【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、本発明に従い、完成容器をブロー形成的に製造するための装置内でプリフォームを搬送するための以下のような搬送システムによって解決される、即ち、搬送システムが搬送チェーンを含んでおり、そのチェーン部材が支持要素及び搬送要素を含んでおり、また、搬送要素が載置構造を有しており、支持要素が取付構造を有していること、また、載置構造及び取付構造が少なくとも部分的に互いに形状的に相補的に形成及び配設されていること、搬送要素の載置構造及び支持要素の取付構造がそれぞれ少なくとも1つの接続要素を有しており、当該接続要素が少なくとも部分的に互いに形状的に相補的に形成及び配設されていることによって、特徴付けられる搬送システムによって解決される。特には、搬送システムは更に、加熱区間を通って搬送するための支持要素にてプリフォームを受け渡すために、また、加熱区間を通ってプリフォームを搬送した後で支持要素からプリフォームを取り外すために、調整されている。
【0011】
本発明は、チェーン部材の2分割的な形成及び接続要素による2つの部分の安定的な保持が、より簡単な支持要素の交換可能性の長所を提供し、また同時に運転駆動時に安定している、という認識から出発している。例えば磁気的な保持部と組み合わせでの、2つの部分の間の接続により、支持要素及び搬送要素の間の強く平面的な接触と共に、大きな保持力が実現され得て、それによってより安全な容器の搬送に対しての要求が満たされている。
【0012】
これに関連して用いられているように、「容器」なる用語は、以降において短くプリフォームやパリソンと称される容器プリフォーム、並びに、そこから製造される製品を含むものであり、当該製品は、容器という一般的な用語に対してより明確に区別するため、完成容器と称される。
【0013】
搬送システムはチェーン部材を備えた搬送チェーンを含んでいる。当該搬送チェーンに加えて、搬送システムは、例えば別の搬送チェーンといった別の搬送要素、又は、受け渡しホイールといった受け渡し要素を含んでいてもよい。
【0014】
それぞれのチェーン部材は、少なくとも2つの部品、搬送要素及び支持要素から形成されている。これはチェーン部材が一体的に鋳造されていることを意味しているのではなく、また従って手動で又は自動で簡単に搬送要素及び支持要素に分解され得ることを意味している。この様態では、例えば支持要素といったチェーン部材の個々の要素を、手早く且つ簡単に交換することが出来る。
【0015】
好ましい実施形態においては、支持要素も複数部品から形成されている、例えば少なくとも2つの部品から形成されている。その場合、好ましい支持要素は例えば少なくとも1つの部材ベース、及び、交換可能及び/又は可動的な保持要素を含んでいる。部材ベースが取付構造を介して搬送要素と接続されている一方で、保持要素はプリフォームを保持するため及び/又はプリフォームを受容及び引き渡すために調整されている。
【0016】
本搬送システムは、完成容器をブロー形成で作製するための装置内でプリフォームを搬送するために用いられることに、適している。本搬送システムは特に、加熱区間を通過する搬送のための支持要素にてプリフォームを受け渡すため、及び、加熱区間を通過するプリフォームを搬送した後に支持要素からプリフォームを取り外すため、に調整されている。これは、プリフォームが特には加熱区間を通る搬送の期間に関してのみ支持要素上で又は支持要素に接してとどまること、即ち支持要素によって保持されること、そして、例えば別の支持要素へ供給するために、加熱区間を通り抜けた後、支持要素から外されること、を意味している。
【0017】
プリフォームの受け渡し及び取り外しは、例えば、受け渡しホイール等によって、既知の方法及び装置によって実行され得る。
【0018】
載置構造は特には、これ関して説明される接続及び安定化要素を除いて、基本的に平坦である。代替的に、載置構造に対する取付構造の脱落のリスクを更に下げるために、載置構造は構造化されて形成されていてもよい。
取付構造もまた特には、載置構造のように、これ関して説明される接続及び安定化要素を除いて、基本的に平坦である。代替的に、載置構造に関して上述したように、取付構造も脱落リスクを最小化するために構造化されて形成されていてもよい。
【0019】
載置構造及び取付構造は、少なくとも部分的に互いに形状的に相補的に形成及び配設されている。これにより、取付構造が最適に載置構造の磁場によって捉えられ、そして更に両方の構造体が脱落に対して保護されていることが保証される。
【0020】
搬送要素の載置構造及び支持要素の取付構造はそれぞれ、少なくとも1つの接続要素を有しており、当該接続要素も同様に少なくとも部分的に互いに形状的に相補的に形成及び配設されている。これは、取付構造の接続要素が載置構造の接続要素に対して形状的に相補的に形成されていることを意味している。
【0021】
支持要素に取り付けたプリフォームを加熱区間を通過してより確実に搬送することが保証されているように、載置構造及び取付構造の接続要素は、搬送要素及び支持要素を互いに固定的に接続することに適している。それらの接続要素は同時に、それらが搬送要素及び支持要素の分離を可能とするように、特には専門家(適格者)が手動で分離出来るように、形成されている。
【0022】
接続要素は好ましくはロック要素である。ロック要素は、2つの相補的な接続要素がフック状、即ち角型に曲げられて、互いに係合していることよって、搬送要素及び支持要素が互いに脱落すること又は外れることを避けるために有効である。
【0023】
特には、載置構造の接続要素が取付構造の支持要素内へはめられてもよいし、又はその逆であってもよい。搬送要素の載置構造の接続要素は例えば、その長手方向で見てT字状のプロフィール(T字状の異形部)を備える突起部であってもよい、そして、支持要素の取付構造の接続要素はT字状のノッチプロフィール(T字状に凹んだ異形部)を備えるスリットであり得る。その際、スリットは支持要素の長手方向で開放しているので、その結果、突起部をスリット内へはめ込むことが出来る。その代りに例えば、支持要素の取付構造の接続要素が、その長手方向にT字状のプロフィールを備える突起部であってもよく、そして、搬送要素の載置構造の接続要素がT字状のノッチプロフィールを備えるスリットであってもよい。その際、スリットは支持要素の長手方向で開放しているので、その結果、突起部をスリット内へはめ込むことが出来る。
【0024】
搬送要素の載置構造は特には、更に少なくとも1つのマグネットを有している。1つ又は複数のマグネットは、載置構造の領域に磁場がもたらされるように、搬送要素に配設されている。搬送要素の一つ又は複数のマグネットは、永久磁石及び/又は電磁石であり得る。マグネットに加えて、搬送要素には、磁場に影響を与えるために複数の強磁性インサートが配設されていてもよい。
【0025】
マグネットの磁力は特には基本的に、載置構造に対して垂直に、支持要素へ、或いは取付構造へ即ち取付構造の方向へ、作用する。磁場は特に、磁力線の大部分(例えば60%以上、70%以上、又は80%以上)が搬送要素の載置構造と垂直に交差するように形成されていてもよい。それによって、支持要素にとって十分に強い保持力が保証されている。
【0026】
搬送要素自体は、非磁性の、常磁性の、又は反磁性の部品であってもよい。好ましい実施形態では搬送要素は鋼製及び/又は鉄製である。1つ又は複数のマグネットは搬送要素の適切な凹部内にはめ込まれ得る。
【0027】
支持要素の取付構造は好ましくは、例えば鉄といった強磁性の部品、及び/又は、載置構造の磁場によって引きつけられる少なくとも1つのマグネット、を含んでいる。
【0028】
チェーン部材の両方の要素の内部での磁場及び磁性的な部品の配置が逆であってもよいことは自明である。従って、代替的な実施形態においては、支持要素の取付構造は少なくとも1つのマグネットを有しており、その一方で搬送要素の載置構造は、例えば鉄といった強磁性の部品、及び/又は、取付構造の磁場によって引きつけられる少なくとも1つのマグネット、を含んでいる。
【0029】
更に、搬送要素の載置構造及び支持要素の取付構造は、それぞれ少なくとも1つの安定化要素を有しており、それは少なくとも部分的に互いに形状的に相補的に形成及び配設されている。これは、取付構造の安定化要素が載置構造の安定化要素に対して形状的に相補的に形成されていること、を意味している。それらの安定化要素によって、搬送システムは例えば搬送要素に対する支持要素の脱落から保護され得る。
【0030】
搬送要素の載置構造の少なくとも1つの安定化要素は、例えば載置構造における突出部であってもよく、また、支持要素の取付構造における少なくとも1つの安定化要素は、取付構造における形状的に相補的な凹部であってもよい。
【0031】
載置構造における1つ又は複数のマグネットは、取付構造及び載置構造の間に磁力的な引きつけ力が作用するように、強磁性的な材料及び/又は取付構造における1つ又は複数のマグネットと共に働く。基本的には、この磁気的な引きつけ力によって、支持要素及び搬送要素は共に保持される。当然これは、接続及び安定化要素によって支持要素及び搬送要素を共に保持することが強化或いは安定化されること、を排除するものではない。
【0032】
載置構造及び取付構造の間の接続を分離するために、支持要素は適切な方向で搬送要素から離して傾けられそして引っ張る力によって引き離される。これにより接続要素の間の接続、及び場合によって構造間に作用する磁力が克服される。
【0033】
接続要素を用いた接続、及び場合によって載置構造での取付構造或いは支持要素の磁気的な保持によって、支持要素の自動的な取り付け及び取り外しも可能である。
【0034】
特には、搬送要素の載置構造及び支持要素の取付構造の熱膨張率は、運転温度領域において可能な限りひずみのなく(ストレスのなく)取り付けられているように、互いに調整されている。
【0035】
本発明は、特には熱可塑性材料製のプリフォームといったプリフォームから完成容器をブロー形成で作製するための装置にして、加熱区間に沿ってプリフォームを熱的に調整するための少なくとも1つの加熱装置を備え、また、熱的に調整されたプリフォームを完成容器へと変形するための少なくとも1つの変形装置を備えている装置にも関しており、本装置はプリフォームを搬送するための少なくとも1つの本発明に従う搬送システムを有しており、当該搬送システムが特には加熱装置の領域に配設されていること、を特徴としている。加熱装置は加熱区間を含んでいる。
【0036】
用いられるブローステーションに関しては、複数の異なる実施形態が知られている。回転性の搬送ホイールつまり所謂ブローホイールに複数のブローステーションが配設されている場合には、モールド支持部は、往々にして本のように開くことが可能である。しかしながら、互いに変位可能なモールド支持部又は別の様態でガイドされるモールド支持部を用いることも可能である。特には容器成形のための複数のキャビティを受容するために適している位置固定的なブローステーションにおいては、通常、互いに平行に配設されているプレートがモールド支持部として用いられる。
【0037】
既に説明されているプリフォームの取り扱いは、一方では、所謂二段階的な方法において行われ、当該方法においては、プリフォームは先ず射出成形法によって製造され、その後中間保管され、その後はじめてその温度に関連して調整されそして完成容器へとブローされる。他方では、所謂一段階的な方法において使用され、当該方法においては、プリフォームはその射出成形法による製造及び十分な硬化の直後に最適に調温され、それに引き続きブローされる。
【0038】
本発明は、本発明に従う搬送システムの、以下のような使用にも関連している、即ち、特には熱可塑性材料製のプリフォームといったプリフォームから完成容器をブロー形成で製造するための装置にして、搬送区間に沿ってプリフォームを熱的に調整するための少なくとも1つの加熱装置、及び、熱的に調整されたプリフォームを完成容器へと変形させるための少なくとも1つの変形装置を備える装置内、特には加熱装置の領域内での、本発明に従う搬送システムの使用にも関連している。
【0039】
本発明は更に、本発明に従う搬送システムの少なくとも1つの支持要素を交換するための方法にも関しており、当該方法においては、搬送システムの支持要素は、搬送システムの搬送要素から分離され、そして別の支持要素によって置き換えられる。
【0040】
以下の図面においては本発明の実施例が概略的に図示されている。