(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、
図1〜
図16を参照して説明する。
【0008】
スロットマシン100は、遊技機の一例であり、従来のスロットマシンと同様に、複数のリール141a,141b,141cを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得することができる回胴式遊技機を構成している。
【0009】
具体的には、スロットマシン100は、
図1、2に示すように、筐体100bと、筐体100b前面側を覆う前扉100aとから構成されている。
前扉100aは、筐体100bにヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられる扉体で、この前面側には、遊技者に操作される複数の操作部などが設けられている。
【0010】
例えば、操作部として、機内にメダルを投入するためのメダル投入口120が設けられ、所定数(例えば、3枚)のメダルがメダル投入口120から投入されることで、メダル投入口120と連通するメダルセレクタ120bによってメダルが検出され、ゲーム開始可能な状態となる。
【0011】
また、押下操作可能なベットボタン120a(例えば、マックスベットボタン)が設けられ、操作に応じて内部的に記憶したクレジットメダルからデータ形式のメダルをゲームに投入することもできる。
【0012】
また、リール141a,141b,141cの回転を始動させるスタートレバー130が設けられ、ゲーム開始可能な状態において遊技者により操作されることで、スロットマシン遊技が開始され、リール141a,141b,141cが回転を開始する。
【0013】
また、各リール141に対応して停止ボタン150a,150b,150cが設けられており、遊技者により各停止ボタン150が押下操作されることで、回転している各リール141を停止させることができる。
【0014】
また、前扉100aには、操作部の他にも様々な装置が設けられ、例えば、停止状態にある各リール141に表された縦方向に連続する3つの図柄が視認可能な表示窓160、メダルが払い出されるメダル払出口170bなどが設けられている。
また、LEDなどの発光手段を備える発光部110、液晶表示器などの所定の映像表示手段を備える表示部180、所定音を出力可能なスピーカなどの音出力手段を備える出音部190などの遊技演出用出力部が設けられている。
【0015】
一方、筐体100bは、筐体構造を有し、スロットマシン遊技に必要な様々な機械、装置などが収納されている。
【0016】
例えば、リール141a,141b,141c、各リール141を回転させる図示しないステッピングモータ及び回転位置を検出するセンサなどを備えるドラムユニット140が設けられている。
また、メダルの貯留・払い出し行うメダル払出装置170が設けられ、払い出されたメダルはメダル払出口170bを介して遊技者に提供される。
また、メダル払出装置170には、メダルを貯留するホッパー170aが設けられ、メダル投入口120より投入されたメダルがメダルセレクタ120bを介してホッパー170aに誘導される。
【0017】
また、筐体100bには、スタートレバー130、停止ボタン150などの操作部からの操作信号に基づいて、ドラムユニット140、メダル払出装置170などの各装置を制御することでスロットマシン遊技を実行可能な主制御基板2(
図3参照)の収容された主基板ユニット1が設けられている。
主制御基板2は、CPUなどを備えるコンピュータとして構成され、例えば、ゲーム開始可能な状態において、スタートレバー130に対する操作を検知すると、各リール141の回転を開始させる。
また、これと同時に、再遊技役、小役、ボーナスなどの当選役を抽選により決定する内部抽選処理を実行し、各リール141の回転中において、各停止ボタン150に対する押下操作を検知すると、抽選結果に対応した図柄の組合せで停止するよう、回転している各リール141の停止制御を行う。
また、主制御基板2は、停止した各リール141に表された縦方向に連続する3つの図柄の組合せを判定し、小役に対応する図柄の組合せでの停止を判定したときには、所定数のメダルを払い出すようにメダル払出装置170を制御する。
【0018】
また、筐体100bには、スロットマシン遊技に同期した演出を実行可能な副制御基板21(
図3参照)の収容された副基板ユニット20が設けられている。
副制御基板21は、主制御基板2と同様にCPUなどを備えるコンピュータとして構成され、主制御基板2から送信される制御コマンドに基づいて発光部110、表示部180、出音部190などの演出用出力部を制御して、スロットマシン遊技に同期した演出を行わせる。例えば、主制御基板2からボーナス遊技開始を示す制御コマンドを受信すると、発光部110を所定の態様で発光させ、表示部180に所定の映像を表示させる。また、所定のファンファーレ音を出音部190から出力させる。
スロットマシン100は、このような一般的なスロットマシンが備える構成に加え、主基板ユニット1、副基板ユニット20などの基板を備える基板ユニットが以下に示す特徴的な構成を備えている。以下の説明では、特徴的な構成を主基板ユニット1に適用した場合について説明する。
【0019】
[主基板ユニット]
主基板ユニット1は、
図4〜16に示すように、主制御基板2、上ケース部材3、下ケース部材4、カバー部材5、本係止具6、予備係止具7、設定キーユニット8、及びネジカバー部材9などの複数の部材から構成されている。
【0020】
主制御基板2は、CPU(中央演算処理装置)、ROM及びRAMなどの記憶手段、I/OインターフェイスなどのIC部品、抵抗、コンデンサ、トランジスタなどの様々な電子部品が実装された部品実装面2aと、これらの部品のリード部を半田接合する半田面2bとを有するプリント基板で構成され、このような主制御基板2は、例えば、上ケース部材3に所定のネジにより螺着された状態で、上ケース部材3と下ケース部材4の間に収容される(
図5参照)。
【0021】
上ケース部材3と下ケース部材4は、共に矩形状のケース構造を有し、容易に破壊できないように、無色透明な合成樹脂(例えば、ポリカーボネート)で形成されている。
上ケース部材3は、主制御基板2の部品実装面2a側を被覆可能、下ケース部材4は、半田面2b側を被覆可能に構成されている。また、ケース部材3,4は、これらを開閉可能に軸支するヒンジ1aを備え、このヒンジ1aは、上ケース部材3と下ケース部材4とを閉じたケース閉状態において、ヒンジ1a側からこれらのケース部材を開放することができないように構成してある。
また、主基板ユニット1は、下ケース部材4側が筐体100b奥に面するとともに、上ケース部材3側が筐体100bの正面側開口を向くように、すなわち、部品実装面2aが正面から見えるよう、筐体100b内に配置されている。
【0022】
また、主基板ユニット1は、ヒンジ1aの設けられた一辺に対向する対辺側において、上ケース部材3と下ケース部材4とを開閉不能に封止する封止部10を備えている(
図4参照)。
封止部10は、所定の不正改造から主制御基板2を保護するための上ケース部材3と下ケース部材4とを開閉不能にロックするロック手段であり、遊技機メーカー出荷時において使用される本封止部11と、検査確認等のために封止解除後に再び封止するときに使用される予備封止部12とを備えている。
【0023】
[本封止部]
本封止部11は、本発明に係る封止部の一例であり、封止部10のそれぞれ外側に対応する位置に設けられており、上ケース部材3側に形成される本封止部上31と、下ケース部材4側に形成される本封止部下41と、本係止具6と、により構成される。
【0024】
本封止部上31は、
図5、6に示すように、部品実装面2a及び半田面2bに沿って突出形成された部位であり、連結部34を介して上ケース部材3に接続されている。
本封止部上31は、下ケース部材4側に向かって突出する凸部311を備えている。この凸部311には、凸部311の突出方向に対して直交する方向(主制御基板2の実装面2a,半田面2bに沿う方向)に開口し、本係止具6の一部が挿入可能な開口部312が形成されている。
【0025】
本封止部下41は、
図5に示すように、部品実装面2a及び半田面2bに沿って突出形成された部位であり、下ケース部材4に一体的に形成されている。
本封止部下41は、凸部311と本係止具6を収容可能な凹部411、本係止具6を挿入可能な挿入口412、本係止具6の先端部が収容される収容部413を備えている。
【0026】
本係止具6は、
図8に示すように、挿入方向前方側に形成された前方係止部61、これの後方に形成された後方係止部62の二つの係止部、及び後方係止部62の後端側に蓋部63を備えている。
各係止部61,62は、それぞれ矢じり形状を有し、頭部611,621と、首部612,622と、頭部611,621から斜め後方に向けて延出され弾性変形可能な爪部613,623と、を備えている。また、前方係止部61は、
図8(a)に示すように、後方係止部62よりも全体的に小さく形成され、前方係止部61と後方係止部62は、
図8(b)に示すように、ほぼ同じ厚みを有している。
【0027】
係止孔11aは、
図10に示すように、上ケース部材3と下ケース部材4とを組合せたケース閉状態となり(
図10(b)参照)、凸部311が凹部411に収容されることにより形成される孔であって、本実施形態では、挿入口412から収容部413までを開口部312を介して連通させた「穴」として構成されている。
【0028】
挿入口412は、
図11に示すように、本係止具6の各係止部61,62が通過可能(ただし、後方係止部62は爪部623の弾性変形により通過可能)、かつ蓋部63が通過不能な幅Waを有している。
開口部312は、各係止部61,62が通過可能な幅Wbを有する後方開口部312aと、前方係止部61が通過可能(ただし、爪部613の弾性変形により通過可能)かつ後方係止部62(頭部621)が通過不能な幅Wcを有する前方開口部312bと、を備えている。
そして、係止孔11aは、収容部413から前方開口部312bまでが前方係止孔、前方開口部312bから挿入口412までが後方係止孔として機能するようになっている。
また、収容部413は、頭部611を収容可能な空間を有している。
さらに、各幅Wa〜Wcに直交する係止孔11aの高さは、本係止具6の厚み(
図8(b)参照)よりも僅かに大きいものの、異物が侵入可能な余地はほぼない。
【0029】
このような構成により、本係止具6を挿入口412から係止孔11aに押し込み挿入することにより、
図11(b)に示すように、爪部613が前方開口部312b内側周縁に係止されるとともに、爪部623が挿入口412内側周縁に係止される。
【0030】
このような状態において、本係止具6を係止孔11aから脱抜するには、爪部613,623を窄ませる(縮ませる)外力を加える必要があるが、爪部613,623は本封止部上31と本封止部下41に囲まれ外部から遮断された状態にあることから、本係止具6は実質的に係止孔11aから脱抜不能となる。
また、各爪部613,623の係止状態を解除するには、二つの爪部613,623を同時に窄ませる(縮ませる)外力を加えながら、本係止具6を引き抜かなければならないことから、係止状態の解除がより困難となる。
【0031】
また、後方係止部62の頭部621は、前方開口部312bを通過不能であることから、前方開口部312bすなわち前方係止孔の入口に対向する頭部621の対向面621aは前方開口部312bよりも大きく形成されていることになり、その結果、対向面621aが前方開口部312bを塞ぐように作用する。
これにより、挿入口412さらには前方開口部312bを通って異物を侵入させ、爪部613を窄ませるような外力を加える不正操作を阻止できる。
【0032】
さらに、挿入口412は、これより大きく形成された蓋部63により塞がれるとともに、蓋部63の周縁631が収まる凹部412aを周縁に備えている。この凹部412aは、蓋部63よりも僅かに大きい外形を有するとともに、蓋部63の板厚とほほ同じ又は蓋部63の板厚よりも深い窪みを有している。
これにより、蓋部63が凹部412aに収まった状態では、挿入口412から係止孔11aへの侵入経路がクランク状となることから、係止孔11aへの侵入が困難となり、爪部613,623に対する不正操作を阻止することができる。
【0033】
このように係止孔11aから脱抜不能となった本係止具6により、上ケース部材3と下ケース部材4とが以下のように開閉不能に封止される。
【0034】
具体的には、例えば、下ケース部材4を下側に配置して主基板ユニット1を定置した状態において、上ケース部材3を持ち上げて主基板ユニット1を開放しようとする外力を加えると、収容部413の上面が頭部611の上への移動を妨げ、挿入口412の上面が首部622の上への移動を妨げ、さらに、頭部621が凸部31(頂部313)の上への移動を妨げることで、本係止具6が主基板ユニット1の開放を妨げるように作用する。すなわち、本係止具6が閂(かんぬき)として動作し、上ケース部材3と下ケース部材4とを開閉不能に封止する。
【0035】
このように本封止部11は、本係止具6が二つの爪部613,623を備えることにより、爪部が一つのものよりも係止孔11aからの脱抜がさらに困難となる。
特に、二つの爪部613,623はそれぞれ独立して変位するため、いずれか一方の爪部を窄ませる(縮ませる)外力を加えたとしても、他方の爪部には窄ませる(縮ませる)外力が加わらないので、爪部が一つのものよりも係止孔11aからの脱抜がさらに困難となる。
また、対向面621aが前方開口部312bを塞ぎ、蓋部63が挿入口412を塞ぐことから、前方開口部312b及び挿入口412からの異物の侵入を阻止することができる。
【0036】
[予備封止部]
予備封止部12は、本発明に係る予備封止部の一例であり、封止部10のそれぞれ内側に対応する位置に設けられており(
図4参照)、本封止部11が破壊され、主基板ユニット1の封止状態が解除された後、さらに主基板ユニット1を再封止するときに用いる予備の封止部である。
本実施形態の予備封止部12は、上ケース部材3側に形成される予備封止部上32と、下ケース部材4側に形成される予備封止部下42と、予備係止具7と、により構成される。
【0037】
予備封止部上32は、
図5、6、12に示すように、部品実装面2a及び半田面2bに沿って突出形成された部位であって、連結部34を介して上ケース部材3に接続されている。
予備封止部上32は、下ケース部材4側に向かって突出する凸部321を備えている。この凸部321には、凸部321の突出方向に向けて開口し、予備係止具7の一部が挿入可能な開口部322が形成されている。また、開口部322内には、開口部322と開口方向が直交する窓部322aが形成されている。
【0038】
予備封止部下42は、
図5、12に示すように、部品実装面2a及び半田面2bに沿って突出形成された部位であり、下ケース部材4に一体的に形成されている。
予備封止部下42は、凸部321と予備係止具7を収容可能な凹部421、予備係止具7を上ケース部材3側に向かって挿入可能な挿入口422を備えている。
また、凹部421には、予備係止具7を保管するための台座423が設けられている。
【0039】
予備係止具7は、
図9に示すように、蓋部71と、側部72とを備え、中空の略直方体形状を有している。
側部72には、開口部322の窓部322aに係止可能な鈎状の爪部721が形成されている。
【0040】
係止孔12aは、
図12に示すように、上ケース部材3と下ケース部材4とを組合せたケース閉状態となり(
図12(b)参照)、凸部321が凹部421に収容されることにより形成される孔であって、挿入口422からカバー部材5までを開口部322を介して連通させた「穴」として構成されている。
挿入口422と開口部322は、
図12に示すように、側部72が通過可能(ただし、爪部721の弾性変形により通過可能)、かつ蓋部71が通過不能な大きさを有している。
【0041】
このような構成により、予備係止具7を挿入口422から係止孔12aに押し込み挿入することにより、
図12(c)に示すように、爪部721が開口部322内の窓部322aに係止される。
【0042】
このような状態において、予備係止具7を係止孔12aから脱抜するには、爪部721を側部72内側に押し込む外力を加える必要があるが、爪部721は予備封止部上32と予備封止部下42に囲まれ外部から遮断された状態にあることから、予備係止具7は実質的に係止孔12aから脱抜不能となる。
【0043】
さらに、挿入口422は、これより大きく形成された蓋部71により塞がれるとともに、蓋部71の周縁711が収まる凹部422aを周縁に備えている。この凹部422aは、蓋部71よりも僅かに大きい外形を有するとともに、蓋部71の板厚とほぼ同じ又は蓋部71の板厚よりも深い窪みを有している。
これにより、蓋部71が凹部422aに収まった状態では、挿入口422から係止孔12aへの侵入経路がクランク状となることから、係止孔12aへの侵入が困難となり、爪部721に対する不正操作を阻止することができる。
【0044】
このように予備封止部12は、蓋部71が挿入口422を塞ぐことから、挿入口422からの異物の侵入を阻止することができる。
【0045】
また、予備封止部12は、予備係止具7の挿入方向が本係止具6の挿入方向と異なる。
具体的には、本係止具6の挿入方向が主制御基板2の実装面2a及び半田面2bに沿う方向であるのに対し、予備係止具7の挿入方向は、本係止具6の挿入方向に直交する、主制御基板2の半田面2bから実装面2aに向かう方向となっている。
このように挿入方向を違えることにより、例えば、遊技機メーカー出荷時においては本来、本封止部11を使用するところを、誤って予備封止部12を使用することなどの係止具の差し間違いが防止される。
また、挿入方向の違いは係止具の形状の違いでもあり、これにより係止具の種類が増えることになるから、係止具の形状を模した不正なコピー品が出回ることを抑制できる。
【0046】
カバー部材5は、透明な合成樹脂(例えば、ポリカーボネート)により形成された断面略コの字状の部材であり、
図6、
図7に示すように、本封止部11、予備封止部12それぞれを覆うとともに、連結部34を視認可能かつせん断不能に覆うように構成されている。
具体的には、カバー部材5は、本封止部上31、予備封止部上32及び連結部34を覆う上面部51と、本封止部上31及び予備封止部上32の側面を覆う側面部52と、を備えている。
上面部51には、他の部分よりも薄肉形成された薄肉部511が設けられている。この薄肉部511が連結部34を覆うようになっている。薄肉部511の端部には、把手512が設けられ、これをつまんで上方に持ち上げることで、薄肉部511を破断させ、連結部34を外部に露出させることができる。
側面部52には、本封止部上31及び予備封止部上32の側面に形成された係止爪33に係止する開口部521が形成されている。
【0047】
このようなカバー部材5は、下ケース部材4側から螺入されるネジにより上ケース部材3に固定される。
ネジの螺入方向を下ケース部材4側からとすることで、上ケース部材3と下ケース部材4とを閉じたケース閉状態では、ネジへのアクセスが下ケース部材4によって妨げられ、カバー部材5が上ケース部材3から脱離できないようになっている。
【0048】
[封止解除手段]
このようなカバー部材5を破壊するとともに、連結部34をせん断することにより、本封止部11、予備封止部12それぞれによる封止状態を以下のように解除することができる。
なお、以下の説明では、主基板ユニット1が本封止部11により封止された状態にあり、予備封止部12による封止状態が非封止状態にあるものとし、本封止部11による封止状態を解除する場合について説明する。
【0049】
まず、
図13(a)に示す封止解除前の状態において、把手512をペンチ等の工具を用いてつまんで上方に持ち上げることで、封止解除手段の一例として機能する薄肉部511を破断させる。その結果、
図13(b)に示すように、連結部34が外部に露出されるとともに、薄肉部511が修復不能となり、開封の痕跡を残すことができる。このとき、予備封止部12に対応する薄肉部511は、破断操作が不要であるため、再封止後の開封まで、その形態がそのまま残される。
そして、
図13(c)に示すように、ニッパー等のせん断工具を用いて、上面部51と側面部52との接合部分であり、封止解除手段の一例として機能する接合部52a〜52dの4箇所をせん断する。
【0050】
接合部52a〜52dのせん断により、本封止部11側における上面部51と側面部52との接合関係は解除される。続いて、
図13(d)に示すように、連結部34をさらに露出させるために、連結部34に近接する部分の側面部52を除去する。
そして、ニッパー等のせん断工具を用いて、
図13(e)に示すように、封止解除手段の一例として機能する連結部34(2箇所)をせん断する。
これにより、本封止部上31は、上ケース部材3から分断されるため、これに伴い、上ケース部材3は、本封止部上31のみならず、下ケース部材4との係わりもなくなる。
これにより、上ケース部材3を上方に持ち上げることで、主基板ユニット1を開放させることができる。
【0051】
このような封止解除手段は、本封止部11による封止状態を解除するときのみならず、予備封止部12による封止状態を解除するときも同様な構成を有している。これにより、予備係止具7の挿入方向と本係止具7の挿入方向とが異なっているとしても、封止解除手段が同じなので、解除に係る手順等を間違えるミスが防止されるとともに、主基板ユニット1の開封を伴う主制御基板2のメンテナンスや確認作業が容易となる。
【0052】
設定キーユニット8は、
図14に示すように、予め6段階に分けて設定されたボーナスなどの役の当選確率をいずれかの段階に設定変更可能な錠前タイプのスイッチ(不図示)と、このスイッチと主制御基板2とを接続するコネクタ付きのケーブル(不図示)と、これらを覆うユニットホルダー80及び蓋カバー81などを備えている。
このような設定キーユニット8は、ユニットホルダー80の周縁に突設された係合部82を上ケース部材3に形成された被係合部36に係入させるとともに、ユニットホルダー80に形成された固定部83のネジ孔にネジ84を貫通させ、貫通させたネジ84を上ケース部材3に形成されたボス穴37に螺入させることにより、固定することができる。
【0053】
このような設定キーユニット8は、スロットマシン100の出玉に影響を及ぼす重要な部品であることから、不正改造等の目的で簡単に取り外すことができないように取り付ける必要がある。
そこで、ネジ84にアクセスできないように、ネジ84上部を被覆するネジカバー部材9を備えている。
【0054】
ネジカバー部材9は、
図15に示すように、断面略コの字状に形成された合成樹脂部材であり、ネジ84上部を覆う上面部91と、二つの側面部92,93を備えている。
側面部92は、断面コの字状に形成された引掛部921を備え、側面部93は、鈎状に形成された爪部931を備えている。
このような構成により、引掛部921及び爪部931を固定部83に係合させることで、ネジカバー部材9を固定部83から脱抜不能にすることができる。
【0055】
例えば、
図16(a)に示すように、引掛部921を固定部83に形成された係止孔831に係止させ、これを支点に、ネジカバー部材9を下方に回動させるとともに、ネジカバー部材9を固定部83に押し込む。
これにより、
図16(b)に示すように、爪部931が固定部83に形成された係止孔832に係止される。
この爪部931は外部からアクセス不能となり、ネジカバー部材9は脱抜不能にネジ84を被覆する。
これにより、不正改造等の目的で取り外す行為から設定キーユニット8を保護することができる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態のスロットマシン100は、本係止具6が二つの係止部を備えることにより、係止部が一つのものよりも係止孔11aからの脱抜がさらに困難となる。また、対向面621aが前方開口部312bを塞ぎ、蓋部63が挿入口412を塞ぐことから、前方開口部312b及び挿入口412からの異物の侵入を阻止することができる。
【0057】
一方、従来の遊技機では、二つの係止部を備えるものの、後方係止部が前方係止孔の入口を塞ぐように構成されていないことから、前方係止部へのアクセスが可能となり、前方係止部の係止状態が容易に解除されるおそれがあった。
【0058】
本実施形態のスロットマシン1によれば、従来の遊技機が改善すべきこのような課題の全部又は一部などを解決することができる。
【0059】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0060】
例えば、本実施形態では、本封止部11、予備封止部12をそれぞれ2か所ずつ設けたが、それぞれ1か所ずつでもよく、又はそれぞれ3か所以上ずつ設けることもできる。
また、本係止具6は、2つの係止部61,62を備える構成としたが、3つ以上の係止部を設けることもできる。この場合、それぞれの係止部は、その前方にある前方係止孔の入口に対向するとともに当該入口よりも大きく形成された対向面を有することが好ましい。
また、本実施形態では、本封止部11、予備封止部12を主基板ユニット1の外縁に設けたが、収容される基板に対する不正行為を防止できるのであればその位置は限定されず、例えば、主基板ユニット1の中央などに係止具6,7がケース部材3,4を貫くように設けることもできる。
【0061】
また、本実施形態では、複数のケース部材を開閉不能に封止する封止部を備える基板ユニットを、主制御基板2を収容する主基板ユニット1に適用したが、副制御基板21を収容する副基板ユニット20や、その他の基板を収容する基板ユニットに適用することもできる。
【0062】
また、凹部411内面をコの字状の金属板(例えば、ステンレス板)で覆うこともできる。これにより、ドリル等の穿孔工具を用いて、凹部411底面を開口するとともに、爪部613,623を操作して、本係止具6を脱抜する行為を排除できる。
【0063】
また、本実施形態では、主制御基板2を上ケース部材3に固定したが、下ケース部材4に固定することもできる。
また、上ケース部材3が備える構成を下ケース部材4に設け、下ケース部材4が備える構成を上ケース部材3に設けることもできる。例えば、凸部311を下ケース部材4に設け、凹部411を上ケース部材3に設けることもできる。
【0064】
また、本実施形態では、本発明をスロットマシンに適用したがパチンコ(例えば、玉スロ)などその他の遊技機に適用することもできる。
また、メダル、遊技球等の現物の遊技媒体を用いることなく、データ形式の擬似遊技媒体を用いてゲームを実行可能な、いわゆる封入式遊技機にも、本発明を適用することができる。