(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブレンド率は、前記第1変換部によって変換された画像における前記注目領域内での前記明度又は輝度と前記輝度算出部により算出された前記輝度との割合に基づいて決定される、
請求項4に記載の画像処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術では、本来の色味とは異なる色で表示していることから、医師等の使用者にとって違和感を生じる等の問題点もある。より自然で且つ視認性の高い画像の提示が求められているといえる。
【0005】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、医師等の使用者にとって違和感無く且つ視認性の高い画像を生成する上で有益な画像処理を実行可能な画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【0006】
本発明の観点によれば、画像処理装置であって、重み付け決定部と、輝度算出部とを備え、当該画像処理装置に入力された入力画像の少なくとも一部であって複数のピクセルからなる領域を注目領域と定義し、前記入力画像は、当初から又は入力後演算の結果RGB色空間で表現される画像であってすなわち各ピクセルが赤色を構成するR成分と、緑色を構成するG成分と、青色を構成するB成分とからなるものであり且つこれらをまとめてRGB成分と定義した場合において、前記重み付け決定部は、前記注目領域内での各RGB成分の多少に基づいて前記各RGB成分に対応する重み付け係数をそれぞれ決定し、前記輝度算出部は、前記各重み付け係数に基づいて前記注目領域に含まれる各ピクセルの輝度を算出する、画像処理装置が提供される。
【0007】
この観点に係る画像処理装置では、重み付け決定部が入力画像における注目領域内での各RGB成分の多少に基づいて各RGB成分に対応する重み付け係数をそれぞれ決定し、輝度算出部が各重み付け係数に基づいて注目領域に含まれる各ピクセルの輝度を算出することを特徴とする。このように算出された輝度を用いることで、医師等の使用者にとってより違和感無く且つ視認性の高い画像を生成することができるという効果を奏する。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は、互いに組み合わせ可能である。
【0009】
好ましくは、前記注目領域内での前記各RGB成分の割合を、順不同でa、b、c(ただしa≧b≧cを満たす)とし、これらに対応する各重み付け係数を、W_a、W_b、W_cとすると、W_a≦W_b≦W_cであることを特徴とする。
好ましくは、前記入力画像は、時系列に複数のフレームを有する動画であり、前記重み付け決定部は、前記入力画像の現在又は過去のフレームにおける前記注目領域を用いて前記重み付け係数を決定し、前記輝度算出部は、現在のフレームにおける前記各ピクセルの輝度を算出する。
好ましくは、第1変換部と、第2変換部とを更に備え、前記第1変換部は、前記RGB色空間で表現される入力画像を、明度又は輝度をパラメータに含む別色空間で表現される画像に変換し、前記第2変換部は、前記輝度算出部により算出された前記輝度を補正された明度又は補正された輝度として、これと前記第1変換部によって変換された画像における明度又は輝度以外のパラメータとに基づいて前記別色空間で表現される画像を前記RGB色空間で表現される出力画像に逆変換する。
好ましくは、第1変換部と、ブレンド演算部と、第2変換部とを更に備え、前記第1変換部は、前記RGB色空間で表現される入力画像を、明度又は輝度をパラメータに含む別色空間で表現される画像に変換し、前記ブレンド演算部は、前記第1変換部において変換された画像における明度又は輝度と、前記輝度算出部により算出された前記輝度とを所定のブレンド率でブレンドすることにより補正された明度又は補正された輝度である補正明度又は補正輝度を算出し前記第2変換部は、前記補正明度又は補正輝度と前記第1変換部によって変換された画像における明度又は輝度以外のパラメータとに基づいて前記RGB色空間で表現される出力画像に逆変換する。
好ましくは、前記ブレンド率は、前記第1変換部によって変換された画像における前記注目領域内での前記明度又は輝度と前記輝度算出部により算出された前記輝度との割合に基づいて決定される。
好ましくは、前記重み付け決定部は、前記注目領域内での前記RGB成分に係る全体の平均値と前記各RGB成分の平均値との各差分に基づいて前記重み付け係数をそれぞれ決定する。
好ましくは、前記重み付け決定部は、前記各差分の写像に基づいて前記重み付け係数をそれぞれ決定し、前記写像に係る関数は、n次関数(n≧1)、対数関数、指数関数を含む。
【0010】
本発明の別の観点によれば、画像処理方法であって、重み付け決定ステップと、輝度算出ステップとを備え、当該画像処理方法で取り扱う入力画像の少なくとも一部であって複数のピクセルからなる領域を注目領域と定義し、前記入力画像は、当初から又は入力後演算の結果RGB色空間で表現される画像であってすなわち各ピクセルが赤色を構成するR成分と、緑色を構成するG成分と、青色を構成するB成分とからなるものであり且つこれらをまとめてRGB成分と定義した場合において、前記重み付け決定ステップでは、前記注目領域内での各RGB成分の多少に基づいて前記各RGB成分に対応する重み付け係数をそれぞれ決定し、前記輝度算出ステップでは、前記各重み付け係数に基づいて前記注目領域に含まれる各ピクセルの輝度を算出する、画像処理方法が提供される。
【0011】
この観点に係る画像処理方法では、重み付け決定ステップで入力画像における注目領域内での各RGB成分の多少に基づいて各RGB成分に対応する重み付け係数をそれぞれ決定し、輝度算出ステップで各重み付け係数に基づいて注目領域に含まれる各ピクセルの輝度を算出することを特徴とする。このように算出された輝度を用いることで、医師等の使用者にとってより違和感無く且つ視認性の高い画像を生成することができるという効果を奏する。
【0012】
本発明の別の観点によれば、コンピュータに、所定の機能を実現させる画像処理プログラムであって、前記所定の機能は、重み付け決定機能と、輝度算出機能とを含み、前記コンピュータに入力された入力画像の少なくとも一部であって複数のピクセルからなる領域を注目領域と定義し、前記入力画像は、当初から又は入力後演算の結果RGB色空間で表現される画像であってすなわち各ピクセルが赤色を構成するR成分と、緑色を構成するG成分と、青色を構成するB成分とからなるものであり且つこれらをまとめてRGB成分と定義した場合において、前記重み付け決定機能によれば、前記注目領域内での各RGB成分の多少に基づいて前記各RGB成分に対応する重み付け係数がそれぞれ決定され、前記輝度算出機能によれば、前記各重み付け係数に基づいて前記注目領域に含まれる各ピクセルの輝度が算出される、画像処理プログラムが提供される。
【0013】
この観点に係る画像処理プログラムでは、重み付け決定機能によれば入力画像における注目領域内での各RGB成分の多少に基づいて各RGB成分に対応する重み付け係数がそれぞれ決定され、輝度算出機能によれば各重み付け係数に基づいて注目領域に含まれる各ピクセルの輝度が算出されることを特徴とする。このように算出された輝度を用いることで、医師等の使用者にとってより違和感無く且つ視認性の高い画像を生成することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。特に、本明細書において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものを指しうる。
【0016】
また、広義の回路とは、回路(circuit)、回路類(circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CLPD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものであることに留意されたい。
【0017】
また、本明細書では、画像処理装置等に入力された入力画像の少なくとも一部であって複数のピクセルからなる領域を注目領域と定義し、当該入力画像は、RGB色空間で表現される画像であってすなわち各ピクセルが赤色を構成するR成分と、緑色を構成するG成分と、青色を構成するB成分とからなるものであり且つこれらをまとめてRGB成分と定義するものとする。更に、画像とは、静止画/動画の何れも含むものとし、動画の場合においては特に指定がない限りそのうちの1フレームを指すものとする。
【0018】
また、下記に詳述する実施形態においては、様々な情報やこれを包含する概念を取り扱うが、これらは、0又は1で構成される2進数のビット集合体として信号値の高低によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうるものである。具体的には、「注目領域」、「重み付け係数」、「輝度Y」、「RGB成分」、「色相H」、「彩度S」、「明度V」、「ブレンド率」等が、かかる情報/概念に含まれうる。これらについては、再度必要に応じて詳しく説明するものとする。
【0019】
1.システム1(全体構成)
図1は、本発明の実施形態(第1及び第2実施形態共通)に係る画像処理装置3を用いたシステム1の構成概要を示す図である。システム1は、内視鏡システム2と、画像処理装置3と、表示部4とを備える。
【0020】
1.1 内視鏡システム2
内視鏡システム2は、内視鏡21と、画像処理部22とを備える。内視鏡21は不図示のビジョンセンサ(カメラ)を有し、例えばこれを被験体の口腔部から腹部に向けて挿入することで、被検体の腹部等を撮像可能に構成される。なお、情報処理という観点において、撮像された画像データは、2次元の画素の集合体(ピクセル配列)である。また、画像処理部22は、内視鏡21によって撮像された画像データに所定の画像処理を施す。例えば、内視鏡21によって撮像された画像データのうち特に時系列において隣接する2フレームを用いて、画像に重畳しているノイズを低減する3Dノイズリダクション処理等が含まれうる。
【0021】
1.2 画像処理装置3
画像処理装置3は、内視鏡システム2より送信された画像データに対して所定の画像処理を実行する装置である。画像処理装置3は、制御部31と、記憶部32と、入力部33と、送受信部34と、適応処理部35と、色相彩度算出部36と、変換出力部37とを備え、これらが通信バス3Bを介して接続されている。以下、構成要素31〜37をそれぞれ詳述する。
【0022】
<制御部31>
制御部31は、画像処理装置3に関連する全体動作の処理・制御を行う。制御部31は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部31は、記憶部32に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、画像処理装置3ないしはシステム1に係る種々の機能を実現する。例えば、所定のプログラムを読み出して、内視鏡21のリアルタイムの表示画像を含むグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示部4に表示させることが含まれる。
【0023】
なお、
図1においては、単一の制御部31として表記されているが、実際はこれに限るものではなく、機能ごとに複数の制御部31を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0024】
<記憶部32>
記憶部32は、上述の通り、制御部31により実現させるための種々のプログラム等を記憶する。これは、例えばハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)又はソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして実施されうる。また記憶部32は、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとしても実施されうる。また、これらの組合せであってもよい。
【0025】
<入力部33>
入力部33は、例えば、画像処理装置3自体に含まれるものであってもよいし、外付けされるものであってもよい。例えば、入力部33は、タッチパネルとして実施されうる。或いは、スイッチボタン、マウス、キーボード等のユーザインターフェースを採用してもよい。入力部33を介して、操作者(例えば、医師)の指示(コマンド)を受け付ける。当該指示は、通信バス3Bを介して制御部31に転送され、制御部31が必要に応じて所定の制御や演算を実行しうる。当該指示の一例として、操作者は、入力部33を介して、表示部4に表示されている内視鏡21が撮像中の画像を一時停止することができる。つまり、内視鏡システム2において、内視鏡21が画像の撮像を一時停止(中断)することができ、その一方で画像処理部22が3Dノイズリダクションを実施することができる。この結果、一時停止された場合、3Dノイズリダクションがされていない画像が、システム1の送受信部34に送信されることとなる。
【0026】
<送受信部34>
送受信部34は、画像処理装置3と、画像処理装置3以外の外部機器との通信のためのユニットである。すなわち、送受信部34を介して、内視鏡システム2より入力画像となる画像データを受信し、これを画像処理(詳細後述)した後、出力画像として表示部4に送信しうる。なお、送受信部34による通信は、画像データに限るものではない。例えば、有線LANネットワーク通信、Bluetooth通信、無線LANネットワーク通信等を含む複数の通信手段の集合体であって通信対象について適切な通信規格を含むように実施することが好ましい。
【0027】
<適応処理部35>
図2は、本発明の第1及び第2実施形態共通に係る適応処理部35、色相彩度算出部36、変換出力部37による処理フローを表すブロック線図である。適応処理部35は、送受信部34を介して内視鏡システム2から受信した入力画像(RGB空間で表現されたもの:別色空間から変換され処理直前においてRGB空間で表現されているものを含む)に所定の適応処理を実行して、補正された明度V(Value)である補正明度V1を算出する。適応処理部35の構成に係る更なる詳細や、補正明度V1については、第2節において再度説明する。
【0028】
<色相彩度算出部36>
色相彩度算出部36(特許請求の範囲における「第1変換部」の一例)は、送受信部34を介して内視鏡システム2から受信した入力画像(RGB空間で表現されたもの)から、当該入力画像の色相H(Hue)と彩度S(Saturation)とを算出する。なお、色相H、彩度S、明度Vをパラメータとする色空間は、一般的にHSV色空間(特許請求の範囲における「別色空間」の一例)と呼ばれている。
【0029】
<変換出力部37>
変換出力部37(特許請求の範囲における「第2変換部」の一例)は、
図2に示されるように、適応処理部35において算出された補正明度V1と、色相彩度算出部36において算出された色相H、彩度Sとからなる中間画像(HSV色空間で表現されたもの)から、RGB成分をそれぞれ算出することで、RGB色空間で表現された所望の出力画像に逆変換する。なお、かかる出力画像が通信バス3B及び送受信部34を介して表示部4に送信され、表示部4が当該出力画像を表示する。
【0030】
1.3 表示部4
表示部4は、画像処理装置3によって画像処理された画像データが入力されると、各ピクセルデータ(各ピクセルが有する輝度等の情報)に基づいてこれを映像として表示する媒体であり、例えばLCDモニタ、CRTモニタ、有機ELモニタ等であってよい。なお、画像処理装置3が表示部4を含んでもよい。
【0031】
2.適応処理部35
適応処理部35は、下記の通り第1及び第2実施形態を含みうる。それぞれの実施形態に係る適応処理部35について以下詳述するものとする。
【0032】
2.1 第1実施形態
図3は、本発明の第1実施形態に係る適応処理部35の処理フローを表すブロック線図である。
図3に示されるように、適応処理部35は、重み付け決定部35aと、輝度算出部35bとを備える。
【0033】
<重み付け決定部35a>
図4は、重み付け決定部35aの処理フローを表すブロック線図である。また、
図5は、入力画像IのRGB成分の一例を示す概要図である。重み付け決定部35aは、輝度Yの算出に用いられ、各RGB成分に対応する重み付け係数をそれぞれ決定する。具体的には、以下のような処理が実行されることとなる。
【0034】
[開始]
(ステップS1−1)
入力画像Iの注目領域(ここでは入力画像Iの全ピクセル:動画であれば1フレーム分)内における全ピクセルの各RGB成分及び全成分の平均値をそれぞれ算出する。例えば、各RGB成分は、8ビット(0〜255)の整数値をとるものとして、
図5に示される4×4ピクセルの入力画像Iでは、R成分の平均値R_avg=172.5、G成分の平均値G_avg=95.0、B成分の平均値B_avg=50.0、及び全成分の平均値A_avg≒105.8が算出されることとなる。もちろん実際に扱う入力画像Iは、これよりも遥かに解像度の高い画像であることは言うまでもない。次のステップであるステップS1−2に進む。
【0035】
(ステップS1−2)
続いて、各RGB成分R_avg、G_avg、B_avgと全体の平均値A_avgの差分R_sub、G_sub、B_subを計算する。すなわち
図5に示される例においては、R_sub=66.7、G_sub=−10.8、B_sub=−55.8となる。次のステップであるステップS1−3に進む。
【0036】
(ステップS1−3)
続いて、ステップS1−2において算出された差分R_sub、G_sub、B_subに線形写像変換(1次関数への代入)をすることで、各RGB成分に対応する重み付け係数W_r、W_g、W_bが決定されうる(式(1)〜(3))。
W_r=m×R_sub+n (1)
W_g=m×G_sub+n (2)
W_b=m×B_sub+n (3)
[終了]
【0037】
特にここでは、重み付け決定部35aは、注目領域(ここでは入力画像Iの全ピクセル:動画であれば1フレーム分)内での各RGB成分の多少に基づいて各RGB成分に対応する重み付け係数をそれぞれ決定していることを特徴とすることに留意されたい。
【0038】
なお、ステップS1−3における線形写像変換の傾きmは、負の値をとるように設定される。すなわち、各RGB成分R_avg、G_avg、B_avgの大小関係と、これらに対応する各重み付け係数W_r、W_g、W_bの大小関係は逆順に対応することに留意されたい。
図5に示される例であれば、R_avg>G_avg>B_avg(特許請求の範囲におけるa、b、cの一例)であるから、W_r<W_g<W_b(特許請求の範囲におけるW_a、W_b、W_cの一例)を満たすこととなる。なお、m、n(切片)は予め実施された試験・研究結果等に基づいて適宜決定されることが好ましい。
【0039】
<輝度算出部35b>
図6は、輝度算出部35bの処理フローを表すブロック線図である。輝度算出部35bは、
図6に示されるように、重み付け決定部35aによって決定された重み付け係数W_r、W_g、W_bを用いて、入力画像Iの各ピクセルの輝度Yを算出する。ここで輝度Yは、式(4)のように定義される。
Y=W_r×R、W_g×G、W_b×B (4)
ここで、R、G、Bは各ピクセルにおけるRGB成分それぞれの値(例えば0〜255の整数値)である。
【0040】
なお、第1実施形態では、各ピクセルの輝度Yを、補正明度V1として扱う。つまり変換出力部37において、輝度Y(補正明度V1)と、色相彩度算出部36において算出された色相H、彩度Sとからなる中間画像(HSV色空間で表現されたもの)から、RGB成分をそれぞれ算出することで、RGB色空間で表現された所望の出力画像Oが生成される。
【0041】
このような出力画像Oは、色相Hや彩度Sについて元の入力画像Iの情報を維持している。すなわち、第1実施形態に係る画像処理装置3を含むシステム1によれば、本来の色味を維持した上でより視認性の高い画像を生成し、これを表示部4に表示させることができるという効果を奏する。
【0042】
図7A及び
図7Bは、第1実施形態に係る適応処理部35おいて確認される課題を示す図であり、特に
図7Aは入力画像I、
図7Bは出力画像Oを示している。第1実施形態においては各RGB成分の多少が輝度Yの算出に影響することとなるが、画像によっては、黒つぶれが起きる等の弊害も確認されている。例えば、
図7Aのように、1色(ここではR成分とする)からなるグラデーション画像(左側から右側に向かって徐々に色成分が大きくなる例)を入力画像Iとすると、第1実施形態に係る適応処理部35を含む画像処理装置3において出力される出力画像Oは、W_rが非常に小さくなり、且つ単色画像(G成分、B成分がともに0)であるため、
図7Bに示されるように、黒つぶれが発生してしまう。このような問題を解決するためには、第2.2節において説明する第2実施形態が好ましい。
【0043】
2.2 第2実施形態
図8は、本発明の第2実施形態に係る適応処理部35の処理フローを表すブロック線図である。
図8に示されるように、適応処理部35は、重み付け決定部35aと、輝度算出部35bと、明度算出部35cと、ブレンド率決定部35dと、ブレンド演算部35eとを備える。なお、重み付け決定部35a及び輝度算出部35bの構成や動作は、第1実施形態と略同様であるため、必要に応じて第2.1節における説明を再度参照されたい。
【0044】
<明度算出部35c>
明度算出部35c(特許請求の範囲における「第1変換部」の一例)は、入力画像Iの各ピクセルの明度Vを算出する。ここで明度Vは、式(5)のように定義される。
V=Max[R,G,B] (5)
ここで、R、G、Bは各ピクセルにおけるRGB成分それぞれの値(例えば0〜255の整数値)である。
【0045】
<ブレンド率決定部35d>
図9は、ブレンド率決定部35dの処理フローを表すブロック線図である。ブレンド率決定部35dは、輝度算出部35bで算出された輝度Yと、明度算出部35cで算出された明度Vとをブレンド(詳細は、ブレンド演算部35eの動作を参照)において使用しうるブレンド率を決定する。具体的には、以下のような処理が実行されることとなる。
【0046】
[開始]
(ステップS2−1)
入力画像Iの注目領域(ここでは入力画像Iの全ピクセル:動画であれば1フレーム分)内における全ピクセルの輝度Y及び明度Vの平均値(Y_avg、V_avg)をそれぞれ算出する。次のステップであるステップS2−2に進む。
【0047】
(ステップS2−2)
続いて、ステップS2−1において算出されたY_avgとV_avgとの割合(ここではY_avg/V_avg)に基づいて、ブレンド率(ここではYのブレンド率αとする)を決定する。例えば、
図10に示されるブレンド率の決定規則に基づいてブレンド率αが決定されうる。特に、ブレンド率αは、注目領域内での明度Vと輝度Yとの割合に基づいて決定されることに留意されたい。なお、
図10に示すものはあくまでも例示であり、本規則は予め実施された試験・研究結果等に基づいて適宜決定されることが好ましい。
[終了]
【0048】
<ブレンド演算部35e>
図11は、ブレンド演算部35eの処理フローを表すブロック線図である。ブレンド率決定部35dによって決定されたブレンド率αを用いて、注目領域内における各ピクセルの明度Vと輝度Yとをブレンドし、これを補正明度V1とする(式(6)参照)。
V1=(1−α)V+αY (6)
【0049】
その後、変換出力部37において、補正明度V1と、色相彩度算出部36において算出された色相H、彩度Sとからなる中間画像(HSV色空間で表現されたもの)から、RGB成分をそれぞれ算出することで、RGB色空間で表現された所望の出力画像Oが生成される。
【0050】
このような出力画像Oは、色相Hや彩度Sについて元の入力画像Iの情報を維持している。すなわち、第2実施形態に係る画像処理装置3を含むシステム1によれば、本来の色味を維持した上でより視認性の高い画像を生成し、これを表示部4に表示させることができるという効果を奏する。
【0051】
図12A及び
図12Bは、
図7A及び
図7Bとの比較画像であり、特に
図12Aは入力画像I、
図12Bは出力画像Oを示している。上述の通り、第1実施形態において、画像によっては黒つぶれが起きる等の弊害も確認されていた。一方、第2実施形態では、輝度Yと明度Vとを適宜ブレンドすることで、
図12A(
図7Aの再掲)のように、1色(ここではR成分とする)からなるグラデーション画像(左側から右側に向かって徐々に色成分が大きくなる例)を入力画像Iとしても、第2実施形態に係る適応処理部35を含む画像処理装置3において出力される出力画像Oは、
図12Bに示されるように、グラデーションを維持するような結果となっている。
【0052】
更に、
図13A〜
図13Cは、R成分を多く含む風景画像に第2実施形態に係る画像処理装置3を用いて画像処理を実行した場合を示しており、特に
図13Aは入力画像I、
図13BはV成分を抽出した中間画像、
図13Cは出力画像Oを示している。このような実画像においても、
図12A及び
図12Bの結果同様、自然なグラデーションを維持し、視認性の高い出力画像Oが得られていることが確認できる(
図13C参照)。
図13B(V成分を抽出した中間画像)と
図13C(出力画像O)とを比較すると、中間画像においてはグラデーションの維持ができておらず、出力画像Oの差異は明白である。
【0053】
3.変形例
本実施形態は、以下の態様によっても実施することができる。
【0054】
第1に、本実施形態においては、輝度算出等に係る範囲(注目領域)を入力画像I(動画であれば1フレーム)の全ピクセルとして説明しているが、使用するピクセルを部分的に選択してもよい。例えば、注目領域を一部の矩形領域としてもよいし、所定サイズの矩形小領域ごとに代表ピクセル(例えば、左上といった特定位置や小領域における中央値)を適宜選択することで縮小画像を生成し、これを注目領域として実施してもよい。
【0055】
第2に、上述の種々の処理では2次元配列を想定しているが、最終的に所望の画像が表示部4に表示できるのであれば、演算途中に際して1次元配列として記憶されていてもよい。また、1次元配列又は2次元配列を用いて演算する代わりに、逐次、演算をしてもよい。
【0056】
第3に、本実施形態においては、RGB色空間から明度Vを含むHSV色空間への変換を含むものであるが、これに限定されるものではない。第1実施形態における輝度Yを補正明度V1とみなすことができることと同様に、明度以外に輝度をパラメータに含む色空間へ変換してもよい。例えば、YUV色空間、YCrCb、YPrPb、又は、HSL色空間等を採用してもよい。これらの色空間における輝度YやLに補正明度V1を代入して逆変換することで、本実施形態に示す効果が同様に期待されうる。
【0057】
第4に、本実施形態に係るシステム1は内視鏡システム2を採用しているが、これに限らず、特定のRGB成分のうち特定の成分を多く含みうる入力画像を送信する信号源であれば、効果的な応用が可能であると考えられる。すなわち、内視鏡システム2以外に応用した場合であっても、視認性の高い画像を出力しうるという効果を奏する。
【0058】
第5に、本実施形態においては、(入力画像Iが動画であるとして、)重み付け決定部35aが入力画像Iにおけるある時刻での(現在の)フレームを用いて前記重み付け係数を決定し、輝度算出部35bも同じフレームにおける各ピクセルの輝度を算出するように記載しているが、これに限定されるものではない。例えば、重み付け決定部35aが入力画像Iにおけるある時刻での(過去の)フレームを用いて前記重み付け係数を決定し、輝度算出部35bはその時刻よりも後の(現在の)フレームにおける各ピクセルの輝度を算出するように実施してもよい。過去のフレームがどの程度過去のものであるかは、特に限定されるものではなく、例えば、1フレーム前、2フレーム前、3フレーム前等が考えられる。
【0059】
第6に、本実施形態において、重み付け決定部35aは線形写像変換(1次関数への代入)をすることで、各RGB成分に対応する重み付け係数W_r、W_g、W_bを決定しているが、あくまでも例であり、これに限定されるものではない。写像に係る関数は、例えばn次関数(n≧2)でもよいし、対数関数、指数関数でもよい。
【0060】
第7に、コンピュータに、所定の機能を実現させる画像処理プログラムであって、前記所定の機能は、重み付け決定機能と、輝度算出機能とを含み、前記コンピュータに入力された入力画像の少なくとも一部であって複数のピクセルからなる領域を注目領域と定義し、前記入力画像は、当初から又は入力後演算の結果RGB色空間で表現される画像であってすなわち各ピクセルが赤色を構成するR成分と、緑色を構成するG成分と、青色を構成するB成分とからなるものであり且つこれらをまとめてRGB成分と定義した場合において、前記重み付け決定機能によれば、前記注目領域内での各RGB成分の多少に基づいて前記各RGB成分に対応する重み付け係数がそれぞれ決定され、前記輝度算出機能によれば、前記各重み付け係数に基づいて前記注目領域に含まれる各ピクセルの輝度が算出される、画像処理プログラムを提供することもできる。また、かかるプログラムの機能を実装したコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として提供することもできる。また、かかるプログラムを、インターネット等を介して配信することもできる。更に、システム1を構成する各部は、同じ筐体に含まれてもよく、複数の筐体に分散配置されてもよい。
【0061】
4.結言
以上のように、本実施形態によれば、医師等の使用者にとって違和感無く且つ視認性の高い画像を生成する上で有益な画像処理を実行可能な画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することができる。
【0062】
本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。