(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施例における説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1の事故通報システムの構成を示すブロック図である。事故通報システムは、サーバ装置20及び複数の事故判定装置10−1〜10−n(nは2以上の整数)から構成される。
【0012】
事故判定装置10−1〜10−nは、例えば車両等の移動体(以下、単に車両と称する)に搭載されるナビゲーション装置であり、サーバ装置20との間で無線通信を行う。事故判定装置10−1〜10−nは同様の構成を有するため、以下の説明では、これらを事故判定装置10として一般化し、その構成及び動作について説明する。
【0013】
事故判定装置10は、通信部11、位置情報取得部12、衝撃検出部13、閾値設定部14、収音部15、画像取得部16、及び事故判定部17を有する。
【0014】
通信部11は、サーバ装置20との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部11は、位置情報取得部12が取得した位置情報を送信し、事故判定部17が事故判定に用いる閾値情報を受信する。また、通信部11は、画像取得部16が取得した移動体の周辺画像の画像情報をサーバ装置20に送信しても良い。
【0015】
位置情報取得部12は、例えばGPS(Global Positioning System)センサから構成され、車両の現在位置を示す位置情報を取得する。例えば、位置情報取得部12は、複数のGPS衛星から送信された電波を受信し、受信した電波に基づいて各GPS衛星からの距離を算出することにより位置情報を取得する。
【0016】
衝撃検出部13は、例えば加速度センサから構成され、車両の加速度の変化に基づいて、車両に生じた衝撃の大きさを衝撃値G(以下、単に衝撃値と称する)として検出する。
【0017】
閾値設定部14は、通信部11が取得した閾値情報に基づいて、事故判定部17が事故判定に用いる閾値を設定する。事故判定部17が事故判定に用いる閾値には、衝撃値の大きさについての閾値(衝撃閾値)と、衝撃音の音量についての閾値(音量閾値)とが含まれる。本実施例では、音量閾値は一定の値に設定されており、閾値設定部14はサーバ装置20から送信された閾値情報に基づいて、衝撃閾値のみを変更する。従って、以下の説明では、閾値設定部14が設定する衝撃閾値(すなわち、事故判定部17が判定に用いる衝撃閾値)を「判定閾値」と称する。なお、本実施例では、移動体が道路にいる場合を前提とした衝撃閾値が、初期状態(変更前の状態)の判定閾値として設定されている。
【0018】
収音部15は、マイクロフォン等の収音装置から構成される。収音部15は、衝撃検出部13によって衝撃が検出された際の衝撃音を収音する。
【0019】
画像取得部16は、車載カメラ等の撮像装置から構成される。画像取得部16は、衝撃検出部13によって衝撃が検出された際の移動体の周辺画像を取得する。また、画像取得部16は、周辺画像の画像認識を行う。これにより、移動体の周辺に障害物が存在する場合には、当該障害物が画像認識される。また、移動体が位置する領域が駐車場であった場合、駐車場の入り口等に設置されている標識や文字列が画像認識される。従って、通信部11を介して周辺画像の画像情報をサーバ装置20に送信することにより、サーバ装置20において画像情報に基づいて領域属性の判定を行うことが可能である。
【0020】
事故判定部17は、衝撃検出部13により検出された衝撃の衝撃値、収音部15により収音された衝撃音、及び画像取得部16によって取得された周辺画像に基づいて、移動体に事故が発生したか否かを判定する。具体的には、事故判定部17は、検出された衝撃値が、閾値設定部14により設定された判定閾値(衝撃閾値)以上であるか否かを判定する。また、事故判定部17は、衝撃音の音量が音量閾値以上であるか否かを判定する。さらに、事故判定部17は、画像取得部16による周辺画像の画像認識結果に基づいて、衝撃検出の際に車両、人、地物等の障害物が移動体の周辺に存在していたか否かを判定する。
【0021】
事故判定部17は、これらの衝撃値に基づく判定、衝撃音に基づく判定、及び画像情報に基づく判定のいずれかを用いて、移動体に事故が発生したか否かを判定することが可能である。また、これらを組み合わせることにより、判定を行っても良い。例えば、事故判定部17は、衝撃値が判定閾値以上であり且つ衝撃音の音量が音量閾値以上である場合、又は衝撃値が判定閾値以上であり且つ移動体の周辺に障害物の存在が確認された場合に、移動体に事故が発生したと判定する。
【0022】
サーバ装置20は、通信部21、記憶部22、地図情報照合部23、領域属性判定部24及び閾値情報取得部25を含む。
【0023】
通信部21は、事故判定装置10との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部21は、移動体の位置情報を事故判定装置10から受信し、閾値情報を事故判定装置10に送信する。また、通信部21は、事故判定装置10から移動体の周辺画像の画像情報を受信しても良い。
【0024】
記憶部22は、道路及び駐車場の位置を含む地図情報を記憶する。また、記憶部22は、領域属性に応じて設定された衝撃閾値の情報を閾値情報として記憶する。一般的に、駐車場内における移動体の移動速度は、道路上における移動体の移動速度と比べて小さいため、小さな衝撃での事故が発生しやすい。従って、閾値情報において、駐車場における衝撃閾値は、道路における衝撃閾値よりも低い値に(すなわち、駐車場では検出の感度が高くなるように)設定されている。
【0025】
地図情報照合部23は、記憶部22に記憶されている地図情報を読み出し、読み出した地図情報と通信部21が受信した位置情報とを照合する。これにより、移動体の地図上の位置が特定される。
【0026】
領域属性判定部24は、地図情報照合部23による照合結果に基づいて、移動体が位置する領域の属性(領域属性)を判定する。具体的には、本実施例では、領域属性判定部24は、移動体が道路上に位置しているのか駐車場内に位置しているのかを判定する。
【0027】
また、領域属性判定部24は、移動体の周辺画像の画像情報を通信部21が受信した場合、画像情報に基づいて移動体が駐車場に位置しているかどうかの判定を行うことが可能である。
【0028】
閾値情報取得部25は、領域属性判定部24により判定された領域属性に基づいて、対応する閾値情報を記憶部22から読み出し、通信部21に供給する。
【0029】
次に、事故判定装置10及びサーバ装置20が実行する事故判定処理の動作の例について、
図2のフローチャートを参照して説明する。なお、ここでは、サーバ装置20が事故判定装置10から受信した移動体の位置情報と地図情報との照合結果に基づいて領域属性の判定を行い、且つ事故判定部17が衝撃値に基づく判定、衝撃音に基づく判定、及び画像情報に基づく判定の組み合わせにより事故判定を行う場合の処理動作の例について説明する。
【0030】
事故判定装置10の位置情報取得部12は、移動体の位置を検出し、位置情報を取得する(ステップS101)。通信部11は、位置情報をサーバ装置20に送信する(ステップS102)。
【0031】
サーバ装置20の通信部21は、事故判定装置10から移動体の位置情報を受信する。地図情報照合部23は、記憶部22に記憶されている地図情報を読み出し、通信部21が受信した位置情報との照合を行う(ステップS103)。
【0032】
領域属性判定部24は、地図情報照合部23による照合結果に基づいて、移動体が位置する領域の領域属性(道路か駐車場か)を判定する(ステップS104)。
【0033】
閾値情報取得部25は、領域属性判定部24により判定された領域属性に対応する閾値情報を記憶部22から読み出して取得する。通信部21は、閾値情報取得部25が取得した閾値情報を事故判定装置10に送信する(ステップS105)。
【0034】
事故判定装置10の通信部11は、サーバ装置20から閾値情報を受信する。閾値設定部14は、受信した閾値情報に基づいて、事故判定部17が事故判定を行うための判定閾値を設定(変更)する(ステップS106)。本実施例では、閾値設定部14は、閾値情報に示される衝撃閾値を判定閾値として設定する。
【0035】
事故判定部17は、衝撃検出部13が判定閾値以上の衝撃値の衝撃を検出したか否かを判定する(ステップS107)。検出されなかった場合(ステップS107:No)、衝撃検出部13により衝撃が検出されるのを待つ。
【0036】
判定閾値以上の衝撃が検出されたと判定すると(ステップS107:Yes)、事故判定部17は、収音部15による音量閾値以上の衝撃音の検出又は画像取得部16による周辺画像における障害物の検出があったか否かを判定する(ステップS108)。いずれの検出もされなかった場合(ステップS108:No)、ステップS107に戻り、再び衝撃検出部13により衝撃が検出されるのを待つ。
【0037】
音量閾値以上の衝撃音の検出及び障害物の検出のいずれかがあったと判定すると(ステップS108:Yes)、事故判定部17は、移動体に事故が発生したと判定する。通信部11は、移動体に事故が発生したと判定されたことを示す事故通知をサーバ処理装置20に送信し、事故を通報する(ステップS109)。
【0038】
以上の処理動作により、事故判定装置10及びサーバ装置20は、事故判定処理を行う。
【0039】
本実施例の事故通報システムでは、事故判定装置10が移動体の位置情報又は移動体の周辺画像の画像情報をサーバ装置20に送信し、移動体が位置する領域の領域属性に応じた閾値情報をサーバ装置20から受信して事故判定を行う。従って、本実施例の事故通報システムによれば、移動体が位置する領域の領域属性に応じて、適切に事故判定を行うことが可能となる。
【0040】
また、本実施例の事故通報システムでは、衝撃値が判定閾値以上であるか否かの判定に加えて、音量閾値以上の衝撃音が検出されたか及び移動体の周辺に障害物が検出されたかを判定して事故判定を行うことが可能である。従って、本実施例の事故通報システムによれば、誤判定の可能性を低減しつつ、事故判定を行うことが可能となる。
【実施例2】
【0041】
図3は、実施例2の事故判定装置30の構成を示すブロック図である。本実施例の事故判定装置30は、事故判定を行う際に、サーバ装置との通信によりその都度閾値情報を取得するのではなく、自身の記憶部に記憶されている閾値情報に基づいて事故判定を行う点で、実施例1の事故判定装置10と異なる。
【0042】
事故判定装置30は、記憶部31、領域属性判定部32、衝撃検出部33、閾値設定部34、収音部35、画像取得部36、事故判定部37、位置情報取得部38及び地図情報照合部39を有する。
【0043】
記憶部31は、領域属性に応じて設定された衝撃閾値の情報を閾値情報として記憶する。実施例1と同様、駐車場における衝撃閾値は、道路における衝撃閾値よりも低い値に設定されている。また、記憶部31は、道路及び駐車場の位置を含む地図情報を記憶する。
【0044】
領域属性判定部32は、画像取得部36による周辺画像の画像認識の結果に基づいて、移動体が位置する領域が道路か駐車場かを判定する。例えば、画像認識により駐車場の入り口に設置されている標識や文字列が認識された場合、領域属性判定部32は、移動体が位置する領域が駐車場であると判定する。また、領域属性判定部32は、地図情報照合部39による位置情報及び地図情報の照合結果に基づいて、移動体が位置する領域が道路であるか駐車場であるか判定しても良い。
【0045】
衝撃検出部33は、加速度センサ等から構成され、車両の加速度の変化に基づいて、車両に生じた衝撃の衝撃値を検出する。
【0046】
閾値設定部34は、領域属性判定部32が判定した領域属性に基づいて、記憶部31に記憶されている閾値情報を読み出し、読み出した閾値情報に対応する衝撃閾値を判定閾値として設定する。本実施例では、音量閾値は一定の値に設定されている。なお、本実施例では、移動体が道路にいる場合を前提とした衝撃閾値が、初期状態(変更前の状態)の判定閾値として設定されている。
【0047】
収音部35は、マイクロフォン等の収音装置から構成され、衝撃検出部33によって衝撃が検出された際の衝撃音を収音する。
【0048】
画像取得部36は、車載カメラ等の撮像装置から構成され、衝撃検出部33によって衝撃が検出された際の移動体の周辺画像を取得する。また、画像取得部36は、周辺画像の画像認識を行う。この画像認識の結果に基づいて、事故判定部37により移動体の周辺に障害物が存在するか否かが判定される。また、領域属性判定部32により移動体が位置する領域の領域属性が判定される。
【0049】
事故判定部37は、衝撃検出部33により検出された衝撃の衝撃値、収音部35により収音された衝撃音、及び画像取得部36によって取得された周辺画像に基づいて、移動体に事故が発生したか否かを判定する。事故判定部37は、衝撃値、衝撃音及び周辺画像の画像情報のいずれかを用いて判定を行っても良く、これらを組み合わせて判定を行っても良い。例えば、事故判定部37は、検出された衝撃値が判定閾値(衝撃閾値)以上であり且つ衝撃音の音量が音量閾値以上である場合、又は衝撃値が判定閾値以上であり且つ画像認識により移動体周辺における障害物の存在が認識された場合に、移動体に事故が発生したと判定する。
【0050】
位置情報取得部38は、実施例1の位置情報取得部12と同様、移動体の現在位置を示す位置情報を取得する。
【0051】
地図情報照合部39は、記憶部31に記憶されている地図情報を読み出し、読み出した地図情報と位置情報取得部38が取得した位置情報とを照合することにより、移動体の地図上の位置を特定する。
【0052】
次に、事故判定装置30が実行する事故判定処理の動作について、
図4のフローチャートを参照して説明する。なお、ここでは、事故判定装置30が移動体の周辺画像に基づいて領域属性の判定を行い、且つ事故判定部37が衝撃値に基づく判定、衝撃音に基づく判定、及び画像情報に基づく判定の組み合わせにより事故判定を行う場合の処理動作の例について説明する。
【0053】
画像取得部36は、移動体の周辺画像を取得する(ステップS201)。取得された周辺画像の画像認識の結果に基づいて、領域属性判定部32は、移動体が位置する領域が道路であるか否かを判定する(ステップS202)。
【0054】
移動体が位置する領域が道路であると判定すると(ステップS202:Yes)、閾値設定部34は、判定閾値を変更せず、従前の判定閾値を維持する(ステップS203)。
【0055】
事故判定部37は、衝撃検出部33により判定閾値以上の衝撃が検出されたか否かを判定する(ステップS204)。判定閾値以上の衝撃が検出されなかったと判定された場合(ステップS204:No)、衝撃検出部33により衝撃が検出されるのを待つ。
【0056】
判定閾値以上の衝撃が検出されたと判定すると(ステップS204:Yes)、事故判定部37は、収音部35による音量閾値以上の衝撃音の検出又は画像取得部36による周辺画像における障害物の検出があったか否かを判定する(ステップS205)。いずれの検出もされなかった場合(ステップS205:No)、ステップS204に戻り、再び衝撃検出部33により衝撃が検出されるのを待つ。
【0057】
音量閾値以上の衝撃音の検出及び障害物の検出のいずれかがあったと判定すると(ステップS205:Yes)、事故判定部37は、道路上において移動体に事故が発生したと判定し、事故を通報する(ステップS206)。
【0058】
一方、ステップS202において移動体が位置する領域が道路ではないと判定すると(ステップS202:No)、領域属性判定部32は、移動体が位置する領域が駐車場か否かを判定する(ステップS207)。
【0059】
移動体が位置する領域が駐車場であると判定すると(ステップS207:Yes)、閾値設定部34は、移動体が駐車場にいる場合に対応する閾値情報を記憶部31から読み出し、予め設定されている判定閾値を、駐車場に対応する衝撃閾値に変更する(ステップS208)。
【0060】
事故判定部37は、衝撃検出部33により判定閾値以上の衝撃が検出されたか否かを判定する(ステップS209)。検出されなかったと判定された場合(ステップS209:No)、衝撃検出部33により衝撃が検出されるのを待つ。
【0061】
判定閾値以上の衝撃が検出されたと判定すると(ステップS209:Yes)、事故判定部37は、収音部35による音量閾値以上の衝撃音の検出又は画像取得部36による周辺画像における障害物の検出があったか否かを判定する(ステップS210)。いずれの検出もされなかった場合(ステップS210:No)、ステップS209に戻り、再び衝撃検出部33により衝撃が検出されるのを待つ。
【0062】
音量閾値以上の衝撃音の検出及び障害物の検出のいずれかがあったと判定すると(ステップS210:Yes)、事故判定部37は、駐車場において移動体に事故が発生したと判定し、事故を通報する(ステップS211)。
【0063】
以上の処理動作により、事故判定装置30は、事故判定処理を行う。
【0064】
本実施例の事故判定装置30は、領域属性に応じた衝撃閾値を記憶し、画像認識により移動体が位置する領域の属性を判定して、対応する衝撃閾値を判定閾値として設定する。従って、本実施例の事故判定装置30によれば、移動体が位置する領域の属性に応じて適切な判定閾値を選択し、事故判定を行うことが可能となる。
【実施例3】
【0065】
本実施例の事故通報システムは、実施例1の事故通報システムと同様の構成を有し、サーバ装置20の記憶部22に記憶されている閾値情報及び領域属性判定部24により判定される領域属性の種類において実施例1の事故通報システムと異なる。
【0066】
領域属性判定部24は、地図情報照合部23による地図情報及び位置情報の照合結果に基づいて、移動体が位置する領域の主属性及び副属性を判定する。例えば、領域属性判定部24は、領域の主属性として、移動体が位置する領域が道路であるか道路以外の場所(非道路)であるかを判定する。そして、領域属性判定部24は、道路について、当該道路が非舗装道路であるか、高速道路であるか、ゾーン30等の低速道路であるか、それ以外の道路(一般道路と称する)であるかを副属性として判定する。なお、領域属性判定部24は、道路の副属性として、さらに道路上のバンプ、道路と歩道とに段差がある地点、交差点、店舗の入り口、急カーブ、及び坂道且つカーブの地点等であることを判定しても良い。また、領域属性判定部24は、非道路の領域について、当該領域が駐車場であるか、フェリー乗り場であるか、その他の領域であるかを副属性として判定する。
【0067】
記憶部22は、低速道路、一般道路、高速道路、非舗装道路、駐車場、フェリー乗り場、道路上のバンプ、道路と歩道とに段差がある地点、交差点、店舗の入り口、急カーブ、及び坂道且つカーブの地点等の場所を含む地図情報を記憶する。また、記憶部22は、事故判定装置10が衝撃値に基づく事故判定に用いる閾値を、領域属性に応じた閾値情報として記憶する。
【0068】
図5は、記憶部22が記憶する、領域属性毎の衝撃閾値の例を示す閾値テーブルである。ここでは、上記の複数の場所(領域属性)のうち、低速道路、一般道路、高速道路、非舗装道路、駐車場、フェリー乗り場及びその他の非道路領域に対応する衝撃閾値を抽出して示している。低速道路については閾値A、一般道路については閾値B、高速道路については閾値C、非舗装道路については閾値D、駐車場については閾値E、フェリー乗り場については閾値F、その他の非道路領域については閾値Gが、各領域属性に対応した衝撃閾値として記憶部22に記憶されている。
【0069】
移動体の移動速度は、低速道路において一般道路よりも小さく、高速道路において一般道路よりも大きい。従って、低速道路では衝撃閾値が一般道路の衝撃閾値よりも低い値に(すなわち、検出の感度が高くなるように)設定され、高速道路では衝撃閾値が一般道路の衝撃閾値よりも高い値に(すなわち、検出の感度が低くなるように)設定されている(閾値A<閾値B<閾値C)。また、非舗装道路は一般道路に比べて路面が荒れているため、誤検出が多くなることが想定される。従って、誤検出を防止するため、非舗装道路では衝撃閾値が一般道路の衝撃閾値よりも高い値に(すなわち、検出の感度が低くなるように)設定されている(閾値D>閾値B)。また、駐車場内では、道路上に比べて移動体の移動速度が小さい。従って、駐車場では衝撃閾値が道路の衝撃閾値よりも低い値に(すなわち、検出の感度が高くなるように)設定されている(閾値E<閾値B)。また、フェリー乗り場では、フェリーの乗り降り中に移動体に生じる衝撃が大きく、誤検出が多くなることが想定される。従って、誤検出を防止するため、フェリー乗り場では衝撃閾値が道路の衝撃閾値よりも高い値に(すなわち、検出の感度が低くなるように)設定されている(閾値F>閾値B)。
【0070】
閾値情報取得部25は、領域属性判定部24により判定された領域属性に応じて、記憶部22に記憶されている閾値情報の中から、対応する領域属性についての衝撃閾値を示す閾値情報を取得する。通信部21は、閾値情報取得部25が取得した閾値情報を事故判定装置10に送信する。
【0071】
事故判定装置10の閾値設定部14は、通信部11を介してサーバ装置20から受信した閾値情報に基づいて、判定閾値を設定(変更)する。事故判定部17は、設定された判定閾値に基づいて事故判定を行う。
【0072】
本実施例の事故通報システムでは、移動体が位置する領域が道路か駐車場かだけではなく、さらに詳細に分類された領域属性を判定して、閾値の設定を行う。従って、詳細に分類された衝撃閾値を選択して判定閾値を設定できるため、移動体が位置する領域に応じてより適切に事故判定を行うことが可能となる。
【0073】
また、本実施例を実施例2と同様の構成を有する事故判定装置に適用することも可能である。例えば、事故判定装置30の記憶部31が、低速道路、一般道路、高速道路、非舗装道路、駐車場、フェリー乗り場、道路上のバンプ、道路と歩道とに段差がある地点、交差点、店舗の入り口、急カーブ、及び坂道且つカーブの地点等の場所を含む地図情報とこれらの場所に対応する閾値情報とを記憶し、領域属性判定部32が位置情報及び地図情報の照合結果に基づいて領域属性を判定し、閾値設定部34が領域属性に対応する閾値を判定閾値として設定することにより、実施例2の事故判定装置30において、本実施例のように詳細に分類された領域属性に応じた事故判定を行うことが可能となる。
【実施例4】
【0074】
図6は、実施例4の事故通報システムの構成を示すブロック図である。本実施例の事故通報システムは、実施例1と同様、サーバ装置20及び複数の事故判定装置10−1〜10−n(事故判定装置10)から構成されている。本実施例の事故通報システムは、サーバ装置20が渋滞情報取得部26及び天候情報取得部27を有する点、及びサーバ装置20の記憶部22が記憶している閾値情報の内容において、実施例1の事故通報システムと異なる。
【0075】
また、本実施例の事故通報システムは、事故判定装置10の事故判定部17が、判定閾値としての衝撃閾値の他、音量閾値を領域属性に応じて変更する点において、実施例1の事故通報システムと異なる。
【0076】
サーバ装置20の渋滞情報取得部26は、記憶部22に記憶されている地図情報に含まれる道路について、道路リンク毎のリアルタイムの渋滞情報を、通信部21を介して外部装置(図示せず)から取得する。
【0077】
天候情報取得部27は、エリア毎のリアルタイムの天候情報を、通信部21を介して外部装置から取得する。天候情報は、風雨の強さ及び積雪の有無に関する情報を含む。
【0078】
領域属性判定部24は、地図情報照合部23による地図情報及び位置情報の照合結果、渋滞情報取得部26が取得した渋滞情報、及び天候情報取得部27が取得した天候情報に基づいて、移動体が位置する領域の主属性及び副属性を判定する。
【0079】
具体的には、領域属性判定部24は、移動体が位置する領域が道路であるか駐車場であるかを、領域属性の主属性として判定する。また、領域属性判定部24は、移動体が位置する道路が渋滞しているか否かを、領域属性の副属性の1つである渋滞属性として判定する。また、領域属性判定部24は、移動体が位置する領域が積雪しているか否かを、領域属性の副属性の1つである路面属性として判定する。また、領域属性判定部24は、移動体が位置する領域における風雨の強さを、領域属性の副属性の1つである天候属性として判定する。
【0080】
記憶部22は、事故判定装置10が事故判定に用いる衝撃閾値を、主属性、渋滞属性、路面属性及び天候属性を含む領域属性に応じた閾値情報として記憶する。
【0081】
図7(a)は、記憶部22が記憶する、領域属性毎の衝撃閾値の例を示す閾値テーブルである。道路に渋滞がある場合の衝撃閾値として、閾値Hが記憶されている。また、道路に積雪がある場合(積雪道路)の衝撃閾値として、風雨が弱い場合については閾値I、風雨の強さが中程度の場合については閾値J、風雨が強い場合については閾値Kが記憶されている。また、道路に積雪がない場合(非積雪道路)の衝撃閾値として、風雨が弱い場合については閾値L、風雨の強さが中程度の場合については閾値M、風雨が強い場合については閾値Nが記憶されている。また、駐車場に積雪がある場合(積雪駐車場)の衝撃閾値として、風雨が弱い場合については閾値O、風雨の強さが中程度の場合については閾値P、風雨が強い場合については閾値Qが記憶されている。また、駐車場に積雪がない場合(非積雪駐車場)の衝撃閾値として、風雨が弱い場合については閾値R、風雨の強さが中程度の場合については閾値S、風雨が強い場合については閾値Tが記憶されている。
【0082】
渋滞時には移動体の移動速度が低いため、小さな衝撃での事故が発生しやすい。従って、閾値テーブルにおいて、渋滞のある道路の衝撃閾値は渋滞のない道路の衝撃閾値よりも低い値に(すなわち、検出の感度が高くなるように)設定されている。また、積雪時は、非積雪時に比べて路面が荒れているため、誤検出が多いことが想定される。従って、誤検出を防止するため、積雪道路では、衝撃閾値が非積雪道路の衝撃閾値よりも高い値に(すなわち、検出の感度が低くなるように)設定されている。同様に、積雪駐車場では、衝撃閾値が非積雪駐車場の衝撃閾値よりも高い値に設定されている。また、風雨が強い場合、風雨が弱い場合と比べて移動体の移動速度が小さいため、小さな衝撃での事故が発生しやすい。従って、風雨が強い場合の衝撃閾値は風雨が弱い場合の衝撃閾値よりも低い値に設定されている(閾値I>閾値J>閾値K、閾値L>閾値M>閾値N、閾値O>閾値P>閾値Q、閾値R>閾値S>閾値T)。
【0083】
また、記憶部22は、事故判定装置10が事故判定に用いる音量閾値を、領域属性の副属性の1つである天候属性に応じた閾値情報として記憶する。
【0084】
図7(b)は、記憶部22が記憶する、天候属性毎の音量閾値の例を示す閾値テーブルである。風雨が弱い場合の音量閾値として閾値(1)、風雨の強さが中程度である場合の音量閾値として閾値(2)、風雨が強い場合の音量閾値として閾値(3)が記憶されている。風雨が強い場合には、収音部15がより多くの雑音を拾うため、誤検出が多いことが想定される。従って、誤検出を防止するため、音量閾値は風雨が強いほど大きな値に(すなわち、検出の感度が低くなるように)設定されている(すなわち、閾値(1)<閾値(2)<閾値(3))。
【0085】
閾値情報取得部25は、領域属性判定部24の判定に応じて、記憶部22に記憶されている閾値情報の中から、対応する領域属性についての衝撃閾値及び音量閾値を示す閾値情報を取得する。例えば、移動体の位置する領域が積雪道路であり且つ風雨が強い場合、衝撃閾値として閾値K、音量閾値として閾値(3)を夫々示す閾値情報が取得される。通信部21は、閾値情報取得部25が取得した閾値情報を事故判定装置10に送信する。
【0086】
事故判定装置10の閾値設定部14は、通信部11が取得した閾値情報に基づいて、判定閾値としての衝撃閾値及び音量閾値を設定(変更)する。なお、閾値設定部14は、衝撃閾値の変更及び音量閾値の設定変更を、独立に行うことが可能である。事故判定部17は、設定された衝撃閾値及び音量閾値に基づいて事故判定を行う。
【0087】
本実施例の事故通報システムでは、移動体が位置する領域が道路か駐車場かを示す主属性に加え、渋滞があるか否かを示す渋滞属性、積雪があるかないかを示す路面属性及び風雨の強さを示す天候属性に基づいて、判定閾値の設定を行う。また、領域属性に応じて、衝撃閾値だけではなく、音量閾値も変更することが可能である。従って、移動体が置かれている状況に応じて閾値を選択し、適切に事故判定を行うことが可能となる。
【0088】
なお、本発明の実施形態は、上記の実施例1〜4で示したものに限られない。例えば、上記実施例1、3及び4では、事故判定装置10がサーバ装置20から閾値情報を受信し、受信した閾値情報に基づいて判定閾値を設定する構成について説明した。しかし、事故判定装置10が複数の閾値情報を予め記憶部に記憶しており、サーバ装置20から閾値情報ではなく領域属性の情報を受信して、自身の記憶部に記憶されている閾値情報に基づいて判定閾値を設定する構成であっても良い。
【0089】
また、上記実施例4では、風雨の強さを示す天候属性に応じて衝撃音の音量閾値を変更する構成について説明した。しかし、天候属性以外の領域属性(例えば、道路か駐車場か)に応じて音量閾値を変更する構成であっても良い。その際、判定閾値としての衝撃閾値と音量閾値とは、独立に変更することが可能である。
【0090】
また、上記実施例3では、移動体が位置する領域の領域属性として路面状態や渋滞状況を判定することにより、判定閾値を変更する構成について説明した。しかし、さらに移動体の速度情報を取得することにより、領域属性及び速度情報の組み合わせに応じて閾値を変更する構成としても良い。速度情報は、例えば事故判定装置に車速センサを設け、移動体としての車両のECU(Engine Control Unit)から車速パルス信号を取得して車速を算出することにより取得することが可能である。
【0091】
また、上記各実施例は適宜組み合わせて用いることが可能である。例えば、実施例3及び実施例4を組み合わせ、より詳細に領域属性を判定して閾値を設定する構成としても良い。
【0092】
また、上記各実施例で説明した一連の処理は、例えばROMなどの記録媒体に格納されたプログラムに従ったコンピュータ処理により行うことができる。