【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2013年度、独立行政法人科学技術振興機構、先端的低炭素化技術開発事業(ALCA)特別重点技術領域「研究題目名 ナノ・マイクロ構造制御にもとづく正極活物質の 高性能化」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
Materials Letters,2010年,Vol. 64,pp. 1275-1278
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ナノメーターからマイクロメータースケールでサイズが制御された単分散微粒子を効率的に作製する技術は、医薬品、触媒、電池等様々な分野において重要な課題とされている。とりわけ、100nm以下の均一なサイズの単分散微粒子を所望の材料で作製する技術の確立は、各種機能的応用の観点から関心を集めている。
単分散ナノ粒子の応用分野の一つとして現在大きな期待が寄せられているものの一つに、リチウムイオン二次電池をはじめとする各種蓄電デバイスの電極材料があげられる。リチウムイオン二次電池は、他の電池と比べ高電圧・高容量であることから、携帯電話やノート型パソコンをはじめ様々な携帯機器の電源として広く用いられている。しかしながら、近年の電子機器の小型化・高性能化や、電気自動車用電源への応用など適用範囲の拡大に伴い、リチウムイオン電池の軽量化かつ高エネルギー密度化に対する要望が益々高まっており、更なる電池性能の向上が焦眉の課題となっている。
現在、リチウムイオン電池の正極材料には、コバルト酸リチウムに代表されるリチウム複合酸化物からなる5〜10μmの微粒子が用いられているが、今後、これら微粒子のサイズを100nm以下まで微細化することが可能になれば、単位体積当たりの電極表面積の増加によるエネルギー密度の向上に加え、電極活物質中のリチウムイオンの拡散距離が短縮することにより、高速充放電の実現や電気自動車用電源等の用途で求められる高出力化など様々な電池性能の向上が可能になるものと期待される。
また、サイズ均一性に優れたナノ粒子を正極活物質として使用することができれば、集電体上に微粒子を細密パッキング構造で塗布することが可能となるため、微粒子間に均一なサイズの空隙を形成することができる。この空隙には導電助剤や電解質を充填できるため、微粒子サイズが微細化した場合においてもリチウムイオンの伝導パスを確保することが可能となる。また、サイズが不揃いな微粒子の場合に比べ単分散な微粒子では充填率が向上できることから、高い比表面積を有した正極形成が可能となり、更なるエネルギー密度の向上も期待できる。このような電極材料の微細化に伴う電池性能の向上は、リチウムイオン二次電池のみならず、現在研究段階にあるナトリウムイオン二次電池やマグネシウムイオン二次電池など、他の二次電池においても同様のことがいえる。
【0003】
これまでに、微細な電極活物質微粒子を作製するための代表的な手法として、ボールミルを用いた機械的な微粉化法がしられている。しかしながら、ボールミルを用いた手法では、微細化に限界があり、サイズ制御を行うことは困難である。そのほかにも、原料溶液を気相中に噴霧し熱分解を行う噴霧熱分解法などいくつかの手法も提案されてきている。しかしながら、これらの手法では、装置が大掛かりであることに加え、得られる微粒子のサイズはサブミクロンスケールであり、そのサイズ制御性も不十分であった。このため、現状では、100nm以下で任意のサイズに制御された単分散な電極活物質微粒子は未だ提案されていないのが現状であり、さらにはそのような微粒子を高スループットで作製する手法は未だ確立されていないのが現状である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の無機系単分散球形微粒子は、特定の直径を有し、特定の直径の相対標準偏差を有することを特徴とする。
【0010】
<粒子の構成成分>
本発明の無機系単分散球形微粒子の構成成分は、無機系材料であれば特に制限されてないが、Mg、Co、Ni、Mn、V、Zn、W、Ti、Fe、Al、Si等を含有するのが好ましく、さらにはMg、Co、Niのうち少なくとも一つを含むのが好ましい。
さらに具体的には、MgCo
2O
4、MgNiMnO
4、Co
3O
4、V
2O
5、ZnO、NiO、WO
3等をその構成成分とするのが好ましく、さらに好ましくは、MgCo
2O
4、MgNiMnO
4、Co
3O
4、である。
また上述の無機系材料の他に、通常この種の微粒子に添加される等の添加剤を発明の所望の効果を阻害しない範囲で添加することもできる。
【0011】
<粒子の形状>
本発明の無機系単分散球形微粒子は、各粒子の直径が10nm〜5μm、好ましくは50nm〜1μmの球形の粒子であり、直径の相対標準偏差が30%以下、好ましくは20%以下である。
ここで、粒子の直径は電子顕微鏡観察をすることで測定することができる。
また、粒子の直径の相対標準偏差は、直径のばらつきを示す相対標準偏差(標準偏差/平均直径)の値であり、微粒子のサイズを計測し粒度分布を作成することで算出することができる。
また、本発明における結晶構造はスピネル型の結晶構造であるのが好ましい。その場合、上記構成成分としてはMgCo
2O
4、MgNiMnO
4、が特に好ましく用いられる。本発明における「スピネル型の結晶構造」とは、いわゆるスピネル(MgAl
2O
4)と同様の結晶構造を有する正常スピネル型と、逆スピネル型、乱れスピネル型のいずれをも含む概念である。
【0012】
<粒子の製造方法>
本発明の無機系単分散球形微粒子は、所望の金属塩を含んだハイドロゲルあるいはポリマー微粒子を調整し、これに焼成処理を施すことで作製することができ、さらに好ましくは陽極酸化ポーラスアルミナを用いた膜乳化プロセスを用いることもできる。具体的には、以下の各工程を行うことにより製造することができる。
すなわち、
金属板を陽極酸化して細孔が多数規則的に配列された金属酸化物膜を製造する膜製造工程、
モノマーと金属塩とを分散相溶液に溶解してなる分散相と、該分散相が滴下され分散相を液中に分散させるための連続相であって、界面活性剤を連続相用溶液に溶解してなる溶液からなる連続相とを、それぞれ調整し、得られた分散相を、上記膜を通過させて連続相中に投入することにより行う膜乳化工程、
膜乳化工程により連続相中に微細な分散相の液滴が生じている状態で、加温または紫外光照射することにより分散相の液滴を重合固化させる重合固化工程
重合固化された微粒子前駆体を、乾燥し、所定の温度で所定時間焼成する乾燥焼成工程
を行うことにより得ることができる。
すなわち、本発明の無機系単分散球形微粒子は、膜乳化により微細な液滴が生じている状態で、該液滴を重合固化させて得られる微粒子前駆体を焼成処理することで得られる粒子であるのが好ましく、さらには、上記膜乳化に際して用いられる膜が、後述するポーラスアルミナ膜であることが好ましい。
以下、さらに詳述する。
【0013】
(膜製造工程)
膜製造工程は、金属板を陽極酸化することにより行う工程であり、この膜製造工程により得られる膜、例えば、当該膜が陽極酸化されたポーラスアルミナである場合、該ポーラスアルミナは、アルミニウムを酸性電解液中で陽極酸化することで得られるホールアレー構造材料であり、サイズのそろった細孔が膜面に対して垂直に配向した多孔質膜である。
用いられる金属板としては 純度99.99%のアルミニウム板等が挙げられる。この板の厚みは10 〜0.05mmとするのが好ましい。
陽極酸化は、金属板の表面に突起が規則的に配列された構造を持つモールドを押し付け、金属板表面に微細な凹凸パターンを形成するテクスチャリング処理を行い、次いで酸性電解液、−3℃〜 80℃の温度条件で、1分〜100時間 10〜 500Vで通電することで行うことができる。
上記モールドに形成された突起の大きさは金属板に形成する細孔の所望の孔径に応じて任意であり、各実施例において使用される程度の大きさの孔を形成できる大きさとするのが好ましい。また、突起の間隔は、300〜1000nm周期とするのが好ましく、さらに好ましくは400〜700nmである。
上記モールドの形成材料はSiC、Ni等を挙げることができる。
上記電解液としてはリン酸、シュウ酸,硫酸,クエン酸のうちいずれか一つ以上を含んだ水溶液を用いることができる。
また、上記陽極酸化の終了後、ヨウ素飽和メタノール溶液を用いて地金部分の除去を行った後、陽極酸化により形成された有底細孔における底部を、アルゴンイオンミリング装置等を用いて除去することによりスルーホールメンブレンである膜乳化用の膜を得ることができる。
得られた膜は、さらに必要に応じて所望の孔径となるように、10wt%リン酸水溶液等の緩衝液中に所定時間浸漬して、孔径拡大処理を施すこともできる。このように、所望の粒子径に応じて膜の細孔径を変化させる。
【0014】
(膜乳化工程)
膜乳化工程は、得られた膜をシリンジの先端や、工業的にはチューブの先端に取り付け、シリンジやチューブの内部に分散相を投入し、窒素ガスなどで加圧することにより、
図1の左側に示すように分散相を、膜を通過させて微細な液滴として連続相中に滴下することにより行う。
分散相を構成するモノマーとしては、分散相として、アクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミドをはじめとする水溶性のモノマーを用いることができ、使用に際してはそれぞれ単独で又は2種以上混合して用いることができる。
金属塩としては、酢酸コバルト四水和物、酢酸マグネシウム四水和物、酢酸マンガン四水和物、酢酸ニッケル四水和物、オキシ硫酸バナジウム、酢酸亜鉛二水和物、タングステン酸二水和物等を用いることができ、使用に際してはそれぞれ単独で又は2種以上混合して用いることができる。
また、分散相には重合開始剤を添加するのが好ましく、用いられる重合開始剤としては光硬化性のものも熱硬化性のものもいずれも用いることができるが、例えば、ラジカル型光重合開始剤として「IRGACURE2959」商品名BASF社製、あるいは,ラジカル型重合開始剤として過硫酸アンモニウム等の市販品を用いることができる。
上記分散相用溶液を構成する分散相用溶剤としては、水を用いることができ、使用に際してはそれぞれ単独で又は2種以上混合して用いることができる。また、各成分の配合割合は、モノマーの総量を100重量部とした場合、金属化合物を50〜150重量部、重合開始剤を1〜20重量部、溶剤100〜300重量部とするのが好ましい。
また、分散相にはクエン酸一水和物等の添加剤を適宜添加することができる。更に、膜乳化前に分散相のpHを調整するのが好ましい。pH調整はアンモニア水などを用いて、pHが3〜5となるように行うのが好ましい。
連続相を構成する界面活性剤としては、「span80」(商品名、シグマ−アルドリッチ社製)等のノニオン系界面活性剤、テトラグリセリンエステル(「CR310」(商品名、阪本薬品工業(株)製)等の市販品を用いることもできる)等の非イオン界面活性剤等を挙げることができ、使用に際しては両者を混合して用いることが好ましい。
また、上記連続相用溶液を構成する連続相用溶剤としては、ケロシン等の有機溶媒を挙げることができる。また、界面活性剤の濃度はノニオン系界面活性剤を1〜5重量%、非イオン系界面活性剤を0.5〜5重量%とするのが好ましい。
連続相と分散相との使用量比は、分散できる程度の量比であれば特に制限されないが、連続相100重量部に対して分散相5〜20重量部とするのが好ましい。
【0015】
(重合固化工程)
ついで、
図1に示すように連続相中に滴下された分散相の重合固化を行うことにより前駆体微粒子を得る。
重合固化の条件は、用いる重合開始剤やモノマーにより任意であるが、下記の重合条件下に重合固化を行うことができる。
光照射の場合
照射光波長:365 nm
照射時間: 30 min
加熱の場合
加熱温度: 60 ℃
加熱時間:30min
【0016】
(乾燥焼成工程)
ついで、得られた前駆体微粒子を遠心分離処理により回収し、その後乾燥を行い、400〜800℃で5〜20分間加熱処理を行うことにより、焼成処理を行って本発明の無機系単分散球形微粒子を得ることができる。
【0017】
<用途、電極、電池>
以上の製造方法により得られる本発明の無機系単分散球形微粒子は、スピネル型の構造を有し、しかも粒径のそろったものであるため、電極活物質微粒子として有用である。すなわち、本発明の電池は、上述の本発明の無機系単分散球形微粒子を含有する本発明の電極を有することを特徴とする。そして、上述のように粒子の粒径が単分散であるため高容量で、高率充放電特性に優れる電池である。
本発明の電極及び電池は、それぞれ上述の本発明の無機系単分散球形微粒子を電極活物質として含有する点を除いては通常の電池と同様に構成することができ、例えば、特開2011―129410号公報や特開2012―248333号公報に記載の電池構成を採用することができる。
【0018】
たとえば、具体的には、リチウム電池等が挙げられる。リチウム電池は、電極、対極及びセパレーターと電解液とから構成される。
電極は、本発明の無機系単分散球形微粒子にカーボンブラックなどの導電材とフッ素樹脂などのバインダーを加え、適宜成形するかまたは電極基板に塗布して構成される。
通常は、上記無機系単分散球形微粒子を含有する電極を正極に用い、対極として金属リチウム、リチウム合金など、または黒鉛などを用いることができる。また、上記無機系単分散球形微粒子を含有する電極は、負極に用いることもでき、その場合、正極には公知の材料、例えば、リチウム・マンガン複合酸化物、リチウム・コバルト複合酸化物、リチウム・ニッケル複合酸化物、リチウム・バナジン複合酸化物等のリチウム・遷移金属複合酸化物、リチウム・鉄・複合リン酸化合物等のオリビン型化合物等を用いることができる。
セパレーターには、例えば、多孔性ポリエチレンフィルムなどを用いることができ、電解質としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタンなどの溶媒にLiPF
6、LiClO
4、LiCF
3SO
3、LiN(CF
3SO
2)
2、LiBF
4などのリチウム塩を溶解させた電解液、固体電解質、溶融塩など、常用の材料を用いることができる。
【実施例】
【0019】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが本発明はこれらに制限されるものではない。
〔実施例1〕
ポーラスアルミナを用いた膜乳化プロセスによるMgCo2O4微粒子の作製
純度99.99%のアルミニウム板(厚さ 0.5mm)表面に、500nm周期で突起が規則的に配列された構造を持つSiC製モールドを押し付け、アルミニウム板表面に微細な凹凸パターンを形成した。
ついで、テクスチャリング処理を施したアルミニウム板を、0.1Mの濃度に調整したリン酸水溶液中で、浴温0℃において直流200Vの条件下で90分間陽極酸化を行った。その後、地金部分をヨウ素飽和メタノール溶液中で溶解除去し、ポーラスアルミナの細孔底部を、アルゴンイオンミリング装置を用いて除去することによりスルーホールメンブレンを得た。得られたスルーホールメンブレン3枚を、10wt%リン酸水溶液中に0、30、60分間それぞれ浸漬し、孔径拡大処理をほどこし、細孔径を130nm、210nm、250nmに調節してなる3種のメンブレンを得た。得られたポーラスアルミナスルーホールメンブレンをシリンジの先端にエポキシ樹脂を用いて貼り付け膜乳化用の乳化膜とした。
分散相として、アクリルアミド 2.92g、N,N−メチレンビスアクリルアミド 0.45g、「IRGACURE2959」商品名BASF社製 0.342g、酢酸コバルト四水和物 1.916g、酢酸マグネシウム四水和物 0.824g、クエン酸一水和物 2.426gを蒸留水 4.834gに溶解して水溶液を調整した。得られた水溶液は、膜乳化を行う前にアンモニア水を用いてpHを4に調整した。
連続相には、二種類の界面活性剤、2wt%で「span80」(商品名、シグマ−アルドリッチ社製)を、また1wt%で「CR310」(商品名、阪本薬品工業(株)製)を溶解させたケロシン溶液を用いた。
そして、分散相を連続相中に乳化膜を用いて液滴滴下して膜乳化を行った。滴下は分散相をシリンジ内部に投入し、シリンジ内部を窒素ガスで加圧して、シリンジから連続相中に分散相を押しだすことにより行った。得られた液滴を重合固化することで前駆体微粒子を得た。
細孔径が210nmである場合に得られた前駆体微粒子の電子顕微鏡写真を
図2に示す。
ケロシン中に分散された前駆体微粒子は、遠心分離を行うことで回収し、700度、10分で熱処理を施すことにより、MgCo
2O
4からなる本発明の無機系単分散球形微粒子を得た。得られた微粒子の平均直径と相対標準偏差を測定したところ、それぞれ、細孔径が130nmの場合には平均直径は136nm、相対標準偏差13%、細孔径が210nmの場合には、平均直径380nm、相対標準偏差13.6%、細孔径が250nmの場合には平均直径680nm、相対標準偏差17.2%であった。 細孔径が210nmである場合に得られた微粒子の電子顕微鏡写真を
図3に示す。
【0020】
〔実施例2〕
ポーラスアルミナを用いた膜乳化プロセスによるMgNiMnO4微粒子の作製
実施例1と同様の方法により、細孔周期500nm、細孔径250nmのポーラスアルミナ数ルーホールメンブレンを作製した。
分散相として、アクリルアミド 2.92g、N,N−メチレンビスアクリルアミド 0.45g、「IRGACURE2959」商品名BASF社製0.342g、酢酸マンガン四水和物 0.949g、酢酸マグネシウム四水和物 0.829g、酢酸ニッケル四水和物 0.964g、クエン酸一水和物 2.44gを蒸留水 4.818gに溶解して水溶液を調整した。得られた水溶液は、膜乳化を行う前にアンモニア水を用いてpHを4に調整した。
連続相には、二種類の界面活性剤、2wt%で「span80」(商品名、シグマ−アルドリッチ社製)を、また1wt%で「CR310」(商品名、阪本薬品工業(株)製)を溶解させたケロシン溶液を用いた。
そして実施例1と同様にして重合固化を行い、前駆体微粒子を得た。ケロシン中に分散された前駆体微粒子は、遠心分離を行うことで回収し、700度、10分で熱処理を施すことにより、MgNiMnO
4からなる本発明の無機系単分散球形微粒子を得た。得られた微粒子の平均直径を測定したところ、160nmであった。
【0021】
〔実施例3〕
ポーラスアルミナを用いた膜乳化プロセスによるCo3O4微粒子の作製
実施例1と同様の方法により、細孔周期500nm、細孔径250nmのポーラスアルミナ数ルーホールメンブレンを作製した。
分散相として、アクリルアミド 2.92g、NNメチレンビスアクリルアミド 0.45g、「IRGACURE2959」商品名BASF社製0.342g、酢酸コバルト四水和物 2.74g、クエン酸一水和物 2.31gを蒸留水 4.95gに溶解して水溶液を調整した。得られた水溶液は、膜乳化を行う前にアンモニア水を用いてpHを4に調整した。
連続相には、二種類の界面活性剤、2wt%で「span80」(商品名、シグマ−アルドリッチ社製)を、また1wt%で「CR310」(商品名、阪本薬品工業(株)製)を溶解させたケロシン溶液を用いた。
そして実施例1と同様にして重合固化を行い、前駆体微粒子を得た。ケロシン中に分散された前駆体微粒子は、遠心分離を行うことで回収し、600度、10分で熱処理を施すことにより、Co
3O
4からなる本発明の無機系単分散球形微粒子を得た。得られた微粒子の平均直径と相対標準偏差を測定したところ、407nm、16.2%であった。
【0022】
〔実施例4〕
ポーラスアルミナを用いた膜乳化プロセスによるV2O5微粒子の作製
実施例1と同様の方法により、細孔周期500nm、細孔径250nmのポーラスアルミナ数ルーホールメンブレンを作製した。
分散相として、アクリルアミドモノマー 1.46G、架橋剤のN,N’−メチレンビスアクリルアミド 0.225g、光重合開始剤の「IRGACURE2959」商品名BASF社製 0.171g、オキシ硫酸バナジウム1gを水4gに溶解した水溶液を用いた。
連続相には、二種類の界面活性剤、2wt%で「span80」(商品名、シグマ−アルドリッチ社製)を、また1wt%で「CR310」(商品名、阪本薬品工業(株)製)を溶解させたケロシン溶液を用いた。
そして実施例1と同様にして重合固化を行い、前駆体微粒子を得た。ケロシン中に分散した前駆体微粒子は、遠心分離を行うことで回収し、500度、10分で熱処理を施すことにより、V
2O
5からなる本発明の無機系単分散球形微粒子を得た。膜乳化によって形成された前駆体微粒子の平均直径と相対標準偏差を測定したところ、それぞれ、270nm、 23%であった。焼成処理後も球形状を保持した微粒子が得られた。
【0023】
〔実施例5〕
ポーラスアルミナを用いた膜乳化プロセスによるZnO微粒子の作製
実施例1と同様の方法により、細孔周期500nm、細孔径250nmのポーラスアルミナ数ルーホールメンブレンを作製した。
分散相として、アクリルアミド 2.92g、N,N−メチレンビスアクリルアミド 0.45g、「IRGACURE2959」商品名BASF社製0.342g、酢酸亜鉛二水和物 2.74g、クエン酸一水和物 2.64gを蒸留水 4.64gに溶解した水溶液を調整した。得られた水溶液は、膜乳化を行う前にアンモニア水を用いてpHを4に調整した。
連続相には、二種類の界面活性剤、2wt%で「span80」(商品名、シグマ−アルドリッチ社製)を、また1wt%で「CR310」(商品名、阪本薬品工業(株)製)を溶解させたケロシン溶液を用いた。
そして実施例1と同様にして重合固化を行い、前駆体微粒子を得た。得られた前駆体微粒子は、遠心分離を行うことで回収し、600度、10分で熱処理を施すことにより、ZnOからなる本発明の無機系単分散球形微粒子を得た。得られた微粒子の平均直径と相対標準偏差を測定したところ、 250nm、 32%であった。
【0024】
〔実施例6〕
ポーラスアルミナを用いた膜乳化プロセスによるNiO微粒子の作製
実施例1と同様の方法により、細孔周期500nm、細孔径250nmのポーラスアルミナ数ルーホールメンブレンを作製した。
分散相として、アクリルアミド 2.92g、NNメチレンビスアクリルアミド 0.45g、「IRGACURE2959」商品名BASF社製0.342g、酢酸ニッケル四水和物 2.74g、クエン酸一水和物 2.32gを蒸留水 4.94gに溶解した水溶液を調整した。得られたし溶液は、膜乳化を行う前にアンモニア水を用いてpHを4に調整した。
連続相には、二種類の界面活性剤、2wt%で「span80」(商品名、シグマ−アルドリッチ社製)を、また1wt%で「CR310」(商品名、阪本薬品工業(株)製)を溶解させたケロシン溶液を用いた。
そして実施例1と同様にして重合固化を行い、前駆体微粒子を得た。得られた前駆体微粒子は、遠心分離を行うことで回収し、600度、10分で熱処理を施すことにより、NiOからなる本発明の無機系単分散球形微粒子を得た。得られた微粒子の平均直径と相対標準偏差を測定したところ、 120nm、 23 %であった。
【0025】
〔実施例7〕
ポーラスアルミナを用いた膜乳化プロセスによるWO3微粒子の作製
実施例1と同様の方法により、細孔周期500nm、細孔径250nmのポーラスアルミナ数ルーホールメンブレンを作製した。
分散相として、アクリルアミド 2.92g、N,N−メチレンビスアクリルアミド 0.45g、「IRGACURE2959」商品名BASF社製0.342g、タングステン酸二水和物 2.74g、クエン酸一水和物 1.75gを蒸留水 5.51gに溶解した水溶液を調整した。得られた水溶液は、膜乳化を行う前にアンモニア水を用いてpHを 4に調整した。
連続相には、二種類の界面活性剤、2wt%で「span80」(商品名、シグマ−アルドリッチ社製)を、また1wt%で「CR310」(商品名、阪本薬品工業(株)製)を溶解させたケロシン溶液を用いた。
そして実施例1と同様にして重合固化を行い、前駆体微粒子を得た。得られた前駆体微粒子は、遠心分離を行うことで回収し、600度、10分で熱処理を施すことにより、WO
3からなる本発明の無機系単分散球形微粒子を得た。得られた微粒子の平均直径と相対標準偏差を測定したところ、430nm、28%であった。