(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
特にゴム完成物品を補強するために用いることができる補強製品であって、1つまたは複数の繊維または金属の補強スレッドを含み、前記スレッドが熱可塑性ポリマー組成物を含むシースで覆われ、前記シースで覆われたスレッド自体がコーティングゴムと称されるゴム組成物中に埋め込まれており、このコーティングゴムが、phr(エラストマー100質量部あたりの質量部)で表わした硫黄と補強フィラーの量の比が0.08未満である、少なくとも1種のジエンエラストマーと、補強フィラーと、硫黄又は硫黄供与剤とをベースとする組成物であり、前記組成物が、phrで表わした酸化亜鉛とステアリン酸誘導体の含量の比が1と5の間である量で酸化亜鉛とステアリン酸誘導体を含み、かつ5phr以下の硫黄含量を含むことを特徴とする、補強製品。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、他に明示がなければ示された全てのパーセント(%)は質量%である。
略語「phr」は、エラストマーまたはゴム(いくつかのエラストマーが存在する場合にはエラストマーの合計)の100部あたりの質量部を意味する。
さらに、「aとbの間」という表現によって示されるいかなる値の間隔も、aを超え、b未満に広がる値の範囲を表わす(即ち、限界aおよびbは除外される)。一方、「a〜b」という表現によって示されるいかなる値の間隔も、aからbまでに広がる値の範囲を意味する(即ち、厳密な限界aおよびbは含まれる)。
【0014】
したがって、本発明の補強製品は、「補強半完成品」または「コンポジット補強材」とも称されるが、シースで覆われた補強材、即ちシースで覆われ、次いで未硬化のまたは硬化された(架橋した)状態のゴムで作られた「コーティング」組成物に埋め込まれた補強材である。その本質的な特徴は、少なくとも1つの(即ち1以上の)繊維または金属の補強スレッド、ならびにシース層またはシースと称され、前記スレッドを個別にまたは数本のスレッドを集合的に覆い、被覆して、シースで覆われた補強材を形成する特定の組成物をも含むことである。このシースで覆われた補強材自体は次に、コーティング組成物またはコーティングゴムと称されるゴム組成物中に埋め込まれる。本発明のこの補強製品の構造について、以下に詳細に述べる。
【0015】
「〜をベースとする組成物」という表現は、用いた種々の基本成分の混合物および/またはインサイチュ反応生成物を含む組成物を意味すると理解されるべきである。これらの成分のいくつかは、組成物の製造の種々の段階において、またはそれが最初に調製される際に組成物を引き続いて硬化させ、改質する間に、少なくとも部分的に互いに反応することができ、および/またはそれが意図されている。したがって、本発明に用いられる組成物は非架橋の状態および架橋された状態において異なっていてもよい。
【0016】
「主な」化合物について言及する場合には、これは本発明の意味において、組成物の中の同種の化合物の中でこの化合物が主なものであること、即ちこれが同種の化合物の中で最大の質量を代表するものであることを意味すると理解すべきである。したがって、たとえば主なポリマーは、組成物中のポリマーの総量に関して最大の質量を示すポリマーである。同様に、「主な」フィラーは、組成物のフィラーの中で最大の質量を示すフィラーである。例として、ちょうど1種のポリマーを含む系においては、このポリマーは本発明の意味において主であり、2種のポリマーを含む系においては、主なポリマーはポリマーの質量の半分超を示す。一方、「少量の」化合物は同種の化合物の中で、質量で最大の割合を示さない化合物である。
本出願において、化合物Aと化合物Bの量の比、または化合物Aの含量と化合物Bの含量の比について言及する場合、これは常に化合物Bの量に対する化合物Aの量の数学的な意味における比である。
【0017】
1−シースで覆われた補強材
補強スレッド
本出願において、「補強スレッド」という用語は一般に、その断面の、たとえば円形、楕円形、長方形、正方形、または平面状等の形状によらず、その断面に対して大きな長さを有する任意の細長い要素を意味すると理解され、このスレッドは直線状でもよく非直線状でもよく、たとえば捻れていても波状でもよい。これが円形である場合には、その直径は好ましくは5mm未満、より優先的には0.1〜2mmの範囲である。
【0018】
この補強スレッドは任意の既知の形態を取りうる。これはたとえば大径(たとえば好ましくは50μm以上)の個別のモノフィラメント、個別のリボン、(小径、典型的には30μm未満の複数の個別の繊維からなる)マルチフィラメント繊維、縒り合された数本の繊維から形成されたテキスタイル折り畳みヤーン、ケーブルにした、もしくは縒り合された数本の繊維またはモノフィラメントから形成された繊維もしくは金属コード、またはこれらのモノフィラメント、繊維、折り畳みヤーンもしくはコードを数本集束したものを含むスレッドのアセンブリーまたは列であってよい。
【0019】
本出願において、スレッド様補強材またはシースで覆われた補強材は一般に、シースで覆われた1つまたは複数の補強スレッドを意味すると理解される。
したがって、1つの優先的な実施形態においては、本発明の目的に使用できるスレッド様補強材は、そのシースに覆われた単一の補強スレッドの形態で本発明に特有のコーティング組成物中に埋め込まれ、シースで覆われた単一のコンポジットスレッドを構成している。
【0020】
別の優先的な実施形態によれば、本発明の目的に使用できるスレッド様補強材は、直線であってもなくても、たとえば主方向に沿って整列した、グループ化された数本の補強スレッド(モノフィラメント、リボン、フィルム、繊維、折り畳まれたヤーンまたはコード)の形態であってもよい。これらの補強スレッドは次にシースによって集合的に覆われ、次いで本発明に特有のコーティング組成物中に埋め込まれて、たとえばベルト、ストリップ、タイヤの構造中に通常見かけられるもの等の種々の形態の複合ゴム布帛等の本発明による補強製品を構成する。本発明による補強製品の優先的な例として、特にタイヤのベルトに存在するカーカス補強プライ、保護クラウンプライ、フーピングクラウンプライまたはワーキングクラウンプライを構成する布帛を挙げることができる。
1つの優先的な実施形態によれば、補強スレッドは金属補強スレッドである。
【0021】
定義により、金属は、主として(即ちその質量の50%超)または完全に(その質量の100%)金属材料から作られたスレッド(またはモノフィラメント)を意味すると理解される。各モノフィラメントは優先的にスチール、より優先的には以下に「カーボンスチール」と称するパーライト(またはフェライト−パーライト)カーボンスチールから作られ、またはステンレススチール(定義により少なくとも11%のクロムおよび少なくとも50%の鉄を含むスチール)から作られる。カーボンスチールを用いる場合には、その炭素含量(スチールの質量に対する%)は、好ましくは0.5%と0.9%の間である。通常引張り(NT)または高引張り(HT)スチールコードタイプが好ましく用いられ、その引張り強度(Rm)は好ましくは2000MPaより大きく、より優先的には2500MPaより大きく、3000MPa未満である(測定はISO標準規格6892、1984による引張り力によって行なう)。スチールは黄銅または亜鉛等の接着層によって被覆してもよい。
【0022】
別の優先的な実施形態によれば、補強スレッドは天然もしくは合成ポリマー材料または鉱物材料からでもなる繊維スレッドである。例として、特にポリビニルアルコール(PVA)、脂肪族ポリアミド(たとえばポリアミド4−6、6、6−6、11または12)、芳香族ポリアミド(または「アラミド」)、ポリアミドイミド、ポリエステル(たとえばPET、PEN)、芳香族ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリケトン、セルロース、レーヨン、ビスコース、ポリフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)、ガラス、炭素またはセラミックから作られた補強スレッドを挙げることができる。
【0023】
シース
以下に述べるスレッド様補強材は、シース層とも称されるシースを含む。この種のシースは当業者には公知である。本発明の目的のため、シースは熱可塑性ポリマー組成物を含む。1つの実施形態においては、シースは熱可塑性ポリマー組成物の単層を含む。あるいは、シースは数層を含み、その少なくとも1つは熱可塑性ポリマー組成物を含む。
熱可塑性ポリマー組成物は、熱可塑性ポリマーの特性を有する少なくとも1種のポリマーを含む組成物を意味すると理解される。組成物は補完的に他の熱可塑性ポリマー、エラストマーおよび他の非ポリマー成分を含んでもよい。
【0024】
シースを調製するために用いることができる熱可塑性ポリマーの中で、たとえばポリアミド、ポリエステルおよびポリイミドからなる群から、より具体的には脂肪族ポリアミドおよびポリエステルからなる群から優先的に選択される熱可塑性ポリマーが優先的に選択される。ポリエステルの中では、たとえばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PBN(ポリブチレンナフタレート)、PPT(ポリプロピレンテレフタレート)、およびPPN(ポリプロピレンナフタレート)を挙げることができる。脂肪族ポリアミドの中では、ポリアミド4−6、6、6−6、11または12が特に挙げられる。この熱可塑性ポリマーは優先的には脂肪族ポリアミド、より優先的にはポリアミド6、6−6、またはポリアミド11である。
シースの熱可塑性組成物中で用いることができるエラストマーは、優先的には2つのタイプ、即ち熱可塑性スチレンエラストマーおよび官能化ジエンエラストマーであってよい。これら2種のエラストマーについて以下に述べる。
【0025】
熱可塑性スチレンエラストマー(TPS)はスチレン系ブロックコポリマーの形態の熱可塑性エラストマーである。これらは熱可塑性ポリマーとエラストマーの中間の構造を有しており、知られているようにエラストマーのソフトシーケンス、たとえばポリブタジエン、ポリイソプレンまたはポリ(エチレン/ブチレン)によって連結されたポリスチレンのハードシーケンスからなっている。知られているように、これが、TPSコポリマーが一般に2つのガラス転移ピーク、即ちTPSコポリマーのエラストマーシーケンスに関連する第1の(最も低く、マイナス温度の)ピークおよびTPSコポリマーの熱可塑性部分(スチレンブロック)に関連する第2の(最も高く、プラス温度で典型的には80℃付近またはそれより高い)ピークの存在によって特徴付けられる理由である。これらのTPSエラストマーは、ソフトセグメントによって連結された2つのハードセグメントを有するトリブロックエラストマーであることが多い。ハードセグメントおよびソフトセグメントは直線状、または星状もしくは分枝状構造で位置し得る。これらのTPSエラストマーはソフトセグメントに連結された単一のハードセグメントを有するジブロックエラストマーであってもよい。典型的には、これらのセグメントまたはブロックのそれぞれは、少なくとも5を超え、一般には10を超える基本単位(たとえばスチレン/イソプレン/スチレンブロックコポリマーについてはスチレン単位およびイソプレン単位)を含む。もちろん、これに関して、たとえばよく知られているように熱可塑的性質を何ら有しないSIRゴム(スチレン−イソプレンコポリマー)またはSBRゴム(スチレン−ブタジエンコポリマー)等の統計的ジエンコポリマーエラストマーとこれらを混同してはならない。
【0026】
シースを調製するために用いることができるTPSは、好ましくは不飽和である。「不飽和TPSエラストマー」という表現は定義によって、よく知られているように、エチレン性不飽和基を含むTPSエラストマーを意味すると理解される。即ち、これは炭素−炭素二重結合(共役であろうとなかろうと)を含む。反対に、「飽和」TPSエラストマーはもちろん、そのような二重結合を含まないTPSエラストマーである。
【0027】
また好ましくは、シースを調製するために用いることができるTPSは官能化されており、エポキシド、カルボキシル、無水物もしくは酸エステル基または官能基から選択される官能基を有している。1つの特に優先的な実施形態によれば、このTPSエラストマーはエポキシ化エラストマー、即ち1つまたは複数のエポキシド基を有するエラストマーである。
【0028】
シースを調製するために用いることができるTPSは、好ましくはスチレン/ブタジエン(SB)、スチレン/イソプレン(SI)、スチレン/ブタジエン/ブチレン(SBB)、スチレン/ブタジエン/イソプレン(SBI)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/ブタジエン/ブチレン/スチレン(SBBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)、スチレン/ブタジエン/イソプレン/スチレン(SBIS)ブロックコポリマーおよびこれらのコポリマーの混合物からなる群から選択される。数多くのTPSエラストマーが購入可能である。不飽和およびエポキシ化SBSの例として、既知でダイセル社から購入可能な「Epofriend」を挙げることができる。
【0029】
シースを調製するために用いることができるエラストマーの中で、官能化ジエンエラストマーが優先的に選択され、たとえば前記エラストマーはエポキシド、カルボキシル、無水物もしくは酸エステル基または官能基から選択される官能基を有している。好ましくは、官能基はエポキシド基であり、即ちジエンエラストマーはエポキシ化ジエンエラストマーである。
【0030】
シースを調製するために用いることができるポリ(p−フェニレンエーテル)(即ちPPE)の中で、たとえばポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジメチル−co−2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジラウリル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジメトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(1,6−ジエトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メトキシ−6−エトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エチル−6−ステアリルオキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−クロロ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジブロモ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(3−ブロモ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、それらのそれぞれのコポリマーおよびこれらのホモポリマーもしくはコポリマーの混合物からなる群から選択されるPPEが優先的に選択される。特定の優先的な実施形態によれば、用いられるPPEはポリフェニレンオキシド(即ち略語で「PPO」)として知られることもあるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)である。そのような購入可能なPPEまたはPPOは、たとえば旭化成社の「Xyron S202」という品名を有するPPEまたはSabic社の「Noryl SA120」という品名を有するPPEである。
【0031】
好ましくは、その特定の組成によれば、上述の熱可塑性ポリマー組成物を含むシースは自己接着性であってよい。即ち、その組成は接着剤の使用を必要とせずに周囲のゴム組成物と極めて良好に接着することができるようなものである。自己接着性のシースとしてのこの種の熱可塑性ポリマー組成物は、出願WO2010/136389、WO010/105975、WO2011/012521、WO2011/051204、WO2012/016757、WO2012/038340、WO2012/038341、WO2012/069346、WO2012/104279、WO2012/104280、WO2012/104281、WO2013/117474およびWO2013/117475に記載されている。
【0032】
あるいは、また有利なことに、シースはシースとエラストマーマトリックスとの間に接着性を提供する(接着)層によって覆われる。用いられる接着剤はたとえばRFL(レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス)型、またはたとえば出願公開WO2013/017421、WO2013/017422、WO2013/017423に記載されているものである。
【0033】
2−コーティング組成物
ジエンエラストマー
本発明の補強製品のコーティング組成物は、単一のジエンエラストマーまたはいくつかのジエンエラストマーの混合物を含んでよい。
ここで、「ジエン」型のエラストマー(または「ゴム」、この2つの用語は同義とみなされる)は、知られているように、ジエンモノマー(2つの共役または非共役炭素−炭素二重結合を有するモノマー)から少なくとも部分的に(即ちホモポリマーまたはコポリマー)得られる1種の(1種または複数と理解される)エラストマーを意味すると理解すべきであることが想起される。
【0034】
ジエンエラストマーは2つのカテゴリー、「本質的に不飽和」または「本質的に飽和」に分類できる。「本質的に不飽和」は一般に、15%(モル%)を超えるジエン由来(共役ジエン)の単位含量を有する共役ジエンモノマーから少なくとも部分的に得られるジエンエラストマーを意味すると理解される。したがって、ブチルゴムまたはEPDM型のジエンとα−オレフィンのコポリマー等のジエンエラストマーは、上記の定義に含まれず、特に「本質的に飽和」のジエンエラストマー(ジエン由来の単位が低いか極めて低く、常に15%未満)として記述することができる。「本質的に不飽和」のジエンエラストマーのカテゴリーにおいて、「高度に不飽和」のジエンエラストマーは、特に50%を超えるジエン由来(共役ジエン)の単位含量を有するジエンエラストマーを意味すると理解される。
【0035】
これらの定義を前提として、本発明による組成物において用いられ得るジエンエラストマーは、より詳細には以下を意味すると理解される。
(a)4〜12個の炭素原子を有する共役ジエンモノマーの重合によって得られる任意のホモポリマー;
(b)1または複数の共役ジエン同士、またはこれと8〜20個の炭素原子を有する1または複数のビニル芳香族化合物との共重合によって得られる任意のコポリマー;
(c)エチレンおよび3〜6個の炭素原子を有するα−オレフィンと6〜12個の炭素原子を有する非共役ジエンモノマーとの共重合によって得られる三元コポリマー、たとえばエチレンおよびプロピレンと、特に1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネンまたはジシクロペンタジエン等の上述の種類の非共役ジエンモノマーから得られるエラストマー等;
(d)イソブテンとイソプレンのコポリマー(ブチルゴム)およびこの種類のコポリマーのハロゲン化物、特に塩素化物または臭素化物。
【0036】
これはいかなる種類のジエンエラストマーにも適用されるが、タイヤに関する当業者には、本発明は好ましくは特に上記(a)または(b)型の本質的に不飽和のジエンエラストマーとともに用いられることが理解されよう。
共役ジエンとしては以下のものが特に適している。1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(即ちイソプレン)、2,3−ジ(C
1−C
5アルキル)−1,3−ブタジエン、たとえば2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−3−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−3−イソプロピル−1,3−ブタジエン、アリール−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンまたは2,4−ヘキサジエン。ビニル芳香族化合物としては、たとえば以下のものが適している。スチレン、オルト−、メタ−またはパラ−メチルスチレン、「ビニルトルエン」市販混合物、パラ−(tert−ブチル)スチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼンまたはビニルナフタレン。
【0037】
コポリマーは、99質量%と20質量%の間のジエン単位および1質量%と80質量%の間のビニル芳香族単位を含み得る。エラストマーは、用いた重合条件、特に改質剤および/もしくはランダム化剤の存在または非存在ならびに用いた改質剤および/もしくはランダム化剤の量によって決まる任意のミクロ構造を有し得る。エラストマーは、たとえばブロック、ランダム、連続的またはミクロ連続的エラストマーであってよく、分散液中または溶液中で調製できる。これらはカップリング剤および/または星形分枝剤または官能化剤によってカップリングおよび/または星形化または官能化されていてよい。たとえばC−Sn結合を含む官能基またはたとえばアミノベンゾフェノン等のアミノ化官能基のカーボンブラックへのカップリングを挙げることができる。たとえばシラノールまたはシラノール末端を有するポリシロキサン官能基(たとえばFR2740778、US6013718およびWO2008/141702に記載)、アルコキシシラン基(たとえばFR2765882またはUS5977238に記載)、カルボキシル基(たとえばWO01/92402またはUS6815473、WO2004/096865またはUS2006/0089445に記載)、またはポリエーテル基(たとえばEP1127909、US6503973、WO2009/000750およびWO2009/000752に記載)のシリカ等の補強無機フィラーへのカップリングを挙げることができる。官能化エラストマーの他の例と同じく、エポキシ化型のエラストマー(SBR、BR、NRまたはIR等)も挙げられる。これらの官能化エラストマーは、互いの、または非官能化エラストマーとのブレンドとして用いることができる。たとえば、シラノール末端を有するシラノール−またはポリシロキサン−官能化エラストマーを、スズとカップリングした、および/または星形化したエラストマーとの混合物として(WO11/042507に記載)用いることができ、後者の含量は5%〜50%、たとえば25%〜50%である。
【0038】
以下のものが好適である。ポリブタジエン、特に1,2−単位の含量(モル%)が4%と80%の間またはcis−1,4−単位の含量(モル%)が80%を超えるもの、ポリイソプレン、ブタジエン/スチレンコポリマー、特にTg(ガラス転移温度Tg、ASTM D3418に従って測定)が0℃と−70℃の間、より特定すると−10℃と−60℃の間でスチレン含量が5質量%と60質量%の間、より特定すると20%と50%の間、ブタジエン部分の1,2−結合の含量(モル%)が4%と75%の間、trans−1,4−結合の含量(モル%)が10%と80%の間のもの、ブタジエン/イソプレンコポリマー、特にイソプレン含量が5質量%と90質量%の間、Tgが−40℃〜−80℃のもの、またはイソプレン/スチレンコポリマー、特にスチレン含量が5質量%と50質量%の間、Tgが−5℃と−60℃の間のもの。ブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーの場合には、スチレン含量が5質量%と50質量%の間、より特定すると10%と40%の間、イソプレン含量が15質量%と60質量%の間、より特定すると20%と50%の間、ブタジエン含量が5質量%と50質量%の間、より特定すると20%と40%の間、ブタジエン部分の1,2−単位の含量(モル%)が4%と85%の間、ブタジエン部分のtrans−1,4−単位の含量(モル%)が6%と80%の間、イソプレン部分の1,2−と3,4−単位の含量(モル%)の和が5%と70%の間、イソプレン部分のtrans−1,4−単位の含量(モル%)が10%と50%の間、およびより一般的には−20℃と−70℃の間のTgを有する任意のブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーが特に好適である。
【0039】
まとめると、組成物のジエンエラストマーは、ポリブタジエン(「BR」と略す)、合成ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物からなる高度に不飽和のジエンエラストマーの群から優先的に選択される。そのようなコポリマーは、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)、イソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー(NBR)、ブタジエン/スチレン/アクリロニトリルコポリマー(NSBR)またはこれらの化合物の2以上の混合物からなる群からより優先的に選択される。SBR(ESBRまたはSSBR)エラストマーの場合には、たとえば20質量%と35質量%の間の中間的なスチレン含量、またはたとえば35%〜45%の高いスチレン含量を有し、ブタジエン部分のビニル結合の含量が15%と70%の間、trans−1,4−結合の含量(モル%)が15%と75%の間、Tgが−10℃と−55℃の間のSBRが特に用いられる。そのようなSBRは、好ましくは90%(モル%)を超えるcis−1,4−結合を有するBRとの混合物として有利に用いることができる。
【0040】
特定の優先的な実施形態によれば、ジエンエラストマーは主としてイソプレンエラストマーである(即ち、その中のイソプレンエラストマーの質量分率は他のエラストマーの質量分率と比較して最大である)。「イソプレンエラストマー」は、知られているように、イソプレンホモポリマーまたはコポリマー、換言すれば、可塑化されまたは解膠されていてもよい天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、種々のイソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物からなる群から選択されるジエンエラストマーを意味していると理解される。イソプレンコポリマーの中で、特にイソブテン/イソプレン(ブチルゴム−IIR)、イソプレン/スチレン(SIR)、イソプレン/ブタジエン(BIR)またはイソプレン/ブタジエン/スチレン(SBIR)コポリマーが挙げられる。このイソプレンエラストマーは好ましくは天然ゴムまたは合成cis−1,4−ポリイソプレンであり、これらの合成ポリイソプレンの中で、好ましくは90%を超え、さらに優先的には98%を超えるcis−1,4−結合含量(モル%)を有するポリイソプレンが用いられる。この実施形態により優先的に、イソプレンジエンエラストマーの含量は50phrを超え(即ち50〜100phr)、より優先的には少なくとも60phr(即ち60〜100phr)、さらにより優先的には少なくとも70phr(即ち70〜100phr)、さらにより優先的には少なくとも80phr(即ち80〜100phr)、極めて優先的には少なくとも90phr(即ち90〜100phr)である。特にこの実施形態によれば、イソプレンジエンエラストマーの含量は極めて優先的には100phrである。
【0041】
補強フィラー
本発明による組成物は補強フィラーを含む。ゴム組成物を補強する能力が知られ、タイヤの製造に用いることができる任意の種類の補強フィラー、たとえばカーボンブラック等の有機フィラー、シリカ、アルミナ等の補強無機フィラー、またはこれらの2種のフィラーのブレンドが用いられる。
【0042】
全てのカーボンブラック、特に「タイヤグレード」のブラックが、カーボンブラックとして好適である。より具体的には、後者の中で100、200または300シリーズ(ASTMグレード)の補強カーボンブラック、たとえばN115、N134、N234、N326、N330、N339、N347またはN375ブラック、または目標とする用途によっては、より高いシリーズ(たとえばN660、N683またはN772)のブラックが挙げられる。カーボンブラックは、たとえばマスターバッチの形態でイソプレンエラストマー中に既に組み込まれていてもよい(たとえば出願WO97/36724またはWO99/16600を参照)。
【0043】
カーボンブラック以外の有機フィラーの例として、WO−A2006/069792、WO−A2006/069793、WO−A2008/003434およびWO−A2008/003435に記載されているような官能化ポリビニル有機フィラーを挙げることができる。
【0044】
組成物は1種類のシリカまたはいくつかのシリカのブレンドを含んでよい。用いるシリカは当業者には公知の任意の補強シリカ、特にBET表面積とCTAB比表面積がともに450m
2/g未満、好ましくは30〜400m
2/gの任意の沈殿シリカまたはフュームドシリカであってよい。高分散性の沈殿シリカ(「HDS」)として、たとえばEvonik社のUltrasil 7000およびUltrasil 7005シリカ、Rhodia社のZeosil 1165MP、1135MPおよび1115MPシリカ、PPG社のHi−Sil EZ150Gシリカ、Huber社のZeopol 8715、8745および8755シリカ、処理済み沈殿シリカ、たとえばEP−A−0735088に記載されたアルミニウム「ドープ」シリカ、または出願WO03/16837に記載された高い比表面積を有するシリカが挙げられる。
【0045】
当業者には、上述のシリカのフィラー等価物として別種、特に有機性の補強フィラーを用いてもよいことが理解されよう。ただしこの補強フィラーはシリカの層で覆われているか、またはフィラーとエラストマーとの間に結合を形成するためのカップリング剤の使用を必要とする官能性サイト、特にヒドロキシルサイトをその表面に含んでいることを前提としている。
【0046】
これらの組成物は、カップリング剤に加えてカップリング活性化剤、即ち無機フィラーを覆う薬剤、またはより一般的には、知られているようにゴムマトリックス中のフィラーの分散の改善により、および組成物の粘度の低下により、未処理の状態における加工性を改善することができる加工助剤を含んでもよい。これらの薬剤は当業者にはよく知られているように、たとえばアルキルアルコキシシラン等の加水分解性シラン、ポリオール、脂肪酸、ポリエーテル、1級、2級もしくは3級アミン、またはヒドロキシル化もしくは加水分解性ポリオルガノシロキサンである。その特定の構造によって「対称」または「非対称」と称されるシランポリスルフィド、たとえば出願WO03/002648(またはUS2005/016651)およびWO03/002649(またはUS2005/016650)に記載されたものが特に用いられる。
【0047】
補強フィラーが提供される物理的状態は重要でなく、粉末、ミクロパール、顆粒、ビーズの形態、または他の任意の適当な圧縮された形態でよい。
優先的には、補強フィラー(カーボンブラックおよび/またはシリカ等の補強無機フィラー)の全含量は20〜80phr、より優先的には30〜70phr、極めて優先的には35〜60phr、より良くは40〜55phrである。フィラーが20phr未満では所望の用途によるが剛性に関する組成物の効果が低く、一方フィラーが80phrを超えると転がり抵抗に関する組成物の効果が低い。
【0048】
「主な補強フィラー」という用語は、組成物中に存在する補強フィラーの中で最大の含量を有するものを意味すると理解される。「主な補強フィラー」という用語は特に、存在する補強フィラーの少なくとも50質量%、優先的には50%を超え、より優先的には60%を超える任意の補強フィラーを意味すると理解される。
1つの実施形態によれば、組成物は主なフィラーとしてカーボンブラックを、副フィラーとしてのシリカとのブレンドとして含んでもよい。この場合、カーボンブラックの含量は優先的には20〜80phr、好ましくは30〜70phr、より優先的には35〜60phr、より良くは40〜55phrの範囲である。この実施形態においては、シリカの含量は優先的には10phr未満、より優先的には0phrである。
【0049】
加硫系
本発明の補強製品のコーティング組成物の加硫系は、以下に定義するように、通例のコーティング組成物と比較して低い含量の硫黄(または硫黄供与剤)をベースとする。
実際に、通例のコーティング組成物と比較して低い含量の硫黄をベースとする加硫系が用いられる。即ち、この加硫系においてphr(エラストマー100質量部あたりの質量部)で表わした硫黄と補強フィラーの量の比は0.08未満である。硫黄と補強フィラーの量の比は、より優先的には0.06以下、好ましくは0.05以下である。
【0050】
硫黄は0.1と5phrの間の優先的な含量で、より優先的には0.5と3phrの間、特に1.5と2.5phrの間の含量で用いられる。0.1phr未満では組成物はコーティングゴムとして用いるには加硫が不十分となり、一方5phrを超えると組成物は通例の高硫黄含量のコーティングゴムについて既知の、即ち熱酸化に対する耐性が低いという欠点を有する。
【0051】
以下に述べる既知の種々の加硫促進剤がこの基本加硫系に添加され、引き続いて述べるように最初の非生産段階および/または生産段階の間に組み込まれる。
加硫促進剤は一般に、加硫の開始をより速くまたはより遅くすることができるかによって、いくつかのカテゴリーに分類される。この加硫の開始は促進剤の「t0」値によって表わされる。
【0052】
所与の促進剤のt0値は、所与のゴム組成物について所与の加硫温度で測定しなければならない。そのt0値によって「遅い」または「速い」促進剤を比較するため、ここで用いる参照組成物は、100phrのNR、47phrのカーボンブラックN326、0.9phrのステアリン酸、7.5phrのZnO、4.5phrの硫黄、およびt0を測定すべき促進剤をエラストマー100質量部あたり2.3mmolのモル含量で含む組成物である(ここで示す成分の市販の参照は、例1で用いた成分のそれと同一である)。t0を測定する方法は150℃で標準規格DIN−53529による。本出願の意味において「t0」は以下に定義し、測定するt0を意味する。
【0053】
たとえば、以下の表は、提案した測定方法による、提案した配合物中のいくつかの促進剤のt0を示す。
【表1】
【0054】
したがって本出願の目的のため、「遅い」促進剤はt0が3分より長く、好ましくは3.5分より長い促進剤と定義される。コーティング組成物として通例、組成物と補強材との接着性を改善するために用いられるものはこの型の促進剤であるが、補強製品の硬化時間が長くなり、その結果、製造の際の生産性が低下するという欠点がある。
【0055】
本発明による補強製品のコーティング組成物は、好ましくは「速い」加硫促進剤を含み、そのt0は3.5分未満、好ましくは3分以下である。
そのような「速い」促進剤は、チウラム系の化合物、チオカーバメート誘導体(ジチオカーバメート塩、たとえば亜鉛ジチオカーバメートを含む)、スルフェンアミド、グアニジン、チオホスフェートまたはそれらの混合物からなる群から選択される。
上に列挙した促進剤の中で、チウラム系の化合物、チオカーバメート誘導体、スルフェンアミド、チオホスフェートまたはそれらの混合物からなる群から選択される促進剤が優先され、そのt0は3.5分未満、好ましくはt0が3分以下のものである。N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBSと略される)が極めて優先的に用いられ、そのt0は3分である。
【0056】
本発明の目的のため、加硫系は、phrで表わした硫黄含量(即ち加硫硫黄含量)とphrで表わした促進剤含量(即ち促進剤が複数ある場合にはその含量の合計)との比が厳密に4未満、優先的には3以下、より優先的には1.5以下であるものである。また優先的には、この比は0.1〜4、より優先的には0.2〜3、極めて優先的には0.5〜1.5の範囲である。
通常、コーティング組成物は、酸化亜鉛とステアリン酸の含量の比が7を超え、通常8〜15の範囲であるような酸化亜鉛およびステアリン酸の含量(phrで)を有する。換言すれば、金属コードの劣化、特に黄銅中の亜鉛の消費を避けるために、通常ステアリン酸より少なくとも7倍の酸化亜鉛が存在する。
【0057】
本発明のコーティング組成物において、金属酸化物(特に酸化亜鉛)の量(phr)とステアリン酸誘導体(即ちステアリン酸またはステアリン酸の塩、優先的にはステアリン酸)の量は、好ましくは酸化亜鉛とステアリン酸の含量の比が7未満、典型的には1と7の間、好ましくは5未満、典型的には1と5の間、より優先的には3未満、典型的には1と3の間であるものである。コーティング組成物中のこの通常ではない比により、通常用いられる酸化亜鉛の含量が極めて高くなることを防止することができる。それは、酸化亜鉛が用いられる原料のコストを高くするからである。加硫活性化複合体のこのリバランスにより、加硫の動力学および加硫の収率を改善することができ、加硫戻り現象を低減することができる。さらに、ステアリン酸は混合物の加工性を改善し、安価であり、したがって混合物中のステアリン酸の比率を高くすることが多くの視点から好ましいことに注目されたい。
【0058】
コーティング組成物は通常、その7phrを超える金属酸化物を含むが、本発明のコーティング組成物の金属酸化物含量は典型的には7phr未満である。金属酸化物の含量は好ましくは1〜7phr、好ましくは2〜6phr、より優先的には3〜5phrの範囲である。コーティング組成物は通常、1phr未満のステアリン酸を含むが、ステアリン酸誘導体の含量は、それに関しては典型的には1phrを超える。ステアリン酸の含量は、好ましくは1〜3phr、より優先的には1〜2phrの範囲である。
本明細書において、「ステアリン酸誘導体」は、ステアリン酸またはステアリン酸の塩を意味すると理解され、いずれも当業者には公知である。本発明に関して用いられるステアリン酸の塩の例としては特に、ステアリン酸亜鉛またはステアリン酸カドミウムを挙げることができる。
【0059】
加硫によって硫黄が消費される前に補強材を硫化することを可能にするために、コーティング組成物中において加硫遅延剤が通常用いられる。この遅延剤は当業者には公知であり、たとえばLanxess社によってVulkalent Gという名称で販売されているN−シクロヘキシルチオフタルイミド(CTPと略す)、Lanxess社によってVulkalent E/Cという名称で販売されているN−(トリクロロメチルチオ)ベンゼンスルホンアミド、またはLanxess社によってVulkalent B/Cという名称で販売されているフタル酸無水物が挙げられる。本発明の補強製品のコーティング組成物においては、好ましくは加硫遅延剤を用いず、それにより混合物が単純化され、コストが低減される。
【0060】
その他の添加剤
本発明による補強製品のコーティング組成物は、特にタイヤの製造を意図したエラストマー組成物に通常用いられる通例の添加剤、たとえば顔料、抗オゾンワックス、化学的抗オゾン剤、抗酸化剤等の保護剤、可塑化油もしくは当業者に公知の炭化水素系樹脂等の可塑剤、補強樹脂、またはメチレン受容体(たとえばノボラックフェノール樹脂)もしくは供与体(たとえばHMTもしくはH3M)の全てまたは一部を含んでもよい。
コーティング組成物は通常、接着促進剤、たとえばコバルト塩をも含む。これは、組成物が1つまたは複数の金属補強要素、たとえば金属コードとの接触を意図した半完成品の製造のために用いられるからである。コバルト塩により、金属コードへの、特にたとえば黄銅を含むそのコーティングへの組成物の永続的な接着が可能になる。しかし、そのようなコバルト塩は比較的高価である。さらに、その環境への影響を低減するため、これらの塩の使用量は可能な限り制限することが望ましい。本発明の補強製品のコーティング組成物においては、好ましくはコバルト塩を用いず、好ましくは接着促進剤を用いない。
もちろん、本発明による組成物は単独で、またはタイヤの製造に用いられる他の任意のゴム組成物とのブレンドとして(即ち混合物として)、用いることができる。
本発明が、そのコーティング組成物が「未硬化」もしくは未架橋の状態(即ち硬化前)、または「硬化した」もしくは架橋した、さもなければ加硫した状態(即ち架橋後または加硫後)にある補強製品に関することは言うまでもない。
【0061】
コーティング組成物の製造
コーティングゴムを形成するゴム組成物は、当業者には公知の一般的な手順により、2つの連続的な調製段階を用いて適当なミキサー中で製造される。第1の段階は最高温度が130℃と200℃の間、好ましくは145℃と185℃の間の、高温における熱機械的運転または混練(「非生産」段階と称されることがある)である。それに続く第2段階は典型的には120℃未満、たとえば60℃と100℃の間の比較的低い温度における機械的運転(「生産」段階と称されることがある)であり、その最終段階の間に加硫系が組み込まれる。
【0062】
そのようなゴム組成物の製造に用いられるプロセスは、たとえば、好ましくは以下のステップを含む。
− ミキサー中で、130℃と200℃の間の最高温度に達するまで、全てを熱機械的に1回または数回、混練することによって、ジエンエラストマーと補強フィラーと、加硫系を除く組成物の他の任意の成分とを組み込むステップ;
− 一緒にした混合物を100℃未満の温度にまで冷却するステップ;
− 引き続いて加硫系を組み込むステップ;
− 120℃未満の最高温度までで全てを混練するステップ;
− このようにして得られたゴム組成物を押し出しまたはカレンダー加工するステップ。
【0063】
例として、最初の(非生産)段階は単一の熱機械的ステップで行なわれ、その中で加硫系以外の全ての必要な成分、任意の補完的なカバー剤もしくは加工助剤およびその他の種々の添加剤が、通常の内部ミキサー等の適当なミキサーの中に導入される。最初の非生産段階の間にこのようにして得られた混合物が冷却された後、加硫系が低温で、一般にはオープンミル等の外部ミキサーの中に組み込まれる。次いで全体が数分間(たとえば5分と15分の間)混合される(生産段階)。
このようにして得られた最終組成物は引き続いて、たとえば特に実験室における特性解析のためにシートまたはスラブの形態にカレンダー加工されるか、またはシースで覆われた補強材のための、即ち上述のようにシースで覆われた1つ(または複数)の金属もしくは繊維補強スレッドのためのコーティングゴムとして直接用いることができるシートまたはゴムプロファイルエレメントの形態にカレンダー加工もしくは押し出し加工される。
加硫(または硬化)は既知の方法で、一般には130℃と200℃の間の温度で、特に硬化温度、採用した加硫系および考慮している組成物の加硫動力学の関数としての、たとえば5分と90分の間で変動し得る十分な時間、行なわれる。
【実施例】
【0064】
3−本発明の例示的実施形態
3.1−本発明による補強製品の例
添付した
図1は本発明の第1の実施形態による、一般参照10で示すタイヤを表わす。タイヤ10は実質的に、軸方向に実質的に平行な軸の周りに回転対称を示す。この場合、タイヤ10は乗用車両またはローリー等の重荷重車両を意図している。
【0065】
タイヤ10はクラウン12を含み、クラウン12はクラウン補強材14を含み、クラウン補強材12はワーキング補強材15を含み、ワーキング補強材15は補強要素の2つのワーキングプライ16および18ならびにフーピング補強材17を含み、フーピング補強材17はフーピングプライ19を含む。クラウン補強材14の上にトレッド20がある。フーピング補強材17はこの場合にはフーピングプライ19であるが、ワーキング補強材15とトレッド20の間に半径方向に介在している。
2つのサイドウォール22がクラウン12から半径方向内側へ延在している。タイヤ10は、サイドウォール22の半径方向内側に、それぞれが環状の補強構造26(この例においてはビードワイヤ28)を含み、その上に充填ゴム30の塊およびラジアルカーカス補強材32がある2つのビード24をさらに含む。クラウン補強材14はカーカス補強材32とトレッド20の間に半径方向に介在している。各サイドウォール22は各ビード24をクラウン14に連結している。
【0066】
カーカス補強材32は好ましくはラジアル繊維補強要素の単一のカーカスプライ34を含む。カーカス補強材32はビードワイヤ28の周りに巻き上げられることによってビード24のそれぞれに固定されており、それにより各ビード24の中でビード24からサイドウォール22を経てクラウン12へと延在するメインストランド38とターンアップストランド40が形成され、ターンアップストランド40の半径方向外側末端42が環状補強構造26の半径方向外側に存在する。したがってカーカス補強材32はビード24からサイドウォール22を経てクラウン12へと延在する。この実施形態においては、カーカス補強材32はまた、クラウン12を経て軸方向に延在する。
【0067】
各ワーキングプライ16および18は本発明による補強製品21を形成し、タイヤ10の周方向に関して15°〜40°、好ましくは20°〜30°の範囲、この場合には26°に等しい角度を形成する補強要素44を含む。補強要素44は1つのワーキングプライから他のワーキングプライへと交差している。
フーピングプライ19はタイヤ10の周方向に関して大きくても10°、好ましくは5°〜10°の角度を形成するフーピング繊維補強要素を含む。この例においては、フーピング繊維補強要素は熱収縮性材料、この場合にはポリアミド66で作られた合撚糸であり、各合撚糸は直径が約0.66mmで、撚り数250回/メートルで(ダイレクトケーブルマシンで)撚り合わされた140texの2本のスパンヤーンからなっている。各フーピング繊維補強要素の熱収縮率CTは約7%である。
【0068】
ワーキングプライ16および18、フーピングプライ19ならびにカーカスプライ34はエラストマーマトリックス23を含み、対応するプライの補強要素がその中に埋め込まれている。ワーキングプライ16および18、フーピングプライ19ならびにカーカスプライ34のエラストマーマトリックス23のゴム組成は、従来のジエンエラストマーを含む補強要素のコーティングのための従来の組成、たとえば天然ゴム、補強フィラー、たとえばカーボンブラックおよび/またはシリカ、架橋系、たとえば好ましくは硫黄、ステアリン酸および酸化亜鉛、ならびに場合により加硫促進剤および/または遅延剤および/または種々の添加剤を含む加硫系であってよい。補強製品を含むプライの少なくとも1つは、本発明による補強製品を含む。これに関して、このプライは本発明に特有のコーティング組成物23、即ち本発明の目的のために上および下に定義される組成物を含む。
【0069】
図2〜
図5は本発明の種々の実施形態、即ち本発明による補強製品21の種々の配置を表わす。補強製品21の補強要素(1つまたは複数のスレッド)44は主方向に沿って横並びに配置されている。補強要素44は互いに平行に延在している。各補強要素44は少なくとも1つのスレッド様要素46を含む。各補強要素44はスレッド様要素46を被覆し、熱可塑性ポリマー組成物の少なくとも1つの層50を含む少なくとも1つのシース48をも含む。シースで覆われた補強材44はコーティング組成物23の中に埋め込まれている。
【0070】
シース48は、熱可塑性ポリマー、官能化ジエンエラストマー、ポリ(p−フェニレンエーテル)またはこれらの材料の混合物を含んでもよい熱可塑性ポリマー組成物の単一層50を含む。この場合、熱可塑性ポリマー組成物は熱可塑性ポリマー、たとえばポリアミド66を含む。熱可塑性ポリマー組成物は官能化ジエンエラストマー、たとえばエポキシド、カルボニル、無水物もしくはエステル官能基および/またはポリ(p−フェニレンエーテル)を含むスチレン熱可塑性ポリマーを含んでよい。シース48は、シース48とエラストマーマトリックス23の接着(図示せず)のため、接着剤で被覆されていてもよい。
【0071】
図2〜
図5に示した実施形態は、本発明の補強製品21において用いることができるシースで覆われた補強材44を形成するためのシースの中のコードの配置および/または数において異なっている。即ち、シースで覆われた補強材44は、
図2のように3本のコードが個別にシースで覆われ、コーティング組成物の中に一緒に埋め込まれた形態、
図3のように3群のコードで、コードのそれぞれの群がシースで覆われ、シースで覆われた3群のコードがコーティング組成物の中に埋め込まれた形態、
図4のようにここではそれぞれがモノフィラメントからなる3本のコードのストリップで、同一のシースで覆われ、コーティング組成物の中に埋め込まれた形態、および
図5のように3群のコードのストリップで、同一のシースで覆われ、コーティング組成物の中に埋め込まれた形態である。
【0072】
3.2−補強製品のタイヤにおける使用
上述した本発明の補強製品は、特に任意のゴム完成品またはゴム半完成品、特に全ての種類の車両の空気入り補強タイヤ、特に乗用車両または重荷重車両等の産業用車両の製造に用いることができる。
既に上述したように、本発明のこの補強製品は種々の形態、単一形態(補強スレッドが単一のもの)、または数本の繊維および/または金属補強スレッドがたとえばカレンダー加工等によって組み込まれたゴムブロック、プライ、ベルトまたはストリップの形態であってよい。シースで覆われたスレッド様補強材とコーティングゴムとの間の最も確実な接着は、本発明のスレッド様補強材が意図される最終製品の、好ましくは加圧下における硬化の最後に得られる。
【0073】
3.3−例1−ゴム試験
これらの試験の要求のため、本発明によりゴム組成物を調製した。その配合を表1に示す。種々の製品の含量はphr(エラストマー100質量部あたりの質量部)で表わしている。
これらの組成物の製造は下記の手順によった。補強フィラー(カーボンブラックおよび/またはシリカ)、ジエンエラストマーおよびその他の種々の成分を、加硫系を除いて内部ミキサーに継続的に導入した。内部ミキサーの最初の容器温度は約50℃であった。ミキサーは約70%(体積%)まで満たした。次いで最高「滴下」温度160℃に到達するまで、約3〜5分の1ステップで熱機械的処理(非生産段階)を行なった。このようにして得られた混合物を回収して冷却し、次いで硫黄およびスルフェンアミド型の促進剤を外部ミキサー(ホモフィニッシャー)に40℃で投入し、全体を数分間混合した(生産段階)。このようにして得られた組成物を引き続いてスラブの形態にカレンダー加工した。これは本発明によるシースで覆われたスレッド様補強材のためのコーティングゴムとして用いることができる。
これらの組成物を、加硫系のみ異なり同様の配合で同様に調製した対照組成物と比較した。対照組成物はコーティング組成物として通常の加硫系を有しており、一方本発明の組成物は本発明のために定義した特有の加硫系を有している。組成物C1は本発明によるものではなく、組成物C2〜C4は本発明によるものである。
【0074】
これらの異なった組成物の特性を評価し、以下の表2に示す。これらの特性は開始時点にならびに組成物を77℃において相対湿度50%下で14日間、次いで28日間のエイジング後に評価した。
【0075】
測定した特性は、引張り試験で測定した組成物のモジュラスである。これらの試験により、弾性ストレスおよび破断時の特性を決定することができる。これらの試験は1988年9月のフランス標準規格NF T46−002に従って行なう。10%伸び(「MAS10」と称する)、100%伸び(「MAS100」)、および300%伸び(「MAS300」)における「公称」割線モジュラス(または見かけの応力、MPa)を第2の伸びにおいて(即ち適応サイクルの後で)測定する。これら全ての引張り測定は、フランス標準規格NF T40−101(1979年12月)に従って温度(23±2℃)および湿度測定(相対湿度50+5%)の標準条件下で行なう。
【0076】
【表2】
【0077】
表2に示した結果は特に、本発明による組成物C2〜C4が対照組成物C1よりも優れた耐熱酸化老化性を有していることを示している。
【0078】
結論として、本発明の補強製品に用いられるコーティングゴムは改善された耐老化性を有しており、たとえばタイヤのカーカスプライまたはベルトに、熱酸化に関連するリスクからの顕著に改善された保護を与える。
【表3】
【0079】
3.4−例2−スレッド様補強材に対するコーティング組成物の接着性の試験
スレッド様補強材に対するコーティング組成物の接着性を試験するため、標準規格ASTM D2229による測定を行なった。
以下の表3に示す組成物C(a)(対照)およびC(b)(本発明による)を、直径28/100mmの2+7 0.7%カーボンスチールスレッドからなる黄銅金属補強材と、アセンブリーピッチ7.5mm/15mmで組み合わせた。黄銅は以下の表4に示すようにシースで覆われたものと覆われていないものとがあり、68%の銅を含んでいた。これらの組み合わせについて、補強材へのコーティング組成物の接着性を試験した。補強材がシースで覆われている場合には、シースは平均約0.14mmの厚みを有するポリアミド6−6であり、シースで覆われたコードの直径は約1.35mmで、RFL接着剤で覆われている。
【0080】
表4に示す結果は特に、タイヤに通例用いられる黄銅の補強材に対する本発明の要求事項による組成物C(b)の接着性が悪化しているのに対し、シースで覆われた補強材の上の同一組成物は対照組成物C(a)と同等、またはこれより良い接着性を有することを示している。
この結果は、組成物C(b)の優れた耐老化性と相まって、例1に示した組成物と同様に、これまで知られていた補強製品と比較して、顕著に改善された接着性および耐老化性を有する補強製品が得られるという本発明の完全な利点を示している。
【0081】
【表4】
【0082】
【表5】