特許第6749546号(P6749546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社北電子の特許一覧

<>
  • 特許6749546-遊技機 図000002
  • 特許6749546-遊技機 図000003
  • 特許6749546-遊技機 図000004
  • 特許6749546-遊技機 図000005
  • 特許6749546-遊技機 図000006
  • 特許6749546-遊技機 図000007
  • 特許6749546-遊技機 図000008
  • 特許6749546-遊技機 図000009
  • 特許6749546-遊技機 図000010
  • 特許6749546-遊技機 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6749546
(24)【登録日】2020年8月14日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20200824BHJP
【FI】
   A63F5/04 652
   A63F5/04 611B
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-109798(P2016-109798)
(22)【出願日】2016年6月1日
(65)【公開番号】特開2017-213248(P2017-213248A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2019年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】特許業務法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 智也
(72)【発明者】
【氏名】大久保 誉
【審査官】 櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−039476(JP,A)
【文献】 特開2015−192785(JP,A)
【文献】 特開2016−059637(JP,A)
【文献】 特開2014−097100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者が操作可能な操作手段と、遊技の結果を示す識別情報を導出可能な表示手段と、を備え、
前記操作手段への操作に基づいて遊技を進行させ、前記表示手段において導出された識別情報に対応する遊技価値を付与する遊技機において、
前記操作手段への操作に基づく遊技の進行を制限する特定のフリーズ制御を実行可能なフリーズ制御手段と、
前記遊技価値として特定遊技価値が付与されることに基づいて外部に特定信号を出力可能な出力手段と、
を備え、
前記出力手段は、
遊技者の操作によって前記特定遊技価値に対応する識別情報が導出される第1の状況が発生したことに基づいて前記特定信号を出力し、
遊技者の操作によって前記特定遊技価値に対応する識別情報が導出されない第2の状況が発生したことに基づいて前記特定信号を出力せず、
前記第2の状況が発生し、かつ、前記特定のフリーズ制御中に前記特定遊技価値に対応する識別情報が導出される第3の状況が発生したことに基づいて、前記特定のフリーズ制御の終了前であっても前記特定信号を出力し、
前記フリーズ制御手段は、
前記第1の状況の発生に基づいて前記特定信号が出力される場合に、前記特定のフリーズ制御を実行しないことを決定し、
前記第2の状況の発生に基づいて前記特定信号が出力されない場合に、前記特定のフリーズ制御を実行することを決定する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記フリーズ制御手段は、前記特定のフリーズ制御中に前記特定遊技価値に対応する識別情報を一時的に導出させる
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記出力手段は、前記第3の状況が発生した場合には、前記特定のフリーズ制御中に前記特定遊技価値に対応する識別情報が導出された時点から前記特定信号の出力を開始する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記特定のフリーズ制御中に前記特定遊技価値に対応する識別情報を複数回導出させる特別制御を実行可能とし、
前記出力手段は、前記特別制御において最後に前記特定遊技価値に対応する識別情報が導出されることに基づいて前記特定信号を出力可能である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技の結果を示す識別情報を導出可能な表示手段を備える遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技機として、スロットマシンがある。例えば、スロットマシンは、図柄などの識別情報が周面に表された表示手段として動作するリールを回転させ、遊技者の停止操作によってリールを停止させるとともに、識別情報の停止表示態様に基づいて入賞の有無を判定し、所定の遊技価値を付与するように構成されている。
また、このようなスロットマシンでは、遊技が開始された後、停止操作に係る操作手段などへの操作に基づく遊技の進行を制限するフリーズ制御を行うものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−150829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような従来の遊技機には、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の遊技機は、遊技者が操作可能な操作手段と、遊技の結果を示す識別情報を導出可能な表示手段と、を備え、前記操作手段への操作に基づいて遊技を進行させ、前記表示手段において導出された識別情報に対応する遊技価値を付与する遊技機において、前記操作手段への操作に基づく遊技の進行を制限する特定のフリーズ制御を実行可能なフリーズ制御手段と、前記遊技価値として特定遊技価値が付与されることに基づいて外部に特定信号を出力可能な出力手段と、を備え、前記出力手段は、遊技者の操作によって前記特定遊技価値に対応する識別情報が導出される第1の状況が発生したことに基づいて前記特定信号を出力し、遊技者の操作によって前記特定遊技価値に対応する識別情報が導出されない第2の状況が発生したことに基づいて前記特定信号を出力せず、前記第2の状況が発生し、かつ、前記特定のフリーズ制御中に前記特定遊技価値に対応する識別情報が導出される第3の状況が発生したことに基づいて前記特定信号を出力し、前記フリーズ制御手段は、前記第1の状況の発生に基づいて前記特定信号が出力される場合に、前記特定のフリーズ制御を実行しないことを決定し、前記第2の状況の発生に基づいて前記特定信号が出力されない場合に、前記特定のフリーズ制御を実行することを決定する構成としてある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】遊技機の外観を示す概略正面図である。
図2】遊技機の内部構成を示す概略斜視図である。
図3】遊技機の制御構成を示すブロック図である。
図4】遊技状態の移行関係を示す図である。
図5】各遊技状態の特性を示す図表である。
図6】外部信号の種類と出力タイミングを示す図表である。
図7】当選役の種類と、各当選役に対応する図柄の組合せと、図柄の組合せ導出時の外部信号の出力の有無との関係を示す図表である。
図8】外部信号の出力に係る役の当選に基づくフリーズ制御の実行を示すタイムチャートであり、(a)は前回遊技において外部信号の出力に係る図柄の組合せが導出され、今回遊技においてフリーズ制御を実行しないときのタイムチャートであり、(b)は前回遊技において外部信号の出力に係る図柄の組合せが導出されず、今回遊技においてフリーズ制御を実行するときのタイムチャートである。
図9】外部信号出力処理を示すフローチャートである。
図10】フリーズ制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、図1図10を参照して説明する。
【0008】
スロットマシン1は、本発明に係る遊技機の一実施形態であり、通常のスロットマシンと同様、前面に開口部を有する筐体1bと、開口部を開閉可能に覆う前扉1aとを備えている。
前扉1aは、リール41a〜41cそれぞれに表された連続する3つの図柄(識別情報)を機外から識別可能に構成されるとともに、遊技者により操作される複数の操作手段(2a,3,5)を備え、筐体1bは、リール41a〜41cを回転駆動させるドラムユニット4、メダルの払い出しを行うメダル払出装置7などの複数の装置、コンピュータとして動作する主制御部10、副制御部20などを備えている。
【0009】
このようなスロットマシン1は、主制御部10が事前決定手段、導出制御手段、遊技価値付与手段、遊技状態制御手段、出力手段、フリーズ制御手段などとして動作することにより、以下のようなスロットマシン遊技を実行可能に構成されている。
【0010】
ゲームの開始にあたり、メダル(クレジットメダルも含む)を用いて掛け数の設定を行う。
掛け数の設定は、メダル投入口2から直接メダルを投入して設定する方法と、ベットボタン2aを押下操作して設定する方法とがある。
【0011】
メダル投入口2からメダルを投入して掛け数を設定する方法では、投入されたメダルが前扉1a裏面に設けられたメダルセレクタ2b(メダル検出手段)によって検知されることにより、投入分のメダル枚数に対応する掛け数(ただし、メダル3枚に対応する掛け数「3」が上限)が設定されることになる。
なお、掛け数の上限は、「1」、「2」、又は「4」以上でもよい。
【0012】
ベットボタン2aは、掛け数の設定に係る遊技者の操作を受け付け可能な操作手段の一例であり、これが押下操作されると、内部的にデータとして記憶されたクレジットメダルから、所定数(例えば、3枚)のメダル数が減算され、減算された分が掛け数として設定されることになる。
なお、ベットボタンは、ベットボタン2aのみに限らず、設定される掛け数のそれぞれ異なるベットボタンを複数設けることもできる。また、クレジットメダルは、メダル投入口2からのメダル投入や入賞により加算され、例えば、メダル50枚までクレジット(記憶)することができる。
【0013】
このように、メダル投入口2からの直接投入やベットボタン2aの押下操作により設定された掛け数は、主制御部10に備えるRAMなどの記憶手段に記憶される。
そして、掛け数が所定数(例えば、3枚)になったときに、1回の遊技を実行可能な権利を保有するゲーム開始可能な状態となる。
【0014】
このゲーム開始可能な状態では、スタートレバー3の操作が有効状態となる。この有効状態になっているときに、スタートレバー3が傾動操作されると、ゲームが開始され、複数の図柄の表されたリール41a〜41cが変動(以下、回転ということもある)を開始するとともに、リプレイ(再遊技)、小役、ボーナスなどの複数の当選役(はずれを含む)の中から今回ゲームの抽選結果をリール41の停止前に事前に決定する内部抽選処理が実行される(事前決定手段)。
内部抽選処理では、例えば、図7に示す複数の当選役(「通常リプレイ」〜「チェリー2」)の中から今回ゲームの当選役を所定の当選確率に基づいて抽選により決定する抽選処理が実行される。また、複数の当選役の中には、図7に示す当選役以外にも、「BIGボーナス」、「REGボーナス」などのボーナス役、「押し順ベル」、「押し順リプレイ」、「はずれ」などもあるが、ここでは記載を省略している。
なお、本実施形態では、内部抽選処理は、後述するリール41a〜41cが定常回転に達する前に完了するものであるが、リール41a〜41cが回転を開始する前に完了するようにしてもよい。
【0015】
各リール41a〜41cは、表示手段の一例であり、各リール41a〜41cの周面には、識別情報となる複数(通常21個)の図柄が表されており、停止状態から徐々に回転速度を上げた後、一定の速度で回転する定常回転に達する。
このような定常回転に達すると、各リール41a〜41cに対応して設けられた停止ボタン5a〜5cが押下操作可能な状態(停止ボタン5操作の有効化)となる。
【0016】
停止ボタン5a〜5cは、操作手段の一例であり、例えば、停止ボタン5a〜5cに内蔵されたLED等の発光手段が点灯することにより押下操作可能な状態となり、このような状態において各停止ボタン5が押下操作されると、その操作タイミングと内部抽選処理の抽選結果とにより許容される図柄の組合せで停止するように、各リール41a〜41cが停止制御される(導出制御手段)。
【0017】
停止状態では、リール41a〜41cそれぞれに表された上下方向に連続する3つの図柄が表示窓6から機外に臨むように停止し、このときの停止態様に基づいて入賞の有無が判定される。
入賞の判定は、所定の入賞ライン上に停止した図柄の組合せに基づいて判定され、例えば、上・中・下段3つのラインと斜め2つのラインの計5ラインいずれかの入賞ライン上に停止表示された図柄の組合せに基づいて判定される。
そして、入賞ライン上に停止した図柄の組合せを判定した結果、図柄の組合せが小役などに対応する特定表示結果であるときに、図柄の組合せに応じた遊技価値が付与される(遊技価値付与手段)。
【0018】
例えば、小役に対応する図柄の組合せの停止表示(以下、導出ともいう)により、入賞が判定され、メダル払出装置7が駆動制御されることにより、メダルの貯留されたホッパー7aからメダル払出口7bを介して所定数のメダルが払い出され、具体的には、「ベル」、「押し順ベル」に対応する図柄の組合せの停止表示により8枚のメダルが払い出され、「チェリー1」、「チェリー2」に対応する図柄の組合せの停止表示により1枚のメダルが払い出される。
なお、メダルの払い出しは、クレジットメダルの上限数を超える分のみが払い出されるように構成することもできるが、図示しない所定の設定ボタンを事前に操作することにより、入賞が発生するごとに、入賞に対応するメダルが払い出されるように構成することもできる。
また、リプレイ(通常リプレイ、特殊リプレイ1〜3、押し順リプレイを含む)に対応する図柄の組合せの停止表示により、入賞が判定され、次回ゲームにおいてメダルの投入を行うことなく遊技可能な状態となる。
また、「BIGボーナス」、「REGボーナス」に対応するボーナス図柄の組合せの停止表示により、所定の小役に高確率で当選するボーナス遊技に移行する。
【0019】
このような一連の動作を1回の遊技とするスロットマシン遊技は、図3に示すように、主制御部10が、ベットボタン2a、スタートレバー3、停止ボタン5などの操作手段やメダルセレクタ2bなどの入力手段からの入力情報に基づいて、リール41a〜41cやこれらを回転駆動させるパルスモータなどを備えるドラムユニット4、メダル払出装置7などの出力手段を制御することにより実現される。
【0020】
また、スロットマシン1では、このようなスロットマシン遊技に同期した遊技演出も行われる。例えば、ボーナス遊技やART遊技への移行を示す画像演出、ファンファーレ音、及びランプ演出などがそれぞれ、液晶TVなどの表示器8、スピーカ9、及びLED等の発光手段を備えるランプ11などの報知手段を介して出力される。
このような報知手段は、副制御部20により制御される。また、副制御部20は、主制御部10から所定の遊技タイミングごとに受信する制御コマンドに基づいてこれらを制御する。
【0021】
副制御部20は、演出制御手段の一例であり、主制御部10からの指令に従った動作を実行可能に構成される。
例えば、副制御部20は、主制御部10に設けられた出力ポートなどの送信手段から所定の遊技タイミングごとに送信される制御コマンドを、当該副制御部20に備える入力ポートなどの受信手段を介して受信するとともに、受信した制御コマンドを解読し、制御コマンドに応じた演出を行うように表示器8などの報知手段を制御する。
【0022】
スロットマシン1は、このような通常のスロットマシンと同様の構成に加えて、以下のような特徴的な構成を備えている。
【0023】
[遊技状態]
スロットマシン1は、図4に示すように、主制御部10により移行可能に制御される複数の遊技状態を有している。
大別すると、通常状態と有利状態があり、図5における「遊技媒体増加区間」の項目に示すように、通常状態はメダルの減少し易い区間(図中の「×」は減少を示す)であり、遊技者に不利な遊技状態となっており、有利状態はメダルの増加し易い区間(図中の「○」は増加を示す)であり、通常状態よりも遊技者に有利な遊技状態となっている。
【0024】
本実施形態の有利状態は、さらに、ボーナスとARTとに大別される。
ボーナスは、遊技価値として付与される特定遊技価値の一例であり、所定の小役に高確率で当選するゲームが所定のメダル獲得数まで継続する有利な状態であり、「BIGボーナス」、「REGボーナス」などのボーナス役に当選するとともにこれらに対応するボーナス図柄の組合せの導出後に移行する。
ボーナスには、例えば、メダル獲得数の多い「BIGボーナス」と、メダル獲得数の少ない「REGボーナス」とがある。
【0025】
ARTは、特定遊技価値の一例であり、ATとRTの二つの状態が組み合わされた有利な状態である。
ATは、アシスト・タイムの略称であり、各停止ボタン5に対する操作順序や、目押しの目安となる図柄等を報知することにより、内部抽選処理の抽選結果に対応する図柄の組合せの導出をアシストする遊技状態である。
例えば、内部抽選処理において抽選される小役や再遊技の中には、対応する図柄の組合せが停止ボタン5a〜5cに対して行う6通りの操作順序それぞれに対応して導出可能な押し順指定の当選役があり、ATでは、これらの小役や再遊技に当選したときに、遊技者にとって有利な遊技結果が得られるように、それぞれに対応する押し順を表示器8などの報知手段を介して報知する。
【0026】
具体的には、「押し順リプレイ」、「押し順ベル」、「特殊リプレイ1」〜「特殊リプレイ3」は、押し順指定の当選役であり、それぞれ6通りの操作順序に対応する停止表示の組合せがある。各押し順指定の当選役に当選したときに、それぞれに対応する押し順を表示器8などの報知手段を介して画像、発光態様、音声等により報知し、遊技者がこの報知に従った順序で停止ボタン5a〜5cを操作することにより、押し順指定の当選役に入賞することになる。
また、このような押し順の報知に代えて又は加えて、小役や再遊技に当選したときに、これらに対応する図柄を表示器8などの出力手段を介して報知することにより、目押しをアシストすることもできる。
【0027】
RTは、リプレイ・タイムの略称であり、内部抽選処理において抽選される通常リプレイ(図7参照)の当選確率が、通常状態よりも高い有利な遊技状態である。
ARTは、このようなATとRTとが組み合わされた遊技状態であり、再遊技に高確率で当選しつつ、停止ボタン5に対する操作のアシストにより小役入賞が得られることから、手持ちのメダルが増加し易い遊技者に有利な遊技状態となっている。
【0028】
このようなARTは、始期及び終期を有している。
ARTの始期は、例えば、通常状態において、所定の小役(例えば、チェリー1,2などのレア小役)に当選すること、かつ、この当選時に行われるART(AT)抽選処理において当選すること、さらに、RTの開始に係る図柄の組合せが導出することなどを始期することができる。RTの開始に係る図柄の組合せは、例えば、図7に示す特殊リプレイ2又は3に当選したときに導出可能な図柄の組合せ(例えば、「リプレイ・リプレイ・ベル」,「ベル・ベル・リプレイ」)とすることができる。
なお、ボーナス中における所定の条件成立(所定小役の当選など)によっても、ATに当選することもあり、この場合、ボーナス終了後、RTの開始に係る図柄の組合せの導出等によりRT開始となり、ARTに移行することもある。
ARTの終期は、例えば、所定ゲーム数の消化、所定数のメダル獲得、所定小役の所定回数当選などを終期とすることができる。
そして、このような始期と終期とにより規定される期間をARTの継続期間という。
【0029】
このようなARTは、さらに、複数の状態に細分化される。
例えば、「通常ART」、「上乗せART」、「ボーナスART」などの3つの状態に細分化することができる。これらは、ARTの継続期間を延長させるための特定結果を導出する確率の異なる状態となっている。
特定結果を導出する確率とは、ARTの継続期間を延長させるための確率であって、例えば、上乗せ抽選処理において当選する上乗せ当選確率のことをいう。
上乗せ抽選処理とは、ART中に実行される抽選処理であり、当該ARTの継続期間を延長させるか否かを抽選により決定する処理のことである。この抽選処理は所定条件の成立タイミング(例えば、所定小役の当選タイミングなど)で実行され、これに当選すると、例えば、ARTの残りゲーム数に上乗せ抽選処理により当選した上乗せゲーム数が加算され、又は、ARTの残りメダル獲得数に上乗せ抽選処理により当選したメダル獲得数が加算され、又は、ARTの残り小役当選回数に上乗せ抽選処理により当選した上乗せ小役当選回数が加算されるなどにより、ARTの継続期間が延長されることになる。
【0030】
ART中における3つの状態は、この上乗せ当選率が異なる値に設定されており、例えば、図5における「上乗せ当選確率」の項目に示すように、「上乗せART」が最も高い値に設定され、これに、「ボーナスART」が続き、「通常ART」が最も低い値に設定されている。このような状態ごとの上乗せ当選率は主制御部10に備えるROMなどの記憶手段に記憶されている。
また、ART中においてボーナス役に当選することもあり、ボーナス役に当選後に移行するボーナス中に上乗せ抽選処理を実行することもでき、この場合、図5における「上乗せ当選確率」の項目に示すように、「REGボーナス」は「BIGボーナス」よりも上乗せ当選確率を高く設定することが好ましいがこの限りではない。
【0031】
このような有利状態に対して、通常状態は、再遊技の当選確率がRTよりも低く、アシスト対象となる小役や再遊技に当選したとしても対応する押し順や目押し図柄等を報知しないことから、手持ちのメダルが減少し易い遊技者に不利な遊技状態となる。
【0032】
また、通常状態は、さらに、図4に示すように複数の状態に細分化される。
例えば、通常状態は、「通常モード」、「チャンスモード」などに細分化することができる。
これらのモードの違いはARTへの移行をかけたART(AT)抽選処理における当選(突入)確率の違いである。ART(AT)抽選処理は、例えば、所定の小役に当選したときに実行される抽選処理であり、図5における「ART突入確率」に示すように、「チャンスモード」が「通常モード」よりも高い値に設定されている。
また、通常状態において、ボーナスやボーナスARTに当選することもあり、このようなボーナス中にART(AT)抽選処理を実行することもでき、この場合、図5における「ART突入確率」の項目に示すように、「BIGボーナス」は「REGボーナス」や「ボーナスART」よりも突入確率を高く設定することが好ましい。
なお、図5における「遊技媒体増加区間」の項目に示す例では、「チャンスモード」をメダルの減少する区間として説明したが、これらの状態のうちの一部又は全部において、ATなどの遊技者に有利な遊技状態に移行させることもでき、これにより、「チャンスモード」をメダルの減少する「×」の区間ではなく、「○」と「×」の中間を意味する「△」の区間とすることもできる。
【0033】
[遊技状態の移行制御]
このような複数の遊技状態間の移行は、遊技状態制御手段として動作する主制御部10により制御される。
例えば、主制御部10は、スロットマシン1への電源供給開始後は、通常状態における「通常モード」に移行させ、その後、所定の小役の当選等を契機に、「チャンスモード」に移行させる。
また、通常状態、ボーナス中において、所定の小役に当選したときにART(AT)抽選処理を実行し、この処理において当選したときには、その後、特殊リプレイ2又は3の当選、又はこれらに対応する図柄の組合せ(例えば、「リプレイ・リプレイ・ベル」,「ベル・ベル・リプレイ」)の導出を契機に、ARTに移行させる。
【0034】
ARTに移行後は、例えば、最初に「通常ART」に移行させ、所定の継続期間が終了したときには、通常状態に移行させる。
この「通常ART」中において、所定の小役の当選などを契機に所定ゲーム数に亘り「上乗せART」に移行させる。特に、このような「上乗せART」に移行するときには、特別な演出(例えば、後述のフリーズ状態など)を伴うことが好ましい。また、「上乗せART」から「通常ART」への移行は、所定ゲーム数の消化などを契機とすることができる。
【0035】
「通常ART」及び「上乗せART」において、ボーナスART役として機能する「特殊リプレイ1」に当選したときには、所定ゲーム数に亘り「ボーナスART」に移行させる。
「特殊リプレイ1」は、押し順指定の当選役であり、6通りの押し順のうち表示器8などによる報知に従った一の押し順で停止ボタン5a〜5cを操作することに加え、「7」を狙った目押しを行うことにより、「7・7・7」が導出されることになり、当該一の押し順以外の押し順や目押しのミスにより、「リプレイ・7・7」などの他の図柄の組合せが導出される(図7参照)。本実施形態では、「7・7・7」の導出の有無にかかわらず「ボーナスART」に移行させることとする。
「ボーナスART」は、特定遊技価値の一例であり、ARTの継続期間(ゲーム数など)が減ることはなく、ARTが所定期間に亘って継続する状態であり、所定ゲーム数の消化等により、「通常ART」などの直前のART状態に移行する。このような「ボーナスART」として、所定ゲーム数やメダル獲得数がそれぞれ異なる複数の種類の「ボーナスART」を設けることもできる。
また、「通常ART」及び「上乗せART」において、ボーナス役に当選したときには、「BIGボーナス」、「REGボーナス」などの「ボーナス」に移行させる。この「ボーナス」中は、ARTの継続期間(ゲーム数など)が減ることはなく、「ボーナス」終了後、「通常ART」などの直前のART状態に移行する。
【0036】
[外部信号の出力制御]
主制御部10は、出力手段の一例として動作し、遊技に係る信号として外部信号を出力する。外部信号には、図6に示すように、「IN」〜「ドア開放」などの複数種類がある。
【0037】
「IN」は、メダルの投入枚数を示す信号であり、例えば、遊技開始可能な状態においてスタートレバー3の操作タイミングなどで出力される。
「OUT」は、メダルの払い出し枚数を示す信号であり、例えば、メダル払出装置7を駆動制御したときにメダルを払い出すタイミングなどで出力される。
「BB/RB」は、ボーナス遊技中に出力される信号であり、例えば、「BIGボーナス」又は「REGボーナス」に対応する図柄の組合せの導出を契機に出力される。
「ボーナスART」は、ボーナスART中に出力される信号であり、例えば、「特殊リプレイ1」に当選し、これに対応する図柄の組合せ「7・7・7」(第1識別情報)の導出を契機に出力される。一方、特殊リプレイ1に当選したとしても、「リプレイ・7・7」などの「7・7・7」以外の図柄の組合せ(第2識別情報)が導出されたときには、出力されない。このように主制御部10は、導出された図柄の組合せの種類に基づいて外部に信号を出力する。
「ART」は、ART中に出力される信号であり、例えば、「特殊リプレイ2」又は「特殊リプレイ3」に当選し、これらに対応する図柄の組合せ「リプレイ・リプレイ・ベル」又は「ベル・ベル・リプレイ」の導出を契機に出力される。
「リレーコモン」は、基準電位を示す信号である。
「セキュリティ」は、メダル払出装置7から想定数以上のメダルが払い出されるなどの払い出し異常等の発生時に出力される。
「ドア開放」は、前扉1aの開放を検出するセンサが「ON」(開放)を検出しているときに出力される。
なお、「BB/RB」、「ボーナスART」、「ART」はそれぞれ対応する図柄の組合せの導出を契機に出力するものとしたが、対応する図柄の組合せの導出を問わずに、対応役の内部当選に基づいて出力するなど、その他の条件の成立を契機に出力してもよい。
このような外部信号は、筐体1bの側面に設けられ、ケーブル接続可能に構成される外部集中端子板と呼ばれる外部情報出力端子板12(図1,3参照)から出力され、ケーブルを介して外部装置(例えば、ホールピュータ)と直接又は間接的に接続することにより、外部信号を外部装置に入力させることができる。
【0038】
[フリーズ制御]
また、主制御部10は、フリーズ制御手段の一例として動作し、ゲーム開始可能な状態となってスタートレバー3が操作された後において、停止ボタン5への操作に基づく遊技の進行を制限するなどして、スロットマシン遊技の進行を一時的に停滞、すなわち、フリーズ状態を発生させる制御を行う。
このフリーズ状態では、例えば、スタートレバー3が操作されてもリール41が所定時間に亘り回転を開始しなかったり、リール41が通常の回転方向と異なる方向に回転したり、リール41の回転中に所定の図柄の組合せ(例えば、「7・7・7」)が一時的に導出されたりし、また、リール41の回転中であっても、停止ボタン5に対する操作が有効とならず、停止ボタン5を押下操作してもリール41の回転が停止しないように制御したりする。
このようなフリーズ状態は、所定時間に亘って継続し、所定時間経過後、リール41が通常の状態に復帰し(例えば、定常回転を行う)、停止ボタン5に対する操作が有効となって一時的に停滞していたスロットマシン遊技の進行が再開することになる。
なお、所定時間の経過を待たずに、所定の操作(例えば、ベットボタン2aの操作)を行うことにより、フリーズ状態から通常の状態に復帰させることもできる。
主制御部10は、このようなフリーズ状態を所定条件の成立に基づいて発生させる。
【0039】
フリーズ状態の発生条件には、特定の当選役の当選、停止ボタン5に対する特定の押し順などがあり、主制御部10がこれらの条件の成立を監視し、条件の成立を判定することにより、フリーズ状態を発生させる。
本実施形態では、これらの発生条件に代えて、又は加えて以下の条件の成立に基づいて、フリーズ状態を発生させる。
【0040】
具体的には、主制御部10は、外部信号の出力状態を監視し、この出力状態に基づいてフリーズ状態を発生させる制御を行う。
例えば、外部信号が出力状態のときに、フリーズ状態を発生させない制御を行い、外部信号が出力停止状態のときに、フリーズ状態を発生させる制御を行う。
反対に、外部信号が出力状態のときに、フリーズ状態を発生させる制御を行い、外部信号が出力停止状態のときに、フリーズ状態を発生させない制御を行うこともできる。
【0041】
具体的な例として、今回遊技以前の遊技(例えば、前回遊技)において、外部信号が出力された場合には、今回遊技以降の遊技(例えば、今回遊技)においてフリーズ状態を発生させず、今回遊技以前の遊技(例えば、前回遊技)において、外部信号が出力されていない場合に、今回遊技以降の遊技(例えば、今回遊技)においてフリーズ状態を発生させる。
【0042】
また、これとは反対に、今回遊技以前の遊技(例えば、前回遊技)において、外部信号が出力された場合には、今回遊技以降の遊技(例えば、今回遊技)においてフリーズ状態を発生させ、今回遊技以前の遊技(例えば、前回遊技)において、外部信号が出力されていない場合に、今回遊技以降の遊技(例えば、今回遊技)においてフリーズ状態を発生させないこともできる。
【0043】
なお、上記の具体例及び以下の説明において記載する今回遊技以前の遊技とは、今回遊技から例えば10ゲーム前までの間のいずれかのゲームとすることが好ましい。
同様に、今回遊技以降の遊技とは、今回遊技から例えば10ゲーム後までの間のいずれかのゲームとすることが好ましい。
また、フリーズ状態を発生させる制御を行う外部信号は、出力頻度が高い(例えば、50ゲームに1回以上出力)信号よりも、出力頻度が低い(例えば、100ゲーム以上のゲーム数で1回出力)信号が好ましい。
【0044】
特に、フリーズ状態を発生させる制御を行う外部信号は、特定遊技価値が付与されることに基づいて出力される、「BB/RB」、「ボーナスART」、「ART」などの外部信号が好ましく、特定の図柄の組合せの導出によって外部信号が出力されるものが好ましいが、これに限らず「IN」、「OUT」などの他の外部信号でもよい。
例えば、今回遊技以前の遊技(例えば、前回遊技)において、特定遊技価値が付与されることに基づいて出力される、「BB/RB」、「ボーナスART」、「ART」などの外部信号の出力条件が成立(例えば、特殊リプレイ1〜3の当選)したにもかかわらず、今回遊技において未だこれらに対応する外部信号が出力されていないときには、今回遊技を含むこれ以降の遊技においてフリーズ状態を発生させる制御を行うことが好ましい。
この例のように、今回遊技における外部信号の出力状態(出力=ON、出力停止=OFF)と、今回遊技以前の遊技における外部信号の出力条件の成立の有無との組合せに基づいて、フリーズ状態を発生させるか否かを制御することが好ましい。
以下、好ましい実施例について、図8に示すタイムチャートを参照しながら説明する。
【0045】
図8(a),(b)それぞれに示すタイムチャートは、前回遊技において「特殊リプレイ1」に当選した場合を示しており、図8(a)は、前回遊技におけるリール41の停止時において、特殊リプレイ1に対応する図柄の組合せとして「7・7・7」(第1識別情報)が導出されたときのタイムチャートであり、図8(b)は、前回遊技におけるリール41の停止時において、特殊リプレイ1に対応する図柄の組合せとして「7・7・7」(第1識別情報)が導出されず、「7・7・リプレイ」(第2識別情報)が導出されたときのタイムチャートである。
【0046】
前述したように、「ボーナスART」信号は、「特殊リプレイ1」に当選し、これに対応する図柄の組合せ「7・7・7」(第1識別情報)の導出を契機に出力(ON)される外部信号であることから、図8(a)では、前回遊技において「7・7・7」が導出されていることから、これに基づいて前回遊技の終了時(例えば、リール41の停止時)から、「ボーナスART」信号が「ON」となる。
一方、図8(b)では、前回遊技において「特殊リプレイ1」に当選したにもかかわらず、「7・7・7」(第1識別情報)が導出されず、「7・7・リプレイ」(第2識別情報)が導出されていることから、前回遊技の終了時及びそれ以降では、「ボーナスART」信号は「OFF」(出力停止)のままとなる。
【0047】
主制御部10は、このような「ボーナスART」の出力状態の違いに応じて、今回遊技以降におけるフリーズ状態の発生を制御する。
例えば、前回遊技において、「ボーナスART」信号が出力されていたら、図8(a)に示すように、今回遊技においてフリーズ制御を行わずに、フリーズ状態を発生させない。
一方、前回遊技において、「ボーナスART」信号が出力されていなかったら、図8(b)に示すように、今回遊技においてフリーズ制御を実行し、フリーズ状態を発生させる。
このフリーズ状態では、スタートレバー3が操作されてもリール41が所定時間に亘り回転を開始しなかったり、リール41を通常の回転方向と異なる方向に回転させたりすることができ、本実施形態では、リール41の回転中に「特殊リプレイ1」に対応する図柄の組合せとして「7・7・7」(第1識別情報)を一時的に導出させ、その後、定常回転に復帰するリール演出を行うものとする。
また、主制御部10は、一時的な「7・7・7」(第1識別情報)の導出を契機に、図8(b)に示すように、外部信号を「ON」にする制御を行うこともできる。
【0048】
このように、主制御部10は、今回遊技以前の遊技(例えば、前回遊技)において、例えば、ボーナス役や特殊リプレイ1〜3に当選することにより、「BIGボーナス」、「REGボーナス」、「ボーナスART」、「ART」などの特定遊技価値が付与されることが決定され、かつ、今回遊技(例えば、今回遊技開始時)において未だこれらに対応する外部信号が出力されていないときには、今回遊技を含むこれ以降の遊技においてフリーズ状態を発生させる制御を行う。
つまり、主制御部10は、今回遊技における外部信号の出力状態(出力=ON、出力停止=OFF)と、今回遊技以前の遊技における外部信号の出力条件の成立の有無、すなわち、今回遊技以前の遊技における特定当選役(この例では、特殊リプレイ1)の当否のみをフリーズ発生の条件として監視すれば足りることから、主制御部10の処理負担が軽減される。
一方、今回遊技以前の遊技における特定当選役の当否ではなく、例えば、特殊リプレイ1当選時に導出される「7・7・7」以外のすべての図柄の組合せ(図7参照)に基づいて、フリーズ発生させることとすれば、フリーズ発生条件としてこれらの図柄の組合せを予めROM等の記憶手段に記憶し、記憶した図柄の組合せと今回遊技以前の遊技における図柄の組合せとを逐次照合する処理が必要となり、主制御部10の処理負担が増大することになるから、好ましくはない。
【0049】
以上のような主制御部10が行う特徴的な動作はプログラムとして主制御部10に備えるROM等の記憶手段に記憶され、これをCPU(主制御部10)が実行することにより実現される。
このプログラムの流れは、図9及び10に示すフローチャートとして表すことができる。
図9は、外部信号出力処理に係るフローチャートである。
【0050】
この処理では、まず、主制御部10は、特定遊技価値が付与されることに基づいて出力される外部信号の出力に係る役の当選かの判定を行う(S1)。上記の例では、特殊リプレイ1に当選したかの判定を行う。外部信号の出力に係る役に当選していないときには(S1−No)、処理を終了する。
外部信号の出力に係る役に当選したときには(S1−Yes)、当選役に対応するリール制御処理を実行する(S2)。
このリール制御処理では、例えば、特殊リプレイ1に当選した場合、停止ボタン5に対する操作順序と、各停止ボタン5に対する操作タイミングを監視し、特定の一の押し順及び特定の操作タイミングで各停止ボタン5が操作されたときには、「7・7・7」が導出されるように各リール41の停止制御を行い、これ以外の押し順及び操作タイミングで操作されたときに、「7・7・7」以外の図柄の組合せ(図7参照)が導出されるように各リール41の停止制御を行う。
【0051】
次に、主制御部10は、リール41の停止表示態様を判定する。具体的には、外部信号の出力に係る図柄の組合せ(「7・7・7」)の導出かの判定を行う(S3)。
外部信号の出力に係る図柄の組合せ以外の導出ならば(S3−No)、処理を終了する。
一方、外部信号の出力に係る図柄の組合せ(「7・7・7」)の導出ならば(S3−Yes)、外部信号を出力(ON)する(S4)。上記の例では、図8(a)に示すように、「ボーナスART」信号を「ON」にする。
【0052】
図10は、フリーズ制御処理に係るフローチャートである。
この処理では、まず、主制御部10は、前回遊技を含む今回遊技以前の遊技において外部信号の出力に係る役に当選したかの判定を行う(S11)。上記の例では、特殊リプレイ1に当選したかの判定を行う。このような判定を行うために、主制御部10は、今回遊技以前の遊技において外部信号の出力に係る役に当選した場合にはその旨をRAM等の記憶手段に記憶し、その記憶内容に基づいて判定を行う。
外部信号の出力に係る役に当選していないときには(S11−No)、処理を終了する。
外部信号の出力に係る役に当選しているときには(S11−Yes)、続いて、今回遊技又は前回遊技を含む以前の遊技において外部信号を出力済みかの判定を行う(S12)。
このような判定を行うために、主制御部10は、今回遊技以前の遊技において外部信号の出力に係る役に当選した否かに加え、当該当選により外部信号が出力されたか否かを記憶することが好ましい。
外部信号を出力済みのときには(S12−Yes)、処理を終了する。
一方、外部信号を未だ出力していないときには(S12−No)、以下の処理を実行する。
【0053】
主制御部10は、フリーズ状態を発生させるべく、フリーズ制御を開始する(S13)。
例えば、フリーズ状態では、リール41の回転中に「特殊リプレイ1」に対応する図柄の組合せとして「7・7・7」を一時的に導出させる(S14)。
この導出に基づいて、主制御部10は、外部信号を出力(ON)する(S15)。上記の例では、図8(b)に示すように、「ボーナスART」信号を「ON」にする。
その後、フリーズ制御を終了し(S16)、リール41を定常回転に復帰させ、処理を終了する。
なお、フリーズ状態において、「特殊リプレイ1」に対応する図柄の組合せとして「7・7・7」を一時的に導出させず、リール41を定常回転に復帰させるとともに、処理を終了させることもできる。この場合、復帰後における遊技者による停止ボタン5に対する操作に基づいて「7・7・7」が導出されたときに、外部信号を出力(ON)させることもできる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態のスロットマシン1では、外部信号の出力状態に基づいてフリーズ状態の発生を制御することから、主制御部10等の処理負担が軽減される。
【0055】
一方、特許文献1に記載の遊技機を含む従来の遊技機では、特定役の入賞、特定の押し順、特定の図柄の組合せなどを条件に、フリーズ状態を発生させていた。
特に、特定の図柄の組合せの導出に対応してフリーズ状態を発生させる場合には、フリーズ状態の発生の条件となる図柄の組合せを複数記憶するとともに、図柄の組合せの導出ごとに、フリーズ状態の発生条件となる図柄の組合せか否かの判定を行う処理が必要となり、処理負担が増大するという問題があった。
また、フリーズ状態の発生条件となる図柄の組合せは、内部的にはARTなどの特定遊技価値の付与が決定されているものの、見かけ上は「はずれ」に相当する組合せが好ましいが、「はずれ」に相当する組合せをすべてフリーズ状態の発生条件となる図柄の組合せか否かの判定を行うことは現実的ではない。
【0056】
本実施形態のスロットマシン1によれば、「はずれ」に相当する組合せを判定することなく、今回遊技における外部信号の出力状態に加えて、今回遊技以前の遊技における外部信号の出力条件の成立の有無、すなわち、今回遊技以前の遊技における特定当選役の当否のみをフリーズ発生の条件として監視すれば足りることから、処理負担が軽減されるなどの、従来の遊技機が改善すべきこのような課題の全部又は一部などを解決することができる。
【0057】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0058】
例えば、本実施形態では、外部信号が出力されていないときに、フリーズ状態を発生させたが、外部信号が出力されているときに、フリーズ状態を発生させることもできる。
具体的には、「ボーナスART」信号の出力中に特定当選役に当選したことに基づいてフリーズ状態を発生させることもできる。
例えば、通常状態において、チェリー2(いわゆる、強チェリーや中段チェリーなど)に当選したときには、「ボーナスART」信号の出力中ではないので、フリーズ状態は発生させない。
一方、「ボーナスART」信号の出力中にチェリー2に当選したときには、次回遊技においてフリーズ状態を発生させる。このフリーズ状態中に所定の図柄の組合せ(例えば、「7・7・7」などのゾロ目)を一時的に導出させることもできる。導出後は、「上乗せART」に移行させてもよい。
【0059】
また、上記のように、外部信号の出力中に、フリーズ状態を発生させるときには、外部信号が所定ゲーム数以上(例えば、5ゲーム以上など)に亘って継続して出力されたことを確認後に、フリーズ状態を発生させることが好ましい。これは、外部信号によっては、スロットマシン1が報知しないにもかかわらず、押し順の正解等により一時的に信号が出力される外部信号(例えば、「ボーナスART」)があり、このような外部信号は、数ゲーム(2,3ゲーム)に亘って信号が出力され、その後、出力停止となるため、このような例外的な外部信号の出力に基づくフリーズ状態の発生を確実に排除することが好ましいからである。
【0060】
また、上記のように、外部信号が所定ゲーム数以上に亘って継続して出力されたことを確認後に、フリーズ状態を発生させる場合において、この所定ゲーム数(例えば、5ゲームなど)の間は、フリーズ状態の発生条件の異なる他の発生条件が成立したとしても、フリーズ状態を発生させないことが好ましい。
例えば、実際のART突入時は「ボーナスART」信号の出力から5ゲーム間は連続演出によりボーナスARTへの導入を行うが、その間に別の実行契機よるフリーズ状態が発生してしまうと演出に矛盾が生じるからである。
ただし、当該スロットマシン1における最強当選役(例えば1/10000や1/30000等で当選するいわゆるレア役)に基づくフリーズ状態は実行可能なようにしてもよい。少なくとも一部のフリーズ状態を制限すればよい。
【0061】
また、通常ART中に「ボーナスART」信号が出力された次ゲームで他の判定を行わずに必ずフリーズ状態を発生させてもよい。
また、通常ART中に「ボーナスART」信号が出力された次ゲームでのみフリーズ状態を発生させてもよい。
また、ボーナスART中に「BB/RB」信号が出力されたら次ゲームで他の判定を行わずに必ずフリーズ状態を発生させてもよい。
また、これらの他、いずれかの組合せで外部信号が出力された場合やいずれかの外部信号のみが出力された場合にだけフリーズ状態を発生させてもよい。
【0062】
また、遊技状態(例えば、ボーナスART)の移行時にしか、外部信号(例えば、「ボーナスART」)を出力しないこととする場合には、少なくとも次ゲームまで(例えば、2ゲームに亘って)は出力することが好ましい。これにより、今回遊技以前の遊技における外部信号の出力状態を今回遊技以降に記憶する必要がなくなるからである。
【0063】
また、フリーズ状態の発生中に所定の図柄の組合せ(例えば、「7・7・7」などのゾロ目)が導出された時点でフリーズ状態の終了前であっても外部信号(例えば、ボーナスART信号)を出力するようにしてもよい。
この場合、フリーズ状態の発生中において、所定の図柄の組合せが複数回導出される演出を行う場合(例えば、揃った数だけボーナスARTをストック)、最後の導出が行われた時点で外部信号(例えば、ボーナスART)を出力するようにしてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、図7に示す特殊リプレイ1の当選をボーナスARTの開始契機としたが、通常ARTや上乗せARTの開始契機とすることもできる。
また、本実施形態では、今回遊技以前の遊技において外部信号の出力に係る役(例えば、特殊リプレイ1)に当選し、かつ、今回遊技の開始時において当選役に対応する外部信号(例えば、「ボーナスART」信号)が出力されていないときに、今回遊技以降の遊技においてフリーズ状態が発生するように制御したが、このような条件と他の条件とを加えた複数の条件からフリーズ状態の発生条件を適宜選択することもできる。
例えば、上記の条件に、指定した押し順により停止ボタン5が操作されたか、指定した当選役(例えば、チェリー1又は2)に当選したか、指定したRT状態への移行か(例えば、通常リプレイの当選確率の異なる複数のRTのうち一のRTから他のRTへの移行か)などを加えた複数の条件のうち、いずれかの条件、これら複数の条件の中から任意の組合せを発生条件とすることもできる。
【0065】
また、本発明をスロットマシンに適用したがパチンコ(例えば、玉スロ)などその他の遊技機に適用することもできる。
また、メダル、遊技球等の現物の遊技媒体を用いることなく、データ形式の擬似遊技媒体を用いてゲームを実行可能な、いわゆる封入式遊技機にも、本発明を適用することができる。
【0066】
また、本実施形態では、主制御部10を遊技状態制御手段などとして動作させたが、これに代えて、副制御部20を遊技状態制御手段などの各種手段として動作させることもできる。
また、本実施形態では、主制御部10がART(AT)抽選処理、上乗せ抽選処理など各種抽選処理を行ったが、内部抽選処理を除いた各種抽選処理を副制御部20が行うこともできる。
【0067】
また、本実施形態では、表示手段としてモータにより駆動制御されるリールを用いたが、これに代えて又はこれに加えて、液晶表示器などの表示器にリール等の図柄が変動する画像を表示させることにより、表示器を識別情報の表示手段として用いることもできる。
【0068】
以上の説明には、以下の発明が含まれる。
(1)遊技者が操作可能な操作手段と、遊技の結果を示す識別情報を導出可能な表示手段と、を備え、前記操作手段への操作に基づいて遊技を進行させ、前記表示手段において導出された識別情報に対応する遊技価値を付与する遊技機において、前記操作手段への操作に基づく遊技の進行を制限するフリーズ制御を実行可能なフリーズ制御手段と、前記遊技価値として特定遊技価値が付与されることに基づいて外部に信号を出力可能な出力手段と、を備え、前記フリーズ制御手段は、前記出力手段の出力状態に基づいて前記フリーズ制御を実行することを特徴とする遊技機。
【0069】
(2)前記出力手段は、前記表示手段において導出された識別情報の種類に基づいて外部に信号を出力することを特徴とする(1)に記載の遊技機。
【0070】
(3)前記フリーズ制御手段は、前記出力手段によって外部に信号が出力された場合に前記フリーズ制御を実行せず、前記出力手段によって外部に信号が出力されていない場合に前記フリーズ制御を実行することを特徴とする(1)又は(2)に記載の遊技機。
【0071】
(4)前記フリーズ制御手段は、今回の遊技より前の遊技において前記特定遊技価値が付与されることが決定され、かつ、前記出力手段によって外部に信号が出力されていない場合に、前記フリーズ制御を実行することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の遊技機。
【0072】
(5)前記特定遊技価値が付与される場合に前記表示手段に導出される識別情報として、第1識別情報と、前記第1識別情報とは異なる第2識別情報と、が含まれ、前記出力手段は、前記第1識別情報が導出された場合に外部に信号を出力し、前記第2識別情報が導出された場合に外部に信号を出力しないことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の遊技機。
【0073】
(6)前記表示手段は、前記フリーズ制御の実行中において、前記第1識別情報を導出することを特徴とする(5)に記載の遊技機。
【符号の説明】
【0074】
1 スロットマシン
2 メダル投入口
2a ベットボタン
3 スタートレバー
5 停止ボタン(操作手段)
8 表示器
9 スピーカ
10 主制御部(出力手段、遊技価値付与手段、フリーズ制御手段)
11 ランプ
20 副制御部
41 リール(表示手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10