(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1乃至3の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、前記パッチに含められた、又は前記パッチの、前記バルーンと反対の側で前記パッチにコーティングされた光硬化性接着剤をさらに備えることを特徴とする挿入可能な光送出カテーテル装置。
請求項4に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、前記パッチ及び前記光硬化性接着剤が、人体中で生体分解性であることを特徴とする挿入可能な光送出カテーテル装置。
請求項5に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、前記光硬化性接着剤が、ポリ(グリセロールセバケートアクリレート)を含むことを特徴とする挿入可能な光送出カテーテル装置。
請求項1乃至9の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、前記ミラーを備えた前記バルーンが内部に取り付けられている外側バルーンをさらに備えることを特徴とする挿入可能な光送出カテーテル装置。
請求項1乃至10の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、前記シャフトが、同心円状に取り付けられた複数のシャフトを含むことを特徴とする挿入可能な光送出カテーテル装置。
請求項1乃至13の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、前記パッチが、医薬組成物を含むことを特徴とする挿入可能な光送出カテーテル装置。
請求項1乃至3の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、前記バルーンが、前記シャフト内に移動して格納可能であり、かつ前記シャフトから移動して延出可能であることを特徴とする挿入可能な光送出カテーテル装置。
請求項1乃至3の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、流体を前記流体導管を介して送出するために前記導管に結合された流体ポンプをさらに備えることを特徴とする挿入可能な光送出カテーテル装置。
請求項1乃至3の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、前記光ガイドが、少なくとも1本の光ファイバーを含むことを特徴とする挿入可能な光送出カテーテル装置。
請求項18に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、光を前記光ファイバーを介して前記ミラーに導くために前記光ファイバーに結合された光源をさらに備えることを特徴とする挿入可能な光送出カテーテル装置。
請求項19に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、前記光源が、紫外線を発生するように構成されていることを特徴とする挿入可能な光送出カテーテル装置。
請求項1乃至3の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、前記シャフトが、8mm未満の外径を有することを特徴とする挿入可能な光送出カテーテル装置。
請求項1乃至3の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、前記装置の少なくとも1つの表面にポリ(p−キシリレン)コーティングをさらに備えることを特徴とする挿入可能な光送出カテーテル装置。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、右心室16及び左心室18を有する正常な心臓12の断面図である。
【
図2】
図2は、心室中隔欠損部20を有する心臓12の断面図である。
【
図3】
図3は、光送出カテーテル(light−dispensing catheter)装置の一実施形態の図である。
【
図4】
図4は、光送出カテーテル装置の別の実施形態の図である。
【
図5】
図5は、
図4の装置のバルーン21及びパッチ22を備えた、延出したカテーテルシャフト23、24、及び25の拡大図である。
【
図6】
図6は、光送出カテーテル装置と共に使用される膨張した金属化バルーン21の一実施形態の画像である。
【
図7】
図7は、内側被覆バルーン38及び外側バルーン36を含む遠位バルーン21、及び
図6のパッチ22の概略断面図である。
【
図8】
図8は、光ファイバー29がバルーン21への挿入の縁(0mm)にある膨張したバルーン21の図である。
【
図9】
図9は、
図10の構成での、バルーン21からパッチ22への光反射パターンのプロットである。
【
図10】
図10は、光ファイバー29がバルーン21の中に10mm挿入されている膨張したバルーン21の図である。
【
図11】
図11は、
図10の構成での、バルーン21からパッチ22への光反射パターンのプロットである。
【
図12】
図12は、光ファイバー29がバルーン21の中に118.5mm挿入されている膨張したバルーン21の図である。
【
図13】
図13は、
図12の構成での、バルーン21からパッチ22への光反射パターンのプロットである。
【
図14】
図14は、パッチを隔壁14に当てるために、心臓12の右心室16に挿入されて、心室中隔欠損部を通過して左心室18の中まで延びている光送出カテーテル装置の図である。
【
図15】
図15は、パッチを隔壁14に当てるために、心臓12の右心室/経血管アプローチによって挿入されて、心室中隔欠損部を通過して左心室18の中に挿入されている光送出カテーテル装置の画像である。
【
図16】
図16は、心室中隔欠損部の修復パッチングにおける一連のステップを例示している。
【
図17】
図17は、心室中隔欠損部の修復パッチングにおける一連のステップを例示している。
【
図18】
図18は、心室中隔欠損部の修復パッチングにおける一連のステップを例示している。
【
図19】
図19は、心室中隔欠損部の修復パッチングにおける一連のステップを例示している。
【
図20】
図20は、心室中隔欠損部の修復パッチングにおける一連のステップを例示している。
【
図21】
図21は、本装置と共に使用されるパッチ22の画像である。
【
図22】
図22は、心室中隔欠損部にある直径14mmのパッチが、6mm、8mm、及び10mmの欠損直径に対して右心室(RV)及び左心室(LV)で耐えることができる破裂圧力のプロットである。
【
図23】
図23は、予荷重力5N、10N、及び15Nでの接着剤46の光硬化後に当てられたパッチを引き離すために必要な引き離し力のプロットである。
【
図24】
図24は、近位バルーン40、中間シャフト24、第2の外側バルーンを含む遠位バルーン21、一時的な経路/バルーン結合のための除去可能な縫合し34、及び光硬化性接着剤を含むパッチ22を含む、本装置の一実施形態の構成要素を示す画像である。
【
図25】
図25は、心室中隔欠損部の閉鎖の概略的な一連の段階的断面図を提供する。
【
図26】
図26は、心室中隔欠損部の閉鎖の概略的な一連の段階的断面図を提供する。
【
図27】
図27は、心室中隔欠損部の閉鎖の概略的な一連の段階的断面図を提供する。
【
図28】
図28は、心室中隔欠損部の閉鎖の概略的な一連の段階的断面図を提供する。
【
図29】
図29は、心室中隔欠損部の閉鎖の概略的な一連の段階的断面図を提供する。
【
図30】
図30は、心室中隔欠損部の閉鎖の概略的な一連の段階的断面図を提供する。
【
図31】
図31は、接着剤送達ディスペンサー42を備える装置の実施形態を例示している。
【
図32】
図32は、接着剤送達ディスペンサー42を備える装置の実施形態を例示している。
【
図33】
図33は、接着剤送達ディスペンサー42を備える装置の実施形態を例示している。
【
図34】
図34は、接着剤送達ディスペンサー42を備える装置の実施形態を例示している。
【
図35】
図35は、
図34の接着剤送達ディスペンサー42内を流れる接着剤46を示す断面図である。
【
図36】
図36は、中隔欠損部にパッチを当てるための本装置の一実施形態の使用を例示している。
【
図37】
図37は、中隔欠損部にパッチを当てるための本装置の一実施形態の使用を例示している。
【
図38】
図38は、中隔欠損部にパッチを当てるための本装置の一実施形態の使用を例示している。
【
図39】
図39は、中隔欠損部にパッチを当てるための本装置の一実施形態の使用を例示している。
【
図40】
図40は、遠位バルーン21が、光ファイバー29からの光をパッチ22及び接着剤に反射させるためにこのバルーン21の遠位側にミラーを備える一実施形態を例示している。
【
図41】
図41は、光伝達/反射装置が隔壁14の心臓内欠損部を閉じる適用例を例示している。
【
図42】
図42は、本装置の一実施形態が心外膜へのパッチの送達に使用される適用例を例示している。
【
図43】
図43は、心尖部閉鎖用の本装置の一実施形態の使用を例示している。
【
図44】
図44は、心尖部閉鎖用の本装置の一実施形態の使用を例示している。
【
図45】
図45は、パッチ22が固定された後に回収カテーテル58が遠位バルーン21の回収に使用される本装置の一実施形態の使用を例示している。
【
図46】
図46は、光ファイバー29からの光を遠位バルーン21の内部反射面に反射及び回折させるために部分反射ミラー56が内部シャフト23に取り付けられている一実施形態の使用を例示している。
【
図47】
図47は、(A)心臓の断面における装置の略図、(B)前外側開胸術、エコープローブの位置、及び巾着縫合によるRVアクセスを示すin vivo処置のためのアクセス、(C)〜(G)VSDパッチング処置における心エコー画像、及び(H)処置後の心臓に接着されたパッチを含む一連の画像を含む。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本装置及び本方法のさらなる実施形態が、図示され、付番された図面に続く頁で説明される。
【0017】
添付の図面では、同様の参照符号は、異なる図面でも同じ又は同様の部品を指し、アポストロフィーは、同じ参照番号を共有する同じ又は同様のアイテムの複数の例を区別するために使用される。これらの図面は、必ずしも正確な縮尺ではなく、むしろ、以下に述べられる例証における特定の原理の例示に重点を置いている。
【0018】
本発明の様々な態様の前述及び他の特徴及び利点は、本発明のより広い範囲内である様々な概念及び特定の実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになるであろう。上記紹介され、以下により詳細に説明される主題の様々な態様は、この主題が実施のどの特定の方式にも限定されないため、様々な方法のいずれでも実施することができる。特定の実施及び適用の例は、主に例示目的で示される。
【0019】
本明細書で別段に定義される、使用される、又は特徴付けられない限り、本明細書で使用される(科学技術用語を含む)語は、従来の技術の文脈で許容される意味に一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書に明確にそのように定義されない限り、理想化された意味又は過度に形式的な意味に解釈されるべきではない。例えば、特定の組成物が言及される場合、その組成物は、完全に純粋ではないが実質的に実用的であり得、かつ不完全な現実を適用することができ、例えば、少なくとも微量の不純物(例えば、1又は2%未満)の存在の可能性は、記載の範囲内であると解釈することができ、同様に、特定の形状が言及される場合、その形状は、例えば、製造公差により、理想の形状からは不完全な変形形状を含むものとする。本明細書で表されるパーセンテージ又は濃度は、重量又は体積のいずれかで表すことができる。以下に説明されるプロセス、処置、及び現象は、特段の記載がない限り、周囲圧力(例えば、約50〜120kPa、例えば、約90〜110kPa)及び温度(例えば、−20〜50℃、例えば、約10〜35℃)で起こり得る。
【0020】
第1、第2、第3などの語は、様々な要素を説明するために本明細書で使用することができるが、これらの要素は、これらの語によって限定されるものではない。これらの語は、単に要素を区別するために使用される。従って、以下で論じられる第1の要素は、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく第2の要素と呼ぶことができる。
【0021】
空間的に相対的な語、例えば、「上の」、「下の」、「左の」、「右の」、「前の」、及び「後ろの」などは、図面に例示されるある要素と別の要素との関係を説明する際の説明を容易にするために本明細書で使用することができる。空間的に相対的な語、及び例示される構成は、本明細書に記載される向き及び図面に示される向きに加えて、使用中又は動作中の装置の異なる向きを包含するものであることを理解されたい。例えば、図面の装置が回転されると、他の要素又は特徴の「下」又は「真下」として説明される要素は、他の要素又は特徴の「上」を向くであろう。従って、例示的な語「上の」は、上及び下の両方の向きを包含し得る。装置は、(例えば、90度回転された又は他の向きで)他に向けることができ、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は適宜解釈される。
【0022】
なおさらに、本開示では、要素が、別の要素の「上」にある、別の要素に「接続されている」、「結合されている」、「接触している」などと述べられる場合、要素は、他の要素の上に直接あっても良く、他の要素に直接接続されても良く、直接結合されても良く、若しくは直接接触しても良くし、又は特段の記載がなければ、介在する要素が存在しても良い。
【0023】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することが目的であり、例示的な実施形態を限定することを意図するものではない。本明細書で使用されるように、単数形、例えば、「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、文脈に反する記載がなければ、複数形も含むものとする。加えて、語、「含む(includes)」、「含む(including)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」は、述べられる要素又は工程の存在を明記するが、1つ以上の他の要素又は工程の存在又は追加を排除するものではない。
【0024】
加えて、本明細書に示される様々な構成要素は、組み立てられた形及び仕上げられた形で提供することができる、又は構成要素の一部若しくは全てを1つにパッケージングして、顧客が組立及び/若しくは変更を行って最終製品にするための取扱説明書(例えば、書面、ビデオ、若しくは音声形式)と共にキットとして市販することができる。
【0025】
装置の構造
装置の実施形態は、
図3〜
図7に示されているように、遠位バルーン21、このバルーン21上の反射コーティング(ミラー)、カテーテル内の複数のシャフト、光活性化接着剤46、及びパッチ22を備えることができる。さらなる詳細については、
図5が次の構成要素を示している、すなわち、プラズマ表面処理が行われてアルミニウム−ポリ(p−キシリレン)コーティングされたバルーン21、ポリ−グリセロール−セバケートアクリレート(PGSA)接着剤46が塗布されたポリ−グリセロール−セバケートウレタン(PGSU)パッチ22、光ファイバー29及び生理食塩水を含み、かつ遠位バルーン21及びパッチ22を配置する内部シャフト23、近位バルーン40を配置する中間の単一又は多ルーメンシャフト24、外径が18.0〜20.0Fの導入シャフト25、ハンドル26、スライド機構27の形態である内部シャフト−中間シャフト結合/分離機構、Y字型コネクタ28、このY字型コネクタ28から挿入される光ファイバー29、光源30(例えば、UV光を発生する)、膨張装置31、及びシリンジ32。
【0026】
遠位バルーン21は、その実施形態が
図6及び
図7に示されており、金属及び保護/オムニフォビックコーティングでコーティングされた医療用バルーンであり得、かつ2つの層36及び38を含み得る。遠位バルーン21は、次の3つの機能を果たすことができる、すなわち、(a)パッチ22がバルーン21と共に配置されるように、パッチ22を遠位バルーン21の外層に取り付けている一時的な縫合糸34によってパッチ22を配置すること、(b)硬化プロセス中にパッチ22に圧縮力を加えてパッチ22を安定させること、及び(c)硬化のために、中隔表面に光を反射させてパッチ22を介して接着剤46に光を暴露すること。バルーン21は、例えば、ウレタンから形成することができ、ウレタンは、高圧に耐えることができ、優れた適合性を表面形状に提供し(これにより、内部組織の損傷を防止する)、かつ(接着剤の硬化のために)20Nを超える力をパッチ22に伝達することができる。
図3〜
図7では、遠位バルーン21は、円錐形状を有するが、他の形状をとることもできる。特定の実施形態では、バルーン21自体を生体吸収性材料から形成することができ、カテーテルは、バルーン21を膨張させ、硬化のために光を供給し、次いでバルーン21から取り外し、心室中隔欠損部20の閉鎖のためにバルーン21を残置することができる。
【0027】
コーティングは、プラズマ表面処理及び蒸着アルミニウム、ポリ(p−キシリレン)(例えば、パリレン−C)コーティング及び/又は抗血栓性コーティングを含む多層コーティングの形態にすることができる。プラズマ処理、アルミニウム蒸着、及び任意選択のポリ(p−キシリレン)コーティングを用いると、90%を超える反射がミラーコーティングで達成される。その障壁特性、生体適合性、並びに化学的及び生物学的不活性のために、ポリ(p−キシリレン)は、反射バルーン21の保護コーティング材料として役立ち得る。ポリ(p−キシリレン)蒸着プロセスは、反射コーティングの反射率に著しくは影響を与えない。
【0028】
代替の実施形態では、ミラーは、光を反射させて光をパッチ22に戻すために、(例えば、発光シャフト23内に配置された、光を送達する光ファイバー29の遠位先端部を超えてバルーン21内に挿入されたこのシャフト23内の)遠位バルーン21内に挿入された光ガイドの遠位先端部に/この遠位端部に向けて設けることができる。
【0029】
特定の実施形態では、ミラーを備えたバルーン21は、外側バルーン層36内に含めることができる。パッチ22がバルーン21の膨張で配置されるように、縫合糸34を外側バルーン層36及びパッチ22に通すことができる。縫合糸34の端部を、外部シャフト25を介して本体の外部に引っ張って、固定されたパッチ22をバルーン21の外層から離すことができる。
【0030】
他の実施形態では、遠位バルーンは、パッチ22及び接着剤46を送達するための折り畳み可能/折り畳み不可能なシートで置き換えることができる。一部の実施形態では、接着剤46は、パッチ22内に含めて、膨張した遠位バルーン21からの力によって圧迫されたときに放出させることができる。
【0031】
カテーテルを形成する複数のシャフトは、次を含み得る、すなわち、(a)右心室16に固定される装置の挿入及び内部の構成要素の保護のための外部シャフト25、(b)遠位バルーン21及びパッチ22と共に心室中隔欠損部20を介して前進し、かつ遠位バルーン21及びパッチ22を左心室18内に配置するために後退する中間シャフト24、並びに(c)遠位バルーン21を配置し、かつ挿入時に光ガイドを保護する内部シャフト23。シャフト23、24、及び25の相対運動は、シャフト23、24、及び25のロック機構を用いてハンドル26によって制御することができる。カテーテルは、約8mm未満の外径を有することができ、中隔14のアプリケーター器具につながった注入ルーメンも備えることができる。
【0032】
接着剤46は、ポリ−グリセロール−セバケートアクリレート(PGSA)又は代替の光活性化接着剤の形態にすることができる。PGSAの適切な形態は、N.Lang,M.J.Pereira,Y.Lee,I.Friehs,N.V.Vasilyev,E.N.Feins,K.Ablasser,E.D.O’Cearbhaill,C.Xu,A.Fabozzo,R.Padera,S.Wasserman,F.Freudenthal,L.S.Ferreira,R.Langer,J.M.Karp,P.J.del Nido,A Blood−Resistant Surgical Glue for Minimally Invasive Repair of Vessels and Heart Defects.Sci.Transl.Med.6,218ra6(2014)に記載されている。接着剤46は、生体適合性及び生体分解性の両方であり、光(例えば、UV光)への曝露によって活性化される。一部の実施形態では、接着剤46は、装置が患者に挿入される前にパッチ22にコーティングすることができる。他の実施形態では、接着剤46は、パッチ22のリザーバに貯蔵することができ、このリザーバは、取り外し可能な吸収性/感圧接着剤46で密閉され、この接着剤46は、バルーン21の膨張によって圧力がかかるときに放出される。他の実施形態では、リザーバは、弁で密閉することができる。非光硬化性接着剤46の場合は、圧力をかけることにより、チャンバーが破裂して他のタイプの接着剤(例えば、熱硬化性接着剤又は水に接触すると硬化する接着剤)を放出させることができる。さらに他の実施形態では、接着剤46は、in vivoでカテーテルを介して注入することができる。
【0033】
輪状の接着剤送達ディスペンサー42が
図31に示され、接着剤46は、中間シャフト24に沿って接着剤ディスペンサー42まで延びた導管43を介して送達され、この導管43は接着剤46を放出し、この接着剤46は流れてパッチ22に接触する。接着剤ディスペンサー42の別の実施形態が
図32及び
図33に示され、これらの図は、パッチ取り付け用の縫合糸34を備えた遠位バルーン21のタブ48も示している。接着剤ディスペンサー42のさらに別の実施形態が
図34及び
図35に示され、シャフト23、24、及び25は、シャフトの遠位端部に向けて舵取り角(曲がり)44を備え、ディスペンサー42から流れる接着剤46は
図35から分かる。
【0034】
パッチ22は、欠損部20を覆う/ブリッジする、又は組織を補強するように設計することができ、さらなる実施形態では、パッチ22は、下層組織を監視又は処置するために可撓性センサ(例えば、心臓の表面の電気的な異常を検出するための電気センサ)又は薬物若しくは細胞送達剤(薬物若しくは細胞はパッチ22にコーティングされ、かつ/又はパッチ22に含められる)の形態にすることができる。パッチ22は、光学的に透明なポリ−グリセロール−セバケートウレタン(PGSU)、ヒドロゲル、又は代替の光学的に透明な可撓性パッチ/センサ/薬物若しくは細胞送達装置から形成することができる。パッチ22に透明性及び弾性を付与することにより、パッチ22を、例えば、心臓組織に結合するための接着剤46の適切な活性化及び接着を可能にする。パッチの弾性により、パッチ22を通過して(例えば、パッチ22の交差(例えば、十字型)スリットを通って)遠位バルーン21が心臓12から除去された後に最小限の残存心室中隔欠損部20しか残らないにようにすることも可能である。一部の実施形態では、2つのパッチ22を利用することができ、パッチの1つを、中隔14又は心尖の壁の各側に当てて、それぞれのバルーン21及び40によって中隔14又は心尖の壁に対して押圧する。さらなる実施形態では、パッチ22は、プラグの形態にすることができる。なおさらなる実施形態では、パッチ22は、このパッチ22を通るカテーテルの引き戻しの後に密閉するためにパッチ22に自己密閉機能又は弁機能を有する3次元(3D)形状のパッチの形態にすることができる。
【0035】
カテーテルを通過して光を遠位バルーン21に送達する光ガイドは、光ファイバー29の形態にすることができる。光ファイバー29は、その遠位端部(例えば、バルーン21内)に円錐成形(conical sculptured)ファイバー先端部(又はバルーン/ミラーの形状と組み合わせられた、配光のために他の方法で最適化された先端部)を有することができ、この先端部は、硬化のために光を中隔14上のパッチ22に反射させる所望の光線経路を提供する。他の実施形態では、光ガイドは、光ファイバー29の1つ以上の束の形態である。なおさらなる実施形態では、光ファイバー29の遠位先端部は、平らであるか又は別の形状を有し、ミラーは、所望の配光を提供する形状である。
【0036】
ナビゲーションを支援する特徴、例えば、予め配置されたワイヤに沿った装置の追跡を可能にするガイドワイヤルーメンも含めることができる。パッチ22の残存孔は、パッチ22を通る引き戻しの後に追加の接着剤46を塗布して硬化させることができるカテーテルによって、又は組織の反対側のカテーテルを用いて当てられる第2のパッチ22の使用によって閉鎖することができる。
【0037】
本明細書で提供される装置は、様々な潜在的な用途を有し、本明細書では、実験がPGSU及びHLAAを用いて行われたが、あらゆる光学的に透明なパッチ材料(例えば、心膜、ダクロン、ポリウレタン)を使用することができる。装置は、スケーラブルであり、遠位バルーン21又はパッチ22のサイズ又は形状は、(例えば、処置前のイメージングによる)患者特有の要求に基づいて指定することができる。
【0038】
装置の使用
特定の実施形態では、装置は、(i)接着剤が充填された弾性パッチ22を広げること、(ii)二重バルーン21及び40を配置してパッチ22を安定させ、パッチ22を組織欠損部位に押圧すること、及び(iii)接着剤の活性化のために光ファイバー29及び反射金属コーティングによってUV光を均一に分散させることによって機能する、植え込み可能な剛性構成要素を用いない多機能のカテーテルを用いる技術である。
【0039】
図14に例示されている心臓モデル14に示されているように、心室周囲(perventricular)外科的アプローチを、右開胸によって行うことができ、心臓12を、心膜を開くことによって露出させることができる。この処置は監視することができ、送達装置を、例えば、2D及び3D心エコー検査法、2D及び3D磁気共鳴映像法、又はX線(蛍光透視)で可視化することができる。
図14に示されている(人工心臓モデルを通る)心臓12内への装置のアクセス経路に従って、装置が、経心室アプローチによって心臓12に送られ、遠位バルーン21及びパッチ22が、右心室16及び心室中隔欠損部20を経て左心室18内に挿入されている。他の実施形態では、
図15に示されているように、装置は、経血管又は経心房アプローチによって心臓12に送られる。
図16〜
図20はそれぞれ、経心室アプローチでの次の段階、すなわち、準備、アクセス、配置、接着、及び除去を示している。
【0040】
従って、
図16に示されているように、装置は、右心室壁の切開部から心臓12に導入することができる。外部シャフト25は、右心室16内に留めることができ、中間シャフト24は、ガイドワイヤ上を前進して、心室中隔欠損部20を通って左心室18内に進入することができる。
【0041】
次いで、
図17に示されているように、内部シャフト23が前進して、パッチ22の自己拡張が可能となり、パッチ22が、(中間シャフト24の中に折り畳まれた)中隔に面する表面が接着剤46で既に覆われ、遠位バルーン21が配置されている。
【0042】
次いで、遠位バルーン21を膨張させることができ、UV光ファイバー29(又は他の形態の光ガイド)をこの遠位バルーン21の中に前進させることができる。遠位バルーン21は、(例えば、流体、例えば、生理食塩水の遠位バルーン21の中へのポンピングによって)膨張すると、
図18に示されているようにパッチ22及び組織表面を押圧することができる。第2の安定化バルーン40を、隔壁14の反対側で同時に膨張させることができる。パッチ22が遠位バルーン21で圧迫されている状態で、
図19に示されているように、接着剤46に圧力を加えながら、同時に、光ファイバー29によって伝達されるUV光を、遠位バルーン21のアルミニウム表面コーティングによって接着剤46に(例えば、最大5秒間)反射させて接着剤46を硬化させることができる。最後に、パッチ22を外側バルーン層36に接合する縫合糸34を、(縫合糸34の一端を引っ張ってパッチ22を外側バルーン36から解放することによって)除去することができ、次いで、バルーン36及び38を、パッチ22を介して引き戻して、最小限の残存欠損部20のみを残し、
図20に示されているようにカテーテルを抜去することができる。
【0043】
光ファイバー29の遠位バルーン21への0mm、10mm、及び18.5mmの深度の進入が、
図8、
図10、及び
図12に示されており、結果として生じるパッチ22への配光が
図9、
図11、及び
図13に示されている。
【0044】
内部シャフト23内に部分的に反射するミラー56を備える代替の設計が
図46に示され、この設計では、光が、光学的に透明な内部シャフト23内の光ファイバー29の端部から部分的に反射する円錐ミラー56に放射され、この円錐ミラー56は、光を一定範囲の角度に亘って偏向及び回折させ、次いで、光がバルーン21の反射面で反射してパッチ22及び接着剤46に進む。
【0045】
心室中隔欠損部20を閉鎖するためのプロセスの例証のための段階的な略図が
図25〜
図30に示されている。最初の工程では、
図25に示されているように、装置が、右心耳及び中隔欠損部20に挿入され、次に、パッチ22が中隔欠損部20を覆うように機械的に配置される。次いで、固定バルーン40が、
図26に示されているように、パッチ22を通過する導管によって膨張される。次いで、
図27に示されているように、接着剤46が、パッチ22とこのパッチ22に接触した中隔壁表面との間に流され、膨張した固定バルーン21がパッチ22を隔壁14に押圧する。次に、光(例えば、UV光)をパッチ22及び接着剤46に送達して、隔壁側の接着剤46を硬化させる光ファイバー29が
図28に示されている。遠位バルーン21の内部反射コーティングが、ファイバー29から心臓12への光の分散を防止する。次いで、遠位バルーン21が収縮され、パッチ22の中心の弁設計を介して除去され、
図29に示されているように、接着されたパッチ22のみが、隔壁14の遠位側に残置される。最後に、装置が除去され、
図30に示されているように、接着されたパッチ22のみが心臓12に残され、心房アクセスポイントが、巾着縫合糸によって縫合される。
【0046】
心室中隔欠損部20を閉鎖するために装置の一実施形態を用いるさらなる例示が
図36〜
図39に示されている。この実施形態では、パッチ22は、遠位バルーン21と共に収縮及び拡張する収縮可能なウィング及びシャフト23に沿って延びてこのシャフト23を接着剤46のオーバーフローから保護するネック50を備えたPGSUプラグの形態である。この実施形態では、近位バルーン40が、プラグ22のネック50内に取り付けられ、この近位バルーン40は、ネック50を外向きに押して、装置を隔壁欠損部20に固定する。近位バルーン40は、流体を送達させてこの近位バルーン40を膨張させるための内部空気圧導管にも結合されている。
図37は、遠位バルーン21の膨張及びプラグウィング22の拡張を示し、
図38は、シャフト23を通る遠位バルーン21への光ファイバー29の挿入を示している。最後に、
図39では、光が光ファイバー29によって伝達され、この光は、遠位バルーン21の内側に面した反射面で反射されるまで、遠位バルーン21の周りの様々な角度で分散される(反射及び回折される)。
【0047】
別の実施形態が
図40に示されており、遠位バルーン21が、その上部に(図示されている向きで)ミラー52を備える。光を、光ファイバー29から(この向きで)直接真上に向けて、ミラー52に接触したバルーン21を通過させることができ、このミラー52は、反射時に光を分散させる。
【0048】
心臓内欠損部閉鎖用の装置の一実施形態の使用が
図41にさらに例示され、遠位バルーン21が、パッチ22及び接着剤46に光を反射させ、パッチ22は、接着剤46が硬化すると中隔14の孔を閉鎖する。別の適用例では、装置の一実施形態は、
図42に示されているように、心外膜パッチの送達に使用されている。この実施形態では、装置は、パッチを当てるべき壁を通過する必要がない。むしろ、遠位バルーン21及びパッチ22は、遠位バルーン21が、膨張時にパッチ22を心外膜の外面に押圧できるように、シャフト25と同じ壁の側に維持される。この実施形態では、パッチ22は、このパッチ22を介した心外膜への細胞/薬物の送達、又は心不全患者の心室補強に適用することができる。この実施形態では、光が、遠位バルーン21の内部から、パッチ22が取り付けられた遠位バルーン21の反対側へと前方に集束される。パッチ22から心外膜の反対側に安定性を提供する装置の構成要素がないと、装置に含まれる吸引器具が、心外膜との吸引結合を提供してパッチ22を安定させることができる。装置は、細胞/薬物注入用の中心針又は複数の微小針も備え得る。
【0049】
装置の適用例のさらに別の例が
図43及び
図44に示されている。この実施形態では、装置は、例えば、経カテーテル大動脈弁植え込み処置の後、心尖の閉鎖に使用される。心室内パッチ22が、
図43の装置で当てられ、パッチ22の残存孔が、
図44の装置によって反対側から当てられた(中心孔のない)パッチ22で閉じられる。両方の装置によって当てられるパッチ22は、縫合糸34又はパッチ材料の延長部でつなぐことができる。
【0050】
図45では、中間回収カテーテル58が、回収中に収縮した遠位バルーン21の均一な形状を達成するために使用される。この実施形態では、遠位バルーン21が、回収カテーテル58内に引き込まれ、回収カテーテルが、近位バルーン40が安定性を提供している間にパッチ22を介して引き戻される。中間回収カテーテル58は、その中への遠位バルーン21の進入に適応するようにデュロメーターの低い又は共押出しされた材料の伸長性遠位先端部54を備える。
【0051】
予備研究
接着強さを定量化するために、本出願者らは、ポリ−グリセロール−セバケートウレタン(PGSU)を、表面浸食性、生体分解性、生体適合性、かつUV透明性のパッチ材料として使用し、パッチ22をポリ−グリセロール−セバケートアクリレートでコーティングした。パッチ22を、ブタ心臓組織に取り付けた。接着強さを、標準的なプルオフ試験で決定した。
【0052】
パッチとVSDサイズの最適化のために試験を準備し、心室中隔欠損部20をブタ心臓組織に形成し、密閉系に取り付け、パッチが押しのけられるまで圧力を加えた。パッチ22の直径は14mmとした。この結果が
図22に示され、右心室(RV)の破裂圧力は、各欠損サイズについて左側のバーで示され、左心室(LV)の破裂圧力は、各対における大きい方の右側のバーで示されている。予想通り、左心室(LV)18の有利な圧力により、in vitroでの破裂実験は、隔壁14の左側(LV)へのパッチ取り付けが右側(RV)へのパッチ取り付けに対して著しく有利であることを示している。左側のパッチは、300mmHgを超える破裂圧力に耐えることができる。理想的なパッチ/VSDサイズ比は、棒グラフに示されているように約2.2であることが分かった。
【0053】
ポリ−グリセロール−セバケートウレタンパッチ22を、心拍動下手術中のブタの無傷の心室隔壁14に取り付けて、術中経心外膜3D心エコー検査法で確認した。
【0054】
様々な予荷重力下でパッチ22が隔壁14に当てられたプルオフ試験の結果が
図23にプロットされている。
【0055】
例証の結果
カテーテルを用いる装置では、装置が除去される前に、UV光を、内部光ファイバー29を介して反射バルーン21に送達することができ、光が、光硬化性接着剤46でプレコーティングされたパッチ22に反射されてこのパッチ22が組織に付着する。装置の機能的な構成要素は、内部シャフト23に固定された反射遠位バルーン21、及び中間シャフト24上の近位安定化バルーン40を含む(
図24)。全ての構成要素を外部シャフト25に装着することができる。(一端がUV源に接続され、他端で光が分散するように設計された)UV光ファイバー29が、内部シャフト23内に収容され、このUV光ファイバー29は、その先端部が遠位バルーン21に達するまで内部ルーメン内を前進させることができる。反射遠位バルーン21は、パッチ/接着剤システム(
図24)の一時的な縫合糸を用いる取り付けを可能にする外層を有し、これにより、in situで、パッチ22を遠位バルーン21で広げてこのシステムから確実に解放することができる。
【0056】
全ての構成要素は、送達のために収縮させて外部カテーテルシャフト25の中に装着することができる。処置ステップは次の通りである、すなわち、(i)カテーテルを、欠損部20を介して送達する、(ii)パッチ22を反射バルーン21の外膜に接続している縫合糸開ループを引き戻すことによってパッチ22を解放する、(iii)バルーンを配置する(まず遠位バルーン21、次いで近位バルーン40)、(iv)UV光をオンにして、パッチ22の近位側にコーティングされた光硬化性接着剤46を活性化する、(v)バルーン21及び40の両方を完全に収縮させて体内から取り出す。最後のステップでは、遠位反射バルーン21を、パッチ22の四葉弁を介して回収して、組織に付着したパッチ22を残す。各シャフト23、24、及び25を人間工学的ハンドル26に接続した。このハンドルは、各シャフトの結合及び結合解除を可能にし、かつシリンジ32によるバルーン21及び40の体積が制御された膨張及び収縮を可能にした。
【0057】
光反射性の可撓性医療用バルーンの開発及び最適化:
ウレタン基材への金属コーティングの付着を促進する、ウレタンバルーン基材のプラズマ前処理を行って、アルミニウム及びパラジウムの両方の反射性を向上させた。アルミニウム/血液のウレタンへの接触を防止する外側保護コーティングを選択するために、金及びポリ(p−キシリレン)をアルミニウムサンプルにコーティングして、反射性試験を繰り返した。全ての外側コーティングは、同様の反射性という結果になった。
【0058】
真空(4mtorr)下で直流を加えて、アルミニウム粒子をバルーンに堆積させた。ウレタンバルーンの平らな面にマスクをして、スパッタチャンバー内の回転マウントにテープで留めた。最後の多ステップコーティングプロセスでは、ウレタンバルーンをプラズマで前処理し、100nmのアルミニウムでコーティングし、第2の外側ウレタンバルーンを、コーティングと外部環境との間の障壁として機能するように当てて、パッチの配置/解放機構に寄与するようにした。コーティングの厚みは、予想通り、アルミニウム源からの距離で僅かに変動しているが、コーティングの付着は、ポリ(p−キシリレン)の前処理で改善された。
【0059】
光分散のための薄型の光ファイバーケーブルの最適化:
反射された光を比較的大きい領域に分散させるために、光を送達する内部光ファイバーケーブル29を成形した。内部光ファイバー29の先端部を整形して、反射チャンバーに対して移動させる(挿入距離を変更する)ことにより、反射される光線が、平らな先端部と比較してより広い領域に広がる。光線追跡シミュレーションを用いて、所与の膨張バルーンの形状について、ファイバー先端部の角(直線及び20度の円錐先端部)並びにファイバー深度(遠位バルーン21の平らな面から測定して、0mm、10mm、及び18.5mm)の効果を調べた。効率の計算により、光がカテーテル内に達するまでは、100%の光がファイバー29で利用可能であると推測された。得られた光照射マップは、成形円錐ファイバーが、平らなファイバー先端部と比較して、接着剤/パッチシステムに光をより分散させることが実証された。各ファイバー挿入深度での好ましい光の分散及び光の反射率を比較した。平らな先端部は、内部シャフト23内でファイバーの位置に敏感であるため、効率のばらつきが大きかった。円錐先端部は、より高い効率を有し、内部シャフト23内の位置にそれほど敏感ではなかった。
【0060】
光ファイバー29の最終設計を成形円錐形状にし、この円錐形状は、このファイバー29を反射遠位バルーン21内で内部シャフト23に沿って単純に移動させることによって直径25mmの円形パッチ22の全表面に光を分散させることを可能にした。ファイバー29の移動は、パッチ22に均一な照射を「施す(paint)」ように作用する。純粋に円錐のバルーン形状に対して、やや湾曲した形状の膨張バルーン21は、効率又は光線パターンに対する効果が小さい。バルーンの形状及び臨床応用によって、光ファイバー先端部を、このようなシミュレーションを用いて事例ごとに成形することができる。
【0061】
装置アセンブリ:
この研究の実験のために、PGSUからなるHLAA及びUV光透明パッチ22を製造した。加えて、PGSUパッチ22を、指定された直径にレーザーカットした。パッチ22の外周部の8つの0.5mmの孔及び5mm未満のスリットの四葉弁を、レーザーカットで中心に形成して、装置の挿入、及び最小限の残存短絡での装置の引き戻しを可能にした。
【0062】
内部シャフト23(Vention MedicalのClear pebax 72Dシャフト、内径1.42mm、外径1.67mm、長さ34cm)を、バルーンの膨張を可能にするために遠位端部をスカイビング仕上げした後に、各ネック50で、光硬化性接着剤46(Henkel AG & Co.KGaAのLoctite 3943)を用いてアルミニウム被覆ウレタンバルーン21(両方のネックが2mmにトリミングされたVention Medicalの#20000701AD)に接着した。パッチ22の外周部の8本の連続した縫合糸34(Ethicon US,LLCのProlene 5.0,RB2)をパッチ22のレーザーカット孔によって案内して、
図24に示されているように一時的な縫合糸34を孔に通して、同一の外側バルーン36をレーザーカットパッチ22に縫い付けた。パッチ/外側バルーンアセンブリを内部シャフト23のコーティングされたバルーン21上に配置して、Locite3943接着剤46を用いて遠位端部に接着した。
【0063】
ex vivoでの代表的な臨床応用:
ブタの心臓、腹壁、及び胃の外植された部分への接着を、組織サンプルの表面のポリ(グリセロール−セバケートウレタン)(PGSU)パッチに付着した疎水性の光活性化接着剤46(HLAA)をカテーテルバルーン装置で活性化させることによって試験した。接着力を定量化するために、プルオフ試験を、0.59〜2.54Nの範囲の力で、3Nの予荷重力を加えた後で組織サンプルに対して行った。パッチの取り付けは、全てのサンプルで無事に達成された(各組織型当たりn=3)。成功した心臓及び腹壁へのパッチの取り付けを、手動プルオフ評価によって測定した。胃については、バルーン21を超生理学的容積(1リットル超)まで満たして、水密であることを実証した。
【0064】
パッチを、完全に摘出されたブタ心臓(n=3つの心臓)、及びエコーガイド下で生理学的に適切なレベル(右心室及び左心室のそれぞれで20mmHg及び120mmHg)まで加圧された心臓の隔壁に取り付けた。腹壁補強処置を、安楽死させたブタモデルの死体で行って、装置と腹部臓器との間の空間的相互作用を評価した。小さい切開部を腹部の皮膚に形成して、装置の挿入のための、腹壁層を通る外科用トンネル(surgical tunnel)を形成した。この処置、及び腹壁の最内層へのパッチの取り付けの実現可能性を実証することに成功した。PGSUパッチは、時間と共に分解するが、合成ヘルニアメッシュで交換できるように設計されている。
【0065】
バルーンカテーテルを、胃腸管の病変の自然開口部越経管腔的内視鏡手術(NOTES)の処置中の組織の閉鎖用の潜在的な内視鏡器具として評価した。この処置は、完全に死んだ動物のブタ胃全体、又は実験台の胃全体の両方に対して行った。いずれの場合も、装置を、食道に挿入して、胃の前自由壁に人工的に形成された欠損部に向かって案内した。パッチを、胃の外面にしっかりと取り付けた。パッチを密閉するために追加の接着剤をシリンジで塗り、光ファイバーで直接硬化させた(最終的には、これは、第2のパッチを当てて達成することができる)。胃を限度容量(1リットル超)まで満たして、超生理学的に過度の膨張下でパッチの組織への接着を試験したが、漏れは観察されなかった。
【0066】
ex vivoでの実証的な代表的臨床応用:
分離された新鮮なブタの腹壁、胃、及び心臓組織(n=3)サンプルを、安楽死させたブタから採集した。320〜390nmの範囲のフィルターを備えたUV光源(Lumen Dynamics Group Inc.のOmniCure S2000)に接続された装置で、プレコーティングされたHLAAの薄い層を活性化(3Nの予荷重で120秒間活性化)させることによって、PGSUパッチ(厚みが200μm、直径が20mm)を組織に取り付けた。この組織サンプルは、パッチ接着の前及び後も生理食塩水で湿らせ続けた。標準的なプルオフ接着性試験をInstron 5566で行った。簡単に述べると、付着PGSUパッチを、シアノアクリレート接着剤(Loctite 4601)を用いて平らなプローブに取り付け、−1Nの圧縮予荷重を5秒間かけて、パッチを、8mm/分の速度で引き離した。最大の力が記録された。
【0067】
ex vivoで分離された心臓モデルの場合は、新鮮なブタの心臓全体(n=3)を使用した。処置ステップは、(i)除去された心室壁を直接見て(n=2)、又は(ii)見ないで(n=1)行った。加圧された心臓をシミュレーションするために、新鮮なブタの心臓を外植し、両方の大動脈弁尖を除去し、肺動脈及び大動脈をそれぞれ、20及び100mmHgの生理食塩水柱にしっかりと接続した。心エコー検査法を使用して処置を撮像した。パッチは、完全に付着した。
【0068】
ex vivoでの腹壁補強モデルでは、処置をブタの死体で行って腹壁の最内層(壁側腹膜)へのパッチの取り付けを評価した。腹壁の正中切開を行って処置を見えるようにした)。腹部の皮膚に6mmの切開部を形成し、皮下トンネルを形成して装置の挿入を容易にした。
【0069】
ex vivoでの胃欠損部の内視鏡による閉鎖では、分離された新鮮なブタの胃(n=2)を使用して、処置の実施可能性、及び胃の外面(臓側腹膜)へのパッチの取り付けを調べた。動物の死体では、5mmの切開部を、胃の前自由壁に形成した。装置を、食道を介して挿入し、パッチを外壁に取り付けた。膨張した胃を表現するために、臓器を外植して、吊り下げ支持体に取り付け、幽門をシリンジに取り付けて密閉した。パッチをカテーテルに接着した。1mlのHLAAを、シリンジを用いて外部からパッチの弁に加えて、装置の光ファイバーで直接硬化させて密閉した。臓器を、幽門のシリンジから限度容量(1000ml超)まで満たした。
【0070】
心臓内応用のための装置パラメーターの微調整:
以前の研究により、HLAA/PGSUシステムが、心外膜(心筋の外層)に対して十分な接着強さを有し、心臓内応用のための有望な最初の結果を示した。本発明者らは、分離された心臓内組織に対する同様の引き離し力を実証した。次いで、パッチと欠損部の直径比及び破裂圧力における圧力勾配の2つの因子の効果を、in vitro設定で評価した。5mmの欠損部を、一片の心臓組織に形成し、直接UV光照射でPGSU/HLAAパッチを用いて閉鎖し、次いで、圧力制御及び測定性能を提供するチャンバーに固定した。2つのケースを調べた、ケース1では、圧力がチャンバー内でより高く、(低圧右心室16内の)右心室隔壁に取り付けられたパッチをシミュレーションし、ケース2では、圧力がチャンバーの外部でより高く、(高圧左心室18内の)左心室隔壁へのパッチの取り付けをシミュレーションした。一定範囲のパッチのサイズを表すために、パッチと欠損部の3つの異なる直径比を調べた(2.2、1.75、及び1.4)。最も高い破裂圧力は、最も大きいパッチでシミュレーションされた左心室壁(ケース2)で達成された。
【0071】
最後に、外科医が加える力は、機械式引張試験機を用いて2.5Nであると測定された。装置の引き離し性能を、同じレベル及び時間の光活性化で異なる予荷重値(1.3N及び5N)を用いて評価し、この範囲の荷重に対する感度を決定した。各予荷重での引き離し力により、これらの値での予荷重に対する接着力の相対的鈍感性が実証された。
【0072】
in vivoで心室中隔欠損(VSD)を縮小する装置の概念の証明
装置の機能性を、大きい動物(ブタモデル、n=3)においてin vivoで実証した。VSDを、バルーンカテーテル装置を隔壁を介してLVに案内することによって形成し、処置を、2D及び3D心エコー図法を用いて拍動する心臓で行った。術中の合併症は観察されなかった。処置ステップは成功し、PGSUパッチを隔壁に取り付け、エコー及び死後の全臓器の評価によって確認した。パッチの壁への取り付けを示すエコーが、パッチが十分な接着力で取り付けられたことを実証した機能データのため、プルオフ試験は、in vivo組織サンプルでは行わなかった。
【0073】
図47に例示されている1つのケースでは、VSDを2段階処置で形成した(除去によるカテーテルの案内、次いで別の装置を用いた欠損部への再進入)。このケースでは、欠損部を通る流量直径(flow diameter)の縮小が観察され、VSD直径が5.5mmから1.4mmになった。2mm未満の残存欠損部はヒトでは1年以内に自然に閉じると報告されているため、心臓切開術での欠損部の1.6mmのサイズへの縮小は十分であると考えられる、A.Dodge−Khatami,et al.,“Spontaneous closure of small residual ventricular septal defects after surgical repair,”83 Ann.Thorac.Surg.902−5(2007)。
【0074】
図47の概念の証明の例示では、(A)装置の略図が、心臓の断面図で示され、(B)in vivo処置のためのアクセスが示され、前外側開胸術、エコープローブの位置、及び処置中の装置の周りの密閉を維持するために使用される巾着縫合によるRVアクセスが示され、(C)LV内に挿入された装置の視覚化(点線によって区切られたカテーテルシャフト)を示す心エコー検査が示され、(D)(点線によって区切られた)2つの膨張したバルーンを示す心エコー検査が示され、(E)5.5mmの平均VSD直径を示す、パッチ取り付け前のドップラー血流での心エコー検査が示され、(F)1.4mmの平均VSD直径を示す、パッチ取り付け後のドップラー血流での心エコー検査が示され、(G)パッチのエコーが、隔壁VSD上に示され、(H)処置後に心臓に付着されたパッチが示されている。
【0075】
さらなる適用例
心室隔壁欠損部の閉鎖に加えて、本明細書に記載の技術は、以下の様々な例示的な適用例を含む様々な他の使用のために適用/修正することができる。
【0076】
第1に、本装置及び本方法を、他の心臓欠陥、例えば、心内欠損、心房中隔欠損(ASD)、卵円孔開存(PFO)、動脈管開存(PDA)、及び経カテーテル処置、例えば、経心尖又は経中隔弁置換術によって形成される欠損の閉鎖に使用することができる。パッチ/接着システムは、左心耳の閉鎖又は[例えば、V.Dor,et al.,“Left ventricular reconstruction by endoventricular circular patch plasty repair:a 17−year experience”(2001)に記載されている急性左心室瘤のDor処置による]心室内心臓パッチ形成術に使用することができる。
【0077】
心内欠損の閉鎖に関しては、本明細書に記載される、生体分解性弾性パッチを送達して、生体分解性接着剤でこのパッチを心室中隔壁に固定する非外傷性装置が、次の理由から有利である、すなわち、(i)この非外傷性装置は、オクルーダーの機械式の固定に依存しない隔壁への非外傷性の固定を提供することができる、(ii)弾性パッチ/接着剤システムが、組織のびらん及び電気伝導損傷を防止する、(iii)システムの調節可能な生体分解性は、心臓内に異物が永久的には残らないことを意味する、及び(iv)左心室側の隔壁への取り付けが、圧力勾配の点で好ましい。血管造影法を必要とせず、代わりに非侵襲性心エコー誘導を用いる(かつ機械式の固定を一切用いず、接着剤のみが固定を行う)接着剤の活性化では、待ち時間が最大2分間であることが実証された。
【0078】
第2に、本装置及び本方法は、頭蓋動脈瘤又は大動脈瘤の頸部にも適用することができ、動脈瘤を非外傷性に血流から効果的に遮断し(又は頸部を大幅に縮小し)、これにより破裂を防止するように機能する。このアプローチは、反射された光で欠損部内からパッチを硬化させて頸部を遮断するという点で従来のアプローチとは異なる。
【0079】
第3に、本装置及び本方法は、胃腸適用例(例えば、十二指腸潰瘍、胃(消化性)潰瘍、食道潰瘍、及び腸穿孔の閉鎖)にも使用することができる。これらの適用例では、本装置は、食道を介して進入して潰瘍部から出ることができる。潰瘍穿孔は、1年死亡率が最大30%であり得、介入に関連した有害事象が主に、この高い死亡率に寄与している。大きい潰瘍(直径1mm超)での外科的選択肢には、幽門形成術、並びに胃空腸/胃十二指腸切除及び再建が含まれる。選択的及び緊急事態における穿孔性消化性潰瘍の処置のための内視鏡手術の役割は、主に潰瘍を閉じる装置が存在しないことにより、議論の的になっている。潰瘍を閉じるNOTES手術は、経皮的内視鏡下胃瘻造設術(PEG)チューブの配置と同様に、全身麻酔を必要としないため有利であるが、信頼できる胃を閉じる方法は、基本的な課題の1つである。特に二重パッチ構造の本明細書に記載の装置は、この課題に対する実行可能な解決策を提供し得る。
【0080】
第4に、本装置及び本方法は、装置が腹壁に挿入され、パッチが腹壁に接着されるヘルニアパッチング(patching hernia)に使用することができる。腹部ヘルニア修復では、ヘルニアが所定位置に押し戻された後に筋肉壁の弱い部分を縫合糸で外科的に修復できること(ヘルニア縫合術)は十分に臨床的に許容されているが、この技術は、典型的には、周囲組織が健康な小さいヘルニアに限定されている。ヘルニア根治手術は、合成メッシュパッチが弱い領域の上に取り付けられるヘルニアを修復する代替の技術であるが、このアプローチは、手術時間が長い傾向にあり、かつ悪い結果を伴い得る。別法では、腹腔鏡下ヘルニア根治手術は、腹壁内からのメッシュパッチの配置、及びヘルニアタック(hernia tack)を用いたメッシュの取り付けを含む。このアプローチでは、切開部が小さくなり、回復時間が短くなり得るが、タックの配置にはなお、限界、例えば、感染症及びヘルニア再発などが付随する。パッチ及び生体分解性接着剤を用いるヘルニア修復での本明細書に記載の装置の使用は、タックを用いない腹腔鏡検査の利点を利用することができ、従ってタックの制限が回避される。
【0081】
第5に、本装置及び本方法は、(例えば、低侵襲性の尿道充填剤として、又は生体内分解性持続放出パッチが尿道を介して膀胱内に配置されて薬物が膀胱に持続放出される膀胱内薬物送達システムとして)泌尿器学への適用例に使用することができる。
【0082】
第6に、本装置及び本方法は、内視鏡手術を支援するため、及び観察が困難な領域を照明するための指向性照明カテーテルとして使用することができる。例えば、本装置は、潰瘍、狭窄、又はクローン病の診断のために気管支樹又は胃腸管において、(例えば、良性前立腺肥大の検出のために)尿道膀胱接合部で使用することができる。
【0083】
第7に、本装置及び本方法は、UV範囲の光線感作物質を用いる光力学療法に使用することができる。光力学療法では、光線感作物質が、悪性組織に優先的に蓄積され、適切な波長の光での光活性化により、腫瘍組織死をもたらす有害分子を放出させることができる。この装置を用いると、UV波長をこの療法に使用することができる。例えば、光線感作物質ポルファイマーナトリウムは、405nmの領域(青−紫)にピーク吸収を有する。光力学療法は、気管支内及び食道の癌について米国食品医薬品局(FDA)によって承認されており、皮膚癌、卵巣癌、乳癌、及び網膜の腫瘍については調査中である。光力学療法に使用される場合は、接着剤を装置から除外することができる。
【0084】
第8に、光力学療法の分野では、本装置及び本方法は、反射コーティングを使用して照明される領域の空間的制御及び指向性の向上を達成して、健康な組織の損傷を最小限にすることができ、これは、上述のように癌の処置に有用であり得る。
【0085】
第9に、バルーンを使用して、血管組織の架橋、静脈瘤の処置、又は幹細胞を用いた再生を促進するための低出力レーザーの送達などの適用例のための光の送達を促すことができる。
【0086】
第10に、本方法及び本装置は、形状記憶生体材料又は組織に固定する必要がある材料からの細胞又は薬物療法の徐放用のパッチを取り付けるために適合することができる。
【0087】
第11に、パッチは、(例えば、経心尖処置での)複数の進入のための自己密閉式アクセスポートとして機能し得る。
【0088】
第12に、(例えば、内部反射を必要とすることなくカテーテルの遠位端部の接着剤を直接活性化するために)光を、カテーテルから前方に集束させることができる。このアプローチの例には、梗塞部の補強若しくは薬物/パッチの送達のため、又は心尖の閉鎖の第2段階での外側パッチの取り付けのために心外膜にパッチを付着させることが含まれる。このアプローチはまた、パッチにおける残存孔/通過部が閉じられたか否かの処置後にパッチの接着剤を硬化させるためにも使用することができる。加えて、このアプローチは、他の適用例、例えば、胃腸適用例、尿道適用例、左心耳閉鎖、光力学療法など(接着剤がカテーテルの遠位側で活性化されるあらゆる場合)に有利であり得る。
【0089】
さらに他の実施形態では、本方法及び本装置は、(a)出血を止めるために肝臓に接着剤又はパッチを使用すること、(b)左心耳の閉鎖のためにパッチを使用すること、(c)腹部動脈瘤の閉鎖を行うこと、(d)梗塞組織に補強を提供すること、(e)経カテーテル動脈弁の植え込み(二重パッチを必要とし得る)若しくはその他の経心尖処置の後に心尖の閉鎖を行うこと、(f)尿道若しくは膀胱充填剤を送達すること、(g)(例えば、接着剤の塗布によって)血管若しくは外科用シーラントを供給すること、(g)薬物/生物学的薬剤放出治療用パッチを送達すること、又は(h)脾臓の欠損部にパッチを当てることができる。
【0090】
本開示に一致するさらなる例が、以下の付番された項に記載される、すなわち、
1.挿入可能な光送出カテーテル装置において、
近位端部及び遠位端部を有するシャフトと、
シャフトの中を通る光ガイドと、
ミラーであって、このシャフトから、ミラーが光ガイドから放射される光を受け取って反射する位置に移動して延出可能なミラーとを備える、挿入可能な光送出カテーテル装置。
2.項1に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、
ミラーを含む拡張可能なユニットと、
拡張可能なユニットを拡張させる及び収縮させるように構成されたアクチュエーターとをさらに備える、挿入可能な光送出カテーテル装置。
3.項2に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、拡張可能なユニットがバルーンであり、かつアクチュエーターが流体導管を備え、流体導管が、シャフトの中を通ってバルーンに結合されて、流体導管を介して流体のバルーンへの注入又は流体のバルーンからの排出によってバルーンを膨張させる及び収縮させることができる、挿入可能な光送出カテーテル装置。
4.項3に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、ミラーがバルーンにコーティングされている、挿入可能な光送出カテーテル装置。
5.項4に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、ミラーコーティングがアルミニウムを含む、挿入可能な光送出カテーテル装置。
6.項3乃至5の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、流体導管の周りに取り付けられ、バルーンが膨張するとバルーンによって移動されるように配置されたパッチをさらに備える、挿入可能な光送出カテーテル装置。
7.項6に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、パッチに含められた、又はパッチの、バルーンと反対の側でこのパッチにコーティングされた光硬化性接着剤をさらに備える、挿入可能な光送出カテーテル装置。
8.項6又は7に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、パッチ及び光硬化性接着剤が、人体中で生体分解性である、挿入可能な光送出カテーテル装置。
9.項6乃至8の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、パッチがエラストマー材料を含む、挿入可能な光送出カテーテル装置。
10.項7又は8に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、光硬化性接着剤が、ポリ(グリセロールセバケートアクリレート)を含む、挿入可能な光送出カテーテル装置。
11.項6乃至10の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、パッチが、ポリ(グリセロールセバケートウレタン)を含む、挿入可能な光送出カテーテル装置。
11.1.項6乃至10の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、パッチが、実質的に光学的に透明である、挿入可能な光送出カテーテル装置。
12.項6乃至11.1の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、シャフトから延出可能であり、かつシャフト内に格納可能である安定化−及び−支持バルーンをさらに備え、安定化−及び−支持バルーンに、安定化−及び−支持バルーンとミラーコーティングバルーンとの間に配置されたパッチが取り付けられている、挿入可能な光送出カテーテル装置。
13.項6乃至13の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、ミラーを備えたバルーンが内部に取り付けられている外側バルーンをさらに備える、挿入可能な光送出カテーテル装置。
14.項6乃至13の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、シャフトが、同心円状に取り付けられた複数のシャフトを含む、挿入可能な光送出カテーテル装置。
15.項14に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、同心円状に取り付けられた複数のシャフトが、
装置の挿入のための外部シャフトと、
中間シャフトであって、引き戻されるときにバルーン及びパッチを配置するように構成された、外部シャフト内に格納可能な中間シャフトと、
内部にバルーンが配置され、かつ光ガイドを保護する内部シャフトとを含む、挿入可能な光送出カテーテル装置。
16.項6乃至15の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、パッチがセンサを備える、挿入可能な光送出カテーテル装置。
17.項6乃至15の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、パッチが、医薬組成物を含む、挿入可能な光送出カテーテル装置。
18.項6乃至15の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、パッチが、生物細胞を含む、挿入可能な光送出カテーテル装置。
19.項3乃至18の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、バルーンが、カテーテル内に移動して格納可能であり、かつカテーテルから移動して延出可能である、挿入可能な光送出カテーテル装置。
20.項3乃至19の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、流体を流体導管を介して送出するために導管に結合された流体ポンプをさらに備える、挿入可能な光送出カテーテル装置。
21.項1乃至20の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、光ガイドが、少なくとも1本の光ファイバーを含む、挿入可能な光送出カテーテル装置。
22.項21に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、光を光ファイバーを介してミラーに導くために光ファイバーに結合された光源をさらに備える、挿入可能な光送出カテーテル装置。
23.項22に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、光源が、紫外線を発生するように構成されている、挿入可能な光送出カテーテル装置。
24.項1乃至23の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、シャフトが、8mm未満の外径を有する、挿入可能な光送出カテーテル装置。
25.項1乃至24の何れか1項に記載の挿入可能な光送出カテーテル装置において、装置の少なくとも1つの表面にポリ(p−キシリレン)コーティングをさらに備える、挿入可能な光送出カテーテル装置。
26.低侵襲性カテーテル装置を用いてパッチを内面に取り付けるために光硬化性材料を送達及び硬化させるための方法において、
内部構造を含むエンクロージャー(enclosure)にカテーテル装置を刺入するステップと、
(a)光硬化性材料を含むパッチ及び(b)エンクロージャー内のカテーテル装置からミラーを延出させるステップと、
パッチをエンクロージャー内の内部構造に接触させるステップと、
カテーテル装置を介してミラーに光を導くステップと、
光をミラーで、パッチの光硬化性材料に反射させてパッチを内部構造に接着するステップとを含む、方法。
27.項26に記載の方法において、エンクロージャーが生物であり、内部構造が、生物の内部組織である、方法。
28.項27に記載の方法において、カテーテル装置が、ミラーを備える拡張可能なバルーンをさらに備え、方法が、バルーンを生物内で拡張させるステップをさらに含み、バルーンの拡張により、パッチが内部組織に接触する、方法。
29.項28に記載の方法において、膨張可能なバルーンが、少なくとも内層及び外層を備え、内層が膨張及び収縮し、パッチが外層に接触する、方法。
30.項29に記載の方法において、パッチが、外層を通過する縫合糸を備え、方法が、光を光硬化性材料に反射させる前に、縫合糸を除去してパッチを外層から解放するステップをさらに含む、方法。
31.項28乃至30の何れか1項に記載の方法において、バルーンの拡張によって、内部組織に接触したパッチに予荷重力を加えるステップをさらに含む、方法。
32.項27乃至31の何れか1項に記載の方法において、内部組織が、ヒトの心室中隔又は心房中隔であり、心室中隔又は心房中隔が、パッチに覆われる欠損部を有する、方法。
33.項28乃至32の何れか1項に記載の方法において、
パターン化マスクをバルーンに取り付けるステップと、
マスクを介してバルーンにコーティングを堆積させるステップとをさらに含む、方法。
33.1.項26乃至33の何れか1項に記載の方法において、カテーテル装置が、項1乃至25の何れか1項に記載のカテーテル装置である、方法。
34.侵襲性カテーテル装置を用いて内部組織に光を送達するための方法において、
内部組織を含む生物にカテーテル装置を刺入するステップと、
カテーテルを介して内部組織に光を導くステップとを含む、方法。
35.項34に記載の方法において、ミラーをカテーテル装置から生物内に延出するステップをさらに含み、光が、ミラーに向けられ、ミラーによって内部組織に反射される、方法。
36.項34又は35に記載の方法において、光感作物質を内部組織に塗布するステップをさらに含み、光の内部組織への入射により、血管組織の架橋、静脈瘤の処置、及び光力学癌治療のうちの少なくとも1つが達成される、方法。
37.項35又は36に記載の方法において、光が、内視鏡/血管造影法又は尿道膀胱処置において、カテーテルの先での照明又は可視化を促す、方法。
38.項34乃至37の何れか1項に記載の方法において、カテーテル装置が、項1乃至25の何れか1項に記載のカテーテル装置である、方法。
【0091】
本発明の実施形態の説明において、明確にするために特定の専門用語が使用される。説明のために、特定の用語は少なくとも、同様の結果を達成するために同様の方式で機能する技術的及び機能的均等物を含むものとする。加えて、本発明の特定の実施形態が複数のシステムの要素又は方法のステップを含むいくつかの場合には、これらの要素及びステップは、単一の要素又はステップで置き換えることができ、同様に、単一の要素又はステップは、同じ目的を果たす複数の要素又はステップで置き換えることができる。さらに、様々な特性のパラメーター又は他の値が、本発明の実施形態について本明細書で指定される場合、これらのパラメーター又は値は、特段の記載がない限り、100分の1、50分の1、20分の1、10分の1、5分の1、3分の1、2分の1、3分の2、4分の3、5分の4、10分の9、20分の19、50分の49、100分の99などにすること(又は1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、8倍、10倍、20倍、50倍、100倍などにすること)、又はこれらの四捨五入の近似によって上下に調整することができる。さらに、本発明は、その特定の実施形態を取り上げて図示し、説明してきたが、当業者であれば、形及び細部における様々な置換及び変更が、本発明の範囲から逸脱することなく、この特定の実施形態で可能であることを理解されよう。さらになお、他の態様、機能、及び利点も本発明の範囲内であり、本発明の全ての実施形態は、必ずしも全ての利点を達成しなくても良いし、又は上記の特性の全てを有していなくても良い。加えて、一実施形態に関連して本明細書で説明されるステップ、要素、及び特徴は、他の実施形態と共に同様に使用することができる。本明細書の全文中で言及される文献の文章、定期刊行物の記事、特許、特許出願などを含む参考文献の内容は、参照によりそれらの全内容が本明細書に組み入れられ、かつこれらの参考文献の適切な構成要素、ステップ、及び特徴付けは、本発明の実施形態に含まれても良いし、又は含まれなくても良い。なおさらに、背景のセクションで確認した構成要素及びステップは、本開示に不可欠であり、本発明の範囲内の開示におけるその他の部分で記載される構成要素及びステップと共に使用しても良いし、又はこれらの代わりに使用しても良い。特許請求の範囲又はその他の部分での本方法の記述では、参照を容易にするために付加された連続した前置きの参照記号があってもなくても、段階が特定の順序で述べられる場合は、これらの段階は、特段の記載がない場合又は語及び句によって示されていない場合は、述べられた順序に時間的に限定されると解釈するべきではない。