減圧部55は、ポンプ55aおよび圧力制御部55bを有する。
減圧部55は、処理容器51の内部が所定の圧力となるように減圧する。ポンプ55aは、例えば、ターボ分子ポンプ(TMP:Turbo Molecular Pump)などとすることができる。ポンプ55aと圧力制御部55bは、配管を介して接続されている。
【0047】
圧力制御部55bは、処理容器51の内圧を検出する図示しない真空計などの出力に基づいて、処理容器51の内圧が所定の圧力となるように制御する。
圧力制御部55bは、例えば、APC(Auto Pressure Controller)などとすることができる。圧力制御部55bは、配管を介して、本体部51aに設けられた排気口51fに接続されている。
【0048】
ガス供給部56は、処理容器51の内部のプラズマ処理空間51cにガスGを供給する。
ガス供給部56は、ガス収納部56a、ガス制御部56b、および開閉弁56cを有する。
ガス収納部56aは、ガスGを収納し、収納したガスGを処理容器51の内部に供給する。ガス収納部56aは、例えば、ガスGを収納した高圧ボンベなどとすることができる。ガス収納部56aとガス制御部56bは、配管を介して接続されている。
【0049】
ガス制御部56bは、ガス収納部56aから処理容器51の内部にガスGを供給する際に流量や圧力などを制御する。ガス制御部56bは、例えば、MFC(Mass Flow Controller)などとすることができる。ガス制御部56bと開閉弁56cは、配管を介して接続されている。
【0050】
開閉弁56cは、配管を介して、処理容器51に設けられたガス供給口51gに接続されている。開閉弁56cは、ガスGの供給と停止を制御する。開閉弁56cは、例えば、2ポート電磁弁などとすることができる。なお、開閉弁56cの機能をガス制御部56bに持たせることもできる。
【0051】
ガスGは、プラズマPにより励起、活性化された際に、処理物200をエッチングすることができるラジカルが生成されるものとすることができる。ガスGは、例えば、フッ素原子を含むガスとすることができる。ガスGは、例えば、CHF、CF、Cなどとすることができる。
【0052】
制御部60は、CPU(Central Processing Unit)などの演算部と、メモリなどの記憶部とを備えている。
制御部60は、記憶部に格納されている制御プログラムに基づいて、プラズマ処理装置1に設けられた各要素の動作を制御する。なお、各要素の動作を制御する制御プログラムには既知の技術を適用することができるので、詳細な説明は省略する。
【0053】
ここで、後述するように、位相シフトマスクの製造においては、エッチングによりパターンを形成した処理物200の表面に残渣が生じる場合がある。例えば、図5(g)のように、エッチングによりパターン部202が設けられた領域に残渣205aが生じる場合がある。この場合、プラズマ処理装置1においては、以下の様にして残渣205aを除去することができる。
まず、移載部22は、収納部11から残渣205aを有する処理物200を取り出し載置部24の上に載置する。次に、移載部22は、アウターマスク収納部23からアウターマスク100を取り出し、載置部24に支持された処理物200の上にアウターマスク100を載置する。
【0054】
次に、移載部22は、アウターマスク100が載置された処理物200を載置部24からロードロック部30の載置部33に移載する。
次に、移載部42は、アウターマスク100が載置された処理物200を載置部33から処理容器51の内部の載置部52の上に移載する。
次に、電源部54は、プラズマ処理空間51cにおいて高周波放電を生じさせてプラズマPを発生させる。また、ガス供給部56は、処理容器51の内部のプラズマ処理空間51cにガスGを供給する。
プラズマPにより、ガスGが励起、活性化されてラジカル、イオン、電子などの反応生成物が生成される。生成された反応生成物は、アウターマスク100の開口100a1を介して残渣205aに到達し、残渣205aが除去される。
【0055】
アウターマスク100が載置された状態で残渣205aが除去された処理物200は、前述した手順と逆の手順で載置部52から載置部24に移載される。そして、移載部22は、アウターマスク100を上方に持ち上げて処理物200からアウターマスク100を取り外し、アウターマスク100をアウターマスク収納部23に収納する。次に、移載部22は、載置部24から処理物200を取り出し、処理物200を収納部11に収納する。
なお、エッチングに関するプロセス条件には既知の技術を適用することができるので詳細な説明は省略する。
【0056】
(アウターマスク100)
次に、アウターマスク100についてさらに説明する。
アウターマスク100は、フォトマスクの製造、すなわち、処理物200のプラズマエッチング処理に用いる。アウターマスク100は、処理物200の周縁部においてエッチングを行わない領域を遮蔽する機能を有する部材である。
まず、処理物200について説明する。
処理物200は、例えば、位相シフトマスクの製造に用いられるマスクブランクや、反射型マスクの製造に用いられるマスクブランクとすることができる。
以下においては一例として、処理物200が位相シフトマスクの製造に用いられるマスクブランクである場合を説明する。また、後述する図3(b)の状態、すなわち、クロムを含む層202bを有するパターン部202と、クロムを含む層203bを有する遮光部203とが形成された状態の処理物200を説明する。
【0057】
処理物200は、基体201、パターン部202、および遮光部203を有している(例えば、図3(b)を参照)。
基体201は、板状を呈している。基体201の平面形状は、例えば、四角形とすることができる。基体201は、透光性を有し、エッチングされにくい材料から形成されている。基体201は、例えば、石英から形成することができる。
【0058】
パターン部202は、基体201の一方の表面に設けられている。パターン部202は、基体201の中央領域に設けられている。パターン部202は、基体201の上に設けられ、モリブデンシリコンを含む凸部202aを複数有している。複数の凸部202aのそれぞれの頂部にはクロムを含む層202bが設けられている。
【0059】
遮光部203は、基体201の、パターン部202が設けられた領域の外側に設けられている。遮光部203は、枠状を呈し、パターン部202が設けられた領域を囲んでいる。なお、パターン部202が設けられた領域とは、パターン部202の最外周の領域(全てのパターン部202を含む領域)とする。遮光部203は、基体201の上に設けられ、モリブデンシリコンを含む凸部203aを有する。凸部203aの頂部にはクロムを含む層203bが設けられている。また、平面視において、枠状の遮光部203の外周端203dと、基体201の側面201aとの間には隙間が設けられている。すなわち、遮光部203は、基体201の周縁近傍には設けられていない。
【0060】
次に、アウターマスク100について説明する。
図3(a)は、処理物200の上に載置されたアウターマスク100を例示するための模式斜視図である。
図3(b)は、アウターマスク100と、処理物200のパターン部202との位置関係を例示するための模式断面図である。
図3(c)は、図3(a)におけるA部の模式断面図である。なお、図3(c)においては、パターン部202および遮光部203を省いて描いている。
図3(d)は、図3(a)におけるB部の模式拡大図である。
図3(e)は、図3(a)におけるC部の模式拡大図である。
図3(f)は、図3(a)を下面側(処理物200に載置する側)から見た模式断面図である。なお、図3(f)においては、被処理物200を省いて描いている。
【0061】
図3(a)に示すように、アウターマスク100には、基部100a、枠部100b、およびストッパ100cが設けられている。アウターマスク100は、絶縁性を有し、エッチングされにくい材料から形成されている。アウターマスク100は、例えば、石英から形成することができる。
【0062】
基部100aは、板状を呈している。基部100aの平面形状は処理物200の平面形状と同じにすることができる。例えば、処理物200の平面形状が四角形の場合には、基部100aの平面形状は四角形とすることができる。また、基部100aは、中央領域に開口100a1を有する。
【0063】
図3(b)に示すように、平面視において、開口100a1は、遮光部203と重なっていない。平面視において、開口100a1の内部にはパターン部202が設けられている。平面視において、開口100a1の周端100a1aは、遮光部203の内周端203cと、パターン部202の外周端202cとの間に設けられていればよい。この場合、平面視において、開口100a1の周端100a1aと、遮光部203の内周端203cとの間の距離を長くすれば、クロムを含む層202bをエッチングする際にクロムを含む層203bにダメージが発生するのを抑制することが容易となる。
【0064】
また、遮光部203の頂部と、基部100aの下面(処理物200側の面)との間の距離Hを短くしすぎると、搬送時の振動による変形やエッチング時の熱変形などで、遮光部203と基部100aとが接触してクロムを含む層203bにダメージが発生するおそれがある。一方、距離Hを長くしすぎると、遮光部203の頂部と、基部100aの下面との間の隙間にラジカルが到達し易くなり、ラジカルと反応することでクロムを含む層203bにダメージが発生するおそれがある。本発明者の得た知見によれば、距離Hを1mm以上、2mm以下とすれば、クロムを含む層203bにダメージが発生するのを抑制することができる。
【0065】
また、基部100aの厚みTを薄くしすぎると、搬送時の振動による変形、エッチング時の熱変形、アウターマスク100の加工時の変形などが大きくなるおそれがある。本発明者の得た知見によれば、基部100aの厚みTを1mm以上とすれば、変形を抑制することができるので、クロムを含む層203bにダメージが発生するのを抑制することができ、またアウターマスク100の加工を容易とすることができる。
【0066】
図3(a)〜図3(c)に示すように、枠部100bは枠状を呈し、基部100aの下面(処理物200側の面)から突出している。枠部100bは、基部100aの周縁に沿って設けられている。平面視において、枠部100bの内周端100b1と、処理物200の基体201の側面201aとは重なっているか、枠部100bの内周端100b1と、処理物200の基体201の側面201aとの間に僅かな隙間が設けられている。すなわち、原則的には、基体201の、パターン部202および遮光部203が設けられる面201bと、枠部100bの下端100b2とは接触しない。
【0067】
ただし、図3(e)に示すように、面201bの四隅の近傍においては、枠部100bの下端100b2が基体201の面201bと接触することができる。例えば、図3(e)のD部や図3(f)に示すように、枠部100bの内周の四隅は、枠部100bの内周の隣り合う二辺の延長線が交わる角から内側に出っ張る面(R面や傾斜面)を有しており、枠部100bの四隅の下端100b2は面201bが接触する面を有している。そのため、枠部100bは、処理物200の基体201の面201bの四隅において、面201bと接触可能となっている。この様にすれば、面201bの四隅以外は処理物200とアウターマスク100が接触しないため、基体201の面201bにダメージが発生するのを抑制することができ、且つ、処理物200にアウターマスク100を支持させることができる。この場合、枠部100bは、面201bの角から5mm以内の領域において面201bと接触することができる。
【0068】
図3(a)、(b)、(d)に示すように、ストッパ100cは、枠部100bの下端100b2から突出している。ストッパ100cは、枠部100bの四つの辺のそれぞれに少なくとも1つ設けられている。図3(a)に例示をしたものの場合には、ストッパ100cは、枠部100bの四つの辺のそれぞれに2つ設けられている。この様なストッパ100cを設ければ、アウターマスク100が水平方向にずれるのを抑制することができる。なお、ストッパ100cと、基体201の側面201aとの間には僅かな隙間が設けられ、隙間分の移動が許容されてもよい。
【0069】
後述するように、残渣205aやクロムを含む層202bをエッチングにより除去する際には、ラジカルなどの反応生成物がアウターマスク100の開口100a1を介して残渣205aやクロムを含む層202bに供給される。この際、ラジカルが遮光部203に設けられたクロムを含む層203bに到達すると、クロムを含む層203bがエッチングされ、クロムを含む層203bにダメージが発生するおそれがある。クロムを含む層203bにダメージが発生すると、位相シフトマスクの機能が低下するおそれがある。
【0070】
本実施の形態に係るアウターマスク100を使用する際は、遮光部203が設けられた領域が基部100aおよび枠部100bにより囲まれているため、ラジカルなどの反応生成物を含むガスの流れ(気流)が側面201a側から面201bに到達することを抑制することができる。また、遮光部203の頂部と、アウターマスク100の基部100aの下面(処理物200側の面)との間の距離はごく短いため、ラジカルなどの反応生成物を含むガスの流れ(気流)が枠部100bによって遮蔽される。このようにして遮光部203が設けられた領域に気流が発生するのを抑制することができる。そのため、ラジカルが気流によりクロムを含む層203bの上方に呼び込まれるのを抑制することができる。その結果、クロムを含む層203bにダメージが発生するのを抑制することができ、ひいては、位相シフトマスクの機能の低下を抑制することができる。また、後述するように、クロムを含む残渣を除去する際に、フォトレジストの再度の塗布やパターニングを行う必要がないので、生産性を向上させることができる。
またさらに、原則的には、基体201の面201bと、枠部100bの下端100b2とは接触しないので、位相シフトマスクの基体201に接触することによる傷などのダメージが発生するのを抑制することができる。
【0071】
図4は、他の実施形態にかかるアウターマスク100を例示するための模式断面図である。
図4に示すように、処理物200の基体201の面201bの周縁には面取り部201cが設けられている。また、アウターマスク100の枠部100bの内周端100b1は傾斜面となっている。そして、内周端100b1は、面取り部201cと接している。
この様にすれば、遮光部203が設けられた領域に気流が発生するのをさらに抑制することができる。そのため、クロムを含む層203bにダメージが発生するのをさらに抑制することができ、ひいては、位相シフトマスクの機能の低下をさらに抑制することができる。なお、図4に示すように、内周端100b1の傾斜角α、面取り部201cとの傾斜角βを同じとすることもできる。この様にすれば、アウターマスク100を処理物200に載置したときにずれを抑止することができる。
【0072】
(フォトマスクの製造方法)
次に、本発明の実施形態に係るフォトマスクの製造方法について説明する。
図5(a)〜(k)は、比較例に係る位相シフトマスクの製造方法を例示するための模式工程断面図である。
まず、図5(a)に示すように、基体201の一方の面に、モリブデンシリコンを含む膜204、クロムを含む膜205を順次成膜し、クロムを含む膜205の上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィ法を用いてエッチングマスク206を形成する。
【0073】
次に、図5(b)に示すように、エッチングマスク206から露出したクロムを含む膜205、モリブデンシリコンを含む膜204を順次エッチングし、エッチングマスク206を除去する。
次に、図5(c)に示すように、レジスト207を塗布する。
【0074】
次に、図5(d)に示すように、フォトリソグラフィ法などを用いてエッチングマスク207aを形成する。
次に、図5(e)に示すように、エッチングマスク207aから露出したクロムを含む膜205をエッチングして、複数の凸部202aを露出させる。
次に、図5(f)に示すように、エッチングマスク207aを除去する。
以上の様にして、基体201、複数の凸部202a、および遮光部203を有する位相シフトマスクを製造することができる。
【0075】
ところが、製造した位相シフトマスクの製品検査を行った際に、図5(g)に示すように、凸部202aの頂部にクロムを含む残渣205aが検出される場合がある。クロムを含む残渣205aがあると位相シフトマスクの機能が低下する。
そのため、残渣205aが検出された場合には、以下の様にして残渣205aを除去する。
まず、図5(h)に示すように、レジスト207を再度塗布する。
次に、図5(i)に示すように、フォトリソグラフィ法などを用いてエッチングマスク207aを再度形成する。
次に、図5(j)に示すように、エッチングマスク207aから露出した残渣205aをエッチングする。
次に、図5(k)に示すように、エッチングマスク207aを再度除去する。
【0076】
以上の様にすれば、残渣205aを除去することができる。
しかしながら、残渣205aを除去するためには、フォトレジスト207の再度の塗布、フォトリソグラフィ法などを用いたエッチングマスク207aの再度の形成、およびエッチングマスク207aの再度の除去が必要となる。この様な工程を行うためには比較的長い時間を要する。そのため、生産性が低下する要因となる。
【0077】
図6(a)、(b)は、本実施の形態に係る位相シフトマスクの製造方法を例示するための模式工程断面図である。
本実施の形態に係る位相シフトマスクの製造方法においては、残渣205aを除去する際にアウターマスク100を用いる。
まず、図6(a)に示すように、基体201の上にアウターマスク100を載置する。 次に、図6(b)に示すように、アウターマスク100の開口100a1の内部に露出した残渣205aをエッチングする。
そして、アウターマスク100を基体201から取り外すことで、残渣205aが除去された位相シフトマスクを得ることができる。
この様にすれば、残渣205aの除去のために、前述したフォトレジスト207の再度の塗布、エッチングマスク207aの再度の形成、およびエッチングマスク207aの再度の除去を行わなくて済むので、生産性を大幅に向上させることができる。また、前述したように、クロムを含む層203bにダメージが発生するのを抑制することができる。
【0078】
なお、残渣205aの除去にアウターマスク100を用いる場合を例示したが、図5(b)に例示をしたクロムを含む膜205をエッチングする工程においてもアウターマスク100を用いることができる。
この様にすれば、フォトレジスト207の塗布、エッチングマスク207aの形成、およびエッチングマスク207aの除去を行わなくて済むので、生産性をさらに向上させることができる。
【0079】
なお、前述したエッチングに関するプロセス条件には既知の技術を適用することができるので詳細な説明は省略する。
【0080】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、プラズマ処理装置1が備える各要素の形状、寸法、材質、配置、数などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0081】
1 プラズマ処理装置、10 集積部、11 収納部、20 搬送部、23 アウターマスク収納部、30 ロードロック部、40 受け渡し部、50 処理部、60 制御部、100 アウターマスク、100a 基部、100a1 開口、100b 枠部、100c ストッパ、200 処理物、201 基体、202 パターン部、202a 凸部、202b クロムを含む層、203 遮光部、203a 凸部、203b クロムを含む層、205a 残渣
図1
図2
図3
図4
図5
図6