(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記開口部は、流体の流動方向に沿って流体流入側開口部と流体流出側開口部に二分した場合、前記流体流出側開口部が前記流体流入側開口部を反転させた形状になっている、
ことを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載のメッシュフィルタ。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の燃料噴射装置に接続される燃料供給管や潤滑装置等のオイル配管の途中にはメッシュフィルタが配置され、このメッシュフィルタで燃料やオイル等の流体中の異物を濾し取るようになっている。
【0003】
図9は、従来のメッシュフィルタ100を示す図である。なお、
図9(a)は従来のメッシュフィルタ100の正面図であり、
図9(b)は従来のメッシュフィルタ100の側面図であり、
図9(c)は
図9(a)のA10−A10線に沿って切断して示すメッシュフィルタ100の断面図であり、
図9(d)は
図9(a)のB3部の拡大図である。また、
図9(e)は従来のメッシュフィルタ100の成形方法における第1段階を説明するための金型101の断面図であり、
図9(f)は従来のメッシュフィルタ100の成形方法における第2段階を説明するための金型101の断面図である。
【0004】
この
図9(a)〜(d)に示す従来のメッシュフィルタ100は、オイルが通過でき、且つ、所定の大きさ(例えば、直径0.1mm)の異物(金属粉、塵埃等)を濾し取ることができる開口部102(例えば、0.1mm×0.1mmの四角形の開口部)が多数形成されたメッシュ部材103と、このメッシュ部材103の内周縁に沿って取り付けられた樹脂製の内筒104と、メッシュ部材103の外周縁に沿って取り付けられた樹脂製の外筒105とを有している。メッシュ部材103は、平面視した形状が中空円板形状であり、ナイロン繊維106を格子状に編み込むようにして形成され、格子状に編み込まれたナイロン繊維106間に四角形状の開口部102が形成されている。
【0005】
このような従来のメッシュフィルタ100は、
図9(e)〜(f)に示すようにしてインサート成形される。先ず、第1金型107と第2金型108を型開きした状態において、第1金型107のキャビティ110内の台座部111上にメッシュ部材103を配置する(
図9(e)参照)。次いで、第2金型108を第1金型107に押圧し(第1金型107と第2金型108とを型締めし)、第2金型108の押圧部112と第1金型107の台座部111との間にメッシュ部材103を挟持し、第1金型107と第2金型108の型合わせ面113側に内筒104と外筒105を形作るためのキャビティ110を形成した後、このキャビティ110に図示しないゲートから溶融樹脂が射出され、メッシュ部材103の内周縁に樹脂製の内筒104が一体に成形され、メッシュ部材103の外周縁に外筒105が一体に成形される(
図9(f)参照)。このようなメッシュフィルタ100をインサート成形する技術は、従来から一般に広く知られている(特許文献1,2参照)。
【0006】
しかしながら、
図9(a)〜(d)に示す従来のメッシュフィルタ100は、インサート成形により製造されるものであるため、全体を射出成形によって一体成形する場合と比較し、メッシュ部材103をキャビティ110内の所定位置に収容する工程が必要となる分だけ、製造工数が嵩んでいた(
図9(e)参照)。また、
図9(a)〜(d)に示す従来のメッシュフィルタ100は、格子状に編み込まれたナイロン繊維6がずれ易く、開口部102の形状及び開口部102の面積(流体が通過する流路の断面積)がばらつき易いため、フィルタ性能(所定粒径以上の異物を除去できる性能)にばらつきを生じ易かった。
【0007】
そこで、本願の出願人は、従来のインサート成形されたメッシュフィルタ100の上述した欠点を改良するため、
図10に示すようなメッシュフィルタ200を開発した。なお、
図10(a)はメッシュフィルタ200の正面図であり、
図10(b)はメッシュフィルタ200の側面図であり、
図10(c)はメッシュフィルタ200の背面図であり、
図10(d)は
図10(a)のA11−A11線に沿って切断して示すメッシュフィルタ200の断面図であり、
図10(e)は
図10(a)のB4部の拡大図(メッシュ部の一部拡大図)であり、
図10(f)は
図10(e)のA12−A12線に沿って切断して示す断面図であり、
図10(g)は
図10(e)のA13−A13線に沿って切断して示す断面図である。
【0008】
この
図10に示すメッシュフィルタ200は、全体が射出成形によって一体成形されており、内筒201と外筒202の間にメッシュ部203が一体に形成されている。そして、メッシュ部203は、隣り合って位置する横桟204,204と、これら横桟204,204と直交し且つ隣り合って位置する縦桟205,205との間に開口部206が形成されるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るメッシュフィルタを示す図であり、
図1(a)はメッシュフィルタの正面図、
図1(b)はメッシュフィルタの側面図、
図1(c)はメッシュフィルタの背面図、
図1(d)は
図1(a)のA1−A1線に沿って切断して示すメッシュフィルタの断面図、
図1(e)は
図1(a)のB1部の拡大図、
図1(f)は
図1(e)のA2−A2線に沿って切断して示す断面図、
図1(g)は
図1(e)のA3−A3線に沿って切断して示す断面図であり、
図1(h)がメッシュフィルタのメッシュ部を形作る横桟及び縦桟の断面形状を拡大して示す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るメッシュフィルタの射出成形に使用される金型を示す図であり、
図2(a)は金型の縦断面図、
図2(b)は
図2(a)のB2部の拡大図、
図2(c)は
図2(b)のD方向から見た第1金型の一部平面図、
図2(d)は
図2(b)の一部拡大図である。
【
図3】第1実施形態の変形例1を示す図であり、
図3(a)は本変形例に係るメッシュフィルタの横桟及び縦桟の断面図(
図1(h)に対応する図)であり、
図3(b)は本変形例に係るメッシュフィルタの射出成形に使用される金型の縦断面図の一部を示す図(
図2(b)に対応する図)であり、
図3(c)は
図3(b)の一部を拡大して示す図である。
【
図4】第1実施形態の変形例2を示す図であり、
図4(a)は本変形例に係るメッシュフィルタの横桟及び縦桟の断面図(
図1(h)に対応する図)であり、
図4(b)は本変形例に係るメッシュフィルタの射出成形に使用される金型の縦断面図の一部を示す図(
図2(b)に対応する図)であり、
図4(c)は
図4(b)の一部を拡大して示す図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係るメッシュフィルタを示す図であり、
図5(a)はメッシュフィルタの正面図であり、
図5(b)はメッシュフィルタの側面図であり、
図5(c)はメッシュフィルタの背面図であり、
図5(d)は
図5(a)のA5−A5線に沿って切断して示す断面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るメッシュフィルタの射出成形に使用される金型を示す図であり、
図2(a)に対応する断面図である。
【
図7】本発明の第3実施形態に係るメッシュフィルタのメッシュ部を示す図であって、第1実施形態に係るメッシュフィルタの開口部の変形例を示す図であり、
図7(a)は
図1(e)に対応する図、
図7(b)は
図7(a)のA6−A6線に沿って切断して示す図、
図7(c)は
図7(a)のA7−A7線に沿って切断して示す図である。
【
図8】本発明の第4実施形態に係るメッシュフィルタのメッシュ部を示す図であって、第1実施形態に係るメッシュフィルタの開口部の変形例を示す図であり、
図8(a)は
図1(e)に対応する図であり、
図8(b)は
図8(a)のA8−A8線に沿って切断して示す図であり、
図8(c)は
図8(a)のA9−A9線に沿って切断して示す図である。
【
図9】従来のメッシュフィルタを示す図であり、
図9(a)は従来のメッシュフィルタの正面図であり、
図9(b)は従来のメッシュフィルタの側面図であり、
図9(c)は
図9(a)のA10−A10線に沿って切断して示すメッシュフィルタの断面図であり、
図9(d)は
図9(a)のB3部の拡大図であり、
図9(e)は従来のメッシュフィルタの成形方法における第1段階を説明するための金型の断面図であり、
図9(f)は従来のメッシュフィルタの成形方法における第2段階を説明するための金型の断面図である。
【
図10】射出成形されたメッシュフィルタであって、本発明の比較例としてのメッシュフィルタを示す図であり、
図10(a)はメッシュフィルタの正面図であり、
図10(b)はメッシュフィルタの側面図であり、
図10(c)はメッシュフィルタの背面図であり、
図10(d)は
図10(a)のA11−A11線に沿って切断して示すメッシュフィルタの断面図であり、
図10(e)は
図10(a)のB4部の拡大図(メッシュ部の一部拡大図)であり、
図10(f)は
図10(e)のA12−A12線に沿って切断して示す断面図であり、
図10(g)は
図10(e)のA13−A13線に沿って切断して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳述する。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るメッシュフィルタ1を示す図である。なお、
図1(a)はメッシュフィルタ1の正面図であり、
図1(b)はメッシュフィルタ1の側面図であり、
図1(c)はメッシュフィルタ1の背面図であり、
図1(d)は
図1(a)のA1−A1線に沿って切断して示すメッシュフィルタ1の断面図である。また、
図1(e)は
図1(a)のB1部の拡大図(メッシュフィルタ1の一部拡大図)であり、
図1(f)は
図1(e)のA2−A2線に沿って切断して示す断面図(メッシュフィルタ1の一部拡大断面図)であり、
図1(g)は
図1(e)のA3−A3線に沿って切断して示す断面図(メッシュフィルタ1の一部拡大断面図)であり、
図1(h)はメッシュフィルタ1のメッシュ部4を形作る横桟6及び縦桟7の断面形状を拡大して示す図である。
【0018】
この
図1に示すように、メッシュフィルタ1は、円筒状の内筒2(内側の枠体)と、この内筒2と同心の円筒状の外筒3(内側の枠体を取り囲む外側の枠体)と、内筒2の外周面2aと外筒3の内周面3aとを径方向に沿って接続するメッシュ部4と、を一体に有している。そして、このメッシュフィルタ1は、全体が樹脂材料(66ナイロン、POM等)によって一体に形成されている。なお、このようなメッシュフィルタ1は、例えば、自動車の燃料噴射装置に接続される燃料供給管に配置されるようになっており、内筒2及び外筒3が燃料供給管路等にシール部材(図示せず)を介して取り付けられ、メッシュ部4を通過する燃料(流体)の漏洩が生じないように使用される。また、本実施形態において、内筒2の外径が10mmであり、外筒3の外径が16mmである。また、内筒2の肉厚が1mmであり、外筒3の肉厚が1mmである。なお、これら内筒2及び外筒3に関する数値は、本実施形態に係るメッシュフィルタ1の理解を容易にするための例示であり、使用条件等に応じて適宜変更される。
【0019】
内筒2及び外筒3は、中心軸5に沿った長さ寸法L1が同一であり、中心軸5に沿った方向の一端面2b,3bが共に中心軸5に直交する同一の仮想平面上に位置し、中心軸5に沿った方向の他端面2c,3cが共に中心軸5に直交する同一の仮想平面上に位置するようになっている。なお、内筒2と外筒3の関係は、本実施形態に限定されるものではなく、メッシュフィルタ1の取付状態に応じて変形され、内筒2と外筒3の中心軸5に沿った方向の寸法を異なる寸法としたり、また、内筒2の中心軸5に沿った方向の一端面2bは、外筒3の中心軸5に沿った方向の一端面3bとずれて位置するように構成してもよい。また、内筒2の中心軸5に沿った方向の他端面2cは、外筒3の中心軸5に沿った方向の他端面3cとずれて位置するように構成してもよい。
【0020】
メッシュ部4は、内筒2の中心軸5に沿った方向に直交する仮想平面をX−Y平面とすると、このX−Y平面に沿って同一の板厚寸法となるように形成されている。そして、メッシュ部4のうちの内筒2と外筒3との接続部分以外の部分は、Y軸に直交し且つX軸と並行に等間隔で複数形成された横桟6と、この横桟6と直交し且つY軸と並行に等間隔で複数形成された縦桟7と、これら横桟6と縦桟7とによって四角形状に形作られた複数の開口部8と、を備えている。
【0021】
横桟6及び縦桟7は、長手方向(横桟6の延びる方向、縦桟7の延びる方法)に直交する断面形状が同一の楕円形状になっている(
図1(h)参照)。横桟6は、流体の流動方向上流側の側面部分が流体の流動方向下流側へ向かうに従って開口部8を滑らかに狭める凸曲面である第1の曲面10(
図1(h)における断面形状が1/4楕円弧)で形作られ、流体の流動方向下流側の側面部分が流体の流動方向下流側へ向かうに従って前記開口部8を滑らかに拡げる凸曲面である第2の曲面11(
図1(h)における断面形状が1/4楕円弧)で形作られている。また、縦桟7は、流体の流動方向上流側の側面部分が流体の流動方向下流側へ向かうに従って開口部8を滑らかに狭める凸曲面である第3の曲面12(
図1(h)における断面形状が1/4楕円弧)で形作られ、流体の流動方向下流側の側面部分が流体の流動方向下流側へ向かうに従って開口部8を滑らかに拡げる凸曲面である第4の曲面13(
図1(h)における断面形状が1/4楕円弧)で形作られている。そして、横桟6は、両側面14,14が第1の曲面10と第2の曲面11とで形作られ、第1の曲面10と第2の曲面11が滑らかに(エッジを形成することなく)接続されている。また、縦桟7は、両側面15,15が第3の曲面12と第4の曲面13とで形作られ、第3の曲面12と第4の曲面13が滑らかに接続されている。なお、横桟6及び縦桟7は、断面形状が同一の楕円形状であるため、
図1(h)にまとめて記載した。
【0022】
開口部8は、隣り合う一対の横桟6,6とこれら横桟6,6と直交する隣り合う一対の縦桟7,7に囲まれた流体の流路であり、メッシュ部4の表面側から裏面側まで貫通し、平面視した形状が正四角形になっており、メッシュ部4の板厚方向の中央(Z軸に沿った方向の中央であり、流体の流動方向の中央)において最も狭くなっている。そして、メッシュ部4の板厚方向の中央における開口部8の断面形状は、一辺が0.1mmの正四角形になっている。開口部8の内面は、隣り合う一対の横桟6,6の対向する側面14,14(第1の曲面10と第2の曲面11とからなる側面)同士と、隣り合う一対の縦桟7,7の対向する側面15,15(第3の曲面12と第4の曲面13とからなる側面)同士とで形作られている。すなわち、開口部8の内面を構成する4面は、隣り合う一対の横桟6,6の滑らか
な側面14,14同士と隣り合う一対の縦桟7の滑らかな側面15,15同士で構成されている。
【0023】
このように形成された開口部8は、流体の流動方向に沿って流体流入側開口部8a(又は8b)と流体流出側開口部8b(又は8a)とに二分した場合、流体流出側開口部8b(又は8a)が流体流入側開口部8a(又は8b)を反転させた形状になっている。言い換えると、開口部8は、流体の流動方向に沿って延び且つ開口部8の中心線16を含む仮想平面(Y−Z座標面、又はX−Z座標面)で切断した断面形状が、流体の流動方向の中央で且つ流体の流動方向と直交する仮想平面(X−Y座標面)上の仮想中心線17に対して線対称の形状になっている。しかも、開口部8は、流体の流動方向に沿って延び且つ開口部8の中心線16を含む仮想平面(Y−Z座標面、又はX−Z座標面)で切断した断面形状が、開口部8の中心線16に対して線対称の形状になっている。そして、流体流入側開口部は、流体の流動方向に沿って流路断面積を漸減させるようになっており、流体を滑らかに絞りながら流動させる。また、流体流出側開口部は、流体の流動方向に沿って流路断面積を漸増させるようになっており、流体を滑らかに拡げながら流動させる。
【0024】
なお、本実施形態において、横桟6及び縦桟7は、隣り合う開口部8,8間の寸法(
図1(e)のY軸に沿った方向の寸法L2、又は
図1(e)のX軸に沿った方向の寸法L3)である幅寸法(L2,L3)が0.1mmで、且つ、内筒2の中心軸5に沿った方向(
図1(f)のZ軸方向、又は
図1(g)のZ軸方向)に沿った横桟6及び縦桟7の高さ寸法(L4,L5)が0.3mmになっている。また、このメッシュ部4は、
図1(a)に示すように、X軸に沿った径方向寸法L6が2〜5mmの範囲で形成され、メッシュフィルタ1の取り付け部の構造等に応じて最適の寸法が設定される。また、このメッシュ部4は、内筒2と外筒3との接続部分にも、一辺が0.1mmの正四角形の開口部8が形成されている。
【0025】
図2は、本実施形態に係るメッシュフィルタ1の射出成形に使用される金型20を示す図である。なお、この
図2において、
図2(a)が金型20の縦断面図であり、
図2(b)が
図2(a)のB2部の拡大図(金型20の一部拡大断面図)であり、
図2(c)が
図2(b)のD方向から見た第1金型21の一部平面図であり、
図2(d)が
図2(b)の一部拡大図である。
【0026】
図2(a)に示すように、金型20は、第1金型21と第2金型22の型合わせ面23側に、メッシュフィルタ1を射出成形するためのキャビティ24が形成されている。キャビティ24は、メッシュフィルタ1の内筒2を形作るための円筒状の第1キャビティ部分25と、メッシュフィルタ1の外筒3を形作るための円筒状の第2キャビティ部分26と、メッシュフィルタ1のメッシュ部4を形作るための中空円板状の第3キャビティ部分27と、を有している。そして、第1金型21は、第1キャビティ部分25の中心軸28に沿った方向の一端面25a側に開口するピンゲート30が第1キャビティ部分25の周方向に沿って等間隔で6箇所設けられている(
図1(c)のゲート痕30a参照)。なお、本実施形態において、キャビティ24に開口するピンゲート30は、第1キャビティ部分25の周方向に沿って等間隔で6箇所設けられる態様を例示したが、これに限られず、第1キャビティ部分25の外径寸法等に応じて2箇所以上の複数箇所に設けられる。また、複数のピンゲート30に代えてリングゲートを設けるようにしてもよい。
【0027】
第1金型21の第3キャビティ部分27を形作る部分と第2金型22の第3キャビティ部分27を形作る部分には、開口部8を形作るための突起が突起31A,31Bに二分された状態で形成されている(
図2(b)、(d)参照)。これら第1金型21と第2金型22の各々の突起31A,31Bは、同一高さ寸法h/2(h=L4,L5)に形成されており、第1金型21と第2金型22の型締め時において、その頂面31a,31b同士が突き合わせられる。そして、第2金型22の突起31Bは、第1金型21の突起31Aを反転させた形状になっている。
【0028】
第1金型21の突起31Aの頂面31aと第2金型22の突起31Bの頂面31bは、開口部8のうちの流体の流動方向に沿った中央に位置する部分(開口部8のうちのメッシュ部4の厚み方向中央に位置する部分)の断面形状を形作るようになっており、一辺が0.1mmの正四角形の平面形状になっている(
図2(c)参照)。
【0029】
第1金型21と第2金型22は、型締めされた状態において、横桟6を形成するための横桟溝32と縦桟7を形成するための縦桟溝33が突起31A,31Bと突起31A,31Bの間に形成されており、横桟溝32と縦桟溝33の断面形状が横桟6と縦桟7の断面形状と同様の楕円形状になっている。そして、これら横桟溝32と縦桟溝33は、溝幅寸法wが横桟6及び縦桟7の幅寸法L2(L3)と同一(0.1mm)であり、溝長さ寸法L7が突起31Aの高さ寸法(h/2)と突起31Bの高さ寸法(h/2)の和(h)に等しくなっており、横桟6及び縦桟7の高さ寸法(メッシュ部4の厚み寸法)と同一(0.3mm)である。なお、
図2(c)に示すように、X軸に沿って延びる横桟溝32は、Y軸に沿って等間隔で複数形成されている。また、Y軸に沿って延びる縦桟溝33は、X軸に沿って等間隔で複数形成されている。そして、横桟溝32と縦桟溝33は、断面形状が同一の楕円形状であるため、
図2(b),(d)にまとめて記載した。
【0030】
このような構造の金型20は、
図2(a)に示すように、第1金型21と第2金型22とを型締めした状態で、溶融状態の樹脂材料(例えば、66ナイロン、又はPOM)が複数のピンゲート30からキャビティ24内に射出された後、キャビティ24内の圧力が所定圧に保持され、金型20が冷却される。その後、第2金型22が第1金型21から−C方向へ離され(型開きされ)、キャビティ24内のメッシュフィルタ1が図示しないエジェクタピンでキャビティ24内から押し出され、射出成形品であるメッシュフィルタ1が金型20から取り出される(
図1参照)。その後、この金型20は、型開きの状態にある第2金型22が+C方向(第1金型21に近づく方向)に移動させられ、第2金型22が第1金型21に押し付けられ、第1金型21と第2金型22とが型締めされる。このような本実施形態に係るメッシュフィルタ1の射出成形の1サイクルが、従来例に係るメッシュフィルタ100のインサート成形の1サイクルよりも短時間になる。その結果、本実施形態に係るメッシュフィルタ1は、インサート成形されるメッシュフィルタ100よりも生産性が向上し、インサート成形されるメッシュフィルタ100よりも製品価格が低廉化する。
【0031】
以上のような本実施形態に係るメッシュフィルタ1は、開口部8(流体流入側開口部8aと流体流出側開口部8b)の内面が楕円形状の横桟6の滑らかな側面14,14と楕円形状の縦桟7の滑らかな側面15,15とで形作られ、流体流入側開口部8a(又は8b)が流体を滑らかに絞りながら流動させ、流体流出側開口部8b(又は8a)が流体を滑らかに拡げながら流動させることができるため、開口部8を流動する流体の流れが滑らかになり、開口部8が四角柱状の流路(流体の流動方向上流端から流動方向下流端まで同一の流路断面積の四角柱状の流路)を形作るメッシュフィルタ200と比較して(
図8参照)、流動抵抗を大幅(1/4程度)に低減できる。その結果、本実施形態に係るメッシュフィルタ1は、インサート成形されたメッシュフィルタ100と同様の圧力条件下で使用することが可能になった(
図7参照)。
【0032】
また、本実施形態に係るメッシュフィルタ1は、メッシュ部4の複数の開口部8が同一寸法(一辺が0.1mmの正四角形)であるため、例えば、自動車の燃料噴射装置に接続される燃料供給管路に配置されることにより、直径が0.1mmを超える大きさの燃料中の異物を正確に濾し取ることができる。なお、メッシュ部材103がナイロン繊維を格子状に編み込んで形成されたインサート成形品としてのメッシュフィルタ100は、メッシュ部材103の開口部102の形状が崩れ易く、メッシュ部材103で濾し取ることができる異物の粒径の下限値にバラツキを生じ、メッシュ部材103を通過させるべき異物を濾し取るか、又は、メッシュ部材103で濾し取る必要のある異物の通過を許してしまう虞があり、フィルタ性能として不十分なものとなる(
図7参照)。しかしながら、本実施形態に係るメッシュフィルタ1は、濾し取ることができる異物の粒径の下限値にバラツキを生じることがなく、開口部8の面積にバラツキを生じる場合に比較して、フィルタ性能を向上させることができる。
【0033】
また、本実施形態に係るメッシュフィルタ1は、横桟6及び縦桟7の高さ寸法(L4,L5)が、横桟6及び縦桟7のリブ幅寸法(L2,L3)よりも3倍大きいため、メッシュ部4の剛性を高くできる。それにより、本実施形態に係るメッシュフィルタ1は、金型20からの離型性が良好で、且つ、メッシュ部4の形状が高精度に成形される。
【0034】
なお、本実施形態に係るメッシュフィルタ1において、メッシュ部4は、内筒2と外筒3の中心軸5に沿った方向の中央部を径方向に接続するように形成されているが、これに限られず、内筒2及び外筒3の中心軸5に沿った方向の一端寄りの位置にずらして配置したり、内筒2及び外筒3の中心軸5に沿った方向の他端寄りの位置にずらして配置してもよい。
【0035】
(第1実施形態の変形例1)
図3は、第1実施形態の変形例1を示す図である。なお、
図3(a)は本変形例に係るメッシュフィルタ1の横桟6及び縦桟7の断面図(
図1(h)に対応する図)であり、
図3(b)は本変形例に係るメッシュフィルタ1の射出成形に使用される金型20の縦断面図の一部を示す図(
図2(b)に対応する図)であり、
図3(c)は
図3(b)の一部を拡大して示す図である。
【0036】
図3(a)に示すように、本変形例に係るメッシュフィルタ1は、横桟6の第1の曲面10と第2の曲面11が平坦な側面部分34を介して接続され、縦桟7の第3の曲面12と第4の曲面13が平坦な側面部分35を介して接続されている。そして、横桟6及び縦桟7は、幅方向両側の平坦な側面部分34,34(35,35)が平行に位置し、平坦な側面部分34,34(35,35)における幅寸法L2(L3)が一定となるように形成されている。この平坦な側面部分34,34(35,35)は、横桟6及び縦桟7の高さ方向の中央部に位置し、一端側の半楕円形状部分36と滑らかに接続されると共に、他端側の半楕円形状部分36と滑らかに接続されている。このように形成された横桟6及び縦桟7の断面形状は、略楕円形状になっている。
【0037】
この
図3(a)に示す断面形状の一対の横桟6,6と一対の縦桟7,7で囲まれて形作られる開口部8は(
図1(e)参照)、横桟6及び縦桟7の高さ方向(メッシュ部4の厚み方向)の中央部分の内面が一対の横桟6,6及び一対の縦桟7,7の平坦な側面部分34(35)によって形作られ、流路断面積が一定の四角柱状の流路がメッシュ部4の厚み方向の中央部分に形成されている。
【0038】
図3(b)〜(c)に示すように、本変形例に係るメッシュフィルタ1の射出成形用の金型20は、第1金型21の突起31Aの先端側と第2金型22の突起31Bの先端側に、横桟6及び縦桟7の平坦な側面部分34,35に対応する四角柱部分が二分された(第1四角柱部分37Aと第2四角柱部分37Bとに分けられた)状態で形成されている。このような金型20は、繰り返し使用されることによって突起31Aの先端の形状が崩れた場合(摩耗等した場合)、全ての突起37A,37Bの先端が研削加工等で補修され、メッシュフィルタ1の射出成形に再利用されることになるが、突起37A,37Bの先端側が四角柱状(第1四角柱部分37A,第2四角柱部分37B)であるため、突起37A,37Bの先端面の形状を一辺が0.1mmの正四角形に維持することができる。したがって、このような金型20は、メッシュフィルタ1の開口部8の寸法精度を維持した状態で、高精度のメッシュフィルタ1を長期間にわたり射出成形することができる。
【0039】
本変形例に係るメッシュフィルタ1は、開口部8の内面が略楕円形状の横桟6の滑らかな側面14と略楕円形状の縦桟7の滑らかな側面15とで形作られ、流体流入側開口部8a(又は8b)が流体を滑らかに絞りながら流動させ、流体流出側開口部8b(又は8a)が流体を滑らかに拡げながら流動させることができるため、開口部8を流動する流体の流れが滑らかになり、第1実施形態に係るメッシュフィルタ1と同様の効果を得ることができる(
図1参照)。
【0040】
(第1実施形態の変形例2)
図4は、第1実施形態の変形例2を示す図である。なお、
図4(a)は本変形例に係るメッシュフィルタ1の横桟6及び縦桟7の断面図(
図1(h)に対応する図)であり、
図4(b)は本変形例に係るメッシュフィルタ1の射出成形に使用される金型20の縦断面図の一部を示す図(
図2(b)に対応する図)であり、
図4(c)は
図4(b)の一部を拡大して示す図である。
【0041】
図4(a)に示すように、本変形例に係るメッシュフィルタ1は、断面が楕円形状の横桟6と縦桟7の高さ方向(長手方向)の一端と他端を切り落とし、横桟6と縦桟7の高さ方向の一端と他端に平坦面38a,38bを形成したような形状になっている。そして、
図4(a)に示すように、本変形例に係るメッシュフィルタ1は、横桟6の第1の曲面10と第2の曲面11が楕円形状の滑らかな凸曲面になっており、第1の曲面10と第2の曲面11が滑らかに接続されている。また、
図4(a)に示すように、本変形例に係るメッシュフィルタ1は、縦桟7の第3の曲面12と第4の曲面13が楕円形状の滑らかな凸曲面になっており、第3の曲面12と第4の曲面13が滑らかに接続されている。このように形成された横桟6及び縦桟7の断面形状は、略楕円形状になっている。
【0042】
図4(b)〜(c)に示すように、本変形例に係るメッシュフィルタ1の射出成形用の金型20は、第1金型21及び第2金型22の横桟6を形作るための横桟溝32の底部に、横桟6の一端の平坦面38aに対応する平坦部40aと横桟6の他端の平坦面38bに対応する平坦部40bが形成されている。また、本変形例に係るメッシュフィルタ1の射出成形用の金型20は、第1金型21及び第2金型22の縦桟7を形作るための縦桟溝33の底部に、縦桟7の一端の平坦面38aに対応する平坦部40aと縦桟7の他端の平坦面38bに対応する平坦部40bが形成されている。
【0043】
本変形例に係るメッシュフィルタ1は、開口部8の内面が略楕円形状の横桟6の滑らかな側面14,14と略楕円形状の縦桟7の滑らかな側面15,15とで形作られ、流体流入側開口部8a(又は8b)が流体を滑らかに絞りながら流動させ、流体流出側開口部8b(又は8a)が流体を滑らかに拡げながら流動させることができるため、開口部8を流動する流体の流れが滑らかになり、第1実施形態に係るメッシュフィルタ1と同様の効果を得ることができる(
図1参照)。
【0044】
なお、本変形例に係るメッシュフィルタにおいて、横桟6の第1の曲面10と第2の曲面11、及び縦桟7の第3の曲面12と第4の曲面13は、断面形状が同一の曲率半径の円弧状となる凸曲面でもよい。このようにして形成された横桟6及び縦桟7は、断面形状が略楕円形状になっている。
【0045】
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態に係るメッシュフィルタ1を示す図である。なお、
図5(a)はメッシュフィルタ1の正面図であり、
図5(b)はメッシュフィルタ1の側面図であり、
図5(c)はメッシュフィルタ1の背面図であり、
図5(d)は
図5(a)のA5−A5線に沿って切断して示す断面図である。
【0046】
この
図5に示すように、メッシュフィルタ1は、中心部に位置する円板状のゲート接続部43と、このゲート接続部43の中心軸44と同心で且つゲート接続部43を取り囲むように位置する円筒状の外筒3(外側の枠体)と、ゲート接続部43の外周面43aと外筒3の内周面3aを径方向に沿って接続するメッシュ部4と、を備えている。そして、メッシュ部4は、上記第1実施形態に係るメッシュフィルタ1のメッシュ部4と同様に形成されている(
図1(e)〜(h)参照)。また、ゲート接続部43は、射出成形用のゲート45が開口する部分であり、外径寸法がゲート45の開口部の内径寸法以上の大きさに設定されており(
図6参照)、メッシュ部4の表裏両面から出っ張る厚さ寸法になっている。また、外筒3は、円筒状に形成されているが、メッシュフィルタ1が取り付けられる相手部材(例えば、自動車の燃料噴射装置に接続される燃料供給管)の取付部構造に応じて適宜変更される。このように形成された本実施形態に係るメッシュフィルタ1は、第1実施形態に係るメッシュフィルタ1と同様の効果を得ることができる。
【0047】
図6は、本実施形態に係るメッシュフィルタ1の射出成形に使用される金型20を示す図であり、
図2(a)に対応する断面図である。なお、
図6に示す金型20は、
図2の金型20と同一部分には同一符号を付し、
図2の金型20の説明と重複する説明を省略する。
【0048】
図6に示すように、金型20は、第1金型21と第2金型22の型合わせ面23側に、メッシュフィルタ1を射出成形するためのキャビティ24が形成されている。キャビティ24は、メッシュフィルタ1のゲート接続部43を形作るための円板状の第1キャビティ部分46と、メッシュフィルタ1の外筒3を形作るための円筒状の第2キャビティ部分26と、メッシュフィルタ1のメッシュ部4を形作るための中空円板状の第3キャビティ部分27と、を有している。また、第1金型21は、第1キャビティ部分46の中心軸47に沿った方向の一端面46a側に開口するゲート45が設けられている。そして、第3キャビティ部分27は、第1実施形態に係る金型の第3キャビティ部分27と同様に形成されている(
図2(b)〜(d)参照)。
【0049】
[第3実施形態]
図7は、第3実施形態に係るメッシュフィルタ1のメッシュ部4を示す図であって、第1実施形態に係るメッシュフィルタ1の開口部8の変形例を示す図である。なお、
図7(a)は
図1(e)に対応する図であり、
図7(b)は
図7(a)のA6−A6線に沿って切断して示す図であり、
図7(c)は
図7(a)のA7−A7線に沿って切断して示す図である。
【0050】
図7に示す本実施形態に係るメッシュフィルタ1のメッシュ部4は、第1実施形態に係るメッシュフィルタ1のフィルタ部4と同様に、内筒2及び外筒3と一体に射出成形されている(
図1参照)。そして、本実施形態に係るメッシュフィルタ1は、メッシュ部4の開口部8を平面視した形状が円形状になっている点において、開口部8を平面視した形状が四角形状の第1実施形態に係るメッシュフィルタ1と相違する。
【0051】
開口部は、流体の流動方向に沿って流体流入側開口部8aと流体流出側開口部8bとを有し、流体流入側開口部8aの内面19aが流体の流動方向下流側へ向かうに従って滑らかに流路を狭め、流体流出側開口部8bの内面19bが流体の流動方向下流側へ向かうに従って滑らかに流路を拡げるように形成されている。このような開口部8の内面(19a,19b)は、流体流入側開口部8aの内面19aと流体流出側開口部8bの内面19bとの境界部分において最も流路が狭められるような凸曲面で形成されている(
図7(b)、
図7(c)参照)。
【0052】
また、開口部8は、流体の流動方向に沿って延び且つ開口部8の中心線16を含む仮想平面(Y−Z座標面、又はX−Z座標面)で切断した断面形状が、流体の流動方向の中央で且つ流体の流動方向と直交する仮想平面(X−Y座標面)上の仮想中心線17に対して線対称の形状になっている。すなわち、
図7(b)及び
図7(c)に示すように、開口部8は、流体流入側開口部8aの内面19aと流体流出側開口部8bの内面19bの断面形状が仮想中心線17に対して線対称の形状になっている。
【0053】
また、開口部8は、流体の流動方向に沿って延び且つ開口部8の中心線16を含む仮想平面(Y−Z座標面、又はX−Z座標面)で切断した断面形状が、開口部8の中心線16に対して線対称の形状になっている。すなわち、
図7(b)及び
図7(c)で示すように、開口部8は、流体流入側開口部8aの内面19aの断面形状及び流体流出側開口部8bの内面19bの断面形状が開口部8の中心線16に対して線対称の形状になっている。
【0054】
本実施形態に係るメッシュフィルタ1は、流体の流動方向上流側の開口部8(流体流入側開口部8a)が流体を滑らかに絞りながら流動させ、流体の流動方向下流側の開口部8(流体流出側開口部8b)が流体を滑らかに拡げながら流動させることができるため、開口部8を流動する流体の流れが滑らかになり、開口部8が四角柱状の流路(流体の流動方向上流端から流動方向下流端まで同一の流路断面積の四角柱状の流路)を形作るメッシュフィルタと比較して、流動抵抗を大幅に低減できる。その結果、本実施形態に係るメッシュフィルタ1は、インサート成形されたメッシュフィルタと同様の圧力条件下で使用することが可能になった。
【0055】
なお、本実施形態に係るメッシュフィルタ1は、上述した流体流入側開口部8aを流体流出側開口部とし、流体流出側開口部8bを流体流入側開口部として使用することも可能である。
【0056】
[第4実施形態]
図8は、第4実施形態に係るメッシュフィルタ1のメッシュ部4を示す図であって、第1実施形態に係るメッシュフィルタ1の開口部8の変形例を示す図である。なお、
図8(a)は
図1(e)に対応する図であり、
図8(b)は
図8(a)のA8−A8線に沿って切断して示す図であり、
図8(c)は
図8(a)のA9−A9線に沿って切断して示す図である。
【0057】
図8に示す本実施形態に係るメッシュフィルタ1のメッシュ部4は、第1実施形態に係るメッシュフィルタ1のフィルタ部4と同様に、内筒2及び外筒3と一体に射出成形されている(
図1参照)。そして、本実施形態に係るメッシュフィルタ1は、メッシュ部4の開口部8を平面視した形状が八角形状になっている点において、開口部8を平面視した形状が四角形状の第1実施形態に係るメッシュフィルタ1と相違する。
【0058】
開口部は、流体の流動方向に沿って流体流入側開口部8aと流体流出側開口部8bとを有し、流体流入側開口部8aの内面19aが流体の流動方向下流側へ向かうに従って滑らかに流路を狭め、流体流出側開口部8bの内面19bが流体の流動方向下流側へ向かうに従って滑らかに流路を拡げるように形成されている。このような開口部8の内面(19a,19b)は、流体流入側開口部8aの内面19aと流体流出側開口部8bの内面19bとの境界部分において最も流路が狭められるような凸曲面で形成されている(
図8(b)、
図8(c)参照)。
【0059】
また、開口部8は、流体の流動方向に沿って延び且つ開口部8の中心線16を含む仮想平面(Y−Z座標面、又はX−Z座標面)で切断した断面形状が、流体の流動方向の中央で且つ流体の流動方向と直交する仮想平面(X−Y座標面)上の仮想中心線17に対して線対称の形状になっている。すなわち、
図8(b)及び
図8(c)に示すように、開口部8は、流体流入側開口部8aの内面19aと流体流出側開口部8bの内面19bの断面形状が仮想中心線17に対して線対称の形状になっている。
【0060】
また、開口部8は、流体の流動方向に沿って延び且つ開口部8の中心線16を含む仮想平面(Y−Z座標面、又はX−Z座標面)で切断した断面形状が、開口部8の中心線16に対して線対称の形状になっている。すなわち、
図8(b)及び
図8(c)で示すように、開口部8は、流体流入側開口部8aの内面19aの断面形状及び流体流出側開口部8bの内面19bの断面形状が開口部8の中心線16に対して線対称の形状になっている。
【0061】
本実施形態に係るメッシュフィルタ1は、流体の流動方向上流側の開口部8(流体流入側開口部8a)が流体を滑らかに絞りながら流動させ、流体の流動方向下流側の開口部8(流体流出側開口部8b)が流体を滑らかに拡げながら流動させることができるため、開口部8を流動する流体の流れが滑らかになり、開口部8が四角柱状の流路(流体の流動方向上流端から流動方向下流端まで同一の流路断面積の四角柱状の流路)を形作るメッシュフィルタと比較して、流動抵抗を大幅に低減できる。その結果、本実施形態に係るメッシュフィルタ1は、インサート成形されたメッシュフィルタと同様の圧力条件下で使用することが可能になった。
【0062】
なお、本実施形態に係るメッシュフィルタ1は、上記第3実施形態のメッシュフィルタ1と同様に、流体流入側開口部8aを流体流出側開口部とし、流体流出側開口部8bを流体流入側開口部として使用することも可能である。
【0063】
また、本実施形態に係るメッシュフィルタ1は、開口部8が八角形の平面形状のものを例示したが、流体の流動方向上流側の開口部8(流体流入側開口部8a)が流体を滑らかに絞りながら流動させ、流体の流動方向下流側の開口部8(流体流出側開口部8b)が流体を滑らかに拡げながら流動させることができるものであれば、開口部8の平面形状が四角形、八角形以外の多角形状(六角形等)でもよい。
【0064】
[その他の実施形態]
本発明に係るメッシュフィルタ1は、開口部8を平面視した形状が四角形状、円形状、多角形状(八角形状等)に限定されず、流体流入側開口部8aが流体を滑らかに絞りながら流動させ、流体流出側開口部8bが流体を滑らかに拡げながら流動させることができる形状の開口部8であればよい。
【0065】
なお、本発明の各実施形態に係るメッシュフィルタ1は、自動車の燃料噴射装置に接続される燃料供給管の途中や、自動車の潤滑装置等のオイル管路の途中等に設置してもよく、また、これらに限られず、給水管や送風管の管路に設置し、流体(水等の液体や空気等の気体)に混ざった異物を取り除くために、広範囲の技術分野で使用することができる。