(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記近位連結器及び遠位連結器が、中を通して突出部を摺動可能に受容するためのルーメンを有し、前記近位連結器及び遠位連結器が、前記突出部を中心に回転可能である、請求項1に記載のアブレーション装置。
【背景技術】
【0002】
心房細動等の心不整脈は、心臓組織の諸区域が、隣接組織に電気信号を異常に伝導することによって正常な心周期を阻害し、非同期的な律動を引き起こす場合に発生する。
【0003】
不整脈を治療するための手技には、不整脈を発生させている信号の発生源を外科的に破壊すること、及び、そのような信号の伝導路を破壊することが含まれる。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止する又は変更することが時に可能である。このアブレーション処理は、非伝導性の損傷を形成することによって望ましくない電気経路を破壊するものである。
【0004】
心房性不整脈を治療するために、肺静脈口又はその近傍で円周方向の損傷が形成されてきた。米国特許第6,012,457号及び同第6,024,740号(両方ともLeshに対する)は、高周波電極を備える、半径方向に拡張可能なアブレーション装置を開示する。円周状の伝導ブロックを確立することで肺静脈を左心房から電気的に絶縁するために、この装置を使用して、肺静脈に高周波エネルギーを供給することが提案されている。
【0005】
本願と同一譲受人に譲渡され、参照により本明細書に援用されるSchwartzらに対する米国特許第6,814,733号は、高周波放出体として半径方向に拡張可能な螺旋状コイルを有するカテーテル導入装置を説明する。一適用例では、放出体は、経皮的に導入され、経中隔的に肺静脈口まで前進する。放出体は、放出体を肺静脈の内壁と円周状に接触させるために、半径方向に拡張されるが、これは放出体が巻き付けられている係留バルーンを膨張させることによって実現することができる。コイルは高周波発生器によって励磁され、円周方向のアブレーション損傷が肺静脈の心筋スリーブ内に生じ、これは肺静脈と左心房との間の電気的伝播を効果的にブロックする。
【0006】
別の例がMaguireらに対する米国特許第7,340,307号で見出され、これは肺静脈が心房から延出している位置で組織の円周方向の部位をアブレーションすることによって心房性不整脈を治療する組織アブレーションのシステム及び方法を提案している。このシステムは、アブレーション要素を有する円周状のアブレーション部材を含み、アブレーション部材をその位置まで送達するための送達アセンブリを含む。円周状のアブレーション部材は、送達シースを介した心房への送達、及びアブレーション要素と組織の円周方向の部位との間のアブレーションカップリングの両方が可能になるように、異なる構成間で概ね調整可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
参照により本明細書に援用される、本願と同一譲受人に譲渡された同時係属出願第14/578,807号は、どのようにバルーンカテーテルに生理食塩水を注入し、肺静脈口をアブレーションするために使用され得るかを説明する。改良されたバルーンカテーテルのこの出願及び他の出願が、本明細書において取り扱われる。
【0008】
本発明の実施形態では、バネ及びバネ用の可撓性保護スリーブが、バルーン内に挿入される。バルーンの収縮した(完全に排気された)状態では、バネは、圧縮されておらず、よじれておらず、その静止した状態にある。よじれておらず圧縮されていないバネは、収縮したバルーンをバネの周りに保持して、収縮したバルーンがバネの周りに小さく整然と配置するように構成される。
【0009】
バルーンは、生理食塩水溶液を注入されることによって膨張される。膨張により、バネはその静止した状態から、圧縮し、よじれるよう強いられる。バルーンが膨張しているとき、バネは、その圧縮され、よじれた状態にあり、トルクを有する。バルーンが完全に収縮しているとき、バネは、伸展され、よじれてもねじれてもいない。
【0010】
上述のように圧縮し、かつよじれるバネを組み込むことによって、本発明の実施形態は、膨張したバルーンがその正しい膨張した形状を維持する一方で、収縮したバルーンがガイディングシースを通した送達のために効率的に整然と格納されることを可能にする。
【0011】
本発明の実施形態によると、中空シャフト、長手方向軸、及び遠位に配設されたバルーンアセンブリを有するプローブを含む、アブレーション装置が提供される。バルーンアセンブリは、静止していて軸方向に伸長された構成及びねじれていて軸方向に短縮された構成を有する、バネを含む。膨張可能なバルーンが、バネに機械的に連結される。可撓性シースが、バルーン内でバネの周りに配設され、シース及びバルーンの壁は、チャンバを画定し、その中へ及びそこから流れる流体を収容して、バルーンを膨張及び収縮させる。膨張により、バネがねじれていて軸方向に短縮された構成へと促され、収縮により、バネが静止していて軸方向に伸長された構成に戻ることが可能になる。
【0012】
本装置の一態様では、バルーン及びシースに取り付けられた近位連結器及び遠位連結器を含む。近位連結器及び遠位連結器は、プローブの長手方向軸を中心に独立して回転可能である。
【0013】
本装置のまた別の態様によると、近位連結器及び遠位連結器は、中を通して突出部を摺動可能に受容するためのルーメンを有する。
【0014】
本装置のまた別の態様によると、近位連結器及び遠位連結器のうちの少なくとも1つは、その中に形成されたポートを有して、シャフトを介してチャンバと流体源との間に流体連通を確立する。
【0015】
本装置の別の態様によると、静止していて軸方向に伸長された構成において、バルーンは、バネに巻き付けられている。
【0016】
本装置の更なる態様によると、バルーンアセンブリは、操向可能なガイディングシースを通して配備可能である。
【0017】
本発明の実施形態によると、中空シャフト及び遠位に配設されたバルーンアセンブリを有するプローブを対象の心臓内に挿入することによって実行される方法が、更に提供される。バルーンアセンブリは、静止していて軸方向に伸長された構成及びねじれていて軸方向に短縮された構成を有するバネと、バネに機械的に連結され、かつバネを包囲する膨張可能なバルーンとを含む。本方法は、流体をチャンバ中に流すことによってバネをねじれていて軸方向に短縮された構成へと促し、それによってバルーンを膨張させることと、流体をチャンバから除去して、バネが静止していて軸方向に伸長された構成をとることを可能にすることによって、バルーンを収縮させることとによって、更に実行される。
【0018】
本方法の別の態様によると、バルーンアセンブリはまた、バルーンに取り付ける近位連結器及び遠位連結器も含む。
【0019】
本方法の更なる態様によると、近位連結器及び遠位連結器は、長手方向軸を中心に独立して回転可能である。
【0020】
本方法のまた別の態様によると、近位連結器及び遠位連結器は、中を通して突出部を摺動可能に受容するためのルーメンを有する。
【0021】
本方法のまた別の態様によると、近位連結器及び遠位連結器のうちの少なくとも1つは、その中に形成されたポートを有し、流体を流すことは、シャフトを介してチャンバと流体源との間に流体を通過させることによって実施される。
【0022】
本方法の更なる態様によると、静止していて軸方向に伸長された構成において、バルーンは、バネに巻き付けられており、バルーンを膨張させることは、バルーンをバネの周りから解くことを含む。バルーンを収縮させることは、バルーンをバネに巻き付けることを含む。
【0023】
本方法の一態様は、バルーンアセンブリを操向可能なガイディングシースを通して配備することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明では、本発明の様々な原理が充分に理解されるように、多くの具体的な詳細について記載する。しかしながら、これらのすべての詳細が本発明を実施するうえで必ずしも必要であるとは限らない点は当業者には理解されよう。この場合、一般的な概念を不要に分かりにくくすることのないよう、周知の回路、制御論理、並びに従来のアルゴリズム及び処理に対するコンピュータプログラム命令の詳細については、詳しく示していない。
【0026】
システムの説明
次に図面に移り、
図1を最初に参照すると、同図は、本発明の開示される実施形態に従って構成され、かつ動作可能である、電気的活動を評価して生きている対象の心臓12にアブレーション処置を実施するためのシステム10の図である。このシステムは、操作者16によって、患者の血管系を通して心臓12の心室又は血管構造内に経皮的に挿入される、カテーテル14を備えている。通常、医師である操作者16は、カテーテルの遠位先端部18を、心臓壁、例えばアブレーション標的部位と接触させる。その開示が参照により本明細書に援用される、米国特許第6,226,542号及び同第6,301,496号、並びに本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第6,892,091号に開示される方法に従って、電気的活性化マップが作成され得る。システム10の要素を具現化する1つの市販の製品は、Biosense Webster,Inc.(3333 Diamond Canyon Road,Diamond Bar,CA 91765)より入手可能な、CARTO(登録商標)3システムとして入手可能である。このシステムは、本明細書に説明される本発明の原理を具現化するように、当業者によって修正されてもよい。
【0027】
例えば、電気的活性化マップの評価によって異常と判定された領域は、熱エネルギーの印加によって、例えば、心筋に高周波エネルギーを印加する遠位先端部18の1つ又は2つ以上の電極に、カテーテル内のワイヤを通じて高周波電流を流すこと等によって、アブレーションすることができる。エネルギーは組織に吸収され、この組織をその電気興奮性が永久に失われる点(通常は60℃超)まで加熱する。成功すると、この処置は、心臓組織に非伝導性の損傷を形成し、この非伝導性の損傷は、不整脈を引き起こす異常な電気経路を破壊する。本発明の原理は、異なる心室に適用されて、多数の異なる心不整脈を診断及び治療することができる。
【0028】
カテーテル14は通常、アブレーションを行うために操作者16が必要に応じてカテーテルの遠位端を方向転換すること、位置決めすること、及び配向することを可能にする好適な制御部を有するハンドル20を備えている。操作者16を補助するため、カテーテル14の遠位部分には、コンソール24内に配置されたプロセッサ22に信号を供給する位置センサ(図示せず)が収容されている。プロセッサ22は、後述のような幾つかの処理機能を果たすことができる。
【0029】
ワイヤ接続部35はコンソール24を、身体表面の電極30と、カテーテル14の位置座標及び配向座標を測定するための位置決定サブシステムの他の構成要素と、に連結する。プロセッサ22又は別のプロセッサ(図示せず)は、位置決定サブシステムの要素であってよい。カテーテル電極(図示せず)及び体表面電極30は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,536,218号(Govariら)に教示されるように、アブレーション部位での組織のインピーダンスを測定するために使用することができる。温度センサ(図示せず)、通常、熱電対又はサーミスタは、後述のようにカテーテル14の遠位部分のアブレーション表面上に載置され得る。
【0030】
コンソール24は通常、1つ又は2つ以上のアブレーション電力発生装置25を収容する。カテーテル14は、例えば、高周波エネルギー、超音波エネルギー、及びレーザー生成光エネルギー等の任意の既知のアブレーション技術を使用して、心臓にアブレーションエネルギーを伝導するように適合され得る。かかる方法は、参照により本明細書に援用される、本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第6,814,733号、同第6,997,924号、及び同第7,156,816号に開示されている。
【0031】
一実施形態では、位置決定サブシステムは、磁場生成コイル28を使用して、既定の作業体積内に磁場を生成し、カテーテルにおけるこれらの磁場を検知することによって、カテーテル14の位置及び配向を判定する、磁気位置追跡の配置構成を備える。位置決めサブシステムは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,756,576号、及び上記の米国特許第7,536,218号に記載されている。
【0032】
上述のように、カテーテル14はコンソール24に連結され、このコンソール24は、操作者16がカテーテル14の機能を観察及び調節することを可能にする。コンソール24は、プロセッサ、好ましくは適切な信号処理回路を有するコンピュータを含む。プロセッサは、モニタ29を駆動するように連結される。信号処理回路は通常、例えば、カテーテル14内の遠位に配置された電気、温度、及び接触力センサ等のセンサ、並びに複数の位置検知電極(図示せず)によって生成される信号を含む、カテーテル14からの信号を受信、増幅、フィルタリング、及びデジタル化する。デジタル化された信号は、コンソール24及び位置決めシステムによって受信されかつ使用され、カテーテル14の位置及び配向を計算し、電極からの電気信号を分析する。
【0033】
電気解剖学的マップを生成するために、プロセッサ22は通常、電気解剖学的マップ生成器、画像登録プログラム、及び画像又はデータ分析プログラムを備え、且つモニタ29上にグラフィカル情報を提示するグラフィカルユーザーインターフェイスをも備える。
【0034】
簡略化のため図には示されていないが、通常、システム10には、他の要素も含まれる。例えば、システム10は、心電図(ECG)モニタを含んでもよく、このECGモニタは、ECG同期信号をコンソール24に供給するために、1つ又は2つ以上の体表面電極から信号を受信するように連結される。また、上に述べたように、システム10は通常、基準位置センサをも含むが、基準位置センサは、患者の身体の外側に取り付けられた、体位外貼付式基準パッチ上、又は心臓12に挿入され、心臓12に対して固定位置に維持された、体内配置式カテーテル上のいずれかに配置される。カテーテル14に液体を通して循環させるための、従来のポンプ及びラインが、アブレーション部位を冷却するために提供される。システム10は、画像データを外部MRIユニット等のような画像診断法から受信することもできるし、画像生成及び表示の目的で、プロセッサ22に統合され得る又はプロセッサ22により起動され得る画像プロセッサを具備することもできる。
【0035】
バルーンアセンブリ
次に
図2を参照すると、同図は、本発明の実施形態による、本発明の実施形態による、カテーテル14のシャフト40の遠位端におけるバルーンアセンブリ38の遠位部分の斜視図である。可撓性ポリマー突出部42は、シャフト40のルーメンを通って延在し、その先端部を超えて突出する。突出部42は、装置の接近のために、例えば、カテーテルの導入を補助するガイドワイヤ等のために使用されてもよい。ポリマーバルーン46の潅注及び膨張のために、ポート44が提供される。流体は、小孔47を通って膨張したバルーンから出ることができる。
【0036】
バネ機構48は、突出部42を覆い、連結器52、54によってシャフト40に取り付けられた、ピストン式の同軸圧縮バネ50を備える。バネ50は、バルーン46の近位及び遠位端か、又は連結器52、54に堅く結合される。連結器52、54に接続した可撓性スリーブ56は、バルーン46によって包囲される。スリーブ56は、バネ50を取り囲み、スリーブ56の外壁とバルーン46の内壁とによって画定されるチャンバ内の流体がバネ50の隙間を通って漏れ出ることを防止する。
【0037】
製造中、バネ50がその定位置にあり、外力の影響を受けていないとき、バルーン46の近位端は、バルーンアセンブリ38又は連結器52の近位端に固定される。バルーン46は次に、軸方向に約1cm伸ばされ、バルーンアセンブリ38又は連結器54の遠位端に固定される前に軸方向に(約半回転〜1回転)よじられる。バルーン46が膨張するとき、それは内部流体圧によってよじれが戻り、軸方向に約1cm短縮する。バルーン46はバルーン46に機械的に連結されているため、よじれが戻るバルーンによって、角度力が連結器52、54を通ってバネ50に伝達され、それによってバネ50にねじれを生成し、バネ50を圧縮する。その結果、バネ50は、静止していて軸方向に伸長された構成からねじれていて軸方向に短縮された構成へ移行し、バルーンアセンブリ38全体が軸方向に短縮され、バルーンは半径方向に拡大される。
【0038】
次に
図3を参照すると、同図は、本発明の実施形態による、カテーテル14(
図1)の遠位部分の図である。輪縄式ガイド58は、カテーテル14を通して配備されて、肺静脈60の壁に係合される。バルーン46は、膨張して、血管壁に固定された輪縄式ガイド58によって安定される。肺静脈60内でのバルーン46の正確な配置は、カテーテル14を通して造影剤を注入することによって確認することができる。追加的又は代替的に、造影剤は、バルーン46内に注入されてもよい。バルーン46は、上記の出願第14/578,807号に教示されるように、電極62と共に提供されてもよい。電極62は、マッピング又はアブレーションのために使用することができる。
【0039】
次に
図4を参照すると、同図は、本発明の実施形態による、膨張及び収縮の様々な段階におけるバルーンアセンブリ38の3つの側立面図の一連の図である。バルーン46及びバネ機構48は、連結器52、54によって、突出部42を中心に、即ちカテーテルの長手方向軸を中心に、互いに対して自由にかつ独立して摺動し、回転することを可能にされる。バルーン46は、孔64を通してバルーン46に入る流体によって付与される圧力によって膨張される。拡張するバルーンは、その長手方向軸に沿って短縮するが、横径(線A−A)は増加する。一番上の画像では、バルーン46は、完全に膨張している。内部流体圧及び結果として生じるバルーンの変形の結果として、バネ50は、完全に圧縮され、最大限にねじれた状態へと促され、その長さ寸法(D−D)を事実上短縮する。
【0040】
中央の画像では、例えば、弁(図示せず)による内部流体圧の開放は、バネ50の復元力の助けによりバルーン46が部分的に収縮することを可能にしている。バネ50は、長くなってよじれを戻し、バルーン46内の内部流体圧に対向することによってその静止した状態に戻ろうとし、それによって流体が孔64を通って漏れ出ることを助ける。追加的又は代替的に、流体は、孔47を通って漏れ出てもよい。中央の画像では、バネ50は部分的によじれが戻っており、その長さ寸法(線E−E)は一番上の画像内のその長さ寸法(線D−D)よりも大きい。
【0041】
一番下の画像では、バルーン46は完全に収縮しており、バルーンアセンブリ38は完全に畳まれている。この構成において、バルーンアセンブリ38は、カテーテルのルーメンを通して導入し、また医療処置の完了後に引抜くことができる。バネ50は、静止した状態において完全に伸展され、機構にねじれを付与しない。その長さ寸法(F−F)は、長さ寸法D−D、E−Eに対して最大である。
【0042】
次に
図5を参照すると、同図は、本発明の実施形態による、プローブ66の長手方向軸を通る断面図である。中空内部シャフト68は、プローブ66のルーメンを通って延在する。その機能は、バルーンアセンブリ70を支持し、ガイドワイヤ(図示せず)のための入口を提供することである。バルーン72は、円周状シール76によってプローブ66の近位区域74に接着される。バルーン72は、円周状シール80によって非連続的な遠位区域78に接着する。ルーメン82は、シャフト68の外部表面、プローブ66の内部表面86、及びシール88、90によって画定される連結管84に通じる。孔92は、ルーメン82及び連結管84を通って流れる流体の連通を可能にして、バルーン72を膨張及び収縮させる。
【0043】
次に
図6を参照すると、同図は、本発明の実施形態による、バルーンアセンブリ内に組み込まれたバネ94の立面図である。バネ94は、PEEK(商標)等の弾性プラスチック材料又はニチノール若しくはステンレス鋼等の金属で作製されてもよい。バネ94は、矢印100によって示されるように、その長手方向軸98の周りでよじれる及びよじれが戻ることができるシャフト96を有し、その結果、バネは弛緩していて伸長された状態とねじれていて圧縮された状態との間を行き来する。圧縮された状態へ移行するとき、コイル104を分ける隙間102は狭くなり、バネ94は長手方向軸98上で短縮する。連結器106は、1つの一体型ユニットを形成するような溶接か又は他の手段かのいずれかによって、シャフト96 abyに取り付けられる。連結器のうちの1つは、
図6では省略されている。長手方向スロット108は、シャフト96内に形成される。それは、バルーン内に生理食塩水を送るためのポートを提供する。
【0044】
動作
次に
図7を参照すると、同図は、本発明の実施形態による、バルーンカテーテルを使用する心臓カテーテル法のフローチャートである。この例は肺静脈口における動作に関するが、本方法は、心臓内の他の構造及び処置にも準用することができる。プロセスの工程は、説明を分かりやすくするために、特定の直線的な順序で示されている。しかしながら、かかる工程の多くは、並行して、非同期的に、又は異なる順序で行いうる点は明らかであろう。更に、例示されるプロセスの工程のすべてが、本方法の実装に必要なわけではない。本方法は、前述の図面に関して説明を分かりやすくするために開示されるが、バルーンアセンブリの他の実施形態及び構成も、同様に適用可能である。
【0045】
初期工程83において、心カテーテルは、心臓の左心房の中に従来の方式で導入される。輪縄式ガイド及びバルーンを配備するために、ガイディングシースが用いられてもよい。Destino(商標)12−F操向可能ガイディングシースは、この目的に好適である。
【0046】
次に、工程85において、輪縄式ガイドは配備され、肺静脈の内壁に係合するように位置付けられる。この段階では、バルーンアセンブリ38内のバネ50は、完全に伸展し、ねじれていない状態である。バルーン46及びスリーブ56は、巻き付けられており、それらの最大程度まで畳まれている。バルーン46が完全に膨張されているとき、バネ50は圧縮され、その初期位置に対して完全によじれる。
【0047】
次に、工程87において、バルーンは、輪縄式ガイド上で伸展され、ポート44を通してバルーン46の内壁及びスリーブ56によって画定されるチャンバ内へ流体を流すことによって膨張される。膨張が生じると、生理食塩水は、ポート44を通ってバルーン46に入る。バネ50は、拡張するバルーンによって付与される力に対向して圧縮し、よじれる。
【0048】
次に、工程89において、バルーンは、肺静脈口と円周状に接触して、口を閉塞するようにナビゲートされる。
【0049】
次に、任意の工程91において、バルーンが肺静脈口に接して正しい位置にあることを確実にするために、カテーテルのルーメンを通して、及びカテーテルの適切な潅注ポートを通してX線不透過性造影剤が肺静脈内に注入される。造影剤は、バルーンに入らない。
【0050】
制御は次に決定工程93に進み、バルーンが正しく位置付けられているかどうかを判定する。決定工程93での判定が否定的である場合、次に制御は工程89に戻り、バルーンの位置付けが再度試みられる。
【0051】
決定工程93における判定が肯定的である場合、次に制御は工程95に進み、医療処置、例えば、マッピング又はアブレーション等がカテーテル上の適切なアブレーション電極を使用して実施される。
【0052】
アブレーションの完了後、バルーン及び輪縄式ガイド58を引抜くことによって、別の肺静脈口を使用して処置が繰り返されてもよい。制御は、次に工程85に戻ってもよい。代替的に、処置は、最終工程97においてカテーテルの除去によって終了してもよい。カレーテルを除去する前に、バルーンは収縮される。再び
図4を参照すると、この処置は本質的には膨張処置の逆であり、伸展してよじれが戻り、それによってバルーンが圧縮し、バネ50及びその下のシャフト、例えば、突出部42の周りで折り畳まることを助けるバネ50の作用によって、助けられる。バルーン46の流体収容物は、孔47を通ってバルーンから出る。
【0053】
本発明が以上で具体的に示し、説明したものに限定されないということは、当業者には理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上述した様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせ、並びに上記の説明を読むことで当業者が想到するであろう、先行技術にはない特徴の変形及び改変をも含むものである。
【0054】
〔実施の態様〕
(1) アブレーション装置であって、
中空シャフト、長手方向軸、及び遠位に配設されたバルーンアセンブリを有するプローブを備え、前記バルーンアセンブリが、
静止していて軸方向に伸長された構成及びねじれていて軸方向に短縮された構成(torsed, axially shortened configuration)を有するバネと、
前記バネに機械的に連結され、かつ前記バネを包囲する膨張可能なバルーンであって、壁を有する、バルーンと、
前記バルーン内で前記バネの周りに配設された可撓性シースと、を備え、前記シース及び前記バルーンの前記壁が、チャンバを画定し、その中へ及びそこから流れる流体を収容して、前記バルーンを膨張及び収縮させ、膨張により、前記バネが前記ねじれていて軸方向に短縮された構成へと促され、収縮により、前記バネが前記静止していて軸方向に伸長された構成に戻ることが可能になる、アブレーション装置。
(2) 前記バルーン及び前記シースに取り付ける近位連結器及び遠位連結器を更に備える、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記近位連結器及び遠位連結器が、前記長手方向軸を中心に独立して回転可能である、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記近位連結器及び遠位連結器が、中を通して突出部を摺動可能に受容するためのルーメンを有し、前記近位連結器及び遠位連結器が、前記突出部を中心に回転可能である、実施態様2に記載の装置。
(5) 前記近位連結器及び遠位連結器のうちの少なくとも1つが、その中に形成されたポートを有して、前記シャフトを介して前記チャンバと流体源との間に流体連通を確立する、実施態様2に記載の装置。
【0055】
(6) 前記静止していて軸方向に伸長された構成において、前記バルーンが、前記バネに巻き付けられている、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記バルーンアセンブリが、操向可能なガイディングシースを通して配備可能である、実施態様1に記載の装置。
(8) 方法であって、
中空シャフト、長手方向軸、及び遠位に配設されたバルーンアセンブリを有するプローブを、対象の心臓内に挿入する工程であって、前記バルーンアセンブリが、静止していて軸方向に伸長された構成及びねじれていて軸方向に短縮された構成を有するバネと、前記バネに機械的に連結され、かつ前記バネを包囲する膨張可能なバルーンと、を備える、工程と、
流体を前記バルーン中に流すことによって前記バネを前記ねじれていて軸方向に短縮された構成へと促し、それによって前記バルーンを膨張させる工程と、
前記流体を前記バルーンから除去して、前記バネが前記静止していて軸方向に伸長された構成をとることを可能にすることによって、前記バルーンを収縮させる工程と、を含む、方法。
(9) 前記バルーンアセンブリが、前記バルーンに取り付ける近位連結器及び遠位連結器を更に備える、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記近位連結器及び遠位連結器が、前記長手方向軸を中心に独立して回転可能である、実施態様9に記載の方法。
【0056】
(11) 前記近位連結器及び遠位連結器が、中を通して突出部を摺動可能に受容するためのルーメンを有する、実施態様9に記載の方法。
(12) 前記近位連結器及び遠位連結器のうちの少なくとも1つが、その中に形成されたポートを有し、流体を流すことが、前記流体を流体源から前記シャフトを介して通過させることによって実施される、実施態様9に記載の方法。
(13) 前記静止していて軸方向に伸長された構成において、前記バルーンが、前記バネに巻き付けられており、前記バルーンを膨張させることが、前記バルーンを前記バネの周りから解くことを含む、実施態様8に記載の方法。
(14) 前記バルーンを収縮させることが、前記バルーンを前記バネに巻き付けることを含む、実施態様8に記載の方法。
(15) 前記バルーンアセンブリを、操向可能なガイディングシースを通して配備することを更に含む、実施態様8に記載の方法。