(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6749573
(24)【登録日】2020年8月14日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】鋼箱桁跨道架設用移動式作業プラットフォームに基づく施工方法
(51)【国際特許分類】
E01D 21/00 20060101AFI20200824BHJP
【FI】
E01D21/00 B
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-236919(P2019-236919)
(22)【出願日】2019年12月26日
【審査請求日】2020年1月7日
(31)【優先権主張番号】2019111226678
(32)【優先日】2019年11月15日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519464566
【氏名又は名称】広州市市政集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】Guangzhou Municipal Engineering Group Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145517
【弁理士】
【氏名又は名称】宮原 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】安 ▲カン▼峰
(72)【発明者】
【氏名】▲ヨウ▼ 斌
(72)【発明者】
【氏名】▲ヨウ▼ 智▲セイ▼
(72)【発明者】
【氏名】林 俊翔
(72)【発明者】
【氏名】侯 照保
(72)【発明者】
【氏名】蔡 江▲コウ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲チョウ▼ 蓉
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲タン▼
(72)【発明者】
【氏名】李 波
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲エン▼文
【審査官】
佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−263404(JP,A)
【文献】
特開2009−179999(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第108978484(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 1/00−24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼箱桁跨道架設用移動式作業プラットフォームに基づく施工方法であって、
前記作業プラットフォームは、上部構造及び下部構造を備え、
前記上部構造は上部エッジセクション(2)及び上部中間セクション(4)を備え、前記上部中間セクション(4)の両端にはそれぞれ前記上部エッジセクション(2)が接続され、前記上部エッジセクション(2)の底部には走行システム(1)が設けられ、
前記下部構造は下部エッジセクション(6)及び下部中間セクション(5)を備え、前記下部中間セクション(5)の両端にはそれぞれ前記下部エッジセクション(6)が接続され、前記下部エッジセクション(6)には側面垂直フレーム(3)が接続され、
前記上部エッジセクション(2)にはさらにウインチリフティングシステムが設けられ、前記ウインチリフティングシステムは下部構造に接続され、前記下部構造を上部構造と嵌合して接合した位置にリフティングすることに用いられ、
前記側面垂直フレーム(3)、下部エッジセクション(6)及び下部中間セクション(5)は、作業者の通行に用いられ、
前記施工方法は、
前記上部中間セクション(4)の両端にそれぞれ前記上部エッジセクション(2)を接続することで上部構造を構成するステップと、
前記上部構造を鋼箱桁の桁面に吊り上げ、前記上部構造を鋼箱桁の桁体に固定するステップと、
前記下部中間セクション(5)の両端にそれぞれ前記下部エッジセクション(6)を接続し、前記下部エッジセクション(6)の外側に前記側面垂直フレーム(3)を接続することで下部構造を構成するステップと、
上部エッジセクション(2)にウインチリフティングシステムを設け、ウインチリフティングシステムを下部構造に接続し、ウインチシステムを起動し、前記下部構造の側面垂直フレーム(3)を前記上部構造の上部エッジセクション(2)と嵌合して接合した位置にリフティングし、前記側面垂直フレーム(3)を前記上部エッジセクション(2)に固定して接続し、それにより前記プラットフォームの組み立てを完了させるステップと、を含む、
ことを特徴とする鋼箱桁跨道架設用移動式作業プラットフォームに基づく施工方法。
【請求項2】
前記側面垂直フレーム(3)の内側に位置決め滑車(10)を設ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の鋼箱桁跨道架設用移動式作業プラットフォームに基づく施工方法。
【請求項3】
前記上部エッジセクション(2)の前後両側にそれぞれワイヤロープ(14)を設け、前記ワイヤロープ(14)を前記鋼箱桁におけるリフティングラグ(16)に接続することで前記作業プラットフォームを固定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の鋼箱桁跨道架設用移動式作業プラットフォームに基づく施工方法。
【請求項4】
モータで制御され、作業プラットフォームが橋方向に沿って前後移動するように駆動するための電動輪(11)、及び作業プラットフォームの移動方向を調整するキャスター(12)を備える前記走行システム(1)を、前記上部エッジセクション(2)の底部に設けるステップと、
前記作業プラットフォームを移動させる必要があるとき、前記ワイヤロープ(14)を放して、モータを起動して電動輪を駆動し、前記作業プラットフォーム全体の移動を駆動するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の鋼箱桁跨道架設用移動式作業プラットフォームに基づく施工方法。
【請求項5】
前記上部中間セクション(4)及び下部中間セクション(5)の長さは、前記鋼箱桁の幅に応じて設定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の鋼箱桁跨道架設用移動式作業プラットフォームに基づく施工方法。
【請求項6】
前記側面垂直フレーム(3)に作業者が上下に通行するためのはしごを設置し、
前記下部エッジセクション(6)及び下部中間セクション(5)を作業領域とし、前記下部エッジセクション(6)及び下部中間セクション(5)の下方に床板を敷設し、前記下部エッジセクション(6)及び下部中間セクション(5)の側辺に設けられた横方向トラスを作業領域のフェンスとし、作業者が前記前記作業領域に沿って通行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の鋼箱桁跨道架設用移動式作業プラットフォームに基づく施工方法。
【請求項7】
前記上部エッジセクション(2)と上部中間セクション(4)及び/又は下部エッジセクション(6)と下部中間セクション(5)は、高強度ボルト(7)を介して接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の鋼箱桁跨道架設用移動式作業プラットフォームに基づく施工方法。
【請求項8】
前記ウインチリフティングシステムは、ウインチ(8)、上部エッジセクションの隅部位置に設けられる案内滑車(9)、及び前記下部構造に接続されるワイヤー(15)を備え、前記ウインチ(8)は、前記案内滑車(9)と協動して、前記ワイヤー(15)を介して前記下部構造をリフティングする、
ことを特徴とする請求項1に記載の鋼箱桁跨道架設用移動式作業プラットフォームに基づく施工方法。
【請求項9】
前記ウインチシステムは、前記下部構造の側面垂直フレーム(3)を前記上部構造の上部エッジセクション(2)と嵌合して接合した位置にリフティングした後、高強度ボルト(7)で前記側面垂直フレーム(3)を前記上部エッジセクション(2)に固定して接続する、
ことを特徴とする請求項1に記載の鋼箱桁跨道架設用移動式作業プラットフォームに基づく施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁施工の技術分野に関し、特に鋼箱桁跨道架設用移動式作業プラットフォームに基づく施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、跨高速道路橋の建設には、既存の道路を跨ぐために、一般的に、橋は鋼箱桁として設計され、同じ重量の条件で鋼箱桁の跨道能力が鉄筋コンクリートより優れる。
【0003】
鋼箱桁の取り付け施工では、一般的に、橋桁架設機でセクションずつ吊り上げて取り付け、次に、溶接及び防食塗装を行う。従来技術では、溶接及び防食塗装などの作業を行うとき、一般的に、交通規制を実施してホルダを架設し又はリフトトラックを用いて作業者を鋼箱桁の作業位置に送って施工を行う。鋼箱桁の溶接及び防食塗装作業のいずれも時間と労力がかかるため、交通規制を実施してホルダを架設すると、ホルダを建設するための期間が長すぎるという問題が存在し、長時間の交通規制を必要とし、リフトトラックを用いる場合にも道路を閉鎖する必要があり、交通が忙しい道路を長時間に閉鎖すると、交通へ大きな影響を与えてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第108978484号明細書
【0005】
本発明は、レールスライド工法による曲線橋の鋼箱桁の組立施工方法を提供し、従来のレールスライド工法を改良したものであり、曲線橋の鋼箱桁の取り付け施工に適用できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記課題に対して、本発明は、鋼箱桁跨道架設用移動式作業プラットフォームに基づく施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、以下の技術案によって達成される。
鋼箱桁跨道架設用移動式作業プラットフォームに基づく施工方法を提供し、作業プラットフォームは上部構造及び下部構造を備え、
上部構造は上部エッジセクション及び上部中間セクションを備え、上部中間セクションの両端にはそれぞれ上部エッジセクションが接続され、上部エッジセクションの底部には走行システムが設けられ、
下部構造は下部エッジセクション及び下部中間セクションを備え、下部中間セクションの両端にはそれぞれ下部エッジセクションが接続され、下部エッジセクションには側面垂直フレームが接続され、
上部エッジセクションにはさらにウインチリフティングシステムが設けられ、ウインチリフティングシステムは下部構造に接続されて、下部構造を上部構造と嵌合して接合した位置にリフティングすることに用いられ、
側面垂直フレーム、下部エッジセクション及び下部中間セクションは作業者の通行に用いられ、
該施工方法は、
上部中間セクションの両端にそれぞれ上部エッジセクションを接続することで上部構造を構成するステップと、
上部構造を鋼箱桁の桁面に吊り上げ、上部構造を鋼箱桁の桁体に固定するステップと、下部中間セクションの両端にそれぞれ下部エッジセクションを接続し、下部エッジセクションの外側に側面垂直フレームを接続することで下部構造を構成するステップと、
上部エッジセクションにウインチリフティングシステムを設け、ウインチリフティングシステムを下部構造に接続し、ウインチシステムを起動し、下部構造の側面垂直フレームを上部構造の上部エッジセクションと嵌合して接合した位置にリフティングし、側面垂直フレームを上部エッジセクションに固定して接続し、それによりプラットフォームの組み立てを完了させるステップと、を含む。
【0008】
一実施形態では、側面垂直フレームの内側には橋方向に沿って移動する位置決め滑車が設けられる。
【0009】
一実施形態では、上部エッジセクションの前後両側にそれぞれワイヤロープを設け、ワイヤロープを鋼箱桁におけるリフティングラグに接続することで作業プラットフォームを固定する。
【0010】
一実施形態では、当該方法は、
モータで制御され、作業プラットフォームが橋方向に沿って前後移動するように駆動するための電動輪、及び作業プラットフォームの移動方向を調整するキャスターを備える走行システムを、上部エッジセクションの下部に設けるステップと、
作業プラットフォームを移動させる必要があるとき、ワイヤロープを放して、モータを起動して電動輪を駆動し、作業プラットフォーム全体を移動駆動するステップと、をさらに含む。
【0011】
一実施形態では、上部中間セクション及び下部中間セクションの長さは、鋼箱桁の幅に応じて設定される。
【0012】
一実施形態では、作業者が上下に通行するための側面垂直フレームにはしごを設け、
下部エッジセクション及び下部中間セクションを作業領域とし、下部エッジセクション及び下部中間セクションの下方に床板が敷設され、下部エッジセクション及び下部中間セクション側辺に設けられた横方向のトラスを作業領域のフェンスとし、作業者が作業領域に沿って通行する。
【0013】
一実施形態では、上部エッジセクション及び上部中間セクションは高強度ボルトを介して接続される。
【0014】
一実施形態では、下部エッジセクション及び下部中間セクションは高強度ボルトを介して接続される。
【0015】
一実施形態では、下部エッジセクション及び側面垂直フレームは高強度ボルトを介して接続される。
【0016】
一実施形態では、ウインチリフティングシステムはウインチ、上部エッジセクションの隅部位置に設けられる案内滑車、及び下部構造に接続されるワイヤーを備え、ウインチは案内滑車と協動して、ワイヤーを介して下部構造をリフティングする。
【0017】
一実施形態では、ウインチシステムは、下部構造の側面垂直フレームを上部構造の上部エッジセクションと嵌合して接合した位置にリフティングした後、高強度ボルトによって側面垂直フレームを上部エッジセクションに固定して接続する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の有益な効果は、以下のとおりである。本発明の方法によれば、鋼箱桁全体を横方向に取り囲む作業プラットフォームを設け、鋼箱桁を支持基礎とし、作業者の作業領域を適切な位置に吊り上げることによって、作業者が鋼箱桁に対して溶接又は防食塗装施工を行い易くなり、また、作業プラットフォームに走行システムを設けることで、作業プラットフォームの移動及び転舵のニーズを満たせる。交通規制を実施せずに鋼箱桁道路跨ぎの取り付け施工のニーズを効果的に満たし、作業者の人身安全及び路面での通行安全を確保するとともに、鋼箱桁の取り付け施工の作業効率を向上させる。
【0019】
また、作業プラットフォームに走行システムを設けることで、作業プラットフォームの移動及び転舵のニーズを満たせる。
【0020】
さらに、本発明の方法は、さまざまな橋の幅に適用できるように、作業プラットフォームの上部中間セクション及び下部中間セクションの長さを調整することができ、施工の柔軟性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図面を用いて本発明についてさらに説明するが、図面における実施例は、本発明を制限するものではなく、当業者にとっては、創造的努力を必要とせずに以下の図面に基づいて他の図面を想到し得る。
【
図1】本発明の作業プラットフォームを取り付けるときの全体の立面模式図である。
【
図2】本発明の作業プラットフォームの側面図である。
【
図3】本発明の作業プラットフォームの平面図である。
【
図4】本発明の高強度ボルトによる接続構造の原平面図である。
【
図5】本発明の高強度ボルトによる接続構造の原側面図である。
【
図6】本発明の作業プラットフォームの仮固定の模式図である。
【
図7】本発明の作業プラットフォームの下部構造をリフティングして取り付けるときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の適用シナリオと組み合わせて本発明についてさらに説明する。
【0023】
図1−
図7を参照すれば、鋼箱桁跨道架設用移動式作業プラットフォームの構造模式図が示されており、当該作業プラットフォームは、上部構造及び下部構造に分けられ、上部構造は上部エッジセクション2及び上部中間セクション4からなり、上部中間セクション4の両端にはそれぞれ上部エッジセクション2が接続され、上部エッジセクション2の底部には走行システム1が設けられ、
下部構造は下部エッジセクション6及び下部中間セクション5からなり、下部中間セクション5の両端にはそれぞれ下部エッジセクション6が接続され、且つ下部中間セクション5から離れる当該下部エッジセクション6の一側には垂直方向に沿う側面垂直フレーム3が接続され、
上部エッジセクション2にはさらにウインチリフティングシステムが設けられ、ウインチリフティングシステムは下部構造に接続されて、下部構造を上部構造と嵌合して接合した位置にリフティングすることに用いられ、
上記作業プラットフォームでは、側面垂直フレーム3、下部エッジセクション6及び下部中間セクション5はいずれも作業者の通行に用いられ、
上記作業プラットフォームの施工方法を提供し、当該方法は、
上部中間セクション4の両端にそれぞれ上部エッジセクション2を接続することで上部構造を構成し、地面に上部構造を取り付けるステップと、
上部構造を鋼箱桁の桁面に吊り上げ、上部構造を鋼箱桁の桁体に固定するステップと、
下部中間セクション5の両端にそれぞれ下部エッジセクション6を接続し、下部エッジセクション6の外側に側面垂直フレーム3を接続することで下部構造を構成し、地面に下部構造を取り付けるステップと、
上部エッジセクション2にウインチリフティングシステムを設け、ウインチリフティングシステムを下部構造に接続し、ウインチシステムを起動し、下部構造の側面垂直フレーム3を上部構造の上部エッジセクション2と嵌合して接合した位置にリフティングし、側面垂直フレーム3を上部エッジセクション2に固定して接続し、それによりプラットフォームの組み立てを完了させるステップと、をさらに含む。
【0024】
一実施形態では、上記上部エッジセクション2、上部中間セクション4、下部エッジセクション6、下部中間セクション5及び側面垂直フレーム3は、いずれも鋼トラス空間構造を用い、
好ましくは、当該鋼トラス空間構造の材料はQ235箱型角形鋼管を用い、さらに、当該鋼トラス構造の内部には断面40mm×40mm、肉厚3mmの箱型角形鋼管が使用される。
【0025】
一実施形態では、側面垂直フレーム3の内側には橋方向に沿って移動できる位置決め滑車10が設けられる。一例として、作業プラットフォームが取り付けられた後、当該位置決め滑車10は鋼箱桁の側面に対して一定の距離を維持し、当該位置決め滑車10は橋の順方向に沿ってしか移動できないように設けられ、作業プラットフォームが移動するときの横方向転覆を防止する役割を果たす。好適な実施形態として、当該位置決め滑車10と鋼箱桁の側面との距離は250−350mmに維持される。
【0026】
側面垂直フレーム3の内側に設けられた位置決め滑車10が鋼箱桁の側面に対して近い距離を維持するために、側面垂直フレーム3の内側に鋼箱桁へ伸びるトラス部分を設け、位置決め滑車10を当該伸びるトラス部分に取り付けることで、位置決め滑車10を鋼箱桁に近接させることができる。
【0027】
一実施形態では、上部エッジセクションの前後両側にそれぞれワイヤロープ14を設け、ワイヤロープ14を鋼箱桁におけるリフティングラグ16に接続することで、作業プラットフォームを固定する。一例として、作業プラットフォームの上部構造を鋼箱桁面に吊り上げた後又は作業プラットフォームを長時間に固定する必要がある場合、ワイヤロープ14で上部構造及び鋼箱桁リフティングラグ16を固定することができ、当該リフティングラグ16は鋼箱桁溶接に固定され、それによって、上部構造、さらに作業プラットフォーム全体の固定は確保される。
【0028】
好ましくは、当該ワイヤロープ14は、直径12mmの大綱を用いる。
【0029】
一実施形態では、
図5に示されるように、モータで制御され、作業プラットフォームが橋方向に沿って前後移動するように駆動するための電動輪11、及び作業プラットフォームの移動方向を調整するキャスター12を備える走行システム1を上部エッジセクション2の底部に設ける。
【0030】
一例として、上部構造の2つの上部エッジセクション2の底部にそれぞれ1組の無軌道電動輪11及び1組のキャスター12を設け、当該無軌道電動輪11はモータで制御され、モータ電力が0.37kwであり、電動輪11の走行速度を2m/minに制御し、キャスター12は仕様8インチの鉄芯PUポリウレタン類の超重荷重用キャスター12を用い、ブレーキ機能を兼ねる。
【0031】
作業プラットフォームを移動させる必要がある場合、作業プラットフォームと鋼箱桁の固定を解除し、モータを起動して電動輪11を駆動し、作業プラットフォーム全体の移動を駆動する。
【0032】
一例として、作業プラットフォームが適切な位置に移動して、作業者が施工するために一時的に停止する必要がある場合、それぞれ電動輪11及びキャスター12のところで橋の順方向に沿って前後それぞれに鋼止め金具13を設けて、作業プラットフォームを固定することができる。
【0033】
一実施形態では、上部中間セクション4及び下部中間セクション5の長さは、鋼箱桁の幅に応じて設定され、上部中間セクション4及び下部中間セクション5は複数の同じ鋼トラスを突き合わせてなり、当該上部中間セクション4及び下部中間セクション5は、鋼箱桁の実際幅に応じて適切な数の鋼トラスを選択して構成される。
【0034】
一実施形態では、側面垂直フレーム3にはしごを設けて作業者の上下通路とし、下部エッジセクション6及び下部中間セクション5を作業領域とし、下部エッジセクション6及び下部中間セクション5の下方に床板が敷設され、下部エッジセクション6及び下部中間セクション5の側辺に設けられた横方向トラスを作業領域のフェンスとして、作業者が作業領域に沿って通行する。
【0035】
一例として、下部エッジセクション6及び下部中間セクション5を作業領域とすると、内部隙間が1.05mであり、また、下部エッジセクション6及び下部中間セクション5の下方に20mmの木板を敷設し、下部エッジセクション6及び下部中間セクション5の側辺の横方向トラスを作業領域のフェンスとし、木板及びフェンスに1層の0.8mmの鉄及び1層の防火布を敷設する。
【0036】
実際に施工するとき、作業領域は、作業者の通行だけに用いられ、いかなる工具や貨物も配置せず、且つ、鋼箱桁の桁底からプラットフォームの下部構造のトラスの上弦材までの距離が約100mmに維持され、それによって、移動するときに作業プラットフォームが桁底と摩擦して擦り傷が生じないことを確保する。
【0037】
一実施形態では、上部エッジセクション2と上部中間セクション4の間、下部エッジセクション6と下部中間セクション5の間、下部エッジセクション6と側面垂直フレーム3の間の各セクション同士は、いずれも高強度ボルト7を介して接続される。
【0038】
一例として、
図4及び
図5に示されるように、当該各セクションの間に接続された高強度ボルト7としては、仕様M16のHs8.8級摩擦型高強度ボルトが4つ使用され、ここで、安定に接続されて、スライドやせん断破壊を避けるように、各ボルトには、1つのガスケット及び2つのナットが設けられる。
【0039】
一実施形態では、
図5に示されるように、上部エッジセクション2にウインチシステムを取り付けるとき、ウインチ8をそれぞれ上部構造の2つの上部エッジセクション2に固定し、上部エッジセクション2の隅部位置に案内滑車9を設け、ワイヤー15の一端をウインチ8に接続する。
【0040】
下部構造の組み立てが終了した後、下部構造をリフティングする必要があるとき、上記ワイヤー15の他端を下部構造に接続し、ウインチ8を起動して下部構造をリフティングする。
【0041】
一例として、3T級ウインチ8を上部エッジセクション2の支持脚の間に取り付け、上部エッジセクション2の隅部位置に案内滑車9を取り付け、ウインチ8には直径18mmのワイヤー15が接続され、当該ワイヤー15は案内滑車9を介して下部構造に接続され、ウインチ8を起動して下部構造をリフティングし、下部構造の側面垂直フレーム3を上部構造の上部エッジセクション2と嵌合して接合した位置にリフティングした後、高強度ボルト7で側面垂直フレーム3を上部エッジセクション2に固定して接続し、それにより作業プラットフォームが鋼箱桁全体の横方向を取り囲んで取り付けることを達成する。
【0042】
なお、作業プラットフォームを利用して施工するときに、作業者が側面垂直フレーム3のはしごによって作業領域を上下に移動することができ、作業プラットフォームにおいて3人が同時に作業することができるが、作業プラットフォームの移動には、作業者は作業領域から離れてなければならない。
【0043】
作業プラットフォームを使用しないとき、突風やハリケーンにより作業プラットフォームが破壊されることを防止するために、ワイヤロープ14を鋼箱桁に接続して固定しなければならない。
【0044】
作業プラットフォームの取り付けが完了した後、その下部構造の底部と跨いだ道路の底面との距離が5.5メートルより小さいと、高さ制限枠と組み合わせて使用する必要がある。
【0045】
本発明の上記実施形態では、鋼箱桁全体を横方向に取り囲む作業プラットフォームが設けられ、鋼箱桁を支持基礎とし、作業者の作業領域を適切な位置に吊り上げることで、作業者が鋼箱桁の溶接又は防食塗装施工を行い易くなり、また、作業プラットフォームに走行システム1を設けることで、作業プラットフォームの移動及び転舵のニーズを満たせる。交通制限を実施せずに、鋼箱桁道路跨ぎの取り付け施工のニーズを効果的に満たし、作業者の人身安全及び路面での通行安全を確保するとともに、鋼箱桁の取り付け施工の作業効率を向上させる。
【0046】
また、作業プラットフォームに走行システム1を設けることで、作業プラットフォームの移動及び転舵のニーズを満たせる。
【0047】
さらに、本発明の方法は、さまざまな異なる橋の幅に適用できるように作業プラットフォームの上部中間セクション4及び下部中間セクション5の長さを調整することができ、施工の柔軟性が高い。
【0048】
なお、以上の実施例は、本発明の技術案を説明するためのものに過ぎず、本発明の特許範囲を制限するものではない。好適な実施例を参照しながら本発明について詳細に説明したが、当業者であれば、本発明の技術案の精神や範囲から逸脱することなく、本発明の技術案に対して修正や等価置換を行うことができる。
【符号の説明】
【0049】
1 走行システム
2 上部エッジセクション
3 側面垂直フレーム
4 上部中間セクション
5 下部中間セクション
6 下部エッジセクション
7 高強度ボルト
8 ウインチ
9 案内滑車
10 位置決め滑車
11 電動輪
12 キャスター
13 鋼止め金具
14 ワイヤロープ
15 ワイヤー
16 リフティングラグ。
【要約】
【課題】交通制限を実施せずに鋼箱桁道路跨ぎの取り付け施工の必要を効果的に満たす。
【解決手段】上部中間セクションの両端にそれぞれ上部エッジセクションを接続することで上部構造を構成するステップと、上部構造を鋼箱桁の桁面に吊り上げ、上部構造を鋼箱桁の桁体に固定するステップと、下部中間セクションの両端にそれぞれ下部エッジセクションを接続し、下部エッジセクションの外側に側面垂直フレームを接続することで下部構造を構成するステップと、上部エッジセクションにウインチリフティングシステムを設け、ウインチリフティングシステムを下部構造に接続し、ウインチシステムを起動し、下部構造の側面垂直フレームを上部構造の上部エッジセクションと嵌合して接合した位置にリフティングし、側面垂直フレームを上部エッジセクションに固定して接続し、それによりプラットフォームの組み立てを完了させるステップと、を含む鋼箱桁跨道架設用移動式作業プラットフォームに基づく施工方法を提供する。
【選択図】
図1