特許第6749845号(P6749845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6749845インスリン及びGLP−1/グルカゴン二重アゴニストを含む糖尿病治療用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6749845
(24)【登録日】2020年8月14日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】インスリン及びGLP−1/グルカゴン二重アゴニストを含む糖尿病治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/28 20060101AFI20200824BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20200824BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20200824BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20200824BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20200824BHJP
   C07K 14/62 20060101ALI20200824BHJP
   C07K 14/575 20060101ALI20200824BHJP
【FI】
   A61K38/28
   A61K38/22
   A61K45/00
   A61K47/68
   A61P3/10
   C07K14/62ZNA
   C07K14/575
【請求項の数】16
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2016-570276(P2016-570276)
(86)(22)【出願日】2015年6月1日
(65)【公表番号】特表2017-518298(P2017-518298A)
(43)【公表日】2017年7月6日
(86)【国際出願番号】KR2015005455
(87)【国際公開番号】WO2015183054
(87)【国際公開日】20151203
【審査請求日】2018年5月31日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0066554
(32)【優先日】2014年5月30日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515022445
【氏名又は名称】ハンミ ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ジュン スン ヨプ
(72)【発明者】
【氏名】ファン サン ユン
(72)【発明者】
【氏名】キム スン ス
(72)【発明者】
【氏名】チェ イン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】クォン セ チャン
【審査官】 渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/017847(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/073842(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/173422(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/017843(WO,A1)
【文献】 特表2010−533671(JP,A)
【文献】 Diabetes,2011年 7月,60(Supplement 1),A418,1527-P
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00
A61K 47/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
持続型インスリン結合体及び持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体を含む糖尿病治療用薬学的組合せ物であって、
前記持続型インスリン結合体は、インスリンが非ペプチド性ポリマーを介して免疫グロブリンFc領域に連結された結合体であり、
前記持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体は、GLP−1/グルカゴン二重アゴニストが非ペプチド性ポリマーを介して免疫グロブリンFc領域に連結された結合体であり、
前記GLP−1/グルカゴン二重アゴニストが、配列番号39〜72で表されるアミノ酸配列からなる群より選ばれるアミノ酸を含み、GLP−1受容体及びグルカゴン受容体を同時に活性化させるものである、組合せ物。
【請求項2】
前記インスリンが、天然型インスリン、速効型インスリン、basalインスリン、前記天然型インスリンにおいて一部のアミノ酸が置換、付加、欠失及び修飾のいずれか一つの方法又はこれらの方法の組み合わせにより改変が起こったインスリンアナログ又はこれらの断片であ、請求項1に記載の組合せ物。
【請求項3】
前記グルカゴン様ペプチド-1(GLP−1)/グルカゴン受容体二重アゴニストが、配列番号40のアミノ酸配列を有し、配列番号40の16番目及び20番目のアミノ酸が環を形成するものである、請求項1に記載の組合せ物。
【請求項4】
前記非ペプチド性ポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコールコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサッカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、生分解性ポリマー、脂質ポリマー、キチン類、ヒアルロン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたものである、請求項1に記載の組合せ物。
【請求項5】
前記免疫グロブリンFc領域が非糖鎖化されたものである、請求項1に記載の組合せ物。
【請求項6】
前記免疫グロブリンFc領域がCH1、CH2、CH3、及びCH4ドメインからなる群から選択された1〜4個の領域を含むものである、請求項5に記載の組合せ物。
【請求項7】
前記免疫グロブリンFc領域がヒンジ領域をさらに含むものである、請求項6に記載の組合せ物。
【請求項8】
前記免疫グロブリンFc領域が、IgG、IgA、IgD、IgE、又はIgMに由来のFc領域である、請求項7に記載の組合せ物。
【請求項9】
前記免疫グロブリンFc領域のそれぞれのドメインが、IgG、IgA、IgD、IgE、及びIgMからなる群から選択された異なる起源を有するドメインのハイブリッドである、請求項8に記載の組合せ物。
【請求項10】
前記免疫グロブリンFc領域が、同一起源を有するドメインを含む短鎖免疫グロブリンで構成された二量体又は多量体である、請求項9に記載の組合せ物。
【請求項11】
前記組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含む、請求項1に記載の組合せ物。
【請求項12】
前記持続型インスリン結合体及び前記持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体が同時、順次又は逆順に投与されるものである、請求項1に記載の組合せ物。
【請求項13】
前記持続型インスリン結合体が、インスリンA鎖の14番目のアミノ酸がグルタミン酸で置換されたインスリンアナログ及び免疫グロブリンFc領域が非ペプチド性ポリマーのリンカーで連結された結合体であり、前記持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体が、配列番号40のGLP−1/グルカゴン二重アゴニスト及び免疫グロブリンFc領域が非ペプチド性ポリマーのリンカーで連結された結合体である、請求項1に記載の組合せ物。
【請求項14】
前記配列番号40のGLP−1/グルカゴン受容体二重アゴニストの16番目及び20番目のアミノ酸が環を形成するものである、請求項13に記載の組合せ物。
【請求項15】
前記非ペプチド性ポリマーリンカーがPEGである、請求項13に記載の組合せ物。
【請求項16】
糖尿病治療用医薬の製造のための、持続型インスリン結合体及び持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体を含む薬学的組合せ物の使用であって、
前記持続型インスリン結合体は、インスリンが非ペプチド性ポリマーを介して免疫グロブリンFc領域に連結された結合体であり、
前記持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体は、GLP−1/グルカゴン二重アゴニストが非ペプチド性ポリマーを介して免疫グロブリンFc領域に連結された結合体であり、
前記GLP−1/グルカゴン二重アゴニストが、配列番号39〜72で表されるアミノ酸配列からなる群より選ばれるアミノ酸を含み、GLP−1受容体及びグルカゴン受容体を同時に活性化させるものである、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインスリン及びGLP−1/グルカゴン二重アゴニストを含む糖尿病の予防又は治療用組成物、及び前記組成物を投与する段階を含む糖尿病の予防又は治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インスリンは、膵臓のベータ細胞から分泌されるペプチドであり、体内の血糖値を調節するのに非常に重要な役割を担当する物質である。このようなインスリンの分泌量が不足したり正常な機能が行われず、血中のブドウ糖の濃度が高くなる代謝性疾患を糖尿病という。インスリンが正常に分泌されないか、又は分泌されたインスリンが体内で正常に作用しないことにより体内の血糖値が調節されずに上昇する場合を第2型糖尿病といい、膵臓からインスリンを分泌されないことにより血糖値が上昇する場合を第1型糖尿病という。第2型糖尿病の場合、化学物質を主成分とする経口用血糖降下剤を利用して治療を行い、一部の患者にはインスリンを使用して治療することもある。一方、第1型糖尿病の場合にはインスリンの投与が不可欠である。
【0003】
現在多く使われているインスリン治療は食事の前後に注射を通じてインスリンを投与する方法である。インスリンは、現在注射薬として市販されており、皮下注射で投与することを原則とし、作用時間によって投与方法が異なる。インスリン注射投与は、飲み薬に比べて血糖降下効果がより迅速に現れ、飲み薬を使用することができない環境でも安全に使用することができて容量の制限もないが、1日3回に継続的に使用しなければならないため、注射針に対する拒否感、投与方法の困難さ、低血糖症状、長期的なインスリン投与により発生する体重増加現象などが欠点として挙げられている。体重増加現象は、心血管疾患のリスクを高めて血糖調節機能を低下させる副作用につながる。
【0004】
GLP−1及びグルカゴンの両ペプチドの受容体に結合することができる二重アゴニストは、糖尿及び肥満を同時に治療するメカニズムとして多様な研究が進行されている。前記GLP−1、グルカゴン二重アゴニストは、GLP−1の食物摂取阻害、満腹感促進効力及びグルカゴンの脂肪分解機能を示し、血糖減少効力を維持しながら体重減少に高い効果を示し、新たな治療剤としての可能性を高めている。
【0005】
本発明者らは、インスリン及び二重アゴニストは、短い半減期で患者に毎日投与しなければならない不便があり、前記のような問題を解決するためにタンパク質薬物の活性を維持し、安定性の向上を同時に達成する技術として、従来の生理活性ポリペプチドと免疫グロブリンFc領域とを非ペプチド性ポリマーリンカーにより相互共有結合させ連結させた持続型タンパク質結合体を提案した(韓国登録特許第10−0725315号;特許文献1)。特に本発明者らは持続型インスリン結合体及び持続型二重アゴニスト結合体それぞれの生体内の効力持続効果が画期的に増加することを確認した(韓国登録特許第10−1058290号;特許文献2、韓国出願第10−2014−0022909号;特許文献3及び韓国公開特許第10−2012−0139579号;特許文献4)。
【0006】
しかし、依然として安定した血糖変化をもたらす量のインスリン又はGLP−1/グルカゴン二重アゴニストの投与時に発生する体重増加などの副作用が発生するという問題があり、薬物の投与量及び回数を減らしながら、副作用が減少した糖尿病治療剤の開発の必要性が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第10−0725315号
【特許文献2】韓国登録特許第10−1058290号公報
【特許文献3】韓国特許出願第10−2014−0022909号公報
【特許文献4】韓国公開特許第10−2012−0139579号
【特許文献5】韓国公開特許第10−2014−0006938号公報
【特許文献6】米国特許出願第10−2014−0022909号公報
【特許文献7】米国特許出願第10−2014−0006938号公報
【特許文献8】韓国公開特許第10−2012−0137271号公報
【特許文献9】韓国公開特許第10−2012−0139579号公報
【特許文献10】国際特許公開第WO 97/34631号公報
【特許文献11】国際特許公開第WO 96/32478号公報
【特許文献12】韓国登録特許第10−1330868号公報
【特許文献13】韓国登録特許第10−1324828号公報
【特許文献14】韓国公開特許第10−2011−0111267号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】H.Neurath,RLHill,The Proteins,Academic Press,New York,1979
【0009】
本発明者らは、糖尿病の治療の際に要求される高血糖の減少効力及び体重増加抑制、低血糖のリスクが減少した糖尿病治療剤を開発するために鋭意努力した結果、インスリン受容体及びGLP−1/グルカゴン二重アゴニストを同時に投与する併用投与を試み、特に、持続型インスリン及び持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト薬物を併用して使用する時、投与頻度の減少により患者の便宜性を極大化し、インスリン薬物の投与量を減らして低血糖のリスクを下げることができ、高血糖の減少及び体重減少をもたらすことを確認して、本発明を完成した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一つの目的は、インスリン及びGLP−1/グルカゴン二重アゴニストを含む糖尿病の予防又は治療用薬学的組成物を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、前記組成物を糖尿病にかかる危険があるか、かかった個体に投与する段階を含む糖尿病の予防又は治療方法を提供することである。
【発明の効果】
【0011】
持続型インスリン又はそのアナログ結合体及び持続型GLP−1/グルカゴンアゴニスト結合体は、優れた糖尿病治療効能を示し、特に併用投与はインスリン受容体、及びGLP−1及びグルカゴンの両ペプチドの受容体を同時に刺激して生体内の持続性及び安定性が向上し、投与用量を画期的に減らして血糖値の安定した調節により低血糖及び体重増加を緩和させた薬物コンプライアンスが改善された糖尿病治療剤としての効果がある。特に、本発明は画期的に改善された血中安定性及び効力の持続性により投与頻度を下げて患者の便宜性を極大化した。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】持続型GLP/グルカゴン二重アゴニスト−免疫グロブリンFc結合体及びインスリンアナログ−免疫グロブリンFc結合体を単独投与又は併用投与で4週間で二日に一回ずつdb/dbマウスに皮下投与して測定した空腹時血糖変化の曲線下面積(AUC、area under the curve)を示したグラフである。
図2】持続型GLP/グルカゴン二重アゴニスト−免疫グロブリンFc結合体及びインスリンアナログ−免疫グロブリンFc結合体を単独投与又は併用投与で4週間で二日に一回ずつdb/dbマウスに皮下投与した前後による体重変化を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
前記目的を達成するために、一つの態様として、本発明は、インスリン及びGLP−1/グルカゴン二重アゴニストを含む糖尿病の予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
【0014】
前記インスリンは、持続型インスリンであり、インスリン及び生体適合性物質又は担体がリンカー又は共有結合で連結された持続型インスリン結合体であり、前記GLP−1/グルカゴン二重アゴニストは、持続型GLP−1/グルカゴン二重作用剤であり、GLP− 1/グルカゴン二重アゴニスト及び生体適合性物質又は担体がリンカー又は共有結合で連結された持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体であることができる。本発明の組成物は、持続型インスリン結合体及び持続型GLP−1/グルカゴン二重作用剤が併用投与されることを特徴とする。本発明のインスリン及びGLP−1/グルカゴン二重アゴニストは、持続型であることを特徴とする。
【0015】
本発明の前記組成物は、GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト:インスリンのモル比が1:0.05〜1:50の範囲であってもよいが、本発明による効果を示す限り、それに限定されない。好ましくは、前記インスリン及びGLP−1/グルカゴン二重アゴニストは持続型であり、生体適合性物質又は担体が連結された結合体の形態であることができる。
【0016】
本発明において、前記インスリンは、インスリン受容体に対する刺激活性の有するすべてのペプチド又は修飾ペプチドを含む。例えば、前記インスリンは天然型インスリン、速効型インスリン、basalインスリン、天然型インスリンで一部のアミノ酸が置換、追加、除去及び修飾のいずれか一つの方法又はこれらの方法の組み合わせにより改変が起こったインスリンアナログ、又はこれらの断片であることができる。また、本発明において、インスリンは、短い半減期を克服するための持続型の技術を適用した持続型インスリンであることができる。好ましくは、持続型インスリン又は持続型インスリンアナログは一週間一回投与することができる。本発明における前記インスリンの具体的な例を一部を挙げると、韓国登録特許第10−1058290号(特許文献2)、韓国特許出願第10−2014−0022909号(特許文献3)及び、第10−2014−0006938号(特許文献5)に記載されたインスリン又はインスリンアナログとその持続型を含むが、それに制限されない。
【0017】
本発明における用語、「インスリンアナログ」とは、天然型配列のから1つ以上のアミノ酸が変形されたペプチドを意味する。
【0018】
前記インスリンアナログは、野生型に比べてインスリン力価が減少及び/又はインスリン受容体結合親和性が減少した、インスリンのA鎖又はB鎖のアミノ酸が変異されたインスリンアナログであることができる。天然型インスリンのアミノ酸配列は下記の通りである。
【0019】
A鎖:
Gly-Ile-Val-Glu-Gln-Cys-Cys-Thr-Ser-Ile-Cys-Ser-Leu-Tyr-Gln-Leu-Glu-Asn-Tyr-Cys-Asn(配列番号37)
【0020】
B鎖:
Phe-Val-Asn-Gln-His-Leu-Cys-Gly-Ser-His-Leu-Val-Glu-Ala-Leu-Tyr-Leu-Val-Cys-Gly-Glu-Arg-Gly-Phe-Phe-Tyr-Thr-Pro-Lys-Thr(配列番号38)
【0021】
本発明の実施例で使用されたインスリンは、遺伝子組換えにより製作されたインスリンアナログであるが、本発明はこれに限定されない。好ましくは、前記インスリンは、逆向きインスリン(inverted insulin)、インスリン変異体(variants)、インスリン断片(fragments)などを含み、また、これらの製造方法は、遺伝子組換えだけでなく、solid phase方法も含んでいるが、これに限定されない。
【0022】
インスリンアナログは、インスリンと同一な生体内の血糖調節機能を有するペプチドである。このようなペプチドは、インスリンアゴニスト、誘導体、断片、変異体などを含む。
【0023】
本発明のインスリンアゴニストは、インスリンの構造に係わらず、生体内インスリン受容体に結合してインスリンと同一な生物学的活性を示す物質を意味する。
【0024】
本発明のインスリンアナログは、天然型インスリンのA鎖、B鎖とそれぞれアミノ酸配列相同性を示し、少なくとも一つ以上のアミノ酸残基が置換(例えば、α-メチル化、α-ヒドロキシル化)、除去(例えば、脱アミノ化)又は修飾(例えば、N-メチル化)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される変形された形態であることができ、血糖を調節する機能を有するペプチドを意味することができる。
【0025】
本発明において、前記インスリンアナログは、天然型インスリンとアミノ酸配列が典型的相同性がなくても、インスリン受容体と結合して血糖を調節することができるペプチドミミック及び低分子又は高分子化合物を意味することができる。
【0026】
本発明のインスリン断片は、インスリンに1つ又はそれ以上のアミノ酸が追加又は除去された形態を意味する。前記追加されたアミノ酸は、天然の状態で存在しないアミノ酸(例えば、D型アミノ酸)であることができる。このようなインスリン断片は血糖調節機能を有する。
【0027】
本発明のインスリン変異体は、インスリンとアミノ酸配列が一つ以上異なるペプチドであり、体内で血糖調節機能を有するペプチドを意味する。
【0028】
前記インスリンアゴニスト、誘導体、断片、及び変異体の製造方法は単独又は組み合わせて使用することができる。例えば、本発明は、天然ペプチドとは異なる一つ以上のアミノ酸を有し、末端アミノ酸残基の脱アミノ化を有し、体内の血糖値を制御する機能を有するペプチドを含む。
【0029】
具体的には、前記インスリンアナログは、B鎖の1番目のアミノ酸、2番目のアミノ酸、3番目のアミノ酸、5番目のアミノ酸、8番目のアミノ酸、10番目のアミノ酸、12番目のアミノ酸、16番目のアミノ酸、23番目のアミノ酸、24番目のアミノ酸、25番目のアミノ酸、26番目のアミノ酸、27番目のアミノ酸、28番目のアミノ酸、29番目のアミノ酸及び30番目のアミノ酸、
A鎖の5番目のアミノ酸、8番目のアミノ酸、10番目のアミノ酸、12番目のアミノ酸、14番目のアミノ酸、16番目のアミノ酸、17番目のアミノ酸、18番目のアミノ酸、19番目及び21番目のアミノ酸からなる群から選択された一つ又はそれ以上のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたものであることができ、好ましくは、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン、イソロイシン、バリン、グルタミン、グリシン、リジン、ヒスチジン、システイン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、スレオニン、アスパラギン酢酸で置換されたものであることができる。また、一つ以上のアミノ酸が欠失されたインスリンアナログも、本発明の範囲内に含まれるが、任意のインスリンアナログが制限なく含まれてもよい。
【0030】
好ましいインスリンアナログは、生体適合性物質又は担体と結合する時、野生型インスリンに比べて半減期が増加したインスリンアナログであり、これは、米国特許出願第10−2014−0022909号(特許文献6)及び第10−2014−0006938号(特許文献7)に開示されたインスリンアナログであることができるが、これに制限はない。
【0031】
本発明において、前記GLP−1/グルカゴン二重アゴニストは、天然型GLP−1/グルカゴン二重アゴニストであるオキシントモジュリンと同様にGLP−1/グルカゴンの二重作用活性を有するすべてのペプチド又はこれらの断片、前駆体、変異体や誘導体を含む。本発明において、前記GLP−1/グルカゴン二重アゴニストは、短い半減期を克服するための持続型の技術を適用したGLP−1/グルカゴン二重アゴニストであることができ、好ましくは、一週間一回投与することができる持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニストである。本発明における前記GLP−1/グルカゴン二重アゴニストの具体的な例は、韓国公開特許第10−2012−0137271号(特許文献8)及び韓国公開特許第10−2012−0139579号(特許文献8)で記載された前記GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト、その誘導体及びその持続型が部分的に含み、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
本発明の用語「オキシントモジュリン」とは、グルカゴン前駆体であるプレ−グルカゴン(pre−glucagon)から由来したペプチドを意味し、天然型オキシントモジュリン(Oxyntomodulin)、前駆体、誘導体、断片及び変異体などを含む。好ましくは、配列番号39(HSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNTKRNRNNIA)で表されるアミノ酸配列を有する。
【0033】
前記用語「オキシントモジュリン変異体」とは、オキシントモジュリンとアミノ酸配列が一つ以上異なるペプチドであり、GLP−1及びグルカゴン受容体を活性化する機能を有するペプチドを意味し、天然型オキシントモジュリンの一部のアミノ酸が置換、追加、除去及び修飾のいずれか一つの方法又はこれらの方法の組み合わせにより製造されることができる。
【0034】
前記用語「オキシントモジュリン誘導体」とは、オキシントモジュリンのアミノ酸を付加、欠失又は置換により製作してGLP−1受容体及びグルカゴン受容体の両方を元来のオキシントモジュリンに比べて高いレベルに活性化させることができるペプチド、ペプチド誘導体又はペプチドミメティックを含む。好ましくは、前記オキシントモジュリン誘導体は、配列番号40で表させるアミノ酸配列を有し、より好ましくは、その16番目及び20番目のアミノ酸が環を形成する。
【0035】
前記用語「オキシントモジュリン断片」とは、断片が前記天然型オキシントモジュリンのN−末端又はC−末端で1つ以上のアミノ酸が追加又は除去され、天然に存在しないアミノ酸(例えば、D型アミノ酸)が付加されることができ、GLP−1受容体及びグルカゴン受容体の両方を活性化する機能を有する。
【0036】
オキシントモジュリンの変異体、誘導体、及び断片のそれぞれの製造方法は単独又は組み合わせて使用することができる。例えば、本発明は、天然ペプチドとは異なる一つ以上のアミノ酸及びN-末端アミノ酸残基の脱アミノ化を有し、GLP-1受容体及びグルカゴン受容体の両方を活性化する機能を有するペプチドを含む。
【0037】
本発明の一実施形態において、前記インスリン及びGLP−1/グルカゴン二重アゴニストの持続型は、前記インスリン又は二重アゴニストに生体適合性物質や担体(carrier)がリンカー又は共有結合により連結された結合形態であることができる。他の一実施形態においては、このような持続型が、前記インスリン又は二重アゴニストに生体適合性物質や担体が共有結合で直接連結されないものの形態であることができる。前述したインスリン又はGLP−1/グルカゴン二重アゴニストの持続型は前記インスリン又は二重アゴニストの配列が持続型ではない形態と比較して半減期又は生体利用率を向上させること以外は同一である。本発明の一実施形態では、前記持続型インスリンは、免疫グロブリンFc領域がインスリンA鎖の14番目のアミノ酸がグルタミン酸で置換されたインスリンアナログにリンカーとしての非ペプチジルポリマーを介して結合した形態である。前記持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニストは、免疫グロブリンFc領域がGLP-1/グルカゴン二重アゴニストの30位のアミノ酸にリンカーとして非ペプチジルポリマーによって連結されているが、これに限定されるものではない。
【0038】
本発明者らは、インスリン及びGLP−1/グルカゴン二重アゴニストを併用して投与するとインスリン単独治療時に伴う体重増加を防止し、インスリンの使用量を減少させ、低血糖のリスクを下げることができ、また、二重アゴニスト単独投与時、より優れた血糖減少効力のために、前記両薬剤の併用投与がそれぞれの単独投与より副作用を減らし、効力を高めることができることを確認した。本発明者らは、前記併用投与用組成物が、既存の糖尿病治療剤の副作用を抑えながら、効果的な治療剤として使用され得ることを確認した。
【0039】
本発明の用語、「生体適合性物質」又は「担体」とは、直接又は間接的に、本発明のインスリン又はインスリンアナログ、又はGLP−1/グルカゴン二重アゴニストに共有又は非共有結合により連結されて結合体を形成した時、前記インスリン又はインスリンアナログ、又はGLP−1/グルカゴン二重アゴニストの活性持続時間を伸ばす物質である。例えば、結合体を形成する時、前記インスリン又はインスリンアナログ、又は二重アゴニストの生体内半減期を増加させることができる物質は、本発明における生体適合性物質又は担体であることができる。半減期の増大にするために用いることができる生体適合性物質又は担体の種類は、例えば、ポリエチレングリコール、脂肪酸、コレステロール、アルブミン及びその断片、アルブミン結合物質、特定のアミノ酸配列の繰り返し単位のポリマー、抗体、抗体断片、Fc新生児受容体(FcRn)結合物質、生体内結合組織、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン、糖類、ポリマーなどを含むが、これに限定されない。もちろん、それらは、前述した担体又は生体適合性物質中、二つ以上を組み合わせて使用することもできる。前記生体適合性物質又は担体は、共有又は非共有結合して生体内半減期を延長する生体適合性物質を含む。
【0040】
本発明において、インスリン又は二重アゴニストに生体適合性物質又は担体が連結される方法は、遺伝子組換え方法及びポリマー又は低分子化学物質を利用した生体内結合などを含むが、これに限定されない。前記FcRn結合物質は、免疫グロブリンFc領域であることができる。例えば、ポリエチレングリコールを担体として使用する時、位置特異的にポリエチレングリコールを付着することができるAmbrx社のRecode技術が含まれることができる。また、グリコシル化部分に特異的に結合することができるNeose社のグリコPEG化(glycopegylation)技術も含まれ得る。また、生体内でポリエチレングリコールがゆっくりと除去される放出可能なPEG技術がこれに含まれることができるが、これらに限定されない。これらは、PEGを用いて生体内利用率を高めた技術が含むことができる。また、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコール共ポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、生分解性ポリマー、脂質ポリマー、キチン類、ヒアルロン酸のような高分子ポリマーも含まれることができる。
【0041】
前記アルブミンを担体として使用する場合、アルブミン又はアルブミンの断片を直接的に前記インスリンのペプチドに共有結合して生体内安定性を向上させることができる技術が含まれることができる。アルブミンを直接結合しなくても前記アルブミンに結合する物質、例えば、アルブミン特異的結合抗体又は抗体断片を前記ペプチドに結合させてアルブミンに結合させる技術、及びアルブミンに結合力を有する特定のペプチド/タンパク質を前記ペプチドに結合する技術が含まれることができる。またk、アルブミンに結合力を有する脂肪酸などを結合させる技術が含まれることができるが、これらに限定されない。アルブミンを用いた生体内安定性を向上させる任意の技術又は結合方法などがこれに含まれることができる。
【0042】
生体内半減期を増加させるために抗体又は抗体断片を担体として使用し、前記ペプチドに結合させる技術も本発明に含まれることができる。FcRn結合部位を有する抗体又は抗体断片を用いることができ、FabなどのFcRn結合部位を含まない任意の抗体断片を用いることができる。触媒的抗体を利用するCovX社のCovX−body技術がこれに含まれることができ、Fc断片を用いて生体内半減期を増加させる技術も本発明に含まれることができる。Fc断片を利用する場合、Fc断片及び前記ペプチドに結合するリンカー及びその結合方法は、ペプチド結合又はポリエチレングリコールなどであり得るが、これらに限定されなく、いかなる化学的結合方法も可能である。また、Fc断片及び本発明のインスリンの結合比は1:1又は1:2であり得るが、これに限定されない。
【0043】
生体内半減期を増加させるために、ペプチド又はタンパク質断片を担体として使用してインスリンアナログに結合させる技術も本発明に含まれることができる。使用されるペプチド又はタンパク質断片は、特定のアミノ酸の組み合わせの繰り返し単位で構成されたエラスチン様ポリペプチド(Elastin like polypeptide、ELP)であることができ、Versartis社の人為的ポリペプチドPEGであるXten技術も本発明に含まれる。また、Zealand社のmulti−Lysineを利用して生体内半減期を増加させる構造形成プローブ(Structure inducing probe(SIP)技術もこれに含まれる。Prolor社の融合技術もこれに含まれる。生体内安定性が高いことが知られているトランスフェリン、又は結合組織の構成成分であるフィブロネクチン及びその誘導体なども含まれることができる。本発明のインスリンに結合させるペプチド又はタンパク質は、これに限定されず、インスリンの生体内半減期を増加させる任意のペプチド又はタンパク質も本発明の範囲に含まれる。また、本発明のインスリンと生体内半減期を増加させるペプチド又はタンパク質との結合は、共有結合であることができる。使用されるリンカーの種類及び結合方法は、ペプチド結合又はポリエチレングリコールなどであることができるが、必ずしもこれに限定されず、任意の化学的結合方法も可能である。
【0044】
また、生体内半減期を増加させるために使用される担体は、ポリサカライド又は脂肪酸などの非ペプチド性物質であることができる。
【0045】
前記生体内半減期を増加させる担体を連結するリンカーは、ペプチド、ポリエチレングリコール、脂肪酸、糖類、ポリマー、低分子化合物、ヌクレオチド及びこれらの組み合わせからなることができ、非共有化学結合又は共有化学結合など、任意の化学的結合であることができ、その制限はない。
【0046】
生体利用率を増加又は継続的に活性を維持することができる製剤としては、PLGA、ヒアルロン酸、キトサンなどを用いたマイクロ粒子、ナノ粒子などによる徐放性製剤を含むことができる。
【0047】
また、生体利用率を増加又は継続的な活性を維持することができる他の態様の製剤としては、インプラント、吸入剤(inhalation)、経鼻(transnasal)製剤、パッチのような製剤であることができる。
【0048】
本発明の一具体的実施形態において、本発明のGLP−1/グルカゴン二重アゴニストと併用投与可能なインスリンの例としては、天然型インスリン、インスリンアナログ、持続型インスリン(例えば、天然型インスリンであるHumulin、Novolin、速効性インスリンであるNovolog、Humalog、Apidra、持続型インスリンであるLantus、Levemir、Tresiba)などを挙げることができる。
【0049】
本発明の他の具体的な実施形態において、本発明のインスリン又はインスリンアナログとその持続型剤形と共に併用投与可能なGLP−1/グルカゴン二重アゴニストの例には、オキシントモジュリンのような天然型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト、その誘導体及びその持続型剤形などが含まれることができる。
【0050】
本発明で使用することができる担体物質は、抗体、免疫グロブリンFc領域、アルブミン、脂肪酸、炭水化物、繰り返し単位のペプチドを有するポリマー、トランスフェリン及びPEGで構成された群から選択されるができ、好ましくは、免疫グロブリンFc領域である。本発明の具体的な実施形態において、持続型インスリン又は持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニストは、非ペプチド性ポリマーをリンカーとして担体に連結される。より具体的実施形態において、この非ペプチド性ポリマーリンカーに連結された担体は、免疫グロブリンFc断片である。
【0051】
本発明において、持続型インスリン結合体(又は略してインスリン結合体)又は持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体(又は略して二重アゴニスト結合体)は、インスリン又は二重アゴニストが免疫グロブリンFc領域と連結された形態であり、持続性及び安全性を示す。免疫グロブリンFc領域と、前記インスリン又は二重アゴニストとの結合は、リンカーのないインフレーム(inframe)融合又は非ペプチド性ポリマーをリンカーとして使用して連結することができる。本発明において、免疫グロブリンFcは、免疫グロブリン断片と混合して使用されることができる。
【0052】
前記用語、「非ペプチド性ポリマー」とは、繰り返し単位が2つ以上結合された生体適合性ポリマーを意味し、前記繰り返し単位はペプチド結合ではなく、任意の共有結合を通じて互いに連結される。本発明において、前記非ペプチド性ポリマーは、非ペプチド性リンカーと混用して使用されることができる。
【0053】
本発明において有用な非ペプチジルポリマーは、生分解性ポリマー、脂質ポリマー、キチン、ヒアルロン酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されることができる。前記生分解性ポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコールの共ポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(ポリ乳酸、polylactic acid)及びPLGA(ポリラクチク−グリコール酸、polylactic−glycolic acid)であることができ、好ましくはポリプロピレングリコールである。また、当該技術分野において公知の誘導体及び当該分野で公知の方法により容易に調製される誘導体も本発明の範囲に含まれることができる。
【0054】
既存のインフレーム融合方法で製造された融合タンパク質で使用されたペプチドリンカーは、生体内でタンパク質分解酵素により容易に切断され、担体による活性薬物の血中半減期の増加効果を期待だけ得ることができないという欠点がある。しかし、本発明では、タンパク質分解酵素に対する耐性を有するポリマーを用いてペプチドの血清半減期を担体と同様に維持することができる。したがって、本発明で使用することができる非ペプチド性ポリマーは、前記のような役割、即ち、生体内の蛋白質分解酵素に抵抗性のあるポリマーであれば制限なく使用されることができる。非ペプチド性ポリマーの分子量は、1〜100 kDaの範囲、好ましくは1〜20 kDaの範囲である。前記免疫グロブリンFc領域に連結された本発明の非ペプチド性ポリマーは、1つのタイプのポリマー又は異なるタイプのポリマーの組み合わせであってもよい。
【0055】
本発明で使用される非ペプチド性ポリマーは、免疫グロブリンFc領域及び蛋白質薬物と結合することができる反応基を有する。前記非ペプチド性ポリマーは両末端に反応基を有し、反応アルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、ブチルアルデヒド基、マレイミド(maleimide)基及びスクシンイミド(succinimide)誘導体からなる群から選択されることが望ましい。前記スクシンイミド誘導体は、スクシンイミジルプロピオネート、ヒドロキシスクシンイミジル、スクシンイミジルカルボキシメチル又はスクシンイミジル炭酸であり得る。特に、前記非ペプチド性ポリマーが両末端に反応アルデヒド基の反応基を有する場合、非特異的反応を最小化し、非ペプチド性ポリマーの両末端で生理活性ポリペプチド及び免疫グロブリンとそれぞれ結合するのに効果的である。アルデヒド結合による還元性アルキル化で生成された最終産物は、アミド結合で連結されたものよりも遥かに安定している。前記アルデヒド反応基は、低いpHでN−末端に選択的に反応し、高いpH、例えば、pH9.0の条件ではリジン残基と共有結合を形成する。前記非ペプチド性ポリマーの両末端の反応基は、互いに同一又は異なることができる。例えば、前記非ペプチド性ポリマーは一方の末端にはマレイミド基を、他方の末端にはアルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、又はブチルアルデヒドグループを有することができる。両方の末端にヒドロキシ反応基を有するポリエチレングリコールを非ペプチド性ポリマーとして利用する場合には、公知の化学反応により、前記ヒドロキシ基を前記多様な反応基で活性化したり、商業的に入手可能な変形された反応基を有するポリエチレングリコールを用いて本発明の持続型GLP−1/グルカゴン結合体を製造することができる。
【0056】
また、前記免疫グロブリンFc領域は、分子量が全分子に比べて相対的に小さいだけでなく、材料の均一性が大幅に向上しているため、結合体の製造、精製及び収率の面で有利であり、アミノ酸配列が抗体ごとに異なり、高い非均質性を示すFab部分が欠失しているため、血液中の抗原性を誘導することが低下する。
【0057】
また、前記用語、「免疫グロブリンFc領域」とは、免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖の可変領域、重鎖不変領域1(CH1)及び軽鎖不変領域(CL1)を除いた重鎖不変領域2(CH2)及び重鎖不変領域3(CH3)の部分を意味し、重鎖不変領域にヒンジ(hinge)部分を含むことができる。また、本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然型に同等又は向上した生理学的効果を有する限り、前記免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖の可変領域のみを除いて、重鎖不変領域1(CH1)及び/又は軽鎖不変領域1(CL1)を含む一部又は全体のFc領域であることができる。また、前記免疫グロブリンFc領域は、CH2及び/又はCH3に比較的長い部分に欠失を有する断片であることができる。即ち、本発明の免疫グロブリンFc領域は、1)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、及びCH4ドメイン、2)CH1ドメイン及びCH2ドメイン、3)CH1ドメイン及びCH3ドメイン、4)CH2ドメイン及びCH3ドメイン、5)1つ又は2つの以上のドメインと免疫グロブリンヒンジ領域(又はヒンジ領域の一部)との組み合わせ、及び6)重鎖不変領域及び軽鎖不変領域の各ドメインの二量体を含むことができる。
【0058】
また、本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然型アミノ酸配列だけでなく、その配列誘導体(mutant)を含む。アミノ酸配列誘導体は、天然アミノ酸配列の一つ以上のアミノ酸残基が欠失、挿入、非保全的又は保全的置換又はこれらの組み合わせにより異なる配列を有する。例えば、IgG Fcの場合、結合において重要であると知られている214〜238、297〜299、318〜322又は327〜331番目のアミノ酸残基が変形のために適当な標的として利用されることができる。
【0059】
また、ジスルフィド結合を形成することができる部位が除去されるか、又は天然型FcのN−末端で一部のアミノ酸が除去されるか、又はメチオニン残基が付加されることを含むことができる多様な種類の誘導体が可能である。また、エフェクター機能を除去するため、補体結合部位、例えば、C1q結合部位及びADCC(antibody dependent cell mediated cytotoxicity)部位が除去されることができる。免疫グロブリンFc領域のそのような配列誘導体を調製する技術は、国際特許公開第WO97/34631号(特許文献10)、国際特許公開第WO96/32478号(特許文献11)に開示されている。
【0060】
分子の活性を全体的に変更させないタンパク質及びペプチドにおけるアミノ酸の交換は、当該分野で公知されている(非特許文献1)。最も通常起こる交換は、Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thy/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Gly間の交換である。また、Fc領域は、必要に応じて、リン酸化、硫酸化、アクリル化、グリコシル化、メチル化、ファルネシル化、アセチル化、アミド化などによって修飾することができる
【0061】
前述したFc誘導体は、本発明のFc領域と同一な生物学的活性を示し、Fc領域に比べて、例えば、熱、pHなどに対する構造的安定性が改善された誘導体である。
【0062】
また、これらのFc領域は、ウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ウサギ、ハムスター、ラット、又はモルモットを含むヒト及び他の動物から単離された天然型から得られることもでき、形質転換された動物細胞又は微生物から得られた組換え又はその誘導体であることができる。本発明では、ヒト又は動物の生物体から全免疫グロブリンを単離し、次いでそれらをタンパク質分解酵素で処理することによって天然の免疫グロブリンから得ることができる。パパインは天然免疫グロブリンをFab及びFc領域に消化し、ペプシン処理はpF’c及びF(ab)2断片の産生をもたらす。これらの断片は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーなどを利用してFc又はpF’cを2断片を分離することができる。好ましくは、ヒト由来のFc領域を微生物から得た組換え免疫グロブリンFc領域である。
【0063】
また、前記免疫グロブリンFc領域は、天然型糖鎖、天然型に比べて増加した糖鎖又は天然型に比べて減少した糖鎖を有する形態であってもよく、脱グリコシル化された形態であってもよい。免疫グロブリンFc糖鎖の増加、減少又は除去は、化学的方法、酵素的方法及び微生物を用いた遺伝子工学的方法のような当技術分野で一般的に使用される方法によって達成することができる。Fc領域から糖鎖の除去は、第1補体成分であるC1のC1q部分に対する結合親和性の急激な低下、及び抗体依存性細胞媒介性細胞毒性、又は補体依存性細胞毒性の減少又は損失をもたらし、生体内で不要な免疫反応を誘発しない。これに関して、脱グリコシル化又は非グリコシル化形態の免疫グロブリンFc領域は、本発明の目的に対して、薬物担体としてより適切であり得る。
【0064】
本発明の用語、「脱グリコシル化」とは、Fc領域から酵素的に糖部分を除去したことを意味し、前記用語、アグリコシル化とは、Fc領域が原核生物、好ましくは大腸菌によって非グリコシル化形態で産生されることを意味する。
【0065】
一方、前記免疫グロブリンFc領域は、牛、ヤギ、ブタ、マウス、ウサギ、ハムスター、ラット、モルモットなどを含むヒト又は動物から由来することができ、好ましくはヒト由来である。
【0066】
また、前記免疫グロブリンFc領域は、IgG、IgA、IgD、IgE、IgM由来のFc領域又はこれらの組み合わせ又はこれらのハイブリッドによるFc領域であることができる。好ましくは、ヒト血液中に最も豊富なIgG又はIgM由来であり、最も好ましくは、リガンド結合タンパク質の半減期を向上させることが公知となったIgG由来である。
【0067】
一方、本発明の用語、「組み合わせ」とは、同じ起点の一本鎖免疫グロブリンFc領域をコードするポリペプチドは、異なる起源の一本鎖ポリペプチドに連結して二量体又は多量体を形成する。即ち、IgG Fc、IgA Fc、IgM Fc、IgD Fc及びIgEのFc断片からなる群から選択された2つ以上の断片から形成することができる。
【0068】
本発明の用語、「ハイブリッド」とは、異なる起源の少なくとも2つのFc断片に対応する配列が一本鎖免疫グロブリンFc領域に存在することを意味する。本発明においては、多様な形態のハイブリッドが可能である。即ち、IgG Fc、IgM Fc、IgA Fc、IgE Fc及びIgD FcのCH1、CH2、CH3、及びCH4からなる群から選択される1個〜4個のドメインからなるハイブリッドが可能であり、ヒンジを含むことができる。
【0069】
一方、IgGはIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4のサブクラスに分けることができ、本発明では、これらの組み合わせ、又はこれらのハイブリダイゼーションも可能である。好ましくは、IgG2及びIgG4サブクラスであり、最も好ましくは補体依存毒性(CDC、Complement dependent cytotoxicity)のような実質的なエフェクター機能を有するIgG4のFc領域である。
【0070】
すなわち、本発明の薬物の担体の免疫グロブリンFc領域は、例えば、ヒトIgG4由来の非グリコシル化Fc領域であってもよいが、これに限定されるものではない。ヒト由来のFc領域は、望ましくない免疫応答を引き起こすことができる非ヒト由来のFc領域と比較して、例えば、ヒトの体内の抗原として作用して新しい抗体を産生することができることが好ましい。
【0071】
本発明の持続型インスリン結合体の製造方法は、特に限定されない。例えば、調製方法の詳細及びその効果については、例えば、韓国登録特許第10−1330868号(特許文献12)、第10−1324828号(特許文献13)、第10−1058290号(特許文献2)、韓国公開特許第10−2011−0111267号(特許文献14)、及び韓国出願第10−2014−0022909号(特許文献6)で見出すことができる。本発明の一実施例では、免疫グロブリンFc領域のN末端にモノ−PEG化(mono−PEGylation)した後、これをインスリン及びインスリンアナログのB鎖の1番目のフェニルアラニンに修飾させ、持続型インスリンアナログ結合体を製造した(実施例8)。
【0072】
本発明の持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニストの製造方法は、特に限定されない。詳しい製造方法の例及びその効力は、例えば、韓国公開特許第10−2012−0139579号に記述されている。本発明の一実施例では、免疫グロブリンFc領域のN−末端にモノ−PEG化した後、これをGLP−1/グルカゴン二重アゴニストの30番目のシステイン残基に修飾させ、持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体を製造した。
【0073】
他の態様として、本発明は、持続型インスリン及び持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体を有する組成物を提供する。
【0074】
このような本発明の持続型インスリン結合体と持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体とを併用投与すると、前記持続型インスリン結合体がインスリン受容体に作用し、持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体がグルカゴン様ペプチド−1受容体とグルカゴン受容体に同時に作用し、それぞれの単独投与時より血中糖の濃度を減少させ、安定した変化推移を示す。また、前記結合体を併用投与した場合、インスリン単独投与時に現れる低血糖のリスクを低下させ、インスリン分泌ペプチドによる総インスリン投与量を下げることができる。持続型インスリン結合体及び持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体の使用は、血中半減期及び生体内効力持続効果の画期的な増加により毎日投与されなければならない慢性患者に投与回数を減少させ、患者の生活の質を向上させる大きな利点があり、糖尿病の治療に大いに役立つ。また、本発明の薬学的組成物は、優れた生体内持続性及び用量閾値を有し、併用投与で使用される容量を大幅に減らすことができる。
【0075】
持続型インスリン結合体及び持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体は、同時に、順次的に、又は逆順的に投与することができ、適切な有効量及び組み合わせで同時に投与されることができる。また、好ましくは、持続型インスリン結合体及び持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体が、別々の容器に保存した後、同時に、順次的に又は逆順的に併用投与することができる。
【0076】
本発明の併用投与用組成物である持続型インスリン結合体及び持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体は、一つの容器に含まれた糖尿病治療用キットの形態であってもよいし、別の容器に保管されたものである糖尿病治療用キットの形態であってもよい。このようなキットは、薬学的に許容可能な担体及びキットの使用説明書を含むことができる。
【0077】
本発明において、前記用語、「糖尿病」とは、血糖値の上昇を特徴とするインスリン分泌が不十分であるか、正常な機能が発揮されない代謝性疾患を意味する。本発明の組成物を個体に併用投与することにより、血糖値を調節して糖尿病を治療することができる。
【0078】
本発明において、前記用語、「予防」とは、本発明の組成物の併用投与により糖尿病を阻害又は遅延させる全ての行為を意味する。前記「治療」とは、本発明の組成物の併用投与により糖尿病の症状を緩和、改善又は緩和するすべての行為を意味する。前記糖尿病の治療は、糖尿病が発生する可能性のある任意の哺乳動物に適用が可能であり、その例として、ヒト及び霊長類だけでなく、牛、豚、羊、馬、犬及び猫などの家畜を制限なく含むが、好ましくはヒトであり得る。
【0079】
本発明において、前記用語、「投与」とは、任意の適切な方法で患者に所定の物質を導入することを意味する。本発明の組成物の投与経路は、薬物が目的の組織に到達することができる限り、任意の一般的な経路を通じて投与されることができる。腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻腔内投与、肺内投与、直腸内投与などになり得るが、これに限定されない。しかし、経口投与する時、ペプチドは消化されるため、経口用組成物は、活性薬剤をコーティングしたり、胃腸における分解から保護されるように剤形化することが望ましい。好ましくは、注射剤の形態で投与することができる。また、持続性製剤は、活性物質が標的細胞に移動することができる任意の装置により投与することができる。
【0080】
また、本発明の薬学的組成物は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別、及び体重と疾患の重症度などの多様な関連因子と共に、活性成分である薬物の種類に応じて決定される。
【0081】
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体を含むことができる。本発明において、前記用語、「薬学的に許容可能な担体」とは、生物を刺激せずに投与化合物の生物学的活性及び特性を阻害しない担体又は希釈剤を意味する。経口投与時には、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、色素及び香料などを使用することができ、注射剤の場合には、緩衝剤、保存剤、無痛化剤、可溶化剤、等張化剤及び安定化剤などを混合して使用することができ、局所投与用の場合には、基剤、賦形剤、潤滑剤及び保存剤などを使用することができる。本発明の薬学的組成物の剤形は、上述したような薬学的に許容される担体と混合して多様に製造することができる。例えば、経口投与時には、錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ及びウエハーなどの形態で製造することができ、注射剤の場合には、単位投薬アンプル又は多数回投薬の形態で製造することができる。その他、溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル及び徐放性製剤などに剤形化することができる。
【0082】
一方、製剤化に適した担体、賦形剤及び希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシア、アルギン酸塩、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム又は鉱物油などが使用されることができる。また、充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料及び防腐剤などをさらに含むことができる。
【0083】
もう一つの態様として、本発明は、前記インスリン及びGLP−1/グルカゴン二重アゴニストを含む組成物を、糖尿病にかかる危険があるか、かかった個体に投与する段階を含む、糖尿病の予防又は治療方法を提供する。
【0084】
前記組成物の説明は、前記の通りである。
【0085】
前記投与する段階は、持続型インスリン結合体及び持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体を併用投与することにより行われることができ、これに限定されるものではないが、それぞれ同時に、順次的に、又は逆順的に投与することができ、適切な有効量の組み合わせで同時に投与することができる。持続型インスリン結合体及び持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体の両方を含む本発明の組成物は、週1回の投与でも血糖値を優れて下げながら、体重増加の副作用をもたらさないところ、糖尿病の予防又は治療に使用することができる。
【0086】
発明を実施するための具体的な内容
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。これら実施例は、単に本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されるものと解釈されない。
【実施例】
【0087】
実施例1:一本鎖インスリンアナログ発現ベクターの作製
インスリンのA鎖又はB鎖アミノ酸を変化させたインスリンアナログを作製するために、鋳型として天然インシュリン発現ベクターを用いて順方向及び逆方向オリゴヌクレオチドを合成し(表2)、PCRを行い、それぞれのアナログ遺伝子を増幅した。
【0088】
下記表1に、それぞれのA鎖又はB鎖のアミノ酸の変化配列及びアナログ名を示した。即ち、アナログ1の場合は、A鎖の1番目のグリシンをアラニンに置換した形態であり、アナログ4の場合、B鎖の8番目のグリシンがアラニンに置換された形態である。
【0089】
【表1】
【0090】
インスリンアナログ増幅のためのプライマーは、下記表2に示した。
【0091】
【表2】
【0092】
インスリンアナログ増幅のためのPCR条件は、95℃で30秒、55℃で30秒、68℃で6分であり、この過程を18回繰り返した。この条件下で得られたインスリンアナログ断片は、細胞内の封入体の形態で発現させるためにpET22b発現ベクターに挿入した。このように得られた前記発現ベクターをpET22b−インスリンアナログ1〜9と命名した。前記発現ベクターは、T7プロモーターの調節下にインスリンアナログ1〜9のアミノ酸配列をコードする核酸を含み、宿主内でインスリンアナログのタンパク質を封入体の形態で発現させた。
【0093】
インスリンアナログ1〜9のそれぞれのDNA配列及びタンパク質配列を以下の表3に示した。
【0094】
【表3】


【0095】
実施例2:組換えインスリンアナログ融合ペプチドの発現
T7プロモーター調節下に組換えインスリンアナログの発現を行った。各組換えインスリンアナログ発現ベクターとしてE.coli BL21−DE3(E.coli B F−dcm ompT hsdS(rB−mB−)gal DE3);ノバジェン)を形質転換した。前記形質転換は、ノバジェン社で推薦する方法に従った。各組換え発現ベクターが形質転換されたそれぞれの単一コロニーを取り、アンピシリン(50/ml)が含まれた2Xルリアブロス(Luria Broth、LB)培地に接種し、37℃で15時間培養した。前記組換え菌株の培養液及び30%のグリセロールが含まれた2X LB培地を1:1(v/v)の割合で混合した。前記培養液を各1 mlずつクライオ−チューブに分注し、−140℃で保管した。これを組換え融合タンパク質の生産のための細胞ストック(cell stock)として使用した。
【0096】
組換えインスリンアナログの発現のために、各細胞ストック1バイアルを溶かし、500mlの2Xルリアブロスに接種し、37℃で14〜16時間振とう培養した。OD600の値が5.0以上を示すと、培養を終了し、これを種培養液として使用した。50Lの発酵器(MSJ−U2、BEMARUBISHI、日本)を用いて前記種培養液を17Lの発酵培地に接種し、初期発酵を開始した。培養条件は、温度37℃、空気量20L/分(1 vvm)、攪拌速度500rpm及び30%のアンモニア水を使用してpH6.70に維持させた。培養液中の栄養が発酵の進行に制限されていた場合、回分培養は流入溶液を添加して行った。菌株の成長はOD値によりモニタリングし、OD値が100以上で最終濃度500 MのIPTGを添加した。前記培養は、誘導後約23〜25時間さらに進行した。前記培養終了した後、遠心分離器を使用して組換え菌株を回収して使用時まで−80℃で保管した。
【0097】
実施例3:組換えインスリンアナログの数およびリフォールディング
前記実施例2で発現させた組換えインスリンアナログを可溶性の形態に変えるために、細胞を破砕してリフォールディングした。細胞ペレット100 g(wet weight)を1Lの溶解緩衝液(50mM Tris−HCl(pH9.0)、1mM EDTA(pH8.0)、0.2M NaCl、及び0.5%トリトンX−100)に再懸濁した。前記細胞は、微細溶液化(microfluidizer)プロセッサM−110EH(AC Technology Corp. Model M1475C)を利用して15,000 psiの圧力で破砕した。前記破砕された細胞溶解物を7,000rpm、4℃で20分間遠心分離して上清液を捨て、3Lの洗浄緩衝液(0.5%トリトンX−100及び50mM Tris−HCl(pH8.0)、0.2 M NaCl、1mM EDTA)に再懸濁した。7,000rpm、4℃で20分間遠心分離してペレットを蒸留水に再懸濁した後、同様の方法で遠心分離した。ペレットを回収し、400mlの緩衝液(1M Glycine、3.78 g Cysteine−HCl、pH10.6)に再懸濁して、室温で1時間撹拌した。再懸濁された遺伝子組換えインスリンアナログの回収のために400 mLの8M尿素を追加した後、40℃で1時間攪拌した。可溶化された組換えインスリンアナログのリフォールディングのために7,000rpm、4℃で30分間遠心分離した後、上清液を取った後、これに2 Lの蒸留水をperistaltic pumpを利用して1000 ml/hrの流速で入れながら4℃で16時間撹拌した。
【0098】
実施例4:陽イオン結合クロマトグラフィー精製
リフォールドされた試料を、20mMのクエン酸ナトリウム(pH2.0)緩衝液で平衡化したSource S(GEヘルスケア社)に結合させ、4%エタノールを含む45%エタノール(pH2.0)緩衝液で平衡化した。次いで、45%エタノール及び0.5 Mの塩化カリウムを含有する20 mMクエン酸ナトリウム(pH2.0)緩衝液を用いて濃度が0%〜100%になるように、10カラム容量の直線勾配でインスリンアナログタンパク質を溶出した。
【0099】
実施例5:トリプシン及びカルボキシペプチダーゼB(Carboxypeptidase B)の処理
脱塩カラムで溶出した試料から塩を除去し、緩衝液(10mM Tris−HCl、pH8.0)に交換した。得られた試料タンパク量の1000モル比に該当するトリプシン及び2000モル比に該当するカルボキシペプチダーゼBを添加した後、16℃で16時間攪拌した。反応を終了するために、1 Mのクエン酸ナトリウム(pH2.0)を用いてpHを3.5に下げた。
【0100】
実施例6:陽イオン結合クロマトグラフィー精製
反応が終了した試料を、45%のエタノールが含まれた20mMのクエン酸ナトリウム(pH2.0)緩衝液で平衡化されたSource S(GE healthcare社)カラムに再結合させた。塩化カリウム0.5 M及び45%のエタノールが含まれた20mMのクエン酸ナトリウム(pH2.0)緩衝液を使用して濃度が0% 〜100%になるように10カラム容量の直線濃度勾配でインスリンアナログのタンパク質を溶出した。
【0101】
実施例7:陰イオン結合クロマトグラフィー精製
脱塩カラムで溶出した試料から塩を除去し、緩衝液(10mM Tris−HCl、pH7.5)に交換した。前記実施例6で得られた試料から純粋なインスリンアナログを分離するために、前記試料を10mMトリス(pH7.5)緩衝液で平衡化された陰イオン交換カラム(Source Q:GE healthcare社)に結合させた。0.5 Mの塩化ナトリウムが含まされた10mMのトリス(pH7.5)緩衝液を使用して濃度が0%〜100%になるように10カラム容量の直線濃度勾配でインスリンアナログのタンパク質を溶出した。
【0102】
精製されたインスリンアナログの純度は、タンパク質電気泳動(SDS−PAGE)、及び高圧クロマトグラフィー(HPLC)を使用して分析し、アミノ酸の変更の確認はペプチドマッピング及び各ピークの分子量分析を通じて確認した。
【0103】
その結果、各インスリンアナログの目的に応じて、アミノ酸配列が変更されたことを確認した。
【0104】
実施例8:持続型インスリン結合体の製作
本実施例では、典型的なインスリンアナログである天然インスリンアナログ(A鎖14番目のGlu)の持続型結合体を製作した。
【0105】
インスリンアナログベータ鎖のN−末端に3.4K ALD2 PEG(NOF、日本)をPEG化するために、インスリンアナログの濃度5 mg/mlでインスリンアナログ及びPEGのモル比を1:4にして、4〜8℃で約2時間反応させた。この時の反応は、50mMのクエン酸ナトリウムpH6.0、40〜60%のイソプロパノールで行われ、3.0〜20.0mMの濃度のシアノ水素化ホウ素ナトリウム還元剤を添加して反応させた。前記反応液を、クエン酸ナトリウム(pH3.0)にエタノールが含まれたSP−HP(GE Healthcare、米国)カラムを用いて精製した。
【0106】
インスリンアナログ−免疫グロブリンFc断片結合体を製造するために、前記で精製されたモノ−PEG化されたインスリンアナログ及び免疫グロブリンFc断片を1:1〜1:2のモル比で、25℃で20mg/mlの総タンパク質濃度で約12〜16時間反応させた。この時、反応緩衝液の条件は、100mM HEPES、pH8.2であり、還元剤として20mMのシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加してFc断片のN−末端にPEG修飾されたインスリンアナログの結合体を製作した。
【0107】
前記反応が終了した後、反応液は、Q HP(GE Healthcare、米国)カラムを用いて、Tris−HCl(pH7.5)緩衝液及びNaCl濃度勾配を使用し、インスリンアナログ−免疫グロブリンFc断片結合体を1次で精製した。
【0108】
その後、Source 15ISO(GE Healthcare、米国)を2次カラムとして使用し、インスリンアナログ−免疫グロブリンFc断片結合体を得た。この時、Tris−HCl(pH7.5)が含まれたアンモニウム硫酸の濃度勾配を利用してインスリンアナログ−免疫グロブリンFc断片結合体を溶出した。
【0109】
実施例9:オキシントモジュリン誘導体の合成
本実施例では、下記のアミノ酸配列を有するオキシントモジュリン誘導体を合成した(表4)。
【0110】
【表4】

【0111】
表4において、配列番号40、58、59、61、64、65、70、71、及び72のそれぞれの太字および下線で示すアミノ酸は一緒になって環形成を形成し、前記アミノ酸Xで表される非天然アミノ酸であるα−メチル−グルタミン酸を意味する。さらに、CAは4−イミダゾアセチルを表し、DAはデスアミノ−ヒスチジル(desamino−histidyl)を表す。
【0112】
実施例10:持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体の製作
本実施例では、天然のオキシントモジュリン変異体、典型的なGLP−1/グルカゴン二重アゴニスト持続型結合体を製作した。
【0113】
まず、MAL−10K−ALD PEGをGLP−1/グルカゴン二重アゴニスト(配列番号40:HAibQGTFTSDYSKYLD E KRA K EFVQWLMNTC、太字で示されたアミノ酸はリングの形成を意味、Aibは2−methylalanine)のアミノ酸配列の30番目のシステイン残基にペグ化させるために、GLP−1/グルカゴン二重アゴニストとMAL−10K−ALD(NOF、日本)PEGとのモル比を1:1〜1:3、タンパク質の濃度を3〜5mg/mlにして常温で約3時間反応させた。この時、前記反応は50mM Tris緩衝液(pH8.0)にイソプロパノールが添加された環境下で行われた。反応が終了した後、前記反応液をSP HP(GE、米国)カラムに適用してシステインにモノ−PEG化されたGLP−1/グルカゴン二重アゴニストを精製した。精製方法は、エタノールを含むクエン酸ナトリウムpH3.0緩衝液及び塩化カリウムの濃度勾配を利用した。
【0114】
次に、前記精製されたモノ−PEG化されたGLP−1/グルカゴン二重アゴニストと免疫グロブリンFcとのモル比を約1:2〜1:5、タンパク質の濃度は約20mg/mlにして、4〜8℃で12〜16時間反応させた。反応は、リン酸カリウム緩衝液(pH6.0)の場合、還元剤として20mMのSCBを100mM添加した環境下で行った。反応が終了した後、前記反応液をSOURCE Q(GE、米国)を使用して前記GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト−免疫グロブリンFc断片結合体を1次精製した。前記精製は、20mMのビストリス緩衝液pH6.8及び塩化ナトリウムの濃度勾配を用いて行った。続いて、Source ISO精製カラムを使用してGLP−1/グルカゴン二重アゴニスト−免疫グロブリンFc断片結合体を最終的に精製した。前記GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト−免疫グロブリンFc結合体は、1 Mの硫酸アンモニウムを含む20mMのトリス緩衝液pH7.5及び20mMのトリス緩衝液pH7.5の濃度勾配を使用し精製した。
【0115】
実施例11:GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト−免疫グロブリンFc 結合体及びインスリンアナログ−免疫グロブリンFc結合体の併用療法による効果の評価
本試験は、実施例9及び10で製作した持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体及び持続型インスリンアナログ結合体の併用投与における血糖値及び体重変化の推移を確認するために行われた。餌及び水は自由摂取する条件で、42匹のdb/dbラット(7週齢)を2週間の順化させた後、各群当り6匹ずつ、計7群のラットに分離した。投与物質による群はvehicle、GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト−免疫グロブリンFc結合体の単独投与群(1.4nmol/kg)、インスリンアナログ−免疫グロブリンFc結合体の単独投与群(8.8及び17.6nmol/kg)、持続型GLP −1/グルカゴン二重アゴニスト−免疫グロブリンFc結合体(2.2、4.4、8.8nmol/kg)の併用投与群、このように計7群である。全ての試験物質を1日2回皮下投与した。投与を行う日を除いて、血糖値は、1週間に2回ランダムに4時間絶食した後、グルコメーターで測定した。各投与群の血糖は、vehicle投与群に比べ4週間の空腹時血糖変化グラフの曲線下面積(AUC、Area Under the Curve)で比較した(図1)。体重変化は、投与前と比較して各群で薬物投与後4週間比較した(図2)。
【0116】
図1で示されるように、GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト−免疫グロブリンFc結合体(1.4nmol/kg)又はインスリンアナログ−免疫グロブリンFc結合体(8.8nmol/kg)の単独投与群に比べて両物質を同量で併用投与した群(GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト−免疫グロブリンFc結合体(1.4nmol/kg)又はインスリンアナログ−免疫グロブリンFc結合体(8.8nmol/kg))で相乗効果を示した。また、併用投与群は、より高容量を投与したインスリンアナログ−免疫グロブリンFc結合体(17.6nmol/kg)と類似した血糖低下効果を示した。
【0117】
体重の変化においては(図2)、インスリンアナログ−免疫グロブリンFc結合体は、4週間の反復投与により体重増加した一方、持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト−免疫グロブリンFc結合体の単独投与群及び併用投与群は体重が減少した。また、同量のインスリンアナログ−免疫グロブリンが投与されたインスリンアナログ−免疫グロブリン単独群(8.8nmol/kg)とGLP−1/グルカゴン二重アゴニスト−免疫グロブリンFc結合体/インスリン併用投与群(1.4nmol/kg+8.8nmol/kg)とを比較すると、GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト−免疫グロブリンFc結合体を共に投与することにより、インスリン投与による体重増加を防止することができた。また、同じ血糖減少効力を示すインスリンアナログ−免疫グロブリンFc結合体単独群(17.6nmol/kg)と併用投与群(GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト−免疫グロブリンFc結合体(1.4nmol/kg)、インスリンアナログ−免疫グロブリンFc結合体(8.8nmol/kg))とを比較するときにも、体重減少効果があることが分かった。
【0118】
以上の結果から、本発明の持続型インスリン結合体及び持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体の両方を含む組成物は、血糖調節能力に優れ、インスリン投与による体重増加をもたらさず、既存のインスリン及び二重アゴニスト薬物をそれぞれ投与したときより治療的効能に優れることを確認した。
【0119】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施されることがあることを理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明の範囲は前記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導かれるあらゆる変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
次に、本発明の好ましい態様を示す。
1. インスリン及びGLP−1/グルカゴン二重アゴニストを含む糖尿病治療用薬学的組成物。
2. 前記インスリンが、天然型インスリン、速効型インスリン、basalインスリン、前記天然型インスリンにおいて一部のアミノ酸が置換、付加、欠失及び修飾のいずれか一つの方法又はこれらの方法の組み合わせにより改変が起こったインスリンアナログ又はこれらの断片であり、及び前記GLP−1/グルカゴン二重アゴニストが、GLP−1受容体及びグルカゴン受容体を同時に活性化させるものである、上記1に記載の組成物。
3. 前記インスリン及びGLP−1/グルカゴン二重アゴニストが、持続型である、上記1に記載の組成物。
4. 前記持続型グルカゴンペプチド-1(GLP−1)/グルカゴン受容体二重アゴニストが、配列番号40のアミノ酸配列を有し、配列番号40の16番目及び20番目のアミノ酸が環を形成するものである、上記3に記載の組成物。
5. 前記インスリン及びGLP−1/グルカゴン二重アゴニストそれぞれは、活性持続時間を延長することができる生体適合性物質がリンカー又は共有結合によりインスリン又はGLP−1/グルカゴン二重アゴニストに連結された持続型結合体である、上記3に記載の組成物。
6. 前記生体適合性物質が、ポリエチレングリコール、脂肪酸、コレステロール、アルブミン及びその断片、アルブミン結合物質、特定のアミノ酸配列の繰り返し単位のポリマー、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、結合組織又はその誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、サッカライド、及び高分子ポリマーからなる群から選択されたものである、上記5に記載の組成物。
7. 前記インスリン及びGLP−1/グルカゴン二重アゴニストそれぞれが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコールコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、生分解性ポリマー、脂質ポリマー、キチン類、ヒアルロン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される非ペプチド性ポリマーリンカーを通じてFcRn結合物質に属する免疫グロブリンFc領域に連結されたものである、上記6に記載の組成物。
8. 前記非ペプチド性ポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコールコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリサカライド、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、生分解性ポリマー、脂質ポリマー、キチン類、ヒアルロン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたものである、上記7に記載の組成物。
9. 前記免疫グロブリンFc領域が非糖鎖化されたものである、上記7に記載の組成物。
10. 前記免疫グロブリンFc領域がCH1、CH2、CH3、及びCH4ドメインからなる群から選択された1〜4個の領域を含むものである、上記9に記載の組成物。
11. 前記免疫グロブリンFc領域がヒンジ領域をさらに含むものである、上記10に記載の組成物。
12. 前記免疫グロブリンFc領域が、IgG、IgA、IgD、IgE、又はIgMに由来のFc領域である、上記11に記載の組成物。
13. 前記免疫グロブリンFc領域のそれぞれのドメインが、IgG、IgA、IgD、IgE、及びIgMからなる群から選択された異なる起源を有するドメインのハイブリッドである、上記12に記載の組成物。
14. 前記免疫グロブリンFc領域が、同一起源を有するドメインを含む短鎖免疫グロブリンで構成された二量体又は多量体である、上記13に記載の組成物。
15. 前記組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含む、上記1に記載の組成物。
16. 前記持続型インスリン結合体及び前記持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体が同時、順次又は逆順に投与されるものである、上記5に記載の組成物。
17. 前記持続型インスリンが、インスリンA鎖の14番目のアミノ酸がグルタミン酸で置換されたインスリンアナログ及び免疫グロブリンFc領域が非ペプチド性ポリマーのリンカーで連結された結合体であり、前記持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニストが、配列番号40のGLP−1/グルカゴン二重アゴニスト及び免疫グロブリンFc領域が非ペプチド性ポリマーのリンカーで連結された結合体である、上記3に記載の組成物。
18. 前記配列番号40のGLP−1/グルカゴン受容体二重アゴニストの16番目及び20番目のアミノ酸が環を形成するものである、上記17に記載の組成物。
19. 前記非ペプチド性ポリマーリンカーがPEGである、上記17に記載の組成物。
20. 上記1〜19のいずれか1項に記載の組成物を、糖尿病にかかる危険があるか又はかかった個体に投与する段階を含む、糖尿病の予防又は治療方法。
21. 前記投与する段階が、前記持続型インスリン結合体及び前記持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体を併用投与により行うものである、上記20に記載の方法。
22. 前記併用投与が、前記持続型インスリン結合体及び前記持続型GLP−1/グルカゴン二重アゴニスト結合体を同時、順次又は逆順に行うものである、上記21に記載の方法。
図1
図2
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]